JP4316953B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、クリップ部と軸筒との間に紙や布等の被挟持物を挟持可能なように構成した筆記具に関するものである。
従来、この種の筆記具には、例えば特許文献1に記載されているように、クリップ付筆記具におけるクリップ(2)の先端部の内側に係止突起(3)を設けるとともに、筒体(1)の外周面における前記係止突起(3)の近傍に、環状突起(4)を設けたものがある。
この筆記具によれば、前記環状突起(4)の作用により、衣服のポケット等の被挟持物に装着された際の抜け落ちを効果的に防止できるとされている。
しかしながら、上記従来技術のような筆記具では、同特許文献1の第2図及び第8図に示されるように、クリップ先端部の係止突起(3)を筒体(1)の外周面に当接させる構造となっていたため、筒体(1)の外周面に傷が付いたり、筒体(1)外周面の塗装が剥れてしまったり等の不具合を生じる場合があった。
そこで、予めクリップ(2)の係止突起(3)と筒体(1)との間に隙間を確保した設計とすることが考えられるが、この場合、製造上の寸法バラツキ等により前記隙間を一定に管理するのが困難であり、上記のように、係止突起(3)が筒体(1)に接触してしまう場合を生じてしまう。
更に、寸法バラツキ等を考慮して、前記隙間を大きめに設定することも考えられるが、この場合には、比較的に肉薄な被挟持物を挟持できなかったり、挟持できたとしてもその挟持力が弱くなってしまったり等の問題がある。
実開昭58−147790号公報
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、被挟持物を容易に抜けてしまうことのないように確りと挟持することができる上、クリップ部と軸筒との当接に起因する傷や塗装の剥れ等を、防止するとともに目立たなくすることができる筆記具を提供することにある。
上記課題を解決するために第一の発明は、クリップ部の裏面側に玉部を突設し、該玉部と軸筒との間で被挟持物を挟持するようにした筆記具において、前記玉部は、所定間隔を置いて配置された少なくとも二つの突片部を具備してなり、前記軸筒の外周面には、前記クリップ部の裏面側の部位であって且つ前記少なくとも二つの突片部の間となる部位に当接するように、当接突部が設けられ、前記各突片部の突端部は、前記当接突部の頂部よりも軸筒軸心側に位置し、前記少なくとも二つの突片部と前記軸筒の外周面との間には、前記当接突部と前記クリップ部との当接により、隙間が確保されていることを特徴とする。
上記クリップ部を上記軸筒に支持する構造は、クリップ部と軸筒との間を狭めるように付勢するようにしたものであればよく、具体例としては、クリップ部の後端側を弾性的に変形可能な止着部材により軸筒に止着し、該クリップ部先端側の玉部と軸筒との間が前記止着部材の付勢により狭まれるようにした態様や、クリップ部を弾性的に変形可能な材料から形成し、該クリップ部の後端側を軸筒に止着することで、該クリップ部先端側の玉部と軸筒との間がクリップ部自体の弾性により狭まれるようにした態様等が挙げられる。
また、上記突片部の突出量は、上記当接突部と上記クリップ部との当接によって、軸筒との間に隙間が確保されるように設定してある。
また、上記突片部の配設数は、二つ以上であっても構わないが、特に製造性に優れた簡素構造にするためには、二つとすることが好ましい。
また、少なくとも二つの上記突片部の配設方向は、上記当接突部と上記クリップ部との当接による傷や塗装の剥げを目立たなくする観点より、クリップ部の長手方向(換言すれば軸筒の軸方向)とするのが好ましいが、クリップ部の幅方向や前記長手方向と交差する方向等であってもよい。
また、上記突設部は、クリップ部の長手方向と幅方向との双方向にわたって配設されていてもよい。
また、第二の発明では、上記クリップ部には、上記当接突部に当接させるように、上記突片部よりも突出量の小さい被当接突部が設けられていることを特徴とする。
また、第三の発明では、上記突片部は、上記クリップ部の幅方向に配設され、上記当接突部よりもクリップ後端側へ所定間隔離れた部位を部分的に、上記当接突部の頂部よりも上記軸筒の軸心側へ向かって突出させていることを特徴とする。
また、第四の発明では、上記突片部は、上記クリップ部の幅方向に配設され、上記当接突部よりもクリップ前端側に配置された前側突縁部と、上記当接突部よりもクリップ後端側に配置された後側突縁部とを、それぞれ軸筒軸心へ向かって突出する凸曲状に形成するとともに、前記前側突縁部を、前記後側突縁部よりも緩やかに曲る凸曲状に形成していることを特徴とする。
ここで、「前記前側突縁部を、前記後側突縁部よりも緩やかに曲る凸曲状に形成」の具体例としては、上記前側突縁部及び上記後側突縁部を放物線状に形成するとともに該前側突縁部の曲率を後側突縁部の曲率よりも小さくした態様、上記前側突縁部及び上記後側突縁部をR加工状に形成するとともに該前側突縁部のR(半径)を後側突縁部のR(半径)よりも大きくした態様等が挙げられる。
また、第五の発明では、クリップ部の裏面側に玉部を突設し、該玉部と軸筒との間で被挟持物を挟持するようにした筆記具において、前記玉部は、前記クリップ部の幅方向に所定間隔を置いて配置された少なくとも二つの突片部と、これら突片部の間から該突片部よりも軸筒方向へ突出する当接突部とを具備してなり、前記軸筒の外周面には、前記クリップ部の前記当接突部を出入り可能にする凹部が設けられ、前記少なくとも二つの突片部と前記軸筒の外周面との間には、前記クリップ部の前記当接突部と前記凹部内の底面との当接により、隙間が確保されていることを特徴とする。
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
第一の発明によれば、被挟持物を挟持した状態では、その被挟持物は、軸筒の当接突部により押圧されるとともに、該当接突部の両側が突片部により反対方向から押圧されるため、撓んだ状態で挟持されることになる。したがって、被挟持物を容易に抜かれることのないように確りと挟持することができる。
その上、被挟持物を挟持しないでクリップ部が閉じられた状態では、突片部と軸筒の外周面との間に隙間が確保される。この隙間は、当接突部とクリップ部との当接により維持されるため、製造上の寸法バラツキ等による影響を受け難い。
したがって、突片部が軸筒外周面に接触することで、突片部や軸筒外周面に傷がついたり軸筒外周面の塗装が剥れたり等することがない。その上、軸筒の当接突部とクリップ部と間の隙間寸法を、薄肉な被挟持物でも挟持可能な小さめの寸法に設定したとしても、製造上の寸法バラツキ等により、前記隙間が確保されないという不具合を回避することができる。
しかも、当接突部とクリップ部との当接により、その当接箇所に傷がついたりその当接箇所の塗装が剥れたり等したとしても、その当接箇所が突片部により隠されるため、前記傷や塗装の剥れ等が目立たない。
よって、被挟持物を容易に抜けてしまうことのないように確りと挟持することができる上、クリップ部と軸筒との当接に起因する傷や塗装の剥れ等を、防止するとともに目立たなくすることができる。
更に、第二の発明によれば、当接部と被当接部との双方の突出量を適宜に設定して、被挟持物の抜け易さ及び抜け難さを適切に設定できる上、挟持される被挟持物の撓み量を適切にして、該被挟持物に撓み跡が付いてしまうのを防止することができる。
すなわち、仮に、当接突部の突出量を比較的小さくするとともに非当接突部の突出量を比較的大きくすれば、挟持された被挟持物の撓み量が比較的小さくなるため、該被挟持物を比較的抜け易い状態に挟持することができる。
また、当接突部の突出量を比較的大きくするとともに被当接部の比較的突出量を小さくすれば、挟持された被挟持物の撓み量が比較的大きくなるため、該被挟持物を比較的抜け難い状態に挟持することができる。
更に、第三の発明によれば、被挟持物を挟持した際、突片部における当接突部よりもクリップ後端側の部位により、被挟持物を部分的に軸筒側へ撓ませることができる。したがって、挟持される被挟持物を、一層抜け難くすることができる。
更に、第四の発明によれば、比較的緩やかに曲る凸曲状の前側突縁部により、被挟持物が差し込まれる際の抵抗が小さくなり、また、比較的急に曲る凸曲状の後側突縁部により、挟持された被挟持物の抜き抵抗が大きくなる。
したがって、被挟持物の差し込みを容易にするとともに、挟持された被挟持物を更に抜け難くすることができる。
また、第五の発明によれば、被挟持物を挟持した状態では、その被挟持物は、クリップ部の当接突部により押圧されるとともに、該当接突部の両側が軸筒の凹部の縁により反対方向から押圧されるため、撓んだ状態で挟持されることになる。したがって、被挟持物を容易に抜かれることのないように確りと挟持することができる。
その上、被挟持物を挟持しないでクリップ部が閉じられた状態では、クリップ部の当接突部が凹部内の底面に当接することで、突片部と軸筒の外周面との間に隙間が確保される。
したがって、突片部が軸筒外周面に接触することで、軸筒外周面に傷がついたり軸筒外周面の塗装が剥れたり等することがない。
しかも、当接突部と凹部内の底面との当接により、その当接箇所に傷がついたりその当接箇所の塗装が剥れたり等したとしても、その当接箇所が凹部内に位置するため、前記傷や塗装の剥れ等が目立たない。
よって、被挟持物を容易に抜けてしまうことのないように確りと挟持することができる上、クリップと軸筒との当接に起因する傷や塗装の剥れ等を、防止するとともに目立たなくすることができる。
以下、本発明に係る筆記具の一例を図面に基づいて説明する。
筆記具A1は、筆記部を出没させる機構等(図示せず)を内在する略円筒状の軸筒10と、該軸筒10の後端側に装着されたクリップ部20とを備え、軸筒10とクリップ部20との間に被挟持物xを挟持するように構成してある(図1参照)。
軸筒10は、その後端側にクリップ部20を支持するための略山形状の支持部11を形成するとともに、該支持部11よりも前方側に平坦面部12を形成し、更に平坦面部12の表面に,後述するクリップ部20に当接させるための当接突部13を形成している。
前記平坦面部12は、軸筒10の軸心に略平行な平面であり、おおよそクリップ部20を含む範囲に形成され、挟持される被挟持物xとの接触面積を増やすことで、該被挟持物xが容易に抜けてしまわないようにしている。
すなわち、仮に軸筒10が前記平坦面部12のない円筒状であり、被挟持物xが平坦状の物である場合、この軸筒の円筒状の外周面と被挟持物xとの接触が線接触となるため、挟持された被挟持物xが抜け易くなってしまう。
しかしながら、当該筆記具A1では、軸筒10の平坦面部12を、被挟持物xに対して略面接触させることで、被挟持物xの引き抜けを防止している。
なお、実際には、被挟持物xは可撓性である場合が多く撓むため、平坦面部12を備えない前者態様であっても、軸筒の外周面と被挟持物xとが略面接触する場合もあるが、当該筆記具A1では、平坦面部12によって被挟持物xとの面接触性をより良好にし、被挟持物xの引き抜けを防止している。
また、上記当接突部13は、その前側に比較的緩やかな傾斜面13aを形成するとともに、後側に、前記傾斜面13aよりも曲率の大きい凸曲状の曲面部13bを形成してなり、後述するクリップ部20の被当接突部21に対向するように、前記平坦面部12上に配置されている。
そして、この当接突部13は、クリップ部20と軸筒10との間への被挟持物xの進入を、前記傾斜面13aによって容易にするとともに、挟持された際の被挟持物xの引き抜けを、前記曲面部13bによって防止している。
また、上記クリップ部20は、その後端側に軸筒10の支持部11に支持される突状の被支持部22を備え、該被支持部22よりも前方側の部位と後方側の部位とが軸筒10に対して交互に接近離間するよう支持されている。
そして、このクリップ部20は、軸筒10とクリップ部20との間にわたって付勢部材30を係合している。この付勢部材30は、弾性変形可能な金属性の帯状部材を略U字状に曲げることで形成され、前記被支持部22よりも前方側の部位を軸筒10に接近させるように付勢している。
また、このクリップ部20の前端側には、玉部20aが構成されている。
この玉部20aは、クリップ部20の幅方向に所定間隔を置いて略平行に配置された二つの突片部23,23と、これら突片部23間にわたって配置された被当接突部21とからなる(図2参照)。
各突片部23は、クリップ部20の前端側に配置された前側突縁部23aと、クリップ部20の後端側に配置された後側突縁部23bとからなり、これら前側突縁部23aと後側突縁部23bとを、それぞれ軸筒10の軸心側へ向かって突出する凸曲状に形成している。
前側突縁部23aは、前記後側突縁部23bよりも曲率の小さい凸曲状、詳しくは後側突縁部23bよりも半径の大きいR加工状に形成されることで、クリップ部20と軸筒10との間への被挟持物xの挿入を容易にする。
この前側突縁部23aは、その突端部を、クリップ部20が閉じられた状態(図1(b)に示す状態)で前記当接突部13の頂部よりも軸筒10の軸心側に配置している。
後側突縁部23bは、前記前側突縁部23aよりも曲率の大きい凸曲状、詳しくは前側突縁部23aよりも半径の小さいR加工状に形成されることで、挟持された際の被挟持物xが引き抜けてしまうのを防止する。
また、同後側突縁部23bは、軸筒10の当接突部13よりもクリップ部20の後端側へ所定間隔離れた部位に配置される。
この後側突縁部23bは、同突片部23における他の部位よりも局部的に、軸筒10方向へ突出しており、その突端部を、クリップ部20が閉じられた状態(図1(b)に示す状態)で前記当接突部13の頂部よりも軸筒10の軸心側に位置するように配置している。
そして、この後側突縁部23bは、前記配置により、挟持された際の被挟持物xを、軸筒10の軸心側へ向かって撓ませて、一層引き抜き難くする。
また、被当接突部21は、軸筒10の当接突部13に当接し、且つ上記突片部23よりも突出量が小さくなるように、クリップ部20に一体成形されている。
詳細に説明すれば、この被当接突部21は、その軸筒軸方向の長さ(図1における左右方向の長さ)を、上記当接突部13よりも若干短く設定するとともに、クリップ部幅方向の長さ(図2における左右方向の長さ)を、当接突部13の幅方向の長さよりも若干長く設定している。
そして、この被当接突部21は、その突端面21aを当接突部13の傾斜面13aに略倣った傾斜状に形成し、この傾斜した突端面21aを、クリップ部20が閉じられた際に(図1(b)に示す状態)、当接突部13の後半部側に略面接触させる。
したがって、挟持された際の被挟持物xは、被当接突部21と当接突部13との双方により略面接触されるため、その接触の際の摩擦抵抗により引き抜けが防止される。
次に、上記構成の筆記具A1による作用効果について詳細に説明する。
上記筆記具A1に被挟持物xを挟持させるには、クリップ部20の後端部が押圧され、クリップ部20と軸筒10との間が開放されて(図1(a)に示す状態)、その間に被挟持物xが差し込まれる。
あるいは、クリップ部20と軸筒10との間が閉じられた状態(図1(b)に示す状態)で、その間に被挟持物xが差し込まれ、その被挟持物xによりクリップ部20が弾性的に持ち上げられるようにしてもよい。この場合、被挟持物xは、突片部23における凸曲状の前側突縁部23aに摺接されることで、スムーズに突端面21a及び突片部23と当接突部13との間へ導かれることになる。
そして、被挟持物xは、クリップ部20と軸筒10との間に挟持された状態で、軸筒10の軸方向における当接突部13よりも後方側(図1における右方向側)の部位と、同当接突部13よりも前方側(図1における左方向側)の部位とが、それぞれ前側突縁部23aの突端部と後側突縁部23bの突端部とによって押圧されるため、これら双方の部位を当接突部13の頂部よりも軸筒10側へ撓ませる。
それと同時に、同被挟持物xは、被当接突部21の突端面21aと当接突部13の傾斜面13aとの間に、挟まれるとともに、これら突端面21aと傾斜面13aとの双方により略面接触される。
更に、同被挟持物xは、クリップ部20の幅方向(図2における左右方向)において、当接突部13よりもクリップ幅方向の一方側の部位と、同当接突部13よりもクリップ幅方向の他方側の部位とが、それぞれ一方の突片部23と他方の突片部23とに押圧されるため、これら双方の部位を、当接突部13の頂部よりも軸筒10側へ撓ませる。
よって、クリップ部20と軸筒10との間の被挟持物xは、被当接突部21と当接突部13との間の近傍で局部的撓むため、容易に抜けてしまうことなく確りと挟持される。
また、被挟持物xを挟持しない状態で、クリップ部20と軸筒10との間が閉じられた際には、被当接突部21と当接突部13とが当接することにより、クリップ部20の各突片部23と軸筒10の平坦面部12との間に隙間が確保される。
したがって、突片部23や平坦面部12に傷が付いたり、突片部23や平坦面部12の塗装が剥れたりするようなことがない。
しかも、被当接突部21と当接突部13との当接箇所が、両側の突片部23,23により目視し難い状態にされるため、仮に、前記当接によって被当接突部21や当接突部13に傷がついたり、被当接突部21や当接突部13の塗装が剥れたり等したとしても、その傷や塗装の剥げ等は殆ど目視されることがなく、外観上の品質が損なわれてしまうことがない。
次に、本発明に係わる筆記具の他例について説明する。なお、以下に示す筆記具について、上記筆記具A1と略同様の箇所については、上記筆記具A1と同一の符号を用いることで、重複する詳細説明を省略する。
図5に示す筆記具A2は、上記構成の筆記具A1におけるクリップ部20から被当接突部21を省き、当接突部13’の頂部を直接クリップ部20の裏面に当接させるようにした態様である。
この筆記具A2におけるクリップ部20は、玉部20aを二つの突片部23,23のみから構成している。
当接突部13’は、上記筆記具A1の当接突部13よりも突出量が大きく設定されていおる。そして、この当接突部13’は、クリップ部20が閉じられた際に、クリップ部20の突片部23,23間の底面(クリップ部20の裏面)に当接することで、各突片部23と軸筒10外周面との間の隙間を確保する。
この筆記具A2によれば、当接突部13’及び突片部23により、被挟持物(図示せず)を局部的に撓ませて挟持することができる。したがって、挟持される前記被挟持物は、容易に抜けるようなことがない。
また、各突片部23と軸筒10との間には、当接突部13’の頂部とクリップ部20の裏面との当接により、隙間が確保される。したがって、各突片部23の突端部や軸筒10の外周面には、傷付きや塗装の剥げを生じ難い。
更に、当接突部13’の頂部とクリップ部20の裏面との当接により、仮に当接突部13’やクリップ部20の裏面に傷や塗装の剥げ等を生じたとしても、その傷や塗装の剥げが両突片部23,23により略隠されるため、外観上の品質が損なわれてしまうことも殆どない。
なお、この筆記具A2は、当接突部13’の突出量が比較的大きいため、被挟持物の撓み量が大きい。したがって、被挟持物の撓み量を適宜に調整し、被挟持物に撓み跡を付けないようにするためには、この筆記具A2よりも、上記筆記具A1のように被当接突部21を備えた構成とする方が好ましい。
また、図6に示す筆記具A3は、上記構成の筆記具A1における突片部23,23を突片部23’,23’に置換した態様である。
突片部23’は、クリップ部20の長さ方向(軸筒10の軸方向)に所定間隔をおいて二つ配設されている。そして、これら両突片部23’,23’間にわたって被当接突部21’が設けられている。
被当接突部21’は、軸筒10の当接突部13”に当接し、且つ前記突片部23’よりも突出量が小さくなるように、クリップ部20に一体成形されている。
当接突部13”は、クリップ部20が閉じられた際に前記両突片部23’,23’間の被当接突部21’に当接するように軸筒10の外周面に突設されている。そして、この当接突部13”は、被当接突部21’との当接により、各突片部23’と軸筒10外周面との間に隙間を確保する。
この筆記具A3によれば、当接突部13”及び突片部23’により、被挟持物(図示せず)を局部的に撓ませて挟持することができる。したがって、挟持される前記被挟持物は、容易に抜けるようなことがない。
また、各突片部23と軸筒10との間には、当接突部13”の頂部とクリップ部20の被当接突部21’との当接により、隙間が確保される。したがって、各突片部23の突端部や軸筒10の外周面には、傷付きや塗装の剥げが生じ難い。
更に、当接突部13”の頂部とクリップ部20の被当接突部21’との当接により、仮に当接突部13”や被当接突部21’に傷や塗装の剥げ等を生じたとしても、その傷や塗装の剥げは、両突片部23’,23’間に位置するため、軸筒10の軸方向側からは目視されない。
なお、当接突部13”や被当接突部21’の前記傷や塗装の剥げは、軸筒10の側面視方向からは目視されてしまう場合がある。したがって、外観上の品質を向上するという観点からは、この筆記具A3よりも、上述した筆記具A1及び筆記具A2のように、突片部23,23をクリップ部20の幅方向に配設した態様の方が好ましい。
また、図7に示す筆記具A4は、上記構成の筆記具A1における軸筒10の当接突部13を、凹部14に置換するとともに、筆記具A1におけるクリップ部20の被当接突部21を被当接突部21”に置換した構成としている。
凹部14は、軸筒10の外周面における平坦面部12に設けられ、クリップ部20が閉じられた際に被当接突部21”の突端部を没入させるように形成されている。
被当接突部21”は、上記突片部23よりも突出量が大きく、クリップ部20が閉じられた際に前記凹部14の底面に当接することで、各突片部23と軸筒10外周面(平坦面部12)との間に隙間を確保する。
この筆記具A4によれば、凹部14及び被当接突部21”により、被挟持物(図示せず)を局部的に撓ませて挟持することができる。したがって、挟持される前記被挟持物は、容易に抜けるようなことがない。
また、各突片部23と軸筒10との間には、凹部14底面と被当接突部21”の頂部との当接により、隙間が確保される。したがって、各突片部23の突端部や軸筒10の外周面には、傷付きや塗装の剥げが生じ難い。
更に、凹部14底面と被当接突部21”との当接により、仮に凹部14底面や被当接突部21”に傷や塗装の剥げ等を生じたとしても、その傷や塗装の剥げは、凹部14内に略隠されるため、外観上の品質が損なわれてしまうこともない。
本発明に係る筆記具の一例を示す要部断面図であり、(a)クリップ部が開放された状態を示し、(b)はクリップ部が閉じた状態を示している。 図1における(II)−(II)線断面図。 同筆記具のクリップ部を裏面側から視た要部斜視図。 同筆記具の軸筒を示す要部斜視図。 本発明に係る筆記具の他例を示す要部断面図。 本発明に係る筆記具の他例を示す要部断面図。 本発明に係る筆記具の他例を軸線方向に直交する断面で示す要部断面図。
符号の説明
20:クリップ部
20a:玉部
10:軸筒
23:突片部
13:当接突部
13’,13”:当接突部
21,21”:被当接突部
23,23’:突片部
23a:前側突縁部
23b:後側突縁部
14:凹部
A1,A2,A3,A4:筆記具

Claims (5)

  1. クリップ部の裏面側に玉部を突設し、該玉部と軸筒との間で被挟持物を挟持するようにした筆記具において、
    前記玉部は、所定間隔を置いて配置された少なくとも二つの突片部を具備してなり、
    前記軸筒の外周面には、前記クリップ部の裏面側の部位であって且つ前記少なくとも二つの突片部の間となる部位に当接するように、当接突部が設けられ、
    前記各突片部の突端部は、前記当接突部の頂部よりも軸筒軸心側に位置し、
    前記少なくとも二つの突片部と前記軸筒の外周面との間には、前記当接突部と前記クリップ部との当接により、隙間が確保されていることを特徴とする筆記具。
  2. 上記クリップ部には、上記当接突部に当接させるように、上記突片部よりも突出量の小さい被当接突部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 上記突片部は、上記クリップ部の幅方向に配設され、上記当接突部よりもクリップ後端側へ所定間隔離れた部位を部分的に、上記当接突部の頂部よりも上記軸筒の軸心側へ向かって突出させていることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
  4. 上記突片部は、上記クリップ部の幅方向に配設され、上記当接突部よりもクリップ前端側に配置された前側突縁部と、上記当接突部よりもクリップ後端側に配置された後側突縁部とを、それぞれ軸筒軸心へ向かって突出する凸曲状に形成するとともに、
    前記前側突縁部を、前記後側突縁部よりも緩やかに曲る凸曲状に形成していることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の筆記具。
  5. クリップ部の裏面側に玉部を突設し、該玉部と軸筒との間で被挟持物を挟持するようにした筆記具において、
    前記玉部は、前記クリップ部の幅方向に所定間隔を置いて配置された少なくとも二つの突片部と、これら突片部の間から該突片部よりも軸筒方向へ突出する当接突部とを具備してなり、
    前記軸筒の外周面には、前記クリップ部の前記当接突部を出入り可能にする凹部が設けられ、
    前記少なくとも二つの突片部と前記軸筒の外周面との間には、前記クリップ部の前記当接突部と前記凹部内の底面との当接により、隙間が確保されていることを特徴とする筆記具。
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