JP2004181492A - ガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いられ、開先断面にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面と、この溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第一母材の端面に接触する第1母材接触面、および第二母材の側面に接触する第2母材接触面を有するガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブにおいて、前記溶接金属接触面の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部が設けられており、この凹状段部は、その高さが、0.2〜0.8mmで有ることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブに関し、さらに詳細には、開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いるガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガスシールドアーク溶接によって、複数の鋼材を突き合わせた完全溶け込み溶接や隅肉溶接する際には、溶接ビードの両端部における溶接余長部を可及的に減少せしめるために、所定の溶接作業の実施に先立って、溶接用エンドタブが、それら複数の鋼材における溶接線の始端と終端の両端の縁部にそれぞれ当接せしめられて、取り付けられている。
【0003】
そして、従来から、そのようなエンドタブの多くが、溶接されるべき母材(複数の鋼材)と同種の鋼材にて構成されていること、またかかる母材の溶接完了後にはエンドタブの一部を残して切除されるベきものであり、溶接用エンドタブの母材への取り付けは、部分溶け込み溶接によって行われ、その位置や方法について建築学会の図書にて標準化されている。
【0004】
そのため、従来においては、鋼製のエンドタブを母材に取り付ける際の部分溶け込み溶接のショートビードや部分欠損部、および本溶接完了後のタブ材のガス切断時におけるガスノッチ部に応力が集中し、その部分から破断する事が懸念されている。亦、第二母材より第一母材の幅が狭い場合における溶接完了後のタブ材の切断除去は、接合態様から行うこと自体が極めて困難であるとも言える。
本溶接は、完全溶け込み溶接で行なわれるとはいえ、エンドタブ材と母材との完全溶け込み部以外に接合されない隙間、所謂ノッチ状の部分が存在し、上記同様に破断の原因となる事が判明しているのである。
【0005】
そこで、近年では、そのような部分溶け込み溶接によって母材に取り付けられる鋼製のものに代わって、セラミックス製等の耐火物等より成るエンドタブ、例えば、特開昭61−119398号公報等に開示される如きものが、一部において使用されている。即ち、かかる公報に開示の溶接用エンドタブにあっては、溶融金属に対して融合や冶金的反応がない無機材質であるフラックスまたはセラミックスにて構成されており、それによって、母材の溶接完了後に、容易に取り外すことができ、且つ、溶接の積層状況を目視する事が得られる。以て該母材の近傍より切断、研磨の作業が不要であり、作業効率を効果的に向上され得るようになっているのである。
【0006】
しかしながら、上記公開公報に記載されているようなエンドタブを用いてガスシールド溶接を行うと、エンドタブ近傍での溶接ワーク時に、シールドガスが、壁となったエンドタブに当たり跳ね返ることによって、溶融金属が溶接線の内部に逆流することにより、第1母材側および第2母材側に溶融金属が十分に回り難く、溶け込み不足が生じるという問題がある。
【0007】
ところで、特許第2764501号公報には、溶接金属接触面(平坦部)の下部にガス抜き用切欠き孔を設けたセラミックエンドタブが提案されている。この公報によれば、該切欠き孔は、溶接時に溶融物から発生したガスのガス抜き用とされている。
【0008】
しかしながら、本発明の発明者らの研究によれば、溶接時の溶融物からはガスは発生せず、この記載は誤っているものと考えられる。そして、該公報によれば、上記切欠き孔寸法は、幅4mm前後、高さ4mmが望ましいとされている。
【0009】
仮に、この特許のような寸法の切欠き孔を有するエンドタブを実際にガスシールド溶接を行う際に用いると、あまりにもサイズが大きいため、シールドガスと共に溶融金属その物も外部に流れ出してしまい、溶接後の端部形状を整える必要が生じてしまうという問題がある。また、このように溶融金属が外部に流れ出してしまう結果、溶接開始時に第1母材、第2母材に溶融金属が十分に回らず、溶け込み不足が生じてしまうという問題もある。更には、上記のような大きな切欠きが設けられているため、作業時等にタブの先端が欠けてしまい、裏面の使用ができなくなったり、また第一層目にこの切欠き孔が溶融金属で埋まってしまう結果、裏面使用時にその金属を取り除く作業が必要となってくる等の問題も生じてくる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−119398号公報
【特許文献2】
特許第2764501号公報
【0011】
本発明の発明者らは、上記公報に開示された技術の真偽はともかくとして、上記したように、別の観点から、溶接金属接触面の下部には凹状段部が必要であることを知見した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の知見に基づくものであり、何ら弊害なく、溶接時に使用するシールドガスのガス抜きを効率よく行うことのできる凹状段部が設けられたガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の下記(1)〜(9)の構成のいずれかにより解決される。
(1) 開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いられ、開先断面にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面と、
この溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第一母材の端面に接触する第1母材接触面、および第二母材の側面に接触する第2母材接触面を有するガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブにおいて、
前記溶接金属接触面の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部が設けられており、
この凹状段部は、その高さが、0.2〜0.8mmで有ることを特徴とするガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ。
(2) 前記凹状段部が、前記第1母材接触面の底部にまで延び、該第1母材接触面の底部における長さが6mm以下である上記(1)のセラミックス製エンドタブ。
(3) 前記第2母材接触面に、凸部または凹部を設け、該第2母材接触面が前記第2母材に接触したとき、タブの一方の側から他方の側まで連通するガス抜き用の隙間が形成されるようになっている上記(1)または(2)のセラミックス製エンドタブ。
(4) 前記第1母材接触面に、XおよびY方向のすべてに独立で、頂部面積が底部面積より小さくなるように側面が傾斜している単独突起を2個以上形成し、前記突起の高さが、0.2〜2.0mmである上記(1)〜(3)のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
(5) 開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いられ、開先断面にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面と、
この溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第一母材の端面に接触する第1母材接触面、およびこの第1母材接触面と同様に溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第二母材の端面に接触する第2母材接触面を有するガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブにおいて、
前記溶接金属接触面の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部が設けられており、
この凹状段部は、その高さが、0.2〜0.8mmで有ることを特徴とするガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ。
(6) 前記凹状段部が、前記第2母材接触面の底部にまで延び、該第2母材接触面の底部における長さが6mm以下である上記(5)のセラミックス製エンドタブ。
(7) 前記凹状段部が、前記第1母材接触面の底部にまで延び、該第1母材接触面の底部における長さが5mm以下である上記(5)または(6)のセラミックス製エンドタブ。
(8) 前記第2母材接触面に、凸部または凹部を設け、該第2母材接触面が前記第2母材に接触したとき、タブの一方の側から他方の側まで連通するガス抜き用の隙間が形成されるようになっている上記(5)〜(7)のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
(9) 前記第1母材接触面に、XおよびY方向のすべてに独立で、頂部面積が底部面積より小さくなるように側面が傾斜している単独突起を2個以上形成し、前記突起の高さが、0.2〜2.0mmである上記(5)〜(8)のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
【0014】
【発明の作用・効果】
本発明の溶接用セラミックス製エンドタブにおいては、上記のようなサイズの凹状段部を設けたので、溶融金属の流れ出しという問題を生ずることなく、溶融金属を第1母材、第2母材側に有効に回すことができる。これにより、溶け込み不足を防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による溶接用セラミックス製エンドタブについて説明する。
本発明の実施の形態によるガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ10は、図1に示したように、開先加工面m11を形成した第一母材m1を、立て板側母材である第二母材m2の側面に突き合わせて溶接する際に用いられるものである。本明細書において、セラミックスとは、セラミックス自身の他、石膏、コンクリート等の熱伝導率の低い無機材料も含むものとする。なお、図1において、符号Bは裏当て金を示す。
【0016】
タブ10は、第一母材m1の開先断面m11にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面12と、この溶接金属接触面12に対し相対的に突出し、上記第一母材m1の端面m12に接触する第1母材接触面14とを有する。
なお、図1において、符号16は第二母材m2への第2母材接触面を示す。
上記溶接使用面12および第1母材接触面14は、第一母材m1の両側で使用できるように、タブ材10の両側に設けられていることが好ましい。
【0017】
前記溶接金属接触面12の底部には、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部18が設けられており、この凹状段部の高さH(図3参照)は、0.2〜0.8mmに設定する。
この凹状段部18は、裏当て金Bとの間に、溶接時に使用するシールドガスを排出するための通路を形成するためのものであり、上記の値の範囲未満であると、シールドガスの排出の機能が充分でなくなるおそれがあり、上記の範囲を超えると、溶融金属が該凹状段部から流れ出してしまい、溶け込み不良が生じてしまうおそれがある。
【0018】
この凹状段部18は、凹状段部を設けたことによるタブ10の先端の破断等を防止するためには、第2母材接触面16から延びていることが好ましい。
上記前記凹状段部18は、シールドガスを排出するための通路面積を大きくするためには、前記第1母材接触面14の底部にまで延びていてもよく、このとき、凹状段部18の該第1母材接触面14の底部における長さLは(図3参照)5mm以下であることが好ましい。凹状段部18の該第1母材接触面14の底部におけるこの長さが5mmを超えると、第一母材の開先先端に適正な溶け込みが得られるが、余分な溶融金属が開先外側のサイド部にまで回り外観不良となる。
【0019】
上記第二母材m2への第2母材接触面16には、図3等に示したように、幅方向に延びる複数の通し溝24を設けることが好ましい。この溝24により、タブ10と第2母材m2との間に、タブの一方の側から他方の側まで連通する複数のガス抜き用の隙間を形成することにより、第2層以上の溶接時に使用されるシールドガスの跳ね返りを防止するとともに、後述する突起と同様、母材非溶接部への接触面積率を低減することにより、アンダーカットの発生を防止する。この例では、溝すなわち凹部を設けたが凸部であってもよい。
【0020】
ところで、このような高融点セラミックス製エンドタブの場合には、溶融金属からのこのエンドタブヘの熱の伝わりが遅いため、母材と溶融金属の境界部にアンダーカットや高温割れが発生しやすいという問題がある。この問題はセラミックスの熱伝導率(0.5〜1.8Kcal/m.h.℃)が、母材(鋼)(36.0〜64.8Kcal/m.h.℃)に対して極めて低いため、溶接開始時には溶融金属の熱を奪い、溶接完了時には溶融金属に比して冷却速度が遅く保温状態が続くことがその原因である。
【0021】
そこで、上記母材接触面14には、XおよびY方向のすべてに独立な単独突起20が2個以上形成されていることが好ましい。この「XおよびY方向のすべてに独立な」という用語は、突起20同土が、XおよびY方向の総てに連続していないことを意味する。ただし、卍型等も、この「独立した」に含まれるものとする。この突起20の側面は、頂部面積が底部面積より小さくなるように傾斜して形成されている。この突起20により、図1に示したように、第一母材m1の端面m12と母材接触面14との間には、問隙Sが形成される。
上記の突起20の形状は、円錐、円錐台、角錐および角錐台のいずれかであることが好ましく、特に円錐台が好ましい。
【0022】
上記突起20の底部面積は、4.5〜113mm2 が好ましい。
上記の値の範囲未満になると、頂部面積が少なくなり突起の配置数を多くする必要であって、母材とタブ材の隙間を形成し難くなり、超えると突起の配置数が少なくなるので、上記範囲が好ましい。突起の配置数は、上述のように2個以上であり、因みに例を挙げるとするならば、後述する実施例に供した5〜30個程度が特に好ましい。
【0023】
更に、上記突起20の頂部面積は、50mm2以下が好ましい。上記の値を超えるとタブ材への熱の伝わりが高くなり本発明の作用効果が薄れる。亦、この値の下限は、上記の接触面積比率を考慮して決定される。
【0024】
上記突起20の高さは、0.2〜2.0mmに設定することが好ましい。上記の値の範囲未満になると、熱の拡散効果が減少し、超えると母材とタブ材の隙間に溶融金属が流れ込み易くなり、本発明の作用効果を得られなくなるため上記の範囲が好ましい。
【0025】
上記突起20全体の母材への接触面積は、上記母材の非溶接部分へのタブ材の接触面14全体の45%以下であることが好ましい。すなわち、母材に対する接触面積比率が45%以下であることが好ましい。この値が45%を超えると、接触面積が多くなりすぎ、本発明の効果を発揮できなくなり、アンダーカット等が生じやすくなるおそれがある。なお、この値の下限値は、3%程度である。
この値未満になると突起先端部分が欠け易く、タブ材の固定確保に問題が生じる。
【0026】
上記複数の突起20は、図3に最もよく示したように、上記母材の非溶接部への接触面14の上記溶接金属接触面12に隣接する辺すなわち斜めの開先対応面22と平行な列に並べられて配置されていることが好ましい。
【0027】
以上説明した突起20を設けることにより、セラミックス製エンドタブの母材との接蝕部分の面積を極力少なくし、上記のアンダーカット等の発生を抑制することができ、かつ母材とタブ材との間に隙間を作ることによって母材への溶け込みを促進することができる。
【0028】
また、該タブの母材との接触面積を極カ少なくすることで、上記のアンダーカット等の発生を抑制することができ、かつ母材とタブ材との間に隙間を作ることによって母材への溶け込みを促進することができる。
更にまた、突起と突起の問の空間によって形成された第一母材とタブとの間の通路によって、溶接の際に使用するシールドガスを逃がすことができ、これによってアーク先端を中心とする円形のシールドに乱れが生じることない効率的なシールド効果を得る事ができる。従って、この突起を設ける場合には、第2母材接触面16に設けた溝24は必ずしも必要ではない。なお、この第2母材接触面16に設けた溝24の代わりに、突起20のような突起を設けて、シールドガス排出用の通路を形成するようにしてもよい。
【0029】
なお、以上のタブは、フランジ幅が異なる場合の完全溶け込み溶接に適したものであるが、フランジ幅が同じ場合の完全溶け込み溶接に適したタブ30、すなわち第1母材接触面14と面一に形成され、第2母材の端面に接触する第2母材接触面32を有するタブの場合にも、上記の場合と同様に、図5に示したように凹状段部34を設ける。すなわち、溶接金属接触面12の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部34が設けられており、この凹状段部の高さは、上記の場合と同様に0.2〜0.8mmに設定される。
【0030】
この凹状段部はまた、第1母材接触面14の底部にまで延びていてもよく、この場合、該第1母材接触面の底部における長さは6mm以下であることが好ましい。更にまた、上記凹状段部は、第2母材接触面32の底部にまで延びていてもよく、この場合、該第2母材接触面の底部における長さは5mm以下であることが好ましい。
【0031】
上記のような突起は、上記と同様の理由で上記第2母材接触面32にも設けることが好ましい。この突起を、符号36で示した。この突起は、上記の溝24を形成するような線状突起であってもよい。
【0032】
【実施例】
まず、図2以下に示した形状のエンドタブのサンプルを、ムライト結晶に塩基性酸化物を13±1重量%添加し、熱伝導率を1.10〜1.25Kcal/m.h.℃、見掛気孔率を34±2%とした焼結体で製作した。溶接金属接触面12の底部の長さは、9mmとした。凹状段部18は、第2母材接触面16から後方に向かって延び、第1母材接触面14の底部の部分の長さLが4mmになるようにした。凹状段部の高さは、0.7mmとした。突起20の形状は円錐台とし、高さを0.7mm、底部面積を12.56mm2、頂部面積を7.07mm2、この突起による母材非溶接部との接触面積比率を14.6%とした。このサンプルを作成し、実施例−1のサンプルとした。
【0033】
上記実施例−1に用いたサンプルのファクターのうち、上記凹状段部18の長さを、第2母材接触面16から溶接金属接触面12と第1母材接触面14の境界部22まで(すなわち、溶接金属接触面12の底部全体:下記の表には底部100%と表示する)、および溶接金属接触面12の底部の長さの60%まで(下記の表には底部60%と表示する)、すなわち5.5mmに変えて底部の中心に施したことを除いては、すべて同様に作成したサンプルを実施例−2、実施例−3とした。
【0034】
上記実施例−1に用いたサンプルのファクターのうち、上記凹状段部18の高さを、0.3mmに変えたことを除いては、すべて同様に作成したサンプルを実施例−4とした。更に、上記実施例−1に用いたサンプルで、上記突起の無いものを実施例−5とした。更にまた、上記実施例−1に用いたサンプルで、L=3mm、L=5mmに変えたことを除いては、全て同様に作成したサンプルを、それぞれ実施例−6、実施例−7とした。
【0035】
一方、上記実施例−1に用いたサンプルのファクターのうち、上記凹状段部18の長さを、第1母材接触面14の底部の部分の長さLが7mmになるよう変えたこと、および溶接金属接触面12の底部の長さの40%まで、すなわち3.5mmに変えて底部の中心に施したことを除いては、すべて同様に作成したサンプルを比較例−1および比較例−2とした。
また、実施例−1のサンプルで、上記凹状段部18の高さを、0.1mm、1mmおよび10mmに変えたものを比較例−3、比較例−4および比較例−5のサンプルとした。さらに、実施例−1、比較例−1のサンプルで、凹状段部のないものを比較例−6、比較例−7のサンプルとした。
【0036】
実験例
以上のサンプルを用いて、図1に示したようにして各部材を配置し、下記の条件で実際にガスシールド溶接実験を行い、溶接完了後、始終端部ビードの目視検査と計測、および溶着金属を0.1mm残して切削・研磨し、マクロ検査して検査−2,3の確認を行い総合評価した。実験要領および評価基準を下記する。また、上記の実験の結果を表1にまとめた。
【0037】
実験要領
(1)試験体の形状
▲1▼第一母材厚:25mm
▲2▼溶接長 :250mm
▲3▼開先角度 :35°
▲4▼ルートギャップ:7mm(図1に符号Gで示した)
(2)溶接条件
▲1▼電流 :340±10A
▲2▼電圧 :34±1V
▲3▼溶接速度 :30±5cm/min
▲4▼入熱 :19〜29Kjul/cm
▲5▼ワイヤ径 :1.2mmφ
実験の評価基準
(1)検査項目は、下記の4項目について検査を行なった。
▲1▼検査1 端部の外観
▲2▼検査2 第二母材側の溶け込み状況
▲3▼検査3 第一母材側の溶け込み状況
▲4▼検査4 マクロ検査において検査−2および検査−3の確認を行い総合評価した。
その評価基準は、下記の通りとした。
◎:優秀 ○:良 △:可 ▲:不可 ×:不合格
(2)検査の評価は、以下の五段階に分類した。
▲1▼検査(外観)1の評価
◎ 優秀 :積層状況・融合状況等の外観上良好であった。
○ 良 :普通の評価
△ 可 :多少外観に問題がある。
▲ 不可 :外観にカットやポックが検出された。
× 不合格 :著しいビードの不整や融合不良の不合格欠陥の発生。
▲2▼検査(溶け込み)2の評価
◎ 優秀 :2.0mm上の良好な溶け込みが確保された。
○ 良 :通常の仕上がりが確保されている。
△ 可の上 :僅かな溶け込み不足が検出された。
▲ 可 :不合格とならない溶け込み不足が検出された。
× 不合格 :外観検査では判別できない、融合不良や溶け込み不足が検出され、明らかに不合格の発生が大であった。
▲3▼検査(溶け込み)3の評価
◎ 優秀 :2.0mm上の良好な溶け込みが確保された。
○ 良 :通常の仕上がりが確保されている。
△ 可の上 :僅かな溶け込み不足が検出された。
▲ 可 :不合格とならない溶け込み不足が検出された。
× 不合格 :外観検査では判別できない、融合不良や溶け込み不足が検出され、明らかに不合格の発生が大であった。
【0038】
【表1】
【0039】
以上の表1から本発明の効果が明らかである。
なお、上記の実施例の溶接実験を、同幅タイプでも同様に行ったところ、同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接用セラミックエンドタブを用いて実際の溶接作業を行う際の各部材の配置状態を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態による溶接用セラミックエンドタブの斜視図である。
【図3】図2に示した溶接用セラミックエンドタブの正面図である。
【図4】図2に示した溶接用セラミックエンドタブの左側面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による溶接用セラミックエンドタブの斜視図である。
【符号の説明】
m1 第一母材
m2 第二母材
B 裏当て金
S 間隙
10 溶接用セラミックエンドタブ
12 溶接使用面
14 第1母材接触面
16 第2母材接触面
18 凹状段部
20 突起
22 辺
24 通し溝
30 第二母材への接触面
Claims (9)
- 開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いられ、開先断面にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面と、
この溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第一母材の端面に接触する第1母材接触面、および第二母材の側面に接触する第2母材接触面を有するガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブにおいて、
前記溶接金属接触面の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部が設けられており、
この凹状段部は、その高さが、0.2〜0.8mmで有ることを特徴とするガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ。 - 前記凹状段部が、前記第1母材接触面の底部にまで延び、該第1母材接触面の底部における長さが6mm以下である請求項1のセラミックス製エンドタブ。
- 前記第2母材接触面に、凸部または凹部を設け、該第2母材接触面が前記第2母材に接触したとき、タブの一方の側から他方の側まで連通するガス抜き用の隙間が形成されるようになっている請求項1または2のセラミックス製エンドタブ。
- 前記第1母材接触面に、XおよびY方向のすべてに独立で、頂部面積が底部面積より小さくなるように側面が傾斜している単独突起を2個以上形成し、前記突起の高さが、0.2〜2.0mmである請求項1〜3のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
- 開先加工面を形成した第一母材を第二母材の側面に突き合わせて溶接する際に用いられ、開先断面にほぼ対応して窪まされて形成された溶接金属接触面と、
この溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第一母材の端面に接触する第1母材接触面、およびこの第1母材接触面と同様に溶接金属接触面に対し相対的に突出し、前記第二母材の端面に接触する第2母材接触面を有するガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブにおいて、
前記溶接金属接触面の底部に、前記溶接金属接触面の底部の長さの半分の長さ以上の凹状段部が設けられており、
この凹状段部は、その高さが、0.2〜0.8mmで有ることを特徴とするガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ。 - 前記凹状段部が、前記第2母材接触面の底部にまで延び、該第2母材接触面の底部における長さが6mm以下である請求項5のセラミックス製エンドタブ。
- 前記凹状段部が、前記第1母材接触面の底部にまで延び、該第1母材接触面の底部における長さが5mm以下である請求項5または6のセラミックス製エンドタブ。
- 前記第2母材接触面に、凸部または凹部を設け、該第2母材接触面が前記第2母材に接触したとき、タブの一方の側から他方の側まで連通するガス抜き用の隙間が形成されるようになっている請求項5〜7のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
- 前記第1母材接触面に、XおよびY方向のすべてに独立で、頂部面積が底部面積より小さくなるように側面が傾斜している単独突起を2個以上形成し、前記突起の高さが、0.2〜2.0mmである請求項5〜8のいずれかのセラミックス製エンドタブ。
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JP2002352027A JP4137615B2 (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | ガスシールド溶接用セラミックス製エンドタブ |
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