JP2004182818A - レジンコンクリートの成形用樹脂組成物及びその成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低収縮でクラックの発生が無い成形品が得られ、またその硬化物の強度が高い、低収縮剤が不要であるレジンコンクリート組成物及びその成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)(a)不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、ジアルキレングリコール、及び/またはアルキレングリコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステル、と(a2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(B)(b1)ジシクロマレートにブタンジオールを付加したものを含有する不飽和ポリエステルと(b2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(C)水酸基末端のポリブタジエン(D)骨材及び(E)充填材を含有することを特徴とするレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)(a)不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、ジアルキレングリコール、及び/またはアルキレングリコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステル、と(a2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(B)(b1)ジシクロマレートにブタンジオールを付加したものを含有する不飽和ポリエステルと(b2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(C)水酸基末端のポリブタジエン(D)骨材及び(E)充填材を含有することを特徴とするレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低収縮剤を用いる事なく低収縮でクラックの発生が無い成形品が得られ、その硬化物の強度が高いレジンコンクリート組成物及びその成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジンコンクリートは、プラスチックコンクリートの分野で取り扱われる材料で、結合剤として樹脂組成物を用いて骨材を固結させた複合材料である。このレジンコンクリートは、不飽和ポリエステル、架橋性単量体とからなる樹脂組成物、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂からなる低収縮剤、骨材、充填材で構成される。この中でも、低収縮剤はそれ自体が硬化しないので、できた成形品の強度が低下することや、成形品表面がべたつく。さらに、低収縮剤は不飽和ポリエステル樹脂組成物とは相溶しないことから、製造工程中に低収縮剤が分離し、成形品の外観及び寸法精度を損ね、製造工程中に低収縮剤を配合することから工数が多くなり製造コストアップにつながる等の問題があった。
これらの問題を解決する手段として(例えば、特許文献1及び2参照。)は、樹脂組成物の不飽和ポリエステルにジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることが提案されている。しかし、レジンコンクリートの強度が低く、またクラックが発生する等の問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−149050号公報
【特許文献2】
特開2000−95928号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1〜5に記載の発明は、低収縮でクラックの発生が無い成形品が得られ、またその硬化物の強度が高い、低収縮剤が不要であるレジンコンクリート組成物及びその成形品の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) (A)(a)不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、ジアルキレングリコール、及び/またはアルキレングリコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステル、と(a2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(B)(b1)ジシクロマレートにブタンジオールを付加したものを含有する不飽和ポリエステルと(b2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(C)水酸基末端のポリブタジエン(D)骨材及び(E)充填材を含有することを特徴とするレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(2) 樹脂組成物(A)10〜60重量部、樹脂組成物(B)90〜40重量部を総量が100重量部の割合で含むことを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(3) 樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルの数平均分子量が、400〜1200であることを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(4) 樹脂組成物(B)にイソシアネート化合物を付加してなることを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(5) 上記(1)〜(4)に記載するレジンコンクリート成形用樹脂組成物を用いて成形してなることを特徴とする成形品
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる樹脂組成物(A)の不飽和ポリエステル(a)は、不飽和二塩基酸として無水マレイン酸、フマル酸を用い、飽和二塩基酸としてオルソフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テレフタル酸等を用いる。アルコール成分には、ジアルキレングリコールとしてジエチレングリコール、ジプロピレングリコールを用い、アルキレングリコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールを用い、これらを反応させて不飽和ポリエステルを得る。
【0007】
この合成に用いられる不飽和二塩基酸の組成比率は、物性の調整及び適当な硬化性を与えるため、酸成分全体に対して10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%の範囲とされる。また、飽和二塩基酸の組成比率は、酸成分全体に対して90〜10モル%、好ましくは70〜20モル%の範囲で使用することができる。
またジアルキレングリコールの組成比率は、用途に応じた好ましいレジンコンクリートを得るために、グリコール成分全体に対して0〜100モル%、好ましくは30〜80モル%の範囲とされる。アルキレングリコールは、グリコール成分全体に対して100〜0モル%、好ましくは70〜20モル%の範囲とされる。
【0008】
不飽和ポリエステル(a)の合成法は、酸成分とアルコール成分を同時に仕込み縮合反応させる1段合成法と、一部の酸成分とアルコール成分を縮合反応させ、途中で、残りの酸成分、アルコール成分を仕込んで反応させる2段合成法等により行い、架橋性単量体(b)に溶解して樹脂組成物(A)を得る。その他製造条件に特に制限はない。また樹脂組成物の粘度に制限はないが、レジンコンクリート成形用樹脂組成物の粘度、成形品の物性等を考慮して、常温(25℃)で好ましくは0.05〜2Pa・s、より好ましくは0.1〜0.5Pa・sの範囲とされる。
【0009】
本発明で用いられる樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステル(a)は、ジシクロペンタジエン、不飽和酸、ブタンジオール、ジアルキレングリコールまたはアルキレングリコールを原料として用いるが、物性の調整等の必要に応じて飽和酸、ジアルキレングリコールを併用する。(a)ジシクロマレートを有する不飽和ポリエステルは、水の存在下において不飽和酸である無水マレイン酸とジシクロペンタジエンを付加させてジシクロマレートを生成し、その後にブタンジオール、または必要に応じてジアルキレングリコール、飽和酸を仕込み反応させて得る。これを架橋性単量体(b)に溶解して樹脂組成物(B)を得る。また、樹脂組成物の粘度に制限はないが、数平均分子量は、400〜1200の範囲とし、好ましくは400〜900の範囲である。この範囲を外れると、数平均分子量が小さい場合は強度が低くなり、一方大きい場合は、レジンコンクリート成形用樹脂組成物の粘度が高くなり、粘度調整用に用いる架橋性単量体の量が大きくなることから低収縮効果が失われる。
【0010】
本発明で用いられる樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の配合割合は、樹脂組成物(A)10〜60重量部に対して樹脂組成物(B)90〜40重量部の範囲とする。好ましくは樹脂組成物(A)20〜50重量部に対して樹脂組成物(B)80〜50重量部の範囲であり、これらの範囲の値よりはずれる場合には強度が低くなることや低収縮化が得られない。
【0011】
本発明で用いられる水酸基末端のポリブタジエンは、数平均分子量(ASTMD 2503に準じて測定)が1,000〜10,000の範囲のものが好ましい。これらの配合量は、樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の総量に対して、5〜50部の範囲とされ、好ましくは15〜30部の範囲とされる。5部より少ない場合には、収縮率を下げる効果が小さくなり、一方50部を超える場合には硬化性が悪くなり、強度が低下する。これは、スチレンモノマー等の重合性単量体に希釈して混合するとよい。
【0012】
本発明で用いられるイソシアネート化合物は、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等が挙げられ、60℃に保温した樹脂組成物(B)ジシクロマレートを有する不飽和ポリエステルに対してイソシアネート化合物を0.1〜5.0重量%の範囲を滴下して付加反応をさせる。この範囲の値よりはずれる場合には強度が低くなることや粘度が過大になり架橋性単量体を増量することで低収縮化が得られない。
【0013】
本発明で用いられる樹脂組成物の含有成分となる架橋性単量体に特に制限はないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、クロルスチレン等のハロゲン化スチレン、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸モノビニルエステル類、ジアリルフタレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパンまたはトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内1種若しくは2種以上を使用することができる。これらの中では、粘度と硬化性のバランスが良いスチレン等の芳香族ビニル化合物が好ましい。
【0014】
また、本発明に用いられる骨材には、硅砂、硅石、川砂、石灰石、寒水石、砂岩、砕石等が用いられる。その使用量は、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物中に20〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%であることがより好ましい。
【0015】
また、本発明に用いられる充填剤には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、クレー、タルク、カオリン等の無機充填剤等を用いられる。その使用量は、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物中に2〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。
【0016】
また、本発明で用いられる樹脂組成物には、硬化性を調整するために、2,6−ジターシャリブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−ターシャリブチルフェノール、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール等のフェノール類、パラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、2,5−ジフェニルパラベンゾキノン等のキノン類、トルハイドロキノン、ハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール、モノターシャリブチルハイドロキノン、2,5ジターシャリブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類、アセトアミジンアセテート等のアミジン類、フェニルヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類等の重合禁止剤を用いて調整する。
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物を硬化させるときは、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸マンガン等の金属石鹸類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族3級アミン類、N,N−ジメチルアセトアセタミド、N,N−ジエチルアセトアセタミド、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジメドン、ジベンゾイルメタン、アセチルシクロペンタン、アセチルブチロラクトン、フェニルジエタノールアミン等の硬化促進剤の1種または2種以上を必要に応じて用いる。その使用量は、要求される硬化性により適宜決定されるが、樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の総量が100重量部に対して0.001〜3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。
【0017】
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物を硬化させる際には、必要に応じて硬化触媒としてメチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、イソブチルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシイソブチルカーボネイト等のパーカーボネイト類等の有機過酸化物等を1種若しくは2種以上を併用して用いても良い。硬化触媒の種類及び量は、成形温度によって決定されるもので、この組み合わせに制限はないが、良好な反応性を得るため、有機過酸化物を0.1〜3重量%用いることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる樹脂組成物には必要に応じて安定剤や脱泡剤、消泡剤などの各種添加剤、界面活性剤を配合しても良い。
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物には、公知の顔料、染料等の着色剤、模様材等、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の内部離型剤、粘度調整剤、湿潤剤、紫外線吸収剤等の添加成分を必要に応じて用いてもよい。その使用量は特に制限はないが、好ましくはレジンコンクリート成形用樹脂組成物に対して20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0019】
本発明におけるレジンコンクリート成形用樹脂組成物の成形方法としては、レジンコンクリート成形用樹脂組成物を型に流し込み、常温または加熱硬化することによる注型成形方法、または円筒状の型内に流し込んだ後、型を回転させてその遠心力によりレジンコンクリート成形用樹脂組成物を均一な厚さにし、常温または加熱硬化させることによる圧縮成形法等を用いる。
【0020】
次に、本発明におけるレジンコンクリート成形用樹脂組成物を成形してなる成形品について説明する。
本発明における成形品としては、特に制限はないが、例えば蓋、マンホール、排水ます、建材ブロック、舗装体ブロック等の土木建築用成形品、景観用成形品、人口大理石成形品、イス、ベンチ、情報関連成形品、電力関連成形品等が考えられる。
【0021】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、例中特に断らない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味する。
また実施例中で説明する粘度、揺変度及びゲル化時間は、JIS K6901に従って測定した。なお、ゲル化時間に測定に際しては、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を上記樹脂組成物に対して1%となるように用いた。
【0022】
合成例1[樹脂組成物(A)の不飽和ポリエステルの合成]
無水マレイン酸 6モル、無水フタル酸 4モル、ジエチレングリコール 6モル、プロピレングリコール 4.8モル、ハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.003%を、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に160℃まで昇温し、4時間をかけて210℃まで昇温して酸価が33になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み不飽和ポリエステルA−1を得た。そこで、不飽和ポリエステル60部にスチレン40部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部、αナフトキノンを0.003部加えて樹脂組成物Aとした。
【0023】
合成例2[樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルB−1の合成]
ジシクロペンタジエン 8モル、無水マレイン酸 8モルに水道水を4モル仕込み、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、100℃以下に冷却したのちに水道水を4モル仕込み再び140℃まで昇温した。140℃で1時間保温したのちに100℃以下まで冷却し、1,2−ブタンジオール 3.0モル、ジプロピレングリコール 2.0モル、トルハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.005%を仕込み、180℃まで昇温し、2時間をかけて205℃まで昇温して酸価が26になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み、数平均分子量が700の不飽和ポリエステルB−1を得た。そこで、不飽和ポリエステル77部にスチレン23部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部加えて樹脂組成物Bとした。
【0024】
合成例3[樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルB−2の合成]
ジシクロペンタジエン 8モル、無水マレイン酸 8モルに水道水を4モル仕込み、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、100℃以下に冷却したのちに水道水を4モル仕込み再び140℃まで昇温した。140℃で1時間保温したのちに100℃以下まで冷却し、1,4−ブタンジオール 2.0モル、ジプロピレングリコール 3.0モル、トルハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.005%を仕込み、180℃まで昇温し、2時間をかけて205℃まで昇温して酸価が44になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み、数平均分子量が900の不飽和ポリエステルB−2を得た。そこで、不飽和ポリエステル77部にスチレン23部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部加えて樹脂組成物B−2とした。
【0025】
また、樹脂組成物B−2を60℃に保温し、不飽和ポリエステルB−2に対してヘキサメチレンジイソシアネート 1.5%を1.5時間かけて滴下し、1時間放置後に冷却して樹脂組成物B−2Xを得た。
配合例1 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 15部に、合成例2で得られた樹脂組成物B−1 85部を混合し、粘度 310mPa・s、スチレン含有率 25%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−1を調整した。樹脂組成物UP−1を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPoly bd R−45H(出光石油(株)製)を15部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物1を得た。
【0026】
配合例2 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 40部に、合成例3で得られた樹脂組成物B−2 60部を混合し、粘度 300mPa・s、スチレン含有率 28%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−2を調整した。樹脂組成物UP−2を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPoly bd R−45H(出光石油(株)製)を20部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名R重炭、丸尾カルシウム(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物2を得た。
【0027】
配合例3 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 25部に、合成例3で得られた樹脂組成物B−2X 75部を混合し、粘度 270mPa・s、スチレン含有率 27%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−3を調整した。樹脂組成物UP−3を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPolybd R−45H(出光石油(株)製)を15部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物3を得た。
【0028】
実施例1〜3
レジンコンクリート成形用樹脂組成物1〜3に、硬化剤がレジンコンクリート成形用樹脂組成物中の樹脂組成物に対して1%の割合となるように55%メチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を添加して攪拌、脱泡後、図1に記載の三角柱金型及びJIS A1184に記載の金型(40mm×40mm×160mm)内に注入し、常温で硬化させた。硬化後40℃の乾燥器で15時間のアフターキュアさせ、硬化物のクラックの発生及び、三角柱金型における線収縮率の評価とJIS A1184の曲げ試験及びJIS A1182の圧縮試験を実施した。その結果を表1にしめす。
【0029】
【表1】
【0030】
比較例1〜3
合成例4(不飽和ポリエステルB−3の合成)
ジシクロペンタジエン 2モル、エチレングリコール 4.7モル、プロピレングリコール 5.6モル、無水マレイン酸 4.5モル、無水フタル酸 5.5モル、ハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.003%を、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、140℃で1時間保温したのちに4時間をかけて215℃まで昇温して酸価が40になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.005%を仕込み不飽和ポリエステルB−3を得た。そこで、不飽和ポリエステル70部にスチレン30部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.002部加えて樹脂組成物B−3とした。
【0031】
配合例5 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 15部に、合成例4で得られた樹脂組成物B−3 85部を混合し、粘度 400mPa・s、スチレン含有率 36%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−5を調整した。樹脂組成物UP−5を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物4を得た。
【0032】
配合例6 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 、粘度 310mPa・s、スチレン含有率40%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−6を調整した。樹脂組成物UP−6を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物5を得た。
【0033】
配合例7 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 、粘度 310mPa・s、スチレン含有率40%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−6を調整した。樹脂組成物UP−6を14.4部、低収縮剤ポリスチレン(商品名ポリセットB9416、日立化成工業(株)製)を5.0部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.072部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物6を得た。
【0034】
比較例1〜3
実施例1〜4と同様に、レジンコンクリート成形用樹脂組成物4〜6に、硬化剤がレジンコンクリート成形用樹脂組成物中の樹脂組成物に対して1%の割合となるように55%メチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を添加して攪拌、脱泡後、図1に記載の三角柱金型及びJISA1184に記載の金型(40mm×40mm×160mm)内に注入し、常温で硬化させた。硬化後40℃の乾燥器で15時間のアフターキュアさせ、硬化物のクラックの発生及び、三角柱金型における線収縮率の評価とJIS A1184の曲げ試験及びJIS A1182の圧縮試験を実施した。その結果を表2にしめす。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
請求項1〜5に記載の発明は、低収縮剤を用いることなく硬化収縮率が小さいかつクラックの発生が無いレジンコンクリート成形品が得られる。また低収縮剤を用いないことから、低収縮剤の分離の問題解消及び、その硬化物の強度が高いレジンコンクリート製造方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】三角柱金型
【発明の属する技術分野】
本発明は、低収縮剤を用いる事なく低収縮でクラックの発生が無い成形品が得られ、その硬化物の強度が高いレジンコンクリート組成物及びその成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジンコンクリートは、プラスチックコンクリートの分野で取り扱われる材料で、結合剤として樹脂組成物を用いて骨材を固結させた複合材料である。このレジンコンクリートは、不飽和ポリエステル、架橋性単量体とからなる樹脂組成物、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂からなる低収縮剤、骨材、充填材で構成される。この中でも、低収縮剤はそれ自体が硬化しないので、できた成形品の強度が低下することや、成形品表面がべたつく。さらに、低収縮剤は不飽和ポリエステル樹脂組成物とは相溶しないことから、製造工程中に低収縮剤が分離し、成形品の外観及び寸法精度を損ね、製造工程中に低収縮剤を配合することから工数が多くなり製造コストアップにつながる等の問題があった。
これらの問題を解決する手段として(例えば、特許文献1及び2参照。)は、樹脂組成物の不飽和ポリエステルにジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることが提案されている。しかし、レジンコンクリートの強度が低く、またクラックが発生する等の問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−149050号公報
【特許文献2】
特開2000−95928号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1〜5に記載の発明は、低収縮でクラックの発生が無い成形品が得られ、またその硬化物の強度が高い、低収縮剤が不要であるレジンコンクリート組成物及びその成形品の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) (A)(a)不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、ジアルキレングリコール、及び/またはアルキレングリコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステル、と(a2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(B)(b1)ジシクロマレートにブタンジオールを付加したものを含有する不飽和ポリエステルと(b2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(C)水酸基末端のポリブタジエン(D)骨材及び(E)充填材を含有することを特徴とするレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(2) 樹脂組成物(A)10〜60重量部、樹脂組成物(B)90〜40重量部を総量が100重量部の割合で含むことを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(3) 樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルの数平均分子量が、400〜1200であることを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(4) 樹脂組成物(B)にイソシアネート化合物を付加してなることを特徴とする上記(1)記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
(5) 上記(1)〜(4)に記載するレジンコンクリート成形用樹脂組成物を用いて成形してなることを特徴とする成形品
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる樹脂組成物(A)の不飽和ポリエステル(a)は、不飽和二塩基酸として無水マレイン酸、フマル酸を用い、飽和二塩基酸としてオルソフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テレフタル酸等を用いる。アルコール成分には、ジアルキレングリコールとしてジエチレングリコール、ジプロピレングリコールを用い、アルキレングリコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールを用い、これらを反応させて不飽和ポリエステルを得る。
【0007】
この合成に用いられる不飽和二塩基酸の組成比率は、物性の調整及び適当な硬化性を与えるため、酸成分全体に対して10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%の範囲とされる。また、飽和二塩基酸の組成比率は、酸成分全体に対して90〜10モル%、好ましくは70〜20モル%の範囲で使用することができる。
またジアルキレングリコールの組成比率は、用途に応じた好ましいレジンコンクリートを得るために、グリコール成分全体に対して0〜100モル%、好ましくは30〜80モル%の範囲とされる。アルキレングリコールは、グリコール成分全体に対して100〜0モル%、好ましくは70〜20モル%の範囲とされる。
【0008】
不飽和ポリエステル(a)の合成法は、酸成分とアルコール成分を同時に仕込み縮合反応させる1段合成法と、一部の酸成分とアルコール成分を縮合反応させ、途中で、残りの酸成分、アルコール成分を仕込んで反応させる2段合成法等により行い、架橋性単量体(b)に溶解して樹脂組成物(A)を得る。その他製造条件に特に制限はない。また樹脂組成物の粘度に制限はないが、レジンコンクリート成形用樹脂組成物の粘度、成形品の物性等を考慮して、常温(25℃)で好ましくは0.05〜2Pa・s、より好ましくは0.1〜0.5Pa・sの範囲とされる。
【0009】
本発明で用いられる樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステル(a)は、ジシクロペンタジエン、不飽和酸、ブタンジオール、ジアルキレングリコールまたはアルキレングリコールを原料として用いるが、物性の調整等の必要に応じて飽和酸、ジアルキレングリコールを併用する。(a)ジシクロマレートを有する不飽和ポリエステルは、水の存在下において不飽和酸である無水マレイン酸とジシクロペンタジエンを付加させてジシクロマレートを生成し、その後にブタンジオール、または必要に応じてジアルキレングリコール、飽和酸を仕込み反応させて得る。これを架橋性単量体(b)に溶解して樹脂組成物(B)を得る。また、樹脂組成物の粘度に制限はないが、数平均分子量は、400〜1200の範囲とし、好ましくは400〜900の範囲である。この範囲を外れると、数平均分子量が小さい場合は強度が低くなり、一方大きい場合は、レジンコンクリート成形用樹脂組成物の粘度が高くなり、粘度調整用に用いる架橋性単量体の量が大きくなることから低収縮効果が失われる。
【0010】
本発明で用いられる樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の配合割合は、樹脂組成物(A)10〜60重量部に対して樹脂組成物(B)90〜40重量部の範囲とする。好ましくは樹脂組成物(A)20〜50重量部に対して樹脂組成物(B)80〜50重量部の範囲であり、これらの範囲の値よりはずれる場合には強度が低くなることや低収縮化が得られない。
【0011】
本発明で用いられる水酸基末端のポリブタジエンは、数平均分子量(ASTMD 2503に準じて測定)が1,000〜10,000の範囲のものが好ましい。これらの配合量は、樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の総量に対して、5〜50部の範囲とされ、好ましくは15〜30部の範囲とされる。5部より少ない場合には、収縮率を下げる効果が小さくなり、一方50部を超える場合には硬化性が悪くなり、強度が低下する。これは、スチレンモノマー等の重合性単量体に希釈して混合するとよい。
【0012】
本発明で用いられるイソシアネート化合物は、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等が挙げられ、60℃に保温した樹脂組成物(B)ジシクロマレートを有する不飽和ポリエステルに対してイソシアネート化合物を0.1〜5.0重量%の範囲を滴下して付加反応をさせる。この範囲の値よりはずれる場合には強度が低くなることや粘度が過大になり架橋性単量体を増量することで低収縮化が得られない。
【0013】
本発明で用いられる樹脂組成物の含有成分となる架橋性単量体に特に制限はないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、クロルスチレン等のハロゲン化スチレン、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸モノビニルエステル類、ジアリルフタレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパンまたはトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの内1種若しくは2種以上を使用することができる。これらの中では、粘度と硬化性のバランスが良いスチレン等の芳香族ビニル化合物が好ましい。
【0014】
また、本発明に用いられる骨材には、硅砂、硅石、川砂、石灰石、寒水石、砂岩、砕石等が用いられる。その使用量は、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物中に20〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%であることがより好ましい。
【0015】
また、本発明に用いられる充填剤には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、クレー、タルク、カオリン等の無機充填剤等を用いられる。その使用量は、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物中に2〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。
【0016】
また、本発明で用いられる樹脂組成物には、硬化性を調整するために、2,6−ジターシャリブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−ターシャリブチルフェノール、2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール等のフェノール類、パラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、2,5−ジフェニルパラベンゾキノン等のキノン類、トルハイドロキノン、ハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール、モノターシャリブチルハイドロキノン、2,5ジターシャリブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類、アセトアミジンアセテート等のアミジン類、フェニルヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類等の重合禁止剤を用いて調整する。
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物を硬化させるときは、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸マンガン等の金属石鹸類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族3級アミン類、N,N−ジメチルアセトアセタミド、N,N−ジエチルアセトアセタミド、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジメドン、ジベンゾイルメタン、アセチルシクロペンタン、アセチルブチロラクトン、フェニルジエタノールアミン等の硬化促進剤の1種または2種以上を必要に応じて用いる。その使用量は、要求される硬化性により適宜決定されるが、樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)の総量が100重量部に対して0.001〜3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。
【0017】
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物を硬化させる際には、必要に応じて硬化触媒としてメチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、イソブチルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシイソブチルカーボネイト等のパーカーボネイト類等の有機過酸化物等を1種若しくは2種以上を併用して用いても良い。硬化触媒の種類及び量は、成形温度によって決定されるもので、この組み合わせに制限はないが、良好な反応性を得るため、有機過酸化物を0.1〜3重量%用いることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる樹脂組成物には必要に応じて安定剤や脱泡剤、消泡剤などの各種添加剤、界面活性剤を配合しても良い。
また、本発明のレジンコンクリート成形用樹脂組成物には、公知の顔料、染料等の着色剤、模様材等、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の内部離型剤、粘度調整剤、湿潤剤、紫外線吸収剤等の添加成分を必要に応じて用いてもよい。その使用量は特に制限はないが、好ましくはレジンコンクリート成形用樹脂組成物に対して20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
【0019】
本発明におけるレジンコンクリート成形用樹脂組成物の成形方法としては、レジンコンクリート成形用樹脂組成物を型に流し込み、常温または加熱硬化することによる注型成形方法、または円筒状の型内に流し込んだ後、型を回転させてその遠心力によりレジンコンクリート成形用樹脂組成物を均一な厚さにし、常温または加熱硬化させることによる圧縮成形法等を用いる。
【0020】
次に、本発明におけるレジンコンクリート成形用樹脂組成物を成形してなる成形品について説明する。
本発明における成形品としては、特に制限はないが、例えば蓋、マンホール、排水ます、建材ブロック、舗装体ブロック等の土木建築用成形品、景観用成形品、人口大理石成形品、イス、ベンチ、情報関連成形品、電力関連成形品等が考えられる。
【0021】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、例中特に断らない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味する。
また実施例中で説明する粘度、揺変度及びゲル化時間は、JIS K6901に従って測定した。なお、ゲル化時間に測定に際しては、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を上記樹脂組成物に対して1%となるように用いた。
【0022】
合成例1[樹脂組成物(A)の不飽和ポリエステルの合成]
無水マレイン酸 6モル、無水フタル酸 4モル、ジエチレングリコール 6モル、プロピレングリコール 4.8モル、ハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.003%を、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に160℃まで昇温し、4時間をかけて210℃まで昇温して酸価が33になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み不飽和ポリエステルA−1を得た。そこで、不飽和ポリエステル60部にスチレン40部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部、αナフトキノンを0.003部加えて樹脂組成物Aとした。
【0023】
合成例2[樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルB−1の合成]
ジシクロペンタジエン 8モル、無水マレイン酸 8モルに水道水を4モル仕込み、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、100℃以下に冷却したのちに水道水を4モル仕込み再び140℃まで昇温した。140℃で1時間保温したのちに100℃以下まで冷却し、1,2−ブタンジオール 3.0モル、ジプロピレングリコール 2.0モル、トルハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.005%を仕込み、180℃まで昇温し、2時間をかけて205℃まで昇温して酸価が26になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み、数平均分子量が700の不飽和ポリエステルB−1を得た。そこで、不飽和ポリエステル77部にスチレン23部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部加えて樹脂組成物Bとした。
【0024】
合成例3[樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルB−2の合成]
ジシクロペンタジエン 8モル、無水マレイン酸 8モルに水道水を4モル仕込み、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、100℃以下に冷却したのちに水道水を4モル仕込み再び140℃まで昇温した。140℃で1時間保温したのちに100℃以下まで冷却し、1,4−ブタンジオール 2.0モル、ジプロピレングリコール 3.0モル、トルハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.005%を仕込み、180℃まで昇温し、2時間をかけて205℃まで昇温して酸価が44になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.003%を仕込み、数平均分子量が900の不飽和ポリエステルB−2を得た。そこで、不飽和ポリエステル77部にスチレン23部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.001部加えて樹脂組成物B−2とした。
【0025】
また、樹脂組成物B−2を60℃に保温し、不飽和ポリエステルB−2に対してヘキサメチレンジイソシアネート 1.5%を1.5時間かけて滴下し、1時間放置後に冷却して樹脂組成物B−2Xを得た。
配合例1 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 15部に、合成例2で得られた樹脂組成物B−1 85部を混合し、粘度 310mPa・s、スチレン含有率 25%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−1を調整した。樹脂組成物UP−1を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPoly bd R−45H(出光石油(株)製)を15部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物1を得た。
【0026】
配合例2 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 40部に、合成例3で得られた樹脂組成物B−2 60部を混合し、粘度 300mPa・s、スチレン含有率 28%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−2を調整した。樹脂組成物UP−2を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPoly bd R−45H(出光石油(株)製)を20部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名R重炭、丸尾カルシウム(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物2を得た。
【0027】
配合例3 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 25部に、合成例3で得られた樹脂組成物B−2X 75部を混合し、粘度 270mPa・s、スチレン含有率 27%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−3を調整した。樹脂組成物UP−3を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、ポリブタジエンとしてPolybd R−45H(出光石油(株)製)を15部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物3を得た。
【0028】
実施例1〜3
レジンコンクリート成形用樹脂組成物1〜3に、硬化剤がレジンコンクリート成形用樹脂組成物中の樹脂組成物に対して1%の割合となるように55%メチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を添加して攪拌、脱泡後、図1に記載の三角柱金型及びJIS A1184に記載の金型(40mm×40mm×160mm)内に注入し、常温で硬化させた。硬化後40℃の乾燥器で15時間のアフターキュアさせ、硬化物のクラックの発生及び、三角柱金型における線収縮率の評価とJIS A1184の曲げ試験及びJIS A1182の圧縮試験を実施した。その結果を表1にしめす。
【0029】
【表1】
【0030】
比較例1〜3
合成例4(不飽和ポリエステルB−3の合成)
ジシクロペンタジエン 2モル、エチレングリコール 4.7モル、プロピレングリコール 5.6モル、無水マレイン酸 4.5モル、無水フタル酸 5.5モル、ハイドロキノンを材料の仕込み総重量に対して 0.003%を、攪拌機、コンデンサ、温度計及び不活性ガス導入口付の2リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガス導入下に1時間をかけて140℃まで昇温して、140℃で1時間保温したのちに4時間をかけて215℃まで昇温して酸価が40になったところで終了した。このものにハイドロキノン 0.005%を仕込み不飽和ポリエステルB−3を得た。そこで、不飽和ポリエステル70部にスチレン30部を加えて100部とし、さらに5%のナフテン酸銅を0.002部加えて樹脂組成物B−3とした。
【0031】
配合例5 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 15部に、合成例4で得られた樹脂組成物B−3 85部を混合し、粘度 400mPa・s、スチレン含有率 36%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−5を調整した。樹脂組成物UP−5を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物4を得た。
【0032】
配合例6 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 、粘度 310mPa・s、スチレン含有率40%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−6を調整した。樹脂組成物UP−6を18部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.09部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物5を得た。
【0033】
配合例7 合成例1で得られた樹脂組成物A−1 、粘度 310mPa・s、スチレン含有率40%、ゲル化時間5分とした樹脂組成物UP−6を調整した。樹脂組成物UP−6を14.4部、低収縮剤ポリスチレン(商品名ポリセットB9416、日立化成工業(株)製)を5.0部、硬化促進剤として6%オクテン酸コバルト(商品名PT−28、日立化成工業(株)製)を0.072部、骨材として硅砂を65.6部、充填材として炭酸カルシウム(商品名NS−100、日東粉化(株)製)を16.4部混合し、レジンコンクリート成形用樹脂組成物6を得た。
【0034】
比較例1〜3
実施例1〜4と同様に、レジンコンクリート成形用樹脂組成物4〜6に、硬化剤がレジンコンクリート成形用樹脂組成物中の樹脂組成物に対して1%の割合となるように55%メチルエチルケトンパーオキサイド(商品名パーメックN、日本油脂(株)製)を添加して攪拌、脱泡後、図1に記載の三角柱金型及びJISA1184に記載の金型(40mm×40mm×160mm)内に注入し、常温で硬化させた。硬化後40℃の乾燥器で15時間のアフターキュアさせ、硬化物のクラックの発生及び、三角柱金型における線収縮率の評価とJIS A1184の曲げ試験及びJIS A1182の圧縮試験を実施した。その結果を表2にしめす。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
請求項1〜5に記載の発明は、低収縮剤を用いることなく硬化収縮率が小さいかつクラックの発生が無いレジンコンクリート成形品が得られる。また低収縮剤を用いないことから、低収縮剤の分離の問題解消及び、その硬化物の強度が高いレジンコンクリート製造方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】三角柱金型
Claims (5)
- (A)(a)不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、ジアルキレングリコール、及び/またはアルキレングリコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステル、と(a2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(B)(b1)ジシクロマレートにブタンジオールを付加したものを含有する不飽和ポリエステルと(b2)架橋性単量体とを含有する樹脂組成物、(C)水酸基末端のポリブタジエン(D)骨材及び(E)充填材を含有することを特徴とするレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
- 樹脂組成物(A)10〜60重量部、樹脂組成物(B)90〜40重量部を総量が100重量部の割合で含むことを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
- 樹脂組成物(B)の不飽和ポリエステルの数平均分子量が、400〜1200であることを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
- 樹脂組成物(B)にイソシアネート化合物を付加してなることを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート成形用樹脂組成物。
- 請求項1〜4に記載するレジンコンクリート成形用樹脂組成物を用いて成形してなることを特徴とする成形品
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