JP2004184591A - 走査光学系及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

走査光学系及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】装置全体をコンパクトに構成し、かつ良好なる結像性能を発揮できる走査光学装置を得ること。
【解決手段】複数の光源手段から射出された複数の光束を偏向手段で偏向し、結像光学系によって該複数の光束を異なる被走査面上に導光し、該被走査面上を該偏向手段の駆動により光走査する走査光学装置において、副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、該偏向手段で偏向された複数の光束のうち該偏向手段に距離的に一番近い被走査面を光走査する光束E2は、順に第1、第2の反射手段を介して該被走査面に導光されており、該偏向手段と第1の反射手段との間の空間内に該第2の反射手段が配置されており、該第2の反射手段と該被走査面との間の空間内に該第1の反射手段が配置されており、該光束E2は空間内で交差していること。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走査光学系及びそれを用いた画像形成装置に関し、特に複数の光源手段から射出した複数の光束を偏向手段としてのポリゴンミラーにより偏向させた後、fθ特性を有する結像光学系を介して被走査面上を光走査して画像情報を記録するようにした、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の走査光学系の構成及び光学的作用について図4〜図5を用いて説明する。
【0003】
図4は走査光学系の副走査断面図である。同図においては偏向手段としてのポリゴンミラー28に対して2つの走査グループS1,S2が左右対称で構成されており、その2つの走査グループS1,S2の光学的作用は同一の為、以下図面上、右半分の走査グループS1に対して説明する。
【0004】
同図における走査光学系は画像情報に基づいて射出した複数の光束を偏向走査するポリゴンミラー28、光束を等速走査および感光ドラム上でスポット結像させる第1、第2の2枚のfθレンズ29、30、光束を所定の方向へ反射する複数の反射ミラー31a〜31d、走査光学部を埃から保護するための防塵ガラス32を経て感光ドラム20a,20b面へ各々導光し、該感光ドラム20a,20b面上で静電潜像を形成する。
【0005】
近年、走査光学系は、画像形成装置のコンパクト化に伴い、図4に示すように1台のポリゴンミラー(ポリゴンモータユニット)で4つの感光ドラムを走査露光する方式が使用されるように成ってきた。この方式はポリゴンミラーのそれぞれ対向面に複数の光束を照射する2つの走査グループS1,S2を有している。
【0006】
2つの走査グループS1,S2はポリゴンミラー28の偏向面(反射面)に上下に所定距離平行シフトさせた2つの光束を入射させ偏向走査している。またこの上下2光路の2つの光束E1,E2をそれぞれ感光ドラム20a,20b上に結像させるため第1、第2の2枚のfθレンズ29、30を設けている。第1、第2のfθレンズ29、30はそれぞれ同一レンズ面を上下2段に有する。その製造は2枚のレンズを張り合わせる、もしくはモールドレンズとして一体成型で製造される。
【0007】
上下2光路の走査光学系では、それぞれの光路に対して光束を偏向走査する偏向面が必要であり、分厚いポリゴンミラー、もしくは2段構成のポリゴンミラーが使用されている。この為、この方式では大型のポリゴンミラーを駆動するモータの負荷が大きくなる傾向がある。
【0008】
これに対し図5に示すように薄型化したポリゴンミラーを使用した斜入射方式の走査光学系(以下「斜入射走査光学系」と称す。)が知られている。
【0009】
この方式は副走査断面内でポリゴンミラー33に対して各光束をそれぞれ異なる角度で入射させることにより、該ポリゴンミラー33を薄型化させている。各光束E1,E2はポリゴンミラー33の偏向面で偏向された後に共通の第1、第2のfθレンズ35、36を通過し、それぞれ2枚の反射ミラー34a,34c(34d,34f)とその間に設けた1枚の凹面ミラー34b(34e)を介して感光ドラム20a(20b)に導かれる。
【0010】
またその光束E1,E2の光路の分離は光路の途中に配置された反射ミラー34dで行なわれる。反射ミラー34dで図中下側を偏向走査する光束E2を、上側を偏向走査する光束E1と交差するように図中上部方向へ反射させ、それぞれの光束E1,E2を光学箱39上部に配置された反射ミラー34c、34fで反射させ、感光ドラム20a、20b上へ導く。
【0011】
このように各光束E1,E2を感光ドラム20a、20bに導くため各光路では3枚の反射ミラー34a,34b,34c・34d,34e,34fを使用している。
【0012】
しかしながら上記の従来の走査光学系においては以下に示す課題を有する。
【0013】
第1の課題は、感光ドラム20a(20b)に光束を導くために非常に多くの反射ミラーを必要としている点である。図4では同一光路中に反射ミラー31b,31c,31dを3枚、図5でも同一光路中に反射ミラー34a,34b,34c(34d、34e,34f)を3枚配置している。この結果、部品点数の増大によるコストアップや、ミラーを収納するスペースが必要になり、装置全体が大型化になってしまう。
【0014】
これらの従来例に対し以下の方式の走査光学系が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら特許文献1では複雑な形状の光路分離素子を必要としており、装置の製造が難しかった。また特許文献2では光束を光偏向器の上部を通過させるため装置の小型化を阻害してしまっていた。
【0015】
第2の課題として、第1、第2の2枚のfθレンズの配置に対して複数の反射ミラーの配置が十分考慮されていないことである。装置の製造誤差を考えると周知の如く反射光束はミラーの角度誤差に対して2倍の角度誤差を生じる。よって反射ミラーの枚数を安易に増やすと、その分光束の角度誤差を生じやすくなる。例えば図4の従来例では2枚のfθレンズ29、30を通過した光束E2はその後の反射ミラー31b,31c,31dで3度も反射されることで光束の進行方向に大きな角度誤差を持つことになる。この結果、感光ドラム20b上に光束が達する時には大きな位置誤差になってしまう。
【0016】
同様に装置を使用している時に外乱要因(熱変形や振動など)でミラーの角度精度が狂うことがある。このときも感光ドラム面上の照射位置が変動することになり、カラー画像のレジストレーションがずれてしまう等の問題点となる。
【0017】
更にこのような光路の誤差はfθレンズの屈折力(パワー)と反射ミラーの配置関係を最適化しないと誤差が拡大されてしまうことがある。また図5のような斜入射走査光学系では副走査断面内の光束の進行方向が変わると、副走査方向の結像を司る凹面シリンダミラー34b、34eに入射する光束の位置がずれてしまう。このとき斜入射走査光学系では収差が急激に悪化し、スポット結像状態の劣化や被走査面上の集光位置ズレが急激に進行してしまう。さらにfθレンズと反射ミラーの配置関係が最適でないとコンパクトに収納することができず装置全体が大型化してしまう等の問題点がある。
【特許文献1】
特開2000−330049号公報
【特許文献2】
特開平2000−180750号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は装置全体をコンパクトに構成し、かつ良好なる結像性能を発揮できる走査光学系及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査光学系は、
複数の光源手段から射出された複数の光束を偏向手段で偏向し、結像光学系によって該複数の光束を異なる被走査面上に導光し、該被走査面上を該偏向手段の駆動により光走査する走査光学系において、
副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、該偏向手段で偏向された複数の光束のうち該偏向手段に距離的に一番近い被走査面を光走査する光束E2は、順に少なくとも第1、第2の反射手段を介して該被走査面に導光されており、該偏向手段から第1の反射手段に導光される光束と第2の反射手段から該被走査面に導光される光束とが該投影面で交差していることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の走査光学系の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)、図2は図1に示したポリゴンミラー周辺の拡大説明図である。
【0021】
ここで、主走査方向とは偏向手段の回転軸及び結像光学系の光軸に垂直な方向(偏向手段で光束が反射偏向(偏向走査)される方向)を示し、副走査方向とは偏向手段の回転軸と平行な方向を示す。また主走査断面とは主走査方向に平行で結像光学系の光軸を含む平面を示す。また副走査断面とは主走査断面と垂直な断面を示す。
【0022】
本実施形態において複数の光源手段から射出された複数の光束は2つの走査グループS1,S2に分割されている。この2つの走査グループS1,S2は偏向手段としてのポリゴンミラー4に対して左右対称で構成されており、該2つの走査グループS1,S2の光学的作用は同一の為、以下図面上、右半分の走査グループS1に対して説明する。
【0023】
図中、1a(1b)は感光ドラムであり、導電体に感光層が塗布されており、光学箱9に収納された走査光学部から射出された光束により静電潜像を形成している。2a(2b)は帯電器であり、感光ドラム1a(1b)面上を所定の電位に帯電させている。3a(3b)は現像器であり、感光ドラム1a(1b)面上に摩擦帯電されたトナーで該感光ドラム1a(1b)面上にトナー像を形成している。
【0024】
4は偏向手段としての光偏向器であり、例えばポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モータ等の駆動手段(不図示)により一定速度で回転している。
【0025】
本実施形態では副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、2つの光束は、ポリゴンミラー4の偏向面に互いに異なる入射角度で斜入射している(斜入射走査光学系)。
【0026】
5は第1の結像手段としての第1の結像レンズであり、主に主走査方向に屈折力(パワー)を有するアナモフィック非球面レンズより成り、2以上の光束が入射する。この第1の結像レンズ5のレンズ面形状は既知の関数表現で示すことができる非球面形状である。副走査方向に対してはノンパワーもしくは略ノンパワーであり、例えば両面が副走査方向にフラットなシリンダー形状より成っている。第1の結像レンズ5は入射した光束に対し主に主走査方向の結像及び等速走査を担当することになる。
【0027】
また第1の結像レンズ5は副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、ポリゴンミラー4と後述する第1の反射ミラー7aとの間の空間内に配置されている。
【0028】
6a、6bは各々第2の結像手段としての第2の結像レンズであり、主に副走査方向にパワーを持つアナモフィック非球面レンズより成っている。この第2の結像レンズ6a,6bは各々主に副走査方向にパワーを持つアナモフィックレンズより成り、主走査方向の形状は第1の結像レンズ5と同様、パワーを有するアナモフィック非球面レンズより成っており、レンズ面形状は既知の関数表現で示すことができる非球面形状である。主走査方向に対しては略ノンパワーである。第2の結像レンズ6a、6bは入射した光束に対し主に副走査方向の結像及び主走査方向の若干の歪曲収差の補正を担当することになる。
【0029】
また第2の結像レンズ6a、6bは副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、第1の反射ミラー7aと第2の反射ミラー7bとの間の空間内に配置されている。
【0030】
本実施形態では第1の結像レンズ5と第2の結像レンズ6aで第1の結像光学系を構成しており、また第1の結像レンズ5と第2の結像レンズbで第2の結像光学系を構成している。第1、第2の結像光学系は各々ポリゴンミラー4によって反射偏向された画像情報に基づく光束E1,E2を被走査面としての感光ドラム1a,1b面上に結像させ、かつ副走査断面内においてポリゴンミラー4の偏向面と感光ドラム1a,1b面上との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。
【0031】
7a,7bは各々順に第1、第2の反射手段としての第1、第2の反射ミラーであり、光束E2の光路中に設けられており、光束を所定の方向へ反射させている。7cは第3の反射手段としての第3の反射ミラーであり、光束E2の光路中に設けられており、光束を所定の方向へ反射させている。本実施形態では副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、ポリゴンミラー4で偏向された2つの光束のうち該ポリゴンミラー4に距離的に一番近い感光ドラム面1bを光走査する光束E2を順に第1、第2の反射ミラー7a,7bを介して該感光ドラム面1bに導光しており、該ポリゴンミラー4と該第1の反射ミラー7aとの間の空間内に該第2の反射ミラー7bを配置しており、該第2の反射ミラー7bと該感光ドラム面1bとの間の空間内に該第1の反射ミラー7aを配置しており、該光束E2は空間内で交差している。
【0032】
また副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、第1の反射ミラー7aはポリゴンミラー4で偏向された2つの光束E1,E2を2つの光路に分離しており、また入射光束E2を感光ドラム面1a,1bと反対側に反射させている。
【0033】
8a,8bは各々クリーナーであり、感光ドラム1a,1b面上に残ったトナーを清掃している。9は光学箱であり、走査光学部の各部品を格納している。
【0034】
本実施形態では感光ドラムの下部に走査光学部を配置しており、該走査光学部は1つのポリゴンミラー4に対して両側にそれぞれ2本の光束を入射させ、各々の対応する感光ドラム面上に光束E1〜E4を導光して、カラー画像を高速に印字している。
【0035】
また上記2つの走査グループS1,S2はポリゴンミラー4に入射する2つの光束の副走査断面内での入射角度が,該ポリゴンミラー4の偏向面の垂線に対して略対称と成るように構成している。
【0036】
本実施形態における走査光学系は上記の如く斜入射走査光学系である。斜入射走査光学系とは図2に示すよう副走査断面(紙面に対して平行な面)内で、ポリゴンミラー4の回転軸に垂直な面(主走査断面)に対し斜め方向から光束を入射させる光学系である。このように斜め入射させることで、複数の光束はポリゴンミラー4を射出した後方で上下の各光路を分離しやすくすることができる。
【0037】
次に本実施形態において副走査断面内に各要素と各光束とを投影したときの各要素の配置位置及び光学的作用について説明する。
【0038】
本実施形態においてポリゴンミラー4に光束を入射させる2つの入射光学系(不図示)は副走査断面内において上下に並べられ、ポリゴンミラー4の偏向面上に主走査断面に対して所望の角度±θで2つの光束が入射するように主走査断面内に対して対称な構成より成っている。この2つの入射光学系は2つの光束が偏向面近傍で焦線を結ぶようにシリンドリカルレンズ等を含む構成より成っている。
【0039】
2つの入射光学系からポリゴンミラー4の偏向面に入射した2つの光束E1,E2は主走査断面内に対して角度±θをもって反射され、偏向走査される。その後、2つの光束E1,E2は共通の第1の結像レンズ5に入射する。第1の結像レンズ5を通過した2つの光束E1,E2は第1の反射ミラー7aにより各光路に分離される。第1の反射ミラー7aによって反射された光束E2は第2の結像レンズ6bを通過後、第2の反射ミラー7bによって図面上、上方に反射し、空間内で自身の光路と交差する。第1、第2の反射ミラー7a,7bで折り返されることで別の光束E1の光路と2回交差して感光ドラム1bに達する。
【0040】
一方、光束E1の光路では第1の結像レンズ5を通過した光束E1は第1の反射ミラー7aの脇を通過し、光束E2と光路が分離される。そして光束E1は第2の結像レンズ6aを通過後、第3の反射ミラー7cによって図面上、上方に反射し、感光ドラム1aに達する。
【0041】
本実施形態における第1の結像レンズ5は2つの光束E1,E2で共用され、第2の結像レンズ6a,6bは光束E1,E2にそれぞれ用いられる。光束E2の光路では、第1の反射ミラー7aは、図1で感光ドラム1bに向かう光路より右、即ちポリゴンミラー4とは反対の方向に設けられている。また第1の反射ミラー7aは図1の上下方向において、ポリゴンミラー4よりも感光ドラム1a,1b側に設けられている。即ち、第2の反射ミラー7bと感光ドラム1a,1bとの間の空間内に設けられている。また第1の反射ミラー7に入射した光束E2は感光ドラム1a,1bから離れる方向(感光ドラム1a,1bと反対方向)、かつポリゴンミラー4に近付く方向に反射される。
【0042】
第2の反射ミラー7bは図1に示すようにポリゴンミラー4と第1の反射ミラー7aとの間の空間内に設けられており、入射した光束E2を感光ドラム1bに向けて反射する構成より成っている。この構成により、光路を空間的にオーバーラップして利用することができ、またミラーの使用枚数を従来の装置より減少させて装置全体をコンパクトに構成している。
【0043】
また本実施形態では第1の反射ミラー7aと第2の反射ミラー7bとの間に第2の結像レンズ6bを設けたことにより、第1の反射ミラー7aと第2の反射ミラー7bとの間に生じた空間を有効に使うことができ、これにより装置全体をコンパクトに構成している。
【0044】
本実施形態において光束E2の光路では第2の結像レンズ6bの前側に第1の反射ミラー7a、後側に第2の反射ミラー7bが各々1枚ずつ設けられ、第2の結像レンズ6bの前後の反射ミラーの数は同じである。また光束E1の光路では第2の結像レンズ6aの後側のみに第3の反射ミラー7cを設けている。
【0045】
つまり光束E1、E2の光路ともに第2の結像レンズ6a,6bの前側の反射ミラーの数が、後側の反射ミラーの数より多くない構成としている。
【0046】
このように構成することにより、装置の製造時や装置使用時に外乱要因(熱変形や振動など)でミラーの角度精度が狂った場合でも、反射光束の角度誤差を低減できる。よって装置の製造時や装置使用時に、感光ドラム上の照射位置が変動することや、収差が急激に悪化し、スポット結像状態の劣化することを低減し、良好なる結像性能を発揮できる。
【0047】
(実施形態2)
図3は本発明の実施形態2の走査光学系の副走査方向の要部断面図(副走断面図)である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0048】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は光束E1の光路中に反射ミラーを2枚設けたことである。その他の構成および光学的作用は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0049】
即ち、同図において7d,7eは各々順に第3、第4の反射手段としての第3、第4の反射ミラーであり、光束を所定の方向へ反射させている。
【0050】
本実施形態においても前述の実施形態1と同様にポリゴンミラーに対して2つの走査グループS1,S2が左右対称で構成されており、その2つの走査グループS1,S2の光学的作用は同一の為、以下図面上、右半分の走査グループS1に対して説明する。
【0051】
次に本実施形態において副走査断面内に各要素と各光束とを投影したときの各要素の配置位置及び光学的作用について説明する。
【0052】
本実施形態における光束E2の光路での各要素の配置位置及び光学的作用は前述の実施形態1と同様である。
【0053】
光束E1の光路では、第1の結像レンズ5を通過した2つの光束E1,E2の片方の光束E1が、第1の反射ミラー7aの脇を通過し、光束E2と光路が分離される。第3の反射ミラー7dは図3で感光ドラム1aより右、すなわちポリゴンミラー4とは反対の方向に設けられている。また第3の反射ミラー7dは図3の図面上、上下方向において、ポリゴンミラー4よりも感光ドラム1a,1b側に設けられている。この第3の反射ミラー7dにより光束E1は感光ドラム1a,1bから離れる方向(感光ドラム1a,1bと反対方向)、かつポリゴンミラー4に近付く方向に反射される。
【0054】
また第4の反射ミラー7eは図3に示すようにポリゴンミラー4と第3の反射ミラー7dとの間の空間内に設けられており、入射した光束E1を感光ドラム1aに向けて反射する構成と成っている。この構成により、光路を空間的にオーバーラップして利用できたり、またミラーの使用枚数を従来の装置より減少させて、コンパクトな構成にしている。
【0055】
また本実施形態では第3の反射ミラー7dと第4の反射ミラー7eとの間に第2の結像レンズ6aを設けている。このように構成することで、第3の反射ミラー7dと第4の反射ミラー7eとの間に生じた空間を有効に使うことができ、これにより装置全体をコンパクトに構成できる。
【0056】
光束E2の光路では実施形態1と同様に第2の結像レンズ6bの前側に第1の反射ミラー7a、後側に第2の反射ミラー7bを各々1枚ずつ設け、第2の結像レンズ6bの前後の反射ミラーの数を同じにしている。また光束E1の光路でも第2の結像レンズ6aの前側に第3の反射ミラー7d、後側に第4の反射のミラー7eを各々1枚ずつ設け、第2の結像レンズ6aの前後の反射ミラーの数を同じにしている。
【0057】
つまり光束E1、E2の光路ともに第2の結像レンズ6a,6bの前側の反射ミラーの数が、該第2の結像レンズ6a,6bの後側の反射ミラーの数と同じ構成としている。
【0058】
このように構成することで、前述の実施形態1と同様に装置の製造時や装置使用時に外乱要因(熱変形や振動など)でミラーの角度精度が狂った場合でも、反射光束の角度誤差を低減できる。よって、装置の製造時や装置使用時に、感光ドラム上の照射位置が変動することや、収差が急激に悪化し、スポット結像状態の劣化することを低減し、良好なる結像性能を発揮できる。
【0059】
本発明の第1の結像手段5、第2の結像手段6a、6bは結像レンズに限定されない。第1の結像手段5、第2の結像手段6a、6bは回折光学素子、パワーを有する反射ミラーでも良い。
【0060】
また、実施形態1、2では、4つの感光ドラムに導光する光束は、各々1本ずつであるが、各々2本以上の複数本ずつでも良い。例えば、本発明は、ポリゴンミラー4に入射する光束を8本とし、4つの感光ドラムに2本ずつ光束を導光する構成にも適用できる。その際、モノリシックマルチビーム光源や、マルチビーム合成系、等が用いられる。
【0061】
近年、高速走査が求められている。1つの感光ドラムに導光される光束の本数が増えれば増える程、fθレンズと反射ミラーの配置関係が最適でないとコンパクトに収納することができず装置全体が大型化してしまう等の問題点顕著となるので、本発明は、1つの感光ドラムに導光される光束の本数が4本以上となるタンデムタイプのカラー画像形成装置で特に効果が得られる。
【0062】
[カラー画像形成装置]
図6は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施形態は、像担持体である複数の感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0063】
図6において、90はカラー画像形成装置、41は実施形態1、2に示したいずれかの構成を有する走査光学系、51,52,53,54は各々像担持体としての感光ドラム、61,62,63,64は各々現像器、81は搬送ベルトである。
【0064】
図6において、カラー画像形成装置90には、パーソナルコンピュータ等の外部機器82からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ83によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ走査光学系41に入力される。そして、走査光学系41からは、各画像データに応じて変調された光ビーム71,72,73,74が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム51,52,53,54の感光面が主走査方向に走査される。
【0065】
本実施態様における画像形成装置はC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色が平行して感光ドラム51,52,53,54面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
【0066】
本実施態様における画像形成装置は上述の如く走査光学系41により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム51,52,53,54面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
【0067】
前記外部機器82としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置90とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0068】
[本発明の実施態様]
本発明の様々な例と実施形態が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0069】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0070】
[実施態様1]
複数の光源手段から射出された複数の光束を偏向手段で偏向し、結像光学系によって該複数の光束を異なる被走査面上に導光し、該被走査面上を該偏向手段の駆動により光走査する走査光学系において、
副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、該偏向手段で偏向された複数の光束のうち該偏向手段に距離的に一番近い被走査面を光走査する光束E2は、順に第1、第2の反射手段を介して該被走査面に導光されており、該偏向手段と第1の反射手段との間の空間内に該第2の反射手段が配置されており、該第2の反射手段と該被走査面との間の空間内に該第1の反射手段が配置されており、該光束E2は空間内で交差していることを特徴とする走査光学系。
【0071】
[実施態様2]
副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、前記光束E2は、前記偏向手段で偏向される複数の光束のうちの他の光束のうちの少なくとも1つの光束と交差することを特徴とする実施態様1記載の走査光学系。
【0072】
[実施態様3]
副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、前記複数の光束は、前記偏向手段の偏向面に斜入射しており、該偏向手段で偏向された複数の光束は前記第1の反射手段によって複数の光路に分離されていることを特徴とする実施態様1記載の走査光学系。
【0073】
[実施態様4]
副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、前記複数の光束は、前記偏向手段の偏向面に互いに異なる入射角度で入射しており、前記結像光学系からの光束は順に主走査方向にパワーを有する第1の結像手段と、副走査方向にパワーを持つ第2の結像手段を通過しており、該偏向手段と前記第1の反射手段との間の空間内に該第1の結像手段が配置されていることを特徴とする実施態様1、2又は3記載の走査光学系。
【0074】
[実施態様5]
前記第1の結像手段は複数の光束で共有するように配置されており、前記第2の結像手段は各光束ごとに配置されていることを特徴とする実施態様4記載の走査光学系。
【0075】
[実施態様6]
前記第1の結像手段から前記第2の結像手段に至る光路中に位置する反射手段の数は、該第2の結像手段から前記被走査面に至る光路中に位置する反射手段の数より少ない、もしくは等しいことを特徴とする実施態様4又は5記載の走査光学系。
【0076】
つまり、図1において、光束E2は、第1の反射ミラー7aと第2の反射ミラー7bの2枚のミラーで反射されて感光ドラム1bに導光される。光束E1は、第3の反射ミラー7cの1枚のミラーで反射されて感光ドラム1aに導光される。
【0077】
本発明では、感光ドラム1bに導光される光束E2は、3枚の反射ミラーで反射され、感光ドラム1aに導光される光束E1は、2枚の反射ミラーで反射される形態にも適用できる。光束E2が反射される反射ミラーの数が光束E1が反射される反射ミラーの数より多ければ、コンパクト化は達成される。
【0078】
[実施態様7]
前記複数の光源手段から射出された複数の光束は2つの走査グループに分割されており、該各走査グループは2以上の光束が入射する第1の結像手段を有し、各走査グループでは前記偏向手段に入射する複数の光束の副走査断面内での入射角度が該偏向手段の偏向面の垂線に対して略対称であることを特徴とする実施態様1、2又は3記載の走査光学系。
【0079】
[実施態様8]
前記第1の反射手段は入射光束を前記被走査面と反対側に反射させていることを特徴とする実施態様1乃至7の何れか1項に記載の走査光学系。
【0080】
[実施態様9]
実施態様1乃至8のいずれか1項に記載の走査光学系の被走査面に配置され、互いに異なった色の画像を形成する複数の像担持体とを有することを特徴とする画像形成装置。
【0081】
[実施態様10]
外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換して走査光学系に入力せしめるプリンタコントローラを有していることを特徴とする実施態様9の画像形成装置。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く単一の偏向手段で偏向された複数の光束の光路を空間的にオーバーラップさせることにより、ミラーの使用枚数を従来の装置に比して減少させることができ、これによりコンパクトな走査光学系及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
【0083】
さらに本発明によれば前述の如く第2の結像手段の前側の反射手段の数を後側の反射手段の数より少なく、もしくは同じにすることにより、装置の製造時や装置使用時に外乱要因(熱変形や振動など)でミラーの角度精度が狂った場合でも、反射光束の角度誤差を低減でき、これにより装置の製造時や装置使用時に感光ドラム上の照射位置が変動することや、収差が急激に悪化しスポット結像状態の劣化することを低減し、良好なる結像性能を発揮できる走査光学系及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の副走査断面図
【図2】図1の主要部分の拡大説明図
【図3】本発明の実施形態2の副走査断面図
【図4】従来の走査光学系の要部断面図
【図5】従来の走査光学系の要部断面図
【図6】本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図
【符号の説明】
1a,1b 感光ドラム
2a,2b 帯電器
3a,3b 現像器
4 偏向手段(ポリゴンミラー)
5 第1の結像手段(fθレンズ)
6a,6b 第2の結像手段(fθレンズ)
7a 第1の反射ミラー
7b 第2の反射ミラー
7c、7d 第3の反射ミラー
7e 第4の反射ミラー
8a,8b クリーナー
9 光学箱
E1,E2,E3,E4 光束
41 走査光学系
51,52,53,54 像担持体(感光ドラム)
61,62,63,64 現像器
71,72,73,74 レーザ光束
81 搬送ベルト
82 外部機器
83 プリンタコントローラ
90 カラー画像形成装置

Claims (1)

  1. 複数の光源手段から射出された複数の光束を偏向手段で偏向し、結像光学系によって該複数の光束を異なる被走査面上に導光し、該被走査面上を該偏向手段の駆動により光走査する走査光学系において、
    副走査断面内に各要素と各光束を投影したとき、該偏向手段で偏向された複数の光束のうち該偏向手段に距離的に一番近い被走査面を光走査する光束E2は、順に少なくとも第1、第2の反射手段を介して該被走査面に導光されており、該偏向手段から第1の反射手段に導光される光束と第2の反射手段から該被走査面に導光される光束とが該投影面で交差していることを特徴とする走査光学系。
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