JP2005000989A - 鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法および接合継手 - Google Patents

鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法および接合継手 Download PDF

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    • B23K9/173Arc welding or cutting making use of shielding gas and of a consumable electrode

Abstract

【課題】 接合の信頼性を阻害することなく高い接合強度が得られ、種々の要求に対応できるMIGロウ付法による接合方法および接合継手を提供する。
【解決手段】 鉄系材料Aを上板11側に、アルミニウム系材料Bを下板12側に配し、銅合金系MIGロウ付けワイヤ13を用い、重ねすみ肉溶接にて直流逆極性または交流によるMIGロウ付法により直接接合する方法において、下記式で規定する溶接条件パラメータPを20以下とする。
式 P=(EW・IW)/(VW・tAl
ここに、EWは溶接電圧(V)、IWは溶接電流(A)、VWは溶接速度(cm/min)、tAlはアルミニウム系材料の板厚(mm)である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用構造物などの組立工程の際に必要となる鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法に関する。
鉄系材料とアルミニウム系材料(アルミニウムおよびアルミニウム合金を総称したもの)とを接合する場合、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために信頼性のある高強度を有する接合部を得ることは非常に困難であった。
この対策として以下のような多数の従来技術が開示されている。
例えば、真空圧延接合する方法(特許文献1参照)、予め用意した鉄系材料層およびアルミニウム合金層からなる2層のクラッド材を介在させてシーム溶接する方法(特許文献2参照)、高温加圧接合する方法(特許文献3参照)、接合面にTi合金を予め介在させHIP処理により接合する方法(特許文献4および5参照)、摩擦圧接する方法(特許文献6参照)、アルミニウムと接する鉄系材料表面にアルミニウム合金をめっきして、あるいは予め用意した鉄系材料層およびアルミニウム合金層からなる2層のクラッド材を介在させて抵抗溶接する方法(特許文献7および8参照)などである。
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題がある。
鉄系材料とアルミニウム系材料とを真空圧延、高温加圧、HIP処理により接合して鉄系材料とアルミニウム系材料との接合部材を得る方法は、このような複合部材を製造することを目的とするものである。したがって、この方法は、平板など比較的単純な形状の部材同士の接合には利用可能であるが、部材の形状が複雑な場合には適用できないため、適用範囲が狭く汎用性が劣っている。
鉄系材料とアルミニウム系材料とを摩擦圧接により接合する方法は、部材形状の制約を受けるため汎用性に劣るとともに、接合部がスポット的なものとなるため連続的な接合部を得ることができない。
アルミニウムと接する鉄系材料表面にアルミニウム合金をめっきして抵抗溶接する方法は、めっき工程を必要とし工程が複雑となるため、品質の安定性が確保できない問題がある。
鉄系材料層およびアルミニウム合金層からなる2層のクラッド材を予め用意してシーム溶接あるいは抵抗溶接する方法では、鉄系材料とアルミニウム系材料との間にクラッド材がインサートされるため、2枚の板の接合が3枚の板の接合となる。このため、実際の施工時にインサート材(クラッド材)の挿入工程や固定工程が必要となり、上記と同様に工程が複雑となるため品質の安定性が確保できない。
上記いずれの方法とも、上記問題以外に、現状の溶接ラインに新たな設備を組み入れなければならないため設備コストが高くなる問題があった。さらに、クラッド材を用いる方法では、クラッド材自体も鉄系材料とアルミニウム系材料とを接合して製造する必要があることからその製造条件が厳しく制約され、安価でかつ性能の安定したクラッド材を入手することが困難であった。
鉄系材料とアルミニウム系材料との接合に上記のような種々の方法が提案されている背景の1つとして、鉄系材料とアルミニウム系材料とを直接溶融接合すると接合部に脆弱な金属間化合物が生成し、割れを生じ易くなることが挙げられる。そのため、溶接ワイヤを用いて接合する場合を含めて鉄系材料とアルミニウム系材料とを直接接合する際には、i)鉄系材料中の鉄とアルミニウム系材料中のアルミニウムとを如何にして極力溶融混合させないで、溶融金属部の延性を確保するか、また、ii)鉄系材料とアルミニウム系材料との界面近傍に脆弱な金属間化合物層を如何にして生成させないようにするか、が極めて重要となる。
そこで、本発明者らはこのような観点から、上記i),ii)に示した障害を可及的に抑制し健全な接合継手を確保することのできる接合方法の確立を期して種々検討を重ねてきた。その結果、MIGロウ付法によって鉄系材料とアルミニウム系材料とを直接接合する方法を採用すれば、上記従来技術で指摘した様々の問題を生じることなく信頼性の高い接合継手が得られることを知見し、既に開示を行った (特許文献9参照)。
特開2000−94162号公報 特開平11−197846号公報 特開平10−185040号公報 特開平6−198458号公報 特開平5−8056号公報 特開平8−141755号公報 特開平6−39558号公報 特開平6−63762号公報 特開2003−33865号公報
本発明者らが上記特許文献9に開示したMIGロウ付法によれば、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合に際し、適用条件などの制約が少なく汎用性に優れるとともに、接合母材の形状による制約も少なく、接合継手部に脆弱な金属間化合物などを生成することなく、割れなどの欠陥のない健全な接合継手が得られる。しかも連続的な接合が可能であり、効率の良い接合が実施できる。
しかし接合継手については、接合後に割れが発生しない程度の低い引張強度を有しておれば十分なものから、高い引張強度が要求されるものまで、接合継手が適用される場所や部位により、継手強度への要求は千差万別である。
そこで本発明は、上記特許文献9に開示したMIGロウ付法による接合方法の適用性をより確実なものとするため、接合の信頼性を阻害することなく高い接合強度が得られ、種々の要求に対応できるMIGロウ付法による接合方法を確立することを目的とする。
請求項1に係る発明は、鉄系材料とアルミニウム系材料とを、銅合金を使用したMIGロウ付けワイヤを用い、重ねすみ肉溶接にて直流逆極性または交流によるMIGロウ付法により直接接合する方法において、下記式(1)で規定する溶接条件パラメータPを、20以下とすることを特徴とする、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法である。
式(1) P=(IW・EW)/(VW・tAl
ここに、IWは溶接電流(A)、EWは溶接電圧(V)、VWは溶接速度(cm/min)、tAlはアルミニウム系材料の板厚(mm)である。
請求項2に係る発明は、上板側に鉄系材料を、下板側にアルミニウム系材料を配置してMIGロウ付けを行う、請求項1に記載の鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法である。
請求項3に係る発明は、交流によるMIGロウ付け法により行う、請求項1または2に記載の鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法により得られた、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合継手である。
本発明は以上のように構成されており、鉄系材料とアルミニウム系材料とをMIGロウ付け法により接合する際に、直流逆極性または交流のアークを用いて、溶接条件パラメータPと板配置を制御することにより、接合継手部に脆弱な金属間化合物などを生成させることなく、割れなどの欠陥がなく高い接合強度を有する健全な接合継手を得ることができる。しかも、本発明法を採用すれば、連続的な接合が可能であり、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合を効率よく実施できる。
本発明で採用するMIGロウ付法とは、汎用の溶接装置を使用しアークによってロウ付を行なう方法であり、通常のアーク溶接に比べると、格段に低い電流条件で接合を行なうことができる。これは、細径の溶接ワイヤ(MIGロウ付け用ワイヤ)を使用することによってもたらされるもので、通常のアーク溶接法に比べて、MIGロウ付接合時における鉄系材料中の鉄とアルミニウム系材料中のアルミニウムとの溶融混合とそれらの反応を可及的に抑制できる。その結果、接合部における脆弱なFe−Al系金属間化合物の生成が抑制され、延いては接合部の強度欠陥(特に割れの発生)を可及的に防止できる。
この際、MIGロウ付用に使用するワイヤ素材としては、銅合金が好ましく使用される(以下、銅合金が使用されたMIGロウ付用ワイヤを、「銅合金系MIGロウ付け用ワイヤ」または「銅合金系ワイヤ」という。)。しかし銅合金をワイヤに使用した場合に生成するCu系溶接金属も、FeまたはAl(特にAl)と反応して脆い金属間化合物を形成し易いので、接合継手に高い強度を要求するような場合には、前述のようなFe−Al系金属間化合物に加えて、Cu系溶接金属と鉄系材料またはアルミニウム系材料(特にアルミニウム系材料)との間に生成する金属間化合物の生成抑制も課題となる。
このような観点に基づき種々検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここに、図1は、重ねすみ肉溶接方法を模式的に示す断面図であり、図2は重ねすみ肉溶接による接合継手の様子を模式的に示す断面図である。
本発明は、再掲する下記式(1)で規定される溶接条件パラメータPを20以下に規定することを特徴とするものである。これにより、鉄系材料Aおよびアルミニウム系材料Bへの過大な入熱を抑制することが可能となり、結果的にCu系溶接金属Cと鉄系材料Aまたはアルミニウム系材料B(特にアルミニウム系材料B)との間に生成する金属間化合物の生成が抑制され高い接合強度が得られることとなる。
再掲式(1) P=(IW・EW)/(VW・tAl
ここに、IWは溶接電流(A)、EWは溶接電圧(V)、VWは溶接速度(cm/min)、tAlはアルミニウム系材料の板厚(mm)である。
P値を20以下に規定したのは、後記実施例で示すように、P値が20を越えると接合強度が急激に低下することとなり、さらにP値が120を越えるように過大な入熱が投入されるようになると、溶接直後に割れが発生するに至るためである。
また、特に重ねすみ肉溶接により直接接合する場合には、溶接金属Cの凝固収縮に伴い板幅方向(すなわち溶接方向と直角方向)に大きな引張残留応力が発生する。このため、上板11と溶接金属Cとの界面に生成する金属間化合物の生成を特に抑制する必要がある(図2参照)。
ここで、鉄系材料Aとアルミニウム系材料Bとでは溶解温度(融点)に大きな差があり、当然の如く融点の低いアルミニウム系材料Bの方がCu系溶接金属Cに溶解されやすい。そのため界面に生成する金属間化合物はアルミニウム系材料BとCu系溶接金属Cとの界面の方が生成し易い。
このため重ねすみ肉溶接により高い接合強度を得るためには、以下の理由により、鉄系材料Aを上板11に、アルミニウム系材料Bを下板12とする配置が推奨される(図1、図2参照)。
すなわち、重ねすみ肉溶接の場合、上板11のアークトーチ14側のコーナ部(以下、「トーチ14側コーナ部」という。)11aは熱容量が極めて小さいために温度が上昇しやすく、MIGロウ付け用ワイヤ(以下、単に「ワイヤ」または「溶接ワイヤ」ともいう。)13から生成した溶接金属C中に溶融しやすくなる。このため上板11をアルミニウム系材料Bとすると、溶接金属C中にAlが過剰に溶融するために、アルミニウム系材料B(上板11)と溶接金属C界面に金属間化合物が過剰に生成することになり、高い接合強度が得られにくくなる。これに対し、上板11を鉄系材料Aとすると、トーチ側コーナ部11aが温度上昇しやすいことは同様であるが、素材そのものの融点が高いために、適正な入熱条件で接合する限りは、Feを過剰に溶接金属Cに溶解させることは防止できる。したがって、金属間化合物が生成しにくい鉄系材料Aを上板11に、金属間化合物が生成し易いアルミニウム系材料Bを下板12とする配置の方が、逆の配置の場合よりも、高い接合強度が得られることになるからである。
高い接合強度を確保するための手段としては、上記の板配置のほかに、ワイヤ13の狙い位置15やアークトーチ(「溶接トーチ」ともいう。)14のトーチ角度θの適正化がある。すなわちワイヤ13の狙い位置(以下、単に「狙い位置」という。)15を上板11の下板12側のコーナ部(以下、「下板側コーナ部」という。)11bから遠ざける、あるいはアークトーチ14を上板11側とは反対側に傾けることにより、トーチ側コーナ部11aの過剰な温度上昇を抑制できるためである。しかしながら、上板11をアルミニウム系材料Bとした場合に、狙い位置15を下板側コーナ部11bから遠ざけすぎると以下の弊害が現れる。すなわち、(1)本発明に係る接合方法は、溶接金属Cとアルミニウム系材料Bとを相互に拡散させて冶金的に結合させることにより強度を発現させるものであるが、アルミニウム系材料の温度が十分に上昇しないために拡散が不十分となり、却って強度が低下する、(2)Arシールドガスによるアルミニウム系材料B表面のクリーニング作用(後記参照)が十分に作用しなくなるためにオーバーラップなどの溶接欠陥が発生しやすくなる、といった弊害である。そのため狙い位置15は、例えば下板側コーナ部11bから3mm程度までの範囲が推奨されるが、この狙い位置15は、溶接入熱やシールドガス流量といった他の溶接条件に応じて適切に変化させればよく、特に上記の推奨範囲に限定されるものではない。
上記の通り溶接金属Cと上板11または下板12の界面に生成する金属間化合物の生成を抑制するためには、母材である鉄系材料Aおよび/またはアルミニウム系材料Bを過剰量溶融させることなく必要最小限の母材溶融(希釈)量で健全な接合状態が得られるよう、MIGロウ付け時の溶接電流が過大とならない範囲に制御することが望ましい。そのため本発明を実施する際の好ましいMIGロウ付け条件としては、溶接電流が60A以上、より好ましくは80A以上で、250A以下、より好ましくは200A以下、溶接電圧が12V以上、より好ましくは14V以上で、20V以下、より好ましくは18V以下が非限定的に推奨される。溶接速度は、上記溶接電流および溶接電圧に応じて母材中のFeおよびAlを過剰溶融させない範囲で適当に決めればよいが、溶接能率なども考慮して好ましいのは40cm/min以上、より好ましくは50cm/min以上で、200cm/min以下、より好ましくは160cm/min以下である。
何れにしても本発明では、MIGロウ付によって鉄系材料Aとアルミニウム系材料Bとを直接接合できるので、適正な溶接電流・電圧条件・接合形状等を採用する限り特に制約を受けることがなく、適用可能範囲が拡大され汎用性が高められるとともに、また連続的な接合も可能となる。そして前述のように、鉄系材料Aおよびアルミニウム系材料Bとも必要最小限の溶融(希釈)量で健全な結合状態を得ることができ、鉄系材料Aとアルミニウム系材料Bとの界面に脆い金属間化合物が生成し難く、高い接合強度が得られる。
以上説明した実施形態に関して、Cu系溶接金属Cを形成するMIGロウ付け用ワイヤ13としては適当なものを選定することができるが、例えばJIS Z 3341におけるYCuSi B YCuAl、YCuAlNi A、YCuAlNi B、YCuSn A等が非限定的に例示される。中でも好ましいのはYCuSi B、YCuAlである。
なおMIGロウ付けにあたり、母材A,Bに対する溶融金属Cの濡れ性を高めるには、濡れ性を阻害する鉄系材料Aおよびアルミニウム系材料B表面の酸化膜を除去する必要がある。そのため、MIGロウ付け時には、Arを代表とする不活性ガスでシールドし、直流のアークを採用し、電極(MIGロウ付け用ワイヤ13)側を正極にして施工する。もしくは、Arを代表とする不活性ガスでシールドし、交流のアークを採用して施工する。このような条件を採用すれば、アーク発生時に母材A,B側でクリーニング作用が起こり、鉄系材料A側およびアルミニウム系材料B側ともに接合部の清浄度が向上し、より健全な接合継手を得ることができる。アルミニウム系材料のアーク溶接では一般にクリーニング作用を発揮させるため、直流逆極性で施工するのが一般的であるが、交流であってもその効果は十分に得ることができる。さらに交流のアークを採用して施工した場合は、材料表面のクリーニング作用に加えて、計算上同一入熱量であっても実効的な入熱が減少するため、図3(b)に示すように、直流逆極性の場合〔同図(a)〕と比較し、溶接金属のAl側への溶け込み量が低減できる。その結果、Alの板厚減が抑制されるため、さらに接合強度を上げることが可能となる。なお、図3において、SPCEは鉄系材料A、A5182はアルミニウム系材料B、Cu合金は溶接合金Cにそれぞれ対応する。
なお本発明に係る接合方法で使用されるMIGロウ付けワイヤ13の直径(以下、「ワイヤ径」という。)は、前述のように、基本的には低電流の条件で安定したアークを発生させる必要があるため、0.8〜1.2mmとすることが望ましい。ワイヤ径が1.2mmを超えると、安定したアークを得るための電流が過大となり、アルミニウム系材料Bを過剰に溶融させ脆弱な反応層の生成につながる。一方ワイヤ径が0.8mm未満になると、ワイヤ13そのものの製造コストが極めて高くなるとともに、ワイヤ13の送給性が劣るという不利がある。このため、ワイヤ径は0.8〜1.2mmとすることが望ましい。
またMIGロウ付法によれば、通常のアーク溶接と同様に連続的な溶接が可能であり、密閉性を必要とする部材に対しても支障なく適用できる。また接合部の耐食性についても、前述した銅合金系ワイヤ13はそれ自身優れた耐食性を有しているので、鉄系材料Aとアルミニウム系材料Bとの接合継手が用いられる多くのケースにおいて、優れた耐食性を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〔実施例〕
銅合金系MIGロウ付け用ワイヤ13を用いて、鉄系材料Aとアルミニウム系材料Bとの重ねすみ肉溶接試験を行った。具体的には、厚さ2〜3mmのアルミニウム系材料としてのアルミニウム合金板Bと、厚さ2mmの鉄系材料としての軟鋼板Aとを重ね合わせて重ねすみ肉継手を形成し、種々のMIGロウ付け用ワイヤ13を用いて軟鋼板Aとアルミニウム合金板Bとの溶接(接合)を行なった(図1、図2参照)。上記実施の形態で説明したのと同様に、図1、図2においては、上板11が軟鋼板A、下板12がアルミニウム合金板Bの場合を例示している。試験片の平面サイズは、軟鋼板A、アルミニウム合金板Bとも150mm×400mmとし、直径0.6〜1.6mmの溶接ワイヤ(MIGロウ付用ワイヤ)13を使用した。溶接(接合)後、浸透探傷試験によって接合継手の割れ発生の有無を評価するとともに、この接合継手から板幅30mmの継手強度評価用試験片を採取し、10mm/minの速度で引張試験を行い下記式(2)にしたがい継手強度を算出した。
式(2) (継手強度)=(最大荷重点荷重)/(継手断面積)
ここに、継手断面積はアルミニウム合金板Bの板厚方向断面積とした。
表1に、本溶接試験に使用した、板材(材質、板配置、アルミニウム合金板厚み)および溶接ワイヤ(材質、成分、直径)、溶接条件(電流Iw、電圧Ew、速度Vw、溶接条件パラメータP)、ならびに判定結果(割れの有無、継手強度)を示す。なおシールドガスとしてはAr(流量は30L/min)を使用し、溶接トーチ(アークトーチ)14のトーチ角度θは90゜、狙い位置15は下板側コーナ部11bから1mmの位置に固定した。
表1から明らかなように、直流のアークを使用し、逆極性で重ねすみ肉溶接した場合には、溶接条件パラメータPを20以下とすることにより、30MPa以上の継手強度が安定して得られた(番号8〜17)。しかし、P値が20を超える場合には継手強度が15MPa程度しかなく(番号1〜3)、さらにP値が120を超える条件では溶接後に割れが発生して強度評価に到らなかった(番号4)。
直流のアークを使用し、逆極性で軟鋼板Aを上板11側に、アルミニウム合金板Bを下板12側に配置して重ねすみ肉溶接した場合(番号13〜17)には、溶接条件パラメータPが同一であっても、軟鋼板Aを下板12側に、アルミニウム合金板Bを上板11に配置した場合(番号8〜12)より格段に高い接合強度が安定して得られることがわかる。
一方、直流のアークを使用し、正極性で、軟鋼板Aを上板11側に、アルミニウム合金板Bを下板12側に配置して重ねすみ肉溶接した場合には、鉄系材料Aおよびアルミニウム系材料B表面の酸化膜の除去効果がないため、溶接パラメータが20以下である場合(番号5,6)でも、材料表面の酸化膜が溶融したCu合金の濡れ性を阻害して良好な溶接金属が形成されず、強度評価に到らなかった。溶接金属を形成して接合させるには、溶接パラメータを大きくして入熱を増やす必要があり、この場合は結果的にAl母材全体を溶かし込むこととなり、Al母材側に非常に高硬度で脆いCu−Al系金属間化合物が多量に生成するため、接合強度は13MPa程度しか得られなかった(番号7)。
交流のアークを使用して、軟鋼板Aを上板11側に、アルミニウム合金板Bを下板12側に配置して重ねすみ肉溶接した場合(番号18〜22)には、溶接パラメータを同じ20以下としても、実効的な入熱量を低減できるため、アルミニウム合金板側への溶け込み量が直流の場合より大きく低減し、かつ軟鋼板およびアルミニウム合金板表面の酸化膜除去効果もあるため、極めて良好な形態を有する溶接金属部が得られた。したがって、交流の場合は、直流逆極性の場合よりさらに接合強度を向上させることが可能となった。
重ねすみ肉溶接方法を模式的に示す断面図である。 重ねすみ肉溶接による接合継手の様子を模式的に示す断面図である。 重ねすみ肉溶接による接合界面の状況を示す断面図であり、(a)は直流逆極性の場合、(b)は交流の場合を示す。
符号の説明
11…上板
11a…トーチ側コーナ部
11b…下板側コーナ部
12…下板
13…MIGロウ付用ワイヤ(溶接ワイヤ)
14…アークトーチ(溶接トーチ)
15…狙い位置
A…鉄系材料(軟鋼板)
B…アルミニウム系材料(アルミニウム合金板)
C…溶接金属
θ…トーチ角度


Claims (4)

  1. 鉄系材料とアルミニウム系材料とを、銅合金を使用したMIGロウ付けワイヤを用い、重ねすみ肉溶接にて直流逆極性または交流によるMIGロウ付け法により直接接合する方法において、
    下記式で規定する溶接条件パラメータPを、20以下とすることを特徴とする、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法。
    式 P=(IW・EW)/(VW・tAl
    ここに、IWは溶接電流(A)、EWは溶接電圧(V)、VWは溶接速度(cm/min)、tAlはアルミニウム系材料の板厚(mm)である。
  2. 上板側に鉄系材料を、下板側にアルミニウム系材料を配置してMIGロウ付けを行う、請求項1に記載の鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法。
  3. 交流によるMIGロウ付け法により行う、請求項1または2に記載の鉄系材料とアルミニウム系材料との接合方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法により得られた、鉄系材料とアルミニウム系材料との接合継手。

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