JP2004176314A - 植栽部を備えた土木構造物及びその構築工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土木構造物の外壁は一定高さ位置毎に厚さ方向に後退して、そこに一定幅の植栽部が設けられ、前記外壁は鋼矢板で組み立てられ、その内側に水平姿勢のアンカー材が複数本ずつ設けられ、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材が充填されて前記アンカー材を埋め込んでおり、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎が設けられ、その上に次上段の外壁が前記鋼矢板で組み立てられ、前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部が形成され、前記植栽部に植栽用の土砂が充填され、以下、同様に外壁部分の上下方向に複数段の植栽部が設けられ、植栽が行われている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、短尺の鋼矢板から成る外壁、又は間伐材から成る外壁の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された植栽部を備えた土木構造物及びその構築工法の技術分野に属し、更に云えば、階段状の法面勾配が形成され、その平面スペースに植栽部を備えることにより、土留め擁壁、或いは治山堰堤、砂防堰堤の下流側の外壁に好適に使用される、土木構造物及びその構築工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
短尺の鋼矢板をコンクリート型枠兼用の外壁材として用い、前記外壁材と地山の法面との間にコンクリートを打設した土留め擁壁及びその構築工法として、本出願人が提案した技術が今般出願公開された(特許文献1参照)。
この土留め擁壁及びその構築工法は、明細書の段落番号[0002]〜[0007]に記載しているように、従来技術の問題点を全て解消した技術であり、施工的及び経済的並びに構造力学的に大変優れており、万全であると云える。
また、本出願人は、前記技術に派生して、特願2002−199921、特願2002−209420に提案しているように、短尺の鋼矢板等の外壁材を長手方向の両側面位置に沿って並立させ、これら相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された所謂ダブルウォール型の土木構造物及びその構築工法を開発している。この技術は、主に砂防堰堤や治山堰堤に好適に実施されるが、やはり、従来技術の問題点を全て解消した技術であり、施工的及び経済的並びに構造力学的に大変優れており、万全であると云える。
【特許文献1】
特開2002−242210号公報
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本出願人が開発した土留め擁壁、砂防堰堤等の上記土木構造物は、施工的及び経済的並びに構造力学的には大変優れているものの、その外観全面が鋼矢板等の外壁材で覆われているため、自然の景観を損ねてしまい、環境の保護と調和を重視するニーズに対応できていない点で改良の余地が残されていると云える。
したがって、本発明の目的は、施工的及び経済的並びに構造力学的に大変優れていると共に、自然の景観を損なわず、環境の保護と調和を重視するニーズに十分に対応できる、地球に優しい、植栽部を備えた土木構造物及びその構築工法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物は、
外壁の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
土木構造物の外壁は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して、そこに一定幅の植栽部が設けられていること、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の短尺の鋼矢板で組み立てられており、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が複数本ずつ設けられ、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材が充填されて前記アンカー材を埋め込んでおり、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎が設けられ、その上に次上段の外壁が前記鋼矢板で組み立てられ、前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部が形成され、前記植栽部に植栽用の土砂が充填されていること、
以下、同様にして外壁部分の上下方向に複数段の植栽部が設けられ、植栽が行われていることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物は、
外壁の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
土木構造物の外壁は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して、そこに一定幅の植栽部が設けられていること、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てられており、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が複数本ずつ設けられ、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材が充填されて前記アンカー材を埋め込んでおり、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎が設けられ、その上に次上段の外壁が前記間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てられ、前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部が形成され、前記植栽部に植栽用の土砂が充填されていること、
以下、同様にして外壁部分の上下方向に複数段の植栽部が設けられ、植栽が行われていることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した植栽部を備えた土木構造物において、
外壁の内側に充填する硬化材は、少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして、1回又は複数回に分けた分量ずつ充填し、且つ養生を行う工程により充填されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物において、
アンカー材は、その一端は腹起こし材に取り付けられ、他端は下向きに折り曲げられていることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物において、
外壁の上縁部の高さは水平方向に一直線状に揃えられ、同上縁部の上に堤冠材が取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物において、
硬化材は、現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメントであることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構築工法は、
外壁の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築する土木構造物の構築工法であって、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の短尺の鋼矢板で組み立て、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材を複数本ずつ段階的に取り付け、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材を段階的に充填して前記アンカー材を埋め込み、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎を設け、その上に次上段の外壁を前記鋼矢板で組み立てて前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部を形成し、前記植栽部に植栽用の土砂を充填すること、
前記外壁の下部は、コンクリート基礎の上面に、鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁を配置し、同コンクリート基礎の上面に固定したアンカー金具によって前記基礎梁を位置決めしており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱を所望の法面勾配で立てて、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持させ、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した鋼矢板を前記腹起こし材と結合して支持せしめること、
以下、同様の工程を繰り返し行い、外壁を一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部を複数段設け、植栽を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載した発明は、請求項7に記載した植栽部を備えた土木構造物の構築工法において、
外壁を構成する短尺の鋼矢板は、コンクリート基礎上の一段目に、モジュール長さ及び略1/2モジュール長さに加工した鋼矢板を互い違いの配置に接合し、その上縁部の継目を上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置となる段違いの千鳥状配置に形成し、充填する硬化材の天端よりも少なくとも一工程分だけ先行して組み立てを進めることを特徴とする。
【0012】
請求項9に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構築工法は、
外壁の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築する土木構造物の構築工法であって、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の間伐材を水平方向に積み重ねて組み立て、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材を複数本ずつ段階的に取り付け、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材を段階的に充填して前記アンカー材を埋め込み、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎を設け、その上に次上段の外壁を前記間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てて前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部を形成し、前記植栽部に植栽用の土砂を充填すること、
前記外壁の下部は、コンクリート基礎の上面にアンカー金具を固定し、該アンカー金具と結合した斜めのサポート材により前記間伐材を支持するH形鋼等の支柱を所望の法面勾配で立てて、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持せしめること、
以下、同様の工程を繰り返し行い、外壁を一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部を複数段設け、植栽を行うことを特徴とする。
【0013】
【本発明の実施形態、及び実施例】
先ずは、請求項7に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構築工法の実施形態を図面に基づいて説明し、併せて請求項1に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構成を逐次説明する。
本発明の構築工法は、図1に示したように、地山1の法面1aが崩落するのを防ぐために構築される土留め擁壁(土木構造物)Wの長手方向(紙面と垂直方向)に沿って設置された外壁11、21、31を構築し、その内側に、コンクリート等の硬化材3を段階的に充填して同土木構造物Wを構築する工法であり、前記外壁11、21、31を複数の短尺の鋼矢板2で組み立てることを特徴とする。しかも、前記外壁11、21、31は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に順次後退して、そこに一定幅(本実施形態では50cm程度)の凹溝状の植栽部13を設け、その内側面には一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材4…を複数本ずつ取り付け、これを硬化材3の中に埋め込み、強度を発現した硬化材3のアンカー作用で、外壁11、21、31の自立支持及び形態保持を行うことも特徴としている。
【0014】
以下、更に具体的な説明を進める。
先ず、鋼矢板2で組み立てる第一段目の外壁11の構築について説明する。図2は複数の短尺の鋼矢板2で組み立てた前記第一段目の外壁11の完成状態の一例を部分的に示し、図3〜図5は同外壁11の組み立て要領を示している。
図3と図4は、地盤上に打設したコンクリート基礎5の上で第一段目の外壁11の組み立てを行った状況を示している。コンクリート基礎5の構築に際して予め埋め込みアンカーを用意するか、又は完成したコンクリート基礎5にアンカー用孔を削孔して彫り込みアンカーを用意するなどし、そのアンカーボルト6を利用して、アングル等によるアンカー金具7の内側端部を固定する。同アンカー金具7の外側端部に、鋼矢板2の下端を挿入できその位置を定める上向きに開口した溝形断面材である基礎梁8がほぼ直角な向き(土木構造物Wの長手方向)に連結されており、前記アンカー金具7…により、基礎梁8の位置決め固定が行われる。
【0015】
前記アンカー金具7は、支柱9の設置位置と対応する間隔(約2m)で基礎梁8の長手方向に複数設置されている。下端を前記アンカー金具7とボルト止め等の手段で結合した斜めのサポート材10の上端部と、やはり下端部を基礎梁8の溝内へ挿入して外壁断面のセンター位置へボルト止め等により位置決めした支柱9の上部とを交わらせ、ボルトで固定する手法により、支柱9は当該土木構造物Wについて設計された所望の法面勾配に立てられ強固に支持される。支柱9にはアングル材等が使用され、後記する標準モジュール寸法(一例として長さ約1m)の鋼矢板2Aよりも少し長い程度で、言うなれば外壁11の下部の一段目のみを支持する程度に比較的短い支柱9として立てられている。
上記のようにして立てた各支柱9、9…の間に、第一段目及び第二段目の腹起こし材12aと12bがそれぞれ水平方向に配置されボルト止め等の手段で結合して架設支持されている。腹起こし材12には通例アングル材が使用され、その上辺が水平面となる態様で支柱9…へ取り付けられる。
【0016】
前記第一段目及び第二段目の腹起こし材12a、12bの取り付け位置について説明する。第二段目の腹起こし材12bは、図4の(イ)列の位置に建てた標準モジュール寸法の鋼矢板2Aの上縁部よりも少し下がった位置にほぼ水平に配置され、その隣の(ロ)列の位置の鋼矢板2Aの上部とボルト止め等による結合が行われる。第一段目の腹起こし材12aは、前記第二段目の腹起こし材12bの位置よりはずっと下方の約1/4高さ付近の位置、即ち、コンクリート基礎5の上に建てた(ロ)列の位置の略1/2モジュール長さの鋼矢板2Bとのボルト止め等による結合が可能な高さ位置に設置される。図2中の符号15は腹起こし材同士の接続金物を指している。
【0017】
次に、コンクリート基礎5の上に第一段目の鋼矢板2を組み立てる要領を、図3と図4に基づいて説明する。
鋼矢板2としては、軽量型で本発明が標準と定めたモジュール長さ寸法(以下、標準モジュール寸法と云う=長さ約1m、幅寸は355mm、厚さ4〜6mm)の標準鋼矢板2Aと、長さ寸法が約1/2モジュール寸法(長さ約50cm)の短いハーフ鋼矢板2Bの2種を使用する。第一段目の鋼矢板2Aと2Bは、下端をそれぞれ、コンクリート基礎5上の基礎梁8の溝内へ挿入して互い違いに配置する。隣接する鋼矢板同士はその両側縁に有するグリップ形状のスライドジョイント部30を接合して(図5参照)、上記の支柱9の傾斜に沿って建て込む。図4中の(ロ)の列に属するハーフ鋼矢板2Bは、前記第一段目の腹起こし材12aとボルト止め等の手段で結合する。(イ)の列に属する標準鋼矢板2Aは第一段目及び第二段目の腹起こし材12a、12bのいずれとも結合しない。鋼矢板2の建て込み時に必要な自由度を残すためである。
前記(ロ)の列に属するハーフ鋼矢板2Bの上に、標準モジュール寸法の標準鋼矢板2Aをもう1枚建て込み、これを第二段目の腹起こし材12bと結合して、第一段目の鋼矢板2の組み立て作業を終了する。
【0018】
したがって、一段目の各鋼矢板2A、2Bの上縁部(つまり、上下の鋼矢板2A、2B同士の継目14に相当)は、図4に示した通り、上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置、即ち段違いの千鳥状配置に形成される。
図3、図4に示すように、鋼矢板2の第一段目の組み立てを完成した状態で、最初の1ユニットの硬化材3充填工程を実施する。
硬化材3としては、通常コンクリートを使用することが多いが、現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメント(請求項6記載の発明)などを、施工場所等の条件に応じて適宜選択して使用することができる。以下に説明する第2の実施形態についても略同様の技術的思想とする。
【0019】
硬化材3を充填する工程は、前記第一段目の外壁11の内側へ、少なくとも一段のアンカー材4をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして実施する。また、1ユニットの施工は、その層厚(25〜150cm程度の範囲内、通例100cm程度で実施される)を複数に分けた分量ずつ区分して充填し、転圧して養生を行う工程を、当該1ユニットの高さまで複数回に分けて繰り返し行う。なお、前記1ユニットの層厚が25cm程度と薄い(低い)場合には複数回に分けて実施する必要はなく、1回で充填し、転圧して養生を行うこともできる(請求項3記載の発明)。以下に説明する第2の実施形態についても略同様の技術的思想とする。
【0020】
更に、具体的に図3、図4の実施形態に基づいて硬化材3の充填工程を説明する。
コンクリート基礎5の上面から第二段目の腹起こし材12bの位置を少し超える垂直高さL1(約100cm)のレベルまで(つまり、図4中(イ)列の標準鋼矢板2Aの上縁近傍位置まで)を、硬化材3の1ユニットの充填作業として行う。この第一段階の充填作業は、具体的には前記1ユニットの充填層厚(約100cm)を例えば25cmずつ4回に小分けして段階的に進める。その理由は、硬化材3を一定の層厚に充填した後、その層の硬化材3を集中的に振動ローラー等で転圧し、強度を発現するまで養生する工程を効果的に行う配慮による。
【0021】
1ユニットの充填工程の終局に相当する第4回目の充填作業に先立ち、直前の充填工程で強度を発現し硬化した硬化材3の上面を作業員の足場に利用して、第二段目の腹起こし材12bに予め用意した取付用孔へアンカー材4の一端を引っ掛けて止める等の手法で第一段目のアンカー材4を取り付ける。そして、同アンカー材4を例えば上方からワイヤーで吊るなどして略水平姿勢に保ち、レベルL1までの硬化材3の充填工程を進める。その硬化材3の充填及び転圧、養生の工程を遂行することにより、前記第一段目のアンカー材4はほぼ水平な姿勢に充填材3の中に埋設され、その後強度を発現した硬化材3によるアンカー作用を受ける。よって、このアンカー材4は次上位の組立状態にある外壁11(鋼矢板2)の自立支持及び形状保持機能を働く。
【0022】
なお、前記アンカー材4は、外壁11と硬化材3との一体化を更に高めるべく、その先端部を下向きに折り曲げて、既に充填した硬化材3に埋め込むように実施することが好ましい(請求項4記載の発明)。
上記したように硬化材3をレベルL1まで充填する工程の間、前記外壁11の下部は、硬化材3の充填圧力、及び転圧等による圧力などに対する耐力、及び剛性(形態保持性能)を、コンクリート基礎5へアンカーしたアンカー金具7とサポート材10及び支柱9、並びに同支柱9…の間へ水平方向に取り付けた腹起こし材12a、12bによる架構で確保する。次上位以上に組み立てた外壁11の耐力及び剛性は、上記したように直前のレベルL1まで充填した硬化材3の中に埋設され強度を発現した硬化材3のアンカー作用を受けるアンカー材4の支持力によってもたらされる。
上記のようにして最初の1ユニットのレベルL1まで硬化材3を充填し、その強度が発現した段階で、前記レベルL1の硬化材3の上面を作業員の足場にして、次上位の鋼矢板2の組み立てが行われる。
【0023】
図4に符号(イ)で示した列の背が低い鋼矢板2Aの上に、矢印Yで示したように、標準モジュール寸法の鋼矢板2A…を、両隣の1/2モジュール長さ分だけ上方へ突き出ている符号(ロ)の列の鋼矢板2A、2Aのジョイント部30(図5参照)との接合を行いつつ順次建て込んで継ぎ足す。続いて、前記建て込みの結果、相対的に背が低くなった符号(ロ)の列の鋼矢板2Aの上に、標準鋼矢板2Aを両隣の鋼矢板2Aのジョイント部と接合を行いつつ順次建て込んで継ぎ足す。そして、先に(イ)の列に建て込んだ二段目の鋼矢板2Aの上縁より少し下がった位置に三段目の腹起こし材12cを配置し、今度も(ロ)の列の鋼矢板2Aとのみ結合を行って次上位の鋼矢板2の組み立てが終わる。
結局、次上位の鋼矢板2も(ロ)の列の鋼矢板2Aが1/2モジュール寸法だけ先行して背が高く構築される。鋼矢板2による第一段目の外壁11の組み立ては以下同様の作業工程を繰り返して行われる。よって各鋼矢板2A、2Bの上縁部(継目)は上下左右に互い違いの配置となる千鳥状配置に組み立てられる。
【0024】
上記外壁板11の組み立て作業のときも、作業員は、レベルL1まで先行して充填し硬化した硬化材3の上面を足場に利用できるから、外壁11組み立て用の作業足場を組み立てる必要はない。標準モジュール寸法の鋼矢板2Aは軽量型(軽量鋼矢板)であるから、人手により容易に運搬や持ち上げ等することができ、重機類を必要としない。
上記のとおり、第一段目の外壁11を構成する各鋼矢板2A、2Bの上縁部は、常に上下左右に段違いの千鳥状配置に接合して組み立てが進められるから、外壁11の剛性度は平均して高い。また、外壁11の組み立ては、標準モジュール寸法の鋼矢板2Aの長さ(約100cm)を1ユニットとして行う硬化材3の充填工程よりも、一工程分先行して行われる(請求項8記載の発明)。腹起こし材12の上下方向ピッチも約100cm間隔となる。腹起こし材12の位置毎に段階的に取り付けを行う各段のアンカー材4の上下方向間隔も約100cmに配置されることになる。
【0025】
以下、次のユニットの硬化材3の充填工程を、アンカー材4の設置と併せて上述した内容で行い、更に鋼矢板2の組み立てを先行して行う工程を、順次、所要の高さまで繰り返すことになる。
但し、外壁11の上端部分に関しては、図2に示したように、再び標準モジュール寸法の1/2長さのハーフ鋼矢板2Bを併用することにより、上縁を水平方向に一直線状に揃え、その上縁部の上にアングル材等を使用した堤冠材14を取り付ける(請求項5記載の発明)。
硬化材3は、前記外壁11の天端S(堤冠材14)から植栽部に必要な深さTを除く高さL2まで充填する。
つづいて、前記高さL2まで充填した硬化材3の上面における厚さ方向に、植栽部を有するのに必要な幅寸B(本実施形態では50cm程度)後退した部位にコンクリート基礎5を打設し、以下、前記した工程と同様の工程を行って第二段目の外壁21を組み立てて、硬化材3を所要の高さまで充填する。
【0026】
即ち、当該コンクリート基礎5の上に、第二段目の外壁21の下端を挿入できる基礎梁8を配置し、同コンクリート基礎5の上面に固定したアンカー金具7によって前記基礎梁8を位置決めしており、前記アンカー金具7及びこれと結合した斜めのサポート材10により比較的短い支柱9を法面勾配で立てて、前記支柱9の間に水平方向の腹起こし材12を支持させる。
前記第二段目の外壁21は、複数の短尺の鋼矢板2を組み合わせて成り、その第一段目の鋼矢板2の下端を前記基礎梁8の溝内に挿入して前記腹起こし材12aと結合し、水平方向に隣接する鋼矢板2同士はジョイント部で繋ぎ、且つ上下方向の鋼矢板2同士を突き合わせ接続して、その水平縁を上下左右方向に段違いの千鳥状配置に接合して前記腹起こし材12aと結合して組み立てる。
前記第二段目の外壁21の内側面の一定高さ位置毎にアンカー材4をほぼ水平な姿勢で複数本ずつ段階的に取り付け、前記第二段目の外壁21の内側に充填する硬化材3は、少なくとも一段の高さのアンカー材4をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして充填と養生を行う工程を、1回又は複数回に分けて繰り返し行い、所要の高さまで充填するのである。
【0027】
つづいて、第一段目の外壁11上部と第二段目の外壁21下部との間に凹溝状の植栽部13を形成し、前記植栽部13に植栽用の土砂(図示を省略)を充填する。
以下必要に応じて、上記した工程と同様の工程を厚さ方向に繰り返し行うことにより、外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部13を複数段設け、植栽を行う。
ちなみに、本実施形態では、第三段目の外壁31まで形成し、前記外壁21、31の前面にそれぞれ凹溝状の植栽部13を設けて実施している(以上、請求項1及び7に記載した発明)。
【0028】
次に、請求項9に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構築工法の実施形態を図面に基づいて説明し、併せて請求項2に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物の構成を逐次説明する。なお、硬化材3、アンカー材4等については、図1〜図5と同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
本発明の構築工法は、図6に示したように、地山1の法面1aが崩落するのを防ぐために構築される土留め擁壁(土木構造物)Vの長手方向(紙面と垂直方向)に沿って設置された外壁16、26、36を構築し、その内側に、コンクリート等の硬化材3を段階的に充填して同土木構造物Vを構築する工法であり、前記外壁16、26、36を複数の間伐材17で組み立てることを特徴とする。
しかも、前記外壁16、26、36は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に順次後退して、そこに一定幅(本実施形態では50cm程度)の凹溝状の植栽部13を設け、その内面側には一定の高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材4を複数本ずつ取り付け、これを硬化材3の中に埋め込み、強度を発現した硬化材3のアンカー作用で、外壁16、26、36の自立支持及び形態保持を行うことも特徴としている。
【0029】
以下、更に具体的な説明を進める。
先ず、間伐材17で組み立てる第一段目の外壁16の構築について説明する。図7〜図13は、間伐材17で組み立てる前記第一段目の外壁16の組み立て要領を段階的に示している。
地盤上に打設したコンクリート基礎5aの構築に際して予め埋め込みアンカーを用意するか、又は完成したコンクリート基礎5aにアンカー用孔を削孔して彫り込みアンカーを用意するなどし、そのアンカーボルト6を利用して、アングル等によるアンカー金具7の内側端部を固定する。下端を前記アンカー金具7とボルト止め等の手段で結合した斜めのサポート材10の上端部と、やはり下端を前記アンカー金具7とボルト止め等の手段で結合したH形鋼等の支柱18の下部とを交わらせ、ボルトで固定する手法により、前記支柱18は当該土木構造物Vについて設計された法面勾配に立てられ強固に支持される。前記支柱18には、水平方向の間伐材17をきっちり両端支持できる溝部を有するH形鋼等の鋼材が好適に使用され、一例として2m程度の支柱18として立てられている。
【0030】
因みに、図中の符号18aは、前記支柱18の上端に設けた引っ込みリブを示しており、次上位の支柱18と一連にボルト接合する場合に用いられる。
なお、本実施形態に係るコンクリート基礎5aは、前記アンカー金具7、サポート材10等を少なくとも安定して載置できるように、所要の間隔(3m程度)で断続的に設けて実施しているが、上記した第1の実施形態と同様に、構築する土木構造物Vの長手方向に沿って連続して設けて実施することもできる。ちなみに、前記コンクリート基礎5aを断続的に設けて実施する場合には、隣り合うコンクリート基礎5a同士の間は、当該コンクリート基礎5aの天端までコンクリート(硬化材)3を敷き均して締め固めを行っている。
【0031】
上記のようにして立てた各支柱18、18…の間に、第一段目及び第二段目の腹起こし材12aと12bがそれぞれ水平方向に配置されボルト止め等の手段で結合して架設支持されている。腹起こし材12には通例アングル材が使用され、その上辺が水平面となる態様で支柱18へ取り付けられる(以上、図7A、B参照)。
図8に示したように、前記支柱18、18…の間に、第一段目の外壁16を構築する間伐材17を略水平な姿勢で順次落とし込んで積み重ね、前記支柱18の略半分の高さ、すなわち1m程度の高さの外壁を構築する。
図9に示したように、コンクリート基礎5aの上面から第一段目の腹起こし材12aの位置を少し超える垂直高さL1(約50cm)のレベルまでを、硬化材3の1ユニットの充填作業として行う。この第一段階の充填作業は、具体的には前記1ユニットの充填層厚(約50cm)を例えば25cmずつ2回に小分けして段階的に進める。その理由は、硬化材3を一定の層厚に充填した後、その層の硬化材3を集中的に振動ローラー等で転圧し、強度を発現するまで養生する工程を効果的に行う配慮による。
【0032】
図10に示したように、前記アンカー材4は、U字に曲がった先端部分を腹起こし材12aのプレート孔に引っ掛け、他方の折り曲げ加工された先端部分を硬化材3に打ち込むことによって固定する(請求項4記載の発明)。この第一段目のアンカー材4はほぼ水平な姿勢に充填材3の中に埋設され、その後、強度を発現した硬化材3によるアンカー作用を受ける。よって、このアンカー材4は次上位の外壁16の自立支持及び形状保持機能を働く。
上記したように硬化材3をレベルL1まで充填する工程の間、前記間伐材17から成る外壁16は、硬化材3の充填圧力、及び転圧等による圧力などに対する耐力、及び剛性(形態保持性能)を、コンクリート基礎5aへアンカーしたアンカー金具7とサポート材10及び支柱18、並びに同支柱18…の間へ水平方向に取り付けた腹起こし材12a、12bによる架構で確保する。次上位を形成する外壁16の耐力及び剛性は、上記したように直前のレベルL1まで充填した硬化材3の中に埋設され強度を発現した硬化材3のアンカー作用を受けるアンカー材4の支持力によってもたらされる。
【0033】
上記のようにして最初の1ユニットのレベルL1まで硬化材3を充填し、その強度が発現した段階で、前記レベルL1の硬化材3の上面を作業員の足場にして、前記支柱18、18…の間に前記間伐材17を略水平な姿勢で順次落とし込んで積み重ね、当該支柱18の天端までの外壁を構築した後、前記硬化材3の充填工程を繰り返し行い、支柱18の天端から50cm程度低い高さ、すなわち150cm程度の高さまで土木構造物を構築する(図11A〜C参照)。作業員は、レベルL1まで先行して充填し硬化した硬化材3の上面を足場に利用できるから、外壁16の組み立て用の作業足場を組み立てる必要はない。1本の間伐材17は、人手により容易に運搬や持ち上げ等することができ重機類を必要としない。
【0034】
次に、図12A、Bに示したように、前記支柱18の天端から50cm程度低い高さまで硬化材3の打設が完了した後、前記支柱18の上端に次上位の支柱18を、その下端に設けた引っ込みリブ18aを利用して両者をボルト接合する。前記次上位の支柱18を接合した後、第三段目の腹起こし材12cを前記した同様の手順で当該支柱18の内面側に取り付ける。ちなみに、連結する次上位の支柱18の高さは、1.5m程度とする。
上記のとおり、外壁16の組み立て、即ち、間伐材17の積み重ね作業は、1ユニットとして行う硬化材3の充填工程よりも、一工程分先行して行われる。腹起こし材12の上下方向ピッチは約100cm間隔となる。腹起こし材12の位置毎に段階的に取り付けを行う各段のアンカー材4の上下方向間隔も約100cmに配置されることになる。
【0035】
以下、次のユニットの硬化材3の充填工程を、アンカー材4の設置と併せて上述した内容で行い、硬化材3は、前記外壁16の天端Sから植栽部13に必要な深さTを除く高さL2(250cm程度)まで充填し、第1段目の外壁16の構築を完了する。なお、外壁16の上端部分に関しては、上記第1の実施形態と同様に、その上縁を水平方向に一直線状に揃え、その上縁部の上にアングル材等を使用した堤冠材14を取り付けて実施してもよい(請求項5記載の発明)。
つづいて、前記高さL2まで充填した硬化材3の上面に、植栽部13の幅寸B(本実施形態では50cm程度)だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎5aを打設し、以下、前記した工程と同様の工程を行って第二段目の外壁26を前記間伐材を水平方向に積み重ねて組み立て、前記硬化材3を所要の高さまで充填する。
【0036】
即ち、前記コンクリート基礎5aの上にアンカー金具7を固定し、該アンカー金具7と結合した斜めのサポート材10により前記間伐材17を支持するH形鋼等の支柱18を所望の法面勾配で立てて、前記支柱18、18…の間に水平方向の腹起こし材12を支持させる。そして、前記支柱18、18…の間に略水平な間伐材17を順次落とし込んで積み重ねて組み立てる。前記第二段目の外壁26の内面側の一定高さ位置毎にアンカー材4をほぼ水平な姿勢で複数本ずつ段階的に取り付ける。前記第二段目の外壁26の内側に充填する硬化材3は、少なくとも一段の高さのアンカー材4をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして充填と養生を行う工程を、1回又は複数回に分けて繰り返し行い、所要の高さまで充填する。
【0037】
つづいて、第一段目の外壁16上部と第二段目の外壁26下部との間に凹溝状の植栽部13を形成し、前記植栽部13に植栽用の土砂(図示を省略)を充填する。
以下必要に応じて、上記した工程と同様の工程を厚さ方向に繰り返し行うことにより、外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部13を複数段設け、植栽を行う。
ちなみに、本実施形態では、第三段目の外壁36まで形成し、前記外壁26、36の前面にそれぞれ凹溝状の植栽部13を設けて実施している(以上、請求項2及び9に記載した発明)。
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、上記した各実施形態に係る土木構造物は土留め擁壁として実施しているが、治山堰堤、砂防堰堤の下流側の外壁としても好適に実施できる。
【0038】
【本発明の奏する効果】
請求項1〜9に記載した発明に係る植栽部を備えた土木構造物及びその構築工法によれば、下記する効果を奏する。
1)一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退する外壁は、それぞれ独立した構造で、安定して自立しているので、タイロッド等の連結部材及び骨組み等を一切必要とせず、少ない部材点数、少ない工数で安定した土木構造物を構築することができ、コストの削減と作業効率の向上が可能である。
2)また、前記外壁の下端位置及び傾斜角度等を自在に定めることができ、外壁の定型化を容易に行うことができ、構造力学的にも大変優れている。
3)植栽部を備えているので、自然の景観を損なわず、環境の保護と調和を重視するニーズに十分に対応できる。
4)以上、堰堤や擁壁などの急勾配の法面も容易に緑化することができる、地球に優しい植栽部を備えた土木構造物を実現できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した発明に係る土木構造物の実施形態を示す断面図である。
【図2】鋼矢板による外壁を一段目まで組み立てた状態を示す鳥瞰図である。
【図3】鋼矢板による外壁を組み立てる状況を示す側面図である。
【図4】鋼矢板による外壁を組み立てる状況を示す正面図である。
【図5】鋼矢板による外壁の組み立てた状態を示す平面図である。
【図6】請求項2に記載した発明に係る土木構造物の実施形態を示す断面図である。
【図7】Aは、間伐材による外壁を組み立てる状況を示す正面図であり、Bは同側面図である。
【図8】Aは、間伐材による外壁を組み立てる状況を示す正面図であり、Bは同側面図である。
【図9】間伐材による外壁を組み立てる状況を示す側面図である。
【図10】間伐材による外壁を組み立てる状況を示す側面図である。
【図11】A〜Cは、間伐材による外壁を組み立てる状況を段階的に示す側面図である。
【図12】Aは、間伐材による外壁を組み立てる状況を示す正面図であり、Bは同側面図である。
【図13】Aは、間伐材による外壁を組み立てる状況を示す正面図であり、Bは同側面図である。
【符号の説明】
W、V 土木構造物
1 地山
1a 法面
2 鋼矢板
3 硬化材(コンクリートなど)
4 アンカー材
5、5a コンクリート基礎
6 アンカーボルト
7 アンカー金具
8 基礎梁
9、18 支柱
10 サポート材
11、21、31 鋼矢板による外壁
16、26、36 間伐材による外壁
12 腹起こし材
13 植栽部
14 堤冠材
15 接続金物
17 間伐材
30 ジョイント部
Claims (9)
- 外壁の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
土木構造物の外壁は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して、そこに一定幅の植栽部が設けられていること、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の短尺の鋼矢板で組み立てられており、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が複数本ずつ設けられ、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材が充填されて前記アンカー材を埋め込んでおり、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎が設けられ、その上に次上段の外壁が前記鋼矢板で組み立てられ、前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部が形成され、前記植栽部に植栽用の土砂が充填されていること、
以下、同様にして外壁部分の上下方向に複数段の植栽部が設けられ、植栽が行われていることを特徴とする、植栽部を備えた土木構造物。 - 外壁の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
土木構造物の外壁は、一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して、そこに一定幅の植栽部が設けられていること、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てられており、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が複数本ずつ設けられ、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材が充填されて前記アンカー材を埋め込んでおり、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎が設けられ、その上に次上段の外壁が前記間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てられ、前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部が形成され、前記植栽部に植栽用の土砂が充填されていること、
以下、同様にして外壁部分の上下方向に複数段の植栽部が設けられ、植栽が行われていることを特徴とする、植栽部を備えた土木構造物。 - 外壁の内側に充填する硬化材は、少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして、1回又は複数回に分けた分量ずつ充填し、且つ養生を行う工程により充填されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した植栽部を備えた土木構造物。
- アンカー材は、その一端は腹起こし材に取り付けられ、他端は下向きに折り曲げられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物。
- 外壁の上縁部の高さは水平方向に一直線状に揃えられ、同上縁部の上に堤冠材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物。
- 硬化材は、現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメントであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した植栽部を備えた土木構造物。
- 外壁の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築する土木構造物の構築工法であって、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の短尺の鋼矢板で組み立て、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材を複数本ずつ段階的に取り付け、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材を段階的に充填して前記アンカー材を埋め込み、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎を設け、その上に次上段の外壁を前記鋼矢板で組み立てて前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部を形成し、前記植栽部に植栽用の土砂を充填すること、
前記外壁の下部は、コンクリート基礎の上面に、鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁を配置し、同コンクリート基礎の上面に固定したアンカー金具によって前記基礎梁を位置決めしており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱を所望の法面勾配で立てて、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持させ、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した鋼矢板を前記腹起こし材と結合して支持せしめること、
以下、同様の工程を繰り返し行い、外壁を一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部を複数段設け、植栽を行うことを特徴とする、植栽部を備えた土木構造物の構築工法。 - 外壁を構成する短尺の鋼矢板は、コンクリート基礎上の一段目に、モジュール長さ及び略1/2モジュール長さに加工した鋼矢板を互い違いの配置に接合し、その上縁部の継目を上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置となる段違いの千鳥状配置に形成し、充填する硬化材の天端よりも少なくとも一工程分だけ先行して組み立てを進めることを特徴とする、請求項7に記載した植栽部を備えた土木構造物の構築工法。
- 外壁の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築する土木構造物の構築工法であって、
前記外壁は、コンクリート基礎の上に複数の間伐材を水平方向に積み重ねて組み立て、その内側に、一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材を複数本ずつ段階的に取り付け、当該外壁の天端から植栽部に必要な深さを除く高さまで硬化材を段階的に充填して前記アンカー材を埋め込み、前記硬化材の上面に、植栽部の幅寸だけ厚さ方向に後退した部位にコンクリート基礎を設け、その上に次上段の外壁を前記間伐材を水平方向に積み重ねて組み立てて前記下段の外壁と前記次上段の外壁との間に凹溝状の植栽部を形成し、前記植栽部に植栽用の土砂を充填すること、
前記外壁の下部は、コンクリート基礎の上面にアンカー金具を固定し、該アンカー金具と結合した斜めのサポート材により前記間伐材を支持するH形鋼等の支柱を所望の法面勾配で立てて、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持せしめること、
以下、同様の工程を繰り返し行い、外壁を一定の高さ位置毎に厚さ方向に後退して外壁部分の上下方向に一定幅の植栽部を複数段設け、植栽を行うことを特徴とする、植栽部を備えた土木構造物の構築工法。
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