JP2004179010A - 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板 - Google Patents

銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板 Download PDF

Info

Publication number
JP2004179010A
JP2004179010A JP2002344687A JP2002344687A JP2004179010A JP 2004179010 A JP2004179010 A JP 2004179010A JP 2002344687 A JP2002344687 A JP 2002344687A JP 2002344687 A JP2002344687 A JP 2002344687A JP 2004179010 A JP2004179010 A JP 2004179010A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
powder
mass
parts
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002344687A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Takeo
明 竹尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2002344687A priority Critical patent/JP2004179010A/ja
Publication of JP2004179010A publication Critical patent/JP2004179010A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】導体損失が低減されて、直径が10〜100μmの微細な径の貫通導体の形成が可能な銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板を提供する。
【解決手段】ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の内部に、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを、あるいは2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有した銀メタライズ組成物と、この銀メタライズ組成物を用いて貫通導体を形成したガラスセラミック配線基板。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀粉末の表面にアルミナ、シリカ、ニッケル等を被着した粉末を金属成分粉末として含有した貫通導体用の銀メタライズ組成物と、それを用いたガラスセラミック配線基板とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子を収容する半導体素子収納パッケージや、半導体素子の他に各種電子部品を搭載した混成集積回路装置等の各種配線基板用絶縁基体として、電気絶縁性や化学的安定性等の特性に優れたアルミナ質セラミックスが多用されてきた。
【0003】
しかし、近年、携帯用端末に代表される通信分野における1〜10GHz帯の高周波領域で多用される配線基板には、更に導体損失の低減と小型化が図れる銀をはじめとする各種低抵抗材料で配線層を形成したガラスセラミック配線基板が注目されている。
【0004】
これら各種低抵抗材料のうちでも、銀は比較的コストが安く、大気中で焼成でき、絶縁基体表面に形成した配線導体にはメッキを施さなくてもワイヤボンディングが可能である。そのため、銀の配線導体が鋭意研究されている。
【0005】
銀を配線導体とするガラスセラミック配線基板は、例えば、ガラスセラミック原料粉末と有機バインダ等を用いて調製した泥漿物をシート状のガラスセラミックグリーンシートに成形した後、得られたガラスセラミックグリーンシートに貫通孔を打ち抜き加工し、その貫通孔に銀を主成分とする導体ペーストを充填すると共に、ガラスセラミックグリーンシート上に同様の導体ペーストを用いて所定の配線パターンを形成し、これらの複数シートを位置合わせして加圧積層した後、一般的には、この積層体を通常、大気雰囲気の中で加熱して脱バインダ及び焼成をおこなうことにより作製されていた。
【0006】
しかしながら、一般にガラスセラミック配線基板のガラスセラミックスから成る絶縁体と銀を主成分とする貫通導体とは焼成収縮率が異なるという問題がある。また、融点が960℃の銀を上述の通りにガラスセラミックとの同時焼成を行った際に、導体が過焼結気味となって貫通導体がポーラスな組織となってしまう問題があった。これらの問題を解決するため、銀粉末40〜87%と、ペーストにガラスフリット1〜20%とともに、焼結制御剤として異種高融点金属化合物や金属酸化物0.05〜0.06%を添加すれば、銀メタライズの収縮、焼結を制御することが可能となることが、特開平5−47209号公報に開示されている。
【0007】
また、銀100重量部に対し、銀より高い金属酸化物0.02〜1.00重量部で被覆された銀粉末を用いることにより、焼結開始温度を遅らせ、銀メタライズの収縮、焼結を制御することが可能であることも、特開平11−353939号公報に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−47209号公報
【特許文献2】
特開平11−353939号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の配線基板への更なる小型化の要求に応じて貫通孔径を100μm以下とする微細貫通導体を形成する場合、銀メタライズ組成物中の銀粉末およびガラスフリットや、異種高融点金属化合物、金属酸化物の微粉化が必須となるが、特開平5−47209号公報に開示されているガラスフリットは、通常のボールミル等による粉砕方法では粒径1μm以下の微粉化が困難であるという問題点があった。
【0010】
また、特開平11−353939号公報に開示された銀100重量部に対し、銀より融点の高い金属酸化物0.02〜1.00重量部で被覆された銀粉末を使用する銀メタライズ組成物は、平均粒径が0.1〜3μmの銀微粉末では粉末同士の焼結が200〜500℃程度で開始されてしまい、金属酸化物被覆による焼結抑制効果が不十分であり、銀メタライズ貫通導体がポーラスな組織となってしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、微細な径の貫通導体の形成が可能な銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題について鋭意検討した結果、ガラスセラミックスから成る絶縁層の積層体の内部に銀粉末の表面にニッケルを被着した粉末、および銀粉末の表面にシリカ等の混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有させた銀メタライズ組成物から成る貫通導体を形成することによって、貫通導体の小径化が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の銀メタライズ組成物は、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを被着した粉末を金属成分粉末として含有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の銀メタライズ組成物は、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のガラスセラミック配線基板は、ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の内部に上記構成の銀メタライズ組成物から成る貫通導体を形成したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の銀メタライズ組成物によれば、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを、あるいは2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末として含有するものとしたことにより、銀メタライズ組成物を構成する粉末の平均粒径が小さくなることに伴って最大粒の粒径も小さくなり、粗大粒が貫通孔に詰まることがないので、直径が10〜100μmの微小径の貫通孔に、貫通導体用の銀メタライズ組成物の主成分としての0.1μm〜3μmの粒径の銀粉末を効果的に充填させることが可能となる。また、銀粉末の表面に銀より高い融点を有するニッケルを、あるいはシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着することにより、銀粉末粒子同士の接点に高融点物質が介在することになって、焼結開始時の初期段階における銀粉末粒子同士の接点で起きるネッキングを遅らせることができるので、銀メタライズ組成物の焼成開始温度を700〜1000℃の範囲に効果的に上げることができることから、ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の焼成温度である700〜1000℃の焼成開始温度と一致させることが可能となる。その結果、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層との収縮率の違いによって生じる応力を効果的に抑えることが可能となって、銀メタライズ組成物からなる貫通導体を形成したガラスセラミック配線基板を良好に同時焼成することができる。
【0017】
また、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の内部に上記構成の銀メタライズ組成物から成る貫通導体を形成したことにより、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層との同時焼成が可能で、導体損失の低減と貫通導体の小径化が可能なガラスセラミック配線基板とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【0020】
図1によれば、本発明のガラスセラミック配線基板1は、ガラスセラミックスから成る絶縁層2、絶縁層2を複数積層されて成る絶縁基板3、銀メタライズ組成物から成る貫通導体4、配線導体5を具備する。
【0021】
絶縁基板3は、ガラス粉末,フィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合したガラスセラミックグリーンシートを焼結することで形成される。
【0022】
ガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである),SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(但し、Mは前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0023】
また、フィラーとしては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0024】
これらガラスとフィラーとの混合割合は質量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0025】
ガラスセラミックグリーンシートに配合される有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0026】
ガラスセラミックグリーンシートは、上記ガラス粉末,フィラー粉末,有機バインダに必要に応じて所定量の可塑剤,溶剤(有機溶剤,水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード,圧延,カレンダーロール,金型プレス等により厚さ約50μm〜500μmに成形することによって得られる。
【0027】
このようにして得られたガラスセラミックグリーンシートにレーザやマイクロドリル,パンチングにより貫通孔を形成し、その内部に銀を主成分とした導体ペーストを充填して貫通導体4と成す。これを複数枚積層した後、表層には配線回路層となる配線パターン5が形成され、有機成分の除去および焼成を行なう。
【0028】
焼成温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約700〜1000℃の範囲内である。焼成は通常、大気中で行なう。
【0029】
本発明の銀メタライズ組成物によれば、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを、あるいは2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有することとすることが重要である。
【0030】
これは、貫通孔用の銀メタライズ組成物の主成分としての銀粉末の粒径を0.1μm〜3μmとすることにより、貫通孔の直径が10〜100μmの微小径の貫通孔に効果的に充填させることが可能となるからである。
【0031】
銀粉末の粒径を0.1μm未満とした場合には、比表面積が粒径に反比例して大きくなるので、銀ペースト作製時において粉末表面を十分に覆うための溶剤、バインダ等が多くなり、分散が十分にできないことから、銀ペーストのチキソトロピィー指数が高くなり過ぎてしまって、微小貫通孔に充填ができないという問題点が発生する。
【0032】
他方、銀粉末の粒径を3μmを超えるものとした場合には、直径が10〜100μmの微小径の貫通孔への充填性、特に10μm程度の微小径の貫通孔の充填性に問題が生じる。
【0033】
また、銀粉末の表面に銀より高い融点を有するニッケルを、あるいは酸化物であるシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着することにより銀粉末粒子同士の接点に高融点物質が介在することになって、焼結開始時の初期段階における銀粉末粒子同士の接点で起きるネッキングを遅らせることができるので、銀メタライズ組成物の焼成開始温度を700〜1000℃の範囲に効果的に上げることができることから、ガラスセラミックスから成る絶縁層2が複数積層されて成る絶縁基板3の焼成温度である700〜1000℃の焼成開始温度と一致させることが可能となる。その結果、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層2との収縮率の違いによって生じる応力(熱応力)を効果的に抑えることが可能となって銀メタライズ組成物から成る貫通導体4を形成したガラスセラミックス配線基板1を良好に同時焼成することができる。
【0034】
銀粉末の表面にニッケルを被着させたときには、1455℃の高融点金属であるため、前述の銀メタライズ組成物の焼結開始温度700〜1000℃に上げる効果に加え、焼結開始後も銀粒界にニッケルが存在し、銀の粒成長を抑制し焼結抑制剤になるので、酸化物であるシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物に比べ、比較的少量の被着量で銀メタライズ組成物の焼成開始温度を700〜1000℃の範囲に効果的に上げるという効果を得られる。
【0035】
一方、銀粉末の表面に酸化物であるシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着させたときには、いずれも高融点の酸化物であるので、焼結開始後にニッケルのように焼結抑制剤として働く効果がないものの、100質量部の銀粉末に対して2〜10質量部と被着量を増やすことにより、ニッケルと同様の効果を得られる。
【0036】
銀粉末の表面への、高融点金属であるニッケルの被着量を100質量部の銀粉末に対して0.5質量部未満とした場合、または絶縁体であるシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物の被着量を100質量部の銀粉末に対して2質量部未満とした場合には、銀より高い融点を有するニッケル、シリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物の量が不足することから、銀メタライズ組成物の焼成開始温度を効果的に上げることができなくなり、ガラスセラミックスから成る絶縁層2が複数積層されて成る絶縁基板3の焼成温度である700〜1000℃の温度で焼成開始温度を一致させることが困難となる。その結果、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層2との収縮率を一致させることができないという問題が発生する。
【0037】
他方、銀粉末の表面に高抵抗導体であるニッケルの被着量が、あるいは絶縁体であるシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物の被着量が100質量部の銀粉末に対して10質量部を超える場合には、微細貫通導体の比抵抗が増大するとともに、シリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物の被着の場合においては、絶縁体である被着物の増加により貫通導体4の断線を生じさせてしまう傾向がある。
【0038】
さらにまた、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、ガラスセラミックスから成る絶縁層2が複数積層されて成る絶縁基板3の内部に本発明の銀メタライズ組成物から成る貫通導体4を形成することにより、上述の通り銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層2との同時焼成時の焼成温度を一致させることができることから同時焼成が可能となり、導体損失の低減および微細な径の貫通導体の形成が可能なガラスセラミック配線基板1を作製することが可能となる。なお、本発明の銀メタライズ組成物を貫通導体の他にも絶縁層の表面の配線導体5に用いても良いことは言うまでもなく、貫通導体に用いたときと同じ理由により微細な配線導体を形成することができる。
【0039】
本発明の銀メタライズ組成物の銀粉末は、湿式反応により作製された球状の粉末を用いることが好ましい。湿式反応により作製された粉末は、球状でかつ均粒の粉末が得やすく、球状でかつ均粒の粉末であれば、その中に含まれる粗大粒は少ないものとなり、微細貫通孔に詰まることがない。従って、球状粉末は微細貫通孔に充填しやすいことから好適である。しかし、これに限られるものではなく、平均粒径が0.1〜3μmの粉末であれば必ずしも球状でなくても良い。
【0040】
このような銀粉末をニッケルで、あるいはシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物で被着した粉末を得るには、例えば、ニッケルとなるべきニッケルの塩やアルミナとなるべきアルミニウムの塩、シリカとなるべきシリコンの塩とこれらのレジネート,ゾル等の化合物溶液中に銀粉末を分散させた後、溶剤を飛ばして銀粉末の表面に金属化合物を被着させた状態とし、さらに加熱処理してニッケル化合物をニッケルにしたり、空気中で加熱処理して化合物を酸化処理すればよい。
【0041】
また、銀微粉末と平均粒径100nm以下の超微粒子のニッケルを、あるいはシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物の粉末を、所望の重量比及び混合比で調合、撹拌混合し、銀粉末表面にシリカもしくはアルミナの超微粒子が付着した状態を得た後、それを磨砕機に投入し高速で回転させて、銀粉末相互の衝突を発生させ、銀粉末と各々の超微粒子とのメカノケミカル反応により表面に被着させる方法も可能である。
【0042】
一方、銀メタライズ組成物に使用する銀ペースト用の有機バインダには、非酸化雰囲気中での熱分解性に優れたアクリル樹脂、好ましくはメタクリル酸系樹脂が好適であり、溶剤としてはフタル酸ジブチルやα−テルピネオール等の一般的なペースト用の溶剤を適用することが可能である。
【0043】
なお、銀ペーストを用いて形成した配線パターンを有するガラスセラミック配線基板1の焼成は、一般的に大気雰囲気中で実施されるが、有機バインダ分解後に残留するカーボンを除去するためにはガラスセラミック配線基板1の焼成温度を700℃以上とし、ガラスセラミック配線基板1と同時焼成する銀メタライズ組成物も焼成開始温度をガラスセラミック配線基板1と同等に高くすることが望ましい。
【0044】
本発明の銀メタライズ組成物は、100質量部の銀粉末に対して、ニッケル(Ni)を0.1〜10質量部、あるいはシリカ(SiO)もしくはアルミナ(Al)またはそれらの混合物を2〜10質量部被着しているが、このニッケル、シリカもしくはアルミナまたはその混合物の被着量を調整することにより、銀粉末粒子同士の接点に高融点物質が介在することになって、焼結開始時の初期段階における銀粉末粒子同士の接点で起きるネッキングを遅らせることができることを利用し、その被着量によってネッキングの開始温度を変化させることができるので、銀粉末の焼成開始温度を700〜1000℃に調整することが可能となる。
【0045】
焼成後、得られた絶縁基体表面の銀の配線導体に用途に応じてメッキ処理を施し、下地にニッケルあるいはパラジウムを被覆し、その上に金を被覆して銀の配線導体を有するガラスセラミック配線基板1が得られる。
【0046】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述の例では貫通孔の形成方法としてレーザやマイクロドリル,パンチングにより形成するとしたが、フォトリソグラフィ(写真現像)工法等を用いても何ら支障無い。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
平均粒径が、0.5,1,3μmの銀粉末に対し、ニッケル(Ni)、シリカ(SiO),アルミナ(Al)またはその混合物を、銀粉末100質量部に対して、それぞれ表1に示す割合で被着を施し、その微粉末に有機バインダと溶媒を添加して混練し、ペースト状の貫通導体用の銀メタライズ用試料を調整した。
【0049】
銀粉末に被着を施す方法としては、銀微粉末0.5,1,3μmと平均粒径100nm以下の超微粒子の、ニッケル粉末、酸化アルミニウム,酸化珪素粉末を、所望の重量比及び混合比で調合、撹拌混合し、銀粉末表面に超微粒子が付着した状態を得た後、それを磨砕機に投入し高速で回転させて、銀粉末相互の衝突を発生させ、銀粉末と各々の超微粒子とのメカノケミカル反応により表面に被着させる手法を用いた。
【0050】
また、比較用に従来手法どおり、ガラスフリットを銀メタライズ組成物に含有する手法を用いた試料を作成した。ガラスフリットを含有する銀メタライズ組成物ペーストは、平均粒径が1μmの銀粉末100質量部に、SiOが56質量%、Alが17質量%、MgOが6質量%、CaOが8質量%、BaOが8質量%、Bが5質量%の組成を有するガラスフリットとAl粉末から成るフィラーも、それぞれ表1に示す割合で混合し、その混合物に有機バインダと溶剤を添加して混練し、作製した。
【0051】
一方、SiOが44質量%、Alが28質量%、MgOが11質量%、ZnOが8質量%、Bが9質量%の組成を有する結晶性ガラス粉末61質量%と、ジルコン酸カルシウム粉末21質量%、チタン酸ストロンチウム粉末16質量%、Al粉末2質量%から成るガラスセラミック原料粉末100質量部に対して、有機バインダとしてメタクリル酸イソブチル樹脂を固形分で12質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを6質量部添加し、トルエン及び酢酸エチルを溶媒としてボールミルにより40時間混合し、スラリーを調整した。
【0052】
得られたスラリーをドクターブレード法により厚さ0.09mmのガラスセラミックグリーンシートに成形し、このグリーンシートに直径0.03mmの貫通孔を形成し、貫通孔に、前記貫通導体用銀ペーストを充填し、更にその上面にパッドパターンを印刷したものを2枚加圧積層した成形体を作成した。
【0053】
それから、前記成形体を大気雰囲気中、900℃の温度で1時間保持して評価用のガラスセラミック配線基板を作製した。
【0054】
前記評価用のガラスセラミック配線基板を用いて、絶縁基体を貫通する貫通導体をクロスセクション観察し、貫通導体の銀メタライズが充填されているかどうかを観察し、銀メタライズの焼結状態、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスとから成る絶縁層とのセパレーション発生の有無の確認をおこなった。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004179010
【0056】
表1における貫通導体の充填率(貫通孔充填率)については10個の貫通孔のうち、銀メタライズが充填されている貫通孔の数を示した。
【0057】
また、導体の細りに関しては、銀メタライズが過焼結のため体積収縮し、ポーラスとなっているものを「有」、全く緻密化して問題ないものを「無」とした。
【0058】
また、セパレーション発生有無については、「無」は、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスとから成る絶縁層でセパレーションの発生が全く無かったものとし、「有」は、発生が有ったものとした。
【0059】
表1の結果から明らかなように、100質量部の銀粉末の表面にSiOを1質量部被着した銀成分粉末による試料No.8は、貫通導体の充填、セパレーションの発生は無かったものの、銀メタライズがポーラスとなっており問題があった(表中の総合判定の欄に×で示す)。
【0060】
これに対して、本発明の銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板に基づいて作製された試料No.1〜7、9〜12、14は貫通孔の充填もよく、緻密化し、かつセパレーションの発生も無く優れたものであった(表中の総合判定の欄に○で示す)。
【0061】
また、銀粉末の表面に、Ni,SiO,Alが被着されていない試料No.15,16は、貫通孔には充填されていたものの、導体の細り、セパレーションの発生が有り問題があった(表中の総合判定の欄に×で示す)。さらにまた、銀粉末の表面に、Ni,SiO,Alが被着されていない試料No.17は、貫通孔に充填せず、かつ導体の細り、セパレーションの発生も有り問題があった(表中の総合判定の欄に×で示す)。
さらにまた、銀粉末の表面に、Ni,SiO,Alが被着されていない試料No.18は、貫通孔に充填しないが、銀メタライズは緻密化し、導体の細り、セパレーションの発生はなかった。(表中の総合判定の欄に×で示す)。
【0062】
【発明の効果】
本発明の銀メタライズ組成物によれば、100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを、あるいは2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有するものとしたことにより、銀メタライズ組成物を構成する粉末の平均粒径が小さくなることに伴って最大粒の粒径も小さくなり、粗大粒が貫通孔に詰まることがないので、直径が10〜100μmの微小径の貫通孔に、貫通導体用の銀メタライズ組成物の主成分としての0.1μm〜3μmの粒径の銀粉末を効果的に充填させることが可能となる。また、銀粉末の表面に銀より高い融点を有するニッケルを、あるいはシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着することにより銀粉末粒子同士の接点に高融点物質が介在することになって、焼結開始時における初期段階の銀粉末粒子同士の接点で起きるネッキングを遅らせることができるので、銀メタライズ組成物の焼成開始温度を700〜1000℃の範囲に効果的に上げることができることから、ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の焼成温度である700〜1000℃の焼成開始温度と一致させることが可能となる。その結果、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層との収縮率の違いによって生じる応力を効果的に抑えることが可能となって銀メタライズ組成物からなる貫通導体を形成したガラスセラミックス配線基板を良好に同時焼成することができる。
【0063】
また、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の内部に上記構成の銀メタライズ組成物から成る貫通導体を形成したことにより、銀メタライズ組成物とガラスセラミックスから成る絶縁層との同時焼成が可能で、貫通導体の小径化が可能なガラスセラミック配線基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・ガラスセラミック配線基板
2・・・・・・絶縁層
3・・・・・・絶縁層2を複数積層されて成る絶縁基板
4・・・・・・銀メタライズ組成物から成る貫通導体
5・・・・・・配線導体

Claims (3)

  1. 100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、0.5〜10質量部のニッケルを被着した粉末を金属成分粉末として含有することを特徴とする銀メタライズ組成物。
  2. 100質量部の平均粒径が0.1〜3μmの銀粉末の表面に、2〜10質量部のシリカもしくはアルミナまたはそれらの混合物を被着した粉末を金属成分粉末として含有することを特徴とする銀メタライズ組成物。
  3. ガラスセラミックスから成る絶縁層が複数積層されて成る絶縁基板の内部に請求項1、2記載の銀メタライズ組成物から成る貫通導体を形成したことを特徴とするガラスセラミック配線基板。
JP2002344687A 2002-11-27 2002-11-27 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板 Pending JP2004179010A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002344687A JP2004179010A (ja) 2002-11-27 2002-11-27 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002344687A JP2004179010A (ja) 2002-11-27 2002-11-27 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004179010A true JP2004179010A (ja) 2004-06-24

Family

ID=32706064

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002344687A Pending JP2004179010A (ja) 2002-11-27 2002-11-27 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004179010A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007011062A1 (ja) 2005-07-21 2007-01-25 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho 複合材料、複合材料基材、複合材料分散液、及びそれらの製造方法
JP2007313443A (ja) * 2006-05-26 2007-12-06 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化装置
WO2011142318A1 (ja) * 2010-05-11 2011-11-17 Tdk株式会社 電子部品及びその製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007011062A1 (ja) 2005-07-21 2007-01-25 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho 複合材料、複合材料基材、複合材料分散液、及びそれらの製造方法
EP1918046A1 (en) * 2005-07-21 2008-05-07 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Composite material, composite material base, composite material dispersion liquid, and methods for producing those
EP1918046A4 (en) * 2005-07-21 2010-03-17 Toyota Chuo Kenkyusho Kk COMPOSITE MATERIAL, BASE OF COMPOSITE MATERIAL, DISPERSION LIQUID OF COMPOSITE MATERIAL, AND METHODS OF MAKING SAME
US8475921B2 (en) 2005-07-21 2013-07-02 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Composite material, composite material substrate, composite material dispersed fluid, and manufacturing methods thereof
JP5267841B2 (ja) * 2005-07-21 2013-08-21 株式会社豊田中央研究所 複合材料、複合材料基材、複合材料分散液、及びそれらの製造方法
JP2007313443A (ja) * 2006-05-26 2007-12-06 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化装置
WO2011142318A1 (ja) * 2010-05-11 2011-11-17 Tdk株式会社 電子部品及びその製造方法
JP2011238799A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Tdk Corp 電子部品及びその製造方法
CN102893388A (zh) * 2010-05-11 2013-01-23 Tdk株式会社 电子部件及其制造方法
US9299653B2 (en) 2010-05-11 2016-03-29 Tdk Corporation Electronic component and method for producing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3669255B2 (ja) セラミック多層基板の製造方法および未焼成セラミック積層体
US7722732B2 (en) Thick film paste via fill composition for use in LTCC applications
JPH11353939A (ja) 導電性ペーストおよびセラミック多層基板
JP2002198647A (ja) 低温焼成セラミック配線基板の製造方法
JP3652196B2 (ja) セラミック配線基板の製造方法
JP2004228410A (ja) 配線基板
JP2004179010A (ja) 銀メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板
JP2006256956A (ja) ガラスセラミックス焼結体及びマイクロ波用回路部材
JPH1149531A (ja) ガラスセラミックス組成物
JP3127797B2 (ja) コンデンサ内蔵ガラスセラミック基板
JP4562282B2 (ja) セラミック回路基板の製法
JP4852778B2 (ja) セラミック基板用組成物およびセラミック回路部品
JP4693284B2 (ja) 多層配線基板およびその製造方法
JP2004207206A (ja) 銅メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板
JP4665130B2 (ja) 導電性ペーストおよび導電層付き基板製造方法
JP2005093546A (ja) 配線基板およびその製造方法
JP2860734B2 (ja) 多層セラミック部品、その製造方法および内部導体ペースト
JP4906258B2 (ja) 配線基板およびその製造方法
JP3152854B2 (ja) 多層配線基板
JP2004235347A (ja) 絶縁性セラミックスおよびそれを用いた多層セラミック基板
JP2010153554A (ja) セラミック基板及びその製造方法
JPH11157945A (ja) セラミック電子部品の製造方法及びそれに用いるダミー用グリーンシート
JP3426820B2 (ja) 銅メタライズ組成物およびそれを用いたガラスセラミック配線基板の製造方法
JP2006089352A (ja) 誘電体ペーストおよびコンデンサ内蔵ガラスセラミック多層配線基板
JP2003165773A (ja) 高誘電率ガラスセラミックス及びそれを用いた配線基板