JP2009013611A - 土留め壁の補強構造及び方法 - Google Patents

土留め壁の補強構造及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼製部材の部材断面を大きくすることなく、土留め壁部材としての剛性を向上させることにより工事費用を低減させるとともに、施工期間の短縮を図り、更に必要な用地を極力少なくする。
【解決手段】地盤中に建て込まれた土留め壁部材4において、下方に湾曲させて略U字形に鋼製線材11が取り付けられ、鋼製線材11は、土留め壁部材4が土水圧を受ける背面側へ向けて曲げ変形しようとする力が作用するように緊張力が導入されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、地中に設置された土留め壁鋼材の補強構造および方法に関する。
従来から使用されている土留め壁は、鋼矢板、鋼管矢板、H型鋼矢板等の鋼製土留め壁やSMW等のようなH型鋼を芯材としてソイルセメント地中連続壁、そして鉄筋コンクリートの地中連続壁等がある。
例えば図15に示すように、土留め壁8は、地盤80からA方向に向けて土水圧を受けることになる。一般に土留め壁頂部81の曲げ変形量に応じて土留め壁8の部材断面等が決定され、時にはより高い剛性を有する部材が必要となる。特に鋼製材料で構成される土留め壁は、コンクリート系の土留め壁と比較してその傾向は大きくなる。
通常、土留め壁における前面掘削深さが深くなる場合には、切梁支保工を使って土留め壁を補強して施工することになるが、例えば、片側にしか土留め壁が形成されない場合や、切梁支保工の面積が広くなる場合には、切梁支保工自体が困難、或いは不経済になる。かかる場合には、アンカー工法を併用した土留め壁を用いることになる。土留め壁前面から土留め壁背面に至る地盤にアンカーを施工し、固定するものであるが、土留め壁背面に民家等が存在する場合には、これを適用することが困難となる。このとき、自立土留め壁を構築することにより対処することが可能となるが、上述したように土留め壁の剛性に限界があるという問題点があった。
一方、鋼製線材を緊張することにより、橋梁等の鋼桁を補強する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような補強方法は、あくまで水平方向へ鋼製線材を延長するものであり、しかも橋梁に発生する曲げ変形と、土留め壁頂部81の曲げ変形とは、互いにその大きさも異なり、地盤とのやり取りが発生して、分布傾向も異なるものである。さらに、土留め壁は地中に設置するものであるため、これに鋼製線材を取り付けた場合において、実際に緊張力が不要となり、当該鋼製線材を除去しなければならないケースが生じた場合に、従来の橋梁等の補強方法を単に転用するのみでは、これを具体化させることができないという問題点があった。
特開2003−269093号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、土留め壁の部材断面を大きくすることなく、土留め壁部材としての剛性を向上させることにより、工事費用を低減させるとともに施工期間の短縮を図り、更に必要な用地を極力少なくすることが可能な土留め壁の補強構造及び方法を提供することを目的とする。
本発明を適用した土留め壁の補強構造は、上述した課題を解決するために、地盤中に建て込まれた土留め壁部材において、土留め壁部材の断面図芯より偏芯して上記土留め壁部材の略軸方向に沿って略直線状に鋼製線材が取り付けられ、上記鋼製線材は、上記土留め部材が土水圧を受けて掘削側に曲げ変形しようとするものに抗して背面側に曲げ変形しようとする力が作用するように緊張力が導入されていることを特徴とする。
本発明を適用した土留め壁の補強方法は、土留め壁部材の断面図芯より偏芯して上記土留め壁部材の略軸方向に沿って略直線状に鋼製線材が取り付けられた土留め壁部材を地盤中に建て込み、上記土留め部材が土水圧を受けて掘削側に曲げ変形しようとするものに抗して背面側に曲げ変形しようとする力が作用するように上記鋼製線材に緊張力を導入することを特徴とする。
上述した構成からなる本発明において、土留め壁部材は、鋼製線材により緊張力が付与されている。しかも、この鋼製線材は、背面側のフランジ鋼板に取り付けられているため、鋼製線材に対して緊張力を導入することにより、土留め壁部材は、背面側へ向けて曲げ応力が負荷されることになる。その結果、土留め壁部材は背面側へ向けて曲げ変形しようとすることになる。
本発明では、上述の如き土留め壁部材の背面側に取り付けられた鋼製線材により緊張力に基づき、当該土留め部材に対して背面側へ向けて曲げ変形しようとする力を働かせているため、土水圧に基づく応力に対して対抗することができる。その結果、土水圧に基づく土留め壁部材の上端部の前面側への変位量を抑えることが可能となる。
特に本発明では、鋼製線材をU字状に配置し、また係止部材に引っ掛けて固定することもできる。このため、滑車の原理により、鋼製線材に対する1回の緊張力導入により、2倍の緊張力を得ることが可能となる。
また、本発明では、土留め壁の機能が終了した後、緊張力が不要となった時、当該鋼製線材を除去することができる。つまり、この鋼製線材の端部を地上付近に位置させていることから、これを容易に引き上げることが可能となる。
また、本発明では、土留め壁部材の剛性を向上させる代わりに上述した鋼製線材により土水圧に基づく上端部の変形を抑えることができるため、換言すれば土留め壁部材の剛性を向上させる必要が無くなる。このため、土留め壁部材の部材断面を大きくする必要も無くなり、工事費用を低減させることができ、施工期間の短縮化を図ることも可能となる。さらに、本発明では、土留め壁を構築するために必要な用地を極力少なくすることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、土留め壁の補強構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した土留め壁の補強構造1は、例えば、図1に示すように道路2端部の地山5を留める山留め壁等として適用される土留め壁3を補強するものである。この土留め壁3は、鋼矢板、鋼管矢板、H型形状の鋼材等を使用した土留め壁部材4により具体化されるものである。以下の説明では、H型形状の鋼材を土留め壁部材4として構成する場合を例にとり説明をする。
図2(a)は、土留め壁部材4が埋め込まれた状態にある土留め壁3の平面図を示している。また図3(a)は、図2(a)B方向から見た土留め壁部材4の正面図を示している。
土留め壁部材4は、ウェブ鋼板41の両端にフランジ鋼板42a、42bが設けられてなる。このフランジ鋼板42a、42bの両端には、互いに隣接する他の土留め壁部材4におけるフランジ鋼板42a、42bと連結するための継ぎ手46a、46bがそれぞれ設けられている。また、土留め壁部材4は、地山5側にフランジ鋼板42aが、道路2側にフランジ鋼板42bが位置するように、配置されるものとする。即ち、フランジ鋼板42aは、地山5からの土水圧を受ける背面側に位置することになり、フランジ鋼板42bは、道路2に面する前面側に位置することになる。
図2(b)は、継ぎ手の構成を省略し、単にH型形状の鋼材60を並列配置した土留め壁3の平面図を示している。継ぎ手の構成を省略しても、以下に説明する本発明所期の作用効果を得ることができることは勿論である。
フランジ鋼板42aの背面側には、金具44が上端部において取り付けられ、また下部には係止部材48が取り付けられている。
金具44は、少なくとも上下に亘り貫通孔が形成されているものであればいかなる構成であってもよいが、例えば図2(c),(d)に示すように下方に向けて先細状のテーパ57が形成された貫通孔56を備えるものであってもよい。この金具44は、溶接55等の手段により、フランジ鋼板42aの背面側に取り付けられている。
係止部材48は、下向きに湾曲部が設けられた形状で構成されていてもよい。この係止部材48は、後述する鋼製線材を係止可能な程度に溝が形成された形状を用いてもよい。また、図3(c)に示すように、溝が形成されただけの形状で構成されていてもよいし、また図3(d)に示すようにU字状の貫通孔56が形成されたもので構成されていてもよい。
また、鋼製線材11をこの金具44に固定する際には、例えば図3(e)に示すように、金具44の貫通孔56にクサビ53を嵌合させ、このクサビ53の中心に鋼製線材11を挿通させるようにしてもよい。クサビ53は金具44の貫通孔56に嵌合されることにより、テーパ57の持つ角度勾配に伴って内側へ締め付け力が作用することになり、鋼製線材11を強固に固定することが可能となる。
また、この土留め壁部材4には、図3(a)に示すように下方に湾曲させて略U字形に鋼製線材11が取り付けられている。この鋼製線材11の両端部11bは、金具44における貫通孔に挿通されて固定されている。またこの鋼製線材11において湾曲させた湾曲部11aは、係止部材48に係止されている。
この鋼製線材11は、PC鋼材、棒鋼や平鋼で構成されていてもよい。ちなみに、この鋼製線材11には、緊張力が導入されている。この緊張力は、例えば鋼製線材11の両端に螺着された図示しない緊張装置により導入されていてもよい。即ち、この図示しないボルトの締め付け度合いにより、緊張力を増減させることが可能となる。また、この鋼製線材11の両端には、当該鋼製線材11を地上側へ引っ張り可能な図示しない緊張装置が設けられていてもよい。これにより、土留めの変位の状況に基づいて地上において自由に緊張力を増減することが可能となる。
図3(b)は、本発明を適用した土留め壁の補強構造1の他の実施の形態を示している。この図3(b)の例においては、上述の如く鋼製線材11をU字状に設ける代わりに、2本の鋼製線材111を略直線状に取り付ける。このとき、鋼製線材111は、互いに離間させるとともに、それぞれ図芯から離れた位置においてそれぞれ偏心した状態で取り付けられている。この鋼製線材111は、上下に取り付けられた金具44を介してそれぞれ固定するようにしてもよい。この鋼製線材111も同様に緊張力が導入されていることになる。
このような土留め壁3は、鋼製線材11が設けられた土留め壁部材4の周囲において、さらにソイルセメントやコンクリート39があってもよい。
次に、本発明を適用した土留め壁の補強構造1の施工方法について説明をする。
先ず、土留め壁部材4におけるフランジ鋼板42aの背面側に、金具44、係止部材48を取り付ける。次に、鋼製線材11を金具44並びに係止部材48へ取り付けてこれを固定する。この段階において緊張力を負荷するようにしてもよい。
次に、この土留め壁部材4を地中に建て込む。土留め壁部材4を地中に建て込む方法としては、連続掘削機で土砂を掘削した後、クレーンで建て込んでコンクリートを打設してもよいし、いわゆるSMW工法のようにソイルセメントを造成した後、クレーンで建て込んでもよい。また、バイブロ工法や圧入工法を使用するようにしてもよい。最終的に建て込みを終了させた後、上述した図示しない緊張装置等を用いて緊張力を負荷し、また増減させるようにしてもよい。
このような方法により施工された土留め壁の補強構造1は、以下に説明するような作用を奏する。
先ず、土留め壁部材4は、鋼製線材11により緊張力が付与されている。しかも、この鋼製線材11は、フランジ鋼板42aに取り付けられているため、鋼製線材11に対して緊張力を導入することにより、図4(a)に示すように背面側へ向けて曲げ応力が負荷されることになる。その結果、土留め壁部材4は背面側へ向けて曲げ変形しようとすることになる。
一般に、土留め壁部材4の背面側に位置する地山5からは図5に示すように土水圧に基づく応力が作用することになり、特に土留め壁部材4の上端部の変位が大きくなってしまう。これは、土留め壁部材4の前面側において道路2を構成すべく掘削を行うことが原因である。しかし、本発明では、上述の如き土留め壁部材4の背面側に取り付けられた鋼製線材11による緊張力に基づき、当該土留め部材4に対して背面側へ向けて曲げ変形しようとする力を働かせているため、上記土水圧に基づく応力に対して対抗することができる。その結果、図4(b)における実線で示される図のように、土水圧に基づく土留め壁部材4の上端部の前面側への変位量を抑えることが可能となる。ちなみに、この図4(b)における点線で示される例は、鋼製線材11を配置しない場合における土留め壁部材4の変形状態を示している。
特に本発明では、鋼製線材11をU字状に配置し、また係止部材48に設けられた溝部にこれを引っ掛けて固定している。このため、滑車の原理により、鋼製線材11に対する1回の緊張力導入により、2倍の緊張力を得ることが可能となる。
また、本発明では、鋼製線材11を取り付けた後、実際に緊張力が不要となり、当該鋼製線材11を除去しなければならないケースが生じた場合においても、この鋼製線材11の端部を地上付近に位置させていることから、これを容易に引き上げることが可能となる。
また、本発明では、土留め壁部材4の剛性を向上させる代わりに上述した鋼製線材11により土水圧に基づく上端部の変形を抑えることができるため、換言すれば土留め壁部材4の剛性を向上させる必要が無くなる。このため、土留め壁部材4の部材断面を大きくする必要も無くなり、工事費用を低減させることができ、施工期間の短縮化を図ることも可能となる。さらに、本発明では、土留め壁3を構築するために必要な用地を極力少なくすることが可能となる。
ちなみに、上述した図3(b)に示すような形態においても同様に、鋼製線材111を介して緊張力が導入されていることから、土水圧に基づく土留め壁部材4の上端部の前面側への変位量を抑えることが可能となる。
また、鋼製線材11は、上端部が掘削底面2aよりも上側に位置し、下端部が掘削底面よりも下側に位置している。この掘削底面2aとは、前面掘削2の地盤表面を意味している。これにより、土留め壁部材4の変形を効率的に小さくできる効果がある。
なお、本発明を適用した土留め壁の補強方法は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
図6(a)〜(c)は、本発明を適用した土留め壁の補強方法における他の適用例を示している。先ず図6(a)に示すように、上述した方法に基づいて構築した鋼製線材11が取り付けられた土留め壁3の前面側において構造物51を構築する。次に図6(b)に示すように、当該構造物51の上部を土砂で埋め戻す。この段階において土留め壁3は、前面側において埋め戻された土砂により支持されることになり、前面側へ撓もうとする力が小さくなる。このため、図6(c)に示すように土留め壁部材4から鋼製線材11を引き抜く。
図7は、管52内に鋼製線材11を挿入することにより、これを取り付ける形態を示している。管52は、例えば金属製やプラスチック等のシース等で適用されていてもよく、管52の内壁と鋼製線材11との間に間隙を設けた状態で配置される。鋼製線材を緊張したまま半永久に残置する場合は、この管52内に鋼製線材11を挿通させ、さらにその間隙においてセメントミルクを充填する。そして、このセメントミルクが固化されることにより、鋼製線材11を管52に対して強固に固定することが可能となる。ちなみに、このセメントミルクの充填は、鋼製線材11に対して緊張力を付与した後において実行することになる。ちなみに、この緊張力の付与はジャッキを介して行うようにしてもよい。
図8〜10は、鋼製線材11の配置方法における他の適用例を示している。図8(a)は、フランジ鋼板42aにおける内面に鋼製線材11を取り付ける例を示している。また、図8(b)は、フランジ鋼板42aにおける外面に鋼製線材11の上端を取り付け、フランジ鋼板42aにおける内面に鋼製線材11の下端を取り付ける例を示している。
また、図9(a)は、フランジ鋼板42aにおける外面に鋼製線材11の上端を取り付け、フランジ鋼板42bにおける内面に鋼製線材11の下端を取り付ける例を示している。図9(b)は、フランジ鋼板42bにおける外面に鋼製線材11の上端を取り付け、フランジ鋼板42aにおける内面に鋼製線材11の下端を取り付ける例を示している。
図10(a)は、フランジ鋼板42aにおける外面に鋼製線材11の下端を固定し、鋼製線材11の上端は、固定治具61を介してフランジ鋼板42b側へ突出させ、これを固定している。図10(b)は、固定治具61の位置を下方にシフトさせることにより、導入された緊張力に基づく曲げモーメント分布の調整を図ったものである。さらに図10(c)は、フランジ鋼板42aにおける内面に鋼製線材11の下端を固定し、鋼製線材11の上端は、固定治具61を介してフランジ鋼板42b側へ突出させ、これを固定している。図10(d)は、フランジ鋼板42bにおける内面に鋼製線材11の下端を固定し、これを一度フランジ鋼板42a側にある固定治具61に引っ掛けてから再度鋼製線材11の上端をフランジ鋼板42b側へ突出させ、これを固定している。
何れの実施の形態においても、鋼製線材11に緊張力を導入することにより、土留め壁部材4が背面側へ向けて曲げ変形しようとする力を作用させることができるため、本発明の所期の効果を得ることが可能となる。
図11(a)は、前面側のフランジ鋼板42bの外面に鋼製線材11、111の上下端を配置した例である。また、図11(b)は、フランジ鋼板42bの内面に鋼製線材11、111の上下端を配置した例である。このように前面側に設けた鋼製線材11を緊張することにより、土留め部材4の中央部が前面に突き出てしまうのを防止することができる。
本発明では、構成線材11等に負荷すべき緊張力を掘削側土砂の掘削深さに応じて段階的に高めるようにしてもよい。その理由として、前面掘削してから鋼製線材を1次締めし、更に前面掘削後、鋼製線材を2次締めすることにより、一度に全ての緊張力を導入することができ、効率的な変形抑制が可能となる。
また、上端部の係止部材の土留め壁部材4深さ方向における固着位置が異なるように鋼製部材11を複数本設ける際に、上側に位置する鋼製線材11から下側に位置する鋼製線材11の順に、掘削側土砂の掘削深さに応じて段階的に緊張力を導入するようにしてもよい。その理由として、図12に示すように、前面掘削の各段階に応じて多段に配置した鋼製線材を緊張することにより、効率的な変形抑制が可能となる。図12(a)は、前面掘削が浅い状態を示している。かかる場合には、土留め壁部材4の上段から一段に亘って緊張力を導入するようにしている。図12(b)は、前面掘削がある程度進展した状態を示している。かかる場合には、土留め壁部材4の上段、中段の二段に亘って緊張力を導入するようにしている。図12(c)は、前面掘削がある深く進展した状態を示している。かかる場合には、土留め壁部材4の上段、中段、下段の三段に亘って緊張力を導入するようにしている。
なお、この図12における実際の鋼製線材11の止着方法は、図9(b)に基づくものであるが、これに限定されるものではなく、上述した他のいかなる止着方法を採用するものであってもよい。
なお、鋼製線材11を、土留め壁部材4の背面側のみに設けると、図13(a)に示すように、中央部が前面側に大きく凸状に突き出てしまう。特に土留め壁部材4の高さが高いほど、この傾向が顕著に現れることになる。このため、図13(b)に示すように、前面側において金具61、係止部材62を設け、上述と同様の手法に基づいて鋼製線材12を緊張力を持たせて配置する。このとき金具61、係止部材62の配置間隔は、金具44、係止部材48の間隔よりも狭く設定し、これに配設すべき鋼製線材12の長さも背面側のそれよりも短く設定することになる。
このように前面側に設けた鋼製線材12を緊張することにより、図13(b)に示すように中央部が前面に突き出てしまうのを防止することができる。
このように、本発明では、土留め壁部材4の安定を保持する目的で架設する支保工やグラウンドアンカー等を適用しない自立式の土留め壁構造としている。即ち、本発明では、根入れ長を十分に確保し、背面側からの土水圧荷重に対して掘削底面下の地盤の反力で抵抗させ、土留め壁の安定を確保する構造形式である。
即ち、本発明を適用した、自立式の土留め壁構造は、図14(a)の曲げモーメント分布図に示すように、堀削底面付近よりも下側の土留め壁部材4に大きな曲げモーメントが発生しえるものであり、これに伴い図14(b)の変形分布図に示すように、土留め壁部材4の掘削側への変位が増大しえるものであっても、これを抑制するための土留め壁部材4を背面側へ曲げ変形させようとする緊張力を付与するものである。即ち、緊張力を掘削底面よりも下側から掘削底面よりも上側に亘る範囲において導入することにより、図14(c)の曲げモーメント分布図に示すように、曲げモーメントを分散させる効果を発揮させることができ、これに伴って図14(d)の変形分布図に示すように、土留め壁部材4の掘削側への変位を抑制することが可能となる。
本発明を適用した土留め壁の補強構造を示す図である。 土留め壁部材が埋め込まれた状態にある土留め壁の平面図である。 図2(a)B方向から見た土留め壁部材4の正面図である。 本発明を適用した土留め壁の補強構造の作用について説明するための図である。 本発明を適用した土留め壁の補強構造の作用について説明するための他の図である。 本発明を適用した土留め壁の補強方法における他の適用例について説明するための図である。 管内に鋼製線材を挿入することにより、これを取り付ける形態を示す図である。 鋼製線材の配置方法における他の適用例を示す図である。 鋼製線材の配置方法における更なる他の適用例を示す図である。 鋼製線材の配置方法における他のバリエーションについて説明するための図である。 フランジ鋼板の外面又は内面に鋼製線材の上下端を配置した図である。 鋼製線材を、土留め壁部材の背面側のみに設けた場合における問題点について説明するための図である。 前面掘削の各段階に応じて多段に配置した鋼製線材を緊張することにより、効率的な変形抑制が可能とした例を示す図である。 自立式の土留め壁構造における実際の曲げモーメント図、並びに変形分布図である。 従来技術の問題点について説明するための図である。
符号の説明
1 土留め壁の補強構造
2 道路
3 土留め壁
4 土留め壁部材
5 地山
11 鋼製線材
41 ウェブ鋼板
42 フランジ鋼板
46 継ぎ手
44 金具
48 係止部材

Claims (21)

  1. 地盤中に建て込まれた土留め壁部材において、
    土留め壁部材の断面図芯より偏芯して上記土留め壁部材の略軸方向に沿って略直線状に鋼製線材が取り付けられ、
    上記鋼製線材は、上記土留め部材が土水圧を受けて掘削側に曲げ変形しようとするものに抗して背面側に曲げ変形しようとする力が作用するように緊張力が導入されていること
    を特徴とする土留め壁の補強構造。
  2. 上記鋼製線材は、上端部が掘削底面よりも上側に位置し、下端部が掘削底面よりも下側に位置すること
    を特徴とする請求項1に記載する土留め壁の補強構造。
  3. 上記鋼製線材は、上記土留め壁部材の部材全長及び/又は部材の一部に1本ないし複数本配置されること
    を特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載する土留め壁の補強構造。
  4. 上記鋼製線材は、上記土留め壁部材の背面側及び/又は掘削側に取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載する土留め壁の補強構造。
  5. 上記鋼製線材は、上端部および下端部が係止部材により固定され、更に緊張力が導入されており、上記係止部材は上記土留め壁部材に固着されていること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載する土留め壁の補強構造。
  6. 上記鋼製線材は、管内に挿入されてなること
    を特徴とする請求項1〜5に記載する土留め壁の補強構造。
  7. 上記鋼製線材は、下方に湾曲させて略U字型に構成されており、
    上記湾曲させた湾曲部が上記下端部の係止部材に係止され、上端側における両端部が上記上端部の係止部材に係止されていること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載する土留め壁の補強構造。
  8. 上記土留め壁部材部材は、ウェブ鋼板の両端にフランジ鋼板が設けられた断面H形状の鋼材であり、
    上記鋼製線材は、上記フランジ鋼板の外面または/および内面に配置されていること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載する土留め壁の補強構造。
  9. 上記鋼製線材の係止部材が、上記ウェブ鋼板または/およびウェブ鋼板近傍のフランジ鋼板に固着されていること
    を特徴とする請求項8に記載する土留め壁の補強構造。
  10. 土留め壁部材の断面図芯より偏芯して上記土留め壁部材の略軸方向に沿って略直線状に鋼製線材が取り付けられた土留め壁部材を地盤中に建て込み、
    上記土留め部材が土水圧を受けて掘削側に曲げ変形しようとするものに抗して背面側に曲げ変形しようとする力が作用するように上記鋼製線材に緊張力を導入すること
    を特徴とする土留め壁の補強方法。
  11. 上記鋼製線材を上端部が掘削底面よりも上側に、下端部が掘削底面よりも下側に配置すること
    を特徴とする請求項10に記載する土留め壁の補強方法。
  12. 上記鋼製線材を上記土留め壁部材の部材全長及び/又は部材部分長に1本ないし複数本配置すること
    を特徴とする請求項10〜11のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  13. 上記鋼製線材を上記土留め壁部材の背面側及び/又は掘削側に取り付けること
    を特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  14. 上記鋼製線材を上端部および下端部を係止部材に固定し、更に緊張力を導入し、上記係止部材を上記土留め壁部材に固着すること
    を特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  15. 上記鋼製線材を管内に挿入することにより取り付けること
    を特徴とする請求項10〜14に記載する土留め壁の補強方法。
  16. 下方に湾曲させて略U字型に構成した上記鋼製線材が取り付けられた土留め壁部材を地盤中に建て込み、
    上記湾曲した湾曲部を上記下端部の係止部材に係止し、上記鋼製線材の上端側における両端部を上記上端部の係止部材に係止させることにより取り付けること
    を特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  17. ウェブ鋼板の両端にフランジ鋼板が設けられた断面H形状の鋼材として構成される上記土留め壁部材を地盤中に建て込み
    上記鋼製線材を上記フランジ鋼板の外面及び/又は内面に配置すること
    を特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  18. 上記鋼製線材の係止部材を上記ウェブ鋼板及び/又はウェブ鋼板近傍のフランジ鋼板に固着して取り付けること
    を特徴とする請求項17に記載する土留め壁の補強方法。
  19. 上記土留め壁部材の地盤への建て込み前、及び/又は建て込み後に上記緊張力を導入すること
    を特徴とする請求項10〜18のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  20. 上記緊張力を掘削側土砂の掘削深さに応じて段階的に高めること
    を特徴とする請求項10〜19のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
  21. 上記上端部の係止部材の上記土留め壁部材深さ方向における固着位置が異なるように上記鋼製部材を複数本設ける際に、上側に位置する鋼製線材から下側に位置する鋼製線材の順に、掘削側土砂の掘削深さに応じて段階的に上記緊張力を導入すること
    を特徴とする請求項10〜20のいずれかに記載する土留め壁の補強方法。
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