JP2004182119A - シートベルト挿通具 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易に組み立て可能であり、シートベルトとの間の摩擦が低摩擦性であって装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具を提供する。
【解決手段】シートベルト用孔(14)が形成されたシートベルト挿通具本体(10a)と、シートベルト用孔に挿通されるシートベルト(S)を折り返し受けるためのシートベルト挿通具本体に取り付けられるベルト受け部(13)と、を備え、ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】シートベルト用孔(14)が形成されたシートベルト挿通具本体(10a)と、シートベルト用孔に挿通されるシートベルト(S)を折り返し受けるためのシートベルト挿通具本体に取り付けられるベルト受け部(13)と、を備え、ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルト挿通具に係り、特に、自動車のシートベルトの途中を折り返し状態で挿通するために車体側ピラーに取り付けられるシートベルト挿通具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車のシートベルト挿通具は、図10ないし図12に示すようなものが知られている。
自動車のシートベルト装置としては連続ウエビングを用いた三点式シートベルト装置があり、このシートベルト装置にはシートベルトを車体ピラー内側の所定位置で折り返して案内するためのシートベルト挿通具100が使用されている。このシートベルト挿通具100は、プレート部102と、モールド部103とからなっている。
プレート部102は、図11に示すように鉄板よりなり、ほぼ、二等辺三角形状で3つの頂点は丸く形成されている。そして、二つの等辺の頂点側には固定用孔104が形成され、底辺側には底辺に平行なシートベルト挿通孔105が形成されている。このシートベルト挿通孔105は、長孔で、両端部がやや頂点側へ折れるとともに丸く形成されている。なお、このシートベルト挿通孔105部分のプレート部102は、図12に示すようにその面部102aが所定の角度(約25゜)に折曲されている。
モールド部103は、熱収縮率の小さいポリプロピレン樹脂よりなり、シートベルト挿通孔105の近傍を覆うように金型内にて成形され、図10に示すようにプレート部102の孔104の付近を除く部分を被覆している。シートベルト挿通具100は、このように形成されており、シートベルト挿通孔105にシートベルトが折り返し状に通されるようになっている。
【0003】
ところで、上記従来のシートベルト挿通具100においては、シートベルトは、シートベルト挿通具100のシートベルト挿通孔105のモールド部103との接触により摩擦抵抗が使用回数の増加に伴って増加し、シートベルトの巻取りおよび引出しが自由にならず、その操作性が低下するとともに、プレート部102とモールド部103の熱収縮差が大きいため、耐熱サイクル試験(温度変化を繰り返す試験)にかけるとモールド部103が割れてシートベルトがプレート部102のシートベルト挿通孔105のエッジにより切断寸前になる場合がある。
【0004】
これに対し、図7乃至図9に示すように、モールド部103に割れが発生することがないようにしたシートベルト挿通具110が提案されている(特許第3096029号公報)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3096029号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7乃至図9に示すシートベルト挿通具110は、プレート部111とモールド部112とを有し、モールド部112は、シートベルトの折り返し部に接する第1のモールド部116と、プレート部111の面を覆う第2モールド部117とからなっている。第1のモールド部116は例えばポリアセタール樹脂のような摩擦抵抗の低い樹脂からなり、シートベルトとの摩擦を小さくする低摩擦抵抗材モールド部を形成している。
【0007】
シートベルト挿通具110の製造においては、図9に示すような第1のモールド部116を形成し、この第1のモールド部116とプレート部111とを金型内で位置決めし、金型内に樹脂を流し込んで第2モールド部117を形成していた。
【0008】
このため、第1のモールド部116の寸法精度を高精度にするとともに金型内における位置決めを高精度に行う必要があり、これらのことが高精度に達成できない場合には、金型を損傷させるという問題があった。また、図9に示す第1のモールド部116の凹凸の形成された端部に加工成形に伴うバリ等が残存した状態で金型内に樹脂を流入させ硬化させると、温度変化等に伴い割れが発生するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題を解消し、簡易に組み立て可能であり、シートベルトとの間の摩擦が低摩擦性であって装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のための、本発明によるシートベルト挿通具は、シートベルト用孔が形成されたシートベルト挿通具本体と、前記シートベルト用孔に挿通されるシートベルトを折り返し受けるための前記シートベルト挿通具本体に取り付けられるベルト受け部と、を備え、前記ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、前記シートベルト用孔を跨いで前記シートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上述の発明において、ベルト受け部はバネ性を有する金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されるので、シートベルトとベルト受け部との間で低摩擦性を実現することができるとともに、ベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0012】
また、前記シートベルト挿通具本体は、前記シートベルト用孔に対応するシートベルト挿通孔を有する板材で形成されたプレート部と前記シートベルト挿通孔を覆うように設けられたモールド部とからなる成形完成品であることを特徴とする。ここで、成形完成品とは、新たな加工成形を不要とする一種の完成された部品をいう。
【0013】
上述の発明において、シートベルト挿通具本体は成形完成品として形成されているので、ベルト受け部をプレート部及びモールド部と一体的に金型内でモールド形成する必要がなくなり、モールド部等を形成する場合に寸法精度を過度に高精度にする必要がなく、また金型内における位置決めも過度に高精度に行う必要をなくすることができる。
【0014】
また、前記ベルト受け部は、外側面から裏側面に向かって折れ曲がり形成された突起部を有し、前記シートベルト挿通具本体の片側部分には、前記突起部が嵌入される凹部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
これによって、突起部を凹部とによってベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0016】
また、前記片側部分には、前記突起部が前記凹部へ案内移動するための案内溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
これによって、突起部を前記凹部へ確実に案内移動することができ、ベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシートベルト挿通具について図1から図6を参照して説明する。図1に示すように、シートベルト挿通具としての10は、プレート部11とモールド部12と、ベルト受け部13とを有している。シートベルト挿通具10は、シートベルト挿通具本体10a(図6参照)とベルト受け部13とから構成されている。プレート部11とモールド部12とによってシートベルト挿通具本体10aが構成されており、シートベルト挿通具本体10aにはシートベルト用孔14が形成されている。ベルト受け部13は、シートベルト用孔14に挿通されるシートベルトSを低摩擦力で円滑に滑動可能に折り返し受けるために、シートベルト挿通具本体10aに取り付けられる。
【0019】
プレート部11は、図3および図4に示すように、鉄板よりなり、ほぼ二等辺三角形状で、各角部は丸く形成されている。そして、頂点側にはシートベルト挿通具10を所定の位置に固定するための丸孔31が形成され、底辺側には底辺に平行なシートベルト挿通孔14aが形成されている。このシートベルト挿通孔14aは、長孔で両端部は頂点の側へ向かって湾曲しており、かつ丸みをもって形成されている。なお、このシートベルト挿通孔14aが形成されている板部分11aは、図4に示すように丸孔31の形成される面に対して例えば約25゜の角度θをなしている。そして、シートベルト挿通孔14aの全周面には表裏共に角を無くすための丸み部15が形成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、モールド部12は、例えばポリプロピレン樹脂よりなりプレート部11の面を覆うように形成されている。
【0021】
図3および図4に示すように、プレート部11のシートベルト挿通孔14aの全周に沿って、プレート部11の板厚を増加させて形成した隆起条19が設けられている。この隆起条19は断面形状が滑らかな曲線をなしており、仮にシ−トベルトが隆起条19の表面に接触してもシートベルトが損傷されないようになっている。隆起条19の隆起方向は、シートベルト挿通孔14aが形成されている板部分11aがプレート部11の主体部に対し角度θをなして折れ曲がる側と同じである。
【0022】
図5及び図6に示すように、ベルト受け部13は、シートベルト用孔14を跨いでシートベルト挿通具本体10aに嵌め込み可能に形成されている。このために、ベルト受け部13は、例えばSUS301材等のバネ性を有する金属部材から形成されており、略円弧形状の断面を有する。ベルト受け部13の端部には、外側面から内側面に折れ曲がり形成された4個の突起部16を有する。
【0023】
また、ベルト受け部13の両側端部の角部13aは、加工時に外側に跳ね上がった状態で形成されやすく、角部13aが鋭利な形状に形成されているとシートベルトを損傷させることになる。そこで、角部13aは図5に示すように丸く形成されている。また、角部13aに対応して、片側部分20(図6)の両側端部の角部も丸く形成されている。
【0024】
シートベルト挿通具本体10aは、前述のようにプレート部11とモールド部12とからなり、予め成形完成品として形成されている。シートベルト挿通具本体10aの製造においては、図示しない金型内にプレート部11を位置決めし、金型内に樹脂を流し込んでモールド部12を形成すればよい。プレート部11は図3及び図4に示すように、ある程度単純な形状を有するので、モールド部12の成形においては、金型を損傷させることない。また、モールド部12にバリ等を形成することなく、シートベルト挿通具本体10aを予め成形完成品として容易に形成することができる。
【0025】
ベルト受け部13が取り付けられる側のシートベルト挿通具本体10aの片側部分20は、シートベルト用孔14を挟んで丸孔31に対し反対側に位置している。片側部分20は、シートベルト挿通具本体10aの表面からベルト受け部13の厚さ分だけ除去されて形成されており、片側部分20に嵌め込まれたベルト受け部13の外側表面と隣接するシートベルト挿通具本体10aの部分の表面とは、同一面を形成している。さらに、片側部分20には、突起部16が嵌入されるための4個の凹部17が形成されている。また、片側部分20には、突起部16が案内されて凹部17に至るための案内溝18が形成されている。片側部分20のうちの案内溝18を除く部分の表面部の形状は、ベルト受け部13がシートベルト挿通具本体10aに取り付けられたときのベルト受け部13の裏側面とほぼ同じ大きさの半円筒の表面形状を有する。これによって、ベルト受け部13はシートベルト挿通具本体10aに隙間無く取り付けられる。ベルト受け部13の外側表面は、シートベルトSを構成するナイロン等の化学繊維部材との間で低摩擦性を実現するために、研磨されているかメッキ処理されているかし、表面粗さが小さく形成されている。
【0026】
ベルト受け部13を成形完成品であるシートベルト挿通具本体10aに組み付けるのは、次のようにして簡単に行うことができる。
まず、シートベルト用孔14を跨がせた位置でベルト受け部13の一側にある突起部16を対応する凹部17に引っ掛ける。次に、ベルト受け部13の円弧状の頂部をシートベルト挿通具本体10に押し付けながら、ベルト受け部13の他側にある突起部16を案内溝18に沿って案内し、ベルト受け部13の突起部16を対応する凹部17に嵌り込ませる。ベルト受け部13はバネ性を有するので、円弧を拡げるようにしながら案内溝18に案内され、対応する凹部17に嵌り込む。これによって、ベルト受け部13はシートベルト挿通具本体10に取り付け固定される。
【0027】
本実施の形態によれば、予め成形完成品として形成されたシートベルト挿通具本体10aにベルト受け部13を取り付けるようにしたので、モールド部12を形成する場合に寸法精度を過度に高精度にする必要がなく、また金型内における位置決めも過度に高精度に行う必要をなくすることができる。
【0028】
また、ベルト受け部13は、金属部材で構成されているので、シートベルトSを構成するナイロン等の化学繊維部材との間で低摩擦性を実現することができ、ベルト受け部13に対しねばねばとした粘性を生じさせることはない。この結果、ベルト受け部13がモールド部12を形成するポリプロピレン樹脂等で形成される従来の場合と異なり、シートベルトSをベルト受け部13に対し低摩擦力で円滑に滑動させることができ、装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具10を提供することができる。
【0029】
また、ベルト受け部13は、バネ性を有するので、ベルト受け部13をシートベルト用孔14に挿入し、シートベルト挿通具本体10aに押し付けるだけで、簡単にベルト受け部13をシートベルト挿通具本体10aに取り付け固定することができる。
【0030】
また、ベルト受け部13には突起部16が形成され、シートベルト挿通具本体10aの片側部分20には凹部17が形成されているので、簡単にベルト受け部13をシートベルト挿通具本体10に取り付け固定することができる。
【0031】
また、シートベルト挿通具本体10aの片側部分20には案内溝18が形成されているので、突起部16を凹部17に確実に案内することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されているので、簡易に組み立て可能であり、シートベルトとの間の摩擦が低摩擦性であって装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートベルト挿通具の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1のA−A視断面図。
【図3】プレート部の正面図。
【図4】図3のB−B視断面図。
【図5】ベルト取り付け部を示す斜視図。
【図6】シートベルト挿通具本体を示す斜視図。
【図7】従来のシートベルト挿通具を示す断面図。
【図8】図7の一部拡大断面図。
【図9】従来のシートベルト挿通具における第1のモールド部を示す一部断面図。
【図10】従来のシートベルト挿通具を示すD−D断面図。
【図11】従来のプレート部の正面図。
【図12】図11のE−E視断面図。
【図13】従来のシートベルト挿通具を示す斜視図。
【符号の説明】
10a シートベルト挿通具本体
11 プレート部
11a 帯状板部分
12 モールド部
13 ベルト受け部
14 シートベルト用孔
14a シートベルト挿通孔
16 突起部
17 凹部
18 案内溝
20 片側部分
S シートベルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルト挿通具に係り、特に、自動車のシートベルトの途中を折り返し状態で挿通するために車体側ピラーに取り付けられるシートベルト挿通具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車のシートベルト挿通具は、図10ないし図12に示すようなものが知られている。
自動車のシートベルト装置としては連続ウエビングを用いた三点式シートベルト装置があり、このシートベルト装置にはシートベルトを車体ピラー内側の所定位置で折り返して案内するためのシートベルト挿通具100が使用されている。このシートベルト挿通具100は、プレート部102と、モールド部103とからなっている。
プレート部102は、図11に示すように鉄板よりなり、ほぼ、二等辺三角形状で3つの頂点は丸く形成されている。そして、二つの等辺の頂点側には固定用孔104が形成され、底辺側には底辺に平行なシートベルト挿通孔105が形成されている。このシートベルト挿通孔105は、長孔で、両端部がやや頂点側へ折れるとともに丸く形成されている。なお、このシートベルト挿通孔105部分のプレート部102は、図12に示すようにその面部102aが所定の角度(約25゜)に折曲されている。
モールド部103は、熱収縮率の小さいポリプロピレン樹脂よりなり、シートベルト挿通孔105の近傍を覆うように金型内にて成形され、図10に示すようにプレート部102の孔104の付近を除く部分を被覆している。シートベルト挿通具100は、このように形成されており、シートベルト挿通孔105にシートベルトが折り返し状に通されるようになっている。
【0003】
ところで、上記従来のシートベルト挿通具100においては、シートベルトは、シートベルト挿通具100のシートベルト挿通孔105のモールド部103との接触により摩擦抵抗が使用回数の増加に伴って増加し、シートベルトの巻取りおよび引出しが自由にならず、その操作性が低下するとともに、プレート部102とモールド部103の熱収縮差が大きいため、耐熱サイクル試験(温度変化を繰り返す試験)にかけるとモールド部103が割れてシートベルトがプレート部102のシートベルト挿通孔105のエッジにより切断寸前になる場合がある。
【0004】
これに対し、図7乃至図9に示すように、モールド部103に割れが発生することがないようにしたシートベルト挿通具110が提案されている(特許第3096029号公報)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3096029号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7乃至図9に示すシートベルト挿通具110は、プレート部111とモールド部112とを有し、モールド部112は、シートベルトの折り返し部に接する第1のモールド部116と、プレート部111の面を覆う第2モールド部117とからなっている。第1のモールド部116は例えばポリアセタール樹脂のような摩擦抵抗の低い樹脂からなり、シートベルトとの摩擦を小さくする低摩擦抵抗材モールド部を形成している。
【0007】
シートベルト挿通具110の製造においては、図9に示すような第1のモールド部116を形成し、この第1のモールド部116とプレート部111とを金型内で位置決めし、金型内に樹脂を流し込んで第2モールド部117を形成していた。
【0008】
このため、第1のモールド部116の寸法精度を高精度にするとともに金型内における位置決めを高精度に行う必要があり、これらのことが高精度に達成できない場合には、金型を損傷させるという問題があった。また、図9に示す第1のモールド部116の凹凸の形成された端部に加工成形に伴うバリ等が残存した状態で金型内に樹脂を流入させ硬化させると、温度変化等に伴い割れが発生するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題を解消し、簡易に組み立て可能であり、シートベルトとの間の摩擦が低摩擦性であって装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のための、本発明によるシートベルト挿通具は、シートベルト用孔が形成されたシートベルト挿通具本体と、前記シートベルト用孔に挿通されるシートベルトを折り返し受けるための前記シートベルト挿通具本体に取り付けられるベルト受け部と、を備え、前記ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、前記シートベルト用孔を跨いで前記シートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上述の発明において、ベルト受け部はバネ性を有する金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されるので、シートベルトとベルト受け部との間で低摩擦性を実現することができるとともに、ベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0012】
また、前記シートベルト挿通具本体は、前記シートベルト用孔に対応するシートベルト挿通孔を有する板材で形成されたプレート部と前記シートベルト挿通孔を覆うように設けられたモールド部とからなる成形完成品であることを特徴とする。ここで、成形完成品とは、新たな加工成形を不要とする一種の完成された部品をいう。
【0013】
上述の発明において、シートベルト挿通具本体は成形完成品として形成されているので、ベルト受け部をプレート部及びモールド部と一体的に金型内でモールド形成する必要がなくなり、モールド部等を形成する場合に寸法精度を過度に高精度にする必要がなく、また金型内における位置決めも過度に高精度に行う必要をなくすることができる。
【0014】
また、前記ベルト受け部は、外側面から裏側面に向かって折れ曲がり形成された突起部を有し、前記シートベルト挿通具本体の片側部分には、前記突起部が嵌入される凹部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
これによって、突起部を凹部とによってベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0016】
また、前記片側部分には、前記突起部が前記凹部へ案内移動するための案内溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
これによって、突起部を前記凹部へ確実に案内移動することができ、ベルト受け部をシートベルト挿通具本体に簡易に取り付けることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシートベルト挿通具について図1から図6を参照して説明する。図1に示すように、シートベルト挿通具としての10は、プレート部11とモールド部12と、ベルト受け部13とを有している。シートベルト挿通具10は、シートベルト挿通具本体10a(図6参照)とベルト受け部13とから構成されている。プレート部11とモールド部12とによってシートベルト挿通具本体10aが構成されており、シートベルト挿通具本体10aにはシートベルト用孔14が形成されている。ベルト受け部13は、シートベルト用孔14に挿通されるシートベルトSを低摩擦力で円滑に滑動可能に折り返し受けるために、シートベルト挿通具本体10aに取り付けられる。
【0019】
プレート部11は、図3および図4に示すように、鉄板よりなり、ほぼ二等辺三角形状で、各角部は丸く形成されている。そして、頂点側にはシートベルト挿通具10を所定の位置に固定するための丸孔31が形成され、底辺側には底辺に平行なシートベルト挿通孔14aが形成されている。このシートベルト挿通孔14aは、長孔で両端部は頂点の側へ向かって湾曲しており、かつ丸みをもって形成されている。なお、このシートベルト挿通孔14aが形成されている板部分11aは、図4に示すように丸孔31の形成される面に対して例えば約25゜の角度θをなしている。そして、シートベルト挿通孔14aの全周面には表裏共に角を無くすための丸み部15が形成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、モールド部12は、例えばポリプロピレン樹脂よりなりプレート部11の面を覆うように形成されている。
【0021】
図3および図4に示すように、プレート部11のシートベルト挿通孔14aの全周に沿って、プレート部11の板厚を増加させて形成した隆起条19が設けられている。この隆起条19は断面形状が滑らかな曲線をなしており、仮にシ−トベルトが隆起条19の表面に接触してもシートベルトが損傷されないようになっている。隆起条19の隆起方向は、シートベルト挿通孔14aが形成されている板部分11aがプレート部11の主体部に対し角度θをなして折れ曲がる側と同じである。
【0022】
図5及び図6に示すように、ベルト受け部13は、シートベルト用孔14を跨いでシートベルト挿通具本体10aに嵌め込み可能に形成されている。このために、ベルト受け部13は、例えばSUS301材等のバネ性を有する金属部材から形成されており、略円弧形状の断面を有する。ベルト受け部13の端部には、外側面から内側面に折れ曲がり形成された4個の突起部16を有する。
【0023】
また、ベルト受け部13の両側端部の角部13aは、加工時に外側に跳ね上がった状態で形成されやすく、角部13aが鋭利な形状に形成されているとシートベルトを損傷させることになる。そこで、角部13aは図5に示すように丸く形成されている。また、角部13aに対応して、片側部分20(図6)の両側端部の角部も丸く形成されている。
【0024】
シートベルト挿通具本体10aは、前述のようにプレート部11とモールド部12とからなり、予め成形完成品として形成されている。シートベルト挿通具本体10aの製造においては、図示しない金型内にプレート部11を位置決めし、金型内に樹脂を流し込んでモールド部12を形成すればよい。プレート部11は図3及び図4に示すように、ある程度単純な形状を有するので、モールド部12の成形においては、金型を損傷させることない。また、モールド部12にバリ等を形成することなく、シートベルト挿通具本体10aを予め成形完成品として容易に形成することができる。
【0025】
ベルト受け部13が取り付けられる側のシートベルト挿通具本体10aの片側部分20は、シートベルト用孔14を挟んで丸孔31に対し反対側に位置している。片側部分20は、シートベルト挿通具本体10aの表面からベルト受け部13の厚さ分だけ除去されて形成されており、片側部分20に嵌め込まれたベルト受け部13の外側表面と隣接するシートベルト挿通具本体10aの部分の表面とは、同一面を形成している。さらに、片側部分20には、突起部16が嵌入されるための4個の凹部17が形成されている。また、片側部分20には、突起部16が案内されて凹部17に至るための案内溝18が形成されている。片側部分20のうちの案内溝18を除く部分の表面部の形状は、ベルト受け部13がシートベルト挿通具本体10aに取り付けられたときのベルト受け部13の裏側面とほぼ同じ大きさの半円筒の表面形状を有する。これによって、ベルト受け部13はシートベルト挿通具本体10aに隙間無く取り付けられる。ベルト受け部13の外側表面は、シートベルトSを構成するナイロン等の化学繊維部材との間で低摩擦性を実現するために、研磨されているかメッキ処理されているかし、表面粗さが小さく形成されている。
【0026】
ベルト受け部13を成形完成品であるシートベルト挿通具本体10aに組み付けるのは、次のようにして簡単に行うことができる。
まず、シートベルト用孔14を跨がせた位置でベルト受け部13の一側にある突起部16を対応する凹部17に引っ掛ける。次に、ベルト受け部13の円弧状の頂部をシートベルト挿通具本体10に押し付けながら、ベルト受け部13の他側にある突起部16を案内溝18に沿って案内し、ベルト受け部13の突起部16を対応する凹部17に嵌り込ませる。ベルト受け部13はバネ性を有するので、円弧を拡げるようにしながら案内溝18に案内され、対応する凹部17に嵌り込む。これによって、ベルト受け部13はシートベルト挿通具本体10に取り付け固定される。
【0027】
本実施の形態によれば、予め成形完成品として形成されたシートベルト挿通具本体10aにベルト受け部13を取り付けるようにしたので、モールド部12を形成する場合に寸法精度を過度に高精度にする必要がなく、また金型内における位置決めも過度に高精度に行う必要をなくすることができる。
【0028】
また、ベルト受け部13は、金属部材で構成されているので、シートベルトSを構成するナイロン等の化学繊維部材との間で低摩擦性を実現することができ、ベルト受け部13に対しねばねばとした粘性を生じさせることはない。この結果、ベルト受け部13がモールド部12を形成するポリプロピレン樹脂等で形成される従来の場合と異なり、シートベルトSをベルト受け部13に対し低摩擦力で円滑に滑動させることができ、装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具10を提供することができる。
【0029】
また、ベルト受け部13は、バネ性を有するので、ベルト受け部13をシートベルト用孔14に挿入し、シートベルト挿通具本体10aに押し付けるだけで、簡単にベルト受け部13をシートベルト挿通具本体10aに取り付け固定することができる。
【0030】
また、ベルト受け部13には突起部16が形成され、シートベルト挿通具本体10aの片側部分20には凹部17が形成されているので、簡単にベルト受け部13をシートベルト挿通具本体10に取り付け固定することができる。
【0031】
また、シートベルト挿通具本体10aの片側部分20には案内溝18が形成されているので、突起部16を凹部17に確実に案内することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、シートベルト用孔を跨いでシートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されているので、簡易に組み立て可能であり、シートベルトとの間の摩擦が低摩擦性であって装着性と耐久性を向上させたシートベルト挿通具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートベルト挿通具の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1のA−A視断面図。
【図3】プレート部の正面図。
【図4】図3のB−B視断面図。
【図5】ベルト取り付け部を示す斜視図。
【図6】シートベルト挿通具本体を示す斜視図。
【図7】従来のシートベルト挿通具を示す断面図。
【図8】図7の一部拡大断面図。
【図9】従来のシートベルト挿通具における第1のモールド部を示す一部断面図。
【図10】従来のシートベルト挿通具を示すD−D断面図。
【図11】従来のプレート部の正面図。
【図12】図11のE−E視断面図。
【図13】従来のシートベルト挿通具を示す斜視図。
【符号の説明】
10a シートベルト挿通具本体
11 プレート部
11a 帯状板部分
12 モールド部
13 ベルト受け部
14 シートベルト用孔
14a シートベルト挿通孔
16 突起部
17 凹部
18 案内溝
20 片側部分
S シートベルト
Claims (4)
- シートベルト用孔が形成されたシートベルト挿通具本体と、
前記シートベルト用孔に挿通されるシートベルトを折り返し受けるための前記シートベルト挿通具本体に取り付けられるベルト受け部と、
を備え、
前記ベルト受け部は、バネ性を有し断面が略円弧形状である金属部材からなり、前記シートベルト用孔を跨いで前記シートベルト挿通具本体に嵌め込み可能に形成されている
ことを特徴とするシートベルト挿通具。 - 前記シートベルト挿通具本体は、
前記シートベルト用孔に対応するシートベルト挿通孔を有する板材で形成されたプレート部と前記シートベルト挿通孔を覆うように設けられたモールド部とからなる成形完成品である
ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト挿通具。 - 前記ベルト受け部は、外側面から裏側面に向かって折れ曲がり形成された突起部を有し、
前記シートベルト挿通具本体の片側部分には、前記突起部が嵌入される凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト挿通具。 - 前記片側部分には、前記突起部が前記凹部へ案内移動するための案内溝が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のシートベルト挿通具。
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JP (1) | JP2004182119A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007176450A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Toyota Motor Corp | シートベルト装置 |
JP2011056968A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-03-24 | Takata Corp | ウェビング挿通部材及びシートベルト装置 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352529A patent/JP2004182119A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007176450A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Toyota Motor Corp | シートベルト装置 |
JP4696910B2 (ja) * | 2005-12-28 | 2011-06-08 | トヨタ自動車株式会社 | シートベルト装置 |
JP2011056968A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-03-24 | Takata Corp | ウェビング挿通部材及びシートベルト装置 |
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