JP2004182665A - 新規フッ素化合物によるフッ素化方法、及び該フッ素化合物からなるフッ素化剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のフッ素化アミンを用いた、酸素、硫黄、またはハロゲン等の官能基を有する基質のフッ素化方法及びフッ素化剤に関するものであり、本発明のフッ素化法は、医薬、農薬の原料製造や、各種基材の表面処理、コーティング、或いはエッチング等の洗浄用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
含フッ素化合物は、フッ素原子に由来する特異な生理活性や優れた機能を示すものが多く、近年、特に医薬、農薬の分野でフッ素導入の必要性は増すばかりである。また医薬、農薬のみならず、広範な分野でその機能を生かした応用がなされており、含フッ素化合物の重要性はさらに高まっている。含フッ素化合物は、天然には殆ど存在しないので有機合成的にフッ素原子を導入する必要がある。
【0003】
フッ素導入を目的として用いられる一般的なフッ素化剤として、例えば、フッ素、フッ化水素、四フッ化硫黄等が知られている(例えば特許文献1参照。)。しかし、これらは毒性、腐食性や爆発の危険性があり、取り扱いに特殊な装置や技術を必要とする問題点がある。また、反応の選択性が悪く収率も低い場合が少なくない等の欠点を有する。
この他にも、酸素、硫黄、ハロゲン等の官能基に対して選択的にフッ素を導入する為に、種々のフッ素化剤が開発されている。例えば、フッ化水素−ピリジン混合物(Olah試薬)、フルオロアルキルアミン型のYarovenko試薬とその改良型の石川試薬、また、通称、DASTとして知られる三フッ化ジエチルアミノ硫黄等が代表的なフッ素化剤として挙げられる(例えば非特許文献1参照)。
しかし、何れも安全性や熱安定性等の取り扱いに問題があり、工業的に使用するには充分とは言い難いのが実状であった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭53−1827号公報
【非特許文献1】
Chemistry of Organic Fluorine CompoundsII,Monograph,American Chem.Society,1995,p.187
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酸素、硫黄、或いはハロゲン等の官能基を有する基質のフッ素化が可能で、特に熱安定性に優れ、取り扱いが容易で、且つ、安価に製造可能なフッ素化合物及び該化合物を含むフッ素化剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ない、一般式1で表されるフッ素化合物が、酸素、硫黄、或いはハロゲン等の各種の官能基を有する基質のフッ素化に有効であり、しかも、蒸留可能で高い熱安定性を有し、取り扱いが容易である事から上記した課題を解決出来る事を見出した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は一般式1で表されるフッ素化合物を用いた(1)から(3)に示すフッ素化剤或いは該フッ素化剤を用いた基質のフッ素化方法に関する。
(1)一般式1で表されるフッ素化合物からなるフッ素化剤。
【化2】
(但し、式中、R0、R1及びR2は、水素、若しくは置換基を有する事のあるアルキ ル基又はアリール基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、R0、R 1、R2のうちの2つ以上が結合して環を形成していても良い)
(2)一般式1に於ける、R0が2−メトキシフェニル基であり、R1及びR2がエチル基 で表される化合物からなる、(1)記載のフッ素化剤。
(3)(1)、(2)の何れかに記載のフッ素化剤を用いる、基質のフッ素化方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に於ける一般式1で表されるフッ素化合物は、一般式1中のR0、R1、及びR2のアルキル基としては、炭素数1〜30までの直鎖または分岐したものが好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルオキシ、デカリル、ノルボルニル、ビシクロヘキシル、アダマンチル、及びこれらの異性体があり、その他にもヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシフェニル等が挙げられる。
【0008】
アリール基として好ましいのは炭素数1〜30のものであり、例えば、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、ジメチルフェニル及びその位置異性体、クミル、メシチル、トリメチルフェニル及びその異性体、ヒドロキシフェニル及びその異性体、メトキシフェニル及びその異性体、エトキシフェニル及びその異性体、アルキルオキシフェニル及びその異性体、ナフチル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、ヒドロキシナフチル、ビフェニル、テトラリル、t−フェニル、アンスリル、ベンゾチエニル、クロメニル、インドイル基等が挙げられる。これらのアルキル基およびアリール基には、他の官能基、例えば、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アセチル基、アシル基、アルコキシ基やスルホン基、若しくは他の原子団等が含まれる事や異性体であっても良い。
【0009】
一般式1で表されるフッ素化合物は、種々の方法で製造する事が出来るが、例えば対応するアミド化合物であるN,N−2置換アミド化合物を出発原料に用い、種々のフッ素化剤を用いて直接フッ素原子を導入する方法、またハロゲン化剤でハロゲン化反応を行った後、引き続き、ハロゲン交換反応を行ってフッ素を導入する方法が適用出来る。
【0010】
N,N−2置換アミド化合物から直接製造する際には、フッ素、四フッ化硫黄、五フッ化ヨウ素、HF−塩基類及び五フッ化ヨウ素−HF溶融塩類を用いて、酸素含有官能基のフッ素化を行う事が出来る。しかし、含フッ素化合物の直接合成は、反応性や安全性を勘案すると、HF−トリエチルアミンの様なHF−塩基類や五フッ化ヨウ素−HF溶融塩を用いる方法が好ましい。
【0011】
ハロゲン交換によって含フッ素化合物を製造するには、例えば、第一にN,N−2置換アミド化合物とハロゲン化剤を反応させてアミド化合物のハロゲン化物を製造し、次いで、上記アミド化合物のハロゲン化物とフッ化水素やフッ素のアルカリ金属塩とを反応させて、ハロゲン交換反応を行って製造する公知の方法が適用出来る。
出発原料として好ましいのは、置換基を有する事のあるアルキル基、又はアリール基を有するN,N−2置換アミド化合物である。
置換基は、互いに同一であっても異なっていても良く、互いに結合し環を形成していても良い。また、他の官能基、例えば、水酸基、ハロゲン、メルカプト基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、アセチル基、スルホン基や原子団、或いは同様のアルキル基、アリール基等を有するものであっても良い。
N,N−2置換アミドを具体的に例示すれば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミド、N,N−ジ(i−プロピル)ホルムアミド、N,N−ジ(n−ブチル)ホルムアミド、N,N−ジペンチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルトリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチルシアノホルムアミド、N,N−ジメチルシクロプロパンカルボキシアミド、N,N−ジメチル−2−チオオキサアミド、N,N−ジメチルベンゼンアセタミド、N,N−ジメチルアセトアセタミド、N,N−ジメチル−2,2−ジクロロアセトアセタミド、N,N−ジメチルフェノキシアセトアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルブチルアミド、N,N−ジメチルアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)ドデカンアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチル−2−(1−ナフチルオキシ)プロパンアミド、N,N−ジブチルアセタミド、1−トリフェニルホスホラニリデン−2−プロパノン、N,N−ジエチルデカリルアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルフェノキシアセトアミド、N−メチル−N−フェニルホルムアミド、N,N−ジメチル酪酸アミド、N,N−ジメチルイソ酪酸アミド、N,N−ジエチルイソ酪酸アミド、N,N−ジメチル吉草酸アミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N,N−ジエチルメタトルアミド、N,N−ジエチル−o−トリルアミド、N,N−ジエチル−p−トリルアミド、N,N−ジエチル−(2,4−ジメチル)ベンズアミド、N,N−ジエチル−2,6−ジメチル)ベンズアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチル桂皮酸アミド、N,N−ジメチル−フラン−2−カルボキシアミド、N,N−ジメチル−フラン−3−カルボキシアミド、N,N−ジエチル−(2−メトキシ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−p−クロロベンズアミド、N,N−ジメチル−p−ブロモベンズアミド、N,N−ジメチル−p−フルオロベンズアミド、N,N−ジエチルメシチルアミド、N,N−ジエチルナフチルアミド、N,N−ジエチルビフェニルアミド、N,N−ジエチルアンスリルアミド、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミド、N,N−ジメチルデカンアミド、N,N−ジメチル−2−ピリジンカルボキシアミド、ベンゾイルピペリジン、ベンゾイルモルホリン等を挙げることが出来る。
これらの中、N,N−ジエチルメタトルアミドとN,N−ジエチル−(2−メトキシ)ベンズアミドから誘導されるフッ素化アミンは熱安定性が高く、反応性も優れているので特に好ましい。本発明は、当然ながら例示されたものだけに限定されるものでは無い。
【0012】
上記のN,N−2置換アミド類は、例えば、ホスゲン、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、塩化オキサリル等の塩素化剤によってアミド結合の酸素原子が塩素原子によって置換される。塩素の反応性が低い場合には、臭素やヨウ素を含む同様のハロゲン化剤の中かから反応性の高いものを選択し、臭素、またはヨウ素を導入する事が好ましい。通常、酸アミドのハロゲン化は容易に進行する。例えば、イソ酪酸アミドの場合、ジクロルメタン中、20℃でホスゲンを流して塩素化を行う事で反応は完結する(Organic Synthesis, CV 6, 282参照)。上記ハロゲン化手段によって、一般式1に示した化合物の前駆体となるアミド化合物のハロゲン化物が得られる。
該ハロゲン化物は、次にフッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のフッ素のアルカリ金属塩を用いる公知のハロゲン交換法によって目的とするフッ素化合物を得る事が出来る。該ハロゲン交換反応条件を、一概に規定する事は難しいが個々の反応は良く知られたものが殆どである為、公知の文献類(ジャーナルオブオーガニックケミストリー,44巻,3872頁,1979年、有機合成化学協会誌,47巻,258頁,1989年、ジャーナルオブフルオリーンケミストリー,44巻,291頁,1989年)を参考に決定する事ができる。
【0013】
上記の製造方法によって得られる本発明のフッ素化合物は、酸素、硫黄、或いはハロゲン等の官能基、例えば水酸基やホルミル基、カルボキシル基、チオール基等を含有する基質のフッ素化にそのまま好適に用いる事が出来るが、特に一級アルコールのフッ素化に好適である。該フッ素化合物は、不活性な溶媒や希釈剤と共に用いても良い。また蒸留可能で熱安定性が高く、従来は取り扱いが困難であった150℃以上の温度領域でもフッ素化反応等に用いる事が出来る。さらには反応を振動数が1から30GHzのマイクロ波及び/又は振動数が1GHz以下又は30から300GHzであるマイクロ波近傍の電磁波の照射下で行うこともできる。
また、フッ素化反応終了後には、原料のアミド化合物として回収出来るのでリサイクル可能なフッ素化プロセスを構築する事が可能である。
さらに酸素、硫黄やハロゲン等の活性な官能基を有する化合物だけに止まらず、同様な官能基を有する基材の表面処理の用途にも用いる事が出来る他、基材表面のコーティング、エッチングや洗浄用途等の種々のフッ素化プロセスに好適に使用する事が出来る。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。実施例に於ける化合物の分析は以下の方法による。
NMR測定
日本電子製NMR−LA500SS(500MHz)を用い、重クロロホルム溶媒中で測定を行った。
【0015】
実施例1:アダマンタノールのフッ素化
a)N,N−ジエチル−2−メトキシベンズアミド
三口フラスコ(200ml)に、ジエチルアミン(25.80g、0.352mol)を含むトルエン溶液 (56g)を仕込み、フラスコを氷水で冷却し攪拌しながら2−メトキシベンゾイルクロリド (20.00g、0.117mol)のトルエン溶液(30g)をゆっくり30分かけて滴下した。滴下終了 後、水を加えて過剰のジエチルアミン及びジエチルアミン塩酸塩を除去した。得られたトルエン層をMgSO4で脱水し、溶媒を留去して淡黄色液体を得た(収量22.81g、収率94%)。
1 H−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
1.02(t:3H、N−CH2CH3)、1.24(t:3H、N−CH2CH3)、3.13( q:2H、N−CH2CH3)、3.56(br:2H、N−CH2CH3)、3.80(s :3H、−OCH3)、6.8〜7.4(4H、Ph−H)
13 C−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
12.64(s:N−CH2CH3)、13.70(s:N−CH2CH3)、38.54(s: N−CH2CH3)、42.50(s:N−CH2CH3)、55.22(s:−OC H3)、110.70、120.44、126.74、127.15、129.60、154.92(s:Ph−C) 、168.48(s:C=O)
【0016】
b)N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリド
三口フラスコ(200ml)に、窒素雰囲気下、オキサリルクロリド(24.50g、0.193mol) を含む四塩化炭素(54g)溶液を仕込む。室温でN,N−ジエチル−2−メトキシベンズ アミド(20.05g、0.0965mol)を20分かけて滴下した。滴下終了後、内容物温度を50℃ とした後、5時間反応を行った。反応時にガスの発生が認められ、その後、反応液は二層分離した。反応終了後、溶媒を留去し、静置させると茶色の固体が得られた。得られた固体を四塩化炭素、n−ヘキサンで洗浄後、乾燥し、N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリドを得た(収量21.40g、収率80%)。
1 H−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
1.50(t:3H、N−CH2CH3)、1.70(t:3H、N−CH2CH3)、4.00( s:3H、−OCH3)、4.18(m:1H、N−CH2CH3)、4.28(m:1H 、N−CH2CH3)、4.46(m:1H、N−CH2CH3)、4.73(m:1H、 N−CH2CH3)、7.1〜8.0(4H、Ph−H)
13 C−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
11.54(s:N−CH2CH3)、12.12(s:N−CH2CH3)、53.14(s: N−CH2CH3)、54.77(s:N−CH2CH3)、55.76(s:−OC H3)、111.29、118.85、120.82、127.80、134.78、153.55(s:Ph−C) 、170.84(s:C−Cl)
得られた N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリドの塩素化能を確認するため、グローブボックス中でベンジルアルコールとの反応を行った。試験管にN,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリド(0.20g、0.465mmol)、ベンジルアルコール(0.11g、1.017mmol)、アセトニトリル(1.10g)を仕込み、室温で4時間反応させた。反応液をGCで分析した結果、ベンジルクロリドの生成を確認した。
【0017】
c)N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン
グローブボックス中で、三口フラスコ(100ml)に、先に合成したN,N−ジエチル− α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリド(20.00g、0.0725mol)とフ ッ化カリウムのスプレードライ品(森田化学17.72g、0.3052mol)、アセトニトリル(20 0g)を仕込んだ。窒素雰囲気下に冷却管、電磁攪拌装置を付け、80℃で20時間反応を行った。反応終了後、室温迄冷却してグローブボックス中で濾過を行い、N,N−ジエチル−α−クロロ−(2−メトキシフェニル)アミジウムクロリドのフッ素交換物を含むアセトニトリル溶液を得た。この溶液を理論段数80段の回転バンド式精密蒸留器を用いて蒸留した。2mmHgの圧力下、温度77℃から80℃の留分としてN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミンを得た(9.86g、収率55%)。
1 H−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
1.03(t:6H、N−CH2CH3)、2.92(q:4H、N−CH2CH3)、3.82 (s:3H、−OCH3)、6.9〜7.6(4H、Ph−H)
13 C−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準 )
13.65(s:N−CH2CH3)、39.69(s:N−CH2CH3)、55.75(s: −OCH3)、112.02、119.93、128.60、131.46、157.26(s:Ph−C) 、123.73(s:C−F)
13 C−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 TMS 基準、 −50 ℃ )
122.80(br:C−F)
19 F−NMR(CDCl 3 、δ (ppm) 、 CF 3 COOH 基準、 −50 ℃ )
−68.35(s:C−F)
【0018】
d)熱安定性、及び発熱開始温度
キャピラリーチューブ中(封管)200℃まで徐々に昇温し、1時間保持したが、分解等は観察されず熱的に安定であった。TG/DTA熱分析装置を用いて毎分10℃で400℃迄、温度を上げて行った熱分析では、200から210℃で発熱が始まり、緩やかな重量減少が観察された。発熱のピーク温度は255℃であった。
また、断熱状態で行う物質の熱安定性評価試験であるJIS暴走反応測定試験(ARC試験)に基づく発熱開始走温度は159℃であった。
【0019】
上記で合成したN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン(0.53g、2.31mmol)、1−アダマンタノール(0.20g、1.36mmol)、クロロホルム3.0g を反応器に入れ、窒素雰囲気下、60℃で14時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取り、GC分析したところ、収率86%で1−フルオロアダマンタンが得られた。
【0020】
実施例2:シクロヘキサノールのフッ素化
実施例1で合成したN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン(0.47g、2.04mmol)、シクロヘキサノール(0.20g、2.04mmol)、ジクロロメタ ン3gを反応器に入れ、窒素雰囲気下、室温で4時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取り、GC分析した結果、フルオロシクロヘキサン、シクロヘキセンがそれぞれ収率14%, 80%で得られた。
【0021】
実施例3:シクロヘキサノールのフッ素化
実施例1で合成したN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン(1.00g、4.36mmol)、シクロヘキサノン(0.21g、2.18mmol)、ジメトキシエタン3.0gを反応器に入れ、窒素雰囲気下、85℃で14時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取り、GC分析した結果、1,1−ジフルオロシクロヘキサン、1−フルオロシクロヘキセンがそれぞれ収率19%, 50%で得られた。
【0022】
実施例4:ベンズアルデヒドのフッ素化
実施例1で合成したN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン(1.00、4.36mmol)、ベンズアルデヒド(0.21g、2.01mmol)、アセトニトリル3gを反応器に入れ、窒素雰囲気下、90℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取り、GC分析した結果、α,α−ジフルオロトルエンが収率78%で得られた。
【0023】
実施例5:p−ニトロフェノールのフッ素化
実施例1で合成したN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミン(0.66g、2.88mmol)、トリエチルアミン(0.146g、1.45 mmol)、p−ニトロフェノール(0.20g、1.43 mmol)、アセトニトリル2gを反応器に入れ、窒素雰囲気下、80℃で14時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取り、GC分析した結果、p−フルオロニトロベンゼンが収率25%で得られた。
【0024】
実施例6:ベンズアルデヒドのフッ素化
実施例4に於いて、温度150℃で1時間反応させた以外は同様に行った。生成物であるα,α−ジフルオロトルエンの収率は92%であった。
【0025】
比較例1:ベンズアルデヒドのフッ素化
実施例4に於いて、フッ素化剤として三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST、4.4mmo l)を用いて、同様にしてベンズアルデヒドとの反応を行った。温度が90℃に達する 前に熱暴走状態になり反応を完結する事は出来なかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明のフッ素化合物は、蒸留可能で熱安定性が高く、従来は取り扱いが困難であった150℃以上の温度領域におけるフッ素化反応にも用いる事が出来る。
さらに各種の官能基を有する化合物のみならず、基材の表面処理の用途にも用いる事が出来る他、基材表面のコーティング、エッチングや洗浄用途等の種々のフッ素化プロセスに好適に使用する事が出来る。また、反応終了後には、原料のアミド化合物として回収出来るので、リサイクル可能なフッ素化プロセスを構築できる特徴を有し工業に寄与する処が大である。
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