JP2004173623A - Pcrクランピング法 - Google Patents

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Abstract

【課題】標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法の実施にあたり、PNAプローブによるクランピング効果を充分に発揮させ、高感度で判定をより正確に行うことができる方法を提供する。
【解決手段】標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;該標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマー;及びミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遺伝子DNAの一塩基変異多型(single nucleotide polymorphisms:SNPs)を検出するためのPCRクランピング法(PCR Clamping)に関し、より具体的には改良されたPCRクランピング法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、遺伝子における一塩基変異多型が注目され、一塩基変異多型の分析が、疾患遺伝子の探索、疾患や薬剤感受性と一塩基変異多型との関連などの研究に進み、さらには、テーラーメード医療を可能とすることが期待されている。
このような注目の中、遺伝子DNAの一塩基変異多型を検出する方法が種々検討され、提案されている。
PCRクランピング法は、PNA(ペプチド核酸:PNAはPeptide Nucleic Acid又はPolyamide Nucleic Acidの略)をプローブとして用い、該PNAプローブをPCR法(Polymerase Chain Reaction)に組み合わせた方法である。PNA−directed PCR clampingとも称される。PNA骨格構造は、一般的に N−(2−アミノエチル)−グリシン分子によってらせん構造を有し、塩基と骨格構造との立体的距離及び結合している各塩基間の距離は、DNAにおけるそれらと同じになるように設計されている。このことは、DNAが相補的なDNA及びRNAに対し、DNA/DNA及びDNA/RNA二重鎖を形成するように、PNAも相補的なDNA及びRNAに対し二重鎖を作ることを意味する。PNA/DNAの結合はDNA/DNAの結合よりも強いことが、融解温度(Tm)の測定結果から明らかになっており、PNAのTmの高さ、結合力の強さを利用した応用が注目されている。
【0003】
上記PCRクランピング法の応用の一つとして、一塩基変異多型分析が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
これは、PNAが有する相補的なDNAへの高い結合力の強さと、一塩基でも異なればミスマッチの結合を起こしにくい、すなわち高い特異性と、PNAがDNAポリメラーゼにとってプライマーとして機能しないという性質を利用したもので、PNAがPCR反応の阻害剤となる。
PCRクランピング法による一塩基変異多型分析の概略的な一具体例では、ワイルドタイプPNAプローブとミュータントタイプDNAプライマーセットを用いて、ワイルドタイプDNAとミュータントタイプDNAが共存する検体をPCR法に供した場合、ワイルドタイプPNAプローブとミュータントタイプDNAプライマーセットの一方とが拮抗し、ワイルドタイプPNAがワイルドタイプDNAにハイブリダイズしてワイルドタイプDNA断片の増幅は阻害され、一方ミュータントタイプDNAプライマーセットによってミュータントタイプDNA断片の増幅が進行し、結果的にミュータントタイプDNAの増幅断片のバンドのみが電気泳動法にて確認されることが意図される。この具体例におけるメカニズムを図1に表す。
【0004】
しかしながら、PCRクランピング法には以下の欠点がある:▲1▼PCRクランピング法の実験系デザインには汎用的かつ明確な規則がなく、研究者によって試行錯誤の結果、最適な実験系を作らねばならず、費用と時間を要する、▲2▼検体中における遺伝子の濃度が一定以上の高濃度になった場合に、PNAプローブによるクランピング効果が充分でなくなり、PCRクランピング法の原理に基づいて増幅がブロックされるはずのタイプのDNA断片が増幅されてしまう、という不都合が生じる。
特に上記▲2▼の問題点について、改良する手段が研究者に強く求められている。
【0005】
【非特許文献1】
ヘンリック オーラム(Henrik Orum)著、「PCR CLAMPING」Peptide Nucleic Acids: Protocols and Applications, Horizon Scientific Press, Wymondham, UK. 1999, p.193−200
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法の実施にあたり、PNAプローブによるクランピング効果を充分に発揮させ、高感度で判定をより正確に行うことができる方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来のPCRクランピング法が、PCR反応液中に一組のプライマーセット(アッパープライマーとロワープライマー)とPNAプローブを添加して実施するのに対し、更なるプライマーを加えてPCR法を実施することにより、検体が高濃度の遺伝子を含有するときにもPNAプローブによるクランピング効果を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の方法によれば、PNAプローブによるクランピング効果が充分に発揮されることから、上記プライマーセットによって増幅されることが意図されるタイプの遺伝子断片が、検体中における当該タイプの遺伝子の存在又は非存在に応じて正確に、増幅する又は出現しないという結果をもって判定することができる。
【0008】
本明細書中において一塩基変異多型とは、一塩基のみが変異している多型のほかに、一塩基変異が2ヶ所以上存在する、すなわち2塩基以上で数塩基までの変異による多型や、一塩基以上数塩基までの挿入や欠損による多型を包含する。従って本明細書中で一塩基変異多型部位とは、一塩基のみが変異している部位、一塩基変異が2ヶ所以上存在する部位、一塩基以上数塩基までの挿入や欠損がある部位を包含して意味する。
【0009】
従って本発明は、次の態様のPCRクランピング法に向けられている。
(1)標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;該標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマー;及びミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
(2)標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するアッパープライマー、及び該アッパープライマーとプライマーセットをなすロワープライマー;及びミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるアッパープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
【0010】
(3)標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子のミュータントタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマー;及びワイルドタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
(4)標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するアッパープライマー、及び該アッパープライマーとプライマーセットをなすロワープライマー;及びワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるアッパープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
【0011】
本明細書中で、ワイルドタイプ型とミュータントタイプ型とは、標的遺伝子の一塩基変異多型が野生型と変異型とに分類できる場合には前者と後者をそれぞれ表し、標的遺伝子の一塩基変異多型が野生型と変異型とに分類して呼称できないときには、一塩基変異多型の一方と他方をそれぞれ表すものとする。
上記(1)の態様で説明すると、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブと、該標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマーとは拮抗するものである。上記の「該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列」とは、該一塩基変異多型部位を含まない部分配列であってもよい。上記の「該一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列」は、PNA配列よりも1〜20塩基ほど、標的とする配列の3′側へずれた範囲へセッティングすることがより望ましく、特に、PNA配列と部分的に重複している配列が好ましい。
上記(2)〜(4)の態様についても同様のことがいえる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
先ず、従来のPCRクランピング法における、一般的なプライマーセットとPNAプローブのデザインの一例を概略的に図2に示す。図2は、アルデヒドデヒドロゲナーゼII(ALDH2)のエクソン12にある一塩基変異多型(G又はA)を用いて示した。
本発明では、従来のPCRクランピング法に、更なる追加のプライマーを用いてPCRクランピング法を実施する。本発明のPCRクランピング法におけるPNAプローブ、プライマーセット及び更なるプライマーのデザインの一例を、図3に概略的に示す。図3も、アルデヒドデヒドロゲナーゼII(ALDH2)のエクソン12にある一塩基変異多型(G又はA)を用いて示したものである。図2及び図3で、ロワープライマーは“Loプライマー”と示され、アッパープライマーは“Upプライマー”と示される。図3で、本発明で更に用いるロワープライマーを“Loプライマー2”と示す。図3に本発明の上記態様(1)又は(3)を当てはめると、図3中の“Loプライマー2”は、「ミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマー」又は「ワイルドタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマー」である。
【0013】
本発明を上記態様(1)の例で、図2及び図3を参照しながら以下に説明する。検体中にワイルドタイプ型の遺伝子が存在するとき、標的遺伝子のワイルドタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型相当部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブを使用すれば、本来であれば、ワイルドタイプ型の遺伝子が完全にブロックされる。よって、上記PNAプローブと拮抗するミュータントタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマーとのセット(図2及び図3の“Loプライマー”と“Upプライマー”とのプライマーセット)によって、ワイルドタイプ型の遺伝子断片が増幅されることはない。したがって、PCRの結果、図3で示した317塩基対(317bp)の断片が発生が確認されたとき、即、検体中にミュータントタイプ型遺伝子DNAが存在するという判定をすることができるのが理想である。
ところが、検体中にワイルドタイプ型の遺伝子が比較的多量に存在するとき、上記のプライマーセットによって実際、ワイルドタイプ型の遺伝子断片の増幅が起こる。これでは、検体中におけるミュータントタイプ型遺伝子の存在、不存在にかかわらず、上記プライマーセットによって増幅された長さの断片が現れることになり、図3で示した317bp断片の増幅が電気泳動によるバンドとして確認されたときに、それがワイルドタイプ型遺伝子に由来するものか又はミュータントタイプ型遺伝子によるものか、この結果からは判断できず、結局、検体中におけるミュータントタイプ型遺伝子の存在、不存在が判定できない。
【0014】
本発明では、さらに追加のプライマー、すなわち図3で示す“Loプライマー2”を存在させることによって、ワイルドタイプ型遺伝子に由来する図3で示した317bpの断片の増幅を阻害することができることを見出した。そして、結果として317bpの断片の増幅の有無が、検体中におけるミュータントタイプ型遺伝子の存在、不存在の判定につながる。PCRの結果、ワイルドタイプ型遺伝子に由来する図3に例示する598bpの断片の増幅が起こったとしても、上記プライマーセットによる特定の長さの断片、すなわち317bpの増幅断片の有無によってミュータントタイプ型遺伝子の存在、不存在が判定できることは、たいへんに有利である。
本発明の上記態様(2)〜(4)でも同様のことがいえる。
本発明の方法を適用することができる標的遺伝子は、特に制限されるものではない。
【0015】
次に、PCRクランピング法におけるPNAプローブ及びプライマーについて説明する。
PNAとDNAの構造比較は、以下に示すとおりである。PNAは、4種の各塩基が結合しているPNAモノマーのオリゴマー又はポリマーである。すなわち、PNAモノマーは塩基とN−(2−アミノエチル)−グリシンという二つの部分からなり、これが一つのユニットとして繰り返されてPNAとなる。そしてPNAにおけるモノマーは、以下に示すように塩基に応じて4種類となる。
【0016】
【化1】
Figure 2004173623
【化2】
Figure 2004173623
【0017】
本発明において使用するPNAプローブは常法によって製造することができる。PNAの結合の強さはアンチパラレルの相補的塩基配列のセッティングで最大となる。従って、PNAプローブは標的とするDNA配列に対して、以下のようなアンチパラレルの相補的塩基配列をセッティングすることが好ましい。
Figure 2004173623
PNAプローブの長さは12〜18塩基が適当であり、好ましくはそのTm値が65〜75℃のものである。また、標的とする配列に対してPNAプローブをセッティングする位置は、標的とする一塩基変異多型部位がPNAプローブのほぼ中央に相当するようにすればよい。
【0018】
本発明で用いるプライマーは通常DNAである。
図3で“Loプライマー”と“Upプライマー”として例示するプライマーセットにおけるプライマーについて、その長さは14〜24塩基が適当であり、好ましくはそのTm値がPNAプローブのTm値よりも低い方が望ましい。該プライマーセットによって増幅が意図される断片の長さは100〜1000塩基対の範囲が適当である。
PNAプローブと拮抗するロワープライマー(上記態様(1)及び(3))或いはPNAプローブと拮抗するアッパープライマー(上記態様(2)及び(4))の配列は、標的とする配列の一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列であってもよいし、あるいは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列であってもよく、すなわち該一塩基変異多型部位を含まない部分配列の逆相補鎖配列であってもよい。PNAプローブと拮抗するロワープライマー又はアッパープライマーが、その標的とする配列の一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列であるとき、その標的とする配列の一塩基変異多型部位の3′側近傍の部分配列の逆相補鎖配列であることが好ましい。
PNAプローブと拮抗するロワープライマー或いはアッパープライマーをセッティングする位置は一般的に、PNA配列と比べて1〜20塩基ほど、標的とする配列の3′側へずれた範囲が望ましく、特にPNA配列と部分的に重複していることが好ましい。
図3では、PNAプローブと拮抗する“Loプライマー”(ロワープライマー)が、PNA配列よりも多少、標的とする配列の3′側へずれてセットされている状態を表している。
なお、ALDH2のエクソン12にある一塩基変異多型(G又はA)を検出するために用いるPCRクランピング用の配列の一例を、テンプレート配列とともに図4に示す。
【0019】
図3で“Loプライマー2”と例示した、本発明で用いる更なるプライマーは、その長さが14〜24塩基が適当であり、“Loプライマー”(ロワープライマー)のTm値と同程度のTm値であることが望ましい。当該更なるプライマーをセッティングする位置は、後に用いる電気泳動法が識別することができるバンドの長さに応じて変動させることができるが、PNAプローブのセッティング位置から100〜1500塩基の範囲で離れていてもよく、好ましくは300〜1000塩基の範囲で離れているものである。
【0020】
PCRクランピング法におけるPCR反応条件は、アニーリングステップが2工程からなり、先ず比較的高温でPNAプローブのアニーリングステップ、次に比較的低温でDNAプライマーのアニーリングステップを設ける他は、常法の条件に従って行うことができる。
使用するDNAポリメラーゼとしては、耐熱性DNAポリメラーゼであれば特に制限されず、Taq DNAポリメラーゼやExTaq DNAポリメラーゼを使用することができる。一般に、突然変異の導入を防ぎ最終産物の収量を増加させるために、ExTaq DNAポリメラーゼを使用するのが好ましい。その他の耐熱性DNAポリメラーゼを使用することも可能であって、例えば Pfu turbo(Stratagene製)などを使用することができる。
PCR反応溶液の組成は常法に従うことができる。例えば、反応時 0.2〜0.3 mM デオキシヌクレオチド3リン酸、0.1〜10pmol/μl 各プライマー、0.5〜50pmol/μl PNAプローブ、0.1〜0.5unit/μl ExTaq DNA ポリメラーゼ(TaKaRa社)、酵素に添付されているバッファー 1/10量程度である。
【0021】
テンプレートDNAとしては、例えば一塩基変異多型部位を含むDNA配列を有するプラスミドを用いることができ、該プラスミドは適当なものを選択することができ、市販のプラスミド調製キットを用いることが可能である。クローニングした大腸菌を増菌培養し、集菌後、溶菌操作によりプラスミドを含むDNAを抽出する。逆相担体にそのDNA抽出液を保持させ、各溶出バッファーを用いてプラスミドDNAを選択的に分離精製する。
PCR産物をテンプレートとすることもでき、市販のPCR産物精製キットを用いることが可能である。PCR反応液をバッファーで平衡化した逆相担体に保持させ、各溶出バッファーを用いてPCR産物を選択的に分離精製する。
また、ゲノムDNAをテンプレートとすることもでき、市販のDNA抽出キットを用いることが可能である。培養細胞、血液、口内膜、髪の毛、爪などからその組織や細胞を回収し細胞膜を溶解してDNAを抽出する。逆相担体にそのDNA抽出液を保持させ、各溶出バッファーを用いてゲノムDNAを選択的に分離精製する。
反応溶液におけるテンプレートDNA溶液は、1/20〜1/10量ほどが適当である。また、検体中におけるテンプレートDNA濃度はコピー数10以上が適当であり、少なくとも10程度まで問題ない。
【0022】
PCRクランピング法におけるPCR反応の各ステップの反応時間、温度、サイクル数は適宜選択できる。変性ステップは、2本鎖DNAを1本鎖へと変性させるのに十分な条件を適宜選択し実施すればよい。一般に変性ステップは90〜98℃ 10〜60秒の範囲で実施され、さらに92〜96℃ 20〜40秒がより好ましい。
変性のステップに続くアニーリングステップは、PNAプローブアニーリングのため一般的に60〜80℃ 30〜90秒、より好ましくはPNAプローブのTm値−5℃で設定し、次にDNAプライマーのアニーリングのため一般的に45〜60℃ 30〜90秒、より好ましくはそのTm値付近の温度である。さらに伸長ステップは一般的に68〜72℃ 30〜120秒である。サイクル数は一般に25〜40の範囲である。
図5に、PCRクランピング法の典型的な反応条件を図示する。
【0023】
こうして増幅された断片は、アガロースゲル電気泳動やポリアクリルアミドゲル電気泳動などで解析することができる。具体的には電気泳動後、適当な色素などでDNAを染色し、UVで写真撮影などを行うことができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例をもって、本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
〔参考例〕
アルデヒドデヒドロゲナーゼII(ALDH2)の一塩基変異多型の検出を従来のPCRクランピング法で実施した。
ALDH2の一塩基変異多型部位(変異点):114(G又はA)
ALDH2の該一塩基変異多型部位を含む部分的な配列は、図4の上部に示したとおりである。
材料の調製
以下のDNAプライマーセット及びPNAプローブを用意した。
[G型検出用プライマーセット(G)及びPNAプローブ(A)]
ロワープライマー 5′cagttttcac ttagtgtat 3′(20mer)(配列番号1)
アッパープライマー 5′atctcttgaa ccccagatg 3′(19mer) (配列番号2)
PNAプローブ(A) N′ttcacttag tgtatgc (17mer)
[A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)]
ロワープライマー 5′cagttttcac ttagtgtat 3′(20mer)(配列番号3)
アッパープライマー 5′atctcttgaa ccccagatg 3′(19mer) (配列番号4)
PNAプローブ(G) N′ttcacttag tgtatgc (17mer)
これらのプライマーセットで増幅される断片の長さは317塩基対である。
【0025】
テンプレートDNAには、pGEM(登録商標)−T Easy Vector(3015bp)プラスミドを用いて、ALDH2のG型及びA型のそれぞれの配列をインサートしたものを用意した。ここで用いたpGEM−T Easy Vectorを図6に示し、及びG型及びA型の各々のインサート配列を図7及び図8に示す(配列番号5及び6参照)。図7及び8で四角で囲んだ箇所が一塩基変異多型部位である。
【0026】
PCR法の実施
以下のPCR条件を採用した。
Figure 2004173623
なお、この反応系においてテンプレートが10コピー存在する。
PCRサイクル条件は以下のとおりに行った。
96℃ 2分→{96℃ 30秒、75℃ 30秒、50℃ 30秒、72℃ 1分}×40サイクル→72℃ 5分
PCRを行った後、反応液5μlを3%アガロースゲル電気泳動に供した。その後、エチジウムブロマイドによりDNAを染色してUVで写真撮影した。結果を図9に示す。図9中、用いたテンプレートDNA、プライマーセット、PNAプローブは上記説明に従ってG、Aにて表した。
図9に示された結果より、PNAプローブがクランピング効果を発揮していることが判る。
【0027】
次にG型テンプレートDNAを用い、反応系におけるテンプレート量を10〜10コピー数で変動させた他は、上記と同様にPCR法を実施した。結果を図10に表す。図10の結果から、A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)を用いたとき、本来ならば317塩基対の増幅断片のバンドは観察されないはずであるが、テンプレート量が多くなってくるとその増幅断片のバンドが観察される。10コピー数ではバンドがわずかに観察され、10〜10コピー数でははっきりとバンドが認められる。
【0028】
【実施例1】
本発明に従って、上記参考例で使用した[G型検出用プライマーセット(G)及びPNAプローブ(A)]及び[A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)]を用い、以下の、更なるロワープライマー(プライマー2)を添加して、G型テンプレートDNAを用いテンプレート量を10〜10コピー数で変動させ、PCRクランピング法を実施した。
更なるロワープライマー(プライマー2)の配列:
5′aggcttaaaa tgggaaatta gtag 3′(24mer)(配列番号7)
使用したアッパープライマーとプライマー2によって増幅される断片の長さ(以下、産物長ともいう)は598塩基対である。
【0029】
Figure 2004173623
PCRサイクル条件及びその後の分析方法は上記参考例と同様である。
【0030】
結果を図11に示す。図11に示された結果から、A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)を用いたときテンプレート量が多くなっても(10〜10コピー数)、317塩基対のバンドは発現しないことが明らかである。よって、テンプレート量が多いときでも、プライマー2を添加することによってPNAプローブのクランピング効果を充分に発揮させることができる。
【0031】
【実施例2】
実施例1と同じ操作を行い、但し、更なるロワープライマー(プライマー2)の濃度を変動させてPCRクランピング法を実施した。なお、テンプレートとしては、G型テンプレートDNAを10コピー数で用いた。
Figure 2004173623
PCRサイクル条件及びその後の分析方法は上記参考例と同様である。
結果を図12に示す。図12の結果から、A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)を用いたとき、プライマー2の濃度が比較的高いと317塩基対のバンドが現われないが、プライマー2の濃度が低いと317塩基対のバンドが観察される傾向がある。このことから、テンプレート量に応じて、PNAプローブのクランピング効果が十分に発揮されるようにプライマー2の濃度を変動させることが望ましいと考えられる。
【0032】
【実施例3】
実施例1と同様に操作を行い、但し、更なるロワープライマー(プライマー2)をセッティングする位置を変動させ種々のプライマー2を使用して、PCRクランピング法を実施した。なお、テンプレートとして、G型テンプレートDNAを10コピー数で用いた。
用いた各種プライマー2▲1▼〜▲8▼の塩基配列と産物長を以下の表1にまとめる。
【0033】
【表1】
Figure 2004173623
【0034】
Figure 2004173623
PCRサイクル条件及びその後の分析方法は上記参考例と同様である。
結果を図13に示す。図13の結果から、A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)を用い、さらに各種プライマー2を用いることによって、317塩基対のバンドが発現せず、PNAプローブのクランピング効果を充分に発揮させることができることが判る。
【0035】
【実施例4】
更なるロワープライマー(プライマー2)によるクランピング効果の向上の観察
G型テンプレートDNAを10コピー数で用い、上記参照例で説明した[A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)]を用い、但し、そのロワープライマーをセッティングする位置を多少変動させた各種のロワープライマーを用い、及びプライマー2を不使用或いは使用してPCRクランピング法を実施し、両者を比較した。なお、用いたプライマー2は実施例1で用いたのと同じである。
【0036】
Figure 2004173623
PCRサイクル条件及びその後の分析方法は上記参考例と同様である。
なお、使用したロワープライマーNo.1〜16の各塩基配列と、テンプレートの部分配列、PNAプローブとの位置関係を表2に表す。
【0037】
【表2】
Figure 2004173623
【0038】
上記ロワープライマーNo.1〜13、15及び16の配列をそれぞれ、配列番号15〜29とする。
結果を図14に示す。図14中、プライマー2不使用及び使用をそれぞれ、「プライマー2−」(上段)及び「プライマー2+」(下段)と表す。PNAプローブと拮抗するロワープライマーの配列によって、PCRクランピング効果が異なるが、プライマー2を添加してPCRクランピング法を行うことによって、317塩基対前後の断片のバンドは観察されず、クランピング効果が向上していることが判る。
【0039】
【実施例5】
使用するPCR装置として機種A〜Dの4種を用いて、テンプレートとしてG型テンプレートDNAを10コピー数で用い、PNAプローブの使用の有無、更なるプライマー(プライマー2)の使用の有無により条件を変えて、PCR法を行った。
使用したプライマーセット、プローブ、プライマー2は以下のとおりである。
[A型検出用プライマーセット(A)及びPNAプローブ(G)]
ロワープライマー 5′cagttttcac ttagtgtat 3′(20mer)(配列番号3)
アッパープライマー 5′atctcttgaa ccccagatg 3′(19mer)(配列番号4)
PNAプローブ(G) N′ttcacttag tgtatgc (17mer)
更なるロワープライマー(プライマー2)の配列:
5′aggcttaaaa tgggaaatta gtag 3′(24mer)(配列番号7)
【0040】
Figure 2004173623
PCRサイクル条件及びその後の分析方法は上記参考例と同様である。
【0041】
結果を図15に示す。図15中、PNAプローブの使用及び不使用を+、−で表し、プライマー2の使用及び不使用もまた+、−で表す。機種Dの3レーンに見られるようにPCR装置の機種によってはPNAプローブによるクランピング効果が充分でない(317塩基対のバンドがかすかに観察される)。しかしながら、プライマー2を添加してPCRクランピング法を実施することによって、317塩基対のバンドが観察されず、クランピング効果が発揮される(機種Dの4レーン参照)。
【0042】
【実施例6】
大腸菌遺伝子(大腸菌由来のβ−glucuronidaseの部分配列)における一塩基変異多型の検出をPCRクランピング法により実施した。
大腸菌遺伝子の一塩基変異多型部位(変異点):1558(野生型:T、変異型:G)
材料
以下のDNAプライマーセット、PNAプローブ及び更なるアッパープライマー(プライマー2という)を準備した。
[変異型検出用プライマーセット]
アッパープライマー(1552):5′aattgacag cgttg 3′(15mer)(配列番号30)ロワープライマー(2055):5′agacgcgtgg ttac 3′(14mer)(配列番号31)
このプライマーセットで増幅される断片の長さは約500塩基対(ターゲットト増幅バンドサイズ約500bp)である。
PNAプローブ(1552):5′aattgacag cgttg 3′(15mer)
【0043】
更なるアッパープライマー(プライマー2)
▲1▼1447:5′tcttaatgag gagt 3′(14mer)(配列番号32)
▲2▼1363:5′tctcttccat gggt 3′(14mer)(配列番号33)
▲3▼1294:5′ctatatcacg ctgt 3′(14mer)(配列番号34)
▲4▼1224:5′tacgctcgaa cgaa 3′(14mer)(配列番号35)
▲5▼1094:5′gggctggtga taac 3′(14mer)(配列番号36)
▲6▼1062:5′taaccgcatc ctga 3′(14mer)(配列番号37)
【0044】
テンプレート:
野生型の1010コピー/μlのPCR産物を10〜10倍希釈して、1010〜10コピー/μlまで段階的に準備した。
テンプレート配列は以下のとおりである(配列番号38参照)。
1021 gtcgtttgct cagggattac gcgcgatgat tggcggtatc ttaaccgcat cctga→ttctc
1081 tctctttttc ggcgggctgg tgataac→tgt gcccgcgttt catatcgtaa tttctctgtg
1141 caaaaattat ccttcccggc ttcggagaat tccccccaaa atattcactg tagccatatg
1201 tcatgagagt ttatcgttcc caatacgctc gaacgaa→cgt tcggttgctt attttatggc
1261 ttctgtcaac gctgttttaa agattaatgc gatctatatc acgctgt→ggg tattgcagtt
1321 tttggttttt tgatcgcggt gtcagttctt tttatttcca tttctcttcc atgggt→ttct
1381 cacagataac tgtgtgcaac acagaattgg ttaactaatc agattaaagg ttgaccagta
1441 ttattatctt aatgaggagt→cccttatgtt acgtcctgta gaaaccccaa cccgtgaaat
1501 caaaaaactc gacggcctgt gggcattcag tctggatcgc gaaaactgtg g AATTGAT(g)CA
1561 GCGTTG→gtgg gaaagcgcgt tacaagaaag ccgggcaatt gctgtgccag gcagttttaa
1621 cgatcagttc gccgatgcag atattcgtaa ttatgcgggc aacgtctggt atcagcgcga
1681 agtctttata ccgaaaggtt gggcaggcca gcgtatcgtg ctgcgtttcg atgcggtcac
1741 tcattacggc aaagtgtggg tcaataatca ggaagtgatg gagcatcagg gcggctatac
1801 gccatttgaa gccgatgtca cgccgtatgt tattgccggg aaaagtgtac gtatcaccgt
1861 ttgtgtgaac aacgaactga actggcagac tatcccgccg ggaatggtga ttaccgacga
1921 aaacggcaag aaaaagcagt cttacttcca tgatttcttt aactatgccg ggatccatcg
1981 cagcgtaatg ctctacacca cgccgaacac ctgggtggac gatatcaccg tggtgacgca
2041 tgtcgcgcaa gact←gtaacc acgcgtctgt tgactggcag gtggtggcca atggtgatgt
上記配列中、下線部分の上の6箇所は各プライマー2の配列に相当するところであり、最下段の下線部はロワープライマーがハイブリダイズする箇所である。さらに大文字部分はアッパープライマー及びPNAプローブの配列に相当するところである。
上記の方法をイメージすると次のようになる。
【0045】
【化3】
Figure 2004173623
【0046】
なお、上記イメージの中で、”Up”とはアッパープライマーを意味し、”Lo”とはロワープライマーを意味する。
PCR法の実施
Figure 2004173623
PCR温度条件は以下のとおりである。
96℃ 1分→{96℃ 1分→57℃ 1分→45℃ 30秒→67℃ 1分}×30サイクル→4℃
PCRを行った後、反応液5μlを3%アガロースゲル電気泳動に供した。その後、エチジウムブロマイドによりDNAを染色してUVで写真撮影した。
【0047】
上記の材料と方法により、以下の実験を行った。
[実験1]
テンプレートとして10コピー/μlを用い、プライマー2として▲1▼〜▲6▼を用い、また、プライマー2を用いないものをコントロールとして、PCRクランピング法を実施した。
その結果を図16に示す。図16の結果から、各種プライマー2を使用することで、500bpのバンドは観察されずクランピング効果が発揮されていることが判る。他方、コントロール(Cont.)ではPCRクランピング効果が発揮されていないことが判る。
[実験2]
テンプレート濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲1▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図17に示す。図17の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
[実験3]
テンプレート濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲2▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図18に示す。図18の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
【0048】
[実験4]
テンプレートとして濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲3▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図19に示す。図19の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
[実験5]
テンプレートとして濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲4▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図20に示す。図20の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
[実験6]
テンプレートとして濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲5▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図21に示す。図21の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
[実験7]
テンプレートとして濃度を10〜10コピー/μlで変動させ、プライマー2として▲6▼を用いてPCRクランピング法を実施した。結果を図22に示す。図22の結果からクランピング効果が発揮されていることが判る。
【0049】
【発明の効果】
本発明のPCRクランピング法によれば、たとえ検体中にテンプレートDNAが比較的高濃度で存在したとしても、PNAプローブによるクランピング効果を充分に発揮させることができ、その結果、標的遺伝子DNAにおける一塩基変異多型の存在を、高感度でより正確な判定をもって検出することができる。
【0050】
【配列表】
Figure 2004173623
Figure 2004173623
Figure 2004173623
Figure 2004173623
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Figure 2004173623
Figure 2004173623
Figure 2004173623
Figure 2004173623

【図面の簡単な説明】
【図1】PCRクランピング法の原理を概略的に表す図である。
【図2】従来のPCRクランピング法における、一般的なプライマーセットとPNAプローブのデザインの一例を概略的に表す図である。
【図3】本発明のPCRクランピング法におけるPNAプローブ、プライマーセット及び更なるプライマーのデザインの一例を概略的に表す図である。
【図4】ALDH2のエクソン12にある一塩基変異多型(G又はA)を検出するために用いるPCRクランピング法用の配列の一例を表す図である。
【図5】PCRクランピング法の典型的な反応条件を示す図である。
【図6】本発明の実施例でPCRクランピング法のテンプレートに用いたベクター配列を表す図である。
【図7】本発明の実施例でPCRクランピング法のテンプレートに用いた、ALDH2の一塩基変異多型G型のインサート配列である。
【図8】本発明の実施例でPCRクランピング法のテンプレートに用いた、ALDH2の一塩基変異多型A型のインサート配列である。
【図9】参考例において従来の典型的なPCRクランピング法を実施し、電気泳動により検出されたバンドを表す写真である。
【図10】参考例においてテンプレート量を変動させてPCRクランピング法を実施した後、電気泳動により検出されたバンドを表す写真である。
【図11】本発明に従ったPCRクランピング法を実施した後、電気泳動により検出されたバンドを表す写真である。
【図12】本発明に従ったPCRクランピング法を実施した後、電気泳動により検出されたバンドを表す写真である。
【図13】本発明に従ったPCRクランピング法を実施した後、電気泳動により検出されたバンドを表す写真である。
【図14】本発明に従って更なるプライマー(プライマー2)を用いることによる作用効果を表す写真である。
【図15】PCR装置として種々の機種を用いたときの、本発明に従って更なるプライマー(プライマー2)を用いることによる作用効果を表す写真である。
【図16】実施例6の[実験1]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図17】実施例6の[実験2]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図18】実施例6の[実験3]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図19】実施例6の[実験4]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図20】実施例6の[実験5]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図21】実施例6の[実験6]の結果を表す電気泳動の写真である。
【図22】実施例6の[実験7]の結果を表す電気泳動の写真である。

Claims (4)

  1. 標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;該標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマー;及びミュータントタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
  2. 標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するアッパープライマー、及び該アッパープライマーとプライマーセットをなすロワープライマー;及びミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるアッパープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
  3. 標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子のミュータントタイプ型のセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するロワープライマー、及び該ロワープライマーとプライマーセットをなすアッパープライマー;及びワイルドタイプ型のセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるロワープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
  4. 標的遺伝子DNAにおいて一塩基変異多型の存在を検出するためのPCRクランピング法であって、標的遺伝子DNAのミュータントタイプ型のアンチセンス鎖における一塩基変異多型部位を含む部分配列の逆相補鎖配列を有するPNAプローブ;標的遺伝子DNAのワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む部分配列もしくは該一塩基変異多型部位の近傍の部分配列の逆相補鎖配列を有するアッパープライマー、及び該アッパープライマーとプライマーセットをなすロワープライマー;及びワイルドタイプ型のアンチセンス鎖における該一塩基変異多型部位を含む該部分配列の3′側にある部分配列の逆相補鎖配列を有する更なるアッパープライマーを使用することを特徴とする、PCRクランピング法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016167317A1 (ja) * 2015-04-14 2016-10-20 凸版印刷株式会社 遺伝子変異の検出方法
CN107937505A (zh) * 2017-11-09 2018-04-20 上海赛安生物医药科技股份有限公司 Cyp2d6*10基因多态性检测体系及其试剂盒
WO2023013421A1 (ja) * 2021-08-03 2023-02-09 国立大学法人群馬大学 腫瘍マーカーca19-9によるがん診断の精度向上を目的とする血液型関連糖鎖遺伝子の迅速スクリーニングのための新規手法

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