JP2004180591A - 豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来から行われている「水切り」作業を必要とせず、簡単な操作で、しかも離水の少ない豆腐厚揚げを得る方法、及び離水を可及的に少なくした豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤を提供する。
【解決手段】(1)豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させることを特徴とする豆腐生地の製造方法、(2)ステアロイル乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする豆腐生地及び豆腐、(3)ステアロイル乳酸ナトリウムを含有する、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤である。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させることを特徴とする豆腐生地の製造方法、(2)ステアロイル乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする豆腐生地及び豆腐、(3)ステアロイル乳酸ナトリウムを含有する、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離水の少ない豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
豆腐厚揚げは、豆乳に凝固剤を添加して凝固させた豆腐生地をフライすることにより製造される。この厚揚げの表面は揚げ物状になっているが、内部は豆腐のままであるため、フライ後時間の経過と共に内部に含まれている水が滲み出す、いわゆる離水が生じ、従来大きな問題となっていた。
【0003】
これを防止するため、豆腐生地を棚に並べて冷蔵庫で長時間放置し、「水切り」を十分に行った後フライする方法が一般的に行われている。しかしこの方法では、「水切り」によって豆腐生地から出る「水」の中には、糖質等の呈味成分の他、ミネラル、イソフラボノイド、サポニン等の健康に良いとされる成分も多く含まれており、これら有効成分を廃棄してしまうことは、最終製品である豆腐厚揚げの品質上好ましいとは言えない。更に、上記「水」が失われることにより、豆腐生地組織の水分が不足し、その結果得られた豆腐厚揚げの食感は硬くてパサパサしたものとなり、厚揚げとしての製品価値が損なわれるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、「水切り」を行わず、しかも離水の少ない豆腐厚揚げを得る次のような方法が提案されている。
【0005】
即ち、グァーガム、タマリンドガムおよびローカストビーンガムよりなる群から選択される1種または2種以上のガムを用いる技術(特許文献1参照)、豆乳に少なくともトランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤を添加し、80℃以下の温度で凝固後、熟成させる技術(特許文献2参照)、架橋澱粉を用いる技術(特許文献3参照)、卵白及び/または乳清蛋白を用いる技術(特許文献4参照)、そして、濃縮して得られる豆乳に対して澱粉を加えて製造される豆腐を脱水せずにフライ処理する技術(特許文献5参照)などが知られている。しかしいずれの方法もその効果は低く、業界の要望に応じられるものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平04−166053号公報
【特許文献2】特開平10−000067号公報
【特許文献3】特開平10−075732号公報
【特許文献4】特開平11−225699号公報
【特許文献5】特開2000−004820号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来から行われている「水切り」作業を必要とせず、簡単な操作で、しかも離水の少ない豆腐厚揚げを得る方法、及び離水を可及的に少なくした豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させて豆腐生地を作製し、該豆腐生地を用いて常法に従ってフライすることにより離水の少ない豆腐厚揚げが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0009】
即ち、本発明の課題は、下記構成によって解決できる。
1.豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させることを特徴とする豆腐生地の製造方法。
【0010】
2.ステアロイル乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする豆腐生地及び豆腐。
【0011】
3.前記2記載の豆腐生地をフライすることを特徴とする豆腐厚揚げの製造方法。
【0012】
4.前記3記載の製造方法で得られる豆腐厚揚げ。
【0013】
5.ステアロイル乳酸ナトリウムを含有する、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤。
【0014】
本発明に用いられるステアロイル乳酸ナトリウムは、親水性界面活性剤として知られているものであるが、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤としてその離水抑制効果の顕著性には驚くべきものがあることを本発明者は見出した。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる豆乳は、通常の豆乳であれば特に制限はなく、「ご」を加熱する際に添加される消泡剤等を含んでいても良く、この消泡剤等の種類は問わない。
【0016】
本発明で用いられるステアロイル乳酸ナトリウム(以下、SSLと略す。)は、ステアロイル基を親油性基、乳酸のカルボニウムイオンを親水性基とし、ナトリウム塩の形をとっている親水性界面活性剤であり、公知のものを特別制限なく利用でき、例えば、市販されている製品はステアロイル基を主たるアシル基とするアシル化乳酸及びアシル化ラクトイル乳酸(ステアロイル乳酸等)とこれらのナトリウム塩、ステアリン酸を主成分とする脂肪酸及びそのナトリウム塩、縮合乳酸類及びそのナトリウム塩を含む混合物である。
【0017】
本発明の品質改良剤は、SSL単品であってもよいし、その他、SSLを含み賦形剤として乳糖、澱粉、デキストリン、粉末水飴、マルトトリオース、マルトース、ぶどう糖或いはセルロース等、製剤化に際して用いられる添加成分を含む組成物であっても良い。又、該組成物には、グリセリン脂肪酸エステル等の食品用乳化剤、カゼインナトリウム、分離大豆蛋白質、粉末卵白、ゼラチン等の蛋白質、或いはリン酸塩等の無機塩類、増粘多糖類等を1種或いは2種以上加えても良い。
【0018】
本発明に用いられるSSLの添加量は、豆乳1Lに対して0.01〜50gが好ましくは、より好ましくは0.1〜10gである。
【0019】
本発明で用いられる豆腐用凝固剤としては、例えば、苦汁、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコノデルタラクトン(GDL)或いはこれらの混合物が挙げられ、豆腐製造に一般的に用いられている凝固剤であれば特に制限はない。凝固剤の添加量は、豆乳1Lに対して1〜100gが好ましく、より好ましくは2〜10gである。
【0020】
本発明では、SSLは「ご」に添加されることもできるが、好ましくは豆乳に添加される。即ち、常法により製造された豆乳に対して、SSLを凝固剤添加前に添加、又は凝固剤と同時に添加し、混合し、凝固し、冷却し、絹ごし豆腐状、木綿豆腐状或いは摺り豆腐状の豆腐生地が製造される。これらの豆腐生地を所定の大きさに切断、又は冷却前に切断すると絹ごし豆腐、木綿豆腐等が得られる。上記豆腐生地の製造には、従来の公知・慣用技術が用いられてもよい。
【0021】
本発明において、豆腐厚揚げに適した大きさに切断された豆腐生地は、板の上にしばらく(例えば、数分間から数時間)置いて、表面の水気を十分に落とした後、120〜220℃、好ましくは180〜200℃の温度で1〜30分間、好ましくは2〜4分間フライされる。フライに使用される油脂は食用油脂であれば特に制限はないが、例えば大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、小麦胚芽油等が挙げられ、好ましくは大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油等である。尚、フライ前に豆腐生地表面の水気を落とす必要があることは、当業者に周知のことである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
[豆乳の製造]
生大豆7kgを一晩水に浸漬して得た浸漬大豆に水を加えながら磨碎し、「ご」42kgを得た。これに消泡剤(製品名:エマルジースーパー;理研ビタミン社)42gを加え煮釜で蒸者後、豆乳とおからを分離し、豆乳30kgを得た。
【0023】
実施例1
上記豆乳(80℃)1Lに、表1記載の品質改良剤と凝固剤製剤(硫酸カルシウム:GDL=2:1)3gを加え、凝固後20分間熟成させ、絹ごし豆腐生地を得た。この生地を流水中で1時間冷却した後7cm×7cm×3cmに切断し、得られた絹ごし豆腐を密閉容器に入れ、10℃で24時間保存後、豆腐の離水率(%)を測定した。同時に、豆腐の食感について官能的評価を行った。結果を表2に示す。
【0024】
豆腐の離水率(%)=(1−試験後の豆腐重量/試験前の豆腐重量)×100
【0025】
食感の官能的評価については、10人の者による下記4段階法によった。即ち、糖質等の呈味成分が含まれていると判断した者の人数によった。
良い・・・・8〜10人
やや良い・・5〜7人
やや悪い・・3〜4人
悪い・・・・0〜2人
【0026】
【表1】
【0027】
1)SSL(製品名:Prefera SSL 6000;Grワnau社)
2)澱粉(製品名:馬澱(あけぼの);松谷化学工業社)
3)グアーガム(製品名:メイプログァーCSA200/50;三晶社)
【0028】
【表2】
【0029】
表2の結果から明らかなように、本発明による絹ごし豆腐は離水が少なく、食感も良かった。これに対して澱粉を加えたものは、離水は抑えられたが食感が悪くなり、又グアーガムを加えたものは逆に離水が多くなつた。
【0030】
実施例2
上記豆乳(80℃)1Lに、表3記載の品質改良剤と凝固剤製剤(硫酸カルシウム:塩化マグネシウム:GDL=4:1:1)3gを加え、凝固後20分間熟成させ、絹ごし豆腐生地を得た。この生地を流水中で1時間冷却した後10cm×5cm×3cmに切断し、常温で2時間放置して表面の水気を十分に落とした後180℃の大豆油で2分間フライし、絹厚揚げを得た。
【0031】
得られた絹厚揚げを密閉容器に入れ、10℃で24時間保存後、厚揚げの離水率(%)を測定した。同時に、厚揚げの外観及び食感について官能的評価(表2と同様の基準によった。)を行った。結果を表4に示す。
【0032】
厚揚げの離水率(%)=(1−試験後の厚揚げ重量/試験前の厚揚げ重量)×100
【0033】
外観評価は、10人の者による下記4段階法によった。即ち、厚揚げとしての外観が整っていると判断した者の人数によった。
良い・・・・8〜10人
やや良い・・5〜7人
やや悪い・・3〜4人
悪い・・・・0〜2人
【0034】
【表3】
【0035】
4)ステアロイル乳酸ナトリウム製剤I
SSL 50質量%
粉末卵白(製品名:リケンランパクR;理研ビタミン社) 40質量%
デキストリン(製品名:パインデックス#2;松谷化学工業社)10質量%
5)ステアロイル乳酸ナトリウム製剤II
SSL 80質量%
大豆蛋白(製品名:ニューフジプロE;不二製油社) 20質量%
【0036】
【表4】
【0037】
表4の結果から明らかなように、本発明による絹厚揚げは離水が少なく、外観、食感共に良かった。これに対して澱粉を加えたものは、製品の表面の一部がはじけ、欠けを生じたり、揚げ肌が荒れ見栄えが悪く、食感も悪かった。又グアーガムを加えたものは、離水は少なかったがこれは豆腐の段階で離水が多かったためであり、そのため厚揚げの切断面は「す」が入って光沢がなく、食感も悪かった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の「水切り」作業を必要とせず、離水の少ない豆腐厚揚げが得られる。またできあがった豆腐厚揚げは、従来廃棄されていた旨味成分等を含んだ「水」を含んでいるため味が良く、また外観、食感等にも優れている。それ故、この技術は豆腐厚揚げの製造に貢献すること大である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、離水の少ない豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
豆腐厚揚げは、豆乳に凝固剤を添加して凝固させた豆腐生地をフライすることにより製造される。この厚揚げの表面は揚げ物状になっているが、内部は豆腐のままであるため、フライ後時間の経過と共に内部に含まれている水が滲み出す、いわゆる離水が生じ、従来大きな問題となっていた。
【0003】
これを防止するため、豆腐生地を棚に並べて冷蔵庫で長時間放置し、「水切り」を十分に行った後フライする方法が一般的に行われている。しかしこの方法では、「水切り」によって豆腐生地から出る「水」の中には、糖質等の呈味成分の他、ミネラル、イソフラボノイド、サポニン等の健康に良いとされる成分も多く含まれており、これら有効成分を廃棄してしまうことは、最終製品である豆腐厚揚げの品質上好ましいとは言えない。更に、上記「水」が失われることにより、豆腐生地組織の水分が不足し、その結果得られた豆腐厚揚げの食感は硬くてパサパサしたものとなり、厚揚げとしての製品価値が損なわれるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、「水切り」を行わず、しかも離水の少ない豆腐厚揚げを得る次のような方法が提案されている。
【0005】
即ち、グァーガム、タマリンドガムおよびローカストビーンガムよりなる群から選択される1種または2種以上のガムを用いる技術(特許文献1参照)、豆乳に少なくともトランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤を添加し、80℃以下の温度で凝固後、熟成させる技術(特許文献2参照)、架橋澱粉を用いる技術(特許文献3参照)、卵白及び/または乳清蛋白を用いる技術(特許文献4参照)、そして、濃縮して得られる豆乳に対して澱粉を加えて製造される豆腐を脱水せずにフライ処理する技術(特許文献5参照)などが知られている。しかしいずれの方法もその効果は低く、業界の要望に応じられるものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平04−166053号公報
【特許文献2】特開平10−000067号公報
【特許文献3】特開平10−075732号公報
【特許文献4】特開平11−225699号公報
【特許文献5】特開2000−004820号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来から行われている「水切り」作業を必要とせず、簡単な操作で、しかも離水の少ない豆腐厚揚げを得る方法、及び離水を可及的に少なくした豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させて豆腐生地を作製し、該豆腐生地を用いて常法に従ってフライすることにより離水の少ない豆腐厚揚げが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0009】
即ち、本発明の課題は、下記構成によって解決できる。
1.豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させることを特徴とする豆腐生地の製造方法。
【0010】
2.ステアロイル乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする豆腐生地及び豆腐。
【0011】
3.前記2記載の豆腐生地をフライすることを特徴とする豆腐厚揚げの製造方法。
【0012】
4.前記3記載の製造方法で得られる豆腐厚揚げ。
【0013】
5.ステアロイル乳酸ナトリウムを含有する、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤。
【0014】
本発明に用いられるステアロイル乳酸ナトリウムは、親水性界面活性剤として知られているものであるが、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤としてその離水抑制効果の顕著性には驚くべきものがあることを本発明者は見出した。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる豆乳は、通常の豆乳であれば特に制限はなく、「ご」を加熱する際に添加される消泡剤等を含んでいても良く、この消泡剤等の種類は問わない。
【0016】
本発明で用いられるステアロイル乳酸ナトリウム(以下、SSLと略す。)は、ステアロイル基を親油性基、乳酸のカルボニウムイオンを親水性基とし、ナトリウム塩の形をとっている親水性界面活性剤であり、公知のものを特別制限なく利用でき、例えば、市販されている製品はステアロイル基を主たるアシル基とするアシル化乳酸及びアシル化ラクトイル乳酸(ステアロイル乳酸等)とこれらのナトリウム塩、ステアリン酸を主成分とする脂肪酸及びそのナトリウム塩、縮合乳酸類及びそのナトリウム塩を含む混合物である。
【0017】
本発明の品質改良剤は、SSL単品であってもよいし、その他、SSLを含み賦形剤として乳糖、澱粉、デキストリン、粉末水飴、マルトトリオース、マルトース、ぶどう糖或いはセルロース等、製剤化に際して用いられる添加成分を含む組成物であっても良い。又、該組成物には、グリセリン脂肪酸エステル等の食品用乳化剤、カゼインナトリウム、分離大豆蛋白質、粉末卵白、ゼラチン等の蛋白質、或いはリン酸塩等の無機塩類、増粘多糖類等を1種或いは2種以上加えても良い。
【0018】
本発明に用いられるSSLの添加量は、豆乳1Lに対して0.01〜50gが好ましくは、より好ましくは0.1〜10gである。
【0019】
本発明で用いられる豆腐用凝固剤としては、例えば、苦汁、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコノデルタラクトン(GDL)或いはこれらの混合物が挙げられ、豆腐製造に一般的に用いられている凝固剤であれば特に制限はない。凝固剤の添加量は、豆乳1Lに対して1〜100gが好ましく、より好ましくは2〜10gである。
【0020】
本発明では、SSLは「ご」に添加されることもできるが、好ましくは豆乳に添加される。即ち、常法により製造された豆乳に対して、SSLを凝固剤添加前に添加、又は凝固剤と同時に添加し、混合し、凝固し、冷却し、絹ごし豆腐状、木綿豆腐状或いは摺り豆腐状の豆腐生地が製造される。これらの豆腐生地を所定の大きさに切断、又は冷却前に切断すると絹ごし豆腐、木綿豆腐等が得られる。上記豆腐生地の製造には、従来の公知・慣用技術が用いられてもよい。
【0021】
本発明において、豆腐厚揚げに適した大きさに切断された豆腐生地は、板の上にしばらく(例えば、数分間から数時間)置いて、表面の水気を十分に落とした後、120〜220℃、好ましくは180〜200℃の温度で1〜30分間、好ましくは2〜4分間フライされる。フライに使用される油脂は食用油脂であれば特に制限はないが、例えば大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、小麦胚芽油等が挙げられ、好ましくは大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油等である。尚、フライ前に豆腐生地表面の水気を落とす必要があることは、当業者に周知のことである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
[豆乳の製造]
生大豆7kgを一晩水に浸漬して得た浸漬大豆に水を加えながら磨碎し、「ご」42kgを得た。これに消泡剤(製品名:エマルジースーパー;理研ビタミン社)42gを加え煮釜で蒸者後、豆乳とおからを分離し、豆乳30kgを得た。
【0023】
実施例1
上記豆乳(80℃)1Lに、表1記載の品質改良剤と凝固剤製剤(硫酸カルシウム:GDL=2:1)3gを加え、凝固後20分間熟成させ、絹ごし豆腐生地を得た。この生地を流水中で1時間冷却した後7cm×7cm×3cmに切断し、得られた絹ごし豆腐を密閉容器に入れ、10℃で24時間保存後、豆腐の離水率(%)を測定した。同時に、豆腐の食感について官能的評価を行った。結果を表2に示す。
【0024】
豆腐の離水率(%)=(1−試験後の豆腐重量/試験前の豆腐重量)×100
【0025】
食感の官能的評価については、10人の者による下記4段階法によった。即ち、糖質等の呈味成分が含まれていると判断した者の人数によった。
良い・・・・8〜10人
やや良い・・5〜7人
やや悪い・・3〜4人
悪い・・・・0〜2人
【0026】
【表1】
【0027】
1)SSL(製品名:Prefera SSL 6000;Grワnau社)
2)澱粉(製品名:馬澱(あけぼの);松谷化学工業社)
3)グアーガム(製品名:メイプログァーCSA200/50;三晶社)
【0028】
【表2】
【0029】
表2の結果から明らかなように、本発明による絹ごし豆腐は離水が少なく、食感も良かった。これに対して澱粉を加えたものは、離水は抑えられたが食感が悪くなり、又グアーガムを加えたものは逆に離水が多くなつた。
【0030】
実施例2
上記豆乳(80℃)1Lに、表3記載の品質改良剤と凝固剤製剤(硫酸カルシウム:塩化マグネシウム:GDL=4:1:1)3gを加え、凝固後20分間熟成させ、絹ごし豆腐生地を得た。この生地を流水中で1時間冷却した後10cm×5cm×3cmに切断し、常温で2時間放置して表面の水気を十分に落とした後180℃の大豆油で2分間フライし、絹厚揚げを得た。
【0031】
得られた絹厚揚げを密閉容器に入れ、10℃で24時間保存後、厚揚げの離水率(%)を測定した。同時に、厚揚げの外観及び食感について官能的評価(表2と同様の基準によった。)を行った。結果を表4に示す。
【0032】
厚揚げの離水率(%)=(1−試験後の厚揚げ重量/試験前の厚揚げ重量)×100
【0033】
外観評価は、10人の者による下記4段階法によった。即ち、厚揚げとしての外観が整っていると判断した者の人数によった。
良い・・・・8〜10人
やや良い・・5〜7人
やや悪い・・3〜4人
悪い・・・・0〜2人
【0034】
【表3】
【0035】
4)ステアロイル乳酸ナトリウム製剤I
SSL 50質量%
粉末卵白(製品名:リケンランパクR;理研ビタミン社) 40質量%
デキストリン(製品名:パインデックス#2;松谷化学工業社)10質量%
5)ステアロイル乳酸ナトリウム製剤II
SSL 80質量%
大豆蛋白(製品名:ニューフジプロE;不二製油社) 20質量%
【0036】
【表4】
【0037】
表4の結果から明らかなように、本発明による絹厚揚げは離水が少なく、外観、食感共に良かった。これに対して澱粉を加えたものは、製品の表面の一部がはじけ、欠けを生じたり、揚げ肌が荒れ見栄えが悪く、食感も悪かった。又グアーガムを加えたものは、離水は少なかったがこれは豆腐の段階で離水が多かったためであり、そのため厚揚げの切断面は「す」が入って光沢がなく、食感も悪かった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の「水切り」作業を必要とせず、離水の少ない豆腐厚揚げが得られる。またできあがった豆腐厚揚げは、従来廃棄されていた旨味成分等を含んだ「水」を含んでいるため味が良く、また外観、食感等にも優れている。それ故、この技術は豆腐厚揚げの製造に貢献すること大である。
Claims (5)
- 豆乳に少なくともステアロイル乳酸ナトリウムと豆腐用凝固剤を添加し、凝固させることを特徴とする豆腐生地の製造方法。
- ステアロイル乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする豆腐生地及び豆腐。
- 請求項2記載の豆腐生地をフライすることを特徴とする豆腐厚揚げの製造方法。
- 請求項3記載の製造方法で得られる豆腐厚揚げ。
- ステアロイル乳酸ナトリウムを含有する、豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ用の品質改良剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002352074A JP2004180591A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤 |
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JP2002352074A JP2004180591A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004180591A true JP2004180591A (ja) | 2004-07-02 |
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JP2002352074A Withdrawn JP2004180591A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 豆腐生地、豆腐及び豆腐厚揚げ並びにその製造方法及び品質改良剤 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004180591A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007129911A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Tajimaya Shokuhin Kk | 厚揚げの製造方法 |
JP2015043737A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | 理研ビタミン株式会社 | 油ちょう食品用品質改良剤 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352074A patent/JP2004180591A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007129911A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Tajimaya Shokuhin Kk | 厚揚げの製造方法 |
JP2015043737A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | 理研ビタミン株式会社 | 油ちょう食品用品質改良剤 |
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