JP2004174685A - 輸送ロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】種類の異なる板状の材料13を1つの輸送ロボット20で輸送する。
【解決手段】輸送ロボット20が有するヘッド24に、吸引力の小さな第1のパッド26と、吸引力の大きな第2のパッドを設ける。第1のパッド26は、下段テーブル25Bに取り付けられている。第2のパッド27は、上段テーブル25Aに取り付けられている。下段テーブル25Bは上下に昇降可能であり、下段テーブル25Bが昇降することで、第1のパッド26と第2のパッド27との垂直方向の位置関係を変化させることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸送ロボットに関し、特に、1つのヘッドを用いて、重さおよび厚さの異なる板状の材料を1枚ずつ吸着して輸送する輸送ロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表面に混成集積回路等の電気回路が形成される回路基板の1つとして、表面に銅箔が形成されたアルマイト基板がある。この場合は、アルミニウム等の金属の基板上に銅等から成る導電パターンが形成されている。そして、アルマイト基板と導電パターンとは、両者の間の絶縁層により絶縁されている。
【0003】
表面に導電パターンが形成されたアルマイト基板からなる回路基板の製造方法を説明する。金属基板は例えばアルマイト基板が所定の幅で用意され、導電パターンとなる導電箔も所定の幅で用意される。ここで、銅箔の裏面には接着剤となる樹脂が塗布されて用意される。そして、金属基板に導電箔を圧着させることにより、導電箔と金属基板とは一体化されて回路基板となる。導電箔をエッチング等により部分的に除去することにより、導電パターンは形成される。その後に、IC等の回路素子を固着する工程、ワイヤボンドの工程、基板を分割する工程、封止の工程等を経て、混成集積回路装置が製造される。
【0004】
図6を参照して、アルマイト基板と銅箔とを圧着させる工程を説明する(例えば、特許文献1参照)。アルマイト板113Bは所定の幅(数メートル)で用意され、銅箔113Cもアルマイト板113Bと同等の幅で用意される。ここで、銅箔113Cの裏面には、接着剤となる絶縁性樹脂が塗布されている。そして、アルマイト板113B上に銅箔113Cを重畳させてから、2つのロール120により、上下方向から圧力を加えることにより、両者は圧着されていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−091836号公報(第1頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなロールによる基板の積層方法では、ロール120の圧力により、銅箔の裏面に付着された樹脂にクラックが発生してしまう問題があった。
【0007】
更に、上記のような問題を解決するために、約1メートル四方に形成されたアルマイト板113Bおよび銅箔113Cを積層させた後に、プレス機で両者を圧着させる積層方法がある。しかしながら、板状の材料の輸送および積層は人力で行っていたので積層の精度が悪いという問題があった。
【0008】
更にまた、吸引力の大きい吸着パッドを用いてアルマイト基板113Bを吸着すると、複数枚のアルマイト基板113Bを同伴して吸着してしまう問題があった。
【0009】
本発明は、上記した問題を鑑みて成されたものである。従って、本発明の主な目的は、板状の材料を吸着して輸送する輸送ロボットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、ヘッドと、前記ヘッドに取り付けられた吸着力の小さい第1のパッドと、前記ヘッドに取り付けられた前記第1のパッドよりも吸着力の大きい第2のパッドとを有し、輸送される板状の材料の重量に応じて、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを用いて、板状の材料を輸送することを特徴とする。
【0011】
本発明は、第2に、前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、吸引力により前記板状の材料を吸着することを特徴とする。
【0012】
本発明は、第3に、前記第1のパッドは、前記ヘッドに設けた板状の下段テーブルに固定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、第4に、前記第2のパッドは、前記ヘッドに設けた上段テーブルに固定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、第5に、前記下段テーブルは昇降可能であり、前記下段テーブルが昇降することにより、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを下方に突出させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、第6に、前記ヘッドは、前記板状の材料の端部に対応する箇所にシリンダを有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、第7に、前記ヘッドは傾斜手段を有し、前記第1のパッドで前記板状の材料を吸着した後に、前記傾斜手段によりヘッド全体を傾斜させることで、前記板状の材料が同伴するのを防止することを特徴とする。
【0017】
本発明は、第8に、前記第2のパッドの個数は、前記第1のパッドの個数よりも多いことを特徴とする。
【0018】
本発明は、第9に、ヘッドと、前記ヘッドに取り付けられた吸着力の大きい第1のパッドと、前記ヘッドに取り付けられた前記第1のパッドよりも吸着力の小さい第2のパッドとを有し、輸送される板状の材料の剛性に応じて、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを用いて、板状の材料を輸送することを特徴とする。
【0019】
本発明は、第10に、前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、吸引力により前記板状の材料を吸着することを特徴とする。
【0020】
本発明は、第11に、前記第1のパッドは、前記ヘッドに設けた板状の下段テーブルに固定されていることを特徴とする。
【0021】
本発明は、第12に、前記第2のパッドは、前記ヘッドに設けた上段テーブルに固定されていることを特徴とする。
【0022】
本発明は、第13に、前記下段テーブルは昇降可能であり、前記下段テーブルが昇降することにより、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを下方に突出させることを特徴とする。
【0023】
本発明は、第14に、前記ヘッドは、前記板状の材料の端部に対応する箇所にシリンダを有することを特徴とする。
【0024】
本発明は、第15に、前記ヘッドは傾斜手段を有し、前記第1のパッドで前記板状の材料を吸着した後に、前記傾斜手段によりヘッド全体を傾斜させることで、前記板状の材料が同伴するのを防止することを特徴とする。
【0025】
本発明は、第16に、前記第2のパッドの個数は、前記第1のパッドの個数よりも多いことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(輸送ロボットの構成を説明する第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の輸送ロボット20の構成を説明する。図1(A)は輸送ロボット20が有するヘッド24の斜視図であり、図1(B)は輸送ロボット20の外形を示す図である。
【0027】
本発明の輸送ロボット20は、ヘッド24と、ヘッド24に取り付けられた吸着力の小さい第1のパッド26と、ヘッド24に取り付けられた第1のパッド26よりも吸着力の大きい第2のパッド27とを有している。ここで、輸送される板状の材料13の重量に応じて、第1のパッド26または第2のパッド27のいずれかを用いて、板状の材料13を輸送する。更に、輸送される板状の材料の剛性に応じて、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを用いて、板状の材料を輸送する。このような輸送ロボット20の構成を以下にて説明する。
【0028】
図1(A)を参照して、輸送ロボット20が有するヘッド24の詳細を説明する。ヘッド24は第3のアーム23Cに連結されて固定されている。そしてヘッド24は、第3のアーム23Cに固定された上段テーブル25Aと、上段テーブル25Aの下方に取り付けられて昇降可能な下段テーブル25Bと、上段テーブル25Aに固定された吸着力の大きい第2のパッド27と、下段テーブル25Bに取り付けられた吸着力の小さい第1のパッド26とを有している。これらの構成要素を以下にて説明する。
【0029】
上段テーブル25Aは、テーブル状に形成されており、第3のアーム23Cに固定されている。そして、ヘッド24を構成する他の要素を支持するはたらきを有する。具体的には、第1のパッド26、下段テーブル25Bおよびシリンダ28が、上段テーブル25Aに取り付けられている。また、上段テーブル25Aには、下段テーブル25Bを昇降させる昇降機構も取り付けられる。
【0030】
下段テーブル25Bは板状に形成されており、その平面的な大きさは輸送される板状の材料13と同等である。下段テーブル25Bの周辺部の下面には、複数個の第1のパッド26が取り付けられており、更にその他の箇所にも複数個の第1のパッド26が取り付けられている。下段テーブル25B自体は、上段テーブル25Aが有する昇降手段に取り付けられている。従って、この昇降手段を操作することにより、下面に多数個の第1のパッド26を有する下段テーブル25Bが上下に移動することになる。具体的には、下段テーブル25Bを上方向に移動させることにより、相対的に第2のパッド27が第1のパッド26よりも下方に延在するようになる。それに対して、下段テーブル25Bを下方向に移動させることにより、相対的に第1のパッド26が第2のパッド27よりも下方に延在するようになる。また、下段テーブル25Bには孔が設けられており、この孔から第2のパッド27を下方に突出している。
【0031】
第2のパッド27は、上段テーブル25Aに複数個が取り付けられている。第2のパッド27は比較的大きな吸引力を有しているので、重量が数十キログラムの板状の材料を吸着して持ち上げることができる。
【0032】
第1のパッド26は、下段テーブル25Bに複数個が取り付けられている。第1のパッド26は、比較的小さな吸引力を有し且つその径も小さいので、厚さが数十μm程度の薄い板状の材料13を吸着して持ち上げることができる。このように第1のパッド26は小さな吸引力を有しているので、薄い板状の材料13を吸着しても、その材料に変形等が発生しない。また、第1のパッド26は、第2のパッド27と比較すると、多数個が設けられているので、安定して板状の材料13を輸送することができる。
【0033】
次に第1のパッド26と第2のパッド27との使い分けについて説明する。吸着する材料の厚さおよび剛性に応じて、第1のパッド26と第2のパッド27は使い分ける。薄い板状の材料13の吸着は重量が軽く剛性が弱いので第1のパッド26で行い、厚い板状の材料13の吸着は重量が重たいので第2のパッド27で行っている。具体的には、重量が重たいコール板13E、アルマイト板13Bおよびアルミ板13Dの吸着は第2のパッド27で行っている。そして、厚さ数十μm程度の銅箔1C、クッション紙およびアルミ箔13Fの吸着は、第1のパッド26で行っている。なお、ヘッド24の上部には、制御部(図示せず)が設けられており、第1のパッド26および第2のパッド27の移動と吸着動作を制御している。
【0034】
シリンダ28は、上段テーブル25Aに装着されており、その端部に第3のパッド28Aを有している。シリンダ28の下端に設けられる第3のパッド28は、板状の材料13の端部にその場所が対応している。ここでは、1つのシリンダ28のみが図示されているが、シリンダ28は、ヘッド24の平面的な対角の箇所に2個が装着されている。シリンダ28の垂直に延在する部分は伸縮が可能と成っており、この箇所を伸縮させることにより、第3のパッド28Aを上下させることができる。第3のパッド28Aは、他のパッドと同様に、吸引力により板状の材料13を吸引する働きを有する。シリンダ28の具体的な動作に関しては後述する。
【0035】
次に、ヘッド24上部に設けた傾斜機構について説明する。ヘッド24は傾斜機構を有しており、この傾斜機構によりヘッド24全体を傾斜させることができる。特に板状の材料13を、大きな吸引力を有する第2のパッド27で吸着した場合、板状の材料13の同伴が問題となる。従って、第2のパッド27で板状の材料13を吸着した後に、傾斜機構によりヘッド24全体を傾斜させることで、第2のパッド27が吸着した板状の材料13のみを確実に輸送することができる。この方法の詳細に関しては後述する。
【0036】
図1(B)を参照して、上記したヘッド24を有する輸送ロボット20の構成について説明する。輸送ロボット20は、次のような構成を有している。全体の土台となる第1の台座21Aと、水平方向の回転を行う第1の関節22Aと、第1の関節上に設置された第2の台座21Bと、垂直方向の回転を行う第2の関節22B、第3の関節22Cおよび第4の関節22Dと、第2の関節22Bと第4の関節22Dとの間に設けた第1のアーム23A、第2のアーム23Bおよび第3のアーム23Cと、第3のアームに接続するヘッド24とから輸送ロボット20は構成されている。
【0037】
(回路基板の製造装置の構成を説明する第2の実施の形態)
図2を参照して製造装置の構成を説明する。本発明の回路基板の製造装置は、回路基板の材料となる板状の材料13を積層させて積層材料11Aを形成する積層装置10と、積層装置10から輸送された積層材料11Aを圧着して回路基板を形成する圧着装置とを有し、積層装置10は、種類の異なる板状の材料13をその種類毎に用意する複数の材料ステージ12と、板状の材料13を積層させる積層ステージ11と、材料ステージ12および積層ステージ11に囲まれるように配置された輸送ロボット20とから成る。そして、輸送ロボット20により板状の材料13を所定の順番に1枚ずつ積層ステージ11に輸送することを特徴とする。図2(A)は、積層装置10の平面図であり、図2(B)はその断面図である。このような構成を有する積層装置10の詳細を以下にて説明する。
【0038】
材料ステージ12A〜12Fは、それぞれ種類の異なる板状の材料13が載置されており、上方から見ると規則的に配置されている。具体的に、材料ステージ12A〜12Fは、積層ステージ11と共に輸送ロボット20を取り囲むように四角の形状に配置されている。そして、各々の材料ステージ12A〜12Fと輸送ロボット20との距離は、輸送ロボット20のヘッド24が材料ステージ12A〜12Fに到達する範囲で設定される。また、積層ステージ11と輸送ロボット20との距離も、輸送ロボット20のヘッド24が積層ステージ11に到達する範囲で設定される。積層ステージ12A〜12Fの平面的な大きさは、そこに載置される材料よりも大きく形成され、1メートル四方以上の大きさに形成される。詳細は後述するが、それぞれの材料ステージ12A〜12Fに積層された板状の材料は、中央部に配置された輸送ロボット20により1枚ずつ輸送され、積層ステージ11に所定の順序で積層される。
【0039】
それぞれの材料ステージ12A〜12Fに載置される材料は、金属基板となるアルマイト板13Bおよび銅箔13Cと、間材となるアルミ板13Dなどであり、その大きさは約1メートル四方の大きさに統一されて積層されている。具体的には、材料ステージ12A〜12Fには、クッション紙13A、アルマイト板13B、銅箔13C、アルミ板13D、コール板13Eおよびアルミ箔13Fが積層されている。ここで、銅箔13Cの裏面には、銅箔13Cとアルマイト板13Bとの接着剤となる絶縁成接着剤が塗布されている。
【0040】
なお、材料ステージ12Fでは、ロール状に巻かれたアルミ箔13Fが用意されても良い。そして、材料ステージ12Fに、アルミ箔13Fを自動的に供給する装置を追加することにより、アルミ箔を自動的に材料ステージ12Fに供給することができる。更に、他の材料ステージ12と同じく、約1メートル四方にカットされたアルミ箔13Fが用意されても良い。
【0041】
積層ステージ11は、上記した材料ステージ12と同様に、輸送ロボット20のヘッドが到達する箇所に配置される。そして、輸送ロボット20により所定の順序で材料ステージ12から材料を1枚ずつ輸送して、積層ステージ11上に積層させる。その後にプレス(図示せず)を用いて、積層された板状の材料をプレスすることにより、アルマイト板13Bと銅箔13Cは圧着される。板状の材料13A〜13Fを1枚ずつ輸送して積層ステージ11に積層させる方法については後述する。
【0042】
また、積層ステージ11にて数十セット分の回路装置を構成する板状の材料が積層された積層材料11Aは、自走式の移送装置(図示せず)に載置される。そして、移送装置により、積層材料11Aは圧着装置(図示せず)に移送されてセットされる。その後に、圧着装置により積層材料11Aをプレスすることにより、アルマイト板13Bと銅箔13Cとが圧着されて、回路基板を構成する。
【0043】
図2(B)を参照して、前述したように、輸送ロボット20は、積層ステージ11および材料ステージ12に囲まれるように配置されており、次のような構成を有している。全体の土台となる第1の台座21Aと、水平方向の回転を行う第1の関節22Aと、第1の関節上に設置された第2の台座21Bと、垂直方向の回転を行う第2の関節22B、第3の関節22Cおよび第4の関節22Dと、第2の関節22Bと第4の関節22Dとの間に設けた第1のアーム23A、第2のアーム23Bおよび第3のアーム23Cと、第3のアームに接続するヘッド24とから輸送ロボット20は構成されている。
【0044】
上記したように、輸送ロボット20は、水平方向の回転を行う第1の関節22Aと、垂直方向の回転を行う第2の関節22B〜第4の関節22Dを有している。従って、これらの関節22の回転を所定の動作で制御することにより、ヘッド24を3次元的に移動させることができる。また、ヘッド24は、基本的にその平行性が保たれている。上記の説明では、輸送ロボット20は合計で4つの関節を有するが、ヘッド24の平行性を保ちながら3次元的に移動させることができる範囲で、関節の数を変化させることもできる。
【0045】
(板状の材料13の吸着方法を説明する第3の実施の形態)
図3および図4を参照して、上記したヘッド24を用いて、材料ステージ12に積層された板状の材料13を吸着する方法を具体的に説明する。
【0046】
図3(A)を参照して、積層して準備された銅箔13Cを吸着する方法を説明する。ここで輸送する板状の材料である銅箔13Cは、厚さが数十μmと非常に薄く且つ重量も軽い。従って、吸着力の弱い第1のパッド26を用いてその吸着を行う。このことから、ヘッド24の状態は同図に示すように、第1のパッド26を固定する下段テーブル25Bが下降して、第1のパッド26の下端が、第2のパッド27の下端よりも下方に突き出た形となっている。第1のパッド26の吸引力は弱いので、その吸引力による銅箔13Cの変形は小さい。従って、下方の他の銅箔13Cが同伴してしまう危険性も低い。
【0047】
図3(B)を参照して、材料ステージ12Eに載置されたコール板13Eを吸着する方法を説明する。コール板13Eは、積層ステージ11に材料を積層される際に、最も下方に載置されて受け皿となる鋼製のものであるので、コール板13Eの重量は数十キログラムと重い。従って、コール板13Eの吸着は、吸着力の大きい第2のパッド27を用いて行う。このことから、ヘッド24の状態は同図に示すように、第1のパッド26を固定する下段テーブル25Bが上昇して、第2のパッド27の下端が、第1のパッド26の下端よりも下方に突き出た形となっている。第2のパッド27は、その形状的な大きさおよび吸引力が、第1のパッド26よりも大きいため、数十キログラムのコール板13Eを輸送することができる。
【0048】
図4を参照して、アルマイト板13Bを吸着する方法を説明する。金属基板の基材となるアルマイト板13Bは、厚さが約1.5mmで約1メートル四方の金属板である。このことから、アルマイト板13Bの重量は数キログラムとなり、厚さが数十μmの銅箔13Cを吸着する第1のパッドを用いて吸着することはできないので、吸着力の大きい第2のパッド27を使用する。このように大きな吸着力を用いて最上層の板状の材料13を吸着すると、その吸着力により板状の材料が変形して疑似パッドとなってしまう場合がある。このような場合、この疑似パッドにより、数枚の板状の材料13が同伴してしまう問題があった。本発明では、このような問題を、シリンダ28を用いることと、ヘッド24全体を傾斜させることにより解決している。その詳細を以下にて説明する。
【0049】
図4(A)を参照して、アルマイト板13Bを第2のパッド27で吸着する方法を説明する。ここでは、ヘッド24の状態は、第1のパッド26を固定する下段テーブル25Bが上昇して、第2のパッド27の下端が、第1のパッド26の下端よりも下方に突き出た形となっている。従って、ヘッド24を下降させることにより、第2のパッド27の下端が、最上層に積層されたアルマイト板13Bの表面に接触して吸着可能となる。第2のパッド27がアルマイト板13Bを吸着するのと前後して、シリンダ28下端に設けた第3のパッド28Aが下降してアルマイト板13Bの端部を吸着する。そして、第2のパッドがアルマイト板13Bを上昇させるのに先行して、第3のパッド28Aがアルマイト板13Bの端部を吸着上昇させる。
【0050】
このことにより、最上層のアルマイト板13Bの端部付近は上方向に湾曲する。そして、湾曲した最上層のアルマイト板13Bと、その下に積層されたアルマイト基板13Bとの間には、空気が侵入する。従って、第2のパッド27により疑似パッドが形成された場合でも、この疑似パッドに空気を侵入させることにより、疑似パッドの吸着力を低減させることができる。このことから、最上部のアルマイト板13Bに、下方のアルマイト板13Bが同伴してしまうのを防止できる。上記の説明では、1つのシリンダ28を用いてアルマイト板13Bの端部を吸着上昇させていたが、アルマイト板13Bの対角に対応する2箇所を、2つのシリンダ28を用いて局所的に吸着上昇させると、上記した効果を更に確実に奏することができる。
【0051】
図4(B)を参照して、ヘッド24によりアルマイト板13Bを吸着上昇させる方法を説明する。アルマイト板13Bの吸着上昇は、第2のパッド27で吸着を行った後に、ヘッド24全体を上昇させることにより行う。ここでは、ヘッド24全体を傾けてから、その上昇を行っている。前述したようにシリンダ28を用いて、アルマイト板13Bの端部を吸着上昇させることにより、最上層のアルマイト基板13Bの下面に空気を取り込み、下層のアルマイト板13Bの同伴を防止している。ここでは、ヘッド24全体を傾けることで、更に確実に最上層のアルマイト基板13Bの切り離しを行っている。このようにヘッド24を傾斜させる動作は、ヘッド24が連結される第4の関節を回転させることにより行うことができる。更には、これとは別途に、ヘッド24を傾斜させる機構を設けても良い。更にまた、ここでは、アルマイト基板13Bの端部を持ち上げたシリンダ28を若干伸縮させることにより、アルマイト基板13Bに振動を加えている。このようにアルマイト基板13Bに振動を加えることにより、アルマイト基板13Bの切り離しを確実に行うことができる。
【0052】
(回路基板の製造方法を説明する第4の実施の形態)
図5を参照して、以上にて説明した製造装置を用いて、積層ステージ11に板状の基板13を積層させて回路基板を形成する具体的な方法を説明する。図5(A)は回路基板を製造する工程を示す工程図であり、図5(B)は回路基板の製造装置の平面図である。
【0053】
本発明の回路装置の製造方法は、種類の異なる板状の材料13を、その種類毎に材料ステージ12に積層させる工程と、材料ステージ12の近辺に配置された輸送ロボット20により、板状の材料を1枚ずつ積層ステージ12に積層させて積層材料11Aを形成する工程と、積層材料11Aを圧着装置に輸送して、圧着装置により積層材料11Aを圧着して回路基板を形成する工程とを有する。このような工程を以下にて説明する。
【0054】
先ず、図5(A)を参照して、材料ステージ12A〜12Fに、板状の材料13A〜13Fを積層して準備する。また材料ステージ12および積層ステージ11は、輸送ロボット20を囲むように配置されている。
【0055】
次に、輸送ロボットのヘッド24に設けられた第2のパッド27で、材料ステージ12E上に載置されたコール板13Eを吸着する。そして、輸送ロボット20の複数の関節部が動作することにより、コール板13Eを積層ステージ11に移動させる。コール板13Eは、アルマイト板13B等を支持する働きを有する。
【0056】
次に、積層ステージ11上に載置されたコール板13E上に緩衝材を積層させる。具体的には、クッション紙13Aおよびアルミ箔13Fを複数枚積層させる。ここでは、アルミ箔13F・クッション紙13A・アルミ箔13Fの順番で積層させている。具体的な材料の移動方法は、材料ステージ12A上に積層されて準備されたクッション紙13Aを、第1のパッド26で吸着する。そして、積層ステージ11上に載置されたコール板13Eの上部にクッション紙13Aを載置させる。次に、材料ステージ12Fに用意されたアルミ箔13Fを、クッション紙13A上に載置する。この動作は、第1のパッドを用いた吸着により行うこともできるが、ロール状に巻かれたアルミ箔13Fが用意されても良い。ロール状に巻かれたアルミ箔13Fが用意される場合は、このアルミ箔13Fを積層ステージ11上に供給する装置が別途に必要となる。
【0057】
次に、材料ステージ12B上のアルマイト板13Bを、第2のパッド27を用いて吸着して、アルミ箔13F上に載置する。この作業に於いては、複数のアルマイト板13Bが同伴されるのを防止するために、上述したようなシリンダ28等を用いた同伴防止の対策を施している。
【0058】
次に、材料ステージ12C上の銅箔13Cを、第1のパッド26を用いて吸着し、アルマイト板13Bの上部に積層させる。アルマイト板13Bと銅箔13Cは、後にプレス機でプレスされることにより、圧着されて回路基板となる。上述したアルマイト板13Bと銅箔13Cの積層の作業は、製造される回路基板の数だけ積層される。そして、各セットの間にはアルミ箔13Fが積層される。更に、板状の材料13を、積層ステージに積層させる際は、その位置をCCDカメラやセンサ等で感知しているので、正確に板状の材料13を積層させることが可能となる。
【0059】
最後に、積層される板状の材料13の最上段に、再び緩衝材を積層させる。具体的には、クッション紙13Aおよびアルミ箔13Fの他に押さえ板を緩衝材として積層させている。ここで、それらを積層させる順番としては、例えば、下から、アルミ板・クッション紙13A・アルミ箔13F・ステンレス板である。ステンレスの板は、材料ステージ12D上に、アルミ板13Dと交互に積層されて準備されている。また、材料ステージ12Dには、センサが設置されており、このセンサでアルミ板およびステンレス板の判断を行っている。このように、押さえ板となるアルミ板13Dおよびステンレス板を最上部に載置することにより、圧着を行う工程で、板状の材料13全体に圧力を均等に加えることが可能となる。
【0060】
次に、積層ステージ11上で積層された積層材料11Aは、自走式の移送手段等に載置されて、圧着装置30に移動される。そして、積層材料11Aの上部からプレス機で下方向にプレスすることにより、銅箔13Cとアルマイト板13Bとは圧着されて回路基板となる。
【0061】
上記した工程の後に、銅箔13Cをエッチング等により部分的に除去することにより、導電パターンは形成される。その後に、IC等の回路素子を固着する工程、ワイヤボンドの工程、基板を分割する工程、封止の工程等を経て、混成集積回路装置が製造される。
【0062】
また、上記では、約1メートル四方に形成された混成集積回路装置の材料の輸送に関して説明を行ったが、本発明を用いて他の材料を輸送することも可能である。具体的には、ガラス基板、半導体ウェハ、フレキシブルシート、銅箔、圧延銅箔、樹脂材と金属体が積層された積層基板等の輸送を、本発明を用いて輸送することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明では、以下に示すような効果を奏することができる。
【0064】
第1に、輸送ロボット20のヘッド24にもうけた第1のパッド26および第2のパッド27を使い分けて、板状の材料13の吸着・輸送を行うことにより、重量が数十キログラムのコール板から、厚さが数十μmまでの板状の材料を、1枚づつ吸着して輸送することができる。
【0065】
第2に、第1のパッド26が取り付けられた下段テーブル25Bを昇降させることで、第1のパッド26または第2のパッド27のいずれかを下方に突出させることができる。従って、第1のパッド26と第2のパッド27の切替を容易に行うことができる。
【0066】
第3に、多数個の第1のパッド26を用いて、厚さが数十μm程度の薄い板状の材料13を吸着するので、パッドの吸引圧による板状の材料13の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸送ロボットが有するヘッドの斜視図(A)、輸送ロボットの概略図(B)である。
【図2】本発明の製造装置の平面図(A)、断面図(B)である。
【図3】本発明の製造装置が有するヘッドの断面図(A)、断面図(B)である。
【図4】本発明の製造装置が有するヘッドの断面図(A)、断面図(B)である。
【図5】本発明の回路装置の製造方法を示す工程図(A)、平面図(B)である。
【図6】従来の板状の材料の積層方法を示す図である。

Claims (16)

  1. ヘッドと、
    前記ヘッドに取り付けられた吸着力の小さい第1のパッドと、
    前記ヘッドに取り付けられた前記第1のパッドよりも吸着力の大きい第2のパッドとを有し、
    輸送される板状の材料の重量に応じて、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを用いて、前記板状の材料を輸送することを特徴とする輸送ロボット。
  2. 前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、吸引力により前記板状の材料を吸着することを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  3. 前記第1のパッドは、前記ヘッドに設けた板状の下段テーブルに固定されていることを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  4. 前記第2のパッドは、前記ヘッドに設けた上段テーブルに固定されていることを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  5. 前記下段テーブルは昇降可能であり、前記下段テーブルが昇降することにより、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを下方に突出させることを特徴とする請求項3記載の輸送ロボット。
  6. 前記ヘッドは、前記板状の材料の端部に対応する箇所にシリンダを有することを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  7. 前記ヘッドは傾斜手段を有し、前記第1のパッドで前記板状の材料を吸着した後に、前記傾斜手段によりヘッド全体を傾斜させることで、前記板状の材料が同伴するのを防止することを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  8. 前記第2のパッドの個数は、前記第1のパッドの個数よりも多いことを特徴とする請求項1記載の輸送ロボット。
  9. ヘッドと、
    前記ヘッドに取り付けられた吸着力の大きい第1のパッドと、
    前記ヘッドに取り付けられた前記第1のパッドよりも吸着力の小さい第2のパッドとを有し、
    輸送される板状の材料の剛性に応じて、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを用いて、前記板状の材料を輸送することを特徴とする輸送ロボット。
  10. 前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、吸引力により前記板状の材料を吸着することを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
  11. 前記第1のパッドは、前記ヘッドに設けた板状の下段テーブルに固定されていることを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
  12. 前記第2のパッドは、前記ヘッドに設けた上段テーブルに固定されていることを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
  13. 前記下段テーブルは昇降可能であり、前記下段テーブルが昇降することにより、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドのいずれかを下方に突出させることを特徴とする請求項11記載の輸送ロボット。
  14. 前記ヘッドは、前記板状の材料の端部に対応する箇所にシリンダを有することを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
  15. 前記ヘッドは傾斜手段を有し、前記第1のパッドで前記板状の材料を吸着した後に、前記傾斜手段によりヘッド全体を傾斜させることで、前記板状の材料が同伴するのを防止することを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
  16. 前記第2のパッドの個数は、前記第1のパッドの個数よりも多いことを特徴とする請求項9記載の輸送ロボット。
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