JP2004181541A - 工作機械 - Google Patents

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Haruhisa Yamashita
晴央 山下
Ichiro Yoshida
一郎 吉田
Hitoyasu Yano
仁康 矢野
Kotaro Matsumoto
康太郎 松本
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Abstract

【課題】ボールネジ駆動方式やリニアモータ駆動方式の両駆動方式のメリットを最大限に発揮できる送り装置を混合使用した工作機械を提供する。
【解決手段】第1水平方向に高速送りするアルミ複合鋳物材のガントリ5には、上下一対のリニアモータ駆動手段LMを備え、上下方向に昇降移動されるサドル(ラムと主軸を備える)6には、ボールネジ昇降駆動手段BSyを備え、ラム7と主軸8を第2水平方向に送り制御する駆動系にはボールネジ進退駆動手段BSzを備えた工作機械である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸先端に取付けた工具をNC制御装置により三次元方向に直交移動させて被加工物を加工する工作機械の送り装置に係り、特に、各軸送り装置の方式を最適化させるとともに高剛性で軽量化したガントリを備えた工作機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、主軸先端の工具をNC制御装置により三次元方向に直交移動させて被加工物を加工する工作機械の送り装置には、ボールネジとナット及びこのボールネジを回転駆動する送りモータとで構成されたボールネジ駆動方式が古くから採用されている。このボールネジ駆動方式において、主軸頭等をコラム内で上下方向に昇降させるべく垂直軸に1本の送りねじ軸だけで構成すると、この送りねじ軸の配置が左右非対称となる。これがために、コラムの熱分布の非対称性や送りねじ軸の熱膨張による荷重分布の非対称性が起きる。また、制御機構の3軸方向制御によっても補正困難な回転成分の変位を含むX軸方向およびZ軸方向の倒れがコラムに生じ、あるいは、これらの熱変形を防止するためには機構的な制約が大きく、主軸頭の正確な位置および姿勢の制御が困難になる。このような問題の解消策として、主軸頭の上下移動用の送りねじ軸をコラム断面の図心軸に対し、ほぼ面対称位置に複数本配置(通常は2本)するとともに、主軸頭や駆動モータ等の熱源を図心位置に取付けることで、コラムの構造的や熱的対称性を確保し、コラムに倒れや曲がりなどの軸方向と異なる方向の熱変位が発生することを防止し,且つ軸方向の熱変位を3軸制御によって補正している。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−38335号公報 (第1図と第7図〜第9図、明細書の第2ページの第4欄の第11行目〜第19行目に記載)
【0004】
上記主軸頭の上下移動用の送りねじ軸をコラム断面の図心軸に対し、ほぼ面対称位置に複数本配置したものにおいて、主軸頭にクイル(ラム)を備えていると、水平方向となる主軸の軸心方向にクイル(ラム)を進退移動させると、主軸頭には前撓みや後撓みを生じさせる荷重と変形(静的変位)が起き、主軸頭を支持するコラムにも前後方向の撓み変位を起こさせて加工精度の低下原因になっている。この根本的な解決策は、クイル(ラム)が進退移動してもコラムやサドルの前後変位(静的変位)が生じないように、サドルの前後両側(4箇所)に、主ガイド機構と副ガイド機構と更に変位吸収機構のスライド機構を配置した昇降支持手段を備えたものがある。これにより、静的剛性と動的剛性とを高めている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献2】
特開2000−24853号公報 (図1、明細書の段落「0024」〜「0036」に記載)
【0006】
そして、上記ボールネジ駆動方式の最大のメリットは、送り機構がボールネジとナットと送りモータとの動力伝達系からなるシンプル構成であり、且つ製造コストも安く、制御系も容易で、移動体の位置決め制御が比較的に正確に行えることにある。このため、工作機械の送り機構と言えば、ほとんどの工作機械がボールネジ方式を採用している。また、ボールネジ方式のメリットとして、移動体を垂直上下方向に位置決め移動する垂直送り系において、ボールネジとナット間の螺合関係にあって、移動体の自重によりナットに掛かる垂直下方の押下力ではボールネジを回転させ難いから、モータがサーボオフとなっても移動体を自然落下させないブレーキ機能の対策が施し易い利点がある。従って、特別に垂直移動体の重力バランサーを装備しなくても良く、工作機械全体のコストパーフォーマンスにも大きく貢献している。更に、コラムに支持されている主軸頭の上下送りねじ軸をコラム断面の図心軸に対し、ほぼ面対称位置に2本配置することで、コラムの熱変位を防止し、主軸頭の正確な位置および姿勢の制御ができる。
【0007】
上記ボールネジ駆動方式には、デメリットも存在する。例えば、ボールネジとナット間が螺合接続され、ボールネジの両端部も軸受支持された接触構造であるために、接合部での摩耗が避けられない。この摩耗がバックラッシュ、ピッチ誤差の原因となり、使用頻度が多くなると移動体に送り誤差を生じさせて正確な位置決め制御が困難になる。その対策として、各軸独立したフィードバック制御を盛り込まなければならず、制御系の複雑化とコストアップ要因になっている。また、ボールネジは重量物で、その両端部を軸受で支持する構成となっている。特に、ボールネジを水平姿勢に配置すると、ボールネジの中腹部が自重で撓み変形し、この中間部にナットが螺合されるから、ナットに大きな撓み荷重が掛かって円滑な送りが実行できず、偏摩耗を早める。特に、主軸やラム、サドル等を搭載した移動体(ガントリ等)をX軸線の水平方向へ移動させる送りは、長いストロークを要求されるために、他の2軸線方向(上下・前後方向)に比べてボールネジの撓みが最も深刻な問題になる。更に、横形工作機械において、主軸頭にクイル(ラム)を備えたものでは、主軸頭に左右の熱変位や前撓み・後撓みを生じさせる。この荷重変位と撓み変形を防止するために、前後方向に長いコラムの前後端にサドルとの主ガイド機構と副ガイド機構とを設け、更にコラムの前後吸収機構及び2本の上下送りねじ軸とを装備しものでは、コラムの前後吸収機構のために、コラムに発生する前後方向への偏荷重や熱変位を許容してしまう。これがため、サドルやクイル(ラム)は、前後4本のレール部材による支持でありながらも、コラムの前後方向への変位により、静的剛性・動的剛性が得られない。
【0008】
他方、最近では、加工時間の短縮化のために、例えば、移動体(ガントリ等)は、X軸線の水平方向への移動速度を、少なくとも3810cm/分の速度および1Gの加速度・減速度で前進動・後退動させなければならない要求がある。このような移動体(ガントリ)の高速移動は、上記ボールネジ方式では実施不可能であり、何らかの新方式に切換えなければならない事態になっている。
【0009】
そこで、加工時間の短縮化のための1つの解決策として、各軸の送り速度をより一層高速化させるべく、永久磁石と励磁用巻線コイルを移動体(ガントリ等)の移動方向に1直線状に配置させ、この推進力により移動体を高速移動させるリニアモータ駆動方式が採用されている。(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
【特許文献3】
特開平9−262727公報 (図1、明細書の第3ページに記載)
【0011】
上記移動体(ガントリ等)を高速移動させるリニアモータ駆動方式は、各軸に一対のリニアモータを配置し、早送りバランスが良好に取れる構成としている。このリニアモータ駆動方式の最大のメリットは、移動体(ガントリ等)を、少なくとも3810cm/分の速度および1Gの加速度・減速度で前進動・後退動させられることにある。更に、駆動機構は、接触部を持たない「非接触の駆動系」となり、ボールネジのような摩擦・摩耗現象が無く、何時までも初期設定した条件での送り性能・精度が維持できることである。そして、長いストロークとなるX軸線の水平方向への移動に際しても、移動体(ガントリ等)は、円滑なハイスピード送りが実行できる。
【0012】
しかし、上記リニアモータ駆動方式には、その反面のデメリットも存在する。例えば、移動体(ガントリ等)は、1G以上の加速度・減速度を受けるから、高剛性で軽量化が要求される。リニアモータは、線形方向(移動方向)の推力以外に、永久磁石と励磁用巻線コイルとの対向面に対して垂直な磁気垂直力を発生する。この磁気垂直力は、永久磁石と励磁用巻線コイルとの間に吸引力として作用する。この吸引力は定格推力の約10倍と非常に大きい数値を示すから、移動体となるガントリやサドル及びラム、固定フレームや各軸のガイドレールとレール案内部材等に大きな歪み力として与える。これらのことは、必然的に各部の剛性強化を余儀なくされて工作機械の大型化が免れないし、大型化を図ると必要推力を大きくしなければならない。即ち、リニアモータ駆動部は、非接触のためその耐久性が向上するが、磁気垂直力のために各軸のガイドレールとレール案内部材の摩耗が激しくなり、この部材の寿命を縮める。これを防止させるべく、各部の剛性強化の対策を採ると、機械の大型化により益々磁気垂直力が増大すると言う悪循環を生じさせている。
【0013】
また、リニアモータ駆動方式を、サドル等の移動体を垂直軸線方向(Y軸方向)に昇降移動させるものに採用すると、リニアモータがサーボオフになった時、吸引磁気力が消滅して移動体が重力で自然落下し、不慮の事故の原因になる。そこで、リニアモータ駆動方式を垂直軸線方向(Y軸方向)に採用する場合は、このサドル等の移動体に、重力バランスシリンダ等の均衡装置を設置させる必要が生じる。この重力バランスシリンダ等の均衡装置の設備費やメンテナンス費等が工作機械に上乗せされ、高価なリニアモータとともに均衡装置の追加で、工作機械全体の製造コストを非常に高いものにする問題がある。(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
【特許文献3】
特開平9−262727公報 (図1、明細書の段落「0026」に記載)
【0015】
更に、上記リニアモータ駆動方式では、励磁用巻線コイルに大電流を流す関係から、励磁用巻線コイルや磁化される鉄心が発熱し、この発熱が移動体となるガントリやサドル及びラム、固定フレーム等を加熱して熱歪みを発生させる。この熱歪み抑制対策として、励磁用巻線コイルや磁化される鉄心の発熱を、冷却装置により強制冷却する実施が余儀なくされる。この冷却装置の装備で加工精度が維持されるものの、機械の設備費や運転コスト(ランニングコスト)を大幅に引上げる要因となる。これがために、工作機械の製造コストやランニングコストのみならず、この工作機械で製造された加工品の加工コストを引き上げてしまうと言う問題がある。この問題は、3軸をリニアモータ駆動方式とした工作機械において、非常に深刻で顕徴に現われる。
【0016】
そこで、上記ボールネジ駆動方式および上記リニアモータ駆動方式が持つ、それぞれのメリットを生かした両駆動方式を混合使用した工作機械の開発が、上記問題の解決に結び付くのではないかと言う発想がある。その様な発想による工作機械の一例として、例えば、横型工作機械において、X軸線方向(水平方向)の移動体の移動とY軸線方向(垂直上下方向)の移動体との移動には、リニアモータ駆動方式を採用し、Z軸線方向(主軸の軸芯方向)の送りにボールネジ駆動方式を採用したものが提供されている。(例えば、特許文献4参照。)。
【0017】
【特許文献4】
特開2000−237923公報 (図1〜図3、明細書の段落「0009」〜「0011」に記載)
【0018】
しかし、上記両駆動方式を混合使用した工作機械は、Z軸線方向の移動コラムと、この移動コラム内に配置したY軸移動体と、このY軸移動体内に配置したX軸移動体と、このX軸移動体の前端部に主軸を配置した構成をなしている。このため、Y軸線方向(垂直上下方向)の移動体にはリニアモータ駆動方式を採用している関係から、一対のカウンタバランスの設置が必須になる。更に、全ての移動体を搭載したZ軸線方向の移動コラムは、その質量が最大でありながら下部に設けただけのボールネジ駆動方式であるため、少なくとも3810cm/分の速度および1Gの加速度・減速度で高速移動させることが困難である。上記両駆動方式を混合使用した工作機械の機械構成では、工作機械に求められるトータルバランスとして好ましくない実施例と言える。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本願出願人は、上記ホールネジ駆動式工作機械やリニアモータ駆動式工作機械に見られる問題点、更に、両駆動方式を混合使用した工作機械における問題点から導き出される問題解決のための課題を、下記のように整理した。即ち、▲1▼リニアモータ駆動式工作機械の製造コストやランニングの低減を図ることが求められること。▲2▼そのために、移動体の高速移動をリニアモータだけに頼らず、ボールネジ駆動方式との混合使用における最適化された組合わせの追及が求められること。▲3▼鉄鋼材で造られていた各種移動体(ガントリやサドル・ラム)について、高速移動に耐えられるように、重量軽減化と剛性強化や振動に対する減衰性の向上、リニアモータからの伝熱を放熱冷却する為に熱伝導率の良い材質の選択が求められること。▲4▼主軸にクイル(ラム)を備えた横形工作機械において、ガントリ及びサドルの静的剛性と動的剛性の向上が、送り構成の簡素化と言う条件で求められる。
【0020】
本発明は上記課題を解決せんとするもので、第1の目的は、両駆動方式のメリットを最大限に発揮できる条件のもとに送り装置を混合使用し、製造コストやランニングコストの低減を図った工作機械を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、工作機械の特に、ガントリとサドル等の軽量化と剛性(静的・動的)と放熱性を高めた工作機械を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1及び第2目的を達成する請求項1の工作機械は、ベッドと、このベッド上面に垂直姿勢に固定されその中央部に矩形窓を開けた固定枠体と、矩形の開口窓を中央部に設けて上記ベッド上面を第1水平方向に移動するガントリと、上記ガントリの矩形の開口窓内で上下方向に案内されるサドルと、上記サドルにより第1水平方向と直交する第2水平方向に移動するよう案内されたラムと、上記ラムにより第2水平方向に延設された軸線の周りに回転するように支持され前端部に工具を着脱可能に装着する主軸と、上記主軸を回転させる主軸回転モータと、上記主軸の前方ベッド等の上にワークを搭載したワークテーブルとからなる工作機械において、上記ガントリはアルミ複合鋳物材により鋳物一体構造に形成され、このガントリは固定枠体の前面側に重複した関係で移動できるように配置され、更に、上記ガントリの下面とベッド上面との間に配置した下部ガイド手段と上記固定枠体の前面上部と上記ガントリの背面上部との間に配置した上部ガイド手段とで上記ガントリを第1水平方向に案内する第1ガイド手段を構成するとともに、下部ガイド手段の近傍にこれと平行に設けた下部リニアモータと上部ガイド手段の近傍にこれと平行に設けた上部リニアモータとで第1水平方向に駆動するリニアモータ駆動手段を構成し、上記ガントリの矩形の開口窓内で上下方向に案内されるサドルをアルミ複合鋳物材で構成し、このサドルの両外側とガントリの両内側にニ対の第2ガイド手段を構成し、上記ガントリの両側柱材の前面とサドルの左右両外側との間に2本のボールネジからなるボールネジ昇降駆動手段を構成し、上記サドル内のラムをアルミ複合鋳物材で構成するとともに、このラムには第2水平方向に案内する第3ガイド手段と、第2水平方向に前後駆動させるボールネジ進退駆動手段とを構成したことを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の目的を達成する請求項2の工作機械は、上記請求項1記載の工作機械において、上記ガントリのアルミ複合鋳物材及びサドル及びラムのアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材であることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の目的を達成する請求項3の工作機械は、上記請求項1記載の工作機械において、上記ガントリは、この両側柱材の断面形状を略正方形管とするとともに、第1ガイド手段を介して固定枠体にその背面上部を保持し、上記ガントリ内のサドルを上下方向に案内する第2ガイド手段は、上記ガントリの両側柱材の前面および後面に上下方向に向けて取付けた4本のレール部材と、この4本のレール部材を含めたガントリの重心位置にサドルの重心位置を一致させるとともに、第2水平方向に移動するラムを内装したサドルの左右側面4箇所に配置したレール案内部材とを係合せてなり、更に、上記サドルのボールネジ昇降駆動手段は、上記ガントリの両側柱材の前面における上下部に支持され且つサドルの左右両外側との間に2本のボールネジを垂直姿勢に配置し、この2本のボールネジに螺合するナットをサドルのナット受部に連結して昇降モータで昇降駆動する構成としたことを特徴とする。
【0024】
【作用】
上記請求項1の工作機械は、ベッド上面の固定枠体の前面側に配置されたガントリは、アルミ複合鋳物材により鋳物一体構造に形成されており、この下面とベッド上面との間に下部ガイド手段と下部リニアモータが配置され、固定枠体の前面上部とガントリの背面上部との間に上部ガイド手段と上部リニアモータが配置されて第1水平方向に案内する第1ガイド手段とリニアモータ駆動手段を配備し、第1水平方向に駆動される。また、上記ガントリの矩形の開口窓内で上下方向に案内するサドルは、アルミ複合鋳物材で構成されており、この両外側にはガントリとの間に第2ガイド手段とボールネジ昇降駆動手段が配備され、これにより前後・左右の静的剛性と動的剛性が高められて、ヨーイング(変位・撓み)を起すことなく円滑に昇降駆動される。更に、上記サドル内に備えるラムは、アルミ複合鋳物材で構成されており、このラムには第2水平方向に案内する第3ガイド手段とラムを第2水平方向に駆動するボールネジ進退駆動手段を配備し、第2水平方向に前後駆動される。上記のように、各軸が異なる駆動方式の送り駆動装置により、ガントリやサドル・ラムが最適な送り機構の条件のもとに各軸方向に適切に送り制御される。
【0025】
その具体的な作用とメリットは、第1水平方向に長いストロークで高速送りを要求される重量の大きなガントリは、アルミ複合鋳物材による鋳物一体構造であるから、軽量でありながら剛性が高く、熱伝導効率も良いら熱変位が抑えられる。それに加えて、上下一対のリニアモータ駆動手段により、バランスの取れた送り推力が得られて安定した早送りと位置決め制御ができる。
【0026】
また、上記ガントリ内に備えるサドル(ラムと主軸を備える)は、アルミ複合鋳物材(軽量・高剛性)からなり、上下方向に昇降移動されるニ対の第2ガイド手段(4本のレール部材)と2本のボールネジ昇降駆動手段により昇降送りと位置決め制御が行われる。これにより、サドルの昇降時及びこの切り返えし動作時において、このサドルに前後・左右のヨーイング(変位・撓み)を起こさせない。そして、ワークの加工時にもアルミ複合鋳物材の高い動的剛性によりガントリとサドルの変位が見られず、高精度加工が行える。
【0027】
また、ボールネジ昇降駆動手段のサーボモータがサーボオフされても、ボールネジ昇降駆動手段とこの簡単な拘束手段によりサドルの落下事故を防止できる。即ち、リニアモータ駆動手段を昇降送りに採用した時に必須であったバランスシリンダの均衡装置が省略できる。この均衡装置の省略効果と安価なボールネジ昇降駆動手段とにより、上下方向の送り系は構造の簡素化と低コスト化とを可能にする送り系の実現に貢献している。
【0028】
更に、ラムにアルミ複合鋳物材を採用し、ラムと主軸を第2水平方向に送り制御する駆動系には、ボールネジ進退駆動手段を採用したことにより、この進退送りと位置決め制御が高い剛性と軽量化のもとに安定して行われる。
【0029】
以上のように、上記請求項1の工作機械は、ボールネジ駆動方式が持つメリットである工作機械全体のトータルな製造コスト(イニシャルコスト)の大幅な削減及び稼動時のランニングコストの大幅な低減が図れる。そして、リニアモータ駆動方式が持つメリットである特定軸となる第1水平方向(X軸線方向)の高速送り制御と高精度な位置決め制御が実施できる。更には、両駆動方式を混合使用したことにより得られる複合的なメリットが発揮される。そして、ガントリやサドル・ラムにアルミ複合鋳物材を採用することで、これら部材の軽量・高剛性・熱変位の低減が図れる。
【0030】
上記請求項2の工作機械は、請求項1において、ガントリのアルミ複合鋳物材及びサドル及びラムもアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に、20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材による鋳物一体構造としたから、鋳造時の湯流れが良くて高品質のアルミ複合鋳物が得られるとともに、高剛性で軽量(比重は鋳鉄の1/3)、熱伝導率の良好(鋳鉄の4倍)、振動減衰率の良好(鋳鉄より15%高い)な効果が得られる。しかして、ガントリは、この軽量化と高剛性化および振動に対する減衰特性の改善が図られる。また、サドル及びラムの剛性アップは、工作機械全体の剛性アップにつながり、一層円滑なサドル・主軸の高速送りが可能となり加工精度の改善と加工効率が高められる。
【0031】
上記請求項3の工作機械は、請求項1において、ガントリの両側柱材の前面および後面に上下方向に向けて4本のレール部材が取付けられ、この4本のレール部材に対して、サドルの左右側面4箇所に配置したレール案内部材となるベアリングブロツクを係合させて上下方向に摺動可能に支持されている。この支持状態は、4本のレール部材を含めたガントリの重心位置にサドルの重心位置が一致する関係になっている。この立体的な4点支持により、ガントリ上の4箇所でサドルの重心位置が四方から囲まれて支持されから、サドルの静的剛性と動的剛性が高められる。これでサドルは、前後・左右にヨーイング(撓み変位)することなく円滑に移動されるとともに、垂直姿勢に精密に保持される。
【0032】
更に、サドル上のラムが主軸頭の軸心方向となる前後に移動して偏荷重がサドルの前側・後側に撓みモーメントとして作用しても、4本のレール部材に支持されたサドルは、このヨーイング(撓みモーメント)による変位を起こさせない。これにより、サドルは、4本のレール部材により前後・左右の剛性の取れたバランスが保証される。
【0033】
更に、ガントリは、その上部がガイド手段を介して固定枠体に強固に保持されているから,ラムおよび主軸の進退位置による前後方向への撓みにも高剛性なもとにサドルを支持することができる。
【0034】
また、ガントリは、この両側柱材の断面形状を略正方形管としたから、重量の一層の軽減効果と前後寸法幅を狭くできて工作機械の前後寸法をコンパクトにまとめられる。
そして、2本のボールネジは、ガントリの左右前面に配置されているから、このメンテナンス性や組立・分解の作業性にも優れている。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る工作機械の最良の実施形態を図面により説明する。図1は工作機械の外観を示す斜視図、図2は工作機械の右側面図、図3は工作機械の正面図、図4はガントリの斜視図、図5はサドルの斜視図、図6はラムの斜視図、図7はガントリおよサドルの平断面図である。
【0036】
図1〜図7により、本発明に係る工作機械100の実施形態を説明する。先ず、その概容は、ベッド1と、このベッド上面に垂直姿勢に固定され、その中央部に矩形窓3Aを開けた固定枠体(鋼板の溶接構造体で高剛性を確保)3と、矩形の開口窓5Aを中央部に設けて上記ベッド1上で第1水平方向(X軸線方向)に移動するガントリ5(アルミ複合鋳物材による一体構造体、詳細は後記)と、上記ガントリ5の矩形の開口窓5A内で上下方向(Y軸線方向)に案内されるサドル6(アルミ複合鋳物材による一体構造体、詳細は後記)と、上記サドル6により第1水平方向と直交する第2水平方向(Z軸線方向)に移動するよう案内されたラム7(アルミ複合鋳物材による一体構造体、詳細は後記)と、上記ラム7により第2水平方向に延設された軸線(Z軸線)の周りに回転するように支持され、主軸8の前端部8Aに工具Tを着脱可能に装着する主軸装置8Bと、上記主軸8を回転させる主軸回転モータ(ビルトインモータ)M1と、上記主軸8の前方ベッド1A等の上に搭載したワークテーブル(ターンテーブル)9とからなる。このワークテーブルには、ワークが搭載される。また、主軸8の前端部8Aの上方空間には、装架枠体10に支持された工具交換装置のマガジンドラムMDを配置しており、各種工具T1〜Tnと交換動作される。
【0037】
上記工作機械100において、ガントリ5は固定枠体3の前面3B側に重複した関係で移動できるように配置されている。更に、上記ガントリ5の下面部5Bとベッド1との間に配置した下部ガイド手段G1と、上記固定枠体3の前面上部3Cと一体構造をなす上記ガントリ5の背面上部5C´との間に配置した上部ガイド手段G2とで、このガントリ5を第1水平方向に案内する第1ガイド手段Gxを構成する。また、下部ガイド手段G1の近傍にこれと前後平行に設けた下部リニアモータLM1と上部ガイド手段G2の近傍にこれと上下平行に設けた上部リニアモータLM2とで第1水平方向にガントリを駆動するリニアモータ駆動手段LMを構成している。尚、上記ガントリ5は、下部ガイド手段G1に支持された状態において、前後方向の重量バランスが確実に保証されるように、その形状が前後及び左右対称形になるように工夫されている。
【0038】
続いて、上記ガイド手段Gxの詳細構成を説明する。図1〜図3において、上記下部ガイド手段G1は、上記ベッド1の上面における前後方向に適宜間隔に離間して固定された2本のレール部材L1,L1と、このレール部材上を走行自在で上記ガントリ5の下面5Bの前後両端に取付けられた4つのレール案内部材のベアリングブロツクB1とで構成されている。また、上記上部ガイド手段G2は、上記固定枠体3の前面上部3Cに固定されたレール部材L2と、このレール部材L2上を走行自在で上記ガントリ5の背面上部5C´に取付けられた左右のレール案内部材となるベアリングブロツクB2とで構成されている。従って、図2に示すように、上記下部リニアモータLM1に発生する下向きの吸引力Fyの作用中心点(O1)は、ガントリ5の重心点(O2)或いはこのガントリ内で上下動するサドルの重心点(O2)を含む同一の垂直面内に位置し、高剛性のガントリ5に縦方向の歪みを起させない。また、上記上部リニアモータLM2に発生する後向きの吸引力Fzの作用中心点(O3)は、上記下部リニアモータLM1の吸引力Fyの作用中心点(O1)から距離Lだけ離れた後方の固定枠体3側に位置する。しかし、上記吸引力Fzは、固定枠体3と上部ガイド手段G2とにより受け止められ、高剛性の構造体とした固定枠体3や高剛性の構造体としたガントリ5の上部を後方向に歪ませることが出来ない。この結果、上記ガントリ5(アルミ複合鋳物材の一体構造体)と三次元的に立体配置した第1ガイド手段Gx(G1とG2)は、リニアモータ駆動手段LMの駆動により歪んだり捻られたりのガタツキが無く安定吸引され、円滑な第1水平方向への移動を実現させている。
【0039】
即ち、上記ガントリ5には、下向きの吸引力Fyと後向きに吸引力Fzが働くものの、後向きに吸引力Fzは固定枠体3によってその力のほとんど全てが吸収され、ガントリ5も高剛性体(詳細は後記)であることから、ガントリの上方を後方に歪ませない。また、下向きの吸引力Fyはベッド上面が吸収してガントリを下方に歪ませない。然るに、2つの吸引力Fy,Fzは、ガイド手段Gxのガタツキを解消する力として作用するものの、ガントリを歪ませる後向きの吸引力Fzが実質的に打消されているから、合成ベクトルの吸引力Foがガントリを斜め後方下向きに引張る作用力として発生せず、ガントリ5やガイド手段Gxに吸引力Foを発生さない関係構造体となっている。尚、上記ガントリ5の高さ寸法h1に対し、上部ガイド手段G2のレール部材L2の取付位置が僅かに高く抑えられていて、ガントリの全高寸法h3を限りなくh1に接近させており、ガントリの剛性アップと機械の背丈を低くすることに貢献している。
【0040】
更に、上記各レール部材L1,L2は、その両端部が固定枠体3の矩形窓3Aを越えて両端部まで延設されている。勿論、矩形窓3Aの両隅付近まで延設させた若干短い構成としても良い。これにより、ガントリ5は第1水平方向に安定した走行状態で高速移動されるとともに、ガントリ5が長いストロークの左右端部に位置するときも高い剛性が得られる関係を保証している。即ち、狭い間口寸法の工作機械であっても、第1水平方向に対するガントリの長いストロークが得られる。
【0041】
上記リニアモータ駆動手段LMは、上記リニアモータ駆動手段LMのにおける永久磁石MMは、固定側のベッド上面1および固定枠体3の前面上部3Cに取付けられている。また、励磁用巻線コイルMCは、移動体となるガントリ5の背面上部とガントリの下面部5Bとに取り付けられている。S,Sはガントリの左右エンド用のストッパーである。上記下部リニアモータLM1と上部リニアモータLM2における永久磁石MMには、ここからの発熱を冷却する複数本の冷却管(図示なし)が取付けられている。この冷却管内に冷媒液を通過させ、励磁用巻線コイルMCへの通電による発熱を抑える。これにより、熱膨張を嫌う、ガントリやサドル、ベッド等の冷却効果が得られる。
【0042】
上記ガントリ5の詳細構成と技術的事項を、図1と図4とにより説明する。まず、ガントリ5の形状は、下部ガイド手段G1および下部リニアモータLM1を配置できる台型の下面部5Bと、この下面部5Bから直立された左右柱部(角パイプ状の両側部は、略正方形管を呈している)5D,5Eと、この頂部間を連結する上下に肉厚で高剛性が得られる上面部(クロスビーム)5Cを備えている。これにより、上記ガントリ5は、前後方向と左右方向の重量バランスと高剛性(静的剛性と動的剛性)が確実に保証される前後・左右対称形に工夫されている。そして、上面部の背面上部5C´は、上部ガイド手段G2と上部リニアモータLM2とを配置できる面積と高剛性(静的・動的剛性)とを有している。勿論、図示のように、背面上部5C´に上部ガイド手段G2の取付座体(イ,ロ)を設けても良いし、この取付座体を省略して直接に背面上部5C´に上部ガイド手段G2を取付けても良い。上記ガントリ5の中央位置には、矩形の開口窓5Aが開けられている。この内部にサドル6が配置される(詳細は後記する)。上記ガントリ5を構成するアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に、20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材の鋳物材である。上記炭化ケイ素(SiC)の含有量は、20%〜35%が最適値であり、この数値より少ないと含有効果が薄れ、多すぎると鋳造時の湯流れを悪くして鋳物内に巣が出来てしまう。上記アルミ複合鋳物材の特徴は、鋳鉄と同じ高剛性でありながら軽量(比重は鋳鉄の1/3)であり、熱伝導率が良好(鋳鉄の4倍)であり、振動減衰率が良好(鋳鉄より15%高い)である。これにより、機械振動の吸収効率が良く、リニアモータから受ける熱の放射性にも優れているから、慣性モーメントを小さくでき、熱変形も抑えられる。このため、ガントリの高速送りが可能となり、ワークの精密加工、高速加工を実現させている。
【0043】
次に、上記ガントリ5の矩形の開口窓5A内において、上下方向(Y軸線方向)に案内されるサドル6の構成を説明する。上記サドル6は、図3と図5〜図7に示すように、ガントリ5の矩形の開口窓5A内に僅かな隙間Cで収納できる横幅寸法Aと、上下方向に大きく移動できる縦寸法Bとを略同一とした箱型断面形状を成している。サドル6の後方には、同型断面の筒体部6Aが形成されている。また、サドル6の前端には、リブで剛性を高めた上下左右の四方に拡大したフランジ部6Bを形成している。このフランジ部6Bの左右位置には、ボールネジ昇降駆動手段BSyのナットNを支持するナット受部6C,6Dを付設している。また、フランジ部6Bの前面中央位置と筒体部6A内の後端中央位置には、ラム7を第2水平方向に駆動するボールネジBSの両端をベアリングを介して支持する軸受部6E,6Fが付設されている。更に、サドル6内の軸受部6E,6Fを挟んだ左右両側の上面には、4つの取付座面6G,6Hが形成されている。この取付座面6G,6Hには、後記するラム7の下面両側に設けたレール部材L5,L6を第2水平方向に摺動支持する4つのレール案内部材となるベアリングブロツクB3が取付けられる。更に、フランジ部6Bの左右裏側で上下位置には、4つの取付座面6I,6Jが垂直方向に形成されている。また、筒体部6Aの左右壁面には、2つの取付座面6K,6Lが垂直方向に形成されている。上記サドル6は、上記ガントリ5と同一材料からなるアルミ複合鋳物材により一体構造体の高剛性な構成としている。従って、機械振動の吸収効率が良く、モータ類から受ける熱の放射性にも優れているから、慣性モーメントが小さくなり熱変形も抑えられる。
【0044】
続いて、上記サドル6の支持手段となる第2ガイド手段H2と、このボールネジ昇降駆動手段BSyを、図1と図2と図4と図5と図7により説明する。先ず、簡単に要約すると、サドル6の支持構成は、上記ガントリ5の両側柱材の前面および後面に上下方向に向けて取付ける4本のレール部材L3,L4に係合さるために、サドル6の左右側面の4箇所には、フランジ部6B,6Bと取付座面6K,6Lとを備えている。そして、上記ガントリ5の両側柱材の前面および後面に取付けた4本のレール部材に対するサドルの取付けとなる上記第2ガイド手段H2の構成は、ガントリ5の重心位置にサドル6の重心位置を一致させるべく、上記サドル6のフランジ部6Bの裏側上下位置に配置した4つの取付座面6I,6Jにレール案内部材となるベアリングブロツクB4が取り付けられている。このベアリングブロツクB4がガントリ5の左右柱部(両側柱部となる略正方形管)5D,5Eの前面に垂直固定したレール部材L3,L3に摺動自在に嵌合支持させている。更に、上記サドル6の左右壁面の取付座面6K,6Lに取付けたレール案内部材となるベアリングブロツクB5をガントリ5の左右柱部(両側柱部)5D,5Eの裏面に垂直固定したレール部材L4,L4に摺動自在に嵌合支持させている。これで、上記サドル6は、第2ガイド手段H2により、前後4箇所での支持構成を成し、前後・左右への撓みを無くした高剛性(静的剛性)の安定姿勢で支持された状態で昇降動できる。勿論、サドルは、上記4箇所での支持構成により、高い静的剛性と動的剛性が保証れる。上記ガントリに対するサドルの支持構成により、サドルはラムおよび主軸の進退位置による前後方向への撓みにも高剛性のもとに支持される。また、ガントリは、この両側柱材の断面形状を略正方形管としているから、重量の一層の軽減効果と前後寸法幅を狭くできて、サドル及びラムの前後寸法も短く構成でき、工作機械の前後寸法をコンパクトにまとめている。
【0045】
上記サドル6の左右両側には、対称形に一対のボールネジ昇降駆動手段BSyが配置されている。一対のボールネジ昇降駆動手段BSyは、ガントリ5の左右柱部(両側柱部)5D,5Eの前面上下位置に固着した上下軸受部5M,5Nと、この軸受部5M,5Nに両端をベアリングを介在さて承持されたボールネジBSと、このボールネジBSに螺合させたナットNと、このナットNを固定支持したナット受部6C,6Dと、上側の軸受部5Mに連設されたブラケットBR,BRに搭載しボールネジBSの上端と接続する昇降モータMy,Myとから構成されている。
【0046】
以上の構成からなる上記サドル6は、第2ガイド手段H2によりバランスが完全に保たれた状態で昇降可能に支持され、左右に配置したボールネジ昇降駆動手段BSyに備える昇降モータMy,Myにより上下方向に送り制御されるとともに所定位置に正確な位置決め制御が行われる。その昇降ストロークは、図2に示すように、ワークの加工最下位置(i)から、工具交換すべき最上位置(ii)の間に設定されている。また、昇降モータMy,Myがサーボオフによっても、サーボモータ及びボールネジとナットとのブレーキ機能(図示なし)が働き、サドル6を自然落下させる危険から回避できる。このため、リニアモータで構成する場合に絶対的に必要であった重量バランス装置が省略化できる。従って、この重量バランス装置の取付スペースを必要としないから、工作機械の小型・コンパクト化と製造コストダウンが積極的に図られている。
【0047】
次に、上記サドル6内のラム7を第2水平方向に案内する第3ガイド手段H3と、ラム7を第2水平方向に駆動するボールネジ進退駆動手段BSzを、図1と図2と図5〜図7により説明する。先ず、ラム7の構成は、図6に示すように、前後方向に延設された本体部7Cと、主軸装置8Bを挿入する穴部7Aと、主軸装置8Bを取付けるフランジ部7Bと、レール部材L5,L6を取付ける底板部7Dとからなる。このラム7は、上記ガントリ5と同一材料からなるアルミ複合鋳物材により一体構造体の高剛性な構成としている。従って、機械振動の吸収効率が良く、モータ類から受ける熱の放射性にも優れているから、慣性モーメントが小さくなり熱変形も抑えられる。
【0048】
続いて、ラム7と第3ガイド手段H3との構成を説明する。この第3ガイド手段H3は、サドル6内の前後端に配置した軸受部6E,6Fを挟んだ左右両側の4つの取付座面6G,6Hに、レール案内部材となるベアリングブロツクB3が取付けられており、これに、ラム7の下面両側に設けたレール部材L5,L6を上方から嵌合支持させ、第2水平方向に摺動可能としている。上記ラム7の下面中央位置とサドル6の上面中央位置には、第2水平方向に向けたボールネジ進退駆動手段BSzが配置されている。このボールネジ進退駆動手段BSzの構成は、サドル6内の前後位置に付設されている軸受部6E,6FにボールネジBSの両端がベアリングを介在して支持されている。このボールネジBSに螺合するナットNは、ラムの底板部7Dにおける前後中央位置に付設するナット受部7Eに取付けられている。上記ボールネジBSの後端は、進退モータMzの回転軸が接続されている。そして、この進退モータMzは、サドル6の後端部6Xに取付けられている。しかして、ラム7は、進退モータMzの回転駆動により、ザドル7内を第2水平方向に進退移動される。このラム7の進退移動位置に関係無く、高剛性のガントリ5及び高剛性のサドル6により、バランスは崩れない関係になっている。これで、ガントリ及びサドルの静的・動的剛性が保証れる構成になっている。
【0049】
尚、上記ガントリ5とサドル6とは、図1〜図3に示すように、ラム7に取付けられた主軸8だけを露出した縦方向及び横方向に伸縮自在のカバー部材Koによって保護されている。このカバー部材Koは、装架枠体10に支持されている。このカバー部材Koにより、切削加工により排出れる切粉の侵入を防止する。
【0050】
本発明に係る送り装置を装備した工作機械100は、上記のように構成されており、以下のように作用する。先ず、本発明の工作機械100は、ベッド上面1の固定枠体3の前面側に配置されたガントリ5は、アルミ複合鋳物材により鋳物一体構造に形成されており、この下面5Bとベッド上面1との間に下部ガイド手段G1と下部リニアモータLM1が配置され、固定枠体3の前面上部3Cとガントリ5の背面上部5C´との間に上部ガイド手段G2と上部リニアモータLM2が配置されて第1水平方向に案内する第1ガイド手段GXとリニアモータ駆動手段LMを配備している。これにより、ガントリは第1水平方向に駆動される。また、上記ガントリ5の矩形の開口窓5A内で上下方向に案内するサドル6は、アルミ複合鋳物材で構成されており、この両外側にはガントリとの間に第2ガイド手段H2とボールネジ昇降駆動手段BSyが配備されている。このボールネジ昇降駆動手段BSyにより前後・左右のヨーイング(変位・撓み)を起すことなく円滑に昇降駆動される。更に、上記サドル6内に備えるラム7は、アルミ複合鋳物材で構成されており、このラムには第2水平方向に案内する第3ガイド手段H3とラムを第2水平方向に駆動するボールネジ進退駆動手段BSzを配備し、第2水平方向に前後駆動される。かくして、上記のように、各軸が異なる駆動方式の送り駆動装置により、ガントリ5やサドル6やラム7が最適な送り機構の条件のもとに各軸方向に適切に送り制御される。
【0051】
その具体的な作用とメリットは、第1水平方向に長いストロークで高速送りを要求される重量の大きなガントリ5は、アルミ複合鋳物材による鋳物一体構造であるから、軽量でありながら剛性が高く、熱伝導効率も良いら熱変位が抑えられる。それに加えて、上下一対のリニアモータ駆動手段LMにより、バランスの取れた送り推力が得られて安定した早送りと位置決め制御ができる。
【0052】
また、上記ガントリ5内において、上下方向に昇降移動されるアルミ複合鋳物材(軽量・高剛性)のサドル(ラムと主軸を備える)6は、ニ対の第2ガイド手段(4本のレール部材)H2と2本のボールネジ昇降駆動手段BSyにより昇降送りと位置決め制御されるから、昇降時及びこの切り返えし動作時にサドル6に前後・左右のヨーイング(変位・撓み)を起さない。そして、ワークの加工時にもアルミ複合鋳物材の高い動的剛性によりガントリ5とサドル6の変位が見られず、高精度加工が行える。
【0053】
また、ボールネジ昇降駆動手段BSyのサーボモータがサーボオフされても、ボールネジ昇降駆動手段BSyとこの簡単な拘束手段によりサドル6の落下事故を防止できる。即ち、リニアモータ駆動手段を昇降送りに採用した時に必須であったバランスシリンダの均衡装置が省略できる。この均衡装置の省略効果と安価なボールネジ昇降駆動手段BSyとにより、上下方向の送り系は構造の簡素化と低コスト化とを可能にする送り系の実現に貢献している。
【0054】
更に、アルミ複合鋳物材のラム7と主軸8を第2水平方向に送り制御する駆動系にもボールネジ進退駆動手段BSzにより進退送りと位置決め制御されるから、この送り系の安定した進退送りと低コストが図れる。
【0055】
以上のように、工作機械1は、ボールネジ駆動方式が持つメリットである工作機械全体のトータルな製造コスト(イニシャルコスト)の大幅な削減及び稼動時のランニングコストの大幅な低減が図れる。そして、リニアモータ駆動方式が持つメリットである特定軸となる第1水平方向(X軸線方向)の高速送り制御と高精度な位置決め制御が実施できる。更には、両駆動方式を混合使用したことにより得られる複合的なメリットが発揮される。そして、ガントリ5やサドル6,ラム7にアルミ複合鋳物材を採用することで、これら部材の軽量・高剛性・熱変位の低減が図られている。
【0056】
そして、上記ガントリ5のアルミ複合鋳物材及びサドル6及びラム7のアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に、20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材による鋳物一体構造としたから、鋳造時の湯流れが良くて高品質のアルミ複合鋳物が得られるとともに、高剛性で軽量(比重は鋳鉄の1/3)、熱伝導率の良好(鋳鉄の4倍)、振動減衰率の良好(鋳鉄より15%高い)な効果が得られる。しかして、ガントリ5は、この軽量化と高剛性化および振動に対する減衰特性の改善が図られる。また、サドル6及びラム7の剛性アップにより工作機械全体の剛性アップにつながり、一層円滑なサドル・主軸の高速送りが可能となり加工精度の改善と加工効率が高められる。
【0057】
更に、上記工作機械1は、ガントリ5の両側柱材5D,5Eの前面および後面に上下方向に向けて4本のレール部材L3,L4が取付けられ、この4本のレール部材に対して、サドル6の左右側面4箇所に配置した取付座面6L,6K,6J,6Iに取付けたガイド受けとなるベアリングブロツクB4、B5を係合して上下方向に摺動可能に支持されている。この支持状態は、4本のレール部材L3,L4を含めたガントリ5の重心位置にサドル6の重心位置が一致する関係になっている。この立体的な4点支持により、ガントリ上の4箇所でサドルの重心位置が四方から囲まれて支持されから、サドルの静的剛性と動的剛性が高められる。これでサドルは、前後・左右にヨーイング(撓み変位)することなく円滑に移動されるとともに、垂直姿勢に精密に保持される。
【0058】
更に、サドル6上のラム7が主軸頭の軸心方向となる前後に移動して偏荷重がサドル6の前側・後側に撓みモーメントとして作用しても、4本のレール部材L3,L4に支持されたサドル6は、このヨーイング(撓みモーメント)による変位を起こさせない。これにより、サドルは、4本のレール部材により前後・左右のバランスが保証される。
【0059】
更に、ガントリ5は、その上部がガイド手段G2を介して固定枠体3に強固に保持されているから、ラム7および主軸8の進退位置による前後方向への撓みにも高剛性のもとにサドルを支持することができる。また、ガントリ5は、この両側柱材5D,5Eの断面形状を略正方形管としたから、重量の一層の軽減効果と前後寸法幅を狭くできて工作機械1の前後寸法をコンパクトにまとめられる。そして、2本のボールネジBSは、ガントリ5の左右前面に配置されているから、このメンテナンス性や組立・分解の作業性にも優れている。
【0060】
また、上記工作機械100において、ガントリ5は、上部ガイド手段G2及び下部ガイド手段G1がベアリングブロックB2,B1とこれに係合するレール部材L2,L1からなり、このレール部材の第1水平方向となる上部レール部材L2と下部レール部材L1の両端部は固定枠体3の矩形窓3Aを越えて両端部まで延設され、且つその配置が前後方向にずれている。これにより、ガントリ5は捻れることなく高剛性のもとに第1水平方向に安定した走行状態で高速移動できる。また、ガントリ5は長いストロークの左右端部に位置するときも高い剛性が得られる。更に、狭い間口寸法の工作機械でもガントリの長いストロークが得られる。
【0061】
また、上記工作機械100のリニアモータLM1,LM2において、定格推力の約10倍も働く垂直な磁気垂直力(リニアモータの吸引力)Fy,Fzは、下記のように処理される。まず、上部リニアモータLM2の吸引力作用中心点O3が下部リニアモータLM1の吸引力作用中心点O1よりも後方の固定枠体側に位置され、且つ上部リニアモータLM2の吸引力Fzはガントリ5に歪み応力を与えることなく固定枠体3の前面上部3Cで吸収される。これにより、上部リニアモータLM2の吸引力Fzはガントリ5に歪み応力を与えない。しかも、下部リニアモータLM1の吸引力Fyだけがガントリ5の垂直下向きに働き、ガントリ5を安定した姿勢で支持する。しかして、ガントリ5は、この高速送り時や高負荷切削時の捻れ撓み変形が抑られるとともに、蛇行することなく円滑な移動が保証される。
【0062】
また、上記工作機械100は、下部リニアモータLM1について、ガントリ5の下面5Bをベッド1に対して下方向の吸引力Fyを作用させ、上部リニアモータLM2について、鋳物一体構造をなすガントリの背面上部5C´を固定枠体3の上部に向けた後方向に吸引力Fzを作用させる配置になっている。これにより、上部リニアモータLM2の吸引力Fzはガントリ5に歪み応力を与えることなく固定枠体3の前面上部3Cで吸収され、上部リニアモータLM2の吸引力Fzはガントリに歪み応力を与えない。そして、下部リニアモータLM1の吸引力Fyだけがガントリ5の垂直下向きに働き、ガントリを安定した姿勢で支持する。これにより、ガントリ5の高速送りや切削加工時に発生するあらゆる方向の外力に対して、安定した保持力で対応できる。
【0063】
更に、上記工作機械100は、上部レール手段L2を固定枠体3の上部間に連結した上面部(クロスビーム)の前端面3Cと、第2水平方向における鋳物一体構造をなすガントリ5の背面上部5C´との間に配置させたから、上下のレール手段L2,L1は前後の立体的な配置となり、ガントリ5に加わる捻れ荷重に対して大きな剛性抵抗が得られる。これで、ガントリ5は、安定した垂直姿勢が維持されて、この高速送り時や高負荷切削時の捻れ撓み変形が抑られ、第1水平方向への移動に際して、蛇行することなく円滑な移動が得られる。
【0064】
更に、上記工作機械100は、下部リニアモータLM1が上部レール手段L2の前方における下方位置にあってガントリ5の下面5Bとベッド1の上面との間に配置され、更に下部レール手段L1が下部リニアモータLM1を間に置いた状態でベッド1上に固定され、第2水平方向において前後に離間した一対のガイドレールL1,L1を含んでいるものである。これにより、ガントリ5は、安定した垂直姿勢が維持されて、この高速送り時や高負荷切削時の捻れ撓み変形が抑られる。また、第1水平方向への移動に際して、蛇行することなく円滑な移動が得られる。
【0065】
そして、上記工作機械100は、ガントリ5がアルミ複合鋳物材による鋳物の一体構造体により高剛性で軽量(比重は鋳鉄の1/3)、熱伝導率の良好(鋳鉄の4倍)、振動減衰率の良好(鋳鉄より15%高い)な構成である。これにより、ガントリ5は、この軽量化と高剛性化および振動に対する減衰特性の改善が図られ、工作機械の全体の剛性アップによる加工精度の改善により一層円滑な高速送りが可能となり加工効率が高められる。更に、下部ガイド手段G1がベッド1の上面に固定されたレール部材L1と、このレール部材上を走行自在でガントリの下面両端に取付けられた少なくとも2つのベアリングブロツクB1により構成されているから、ガントリ5は、この高速送り時や高負荷切削時の捻れ撓み変形が抑られ、第1水平方向への移動に際して、蛇行することなく円滑な移動が得られる。
【0066】
そして、上記工作機械100は、ガントリ5がアルミ複合鋳物材による鋳物の一体構造体により高剛性で軽量(比重は鋳鉄の1/3)、熱伝導率の良好(鋳鉄の4倍)、振動減衰率の良好(鋳鉄より15%高い)な構成であるから、ガントリはこの軽量化と高剛性化および振動に対する減衰特性の改善が図られ、工作機械の全体の剛性アップによる加工精度の改善により一層円滑な高速送りが可能となり加工効率が高められる。更に、上部ガイド手段G2が固定枠体3の前面上部3Cに固定されたレール部材L2と、このレール部材上を走行自在でガントリ5の背面上部5C´に取付けられたベアリングブロツクB2により構成されているから、ガントリ5は、この高速送り時や高負荷切削時の捻れ撓み変形が抑られ、第1水平方向移動に際して、蛇行することなく円滑な移動が得られる。
【0067】
以上、説明したように、上記実施形態による工作機械100は、第1の目的である両駆動方式のメリットを最大限に発揮できる条件のもとに送り装置を混合使用して、工作機械全体のトータルな製造コスト(イニシャルコスト)の大幅な削減及び稼動時のランニングコストの大幅な低減を図った工作機械を提供する。更に、第2の目的である工作機械の特にガントリとサドルの軽量化と剛性(静的・動的剛性)と放熱性を高めた工作機械を提供すること。を何れも達成させている。
【0068】
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、発明の要旨内での機械構成上の細部についての設計変更が可能である。例えば、ガントリだけにアルミ複合鋳物材を使用した実施形態としても、本発明の最少限の作用・効果は期待できる。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1によると、第1水平方向に長いストロークで高速送りを要求される重量の大きなガントリは、上下一対のリニアモータ駆動手段により、バランスの取れた送り推力が得られて安定した早送りと位置決め制御ができる。また、上下方向に昇降移動されるサドル(ラムと主軸を備える)は、ニ対の第2ガイド手段と2本のボールネジ昇降駆動手段により昇降送りと位置決め制御されるから、昇降時及びこの切り返し動作時にサドルにヨーイング(変位・撓み)を起さない。また、サーボモータがサーボオフされてもサドルの落下事故を防止できる。即ち、リニアモータ駆動手段を昇降送りに採用した時に必須であったバランスシリンダの均衡装置が省略できる。この均衡装置の省略効果と安価なボールネジ昇降駆動手段とにより、上下方向の送り系は構造のシンプル化で製造コスト(イニシャルコスト)とランニングコストの低減ができる。更に、ラムと主軸を第2水平方向に送り制御する駆動系にもボールネジ進退駆動手段により進退送りと位置決め制御されるから、この送り系の製造コスト(イニシャルコスト)とランニングコストの低減ができる。
【0070】
更に、ボールネジ駆動方式が持つメリットである工作機械全体のトータルな製造コスト(イニシャルコスト)の大幅な削減及び稼動時のランニングコストの大幅な低減を図った工作機械が提供できる。そして、リニアモータ駆動方式が持つメリットである特定軸となる第1水平方向(X軸線方向)の高速送り制御と高精度な位置決め制御が実施できる。更には、両駆動方式を混合使用したことにより得られる複合的なメリットが発揮できる。
【0071】
また、請求項2によると、ガントリのアルミ複合鋳物材及びサドル及びラムもアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に、20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材による鋳物一体構造としたから、鋳造時の湯流れが良くて高品質のアルミ複合鋳物が得られるとともに、高剛性で軽量(比重は鋳鉄の1/3)、熱伝導率の良好(鋳鉄の4倍)、振動減衰率の良好(鋳鉄より15%高い)な効果が得られる。しかして、ガントリは、この軽量化と高剛性化および振動に対する減衰特性の改善ができる。更には、サドル及びラムの剛性アップにより工作機械全体の剛性アップにもつながって、一層円滑なサドル・主軸の高速送りが可能となり、加工精度の改善と加工効率を高める効果が発揮できる。
【0072】
更に、請求項3によると、ガントリの両側柱材の前面および後面に上下方向に向けて設けた4本のレール部材に対して、サドルの左右側面4箇所に配置したガイド受を係合して上下方向に摺動可能に支持し、4本のレール部材を含めたガントリの重心位置にサドルの重心位置が一致する関係としたから、ガントリ上の立体的な4点支持でサドルの重心位置が四方から囲まれて支持され、サドルの静的剛性と動的剛性を高めることができる。これでサドルは、前後・左右にヨーイング(撓み変位)することなく円滑に移動されるとともに、垂直姿勢に精密に保持できる。
【0073】
また、サドル上のラムが主軸頭の軸心方向となる前後に移動して偏荷重がサドルの前側・後側に撓みモーメントとして作用しても、4本のレール部材に支持されたサドルは、このヨーイング(撓みモーメント)による変位を起こさせず、サドルは4本のレール部材により前後・左右のバランスが保証される。
【0074】
そして、ガントリは、この両側柱材の断面形状を略正方形管としたから、重量の一層の軽減効果と前後寸法幅を狭くして工作機械の前後寸法をコンパクトにまとめることができる。更に、2本のボールネジは、ガントリの左右前面に配置されているから、このメンテナンス性や組立・分解の作業性にも優れた工作機械とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態となる工作機械の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態となる工作機械の右側面図である。
【図3】本発明の実施形態となる工作機械の正面図である。
【図4】本発明の実施形態となるガントリの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態となるサドルの斜視図である。
【図6】本発明の実施形態となるラムの斜視図である。
【図7】本発明の実施形態となるガントリおよサドルの平断面図である。
【符号の説明】
1 ベッド
3 固定枠体
3A 矩形窓
3C 前面上部
5 ガントリ
5A 開口窓
5B 下面部
5C´ 背面上部
6 サドル
6C,6Dナット受部
7 ラム
8 主軸
8A 前端部
8B 主軸装置
9 ワークテーブル(ターンテーブル)
10 装架枠体
B1〜B5ベアリングブロック
BSy ボールネジ昇降駆動手段
BSz ボールネジ進退駆動手段
Fy 吸引力
Fz 吸引力
Gx 第1ガイド手段
G1 下部ガイド手段
G2 上部ガイド手段
H2 第2ガイド手段
H3 第3ガイド手段
L1〜L6レール部材
LM リニアモータ駆動手段
LM1 下部リニアモータ
LM2 上部リニアモータ
MM 励磁用巻線コイル
MC 永久磁石
M1 主軸回転モータ(ビルトインモータ)
MD マガジンドラム
T1〜Tn各種工具
100 工作機械

Claims (3)

  1. ベッドと、このベッド上面に垂直姿勢に固定されその中央部に矩形窓を開けた固定枠体と、矩形の開口窓を中央部に設けて上記ベッド上面を第1水平方向に移動するガントリと、上記ガントリの矩形の開口窓内で上下方向に案内されるサドルと、上記サドルにより第1水平方向と直交する第2水平方向に移動するよう案内されたラムと、上記ラムにより第2水平方向に延設された軸線の周りに回転するように支持され前端部に工具を着脱可能に装着する主軸と、上記主軸を回転させる主軸回転モータと、上記主軸の前方ベッド等の上にワークを搭載したワークテーブルとからなる工作機械において、上記ガントリはアルミ複合鋳物材により鋳物一体構造に形成され、このガントリは固定枠体の前面側に重複した関係で移動できるように配置され、更に、上記ガントリの下面とベッド上面との間に配置した下部ガイド手段と上記固定枠体の前面上部と上記ガントリの背面上部との間に配置した上部ガイド手段とで上記ガントリを第1水平方向に案内する第1ガイド手段を構成するとともに、下部ガイド手段の近傍にこれと平行に設けた下部リニアモータと上部ガイド手段の近傍にこれと平行に設けた上部リニアモータとで第1水平方向に駆動するリニアモータ駆動手段を構成し、上記ガントリの矩形の開口窓内で上下方向に案内されるサドルをアルミ複合鋳物材で構成し、このサドルの両外側とガントリの両内側にニ対の第2ガイド手段を構成し、上記ガントリの両側柱材の前面とサドルの左右両外側との間に2本のボールネジからなるボールネジ昇降駆動手段を構成し、上記サドル内のラムをアルミ複合鋳物材で構成するとともに、このラムには第2水平方向に案内する第3ガイド手段と、第2水平方向に前後駆動させるボールネジ進退駆動手段とを構成したことを特徴とする工作機械。
  2. 上記ガントリのアルミ複合鋳物材及びサドル及びラムのアルミ複合鋳物材は、アルミニウム合金(AC4C)に20%〜35%の炭化ケイ素(SiC)を添加させた素材であることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
  3. 上記ガントリは、この両側柱材の断面形状を略正方形管とするとともに、第1ガイド手段を介して固定枠体にその背面上部を保持し、上記ガントリ内のサドルを上下方向に案内する第2ガイド手段は、上記ガントリの両側柱材の前面および後面に上下方向に向けて取付けた4本のレール部材と、この4本のレール部材を含めたガントリの重心位置にサドルの重心位置を一致させるとともに、第2水平方向に移動するラムを内装したサドルの左右側面4箇所に配置したレール案内部材とを係合せてなり、更に、上記サドルのボールネジ昇降駆動手段は、上記ガントリの両側柱材の前面における上下部に支持され且つサドルの左右両外側との間に2本のボールネジを垂直姿勢に配置し、この2本のボールネジに螺合するナットをサドルのナット受部に連結して昇降モータで昇降駆動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の工作機械。
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