JP2004179245A - 半導体封止材料用黒色複合粒子粉末及び半導体封止材料 - Google Patents
半導体封止材料用黒色複合粒子粉末及び半導体封止材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度及び着色力が高く、且つ、より優れた流動性及び結着剤樹脂中への分散性を有する半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を提供すると共に、該半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、体積固有抵抗値が高く、より優れた黒色度、半田耐熱性、流動性及び曲げ強度を有する半導体封止材料を得ることを目的とする。
【解決手段】体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が0.05〜15.0μm、体積最大粒子径(D99)が20μm以下、体積粒子径の標準偏差値が2.00以下である半導体封止材料用黒色複合粒子粉末及び該黒色複合粒子粉末と結合材樹脂とを含有することを特徴とする半導体封止材料である。
【選択図】 なし
【解決手段】体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が0.05〜15.0μm、体積最大粒子径(D99)が20μm以下、体積粒子径の標準偏差値が2.00以下である半導体封止材料用黒色複合粒子粉末及び該黒色複合粒子粉末と結合材樹脂とを含有することを特徴とする半導体封止材料である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度及び着色力が高く、且つ、より優れた流動性及び結着剤樹脂中への分散性を有する半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を提供すると共に、該半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、体積固有抵抗値が高く、より優れた黒色度、半田耐熱性、流動性及び曲げ強度を有する半導体封止材料を得ることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の電子部品を物理的、化学的に保護すると共に、固定化するために、従来より、熱硬化性樹脂による樹脂封止が行われている。
【0003】
近年、封止されたプラスチック・パッケージの大型化に伴って、半導体封止材料中に、機械的強度の向上を目的として、シリカ粒子粉末が充填材として添加されている。
【0004】
しかしながら、シリカ粒子は、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有しており、このシラノール基は水素結合によって水を吸着しやすいことが知られている。
【0005】
プラスチック・パッケージは、プリント配線板上に実装するための半田付け工程において、200℃以上の高温に曝されるため、吸湿した水分が高温下で気化し、パッケージにクラックが発生したり、Siチップの表面に隙間が生じるといった問題を抱えている。
【0006】
一方、プラスチック・パッケージは、光を通さないために黒色であることが望ましく、そのために、通常、着色剤としてカーボンブラックが用いられている。しかしながら、カーボンブラックは、粒子サイズが平均粒子径0.005〜0.05μm程度の微粒子であるため自己凝集しやすく、微粒子の状態で樹脂組成物中へ分散することは困難であると共に、凝集物は最大粒子径で一般に0.1μm〜5mmもの粗大粒子を形成することが知られており、これを半導体封止材として用いた場合、配線間へカーボンブラックの凝集物が詰まり、リーク不良発生の原因となる。また、かさ密度が0.1g/cm3程度とかさ高い粉末であるため、取り扱いが困難で、作業性が悪いものであった。更に、カーボンブラック粒子粉末は、それ自体導電性であるため、高い絶縁性を要求される半導体封止用途には多量に添加することが困難である。
【0007】
そこで、水分含有量が低く、耐湿性に優れると共に、黒色度、電気抵抗及び機械的強度が高い半導体封止材料が望まれており、充填材として用いられるシリカ粒子粉末によって前記諸特性を向上させることが期待されている。
【0008】
また、成形時における流動性が良好であることも望まれている。
【0009】
現在、結着剤樹脂とのなじみを向上させるため、シリカ粒子表面をシランカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理する技術(特許文献1又は特許文献2等)が知られている。また、シリカ粒子表面のシラノール基を減少させるために、あらかじめシリカ粒子粉末を100〜1000℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング処理を行う技術(特許文献3)が知られている。更に、樹脂組成物中に添加するカーボンブラックやシリカ粒子粉末の最大粒子径を限定する技術(特許文献4乃至特許文献7等)が知られている。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−245835号公報
【特許文献2】
特開平10−279667号公報
【特許文献3】
特開平11−43320号公報
【特許文献4】
特開2001−19833号公報
【特許文献5】
特開2001−69268号公報
【特許文献6】
特開2001−247747号公報
【特許文献7】
特開2001−329146号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
水分含有量が低く、耐湿性、黒色度及び着色力が高く、且つ、流動性及び結着剤樹脂中への分散性がより優れている半導体封止材料用黒色粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、このような諸特性を有する黒色粒子粉末は未だ得られていない。
【0012】
即ち、前出特許文献1及び2には、シリカ粒子表面をシランカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理したシリカ粒子粉末が記載されているが、該シリカ粒子粉末を半導体封止材料用粒子粉末として使用した場合、カップリング剤との未反応のシラノール基が残存するため、吸湿性が高く、半田付け工程において、クラックが発生しやすいという問題がある。また、結着剤樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を別に添加する必要があるため、得られる半導体封止材料は流動性が悪く、電気抵抗が低いものとなる。
【0013】
また、前出特許文献3には、あらかじめシリカ粒子粉末を100〜1000℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング処理を行って得られたシリカ粒子粉末を半導体封止材料用粒子粉末として用いることが記載されているが、残存シラノール基が少ないため吸湿性は低いが、結着剤樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を別に添加する必要があるため、得られる半導体封止材料は流動性が悪く、電気抵抗が低いものとなる。
【0014】
また、前出特許文献4乃至特許文献7には、樹脂組成物中に添加するカーボンブラック及び/又はシリカ粒子粉末の最大粒子径を限定することが記載されているが、結着剤樹脂中にカーボンブラックとシリカ粒子粉末とを別々に添加しているため、得られる半導体封止材料は電気抵抗が低いものとなる。
【0015】
そこで、本発明は、体質顔料の粒子表面に微細に分散された状態の黒色顔料を付着することにより、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が優れていると共に、結着剤樹脂中への分散性が優れている半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0017】
即ち、本発明は、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が0.05〜15.0μm、体積最大粒子径(D99)が20μm以下、体積粒子径の標準偏差値が1.20以下であることを特徴とする半導体封止材料用黒色複合粒子粉末である(本発明1)。
【0018】
また、本発明は、黒色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする本発明1記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末である(本発明2)。
【0019】
また、本発明は、本発明1又は本発明2記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末体質顔料と結合材樹脂とを含有することを特徴とする半導体封止材料である(本発明3)。
【0020】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0021】
先ず、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末について述べる。
【0022】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子からなる。
【0023】
本発明における体質顔料は、シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸及び珪藻土等のシリカ粒子、クレー、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなどの硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク、透明性酸化チタン、サチン白等が挙げられる。得られる半導体封止材料の機械的強度を考慮すれば、シリカ粒子が好ましい。
【0024】
体質顔料の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。得られる半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の流動性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
【0025】
体質顔料の一次平均粒子径は、0.005〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.010〜8.0μm、更により好ましくは0.015〜6.0μmである。
【0026】
一次平均粒子径が10.0μmを超える場合には、得られる黒色複合粒子粉末が粗大粒子となるため結着剤樹脂中における分散性が低下し、0.005μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすくなるため、芯粒子表面への黒色顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0027】
体質顔料のBET比表面積値は0.1m2/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、体質顔料が粗大であり、得られる黒色複合粒子粉末もまた粗大粒子となり着色力及び結着剤樹脂中における分散性が低下する。結着剤樹脂中における分散性を考慮すると、BET比表面積値は0.2m2/g以上がより好ましく、最も好ましくは0.3m2/g以上である。体質顔料の粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及び黒色顔料による均一な付着処理を考慮すると、その上限値は500m2/gが好ましく、より好ましくは400m2/gであり、最も好ましくは300m2/gである。
【0028】
本発明における体質顔料は、通常2.00〜3.00重量%、あるいはそれ以上の水分を含有している。
【0029】
本発明における体質顔料の流動性は、流動性指数40以上が好ましく、より好ましくは43〜80、最も好ましくは46〜80である。流動性指数が40未満の場合には流動性が優れたものとは言い難く、流動性に優れた半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を得ることが困難である。
【0030】
体質顔料の色相は、C*値が16.0以下の範囲のものが好ましく、より好ましくはC*値が14.0以下、最も好ましくは12.0以下である。C*値が16を超える場合には、芯粒子の色相が強いため、高い黒色度を有する黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。
【0031】
本発明における糊剤は、体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有するものであれば何を用いてもよい。好ましくは、体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有するアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン等のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物から選ばれる一種又は二種以上である。体質顔料の粒子表面への結合力を考慮すれば、より好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン等のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤である。
【0032】
殊に、芯粒子としてシリカ微粒子を用いる場合には、糊剤としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、もしくはシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0033】
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては、化1で表わされるアルコキシシラン、並びに、化2で表されるフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物である。
【0034】
【化1】
【0035】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
得られる黒色複合粒子粉末の流動性及び着色力を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好ましい。
【0037】
【化2】
【0038】
フルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0039】
得られる黒色複合粒子粉末の流動性及び着色力を考慮すると、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランが好ましく、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0040】
メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、化3で表わされる構造を持つものが好ましい。
【0041】
【化3】
【0042】
カップリング剤のうち、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0044】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0045】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0046】
オリゴマーとしては、分子量300以上、10000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10000以上、100000程度のものが好ましい。体質顔料への均一な被覆処理を考慮すれば、液状もしくは各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0047】
糊剤による被覆量は、糊剤被覆体質顔料に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜12.5重量%、最も好ましくは0.03〜10.0重量%である。被覆量が0.01重量%未満の場合には、体質顔料100重量部に対して0.1重量部以上の黒色顔料を付着させることが困難である。また、本発明に用いる糊剤には、体質顔料表面の水酸基と反応して体質顔料の水分含有量を低減する効果があるため、糊剤を被覆した体質顔料(以下、「中間粒子」という。)の水分含有量を、2重量%以下に低減できる量の糊剤を被覆することが望ましい。従って、15.0重量%の被覆で、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部の黒色顔料を付着させることができるが、体質顔料の水分含有量を2重量%以下に低減するために、これ以上の量を被覆しても構わない。
【0048】
付着処理に用いる黒色顔料は、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末、アニリンブラック及びペリレンブラック等の有機黒色顔料を用いることができる。得られる黒色複合粒子粉末の着色力を考慮すれば、カーボンブラック粒子粉末が好ましい。
【0049】
また、得られる黒色複合粒子粉末の耐湿性を考慮すれば、用いる黒色顔料は疎水性であることが好ましい。具体的には、後述する測定条件において、黒色顔料の水分含有量(耐湿性)が、2.50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.00重量%以下である。
【0050】
黒色顔料の付着量は、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜90重量部、最も好ましくは0.3〜80重量部である。0.1重量部未満の場合には、体質顔料の粒子表面を被覆する黒色顔料が少なすぎるため、本発明の目的とする黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。100重量部を超える場合には、多量の黒色顔料が付着するため所望の特性を有する半導体封止材料を得るために結着剤樹脂中への黒色複合粒子粉末の添加量を制御することが困難となる。
【0051】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の粒子形状は、芯粒子である体質顔料の粒子形状に大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0052】
即ち、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の一次平均粒子径は0.005〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.010〜8.0μm、更により好ましくは0.015〜6.0μmである。黒色複合粒子粉末の一次平均粒子径が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。一次平均粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすく、その結果、粗大粒子が生成し、結着剤樹脂中への均一な分散が困難となる。
【0053】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。流動性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
【0054】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)は0.05〜15.0μmであり、好ましくは0.10〜12.0μm、より好ましくは0.15〜9.0μm、更により好ましくは0.2〜6.0μmである。15.0μmを超える場合には、挙動粒子径が大きすぎるため、樹脂組成物成形時に粗大粒子が配線間へ入り込み、ショートの原因となる。
【0055】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積最大粒子径(D99)は20μm以下であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。20.0μmを超える場合には、混在する粗大粒子が樹脂組成物成形時に配線間へ入り込み、ショートの原因となると共に、着色力が低下する。
【0056】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積粒子径の標準偏差値は2.00以下であり、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.60以下、更により好ましくは1.40以下、最も好ましくは1.20以下である。体積粒子径の標準偏差値が2.00を超える場合は、存在する粗大粒子によって流動性が低下すると共に、結着剤樹脂中への分散性が低下する。工業的な生産性を考慮すれば、半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積粒子径の標準偏差値の下限値は、1.01である。
【0057】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末のBET比表面積値は0.1〜500m2/gが好ましく、より好ましくは0.2〜400m2/g、最も好ましくは0.3〜300m2/gである。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、粒子が粗大であり、着色力が低下する。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすいため、結着剤樹脂中への分散性が低下する。
【0058】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の流動性は、流動性指数60以上が好ましく、より好ましくは65以上、最も好ましくは70〜90である。流動性指数が60未満の場合には流動性が優れたものとは言い難く、得られる半導体封止材料の機械的強度をより改善することが困難である。
【0059】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の水分含有量は2.0重量%以下が好ましく、より好ましくは1.5重量%以下、更により好ましくは1.0重量%以下である。水分含有量が2.0重量%を超える場合には、これを用いて得られた半導体封止材料をプリント配線板上に実装するための半田付け工程において、水分が高温下で気化し、パッケージにクラックが発生したりするため好ましくない。
【0060】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の耐湿性は、後出評価方法において、0.24%以下が好ましく、より好ましくは0.22%以下、最も好ましくは0.20%以下である。耐湿性が0.24%を超える場合には、保存中に吸湿してしまい、水分含有量が増加するため好ましくない。
【0061】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の黒色度は、L*値が22.0以下が好ましく、より好ましくは21.0以下、最も好ましくは20.0以下である。L*値が22.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が優れているとは言い難い。L*値の下限値は14.5である。
【0062】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の着色力は、後述する評価方法において、120%以上が好ましく、より好ましくは125%以上である。
【0063】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の黒色顔料の脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。黒色顔料の脱離率が20%を超える場合には、脱離した黒色顔料が凝集し、粗大粒子を形成すると共に、結着剤樹脂中での均一な分散を阻害するため好ましくない。また、黒色顔料が芯粒子表面から脱離することにより、芯粒子が吸湿し水分含有量が多くなると共に、黒色度、着色力及び流動性が低下し、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。
【0064】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、必要により、体質顔料の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、流動性をより向上することができる。
【0065】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物で被覆された体質顔料に対してAl換算、SiO2換算又はAl換算量とSiO2換算量との総和で0.01〜20重量%が好ましい。
【0066】
0.01重量%未満である場合には、流動性向上効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、流動性向上効果が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0067】
前記中間被覆物で被覆された体質顔料を用いて得られた黒色複合粒子粉末は、本発明1に係る黒色複合粒子粉末とほぼ同程度の粒子サイズ、BET比表面積値、水分含有量、耐湿性、黒色度、着色力及び黒色顔料の脱離率を有している。また、流動性は中間被覆物で被覆することによって向上し、流動性指数65以上が好ましく、より好ましくは70以上、最も好ましくは75〜90である。
【0068】
次に、本発明に係る半導体封止材料について述べる。
【0069】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いる半導体封止材料は、構成する結着剤樹脂や添加剤を変えることにより、固体半導体封止材料及び液状半導体封止材料のいずれをも得ることができる。
【0070】
本発明に係る固体半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤からなり、必要に応じて、硬化促進剤、無機充填材、有機難燃剤、無機難燃剤、顔料、表面処理剤、離型剤等その他の添加剤を含有してもよい。
【0071】
結着剤樹脂としては、通常、固体半導体封止材料で用いられる樹脂を使用することができる。具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂類のハロゲン化物等を用いることができる。得られる固体半導体封止材料の流動性及び機械的強度を考慮すれば、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0072】
硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水物を用いることができる。得られる固体半導体封止材料の耐湿性を考慮すれば、フェノールノボラック樹脂が好ましい。
【0073】
本発明に係る固体半導体封止材料は、結着剤樹脂中に本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を0.4〜95重量%、好ましくは0.45〜90重量%、より好ましくは0.5〜85重量%含有している。
【0074】
本発明に係る固体半導体封止材料の結着剤樹脂中への分散性は、後出評価方法において、5又は4であることが好ましく、より好ましくは5である。
【0075】
本発明に係る固体半導体封止材料の黒色度はL*値24.0以下が好ましく、より好ましくは23.0以下、最も好ましくは22.0以下である。L*値が24.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とはいえない。L*値の下限値は14.5程度である。
【0076】
本発明に係る固体半導体封止材料の半田耐熱性は、後出評価方法において、5、4又は3であることが好ましく、より好ましくは5又は4である。
【0077】
本発明に係る固体半導体封止材料の体積固有抵抗値は、5.0×107Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1.0×108Ω・cm以上であり、最も好ましくは5.0×108Ω・cm以上である。5.0×107Ω・cm未満である場合は、導電性が高くなりすぎるため固体半導体封止材料として用いることが困難である。上限値は1.0×1017Ω・cmである。
【0078】
本発明に係る固体半導体封止材料の流動性は、後出測定条件におけるスパイラルフロー値が95cm以上であることが好ましく、より好ましくは100cm以上、最も好ましくは105cmである。
【0079】
本発明に係る固体半導体封止材料の室温における曲げ強度は、155MPa以上が好ましく、より好ましくは160MPa以上、更に好ましくは165MPa以上である。曲げ強度が155MPa未満の場合には、機械的強度が十分とは言い難い。
【0080】
本発明に係る液状半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤からなり、必要に応じて、硬化促進剤、無機充填材、有機難燃剤、無機難燃剤、顔料、表面処理剤、レベリング剤、消泡剤、低応力剤、溶剤等その他の添加剤を含有してもよい。
【0081】
結着剤樹脂としては、通常、液状半導体封止材料で用いられる樹脂を使用することができる。具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有する液状エポキシ樹脂であればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂等を用いることができる。また、得られる液状半導体封止材料の機械的強度向上等の観点から、必要に応じて、ビフェニル型エポキシ樹脂等の固形のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。
【0082】
硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂及びテルペン変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸及び無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水物硬化剤、脂肪族ポリアミン、ポリアミド樹脂及び芳香族ジアミン等のアミン系硬化剤、ルイス酸錯化合物等を用いることができる。
【0083】
本発明に係る液状半導体封止材料は、液状半導体封止材料中に本発明に係る黒色複合粒子粉末を0.4〜80重量%、好ましくは0.45〜75重量%、より好ましくは0.5〜70重量%含有している。
【0084】
本発明に係る液状半導体封止材料の粘度は、250〜750Pa・sが好ましく、より好ましくは300〜700Pa・sであり、最も好ましくは350〜650Pa・sである。
【0085】
本発明に係る液状半導体封止材料の結着剤樹脂中への分散性は、後出評価方法において、5又は4であることが好ましく、より好ましくは5である。
【0086】
本発明に係る液状半導体封止材料の黒色度は、L*値24.0以下が好ましく、より好ましくは23.0以下、最も好ましくは22.0以下である。L*値が24.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とはいえない。L*値の下限値は24.0程度である。
【0087】
本発明に係る液状半導体封止材料の体積固有抵抗値は、5.0×107Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1.0×108Ω・cm以上であり、最も好ましくは5.0×108Ω・cm以上である。5.0×107Ω・cm未満である場合は、導電性が高くなりすぎるため半導体封止材料として用いることが困難である。上限値は1.0×1017Ω・cmである。
【0088】
本発明に係る液状半導体封止材料の曲げ強度は、80MPa以上が好ましく、より好ましくは90MPa以上、更に好ましくは100MPa以上である。曲げ強度が80MPa未満の場合には、機械的強度が十分とは言い難い。
【0089】
次に、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0090】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、体質顔料と糊剤とを混合し、体質顔料の粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された体質顔料と黒色顔料とを混合した後、粉砕・分級することによって得ることができる。
【0091】
体質顔料の粒子表面への糊剤による被覆は、体質顔料と糊剤とを機械的に混合攪拌したり、体質顔料に糊剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した糊剤は、ほぼ全量が体質顔料の粒子表面に被覆される。
【0092】
なお、糊剤としてアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いた場合、被覆されたアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物は、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から生成する有機ケイ素化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後の黒色顔料の付着に影響することはない。
【0093】
糊剤を均一に体質顔料の粒子表面に被覆するためには、体質顔料の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0094】
体質顔料と糊剤との混合攪拌、黒色顔料と粒子表面に糊剤が被覆されている体質顔料との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることが好ましい。ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0095】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミルがある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサーがある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダーがある。
【0096】
体質顔料と糊剤との混合攪拌時における条件は、体質顔料の粒子表面に糊剤ができるだけ均一に被覆されるように処理条件を適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cmが好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm、最も好ましくは147〜980N/cmであり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0097】
糊剤の添加量は、体質顔料100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。添加量が0.15重量部未満の場合には、体質顔料100重量部に対して0.1重量部以上の黒色顔料を付着させることが困難である。また、本発明に用いる糊剤には、体質顔料表面の水酸基と反応して体質顔料の水分含有量を低減する効果があるため、糊剤を被覆した時点での中間粒子の水分含有量を2重量%以下に低減できる量を被覆することが望ましい。従って、45重量部の添加量で、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部の黒色顔料を付着させることができるが、中間粒子の水分含有量を2重量%以下に低減するために、これ以上の量を添加しても構わない。
【0098】
体質顔料の粒子表面に糊剤を被覆した後、黒色顔料を添加し、混合攪拌して糊剤被覆に黒色顔料を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0099】
黒色顔料は、少量ずつ時間をかけながら、殊に5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度をかけて添加するか、若しくは体質顔料100重量部に対して5〜25重量部の黒色顔料を所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0100】
混合攪拌時における条件は、黒色顔料が均一に付着するように処理条件を適宜選択すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cmが好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm、最も好ましくは147〜980N/cmであり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0101】
黒色顔料の添加量は、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部であり、好ましくは0.2〜90重量部、より好ましくは0.3〜80重量部である。黒色顔料の添加量が上記範囲外の場合には、本発明の目的とする黒色複合粒子粉末が得られない。
【0102】
得られた黒色複合粒子を粉砕するための機器としては、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
【0103】
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
【0104】
粉砕後の黒色複合粒子を分級するための機器としては、乾式分級機を用いることが好ましく、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機等を用いることが好ましい。遠心分級機がより効果的に使用できる。
【0105】
前記遠心分級機としては、サイクロン、クラシクロン、スターテバント型、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、タボクラシファイヤ、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ等があり、好ましくはターボプレックス、ミクロンセパレータである。重力分級機としては、水平流型、垂直流型、傾斜流型がある。慣性分級機としては、直線型、曲線型、傾斜型等がある。
【0106】
粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径と体積最大粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
【0107】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0108】
なお、糊剤としてアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から生成する有機ケイ素化合物となって被覆されている。
【0109】
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、前記処理工程を経ることによって、添加した黒色顔料が微細化されて、糊剤を介して、体質顔料の粒子表面に均一且つ緻密な黒色顔料の付着層を形成しているものである。
【0110】
体質顔料は、必要により、黒色顔料との混合撹拌又は糊剤との混合撹拌に先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0111】
中間被覆物による被覆は、体質顔料を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記体質顔料の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0112】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0113】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0114】
次に、本発明に係る固体半導体封止材料の製造法について述べる。
【0115】
本発明に係る固体半導体封止材料は、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを混合、混練による公知の方法によって得ることができる。具体的には、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを、必要により更に硬化促進剤、無機充填剤、着色剤、難燃剤、表面処理剤、離型剤、酸化防止剤等の添加剤を添加した混合物を混合機により均一に混合した後、混練機によって混練することにより得られる。必要により、冷却固化した後、粉砕等を行って粒状にして用いてもよい。
【0116】
前記混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機を使用することができる。前記混練機としては、ロールミル、ニーダー、二軸エクストルーダー等を使用することができる。前記粉砕は、カッターミル、ジェットミル等の粉砕機によって行うことができる。
【0117】
本発明に係る固体半導体封止材料を用いて、IC、LSI、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の半導体装置の封止を行う場合は、トランスファ成形、インジェクション成形、注型法等の公知の方法によって行うことができる。この場合、半導体封止材料の成形温度は150〜200℃、ポストキュアーは150〜200℃が好ましく、時間は2〜16時間が好ましい。
【0118】
次に、本発明に係る液状半導体封止材料の製造法について述べる。
【0119】
本発明に係る液状半導体封止材料は、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを混合、混練による公知の方法によって得ることができる。具体的には、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを、必要により更に硬化促進剤、無機充填剤、着色剤、難燃剤、表面処理剤、レベリング剤、消泡剤、低応力剤、溶剤等の添加剤を添加した混合物を混合機により均一に混合した後、混練機によって混練し、更に、真空消泡することにより得られる。
【0120】
本発明に係る液状半導体封止材料を用いて、ハイブリッドIC、チップオンボード、テープキャリアパッケージ、プラスチックピングリッドアレイ、プラスチックボールグリッドアレイ等の金型無しで半導体装置の封止を行う場合は、注型法、注入法、ディッピング法、ドリップコーティング、塗布等の公知の方法によって行うことができる。
【0121】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0122】
粒子の一次平均粒子径は、電子顕微鏡写真(一次平均粒子径が0.1μm未満の場合は5万倍、0.1μm〜0.5μmの場合は3万倍、0.5〜1.0μmの場合は2万倍、1.0μmを超える場合は1万倍)に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0123】
球形度は、一次平均粒子径(一次平均最長径)と一次平均最短径との比で示した。
【0124】
粒子の体積平均粒子径(D50)及び体積最大粒子径(D99)は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて測定した。なお、D50は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径であり、D99は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が99%となる粒子径である。
【0125】
体積粒子径の標準偏差値は、上記「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて得られた粒度分布より求めた。標準偏差値が1に近いほど、挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0126】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0127】
中間被覆物によって被覆された体質顔料の粒子表面に存在するAl量及びSi量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0128】
体質顔料の粒子表面に被覆されている糊剤の被覆量及び体質顔料に付着している黒色顔料の付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0129】
体質顔料、中間粒子及び黒色複合粒子粉末の水分含有量は、「微量水分測定装置 AQ−7」(平沼産業株式会社)を用いて測定した。
【0130】
体質顔料及び黒色複合粒子粉末の流動性は、パウダテスタ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示した。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れていることを意味する。
【0131】
体質顔料の色相、黒色顔料の黒色度及び黒色複合粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について、「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。なお、C*値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
【0132】
【数1】
C*値=((a*値)2+(b*値)2)1/2
【0133】
黒色複合粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0134】
次いで、黒色複合粒子粉末の標準試料として、黒色複合粒子粉末と同様の割合で黒色顔料と体質顔料とを単に混合した混合顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL*値を測色し、その差をΔLs*値とした。
【0135】
得られた黒色複合粒子粉末のΔL*値と標準試料のΔLs*値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0136】
【数2】
着色力(%)=100+{(ΔLs*値−ΔL*値)×10}
【0137】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0138】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0139】
黒色顔料の耐湿性は、試料粒子粉末を温度85℃、相対湿度85%の環境に48時間放置し、放置前後の重量を測定して放置前に対する放置後の重量の増加量を求め、黒色顔料100重量部当たりの水分含有量(重量部)として示した。
【0140】
黒色複合粒子粉末の耐湿性は、試料粒子粉末を温度85℃、相対湿度85%の環境に48時間放置した後、放置前後の重量を測定し、下記数3に従って求めた。
【0141】
【数3】
耐湿性(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:放置前の試料粒子粉末の重量
We:放置後の試料粒子粉末の重量
【0142】
黒色複合粒子粉末に付着している黒色顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。黒色顔料の脱離率が0%に近いほど、粒子表面からの黒色顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0143】
被測定粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複合粒子粉末と脱離した黒色顔料を分離した。次いで、この黒色複合粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、黒色複合粒子粉末と脱離した黒色顔料を分離した。この黒色複合粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数4に従って求めた値を黒色顔料の脱離率(%)とした。
【0144】
【数4】
黒色顔料の脱離率(%)={(Ya−Ye)/Ya}×100
Ya:黒色複合粒子粉末の黒色顔料付着量
Ye:脱離テスト後の黒色複合粒子粉末の黒色顔料付着量
【0145】
固体半導体封止材の場合の黒色複合粒子粉末の結着剤樹脂への分散性は、後出する処方によって得られた半導体封止材料の断面を「光学顕微鏡 BH−2」(オリンパス光学工業社製)を用いて撮影し、得られた顕微鏡写真(×200倍)における未分散の凝集粒子の個数を計数することで判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
1:0.25mm2当たりに50個以上
2:0.25mm2当たりに10個以上50個未満
3:0.25mm2当たりに5個以上10個未満
4:0.25mm2当たりに1個以上5個未満
5:未分散物認められず
【0146】
液状半導体封止材の場合の黒色複合粒子粉末の結着剤樹脂への分散性は、後出する処方によって得られた液状半導体封止材料をプラスチック基板上に塗布し、150℃で2時間硬化した樹脂プレートの断面を光学顕微鏡(オリンパス光学工業社製、BH−2)を用いて撮影し、得られた顕微鏡写真(×200倍)における未分散の凝集粒子の個数を計数することで判定し、上記固体半導体封止材と同様の判定基準で評価した。
【0147】
液状半導体封止材料の粘度は、高化式フローテスターで、ダイス1mmφ×10mm、プランジャー面積100mm2を用いて175℃、荷重98Nで測定を行った。
【0148】
固体半導体封止材料の黒色度は、後出する処方によって作製した樹脂プレートを「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0149】
液状半導体封止材料の黒色度は、後出する処方によって得られた液状半導体封止材料をプラスチック基板上に塗布し、150℃で2時間硬化した樹脂プレートを「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0150】
半導体封止材料の半田耐熱性は、後出する処方によって作製した樹脂組成物をペレット化し、低圧トランスファー成形機を用いて175℃、70kg/cm2、硬化時間2分の条件で成形し、175℃、8時間ポストキュアーした160pQFP(28×28mm、3.0mm厚)のチップを、85℃、85%(相対湿度)の環境下で7日間放置し、その後、240℃で10秒処理した後、外部クラックの有無を光学顕微鏡により観察した。クラックの合計数(20個のパッケージでの合計)から、下記5段階で評価した。5が最も半田耐熱性が良いことを示す。
5:0個/20パッケージ
4:1〜2個/20パッケージ
3:3〜6個/20パッケージ
2:7〜10個/20パッケージ
1:11個以上/20パッケージ
【0151】
固体半導体封止材料の体積固有抵抗値は、後出する処方によって作製した樹脂プレートを打ち抜き、円柱状の測定試料を作製した。また、液状半導体封止材料の体積固有抵抗値は、前記液状半導体封止材料の黒色度の評価法の樹脂プレートと同様にして作製した樹脂プレートを打ち抜き、円柱状の測定試料を作製した。
【0152】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、「ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)」で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0153】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt(cm)を測定し、下記数5にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値X(Ω・cm)を求めた。
【0154】
【数5】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t0)
【0155】
半導体封止材料の流動性は、トランスファー成形機でEMMI規格に基づいて175℃、6.9MPaの条件でスパイラルフロー値を測定することにより求めた。
【0156】
固体半導体封止材料の曲げ強度は、JIS K6911に従って、175℃、6.9MPa、成形時間2分の条件で10×4×100mmの抗折棒を成形し、180℃で4時間ポストキュアーしたものの室温での曲げ強度を測定した。
【0157】
液状半導体封止材料の曲げ強度は、JIS K6911に従って、175℃、6.9MPa、成形時間2分の条件で10×4×100mmの抗折棒を成形し、150℃で2時間硬化したものの室温での曲げ強度を測定した。
【0158】
<黒色複合粒子粉末(I)の製造>
シリカ粒子粉末(粒子形状:球状、一次平均粒子径0.45μm、球形度1.02、BET比表面積値5.4m2/g、水分含有量3.02重量%、流動性指数52、L*値93.1、a*値0.4、b*値0.3、C*値0.5)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)350gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い中間粒子を得た。得られた中間粒子のメチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で1.25重量%であり、水分含有量は1.82重量%であった。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0159】
次に黒色顔料(種類:カーボンブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.02μm、BET比表面積値133.5m2/g、水分含有量(耐湿性)0.80重量部、L*値14.6)700gを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に黒色顔料を付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末(I)を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0160】
得られた黒色複合粒子粉末(I)は、一次平均粒子径が0.45μm、球形度が1.03、体積平均粒子径(D50)が1.10μm、体積最大粒子径(D99)が3.10μm、標準偏差値が1.09の球状粒子であった。BET比表面積値は11.2m2/g、流動性指数は73、水分含有量は0.43重量%、耐湿性は0.07%、黒色度L*値は17.6、着色力は129%、黒色顔料の脱離率は5.0%であった。付着している黒色顔料はC換算で9.03重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。
【0161】
得られた黒色複合粒子粉末(I)の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した黒色顔料の粒子がほとんど認められないことから、黒色顔料のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆を介して芯粒子に付着していることが認められた。
【0162】
<固体半導体封止材料用樹脂組成物の製造>
前記黒色複合粒子粉末(I)2.2重量部、エポキシ樹脂14.5重量部、前記中間粒子粉末77.8重量部、フェノールノボラック樹脂5.0重量部、硬化促進剤0.2重量部及び離型剤0.3重量部をヘンシェルミキサーに投入し、槽内温度60℃において15分間攪拌混合を行った。得られた混合粉体を連続型二軸混練機で混練を行い、得られた混練物を空気中で冷却、粗粉砕、微粉砕して半導体封止材料を得た。
【0163】
得られた半導体封止材料を各評価用試料片に成形し、評価を行った。
【0164】
得られた半導体封止材料は、分散性が5、黒色度L*値が19.5、半田耐熱性が5、体積固有抵抗値が5.3×1010Ω・cm、スパイラルフローが105cm、曲げ強度が166MPaであった。
【0165】
<黒色複合粒子粉末(II)の製造>
シリカ粒子粉末(粒子形状:球状、一次平均粒子径3.22μm、球形度1.02、BET比表面積値0.8m2/g、水分含有量2.95重量%、流動性指数48、L*値93.2、a*値0.4、b*値0.6、C*値0.7)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)350gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い中間粒子を得た。得られた中間粒子のメチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で1.25重量%であり、水分含有量は1.75重量%であった。
【0166】
次に黒色顔料(種類:カーボンブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.02μm、BET比表面積値133.5m2/g、水分含有量(耐湿性)0.80重量部、L*値14.6)700gを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に黒色顔料を付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末(II)を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0167】
得られた黒色複合粒子粉末(II)は、一次平均粒子径が3.22μm、球形度が1.03、体積平均粒子径(D50)が3.90μm、体積最大粒子径(D99)が7.05μm、標準偏差値が1.17の粒状粒子であった。BET比表面積値は8.4m2/g、流動性指数は74、水分含有量は0.40重量%、耐湿性は0.08%、黒色度L*値は18.3、着色力126%、黒色顔料の脱離率は5.3%であった。付着している黒色顔料はC換算で9.04重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。
【0168】
得られた黒色複合粒子粉末(II)の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した黒色顔料粒子がほとんど認められないことから、黒色顔料のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆を介して芯粒子に付着していることが認められた。
【0169】
<液状半導体封止材料の製造>
前記黒色複合粒子粉末(II)2.2重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂14.0重量部g、前記中間粒子粉末67.8重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸10.0重量部、硬化促進剤0.5重量部及びシランカップリング剤5.3重量部を万能混合機で混合した後、真空チャンバー内で脱泡して、液状半導体封止材料を得た。
【0170】
得られた液状半導体封止材料を各評価用試料片に成形し、評価を行った。
【0171】
得られた液状半導体封止材料は、粘度が390Pa・s、分散性が5、黒色度L*値が20.4、体積固有抵抗値が3.7×1010Ω・cm、曲げ強度が106MPaであった。
【0172】
【作用】
本発明において最も重要な点は、体質顔料の粒子表面に体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有する糊剤を介して黒色顔料が付着していると共に、体積粒子径の標準偏差値が2.00以下である半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が優れていると共に、結着剤樹脂中への分散性が優れているという事実である。
【0173】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の水分含有量が低い理由について、本発明者は、次のように考えている。半導体封止材料に無機フィラー材として一般に添加されているシリカ粒子粉末は、水分含有量が多いことが知られているが、本発明に係る黒色複合粒子粉末は、粒子表面に体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有する糊剤を被覆しているため、体質顔料の粒子表面の水酸基を低減することができたものと考えている。
【0174】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の耐湿性が高い理由について、本発明者は、次のように考えている。半導体封止材料に無機フィラー材として一般に添加されているシリカ粒子粉末は、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有しており、このシラノール基は水素結合によって水を吸着しやすいことが知られているが、本発明に係る黒色複合粒子粉末は、糊剤を介して粒子表面に黒色顔料が強固に付着しているため、体質顔料に比較して疎水性とすることができ、水の吸着を抑制することができたためと考えている。
【0175】
また、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末が優れた流動性を有する理由として、本発明者は、シリカ微粒子等の流動性に優れた体質顔料を芯粒子として用いると共に、粉砕・分級を行うことにより、体積粒子径(挙動粒子径)の標準偏差値を2.00以下にできたことによるものと考えている。
【0176】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0177】
芯粒子1〜5:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する体質顔料を用意した。
【0178】
【表1】
【0179】
芯粒子6:
芯粒子1のシリカ粒子粉末20kgと水150lとを用いて、シリカ粒子粉末を含むスラリーを得た。得られたシリカ粒子粉末を含む分散スラリーのpH値を10.5とした。次に、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのNaAlO2溶液2722ml(シリカ粒子粉末に対してAl換算で0.5重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されているシリカ粒子粉末を得た。
【0180】
得られた粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されているシリカ粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0181】
芯粒子7〜10:
芯粒子の種類、表面処理工程における添加物の種類及び量を種々変えた以外は芯粒子6と同様にして表面処理済体質顔料を得た。
【0182】
このときの処理条件を表2に、得られた表面処理済体質顔料の諸特性を表3に示す。尚、表面処理工程における被覆物の種類のAはアルミニウムの水酸化物を表わす。
【0183】
【表2】
【0184】
【表3】
【0185】
黒色顔料A乃至C:
黒色顔料として表4に示す諸特性を有する黒色顔料を用意した。
【0186】
【表4】
【0187】
中間粒子1〜12
芯粒子の種類、糊剤による被覆工程における糊剤の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして中間粒子を得た。
【0188】
このときの処理条件及び得られた中間粒子の諸特性を表5に示す。
【0189】
【表5】
【0190】
実施例1〜10、比較例1〜2、参考例1〜8:
中間粒子の種類、黒色顔料の付着工程における黒色顔料の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして黒色複合粒子粉末を得た。
【0191】
このときの製造条件を表6に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表7に示す。
【0192】
【表6】
【0193】
【表7】
【0194】
実施例11〜22、比較例3〜7、参考例9〜12:
黒色粒子粉末の種類、添加量、無機充填材の種類及び添加量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態の固体半導体封止材料の製造と同様にして固体半導体封止材料を得た。
【0195】
なお、中間粒子13は、芯粒子2を、乾燥機を用いて、150℃で24時間乾燥させ、水分含有量を1.91重量%まで低減させたものである。
【0196】
このときの製造条件及び得られた固体半導体封止材料の諸特性を表8に示す。
【0197】
【表8】
【0198】
実施例23〜34、比較例8〜12、参考例13〜16:
黒色粒子粉末の種類、添加量、無機充填材の種類及び添加量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態の液状半導体封止材料の製造と同様にして液状半導体封止材料を得た。
【0199】
なお、中間粒子14は、芯粒子4を乾燥機を用いて、120℃で24時間乾燥させ、水分含有量を1.95重量%まで低減させたものである。
【0200】
このときの製造条件及び得られた液状半導体封止材料の諸特性を表9に示す。
【0201】
【表9】
【0202】
【発明の効果】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が高く、結着剤樹脂中への分散性に優れているので、半導体封止材料用黒色複合粒子粉末として好適である。
【0203】
また、本発明に係る固体半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、体積固有抵抗値が高く、半田耐熱性、黒色度及び曲げ強度に優れているので、固体半導体封止材料として好適である。
【0204】
また、本発明に係る液状半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、粘度が低く、体積固有抵抗値が高く、黒色度及び曲げ強度に優れているので、液状半導体封止材料として好適である。
【産業上の利用分野】
本発明は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度及び着色力が高く、且つ、より優れた流動性及び結着剤樹脂中への分散性を有する半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を提供すると共に、該半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、体積固有抵抗値が高く、より優れた黒色度、半田耐熱性、流動性及び曲げ強度を有する半導体封止材料を得ることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の電子部品を物理的、化学的に保護すると共に、固定化するために、従来より、熱硬化性樹脂による樹脂封止が行われている。
【0003】
近年、封止されたプラスチック・パッケージの大型化に伴って、半導体封止材料中に、機械的強度の向上を目的として、シリカ粒子粉末が充填材として添加されている。
【0004】
しかしながら、シリカ粒子は、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有しており、このシラノール基は水素結合によって水を吸着しやすいことが知られている。
【0005】
プラスチック・パッケージは、プリント配線板上に実装するための半田付け工程において、200℃以上の高温に曝されるため、吸湿した水分が高温下で気化し、パッケージにクラックが発生したり、Siチップの表面に隙間が生じるといった問題を抱えている。
【0006】
一方、プラスチック・パッケージは、光を通さないために黒色であることが望ましく、そのために、通常、着色剤としてカーボンブラックが用いられている。しかしながら、カーボンブラックは、粒子サイズが平均粒子径0.005〜0.05μm程度の微粒子であるため自己凝集しやすく、微粒子の状態で樹脂組成物中へ分散することは困難であると共に、凝集物は最大粒子径で一般に0.1μm〜5mmもの粗大粒子を形成することが知られており、これを半導体封止材として用いた場合、配線間へカーボンブラックの凝集物が詰まり、リーク不良発生の原因となる。また、かさ密度が0.1g/cm3程度とかさ高い粉末であるため、取り扱いが困難で、作業性が悪いものであった。更に、カーボンブラック粒子粉末は、それ自体導電性であるため、高い絶縁性を要求される半導体封止用途には多量に添加することが困難である。
【0007】
そこで、水分含有量が低く、耐湿性に優れると共に、黒色度、電気抵抗及び機械的強度が高い半導体封止材料が望まれており、充填材として用いられるシリカ粒子粉末によって前記諸特性を向上させることが期待されている。
【0008】
また、成形時における流動性が良好であることも望まれている。
【0009】
現在、結着剤樹脂とのなじみを向上させるため、シリカ粒子表面をシランカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理する技術(特許文献1又は特許文献2等)が知られている。また、シリカ粒子表面のシラノール基を減少させるために、あらかじめシリカ粒子粉末を100〜1000℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング処理を行う技術(特許文献3)が知られている。更に、樹脂組成物中に添加するカーボンブラックやシリカ粒子粉末の最大粒子径を限定する技術(特許文献4乃至特許文献7等)が知られている。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−245835号公報
【特許文献2】
特開平10−279667号公報
【特許文献3】
特開平11−43320号公報
【特許文献4】
特開2001−19833号公報
【特許文献5】
特開2001−69268号公報
【特許文献6】
特開2001−247747号公報
【特許文献7】
特開2001−329146号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
水分含有量が低く、耐湿性、黒色度及び着色力が高く、且つ、流動性及び結着剤樹脂中への分散性がより優れている半導体封止材料用黒色粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、このような諸特性を有する黒色粒子粉末は未だ得られていない。
【0012】
即ち、前出特許文献1及び2には、シリカ粒子表面をシランカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理したシリカ粒子粉末が記載されているが、該シリカ粒子粉末を半導体封止材料用粒子粉末として使用した場合、カップリング剤との未反応のシラノール基が残存するため、吸湿性が高く、半田付け工程において、クラックが発生しやすいという問題がある。また、結着剤樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を別に添加する必要があるため、得られる半導体封止材料は流動性が悪く、電気抵抗が低いものとなる。
【0013】
また、前出特許文献3には、あらかじめシリカ粒子粉末を100〜1000℃の温度範囲で加熱した後、シランカップリング処理を行って得られたシリカ粒子粉末を半導体封止材料用粒子粉末として用いることが記載されているが、残存シラノール基が少ないため吸湿性は低いが、結着剤樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を別に添加する必要があるため、得られる半導体封止材料は流動性が悪く、電気抵抗が低いものとなる。
【0014】
また、前出特許文献4乃至特許文献7には、樹脂組成物中に添加するカーボンブラック及び/又はシリカ粒子粉末の最大粒子径を限定することが記載されているが、結着剤樹脂中にカーボンブラックとシリカ粒子粉末とを別々に添加しているため、得られる半導体封止材料は電気抵抗が低いものとなる。
【0015】
そこで、本発明は、体質顔料の粒子表面に微細に分散された状態の黒色顔料を付着することにより、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が優れていると共に、結着剤樹脂中への分散性が優れている半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0017】
即ち、本発明は、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が0.05〜15.0μm、体積最大粒子径(D99)が20μm以下、体積粒子径の標準偏差値が1.20以下であることを特徴とする半導体封止材料用黒色複合粒子粉末である(本発明1)。
【0018】
また、本発明は、黒色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする本発明1記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末である(本発明2)。
【0019】
また、本発明は、本発明1又は本発明2記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末体質顔料と結合材樹脂とを含有することを特徴とする半導体封止材料である(本発明3)。
【0020】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0021】
先ず、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末について述べる。
【0022】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子からなる。
【0023】
本発明における体質顔料は、シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸及び珪藻土等のシリカ粒子、クレー、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなどの硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク、透明性酸化チタン、サチン白等が挙げられる。得られる半導体封止材料の機械的強度を考慮すれば、シリカ粒子が好ましい。
【0024】
体質顔料の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。得られる半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の流動性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
【0025】
体質顔料の一次平均粒子径は、0.005〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.010〜8.0μm、更により好ましくは0.015〜6.0μmである。
【0026】
一次平均粒子径が10.0μmを超える場合には、得られる黒色複合粒子粉末が粗大粒子となるため結着剤樹脂中における分散性が低下し、0.005μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすくなるため、芯粒子表面への黒色顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0027】
体質顔料のBET比表面積値は0.1m2/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、体質顔料が粗大であり、得られる黒色複合粒子粉末もまた粗大粒子となり着色力及び結着剤樹脂中における分散性が低下する。結着剤樹脂中における分散性を考慮すると、BET比表面積値は0.2m2/g以上がより好ましく、最も好ましくは0.3m2/g以上である。体質顔料の粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及び黒色顔料による均一な付着処理を考慮すると、その上限値は500m2/gが好ましく、より好ましくは400m2/gであり、最も好ましくは300m2/gである。
【0028】
本発明における体質顔料は、通常2.00〜3.00重量%、あるいはそれ以上の水分を含有している。
【0029】
本発明における体質顔料の流動性は、流動性指数40以上が好ましく、より好ましくは43〜80、最も好ましくは46〜80である。流動性指数が40未満の場合には流動性が優れたものとは言い難く、流動性に優れた半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を得ることが困難である。
【0030】
体質顔料の色相は、C*値が16.0以下の範囲のものが好ましく、より好ましくはC*値が14.0以下、最も好ましくは12.0以下である。C*値が16を超える場合には、芯粒子の色相が強いため、高い黒色度を有する黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。
【0031】
本発明における糊剤は、体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有するものであれば何を用いてもよい。好ましくは、体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有するアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン等のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物から選ばれる一種又は二種以上である。体質顔料の粒子表面への結合力を考慮すれば、より好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン等のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤である。
【0032】
殊に、芯粒子としてシリカ微粒子を用いる場合には、糊剤としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、もしくはシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0033】
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては、化1で表わされるアルコキシシラン、並びに、化2で表されるフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物である。
【0034】
【化1】
【0035】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
得られる黒色複合粒子粉末の流動性及び着色力を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好ましい。
【0037】
【化2】
【0038】
フルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0039】
得られる黒色複合粒子粉末の流動性及び着色力を考慮すると、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランが好ましく、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0040】
メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、化3で表わされる構造を持つものが好ましい。
【0041】
【化3】
【0042】
カップリング剤のうち、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0044】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0045】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0046】
オリゴマーとしては、分子量300以上、10000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10000以上、100000程度のものが好ましい。体質顔料への均一な被覆処理を考慮すれば、液状もしくは各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0047】
糊剤による被覆量は、糊剤被覆体質顔料に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜12.5重量%、最も好ましくは0.03〜10.0重量%である。被覆量が0.01重量%未満の場合には、体質顔料100重量部に対して0.1重量部以上の黒色顔料を付着させることが困難である。また、本発明に用いる糊剤には、体質顔料表面の水酸基と反応して体質顔料の水分含有量を低減する効果があるため、糊剤を被覆した体質顔料(以下、「中間粒子」という。)の水分含有量を、2重量%以下に低減できる量の糊剤を被覆することが望ましい。従って、15.0重量%の被覆で、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部の黒色顔料を付着させることができるが、体質顔料の水分含有量を2重量%以下に低減するために、これ以上の量を被覆しても構わない。
【0048】
付着処理に用いる黒色顔料は、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末、アニリンブラック及びペリレンブラック等の有機黒色顔料を用いることができる。得られる黒色複合粒子粉末の着色力を考慮すれば、カーボンブラック粒子粉末が好ましい。
【0049】
また、得られる黒色複合粒子粉末の耐湿性を考慮すれば、用いる黒色顔料は疎水性であることが好ましい。具体的には、後述する測定条件において、黒色顔料の水分含有量(耐湿性)が、2.50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.00重量%以下である。
【0050】
黒色顔料の付着量は、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜90重量部、最も好ましくは0.3〜80重量部である。0.1重量部未満の場合には、体質顔料の粒子表面を被覆する黒色顔料が少なすぎるため、本発明の目的とする黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。100重量部を超える場合には、多量の黒色顔料が付着するため所望の特性を有する半導体封止材料を得るために結着剤樹脂中への黒色複合粒子粉末の添加量を制御することが困難となる。
【0051】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の粒子形状は、芯粒子である体質顔料の粒子形状に大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0052】
即ち、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の一次平均粒子径は0.005〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.010〜8.0μm、更により好ましくは0.015〜6.0μmである。黒色複合粒子粉末の一次平均粒子径が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。一次平均粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすく、その結果、粗大粒子が生成し、結着剤樹脂中への均一な分散が困難となる。
【0053】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。流動性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
【0054】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)は0.05〜15.0μmであり、好ましくは0.10〜12.0μm、より好ましくは0.15〜9.0μm、更により好ましくは0.2〜6.0μmである。15.0μmを超える場合には、挙動粒子径が大きすぎるため、樹脂組成物成形時に粗大粒子が配線間へ入り込み、ショートの原因となる。
【0055】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積最大粒子径(D99)は20μm以下であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。20.0μmを超える場合には、混在する粗大粒子が樹脂組成物成形時に配線間へ入り込み、ショートの原因となると共に、着色力が低下する。
【0056】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積粒子径の標準偏差値は2.00以下であり、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.60以下、更により好ましくは1.40以下、最も好ましくは1.20以下である。体積粒子径の標準偏差値が2.00を超える場合は、存在する粗大粒子によって流動性が低下すると共に、結着剤樹脂中への分散性が低下する。工業的な生産性を考慮すれば、半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の体積粒子径の標準偏差値の下限値は、1.01である。
【0057】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末のBET比表面積値は0.1〜500m2/gが好ましく、より好ましくは0.2〜400m2/g、最も好ましくは0.3〜300m2/gである。BET比表面積値が0.1m2/g未満の場合には、粒子が粗大であり、着色力が低下する。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすいため、結着剤樹脂中への分散性が低下する。
【0058】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の流動性は、流動性指数60以上が好ましく、より好ましくは65以上、最も好ましくは70〜90である。流動性指数が60未満の場合には流動性が優れたものとは言い難く、得られる半導体封止材料の機械的強度をより改善することが困難である。
【0059】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の水分含有量は2.0重量%以下が好ましく、より好ましくは1.5重量%以下、更により好ましくは1.0重量%以下である。水分含有量が2.0重量%を超える場合には、これを用いて得られた半導体封止材料をプリント配線板上に実装するための半田付け工程において、水分が高温下で気化し、パッケージにクラックが発生したりするため好ましくない。
【0060】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の耐湿性は、後出評価方法において、0.24%以下が好ましく、より好ましくは0.22%以下、最も好ましくは0.20%以下である。耐湿性が0.24%を超える場合には、保存中に吸湿してしまい、水分含有量が増加するため好ましくない。
【0061】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の黒色度は、L*値が22.0以下が好ましく、より好ましくは21.0以下、最も好ましくは20.0以下である。L*値が22.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が優れているとは言い難い。L*値の下限値は14.5である。
【0062】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の着色力は、後述する評価方法において、120%以上が好ましく、より好ましくは125%以上である。
【0063】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の黒色顔料の脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。黒色顔料の脱離率が20%を超える場合には、脱離した黒色顔料が凝集し、粗大粒子を形成すると共に、結着剤樹脂中での均一な分散を阻害するため好ましくない。また、黒色顔料が芯粒子表面から脱離することにより、芯粒子が吸湿し水分含有量が多くなると共に、黒色度、着色力及び流動性が低下し、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。
【0064】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、必要により、体質顔料の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、流動性をより向上することができる。
【0065】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物で被覆された体質顔料に対してAl換算、SiO2換算又はAl換算量とSiO2換算量との総和で0.01〜20重量%が好ましい。
【0066】
0.01重量%未満である場合には、流動性向上効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、流動性向上効果が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0067】
前記中間被覆物で被覆された体質顔料を用いて得られた黒色複合粒子粉末は、本発明1に係る黒色複合粒子粉末とほぼ同程度の粒子サイズ、BET比表面積値、水分含有量、耐湿性、黒色度、着色力及び黒色顔料の脱離率を有している。また、流動性は中間被覆物で被覆することによって向上し、流動性指数65以上が好ましく、より好ましくは70以上、最も好ましくは75〜90である。
【0068】
次に、本発明に係る半導体封止材料について述べる。
【0069】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いる半導体封止材料は、構成する結着剤樹脂や添加剤を変えることにより、固体半導体封止材料及び液状半導体封止材料のいずれをも得ることができる。
【0070】
本発明に係る固体半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤からなり、必要に応じて、硬化促進剤、無機充填材、有機難燃剤、無機難燃剤、顔料、表面処理剤、離型剤等その他の添加剤を含有してもよい。
【0071】
結着剤樹脂としては、通常、固体半導体封止材料で用いられる樹脂を使用することができる。具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂類のハロゲン化物等を用いることができる。得られる固体半導体封止材料の流動性及び機械的強度を考慮すれば、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0072】
硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水物を用いることができる。得られる固体半導体封止材料の耐湿性を考慮すれば、フェノールノボラック樹脂が好ましい。
【0073】
本発明に係る固体半導体封止材料は、結着剤樹脂中に本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を0.4〜95重量%、好ましくは0.45〜90重量%、より好ましくは0.5〜85重量%含有している。
【0074】
本発明に係る固体半導体封止材料の結着剤樹脂中への分散性は、後出評価方法において、5又は4であることが好ましく、より好ましくは5である。
【0075】
本発明に係る固体半導体封止材料の黒色度はL*値24.0以下が好ましく、より好ましくは23.0以下、最も好ましくは22.0以下である。L*値が24.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とはいえない。L*値の下限値は14.5程度である。
【0076】
本発明に係る固体半導体封止材料の半田耐熱性は、後出評価方法において、5、4又は3であることが好ましく、より好ましくは5又は4である。
【0077】
本発明に係る固体半導体封止材料の体積固有抵抗値は、5.0×107Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1.0×108Ω・cm以上であり、最も好ましくは5.0×108Ω・cm以上である。5.0×107Ω・cm未満である場合は、導電性が高くなりすぎるため固体半導体封止材料として用いることが困難である。上限値は1.0×1017Ω・cmである。
【0078】
本発明に係る固体半導体封止材料の流動性は、後出測定条件におけるスパイラルフロー値が95cm以上であることが好ましく、より好ましくは100cm以上、最も好ましくは105cmである。
【0079】
本発明に係る固体半導体封止材料の室温における曲げ強度は、155MPa以上が好ましく、より好ましくは160MPa以上、更に好ましくは165MPa以上である。曲げ強度が155MPa未満の場合には、機械的強度が十分とは言い難い。
【0080】
本発明に係る液状半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤からなり、必要に応じて、硬化促進剤、無機充填材、有機難燃剤、無機難燃剤、顔料、表面処理剤、レベリング剤、消泡剤、低応力剤、溶剤等その他の添加剤を含有してもよい。
【0081】
結着剤樹脂としては、通常、液状半導体封止材料で用いられる樹脂を使用することができる。具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有する液状エポキシ樹脂であればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂等を用いることができる。また、得られる液状半導体封止材料の機械的強度向上等の観点から、必要に応じて、ビフェニル型エポキシ樹脂等の固形のエポキシ樹脂を混合して用いてもよい。
【0082】
硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂及びテルペン変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸及び無水テトラヒドロフタル酸等の酸無水物硬化剤、脂肪族ポリアミン、ポリアミド樹脂及び芳香族ジアミン等のアミン系硬化剤、ルイス酸錯化合物等を用いることができる。
【0083】
本発明に係る液状半導体封止材料は、液状半導体封止材料中に本発明に係る黒色複合粒子粉末を0.4〜80重量%、好ましくは0.45〜75重量%、より好ましくは0.5〜70重量%含有している。
【0084】
本発明に係る液状半導体封止材料の粘度は、250〜750Pa・sが好ましく、より好ましくは300〜700Pa・sであり、最も好ましくは350〜650Pa・sである。
【0085】
本発明に係る液状半導体封止材料の結着剤樹脂中への分散性は、後出評価方法において、5又は4であることが好ましく、より好ましくは5である。
【0086】
本発明に係る液状半導体封止材料の黒色度は、L*値24.0以下が好ましく、より好ましくは23.0以下、最も好ましくは22.0以下である。L*値が24.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とはいえない。L*値の下限値は24.0程度である。
【0087】
本発明に係る液状半導体封止材料の体積固有抵抗値は、5.0×107Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1.0×108Ω・cm以上であり、最も好ましくは5.0×108Ω・cm以上である。5.0×107Ω・cm未満である場合は、導電性が高くなりすぎるため半導体封止材料として用いることが困難である。上限値は1.0×1017Ω・cmである。
【0088】
本発明に係る液状半導体封止材料の曲げ強度は、80MPa以上が好ましく、より好ましくは90MPa以上、更に好ましくは100MPa以上である。曲げ強度が80MPa未満の場合には、機械的強度が十分とは言い難い。
【0089】
次に、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0090】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、体質顔料と糊剤とを混合し、体質顔料の粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された体質顔料と黒色顔料とを混合した後、粉砕・分級することによって得ることができる。
【0091】
体質顔料の粒子表面への糊剤による被覆は、体質顔料と糊剤とを機械的に混合攪拌したり、体質顔料に糊剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した糊剤は、ほぼ全量が体質顔料の粒子表面に被覆される。
【0092】
なお、糊剤としてアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いた場合、被覆されたアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物は、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から生成する有機ケイ素化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後の黒色顔料の付着に影響することはない。
【0093】
糊剤を均一に体質顔料の粒子表面に被覆するためには、体質顔料の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0094】
体質顔料と糊剤との混合攪拌、黒色顔料と粒子表面に糊剤が被覆されている体質顔料との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることが好ましい。ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0095】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミルがある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサーがある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダーがある。
【0096】
体質顔料と糊剤との混合攪拌時における条件は、体質顔料の粒子表面に糊剤ができるだけ均一に被覆されるように処理条件を適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cmが好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm、最も好ましくは147〜980N/cmであり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0097】
糊剤の添加量は、体質顔料100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。添加量が0.15重量部未満の場合には、体質顔料100重量部に対して0.1重量部以上の黒色顔料を付着させることが困難である。また、本発明に用いる糊剤には、体質顔料表面の水酸基と反応して体質顔料の水分含有量を低減する効果があるため、糊剤を被覆した時点での中間粒子の水分含有量を2重量%以下に低減できる量を被覆することが望ましい。従って、45重量部の添加量で、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部の黒色顔料を付着させることができるが、中間粒子の水分含有量を2重量%以下に低減するために、これ以上の量を添加しても構わない。
【0098】
体質顔料の粒子表面に糊剤を被覆した後、黒色顔料を添加し、混合攪拌して糊剤被覆に黒色顔料を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0099】
黒色顔料は、少量ずつ時間をかけながら、殊に5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度をかけて添加するか、若しくは体質顔料100重量部に対して5〜25重量部の黒色顔料を所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0100】
混合攪拌時における条件は、黒色顔料が均一に付着するように処理条件を適宜選択すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cmが好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm、最も好ましくは147〜980N/cmであり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0101】
黒色顔料の添加量は、体質顔料100重量部に対して0.1〜100重量部であり、好ましくは0.2〜90重量部、より好ましくは0.3〜80重量部である。黒色顔料の添加量が上記範囲外の場合には、本発明の目的とする黒色複合粒子粉末が得られない。
【0102】
得られた黒色複合粒子を粉砕するための機器としては、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
【0103】
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
【0104】
粉砕後の黒色複合粒子を分級するための機器としては、乾式分級機を用いることが好ましく、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機等を用いることが好ましい。遠心分級機がより効果的に使用できる。
【0105】
前記遠心分級機としては、サイクロン、クラシクロン、スターテバント型、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、タボクラシファイヤ、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ等があり、好ましくはターボプレックス、ミクロンセパレータである。重力分級機としては、水平流型、垂直流型、傾斜流型がある。慣性分級機としては、直線型、曲線型、傾斜型等がある。
【0106】
粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径と体積最大粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
【0107】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0108】
なお、糊剤としてアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から生成する有機ケイ素化合物となって被覆されている。
【0109】
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、前記処理工程を経ることによって、添加した黒色顔料が微細化されて、糊剤を介して、体質顔料の粒子表面に均一且つ緻密な黒色顔料の付着層を形成しているものである。
【0110】
体質顔料は、必要により、黒色顔料との混合撹拌又は糊剤との混合撹拌に先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0111】
中間被覆物による被覆は、体質顔料を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記体質顔料の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0112】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0113】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0114】
次に、本発明に係る固体半導体封止材料の製造法について述べる。
【0115】
本発明に係る固体半導体封止材料は、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを混合、混練による公知の方法によって得ることができる。具体的には、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを、必要により更に硬化促進剤、無機充填剤、着色剤、難燃剤、表面処理剤、離型剤、酸化防止剤等の添加剤を添加した混合物を混合機により均一に混合した後、混練機によって混練することにより得られる。必要により、冷却固化した後、粉砕等を行って粒状にして用いてもよい。
【0116】
前記混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機を使用することができる。前記混練機としては、ロールミル、ニーダー、二軸エクストルーダー等を使用することができる。前記粉砕は、カッターミル、ジェットミル等の粉砕機によって行うことができる。
【0117】
本発明に係る固体半導体封止材料を用いて、IC、LSI、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の半導体装置の封止を行う場合は、トランスファ成形、インジェクション成形、注型法等の公知の方法によって行うことができる。この場合、半導体封止材料の成形温度は150〜200℃、ポストキュアーは150〜200℃が好ましく、時間は2〜16時間が好ましい。
【0118】
次に、本発明に係る液状半導体封止材料の製造法について述べる。
【0119】
本発明に係る液状半導体封止材料は、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを混合、混練による公知の方法によって得ることができる。具体的には、黒色複合粒子粉末、結着剤樹脂及び硬化剤とを、必要により更に硬化促進剤、無機充填剤、着色剤、難燃剤、表面処理剤、レベリング剤、消泡剤、低応力剤、溶剤等の添加剤を添加した混合物を混合機により均一に混合した後、混練機によって混練し、更に、真空消泡することにより得られる。
【0120】
本発明に係る液状半導体封止材料を用いて、ハイブリッドIC、チップオンボード、テープキャリアパッケージ、プラスチックピングリッドアレイ、プラスチックボールグリッドアレイ等の金型無しで半導体装置の封止を行う場合は、注型法、注入法、ディッピング法、ドリップコーティング、塗布等の公知の方法によって行うことができる。
【0121】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0122】
粒子の一次平均粒子径は、電子顕微鏡写真(一次平均粒子径が0.1μm未満の場合は5万倍、0.1μm〜0.5μmの場合は3万倍、0.5〜1.0μmの場合は2万倍、1.0μmを超える場合は1万倍)に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0123】
球形度は、一次平均粒子径(一次平均最長径)と一次平均最短径との比で示した。
【0124】
粒子の体積平均粒子径(D50)及び体積最大粒子径(D99)は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて測定した。なお、D50は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径であり、D99は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が99%となる粒子径である。
【0125】
体積粒子径の標準偏差値は、上記「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて得られた粒度分布より求めた。標準偏差値が1に近いほど、挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0126】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0127】
中間被覆物によって被覆された体質顔料の粒子表面に存在するAl量及びSi量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0128】
体質顔料の粒子表面に被覆されている糊剤の被覆量及び体質顔料に付着している黒色顔料の付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0129】
体質顔料、中間粒子及び黒色複合粒子粉末の水分含有量は、「微量水分測定装置 AQ−7」(平沼産業株式会社)を用いて測定した。
【0130】
体質顔料及び黒色複合粒子粉末の流動性は、パウダテスタ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示した。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れていることを意味する。
【0131】
体質顔料の色相、黒色顔料の黒色度及び黒色複合粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について、「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。なお、C*値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
【0132】
【数1】
C*値=((a*値)2+(b*値)2)1/2
【0133】
黒色複合粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0134】
次いで、黒色複合粒子粉末の標準試料として、黒色複合粒子粉末と同様の割合で黒色顔料と体質顔料とを単に混合した混合顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL*値を測色し、その差をΔLs*値とした。
【0135】
得られた黒色複合粒子粉末のΔL*値と標準試料のΔLs*値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0136】
【数2】
着色力(%)=100+{(ΔLs*値−ΔL*値)×10}
【0137】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0138】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0139】
黒色顔料の耐湿性は、試料粒子粉末を温度85℃、相対湿度85%の環境に48時間放置し、放置前後の重量を測定して放置前に対する放置後の重量の増加量を求め、黒色顔料100重量部当たりの水分含有量(重量部)として示した。
【0140】
黒色複合粒子粉末の耐湿性は、試料粒子粉末を温度85℃、相対湿度85%の環境に48時間放置した後、放置前後の重量を測定し、下記数3に従って求めた。
【0141】
【数3】
耐湿性(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:放置前の試料粒子粉末の重量
We:放置後の試料粒子粉末の重量
【0142】
黒色複合粒子粉末に付着している黒色顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。黒色顔料の脱離率が0%に近いほど、粒子表面からの黒色顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0143】
被測定粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複合粒子粉末と脱離した黒色顔料を分離した。次いで、この黒色複合粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、黒色複合粒子粉末と脱離した黒色顔料を分離した。この黒色複合粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数4に従って求めた値を黒色顔料の脱離率(%)とした。
【0144】
【数4】
黒色顔料の脱離率(%)={(Ya−Ye)/Ya}×100
Ya:黒色複合粒子粉末の黒色顔料付着量
Ye:脱離テスト後の黒色複合粒子粉末の黒色顔料付着量
【0145】
固体半導体封止材の場合の黒色複合粒子粉末の結着剤樹脂への分散性は、後出する処方によって得られた半導体封止材料の断面を「光学顕微鏡 BH−2」(オリンパス光学工業社製)を用いて撮影し、得られた顕微鏡写真(×200倍)における未分散の凝集粒子の個数を計数することで判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
1:0.25mm2当たりに50個以上
2:0.25mm2当たりに10個以上50個未満
3:0.25mm2当たりに5個以上10個未満
4:0.25mm2当たりに1個以上5個未満
5:未分散物認められず
【0146】
液状半導体封止材の場合の黒色複合粒子粉末の結着剤樹脂への分散性は、後出する処方によって得られた液状半導体封止材料をプラスチック基板上に塗布し、150℃で2時間硬化した樹脂プレートの断面を光学顕微鏡(オリンパス光学工業社製、BH−2)を用いて撮影し、得られた顕微鏡写真(×200倍)における未分散の凝集粒子の個数を計数することで判定し、上記固体半導体封止材と同様の判定基準で評価した。
【0147】
液状半導体封止材料の粘度は、高化式フローテスターで、ダイス1mmφ×10mm、プランジャー面積100mm2を用いて175℃、荷重98Nで測定を行った。
【0148】
固体半導体封止材料の黒色度は、後出する処方によって作製した樹脂プレートを「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0149】
液状半導体封止材料の黒色度は、後出する処方によって得られた液状半導体封止材料をプラスチック基板上に塗布し、150℃で2時間硬化した樹脂プレートを「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L*値で示した。
【0150】
半導体封止材料の半田耐熱性は、後出する処方によって作製した樹脂組成物をペレット化し、低圧トランスファー成形機を用いて175℃、70kg/cm2、硬化時間2分の条件で成形し、175℃、8時間ポストキュアーした160pQFP(28×28mm、3.0mm厚)のチップを、85℃、85%(相対湿度)の環境下で7日間放置し、その後、240℃で10秒処理した後、外部クラックの有無を光学顕微鏡により観察した。クラックの合計数(20個のパッケージでの合計)から、下記5段階で評価した。5が最も半田耐熱性が良いことを示す。
5:0個/20パッケージ
4:1〜2個/20パッケージ
3:3〜6個/20パッケージ
2:7〜10個/20パッケージ
1:11個以上/20パッケージ
【0151】
固体半導体封止材料の体積固有抵抗値は、後出する処方によって作製した樹脂プレートを打ち抜き、円柱状の測定試料を作製した。また、液状半導体封止材料の体積固有抵抗値は、前記液状半導体封止材料の黒色度の評価法の樹脂プレートと同様にして作製した樹脂プレートを打ち抜き、円柱状の測定試料を作製した。
【0152】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、「ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)」で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0153】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt(cm)を測定し、下記数5にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値X(Ω・cm)を求めた。
【0154】
【数5】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t0)
【0155】
半導体封止材料の流動性は、トランスファー成形機でEMMI規格に基づいて175℃、6.9MPaの条件でスパイラルフロー値を測定することにより求めた。
【0156】
固体半導体封止材料の曲げ強度は、JIS K6911に従って、175℃、6.9MPa、成形時間2分の条件で10×4×100mmの抗折棒を成形し、180℃で4時間ポストキュアーしたものの室温での曲げ強度を測定した。
【0157】
液状半導体封止材料の曲げ強度は、JIS K6911に従って、175℃、6.9MPa、成形時間2分の条件で10×4×100mmの抗折棒を成形し、150℃で2時間硬化したものの室温での曲げ強度を測定した。
【0158】
<黒色複合粒子粉末(I)の製造>
シリカ粒子粉末(粒子形状:球状、一次平均粒子径0.45μm、球形度1.02、BET比表面積値5.4m2/g、水分含有量3.02重量%、流動性指数52、L*値93.1、a*値0.4、b*値0.3、C*値0.5)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)350gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い中間粒子を得た。得られた中間粒子のメチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で1.25重量%であり、水分含有量は1.82重量%であった。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0159】
次に黒色顔料(種類:カーボンブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.02μm、BET比表面積値133.5m2/g、水分含有量(耐湿性)0.80重量部、L*値14.6)700gを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に黒色顔料を付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末(I)を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0160】
得られた黒色複合粒子粉末(I)は、一次平均粒子径が0.45μm、球形度が1.03、体積平均粒子径(D50)が1.10μm、体積最大粒子径(D99)が3.10μm、標準偏差値が1.09の球状粒子であった。BET比表面積値は11.2m2/g、流動性指数は73、水分含有量は0.43重量%、耐湿性は0.07%、黒色度L*値は17.6、着色力は129%、黒色顔料の脱離率は5.0%であった。付着している黒色顔料はC換算で9.03重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。
【0161】
得られた黒色複合粒子粉末(I)の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した黒色顔料の粒子がほとんど認められないことから、黒色顔料のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆を介して芯粒子に付着していることが認められた。
【0162】
<固体半導体封止材料用樹脂組成物の製造>
前記黒色複合粒子粉末(I)2.2重量部、エポキシ樹脂14.5重量部、前記中間粒子粉末77.8重量部、フェノールノボラック樹脂5.0重量部、硬化促進剤0.2重量部及び離型剤0.3重量部をヘンシェルミキサーに投入し、槽内温度60℃において15分間攪拌混合を行った。得られた混合粉体を連続型二軸混練機で混練を行い、得られた混練物を空気中で冷却、粗粉砕、微粉砕して半導体封止材料を得た。
【0163】
得られた半導体封止材料を各評価用試料片に成形し、評価を行った。
【0164】
得られた半導体封止材料は、分散性が5、黒色度L*値が19.5、半田耐熱性が5、体積固有抵抗値が5.3×1010Ω・cm、スパイラルフローが105cm、曲げ強度が166MPaであった。
【0165】
<黒色複合粒子粉末(II)の製造>
シリカ粒子粉末(粒子形状:球状、一次平均粒子径3.22μm、球形度1.02、BET比表面積値0.8m2/g、水分含有量2.95重量%、流動性指数48、L*値93.2、a*値0.4、b*値0.6、C*値0.7)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)350gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い中間粒子を得た。得られた中間粒子のメチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で1.25重量%であり、水分含有量は1.75重量%であった。
【0166】
次に黒色顔料(種類:カーボンブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.02μm、BET比表面積値133.5m2/g、水分含有量(耐湿性)0.80重量部、L*値14.6)700gを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に黒色顔料を付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末(II)を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0167】
得られた黒色複合粒子粉末(II)は、一次平均粒子径が3.22μm、球形度が1.03、体積平均粒子径(D50)が3.90μm、体積最大粒子径(D99)が7.05μm、標準偏差値が1.17の粒状粒子であった。BET比表面積値は8.4m2/g、流動性指数は74、水分含有量は0.40重量%、耐湿性は0.08%、黒色度L*値は18.3、着色力126%、黒色顔料の脱離率は5.3%であった。付着している黒色顔料はC換算で9.04重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。
【0168】
得られた黒色複合粒子粉末(II)の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した黒色顔料粒子がほとんど認められないことから、黒色顔料のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆を介して芯粒子に付着していることが認められた。
【0169】
<液状半導体封止材料の製造>
前記黒色複合粒子粉末(II)2.2重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂14.0重量部g、前記中間粒子粉末67.8重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸10.0重量部、硬化促進剤0.5重量部及びシランカップリング剤5.3重量部を万能混合機で混合した後、真空チャンバー内で脱泡して、液状半導体封止材料を得た。
【0170】
得られた液状半導体封止材料を各評価用試料片に成形し、評価を行った。
【0171】
得られた液状半導体封止材料は、粘度が390Pa・s、分散性が5、黒色度L*値が20.4、体積固有抵抗値が3.7×1010Ω・cm、曲げ強度が106MPaであった。
【0172】
【作用】
本発明において最も重要な点は、体質顔料の粒子表面に体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有する糊剤を介して黒色顔料が付着していると共に、体積粒子径の標準偏差値が2.00以下である半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が優れていると共に、結着剤樹脂中への分散性が優れているという事実である。
【0173】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の水分含有量が低い理由について、本発明者は、次のように考えている。半導体封止材料に無機フィラー材として一般に添加されているシリカ粒子粉末は、水分含有量が多いことが知られているが、本発明に係る黒色複合粒子粉末は、粒子表面に体質顔料の粒子表面の水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有する糊剤を被覆しているため、体質顔料の粒子表面の水酸基を低減することができたものと考えている。
【0174】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末の耐湿性が高い理由について、本発明者は、次のように考えている。半導体封止材料に無機フィラー材として一般に添加されているシリカ粒子粉末は、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有しており、このシラノール基は水素結合によって水を吸着しやすいことが知られているが、本発明に係る黒色複合粒子粉末は、糊剤を介して粒子表面に黒色顔料が強固に付着しているため、体質顔料に比較して疎水性とすることができ、水の吸着を抑制することができたためと考えている。
【0175】
また、本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末が優れた流動性を有する理由として、本発明者は、シリカ微粒子等の流動性に優れた体質顔料を芯粒子として用いると共に、粉砕・分級を行うことにより、体積粒子径(挙動粒子径)の標準偏差値を2.00以下にできたことによるものと考えている。
【0176】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0177】
芯粒子1〜5:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する体質顔料を用意した。
【0178】
【表1】
【0179】
芯粒子6:
芯粒子1のシリカ粒子粉末20kgと水150lとを用いて、シリカ粒子粉末を含むスラリーを得た。得られたシリカ粒子粉末を含む分散スラリーのpH値を10.5とした。次に、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのNaAlO2溶液2722ml(シリカ粒子粉末に対してAl換算で0.5重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されているシリカ粒子粉末を得た。
【0180】
得られた粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されているシリカ粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0181】
芯粒子7〜10:
芯粒子の種類、表面処理工程における添加物の種類及び量を種々変えた以外は芯粒子6と同様にして表面処理済体質顔料を得た。
【0182】
このときの処理条件を表2に、得られた表面処理済体質顔料の諸特性を表3に示す。尚、表面処理工程における被覆物の種類のAはアルミニウムの水酸化物を表わす。
【0183】
【表2】
【0184】
【表3】
【0185】
黒色顔料A乃至C:
黒色顔料として表4に示す諸特性を有する黒色顔料を用意した。
【0186】
【表4】
【0187】
中間粒子1〜12
芯粒子の種類、糊剤による被覆工程における糊剤の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして中間粒子を得た。
【0188】
このときの処理条件及び得られた中間粒子の諸特性を表5に示す。
【0189】
【表5】
【0190】
実施例1〜10、比較例1〜2、参考例1〜8:
中間粒子の種類、黒色顔料の付着工程における黒色顔料の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして黒色複合粒子粉末を得た。
【0191】
このときの製造条件を表6に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表7に示す。
【0192】
【表6】
【0193】
【表7】
【0194】
実施例11〜22、比較例3〜7、参考例9〜12:
黒色粒子粉末の種類、添加量、無機充填材の種類及び添加量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態の固体半導体封止材料の製造と同様にして固体半導体封止材料を得た。
【0195】
なお、中間粒子13は、芯粒子2を、乾燥機を用いて、150℃で24時間乾燥させ、水分含有量を1.91重量%まで低減させたものである。
【0196】
このときの製造条件及び得られた固体半導体封止材料の諸特性を表8に示す。
【0197】
【表8】
【0198】
実施例23〜34、比較例8〜12、参考例13〜16:
黒色粒子粉末の種類、添加量、無機充填材の種類及び添加量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態の液状半導体封止材料の製造と同様にして液状半導体封止材料を得た。
【0199】
なお、中間粒子14は、芯粒子4を乾燥機を用いて、120℃で24時間乾燥させ、水分含有量を1.95重量%まで低減させたものである。
【0200】
このときの製造条件及び得られた液状半導体封止材料の諸特性を表9に示す。
【0201】
【表9】
【0202】
【発明の効果】
本発明に係る半導体封止材料用黒色複合粒子粉末は、水分含有量が低く、耐湿性、黒色度、流動性及び着色力が高く、結着剤樹脂中への分散性に優れているので、半導体封止材料用黒色複合粒子粉末として好適である。
【0203】
また、本発明に係る固体半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、体積固有抵抗値が高く、半田耐熱性、黒色度及び曲げ強度に優れているので、固体半導体封止材料として好適である。
【0204】
また、本発明に係る液状半導体封止材料は、前記半導体封止材料用黒色複合粒子粉末を用いることにより、粘度が低く、体積固有抵抗値が高く、黒色度及び曲げ強度に優れているので、液状半導体封止材料として好適である。
Claims (3)
- 体質顔料の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に黒色顔料が付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が0.05〜15.0μm、体積最大粒子径(D99)が20μm以下、体積粒子径の標準偏差値が2.00以下であることを特徴とする半導体封止材料用黒色複合粒子粉末。
- 黒色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末。
- 請求項1又は請求項2記載の半導体封止材料用黒色複合粒子粉末と結合材樹脂とを含有することを特徴とする半導体封止材料。
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