JP4060137B2 - 土木構造物及びその構築工法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、短尺の鋼矢板を複数組み合わせて成る外壁材を土木構造物の長手方向の両側面位置に沿って並立させ、これらの相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物、及びその構築工法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、(1)鋼矢板を外壁材として用い、その内側にコンクリートを打設してなる砂防堰堤が、特公平4−33921号公報、特開平7−3750号公報に開示されている。
【0003】
(2)鋼板を外壁材として用い、その内側にコンクリートを打設してなる砂防堰堤は、特公昭61−3929号公報、実開昭60−40530号公報などに開示されている。
【0004】
(3)鋼矢板を千鳥状配置に組み立てた外壁材を用い、その内側にコンクリートを打設してなる砂防堰堤は、特公平4−2727号公報、特公平4−44644号公報などに開示されている。
【0005】
上記(1)〜(3)の土木構造物はいずれも、基礎地盤上に直接、鋼矢板等による外壁材の組み立てを全部完成し、又は基礎地盤上に基礎フレーム等の骨組みを構築し、その骨組みに鋼矢板等を接合して外壁材を全部完成し、前記外壁材の内側へコンクリートを打設して土木構造物を完成する構築工法が採用されている。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術(1)〜(3)のように、基礎地盤上に直接鋼矢板等による外壁材を構築すると、一段目の鋼矢板の配置や、鋼矢板の法面勾配等を設計した通りに構築することが甚だ困難である。即ち、外壁材を所定の法面勾配で正確に定形化する(コンクリート型枠としての形を作り保持する。)現場作業が困難で手数がかかる。
【0007】
また、コンクリートの打設を構造物の最高高さまで一気に行うときは、並立し相対峙する一対の外壁材同士をコンクリートの打設圧に耐えるようにタイロッド等の連結部材で強固に連結するなどの補強工作が不可欠である。更に外壁材自体の変形(いわゆる孕み変形)を防ぐ強固な壁構造とする必要がある。
【0008】
そのため、基礎地盤上に予め基礎フレーム等の骨組みを構築し、その骨組みに鋼矢板等を接合して外壁材を完成させることも行われる。しかし、この場合には部材点数及び工数が多くなってコストが嵩む。しかも前記部材点数及び工数の増加に伴い組立作業が煩雑となる。
【0009】
従って、本発明の目的は、少ない部材点数、少ない工数で外壁材の組み立てと定形化(特に第一段目)を容易に正確に行うことができ、コストの削減と作業能率の向上を可能にする土木構造物及びその構築工法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る土木構造物は、
土木構造物の長手方向の両側面位置に沿って並立し相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
前記一対の外壁材は複数の短尺の鋼矢板で組み立てられ、その内側面の一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が段階的に複数本取り付けられていること、
外壁材を構成する複数の短尺の鋼矢板は、水平方向に隣接するもの同士がジョイント部で繋がれ、且つ上下方向に突き合わせ接続されてその水平縁が上下左右方向に段違いの千鳥状配置に接合され、水平方向の腹起こし材と結合して組み立てられていること、
前記鋼矢板から成る外壁材の下部は、基礎コンクリートの上に、鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁が配置され、同基礎コンクリートに固定したアンカー金具によって前記基礎梁が位置決めされており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱が法面勾配で立てられ、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材が支持され、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した第一段目の鋼矢板は前記腹起こし材と結合して支持されていること、
前記構成の一対の外壁材の内側に前記硬化材が段階的に充填されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した土木構造物において、一対の外壁材の内側へ充填した硬化材は、少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして、1回又は複数に分けた分量ずつ充填し、且つ養生を行う工程を複数回繰り返して充填されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載した土木構造物において、アンカー材の先端部は下向きに折り曲げられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載した土木構造物において、一対の外壁材の上部は各鋼矢板の上縁部の高さが水平方向に一直線状に揃えられ、同上縁部の上に堤冠材が取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載した土木構造物において、硬化材は、コンクリートであることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載した土木構造物において、硬化材は、クラッシャーランと水及びセメントから成るコンクリートであることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1に記載した土木構造物において、硬化材は、現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメントであることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載した発明に係る土木構造物の構築工法は、
土木構造物の長手方向の両側面位置に沿って並立し相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築される土木構造物の構築工法であって、
前記一対の外壁材は複数の短尺の鋼矢板で組み立て、その内側面の一定高さ位置毎に段階的にアンカー材をほぼ水平な姿勢で複数本取り付けること、
前記鋼矢板から成る外壁材の下部は、基礎コンクリートを打設し、その上に鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁を配置すると共に、同基礎コンクリートにアンカー金具を固定し該アンカー金具によって前記基礎梁を位置決めしており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱を法面勾配で立てて当該支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持させ、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した第一段目の鋼矢板を前記腹起こし材と結合して支持していること、
硬化材の充填は、少なくとも一段の高さのアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして充填と養生を行う工程を、複数回に分けて繰り返すこと、
前記一対の外壁材の組み立ては、ジョイント部によって水平方向に繋がり上下方向にも突き合わせ接続して、その水平縁が上下左右方向に段違いの千鳥状配置に接合した短尺の鋼矢板を、各段に水平方向に配置した腹起こし材と結合して、前記硬化材の天端よりも少なくとも一工程分だけ先行して組み立てを進めること、をそれぞれ特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載した土木構造物の構築工法において、外壁材を構成する短尺の鋼矢板は、基礎コンクリート上の一段目に、モジュール長さ及び略1/2モジュール長さに加工した鋼矢板を互い違いの配置に接合し、その上縁部の継目を上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置となる段違いの千鳥状配置に形成することを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項8に記載した土木構造物の構築工法において、相対峙する一対の外壁材の内側に硬化材を充填する工程は、双方の外壁材の内側にアンカー材を段階的に取り付け、硬化材は少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平姿勢に埋設する高さまでを1ユニットとし、1回又は複数に分けた分量ずつ充填し、振動ローラー等で転圧し、強度を発現するまで養生する工程を行い、当該土木構造物の最高高さまでを前記ユニット毎に段階的に複数回繰り返すことを特徴とする。
【0020】
【本発明の実施形態、及び実施例】
先ずは請求項8〜10に記載した発明に係る土木構造物の構築工法の実施形態を図面に基づいて説明し、併せて請求項1〜7に記載した発明に係る土木構造物の構成を逐次説明する。
【0021】
本発明の構築工法は、図1に概念図を示したように、砂防堰堤のような土木構造物Wの長手方向の両側面に相当する外面位置に沿って並立し相対峙する一対の外壁材1、2を構築し、その内側に、コンクリート等の硬化材3を段階的に充填して同土木構造物Wを構築する工法であり、前記外壁材1、2を短尺の鋼矢板13で組み立てることを特徴とする。
しかも、各外壁材1、2の内側面には一定の高さ位置毎に段階的にアンカー材4…をほぼ水平な姿勢に複数本ずつ取り付け、これを硬化材3の中に埋め込み、強度を発現した硬化材3のアンカー作用で外壁材1、2の自立支持及び形態保持を行うことも特徴としている。図1中の符号5は基礎コンクリートを指す。
【0022】
以下、更に具体的な説明を進める。
先ず、鋼矢板13で組み立てる一対の外壁材1、2の構築について説明する。
図2は短尺の鋼矢板13で組み立てた外壁材1の完成状態の一例を部分的に示し、図3〜図5は同外壁材1の組み立て要領を示している。
【0023】
図3と図4は、基礎コンクリート5の上に外壁材1の第一段目の組み立てを行った状況を示している。基礎コンクリート5の構築に際して予め埋め込みアンカーを用意するか、又は完成した基礎コンクリート5にアンカー用孔を削孔して彫り込みアンカーを用意するなどし、そのアンカーボルト6を利用して、アングル等によるアンカー金具7の内側端部を固定する。同アンカー金具7の外側端部に、鋼矢板の下端を挿入できその位置を定める上向きに開口した溝形断面材である基礎梁8がほぼ直角な向き(土木構造物Wの長手方向)に連結されており、前記アンカー金具7…により、基礎梁8の位置決め固定が行われる。
【0024】
前記アンカー金具7は、支柱11の設置位置と対応する間隔(約2m)で基礎梁8の長手方向に複数設置されている。下端を前記アンカー金具7とボルト止め等の手段で結合した斜めのサポート材10の上端部と、やはり下端部を基礎梁8の溝内へ挿入して外壁材断面のセンター位置へボルト止め等により位置決めした支柱11の上部とを交わらせ、ボルトで固定する手法により、支柱11は当該土木構造物Wについて設計された法面勾配に立てられ強固に支持される。支柱11にはアングル材等が使用され、後記する標準モジュール寸法(一例として長さ約1m)の鋼矢板13Aよりも少し長い程度で、言うなれば外壁材1の下部の一段目のみを支持する程度に比較的短い支柱として立てられている。
【0025】
上記のようにして立てた各支柱11、11…の間に、第一段目及び第二段目の腹起こし材12aと12bがそれぞれ水平方向に配置されボルト止め等の手段で結合して架設支持されている。腹起こし材12には通例アングル材が使用され、その上辺が水平面となる態様で支柱11へ取り付けられる。
前記第一段目及び第二段目の腹起こし材12a、12bの取り付け位置について説明する。第二段目の腹起こし材12bは、図4の(イ)列の位置に建てた標準モジュール寸法の鋼矢板13Aの上縁部よりも少し下がった位置にほぼ水平に配置され、その隣の(ロ)列の位置の鋼矢板13Aの上部とボルト止め等による結合が行われる。第一段目の腹起こし材12aは、前記第二段目の腹起こし材12bの位置よりはずっと下方の約1/4高さ付近の位置、即ち、基礎コンクリート5の上に建てた(ロ)列の位置の略1/2モジュール長さの鋼矢板13Bとのボルト止め等による結合が可能な高さ位置に設置される。図2中の符号15は腹起こし材同士の接続金物を指している。
【0026】
次に、基礎コンクリート5の上に第一段目の鋼矢板を組み立てる要領を、図3と図4に基づいて説明する。
鋼矢板13としては、軽量型で本発明が標準と定めたモジュール長さ寸法(以下、標準モジュール寸法と云う=長さ約1m、幅寸は355mm、厚さ4〜6mm)の標準鋼矢板13Aと、長さ寸法が約1/2モジュール寸法(長さ約50cm)の短いハーフ鋼矢板13Bの2種を使用する。第一段目の鋼矢板13Aと13Bは、下端をそれぞれ、基礎コンクリート5上の基礎梁8の溝内へ挿入して互い違いに配置する。隣接する鋼矢板同士はその両側縁に有するグリップ形状のスライドジョイント部30を接合して(図5を参照)、上記の支柱11の傾斜に沿って建て込む。図4中の(ロ)の列に属するハーフ鋼矢板13Bは、前記第一段目の腹起こし材12aとボルト止め等の手段で結合する。(イ)の列に属する標準鋼矢板13Aは第一段目及び第二段目の腹起こし材12a、12bのいずれとも結合しない。鋼矢板の建て込み時に必要な自由度を残すためである。
前記(ロ)の列に属するハーフ鋼矢板13Bの上に、標準モジュール寸法の標準鋼矢板13Aをもう1枚建て込み、これを第二段目の腹起こし材12bと結合して、第一段目の鋼矢板の組み立て作業を終了する。
したがって、一段目の各鋼矢板の上縁部(つまり、上下の鋼矢板同士の継目14に相当)は、図4に示した通り、上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置、即ち段違いの千鳥状配置に形成される(請求項9記載の発明)。
【0027】
図3、図4に示すように鋼矢板の第一段目の組み立てを完成した状態で、最初の1ユニットの硬化材充填工程を実施する。但し、このときには既に、反対側の鋼矢板による外壁材2の組み立ても、同じく第一段目の組み立てを終えているのであるが、便宜上その図示、説明は省略する。
硬化材3としては、通常コンクリートを使用することが多い(請求項5に記載した発明)が、クラッシャーランと水及びセメントから成るコンクリート(請求項6に記載した発明)、又は現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメント(請求項7に記載した発明)などを、施工場所等の条件に応じて適宜選択して使用することができる。
【0028】
硬化材3を充填する工程は、一対をなす外壁材1、2の内側へ、少なくとも一段のアンカー材4をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして実施する。また、1ユニットの施工は、その層厚(25〜150cm程度の範囲内、通例100cm程度で実施される)を複数に分けた分量ずつ区分して充填し、転圧して養生を行う工程を、当該1ユニットの高さまで複数回に分けて繰り返し行う。なお、前記1ユニットの層厚が25cm程度と薄い(低い)場合には複数回に分けて実施する必要はなく、1回で充填し、転圧して養生を行うこともできる(請求項2、10に記載した発明)。
【0029】
更に具体的に図3、図4の実施形態に基づいて硬化材3の充填工程を説明する。
基礎コンクリート5の上面から第二段目の腹起こし材12bの位置を少し超える垂直高さL(約100cm)のレベルまで(つまり、図4中(イ)列の標準鋼矢板13Aの上縁近傍位置まで)を、硬化材3の1ユニットの充填作業として行う。この第一段階の充填作業は、具体的には前記1ユニットの充填層厚(約100cm)を例えば25cmずつ4回に小分けして段階的に進める。その理由は、硬化材3を一定の層厚に充填した後、その層の硬化材3を集中的に振動ローラー等で転圧し、強度を発現するまで養生する工程を効果的に行う配慮による。
【0030】
1ユニットの充填工程の終局に相当する第4回目の充填作業に先立ち、直前の充填工程で強度を発現し硬化した硬化材3の上面を作業員の足場に利用して、第二段目の腹起こし材2bに予め用意した取付用孔へアンカー材4の一端を引っ掛けて止める等の手法で第一段目のアンカー材4を取り付ける。そして、同アンカー材4を例えば上方からワイヤーで吊るなどして略水平姿勢に保ち、レベルLまでの硬化材3の充填工程を進める。その硬化材3の充填及び転圧、養生の工程を遂行することにより、前記第一段目のアンカー材4はほぼ水平な姿勢に硬化材3の中に埋設され、その後強度を発現した硬化材3によるアンカー作用を受ける。よって、このアンカー材4は次上位の外壁材(第二段目の組み立て状態にある外壁材)の自立支持及び形状保持機能を働く。
なお、前記アンカー材4は、外壁材1、2と硬化材3との一体化を更に高めるべく、その先端部を下向きに折り曲げて、既に充填した硬化材3に埋め込むように実施することが好ましい(請求項3記載の発明)。
【0031】
上記したように硬化材3をレベルLまで充填する工程の間、第一段目の組み立て状態にある外壁材1は、硬化材3の充填圧力、及び転圧等による圧力などに対する耐力、及び剛性(形態保持性能)を、基礎コンクリート5へアンカーしたアンカー金具7とサポート材10及び支柱11、並びに同支柱11…の間へ水平方向に取り付けた腹起こし材12a、12bによる架構で確保する。第二段目以上に組み立てた外壁材1の耐力及び剛性は、上記したように直前のレベルLまで充填した硬化材3の中に埋設され強度を発現した硬化材3のアンカー作用を受けるアンカー材4の支持力によってもたらされる。
【0032】
上記のようにして最初の1ユニットのレベルLまで硬化材3を充填し、その強度が発現した段階で、前記レベルLの硬化材3の上面を作業員の足場にして、第二段目の鋼矢板の組み立てが行われる。
図4に符号(イ)で示した列の背が低い鋼矢板13Aの上に、矢印Yで示したように、標準モジュール寸法の鋼矢板13A…を、両隣の1/2モジュール長さ分だけ上方へ突き出ている符号(ロ)の列の鋼矢板13A、13Aのジョイント部30(図5参照)との接合を行いつつ順次建て込んで継ぎ足す。続いて、前記建て込みの結果相対的に背が低くなった符号(ロ)の列の鋼矢板13Aの上に、標準鋼矢板13Aを両隣の鋼矢板のジョイント部と接合を行いつつ順次建て込んで継ぎ足す。そして、先に(イ)の列に建て込んだ二段目の鋼矢板13Aの上縁より少し下がった位置に三段目の腹起こし材12cを配置し、今度も(ロ)の列の鋼矢板とのみ結合を行って第二段目の鋼矢板の組み立てが終わる。
結局、二段目の鋼矢板も(ロ)の列の鋼矢板が1/2モジュール寸法だけ先行して背が高く構築される。鋼矢板による外壁材1の組み立ては、以下同様の作業工程を繰り返して行われる。よって各鋼矢板の上縁部(継目)は上下左右に互い違いの配置となる千鳥状配置に組み立てられる。
【0033】
上記外壁板1の組み立て作業のときも、作業員は、レベルLまで先行して充填し硬化した硬化材3の上面を足場に利用できるから、外壁材組み立て用の作業足場を組み立てる必要はない。標準モジュール寸法の鋼矢板13Aは軽量型(軽量鋼矢板)であるから、人手により容易に運搬や持ち上げ等することができ、重機類を必要としない。
【0034】
上記のとおり、外壁材1を構成する各鋼矢板の上縁部は、常に上下左右に段違いの千鳥状配置に接合して組み立てが進められるから、外壁材1の剛性度は平均して高い。また、外壁材1の組み立ては、標準モジュール寸法の鋼矢板13Aの長さ(約100cm)を1ユニットとして行う硬化材3の充填工程よりも、一工程分先行して行われる。腹起こし材12の上下方向ピッチも約100cm間隔となる。腹起こし材12の位置毎に段階的に取り付けを行う各段のアンカー材4の上下方向間隔も約100cmに配置されることになる。
【0035】
以下、次のユニットの硬化材3の充填工程を、アンカー材4の設置と併せて上述した内容で行い、更に鋼矢板13の組み立てを先行して行う工程を、順次当該土木構造物Wの最高高さまで繰り返すことになる。
但し、外壁材1の上端部分に関しては、図2に示したように、再び標準モジュール寸法の1/2長さのハーフ鋼矢板13Bを併用することにより、上縁を水平方向に一直線状に揃え、その上縁部の上にアングル材等を使用した堤冠材16を取り付ける(請求項4記載の発明)。硬化材3は、この堤冠材16と同等レベルまで充填される(請求項1、8に記載した発明)。
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0036】
【本発明の奏する効果】
請求項1〜10に記載した発明に係る土木構造物及びその構築工法によれば、一対の外壁材が自立し得る高さずつ複数回に分けてコンクリート等の硬化材を充填するため、タイロッド等の連結部材及び骨組み等を必要とせず、少ない部材点数、少ない工数で土木構造物を構築することができ、コストの削減と作業効率の向上が可能である。
また、支柱をガイドにしてその外側に鋼矢板を配置して接合し、その下端を基礎梁の溝に挿入することによって、前記鋼矢板を外壁材として立てるので、外壁材(特に一段目の鋼矢板)の下端位置及び傾斜角度等を自在に定めることができ、外壁材の定型化を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る土木構造物を示した断面図である。
【図2】鋼矢板による外壁材の構造を示した斜視図である。
【図3】鋼矢板による外壁材を一段目まで組み立てた状況を示す側面図である。
【図4】鋼矢板による外壁材を一段目まで組み立てた状況を示す外側面図である。
【図5】鋼矢板による外壁材の組み立て状況を示した平面図である。
【符号の説明】
W 土木構造物
1、2 鋼矢板による外壁材
3 硬化材(コンクリートなど)
13 鋼矢板
4 アンカー材
30 ジョイント部
12 腹起こし材
5 基礎コンクリート
8 基礎梁
6 アンカーボルト
7 アンカー金具
10 サポート材
11 支柱
16 堤冠材

Claims (10)

  1. 土木構造物の長手方向の両側面位置に沿って並立し相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を充填して構築された土木構造物であって、
    前記一対の外壁材は複数の短尺の鋼矢板で組み立てられ、その内側面の一定高さ位置毎にほぼ水平姿勢のアンカー材が段階的に複数本取り付けられていること、
    外壁材を構成する複数の短尺の鋼矢板は、水平方向に隣接するもの同士がジョイント部で繋がれ、且つ上下方向に突き合わせ接続されてその水平縁が上下左右方向に段違いの千鳥状配置に接合され、水平方向の腹起こし材と結合して組み立てられていること、
    前記鋼矢板から成る外壁材の下部は、基礎コンクリートの上に、鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁が配置され、同基礎コンクリートに固定したアンカー金具によって前記基礎梁が位置決めされており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱が法面勾配で立てられ、前記支柱の間に水平方向の腹起こし材が支持され、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した第一段目の鋼矢板は前記腹起こし材と結合して支持されていること、
    前記構成の一対の外壁材の内側に前記硬化材が段階的に充填されていること、をそれぞれ特徴とする土木構造物。
  2. 一対の外壁材の内側へ充填した硬化材は、少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして、1回又は複数に分けた分量ずつ充填し、且つ養生を行う工程により充填されていることを特徴とする、請求項1に記載した土木構造物。
  3. アンカー材の先端部は下向きに折り曲げられていることを特徴とする、請求項2に記載した土木構造物。
  4. 一対の外壁材の上部は各鋼矢板の上縁部の高さが水平方向に一直線状に揃えられ、同上縁部の上に堤冠材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した土木構造物。
  5. 硬化材は、コンクリートであることを特徴とする、請求項1に記載した土木構造物。
  6. 硬化材は、クラッシャーランと水及びセメントから成るコンクリートであることを特徴とする、請求項1に記載した土木構造物。
  7. 硬化材は、現地発生土と砕石、水及びセメントから成るソイルセメントであることを特徴とする、請求項1に記載した土木構造物。
  8. 土木構造物の長手方向の両側面位置に沿って並立し相対峙する一対の外壁材の内側にコンクリート等の硬化材を段階的に充填して構築される土木構造物の構築工法であって、
    前記一対の外壁材は複数の短尺の鋼矢板で組み立て、その内側面の一定高さ位置毎に段階的にアンカー材をほぼ水平な姿勢で複数本取り付けること、
    前記鋼矢板から成る外壁材の下部は、基礎コンクリートを打設し、その上に鋼矢板の下端を挿入できる上向きに開口した溝形断面材である基礎梁を配置すると共に、同基礎コンクリートにアンカー金具を固定し該アンカー金具によって前記基礎梁を位置決めしており、前記アンカー金具及びこれと結合した斜めのサポート材により比較的短い支柱を法面勾配で立てて当該支柱の間に水平方向の腹起こし材を支持させ、前記基礎梁の溝内に下端を挿入した第一段目の鋼矢板を前記腹起こし材と結合して支持していること、
    硬化材の充填は、少なくとも一段の高さのアンカー材をほぼ水平な姿勢で埋め込むに足る高さを1ユニットとして充填と養生を行う工程を、複数回に分けて繰り返すこと、
    前記一対の外壁材の組み立ては、ジョイント部によって水平方向に繋がり上下方向にも突き合わせ接続して、その水平縁が上下左右方向に段違いの千鳥状配置に接合した短尺の鋼矢板を、各段に水平方向に配置した腹起こし材と結合して、前記硬化材の天端よりも少なくとも一工程分だけ先行して組み立てを進めること、をそれぞれ特徴とする土木構造物の構築工法。
  9. 外壁材を構成する短尺の鋼矢板は、基礎コンクリート上の一段目に、モジュール長さ及び略1/2モジュール長さに加工した鋼矢板を互い違いの配置に接合し、その上縁部の継目を上下左右方向に背が低いものと背が高いものとが互い違いの配置となる段違いの千鳥状配置に形成することを特徴とする、請求項8に記載した土木構造物の構築工法。
  10. 相対峙する一対の外壁材の内側に硬化材を充填する工程は、双方の外壁材の内側にアンカー材を段階的に取り付け、硬化材は少なくとも一段のアンカー材をほぼ水平姿勢に埋設する高さまでを1ユニットとし、1回又は複数に分けた分量ずつ充填し、振動ローラー等で転圧し、強度を発現するまで養生する工程を行い、当該土木構造物の最高高さまでを前記ユニット毎に段階的に複数回繰り返すことを特徴とする、請求項8に記載した土木構造物の構築工法。
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