JP2004174773A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】常に安定した粘度のインクを記録ヘッドに供給し、記録ヘッドの吐出不良を防止して良好な画像を安定して形成する。
【解決手段】インクジェット記録装置1のサブタンク21に設けた粘度検出手段27でサブタンク21内のインクの粘度μを検出し、検出しているサブタンク21内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッド2のインク吐出動作を停止させ、記録ヘッド2の吐出不良を防ぐ。
【選択図】 図2
【解決手段】インクジェット記録装置1のサブタンク21に設けた粘度検出手段27でサブタンク21内のインクの粘度μを検出し、検出しているサブタンク21内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッド2のインク吐出動作を停止させ、記録ヘッド2の吐出不良を防ぐ。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット記録装置、特にインク粘度の上昇による記録ヘッドのインク吐出不良の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−15836号公報
インクジェット記録装置においては、例えば特許文献1等に示すように、インク循環装置を使用して記録ヘッドに対してインクを循環させ、記録ヘッドの回復動作を行い、記録ヘッドのノズルから安定してインクを吐出させて印字できるようにしている。
【0003】
このインク循環装置を有するインクジェット記録装置は、例えば図10の構成図に示すように、記録ヘッド2及び記録ヘッド2のノズル面を覆うインク受け7がインク循環装置10に接続されている。このインク循環装置10は、インクタック11のインクを記録ヘッド2に供給する加圧用のメインポンプ16と、インクタンク11と記録ヘッド2を接続した供給配管系統12,13を有するインク供給系と、フィルタ部23とインクを吸引するサブポンプ24を有し、インク受け7とインクタンク11を接続したインク吸引系14を有する。フィルタ部23はインク受け7とサブポンプ24の間に設けられ、インク受け7から吸引したインクに含まれる異物を取り除く。このインク循環装置10で記録ヘッド2の回復動作を行うときは、インクタンク11のサブタンク21から供給配管系統12を介して記録ヘッド2にインクを供給し、記録ヘッド2のノズルからインクを噴射し、噴射したインクをインク受け7に回収する。このインク受け7で回収したインクをインク吸引系14で吸引してインクタンク11に回収して記録ヘッド2に対してインクを循環させる。
【0004】
この記録ヘッド2の回復動作を行ってインク受け7に回収したインクは、大気と接するためインク溶媒が蒸発してインクの粘度が上昇する。
また、インクジェット記録装置を長期間使用しないで放置した場合、記録ヘッド2にインクが滞留し、この滞留したインクの溶媒が記録ヘッド2のノズルから蒸発してインクの粘度が上昇する。
このように粘度が上昇したインクは、記録ヘッド2の回復動作によりインクタンク11に送られる。このためインクタンク11内のインクは、記録ヘッド2の回復動作のたびに粘度が上昇する。このようにインクタンク11内のインクの粘度が上昇すると、画像等を記録するとき粘度の高いインクが記録ヘッド2に送られ吐出不良が発生する。これを防止するために、一定時間経過したときにインク流路系内のインクを全て廃インクとして廃インクカートリッジ等に回収している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにインク流路系内のインクの粘度上昇を時間で推定して管理していると、急激な粘度上昇が生じた場合には対応できず、記録ヘッドの吐出不良が発生し、形成する画像が劣化するという短所がある。
【0006】
この発明はかかる短所を改善し、常に安定した粘度のインクを記録ヘッドに供給し、記録ヘッドの吐出不良を防止して良好な画像を安定して形成することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、記録ヘッドのインク吐出面を覆うインク受け及びインク循環装置を有し、インク循環装置は、インクカートリッジから供給されたインクを貯留するサブタンクと記録ヘッドを接続したインク供給系と、インク受けとサブタンクを接続したインク吸引系を有するインクジェット記録装置において、粘度検出手段と制御装置とを有し、粘度検出手段はサブタンクに設けられ、サブタンク内のインクの粘度μを検出し、制御装置は、粘度検出手段で検出しているサブタンク内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、記録ヘッドの吐出不良を防ぐことを特徴とする。
【0008】
制御装置に粘度判定手段と駆動条件設定手段と警報出力手段を有し、粘度判定手段は、あらかじめ設定された粘度上限値μmaxと粘度検出手段から出力されるサブタンク内のインクの粘度μとを比較し、駆動条件設定手段は、粘度判定手段で判定した結果がμ<μmaxのとき、サブタンク内のインクの粘度μに応じて記録ヘッドの駆動条件を変えてインクを吐出させ、警報出力手段は粘度判定手段で判定した結果がμ>μmaxのとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを全て廃インクとして回収させる。
【0009】
また、サブタンクに温度検出手段を有し、制御装置に、粘度検出手段で検出したサブタンク内のインクの粘度を温度検出手段で検出したサブタンク内のインクの温度により補正する粘度補正手段を有し、サブタンク内のインクの粘度変化が用場に蒸発により生じたか温度変化により生じたかを区別する。
【0010】
この粘度補正手段は、基準温度のときに粘度が異なる複数種類のインクの温度を可変して粘度の変化を調べて作成した粘度算出テーブルを参照してインクの粘度を補正する。
【0011】
さらに、粘度判定手段に、粘度上限値μmaxとともに複数の異なる粘度閾値を設定し、サブタンク内のインクの粘度μが粘度閾値に達したときに、制御装置はインクカートリッジ内のインクを一定量サブタンクに供給し、サブタンク内のインクと混合して、サブタンク内のインクを有効に利用する。
【0012】
また、インクカートリッジを上下に弾性膜で分離したインク充填部と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部の2層構造とし、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンクからインクカートリッジのインク回収部に回収し、インク循環装置に廃インクタンクを設けずにインク循環装置の構成を簡略化し、インクカートリッジを交換するときに、粘度が高くなった廃インクを同時にインク循環装置から回収する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のインクジェット記録装置の構成図である。図に示すように、インクジェット記録装置1は、例えばノズル数が1000を越えるような長尺のシアンC,マゼンタM、イェローY,ブラックBkの各色の記録ヘッド2を有する記録装置3と給紙装置4と用紙搬送装置5及び排紙装置6を有し、給紙装置4から給紙され用紙搬送装置5で搬送されている記録紙に記録装置3の記録ヘッド2からインクを吐出して文字や画像を印刷し、印刷した記録紙を排紙装置6に排出する。
【0014】
記録装置3は、図2の構成図に示すように、記録ヘッド2とインク受け7がインク循環装置10に接続されている。インク循環装置10は、インクタンク11と記録ヘッド2を接続した配管系統12,13を有するインク供給系と、インク受け7とインクタンク11を接続したインク吸引系14を有する。インク受け7は記録ヘッド2を使用しないときノズル面を覆い、記録ヘッド2の回復動作を行うときに、ノズルから噴出するインクを受ける。
【0015】
インク循環装置10のインク供給系にはインクタンク11に供給するインクを保有したインクカートリッジ15と、加圧用のメインポンプ16と、配管系統12,13に設けられたバルブ17,18と、インクカートリッジ15とインクタンク11を接続したチェックバルブ19と、インクタンク11を大気と連通する大気連通部20を有する。インクタンク11はインクを貯蔵するサブタンク21とエアバッファタンク22を有し、サブタンク21とエアバッファタンク22はメインポンプ16を介して連結され、メインポンプ16の回転方向によって、サブタンク21からエアバッファタンク22にインクを供給したり、逆にエアバッファタンク22からサブタンク21にインクを供給する。インク吸引系14はインク受け7の底部に接続されたフィルタ部23と、フィルタ部23とサブタンク21に接続されたサブポンプ24を有する。サブタンク21にはバルブ25を介して廃インクタンク26が連結されている。
【0016】
メインポンプ16とサブポンプ23は、ポンプチューブと回転部材の外周部配置されたバネと複数のコロとからなるチュービングポンプ構造であり、回転部材の回転によりポンプチューブを押圧してポンプチューブ内のインクを順次送り出す。
【0017】
サブタンク21にインクを供給するときは、バルブ17,18を閉じた状態でメインポンプ16を反時計方向に回転させてインクカートリッジ15内にあるインクをチェックバルブ19からエアバッファタンク22を介してサブタンク21に供給して貯留する。
【0018】
記録ヘッド2の回復動作を行うときは、バルブ17,18を開にしてメインポンプ16を時計方向に回転する。このメインポンプ16の回転によりサブタンク21に貯留したインクがエアーバッファタンク22からバルブ17を通り記録ヘッド2に供給される。記録ヘッド2に供給されたインクはノズルから噴出してインク受け7に回収される。インク受け7に回収されたインクは、フィルタ部23のチェックバルブとフィルタとサブタンク24を通りサブタンク21に戻してインクを循環する。
【0019】
回復動作が終了した記録ヘッド2で印字動作を行うときは、バルブ17,18を開にし、サブタンク21内のインクを記録ヘット2の吐出力によりバルブ18を通して記録ヘッド2に供給する。
【0020】
この記録ヘッド2の回復動作や印字動作を行うときに供給するインクを貯留したサブタンク21内のインクの粘度を検出する粘度検出手段27を有る。インクジェット記録装置1の制御装置28には、図3のブロック図に示すように、粘度検出手段27に接続された粘度算出部29と粘度判定部30と駆動条件設定部31及び警報出力部32を有する。
【0021】
粘度検出手段27は、例えば回転式粘度計や超音波式の粘度計を使用すれば良い。回転式の粘度計は、図4の構成図に示すように、DCモータ33の回転軸に接続されたスピンドル34と回転センサ35を有する。このスピンドル34をサブタンク21内に設け、DCモータ33によりスピンドル34をインク中で回転する。このときスピンドル34を回転させるために必要な負荷トルクTは、インクの粘性μとスピンドル34の回転数ωに比例するとともにDCモータ33に流れる電流Iに比例し、K1,KMを比例定数とすると下記(1)式と(2)式で表せる。
T=K1・μ・ω (1)
T=KM・I (2)
上記式より、電流Iと回転数ωを検出することによりインクの粘度μを求めることができる。電流Iは、図4に示すように、DCモータ33に電力を供給する回路に設けた抵抗Rの両端電圧を求めることにより検出され、回転数ωは回転センサ35により求められる。この抵抗Rの両端電圧と回転センサ35で検出した回転数ωを粘度算出部29に入力し、粘度算出部29で演算することにより、サブタンク21内のインクの粘度μを検出することができる。
【0022】
また、超音波式の粘度計を使用した場合は、図5の構成図に示すように、圧電基板36の表面に、交流電源37に接続された一対の進行波発生電極パターン38と進行波検出電極パターン39を形成する。進行波発生電極パターン38のピッチPは、共振周波数をf0,音速をcとしたとき、次式で与えられる波長λと同じになるように設定しておく。
f0=c/f0
この進行波発生電極パターン38に交流電源37から電圧を印加している状態で圧電基板36の表面にインクが接していると、進行波Aが圧電基板36の表面を伝搬する。この伝搬している進行波を進行波検出電極パターン39で検出する。この進行波検出電極パターン39で検出する進行波の振幅はインクの粘度が高くなると小さくなる。この進行波検出電極パターン39の検出信号を粘度算出部29に入力して、進行波の振動振幅からサブタンク21内のインクの粘度μを検出することができる。
【0023】
そこで粘度検出手段25をあらかじめ定めた一定周期毎に駆動し、粘度検出手段25の出力を粘度算出部29に送る。粘度算出部29は粘度検出手段25からの信号によりサブタンク21内のインクの粘度μを算出し、算出した粘度μを粘度判定部30に送る。粘度判定部30には、記録ヘッド2の駆動条件を変えて正常にインクを吐出することができる粘度上限値μmaxが設定されており、粘度算出部29で算出したインクの粘度μと粘度上限値μmaxとを比較し、送られた粘度μが粘度上限値μmaxを超えていないときは、送られた粘度μを駆動条件設定部31に送る。駆動条件設定部31は送られたインクの粘度μに応じて記録ヘッド2の駆動条件を変えてインクの粘度上昇に対応させてインクを吐出させる。このインクの粘度μが上昇して粘度上限値μmaxを越えたとき、粘度判定部30はに警報信号を警報出力手段32に送る。警報出力手段32は警報信号が送られると、記録ヘッド2の印字動作を停止させ、サブタンク21内と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを全て廃インクとして廃インクタンク26に回収させる。
【0024】
このようにサブタンク21内のインクの粘度を検出し、検出したインクの粘度があらかじめ設定された粘度基準値μmaxを超えたときに印字動作を停止するから、サブタンク21内のインクの粘度の上昇による記録ヘッド2のインク吐出不良を未然に防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0025】
また、サブタンク21内のインクの粘度は、インク中の溶媒の量とインクの温度により変化する。そこで図6の構成図に示すように、サブタンク21内のインクの温度を検出する温度検出手段40を設け、制御装置28に粘度補正部41を設け、粘度算出部29で算出したインクの粘度μを粘度補正部41で温度検出手段40で検出したインクの温度に応じて補正する。このように温度検出手段40でサブタンク21内のインクの温度を検出することにより、温度変化によるインクの粘度変化と溶媒の蒸発によるインクの粘度変化を区別することができ、溶媒の蒸発によりインクの粘度μが粘度基準値μmaxを超えたときにだけ印字動作を停止して、サブタンク21内と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを廃インクタンク26に回収することができ、不必要に印字動作を停止したりインクを廃棄することを防止することができる。
【0026】
この粘度算出部29で算出したインクの粘度μを粘度補正部41でインクの温度に応じて補正する方法の一例を説明する。
【0027】
あらかじめ実験により基準温度20℃のときに粘度μが異なる複数種類、例えば粘度μが3.0cPと3.5cPと4.0cPと5.0cPのインクの温度を5℃から40℃まで可変して粘度の変化を調べ、下記表に示す粘度算出テーブルを作成する。
【0028】
【表1】
【0029】
粘度補正部41は、この粘度算出テーブルを参照して粘度算出部29で算出したインクの粘度μを温度検出手段40で検出したインクの温度により基準温度20℃のときの粘度μsに補正する。例えば粘度算出部29で算出した粘度μ=6.5cPのとき、温度検出手段40で検出したサブタンク21内のインクの温度が10℃の場合、サブタンク21内のインクは温度が20℃のときの粘度μsは4.0cPと判定し、このときのインクの粘度を4.0cPと補正する。この補正したインクの粘度を粘度判定部30に送り粘度基準値μmaxと比較し、記録ヘッド2の駆動条件を変えたり、インク循環系のインクを廃インクタンク26に回収したりする。このようにして算出した粘度μをインク温度に応じて容易に補正することができる。
【0030】
前記説明では粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクを廃インクタンク26に回収する場合について説明したが、図8の構成図に示すように、インクカートリッジ15を上下に弾性膜43で分離したインク充填部44と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部45の2層構造とし、サブタンク21とインク回収部45をバルブ25と排出ポンプ46で接続し、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンク21からインクカートリッジ15のインク回収部45に回収するようにしても良い。このようにインクカートリッジ15にインク回収部45を設けることにより、インク循環装置10に廃インクタンク26を設ける必要がなく、インク循環装置10の構成を簡略化することができる。また、インクカートリッジを交換するときに、粘度μが高くなった廃インクを同時にインク循環装置10から回収することができ、使用勝手を向上することもできる。
【0031】
また、前記説明では、粘度判定部30に、記録ヘッド2の駆動条件を変えて正常にインクを吐出することができる粘度上限値μmaxを設定した場合について説明したが、粘度判定部30に、粘度上限値μmaxとともに複数の粘度閾値、例えば図9の粘度変化特性図に示すように、μmax>μ2>μ1の関係を有する粘度閾値μ1,μ2を設定し、サブタンク21内にインクの粘度が粘度閾値μ1に達したとき、サブタンク21内のインクを一定量廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収し、インクカートリッジ15から粘度の低いインクを一定量サブタンク21に供給してサブタンク21内のインクの粘度μを下げる。このインクを使用して記録動作や記録ヘッド2の回復動作を行い、サブタンク21内にインクの粘度μが粘度閾値μ2に達すると、再びサブタンク21内のインクを一定量廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収し、インクカートリッジ15から粘度の低いインクを一定量サブタンク21に供給してサブタンク21内のインクの粘度μを下げる。さらに記録動作や回復動作を行い、サブタンク21内のインクの粘度μが粘度上限値μmaxに達すると、サブタンク21と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを全て廃インクとして廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収する。
【0032】
このように粘度判定部30に2段階の粘度閾値μ1,μ2を設けることにより、サブタンク21内のインクを有効に利用することができるとともに、記録ヘッド2の吐出不良を防ぐことができる。
【0033】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、インクジェット記録装置のサブタンクに設けた粘度検出手段でサブタンク内のインクの粘度μを検出し、検出しているサブタンク内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させるようにしたから、記録ヘッドの吐出不良を防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0034】
また、制御装置の粘度判定手段で、あらかじめ設定された粘度上限値μmaxと粘度検出手段から出力されるサブタンク内のインクの粘度μとを比較し、粘度判定手段で判定した結果がμ<μmaxのとき、サブタンク内のインクの粘度μに応じて記録ヘッドの駆動条件を変えてインクを吐出させ、粘度判定手段で判定した結果がμ>μmaxのとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを全て廃インクとして回収させることにより、サブタンク内のインクの粘度の上昇による記録ヘッドのインク吐出不良を未然に防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0035】
さらに、粘度検出手段で検出したサブタンク内のインクの粘度を温度検出手段で検出したサブタンク内のインクの温度により補正する粘度補正手段を有し、サブタンク内のインクの粘度変化が用場に蒸発により生じたか温度変化により生じたかを区別することができ、溶媒の蒸発によりインクの粘度μが粘度基準値μmaxを超えたときにだけ印字動作を停止して、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを回収することができ、不必要に印字動作を停止したりインクを廃棄することを防止することができる。
【0036】
また、粘度補正手段は、基準温度のときに粘度が異なる複数種類のインクの温度を可変して粘度の変化を調べて作成した粘度算出テーブルを参照してインクの粘度を補正することにより、検出したサブタンク内の粘度μをインク温度に応じて容易に補正することができる。
【0037】
また、粘度判定手段に、粘度上限値μmaxとともに複数の異なる粘度閾値を設定し、サブタンク内のインクの粘度μが粘度閾値に達したときに、インクカートリッジ内のインクを一定量サブタンクに供給し、サブタンク内のインクと混合することにより、サブタンク内のインクを有効に利用することができる。
【0038】
さらに、インクカートリッジを上下に弾性膜で分離したインク充填部と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部の2層構造とし、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンクからインクカートリッジのインク回収部に回収し、インク循環装置に廃インクタンクを設けずにインク循環装置の構成を簡略化し、インクカートリッジを交換するときに、粘度が高くなった廃インクを同時にインク循環装置から回収することができ、使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインクジェット記録装置の構成図である。
【図2】記録装置の構成図である。
【図3】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】回転式の粘度検出手段の構成図である。
【図5】超音波式の粘度検出手段の構成図である。
【図6】第2の記録装置の構成図である。
【図7】他の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第3の記録装置の構成図である。
【図9】サブタンク内にインクの粘度の変化特性図である。
【図10】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1;インクジェット記録装置、2;記録ヘッド、3;記録装置、
4;給紙装置、5;用紙搬送装置、6;排紙装置、7;インク受け、
10;インク循環装置、11;インクタンク、15;インクカートリッジ、
16;メインポンプ、21;サブタンク、22;エアバッファタンク、
23;フィルタ部、24;サブポンプ、26;廃インクタンク、
27;粘度検出手段、28;制御装置、29;粘度算出部、
30;粘度判定部、31;駆動条件設定部、32;警報出力部、
40;温度検出手段、41;粘度補正部、44;インク充填部、
45;インク回収部、46;排出ポンプ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、インクジェット記録装置、特にインク粘度の上昇による記録ヘッドのインク吐出不良の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−15836号公報
インクジェット記録装置においては、例えば特許文献1等に示すように、インク循環装置を使用して記録ヘッドに対してインクを循環させ、記録ヘッドの回復動作を行い、記録ヘッドのノズルから安定してインクを吐出させて印字できるようにしている。
【0003】
このインク循環装置を有するインクジェット記録装置は、例えば図10の構成図に示すように、記録ヘッド2及び記録ヘッド2のノズル面を覆うインク受け7がインク循環装置10に接続されている。このインク循環装置10は、インクタック11のインクを記録ヘッド2に供給する加圧用のメインポンプ16と、インクタンク11と記録ヘッド2を接続した供給配管系統12,13を有するインク供給系と、フィルタ部23とインクを吸引するサブポンプ24を有し、インク受け7とインクタンク11を接続したインク吸引系14を有する。フィルタ部23はインク受け7とサブポンプ24の間に設けられ、インク受け7から吸引したインクに含まれる異物を取り除く。このインク循環装置10で記録ヘッド2の回復動作を行うときは、インクタンク11のサブタンク21から供給配管系統12を介して記録ヘッド2にインクを供給し、記録ヘッド2のノズルからインクを噴射し、噴射したインクをインク受け7に回収する。このインク受け7で回収したインクをインク吸引系14で吸引してインクタンク11に回収して記録ヘッド2に対してインクを循環させる。
【0004】
この記録ヘッド2の回復動作を行ってインク受け7に回収したインクは、大気と接するためインク溶媒が蒸発してインクの粘度が上昇する。
また、インクジェット記録装置を長期間使用しないで放置した場合、記録ヘッド2にインクが滞留し、この滞留したインクの溶媒が記録ヘッド2のノズルから蒸発してインクの粘度が上昇する。
このように粘度が上昇したインクは、記録ヘッド2の回復動作によりインクタンク11に送られる。このためインクタンク11内のインクは、記録ヘッド2の回復動作のたびに粘度が上昇する。このようにインクタンク11内のインクの粘度が上昇すると、画像等を記録するとき粘度の高いインクが記録ヘッド2に送られ吐出不良が発生する。これを防止するために、一定時間経過したときにインク流路系内のインクを全て廃インクとして廃インクカートリッジ等に回収している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにインク流路系内のインクの粘度上昇を時間で推定して管理していると、急激な粘度上昇が生じた場合には対応できず、記録ヘッドの吐出不良が発生し、形成する画像が劣化するという短所がある。
【0006】
この発明はかかる短所を改善し、常に安定した粘度のインクを記録ヘッドに供給し、記録ヘッドの吐出不良を防止して良好な画像を安定して形成することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、記録ヘッドのインク吐出面を覆うインク受け及びインク循環装置を有し、インク循環装置は、インクカートリッジから供給されたインクを貯留するサブタンクと記録ヘッドを接続したインク供給系と、インク受けとサブタンクを接続したインク吸引系を有するインクジェット記録装置において、粘度検出手段と制御装置とを有し、粘度検出手段はサブタンクに設けられ、サブタンク内のインクの粘度μを検出し、制御装置は、粘度検出手段で検出しているサブタンク内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、記録ヘッドの吐出不良を防ぐことを特徴とする。
【0008】
制御装置に粘度判定手段と駆動条件設定手段と警報出力手段を有し、粘度判定手段は、あらかじめ設定された粘度上限値μmaxと粘度検出手段から出力されるサブタンク内のインクの粘度μとを比較し、駆動条件設定手段は、粘度判定手段で判定した結果がμ<μmaxのとき、サブタンク内のインクの粘度μに応じて記録ヘッドの駆動条件を変えてインクを吐出させ、警報出力手段は粘度判定手段で判定した結果がμ>μmaxのとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを全て廃インクとして回収させる。
【0009】
また、サブタンクに温度検出手段を有し、制御装置に、粘度検出手段で検出したサブタンク内のインクの粘度を温度検出手段で検出したサブタンク内のインクの温度により補正する粘度補正手段を有し、サブタンク内のインクの粘度変化が用場に蒸発により生じたか温度変化により生じたかを区別する。
【0010】
この粘度補正手段は、基準温度のときに粘度が異なる複数種類のインクの温度を可変して粘度の変化を調べて作成した粘度算出テーブルを参照してインクの粘度を補正する。
【0011】
さらに、粘度判定手段に、粘度上限値μmaxとともに複数の異なる粘度閾値を設定し、サブタンク内のインクの粘度μが粘度閾値に達したときに、制御装置はインクカートリッジ内のインクを一定量サブタンクに供給し、サブタンク内のインクと混合して、サブタンク内のインクを有効に利用する。
【0012】
また、インクカートリッジを上下に弾性膜で分離したインク充填部と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部の2層構造とし、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンクからインクカートリッジのインク回収部に回収し、インク循環装置に廃インクタンクを設けずにインク循環装置の構成を簡略化し、インクカートリッジを交換するときに、粘度が高くなった廃インクを同時にインク循環装置から回収する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のインクジェット記録装置の構成図である。図に示すように、インクジェット記録装置1は、例えばノズル数が1000を越えるような長尺のシアンC,マゼンタM、イェローY,ブラックBkの各色の記録ヘッド2を有する記録装置3と給紙装置4と用紙搬送装置5及び排紙装置6を有し、給紙装置4から給紙され用紙搬送装置5で搬送されている記録紙に記録装置3の記録ヘッド2からインクを吐出して文字や画像を印刷し、印刷した記録紙を排紙装置6に排出する。
【0014】
記録装置3は、図2の構成図に示すように、記録ヘッド2とインク受け7がインク循環装置10に接続されている。インク循環装置10は、インクタンク11と記録ヘッド2を接続した配管系統12,13を有するインク供給系と、インク受け7とインクタンク11を接続したインク吸引系14を有する。インク受け7は記録ヘッド2を使用しないときノズル面を覆い、記録ヘッド2の回復動作を行うときに、ノズルから噴出するインクを受ける。
【0015】
インク循環装置10のインク供給系にはインクタンク11に供給するインクを保有したインクカートリッジ15と、加圧用のメインポンプ16と、配管系統12,13に設けられたバルブ17,18と、インクカートリッジ15とインクタンク11を接続したチェックバルブ19と、インクタンク11を大気と連通する大気連通部20を有する。インクタンク11はインクを貯蔵するサブタンク21とエアバッファタンク22を有し、サブタンク21とエアバッファタンク22はメインポンプ16を介して連結され、メインポンプ16の回転方向によって、サブタンク21からエアバッファタンク22にインクを供給したり、逆にエアバッファタンク22からサブタンク21にインクを供給する。インク吸引系14はインク受け7の底部に接続されたフィルタ部23と、フィルタ部23とサブタンク21に接続されたサブポンプ24を有する。サブタンク21にはバルブ25を介して廃インクタンク26が連結されている。
【0016】
メインポンプ16とサブポンプ23は、ポンプチューブと回転部材の外周部配置されたバネと複数のコロとからなるチュービングポンプ構造であり、回転部材の回転によりポンプチューブを押圧してポンプチューブ内のインクを順次送り出す。
【0017】
サブタンク21にインクを供給するときは、バルブ17,18を閉じた状態でメインポンプ16を反時計方向に回転させてインクカートリッジ15内にあるインクをチェックバルブ19からエアバッファタンク22を介してサブタンク21に供給して貯留する。
【0018】
記録ヘッド2の回復動作を行うときは、バルブ17,18を開にしてメインポンプ16を時計方向に回転する。このメインポンプ16の回転によりサブタンク21に貯留したインクがエアーバッファタンク22からバルブ17を通り記録ヘッド2に供給される。記録ヘッド2に供給されたインクはノズルから噴出してインク受け7に回収される。インク受け7に回収されたインクは、フィルタ部23のチェックバルブとフィルタとサブタンク24を通りサブタンク21に戻してインクを循環する。
【0019】
回復動作が終了した記録ヘッド2で印字動作を行うときは、バルブ17,18を開にし、サブタンク21内のインクを記録ヘット2の吐出力によりバルブ18を通して記録ヘッド2に供給する。
【0020】
この記録ヘッド2の回復動作や印字動作を行うときに供給するインクを貯留したサブタンク21内のインクの粘度を検出する粘度検出手段27を有る。インクジェット記録装置1の制御装置28には、図3のブロック図に示すように、粘度検出手段27に接続された粘度算出部29と粘度判定部30と駆動条件設定部31及び警報出力部32を有する。
【0021】
粘度検出手段27は、例えば回転式粘度計や超音波式の粘度計を使用すれば良い。回転式の粘度計は、図4の構成図に示すように、DCモータ33の回転軸に接続されたスピンドル34と回転センサ35を有する。このスピンドル34をサブタンク21内に設け、DCモータ33によりスピンドル34をインク中で回転する。このときスピンドル34を回転させるために必要な負荷トルクTは、インクの粘性μとスピンドル34の回転数ωに比例するとともにDCモータ33に流れる電流Iに比例し、K1,KMを比例定数とすると下記(1)式と(2)式で表せる。
T=K1・μ・ω (1)
T=KM・I (2)
上記式より、電流Iと回転数ωを検出することによりインクの粘度μを求めることができる。電流Iは、図4に示すように、DCモータ33に電力を供給する回路に設けた抵抗Rの両端電圧を求めることにより検出され、回転数ωは回転センサ35により求められる。この抵抗Rの両端電圧と回転センサ35で検出した回転数ωを粘度算出部29に入力し、粘度算出部29で演算することにより、サブタンク21内のインクの粘度μを検出することができる。
【0022】
また、超音波式の粘度計を使用した場合は、図5の構成図に示すように、圧電基板36の表面に、交流電源37に接続された一対の進行波発生電極パターン38と進行波検出電極パターン39を形成する。進行波発生電極パターン38のピッチPは、共振周波数をf0,音速をcとしたとき、次式で与えられる波長λと同じになるように設定しておく。
f0=c/f0
この進行波発生電極パターン38に交流電源37から電圧を印加している状態で圧電基板36の表面にインクが接していると、進行波Aが圧電基板36の表面を伝搬する。この伝搬している進行波を進行波検出電極パターン39で検出する。この進行波検出電極パターン39で検出する進行波の振幅はインクの粘度が高くなると小さくなる。この進行波検出電極パターン39の検出信号を粘度算出部29に入力して、進行波の振動振幅からサブタンク21内のインクの粘度μを検出することができる。
【0023】
そこで粘度検出手段25をあらかじめ定めた一定周期毎に駆動し、粘度検出手段25の出力を粘度算出部29に送る。粘度算出部29は粘度検出手段25からの信号によりサブタンク21内のインクの粘度μを算出し、算出した粘度μを粘度判定部30に送る。粘度判定部30には、記録ヘッド2の駆動条件を変えて正常にインクを吐出することができる粘度上限値μmaxが設定されており、粘度算出部29で算出したインクの粘度μと粘度上限値μmaxとを比較し、送られた粘度μが粘度上限値μmaxを超えていないときは、送られた粘度μを駆動条件設定部31に送る。駆動条件設定部31は送られたインクの粘度μに応じて記録ヘッド2の駆動条件を変えてインクの粘度上昇に対応させてインクを吐出させる。このインクの粘度μが上昇して粘度上限値μmaxを越えたとき、粘度判定部30はに警報信号を警報出力手段32に送る。警報出力手段32は警報信号が送られると、記録ヘッド2の印字動作を停止させ、サブタンク21内と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを全て廃インクとして廃インクタンク26に回収させる。
【0024】
このようにサブタンク21内のインクの粘度を検出し、検出したインクの粘度があらかじめ設定された粘度基準値μmaxを超えたときに印字動作を停止するから、サブタンク21内のインクの粘度の上昇による記録ヘッド2のインク吐出不良を未然に防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0025】
また、サブタンク21内のインクの粘度は、インク中の溶媒の量とインクの温度により変化する。そこで図6の構成図に示すように、サブタンク21内のインクの温度を検出する温度検出手段40を設け、制御装置28に粘度補正部41を設け、粘度算出部29で算出したインクの粘度μを粘度補正部41で温度検出手段40で検出したインクの温度に応じて補正する。このように温度検出手段40でサブタンク21内のインクの温度を検出することにより、温度変化によるインクの粘度変化と溶媒の蒸発によるインクの粘度変化を区別することができ、溶媒の蒸発によりインクの粘度μが粘度基準値μmaxを超えたときにだけ印字動作を停止して、サブタンク21内と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを廃インクタンク26に回収することができ、不必要に印字動作を停止したりインクを廃棄することを防止することができる。
【0026】
この粘度算出部29で算出したインクの粘度μを粘度補正部41でインクの温度に応じて補正する方法の一例を説明する。
【0027】
あらかじめ実験により基準温度20℃のときに粘度μが異なる複数種類、例えば粘度μが3.0cPと3.5cPと4.0cPと5.0cPのインクの温度を5℃から40℃まで可変して粘度の変化を調べ、下記表に示す粘度算出テーブルを作成する。
【0028】
【表1】
【0029】
粘度補正部41は、この粘度算出テーブルを参照して粘度算出部29で算出したインクの粘度μを温度検出手段40で検出したインクの温度により基準温度20℃のときの粘度μsに補正する。例えば粘度算出部29で算出した粘度μ=6.5cPのとき、温度検出手段40で検出したサブタンク21内のインクの温度が10℃の場合、サブタンク21内のインクは温度が20℃のときの粘度μsは4.0cPと判定し、このときのインクの粘度を4.0cPと補正する。この補正したインクの粘度を粘度判定部30に送り粘度基準値μmaxと比較し、記録ヘッド2の駆動条件を変えたり、インク循環系のインクを廃インクタンク26に回収したりする。このようにして算出した粘度μをインク温度に応じて容易に補正することができる。
【0030】
前記説明では粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクを廃インクタンク26に回収する場合について説明したが、図8の構成図に示すように、インクカートリッジ15を上下に弾性膜43で分離したインク充填部44と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部45の2層構造とし、サブタンク21とインク回収部45をバルブ25と排出ポンプ46で接続し、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンク21からインクカートリッジ15のインク回収部45に回収するようにしても良い。このようにインクカートリッジ15にインク回収部45を設けることにより、インク循環装置10に廃インクタンク26を設ける必要がなく、インク循環装置10の構成を簡略化することができる。また、インクカートリッジを交換するときに、粘度μが高くなった廃インクを同時にインク循環装置10から回収することができ、使用勝手を向上することもできる。
【0031】
また、前記説明では、粘度判定部30に、記録ヘッド2の駆動条件を変えて正常にインクを吐出することができる粘度上限値μmaxを設定した場合について説明したが、粘度判定部30に、粘度上限値μmaxとともに複数の粘度閾値、例えば図9の粘度変化特性図に示すように、μmax>μ2>μ1の関係を有する粘度閾値μ1,μ2を設定し、サブタンク21内にインクの粘度が粘度閾値μ1に達したとき、サブタンク21内のインクを一定量廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収し、インクカートリッジ15から粘度の低いインクを一定量サブタンク21に供給してサブタンク21内のインクの粘度μを下げる。このインクを使用して記録動作や記録ヘッド2の回復動作を行い、サブタンク21内にインクの粘度μが粘度閾値μ2に達すると、再びサブタンク21内のインクを一定量廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収し、インクカートリッジ15から粘度の低いインクを一定量サブタンク21に供給してサブタンク21内のインクの粘度μを下げる。さらに記録動作や回復動作を行い、サブタンク21内のインクの粘度μが粘度上限値μmaxに達すると、サブタンク21と記録ヘッド2を含むインク循環系のインクを全て廃インクとして廃インクタンク26やインクカートリッジ15のインク回収層45に回収する。
【0032】
このように粘度判定部30に2段階の粘度閾値μ1,μ2を設けることにより、サブタンク21内のインクを有効に利用することができるとともに、記録ヘッド2の吐出不良を防ぐことができる。
【0033】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、インクジェット記録装置のサブタンクに設けた粘度検出手段でサブタンク内のインクの粘度μを検出し、検出しているサブタンク内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させるようにしたから、記録ヘッドの吐出不良を防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0034】
また、制御装置の粘度判定手段で、あらかじめ設定された粘度上限値μmaxと粘度検出手段から出力されるサブタンク内のインクの粘度μとを比較し、粘度判定手段で判定した結果がμ<μmaxのとき、サブタンク内のインクの粘度μに応じて記録ヘッドの駆動条件を変えてインクを吐出させ、粘度判定手段で判定した結果がμ>μmaxのとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを全て廃インクとして回収させることにより、サブタンク内のインクの粘度の上昇による記録ヘッドのインク吐出不良を未然に防ぐことができ、良質な画像を安定して記録することができる。
【0035】
さらに、粘度検出手段で検出したサブタンク内のインクの粘度を温度検出手段で検出したサブタンク内のインクの温度により補正する粘度補正手段を有し、サブタンク内のインクの粘度変化が用場に蒸発により生じたか温度変化により生じたかを区別することができ、溶媒の蒸発によりインクの粘度μが粘度基準値μmaxを超えたときにだけ印字動作を停止して、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを回収することができ、不必要に印字動作を停止したりインクを廃棄することを防止することができる。
【0036】
また、粘度補正手段は、基準温度のときに粘度が異なる複数種類のインクの温度を可変して粘度の変化を調べて作成した粘度算出テーブルを参照してインクの粘度を補正することにより、検出したサブタンク内の粘度μをインク温度に応じて容易に補正することができる。
【0037】
また、粘度判定手段に、粘度上限値μmaxとともに複数の異なる粘度閾値を設定し、サブタンク内のインクの粘度μが粘度閾値に達したときに、インクカートリッジ内のインクを一定量サブタンクに供給し、サブタンク内のインクと混合することにより、サブタンク内のインクを有効に利用することができる。
【0038】
さらに、インクカートリッジを上下に弾性膜で分離したインク充填部と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部の2層構造とし、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンクからインクカートリッジのインク回収部に回収し、インク循環装置に廃インクタンクを設けずにインク循環装置の構成を簡略化し、インクカートリッジを交換するときに、粘度が高くなった廃インクを同時にインク循環装置から回収することができ、使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインクジェット記録装置の構成図である。
【図2】記録装置の構成図である。
【図3】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】回転式の粘度検出手段の構成図である。
【図5】超音波式の粘度検出手段の構成図である。
【図6】第2の記録装置の構成図である。
【図7】他の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第3の記録装置の構成図である。
【図9】サブタンク内にインクの粘度の変化特性図である。
【図10】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1;インクジェット記録装置、2;記録ヘッド、3;記録装置、
4;給紙装置、5;用紙搬送装置、6;排紙装置、7;インク受け、
10;インク循環装置、11;インクタンク、15;インクカートリッジ、
16;メインポンプ、21;サブタンク、22;エアバッファタンク、
23;フィルタ部、24;サブポンプ、26;廃インクタンク、
27;粘度検出手段、28;制御装置、29;粘度算出部、
30;粘度判定部、31;駆動条件設定部、32;警報出力部、
40;温度検出手段、41;粘度補正部、44;インク充填部、
45;インク回収部、46;排出ポンプ。
Claims (6)
- インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、記録ヘッドのインク吐出面を覆うインク受け及びインク循環装置を有し、インク循環装置は、インクカートリッジから供給されたインクを貯留するサブタンクと記録ヘッドを接続したインク供給系と、インク受けとサブタンクを接続したインク吸引系を有するインクジェット記録装置において、
粘度検出手段と制御装置とを有し、粘度検出手段はサブタンクに設けられ、サブタンク内のインクの粘度μを検出し、制御装置は、粘度検出手段で検出しているサブタンク内のインクが一定粘度に達したとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御装置に粘度判定手段と駆動条件設定手段と警報出力手段を有し、
粘度判定手段は、あらかじめ設定された粘度上限値μmaxと粘度検出手段から出力されるサブタンク内のインクの粘度μとを比較し、
駆動条件設定手段は、粘度判定手段で判定した結果がμ<μmaxのとき、サブタンク内のインクの粘度μに応じて記録ヘッドの駆動条件を変えてインクを吐出させ、
警報出力手段は粘度判定手段で判定した結果がμ>μmaxのとき、記録ヘッドのインク吐出動作を停止させ、サブタンク内と記録ヘッドを含むインク循環系のインクを全て廃インクとして回収させる請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記サブタンクに温度検出手段を有し、前記制御装置に、粘度検出手段で検出したサブタンク内のインクの粘度を温度検出手段で検出したサブタンク内のインクの温度により補正する粘度補正手段を有する請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
- 前記粘度補正手段は、基準温度のときに粘度が異なる複数種類のインクの温度を可変して粘度の変化を調べて作成した粘度算出テーブルを参照してインクの粘度を補正する請求項3記載のインクジェット記録装置。
- 前記粘度判定手段は、粘度上限値μmaxとともに複数の異なる粘度閾値が設定され、サブタンク内のインクの粘度μが粘度閾値に達したときに、前記制御装置はインクカートリッジ内のインクを一定量サブタンクに供給し、サブタンク内のインクと混合する請求項1乃至4いずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクカートリッジを上下に弾性膜で分離したインク充填部と内部の空気を負圧状態にしたインク回収部の2層構造とし、粘度μが粘度基準値μmaxより高くなったインクをサブタンクからインクカートリッジのインク回収部に回収する請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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