JP2007282512A - セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途 - Google Patents

セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2007282512A
JP2007282512A JP2006109986A JP2006109986A JP2007282512A JP 2007282512 A JP2007282512 A JP 2007282512A JP 2006109986 A JP2006109986 A JP 2006109986A JP 2006109986 A JP2006109986 A JP 2006109986A JP 2007282512 A JP2007282512 A JP 2007282512A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polynucleotide
probe
seq
stranded dna
self
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006109986A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiya Hosomi
敏也 細見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arkray Inc
Original Assignee
Arkray Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arkray Inc filed Critical Arkray Inc
Priority to JP2006109986A priority Critical patent/JP2007282512A/ja
Publication of JP2007282512A publication Critical patent/JP2007282512A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】セルフアニーリング形成を阻害する方法を提供する。
【解決手段】前記セルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、前記セルフアニーリングを形成する相補配列のいずれか一方にハイブリダイズする阻害用ポリヌクレオチドを含むセルフアニーリング形成阻害剤を、セルフアニーリングを形成する二本鎖DNAを含有する試料に添し、加熱により前記二本鎖DNAを解離させる。ついで、前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる。本発明のセルフアニーリング形成阻害方法は、例えば、HBVのpreC領域におけるセルフアニーリングの形成を阻害できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルフアニーリング形成を阻害する方法であって、特に、B型肝炎ウイルスpreC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する方法およびそれに用いる阻害剤並びにその用途に関する。
B型肝炎ウイルス(以下、「HBV」ともいう)の感染症には、急性肝炎、劇症肝炎等の様々な病態があり、その病態の診断は、通常、HBVの増殖や活動性の指標となるHBe抗原およびその抗体等の測定により行われている。
しかしながら、HBe抗原が陰性化し、且つ、HBe抗体が陽性化したにも関わらず、ウイルスが高い活動状態にある症例や、再度HBe抗原が出現する症例等が報告されており、前述の抗原−抗体検査方法では、必ずしも肝炎の病態を把握できないことがあった。
HBe抗体陽性期のB型肝炎ウイルスには、preC領域における第1896番目および第1899番目の塩基Gに点突然変異(SNP)が生じる場合があることが明らかになっている。このうち1896番目の塩基GがAに変異すると、これを含むコドンがストップコドンに変化するため、HBe抗原を産生しなくなる。この知見から、これらの点変異が、HBe抗原が陰性化する原因と推測され、点突然変異の検出がB型肝炎の病態把握や予後の推定に有用であると考えられている。
このようなpreC領域の点突然変異の検出は、通常、PCR−ELMA法やPCR−RFLP法により行われているが、これらの方法は、操作が煩雑であり、また、再現性にも問題がある。そこで、予め増幅したDNAを鋳型とし、標識化したプライマーによりDNA合成を行った後、その合成したDNAをイムノクロマトグラフ等の分析方法により検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法によっても、以下のような問題が生じている。すなわち、HBVの二本鎖DNAを解離すると、解離した一本鎖DNAのpreC領域において強固なセルフアニーリングが形成されるため、preC領域(特に、前述の点突然変異を含む領域)にプライマーがハイブリダイズしにくいという問題である。このため、前述のように、予めDNAを増幅させるとしても、セルフアニーリングの形成が原因で、十分な増幅効率でPCRを行うことが困難である。また、点突然変異の検出には、操作や検出の容易性から、点突然変異を生じる領域とプローブとのハイブリダイゼーションを利用する方法や、点突然変異に特異的なプライマーを用いるASP−PCR等が一般的であるが、前述のようにセルフアニーリングが生じるとプローブやプライマーが結合できず、これらの方法が利用し難いという問題がある。
このような問題は、HBVに限らず、その他のセルフアニーリング形成領域における配列を検出する場合等においても生じる。
特開2005−87134号公報
そこで、本発明は、セルフアニーリング形成を阻害する方法の提供、特に、HBV preC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する方法およびそれに用いる阻害剤並びにその用途の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の阻害方法は、一本鎖DNAにおけるセルフアニーリング形成を阻害する方法であって、前記セルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、前記セルフアニーリングを形成する相補配列のいずれか一方にハイブリダイズする阻害用ポリヌクレオチドを含むセルフアニーリング形成阻害剤を、セルフアニーリングを形成する二本鎖DNAを含有する試料に添加する工程、加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含むことを特徴とする。
本発明のHBV DNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成阻害方法は、HBV二本鎖DNAを含有する試料に、preC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する下記(a)または(b)の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤を添加する工程、加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含むことを特徴とする。
(a)配列番号2から4のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)前記(a)の塩基配列において、1または数個の塩基が修飾され、または置換、付加若しくは欠失された塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、B型肝炎ウイルスDNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
本発明のHBV DNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する阻害剤は、下記(a)または(b)の阻害用ポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(a)配列番号2から4のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)前記(a)の塩基配列において、1または数個の塩基が修飾され、または置換、付加若しくは欠失された塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
本発明のハイブリダイズ方法は、HBV DNAのpreC領域における目的部位にプローブをハイブリダイズさせる方法であって、前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、HBV二本鎖DNAを含有する試料に、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプローブとを添加する工程、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プローブをそれぞれハイブリダイズさせる工程を含むことを特徴とする。
本発明の増幅方法は、HBV DNAのpreC領域における目的部位を、プライマーを用いて増幅させる方法であって、前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、HBV二本鎖DNAを含有する試料に、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプライマーとを添加する工程、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プライマーをそれぞれハイブリダイズさせる工程、および、前記プライマーを用いて前記目的部位の配列を増幅させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の検出方法は、Tm解析によりHBV DNAのpreC領域における点突然変異を検出する方法であって、プローブとして、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用し、本発明のハイブリダイズ方法により、HBV二本鎖DNAを解離し、解離した一本鎖DNAに前記標識化プローブおよび前記阻害用ポリヌクレオチドをそれぞれハイブリダイズさせる工程、前記一本鎖DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を加熱し、温度上昇に伴うシグナルの変動を測定する工程、シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および、前記Tm値から、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基における点突然変異の有無を決定する工程を含むことを特徴とする。
本発明のセルフアニーリング形成阻害方法よれば、前記阻害用ポリヌクレオチドが、セルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度でセルフアニーリング形成領域にハイブリダイズするため、前記セルフアニーリングの形成を阻害できる。このため、前記セルフアニーリング形成領域に検出目的の部位が存在する場合、そのような目的部位へのプライマーやプローブのハイブリダイズが困難であるという問題も解消される。このようにプライマーやプローブのハイブリダイズが容易になることから、例えば、PCRでの増幅効率の向上や、プローブの結合量が増加することによる分析精度や分析感度の向上も可能となる。
具体的には、本発明のセルフアニーリング形成阻害方法は、例えば、HBVのpreC領域におけるセルフアニーリングの形成を阻害できる。このため、従来の方法では、セルフアニーリングによって、HBV感染症に特異的な点突然変異が生じるpreC領域へのプライマーやプローブのハイブリダイズが困難であったが、そのような問題も解消される。したがって、本発明は、例えば、HBV感染症の診断等に極めて有効といえる。
本発明の阻害方法は、前述のとおり、一本鎖DNAにおけるセルフアニーリング形成を阻害する方法であって、前記セルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、前記セルフアニーリングを形成する相補配列のいずれか一方にハイブリダイズする阻害用ポリヌクレオチドを含むセルフアニーリング形成阻害剤を、セルフアニーリングを形成する二本鎖DNAを含有する試料に添加する工程、加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含むことを特徴とする。
本発明の阻害方法は、解離した一本鎖DNAがセルフアニーリングを形成する領域を含むものであればどのようなものにでも使用できる。前記セルフアニーリングを形成する領域としては、例えば、HBVのpreC領域、tRNAのクローバーリーフ構造、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノム上のパッケージングシグナル領域、枯草菌のHutオペロンのステムループ構造等があげられる。
以下に、HBVのpreC領域を例にあげて、本発明のセルフアニーリング形成阻害方法およびそれに用いる阻害剤並びにその用途について詳細に説明する。
本発明の阻害剤は、前述のように、HBV DNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する阻害剤であって、下記(a)または(b)の阻害用ポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(a)配列番号2から4のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)前記(a)の塩基配列において、1または数個の塩基が修飾され、または置換、付加若しくは欠失された塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
「セルフアニーリング」とは、同一DNA分子中に相補配列がある場合、この配列が対合して二本鎖DNAを形成することを意味し、これによって、同一分子内にヘアピン構造やヘアピンループ構造等が形成される。
本発明の阻害剤を用いれば、後述のように、HBVの二本鎖DNAを熱変性により一本鎖DNAに解離した後、徐々に冷却しても、preC領域においてHBVのセルフアニーリングが生じる前に、HBVの一本鎖DNAに前記阻害用ポリヌクレオチドがハイブリダイズする。このため、従来のようなHBV 一本鎖DNAのセルフアニーリング形成を阻害することができる。
前記(b)の阻害用ポリヌクレオチドは、一本鎖に解離されたHBVのDNAがセルフアニーリングするよりも高い温度において、HBVの一本鎖DNAにハイブリダイズするものであればよい。前記(b)の阻害用ポリヌクレオチドにおいて、置換、付加(または挿入)若しくは欠失される塩基の数は、特に制限されず、例えば、1個〜6個、好ましくは1個〜3個、より好ましくは1個である。また、修飾される塩基の数も、特に制限されず、例えば、1個〜20個、好ましくは1個〜10個、より好ましくは1個〜3個、さらにより好ましくは1個である。また、本発明における阻害用ポリヌクレオチドは、さらに、末端(例えば、3’末端)がさらにリン酸化されてもよい。
また、前記(a)および(b)の阻害用ポリヌクレオチド配列の他に、例えば、以下のポリヌクレオチドがあげられる。
(c)前記(a)の塩基配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングよりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
(d)前記(a)の塩基配列との相同性が90%以上の塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングよりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
前記ストリンジェントな条件とは、例えば、当該技術分野における標準の条件があげられるが、例えば、温度条件は、前記(a)の塩基配列のTm値の±5℃が好ましく、より好ましくは±2℃、さらに好ましくは±1℃である。条件の具体例としては、5×SSC溶液、10×Denhardt溶液、100μg/mLサケ精子DNAおよび1%SDS中、65℃でのハイブリダイゼーション、0.2×SSCおよび1%SDS中、65℃、10分の洗浄(2回)があげられる。また、相同性は、好ましくは95%以上、より好ましくは97.5%以上である。
前述のように、本発明における阻害用ポリヌクレオチドは、前記(a)のポリヌクレオチドに限られず、前記preC領域におけるセルフアニーリングよりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドであればよい。すなわち、本発明の阻害用ポリヌクレオチドは、例えば、そのTm値(Tm1)が、前記セルフアニーリングしたHBV一本鎖DNAのTm値(Tm2)よりも高いものであればよい。Tm1とTm2の差(Tm1−Tm2)は、特に制限されないが、好ましくは0〜55℃である。具体例として、配列番号2〜4の塩基配列からなる阻害用ポリヌクレオチドのTm値は、それぞれ、57.7℃、57.4℃、62.1℃であり、前記セルフアニーリングしたHBV一本鎖DNAのTm値(Tm2)は、40.9〜56.4℃である。なお、前記Tm値は、すべてMELTCALCソフトウエアにより算出したが、本発明においてTm値は、例えば、隣接法(Nearest Neighbor Method)によっても決定することができる。
阻害用ポリヌクレオチドのTm値(Tm1)は、例えば、ポリヌクレオチドの長さによって調節できる。すなわち、ポリヌクレオチドの長さが相対的に長い程、Tm値が上昇するため、より高温でのハイブリダイズが可能となる。したがって、例えば、前記(a)に示す配列番号2〜4のポリヌクレオチドよりもさらに長いポリヌクレオチドを設計すれば、Tm1とTm2の差(Tm1−Tm2)をより大きくすることができ、プローブとHBVとのハイブリダイズの温度も、より高い温度に設定できる。なお、このようにポリヌクレオチドの長さを伸長する際には、さらに伸長する領域の塩基配列が、配列番号1の塩基配列と相補的になるように設計することが望ましい。
また、阻害用ポリヌクレオチドの塩基配列に含まれるGC含量によっても、阻害用ポリヌクレオチドとHBV一本鎖DNAとのハイブリッド体のTm値(Tm1)を調節できる。すなわち、阻害用ポリヌクレオチドに含まれるGC含量が相対的に多い程、Tm値が上昇する。
本発明における前記阻害用ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列における第1855番目と第1858番目の塩基を含む部分配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドであることが好ましい。配列番号1は、HBV DNAの全配列を示すものであり、第1814番目から第1900番目の塩基配列がpreC領域に該当する。配列番号1における第1855番目および第1858番目の塩基は、それぞれ、HBV 一本鎖DNAがpreC領域においてセルフアニーリングした際に、HBVに特異的な点変異を生じる第1899番目および第1896番目の塩基に対応する塩基である。つまり、本発明における阻害用ポリヌクレオチドが、第1855番目および第1858番目の塩基を含む部分配列にハイブリダイズすることにより、点変異を生じる第1896番目および第1899番目の塩基がセルフアニーリングすることを防止できる。このため、後述するように第1896番目および第1899番目の塩基における点変異を検出するために、例えば、プローブを結合させたり、プライマーを結合させて目的部位の増幅を行うことが可能となる。なお、本発明において、HBV DNAの塩基配列は、配列番号1に示す塩基配列だけでなく、例えば、第1899番目および第1896番目の塩基Gの少なくとも一方がAに変異している配列も含む。
具体例として、前記阻害用ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号1の塩基配列における第1839番目から第1871番目の塩基配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド、または、前記第1839番目から第1871番目の塩基配列の部分配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドがあげられる。すなわち、例えば、配列番号1の塩基配列における第1839番目から第1871番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列、または、前記ポリヌクレオチドの部分配列と相補的な塩基配列からなる阻害用ポリヌクレオチドである。このような阻害用ポリヌクレオチドとしては、例えば、前記(a)に示す、前記配列番号2〜4の塩基配列からなる各ポリヌクレオチドがあげられ、それぞれ、配列番号1の塩基配列における、第1839番目から第1871番目、第1839番目から第1866番目、第1847番目から第1871番目の塩基配列からなる領域にハイブリダイズする。
つぎに、本発明のHBV DNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成阻害方法は、前述のとおり、HBV二本鎖DNAを含有する試料に、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤を添加する工程、加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含む。
本発明において、試料中の二本鎖DNAは、配列番号1に示す全配列からなる二本鎖DNA(野生型)には限られない。この他に、例えば、preC領域を含む部分配列、preC領域からなる部分配列、preC領域の一部(特に、第1896番目および第1899番目の少なくとも一方)を含む部分配列、後述するようなPCR法によってHBV DNAから増幅させた部分配列であってもよい。また、配列番号1において、第1896番目および第1899番目の塩基Gの少なくとも一方がAに変異しているもの(変異型)や、その部分配列も含まれる。なお、以下の方法(ハイブリダイズ方法等)におけるHBV 二本鎖DNAも同様である。
本発明において、前記試料は、前記HBV二本鎖DNAを含むものであれば特に制限されず、例えば、血液、血漿、血清等の生体試料や、そこから調製された核酸やゲノムDNAを含む試料があげられる。なお、生体試料の採取方法、採取部位、核酸やゲノムDNA、二本鎖DNAの調製方法等は、特に制限されず、従来公知の方法が採用できる。
前記阻害用ポリヌクレオチドは、直接、二本鎖DNAを含む液体試料に添加してもよいし、溶媒中で前記阻害用ポリヌクレオチドと前記液体試料とを混合してもよい。前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、Tris−HCl等の緩衝液、KCl、MgCl2、MgSO4、グリセロール等の従来公知の溶媒が挙げられる。前記試料に添加する本発明の阻害剤の量は、特に制限されず、試料中の二本鎖DNAの量等に応じて適宜決定できるが、例えば、二本鎖DNA1モルに対して、阻害用ポリヌクレオチドを1モル以上添加することが好ましい。
前記解離工程における加熱温度は、前記二本鎖DNAが解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜95℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
解離した一本鎖DNAと阻害用ポリヌクレオチドとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。
本発明においては、HBVの一本鎖DNAがpreC領域においてセルフアニーリングを生じる前に、HBVの一本鎖DNAに前記阻害用ポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる必要がある。このため、前記ハイブリダイズ工程における加熱温度は、前記セルフアニーリングが生じる温度よりも高い温度に設定することが必要であるが、これは、本発明の阻害剤を使用することによって可能となる。その理由は、前述のように、本発明における阻害用ポリヌクレオチドのTm値が、前記セルフアニーリングしたHBV一本鎖DNAのTm値よりも高いからである。
前記加熱温度は、前述のように、前記セルフアニーリングが生じる温度よりも高い温度(もしくは、セルフアニーリングしたHBV一本鎖DNAのTm値よりも高い温度)であればよく、例えば、40〜95℃の範囲であり、好ましくは40〜80℃の範囲である。前記加熱温度での加熱時間は、特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
つぎに、本発明のハイブリダイズ方法は、前述のように、前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、HBV 二本鎖DNAを含有する試料に、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプローブとを添加する工程、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、および、前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プローブをそれぞれハイブリダイズさせる工程を含む。
前記目的部位は、例えば、第1896番目の塩基を含む部分配列、第1899番目の塩基を含む部分配列、第1896番目および第1899番目の双方の塩基を含む部分配列が好ましい。このような目的部位の具体例としては、特に制限されないが、配列番号1の塩基配列における第1887番目から第1908番目からなる塩基配列があげられる。なお、前記目的部位は、前記配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異した配列も含む。なお、以下の方法(例えば、遺伝子増幅方法等)における目的部位も同様である。
前記プローブは、目的部位に応じて適宜設計できるが、例えば、第1896番目および第1899番目の塩基における点突然変異の検出がHBV感染症の検査に極めて重要であることから、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列に相補的なポリヌクレオチドや、前記配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド等があげられる。前記プローブの長さは、特に制限されないが、例えば、5〜100merであり、好ましくは10〜45merであり、より好ましくは15〜30merである。前記プローブの具体例は、後述するが、それらには限定されず、その部分配列でもよいし、さらに末端を伸長させた配列であってもよい。伸長させる場合には、配列番号1の塩基配列と相補的になるように設計することが好ましい。
前記プローブは、標識化プローブが好ましく、具体例としては、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブや、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブ等があげられ、中でも、蛍光色素(蛍光団)で標識された標識化プローブであり、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が消光する消光プローブが好ましい。また、この蛍光強度の変化を示す標識化プローブにおいて、5’末端または3’末端の塩基がCであり、前記末端塩基Cが標識化されていることが好ましい。前記蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等があげられ、市販の蛍光色素としては、例えば、BODIPY FL(商標名、モレキュラー・プローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3およびCy5(アマシャムファルマシア社製)等が挙げられる。このようなプローブを使用すれば、シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。
前記試料への前記プローブの添加は、本発明の阻害方法における阻害剤(阻害用ポリヌクレオチド)の添加と同様にして行うことができる。前記プローブの添加順序は、特に制限されず、前記阻害用ポリヌクレオチドと同時に試料に添加してもよいし、前記阻害用ポリヌクレオチド添加の前後いずれに添加してもよい。前記試料に添加する前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プローブの量は特に制限されず、試料中の二本鎖DNAの量等に応じて適宜決定できる。
前記解離工程は、前記本発明のセルフアニーリング形成阻害方法と同様に行うことができ、加熱温度および加熱時間も前述の通りである。
前記ハイブリダイズ工程は、特に制限されず、例えば、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。本発明においては、前述のように本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤によって、HBV一本鎖DNAのセルフアニーリングよりも先に、HBV一本鎖DNAへ前記阻害用ポリヌクレオチドがハイブリダイズする。このため、解離したHBV一本鎖DNAはセルフアニーリングすることなく、前記目的部位に前記プローブがハイブリダイズすることができる。前記加熱温度の降下方法は、特に制限されないが、例えば、プローブがハイブリダイズする温度(例えば、プローブのTm値以下)にまで、徐々に温度を降下させてもよいし、加熱温度を、「セルフアニーリングのTm値(Tm2)<加熱温度<阻害用ポリヌクレオチドのTm値(Tm1)」の条件となるように降下させ、一定時間維持した後、さらに、プローブがハイブリダイズする温度にまで降下させてもよい。本発明のハイブリダイズ方法によれば、前記阻害用ポリヌクレオチドが、HBV一本鎖DNAのセルフアニーリング形成温度よりも高い温度で、HBV 一本鎖DNAにハイブリダイズするため、前記セルフアニーリングの形成温度よりも低い温度になっても、前記プローブが目的部位にハイブリダイズすることができる。
前者の場合、例えば0.1〜20℃/秒の速度で、94〜20℃にまで温度を降下させ、前記温度で1秒〜10分間、プローブのハイブリダイズ処理を行うことが好ましく、より好ましくは1〜5℃/秒の速度で、80〜40℃にまで温度を降下させ、前記温度で1秒〜60秒間、プローブのハイブリダイズ処理を行う。後者の場合、例えば、まず94〜50℃の範囲に温度を降下させて1秒〜10分間維持した後、さらに70〜40℃に降下して1秒〜10分間、プローブのハイブリダイズ処理を行うことが好ましく、より好ましくは80〜50℃の範囲に温度を降下させて1秒〜60秒間維持した後、さらに60〜40℃に降下して1秒〜60秒間、プローブのハイブリダイズ処理を行う。なお、この温度設定等は、使用する阻害用ポリヌクレオチドの種類やプローブの種類によって適宜決定できる。
本発明のハイブリダイズ方法は、例えば、サザンブロット、DNAアレイ、DNAマイクロアレイ、DNAチップ、Invader(商標、Third Wave Technologies社)法等の従来公知のハイブリダイゼーションを利用した遺伝子検出技術に利用できる。
なお、本発明のハイブリダイズ方法は、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤を使用して、HBVのセルフアニーリング形成を阻害することが特徴であり、具体的なプローブの配列や、プローブの組合せ等は何ら制限されず、当業者であれば適宜決定できる(以下、同様)。
つぎに、本発明の遺伝子増幅方法は、前述のとおり、HBV DNAのpreC領域における目的部位を、プライマーを用いて増幅させる方法であって、前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、HBV二本鎖DNAを含有する試料に、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプライマーとを添加する工程、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プライマーをそれぞれハイブリダイズさせる工程、および、前記プライマーを用いて前記目的部位の配列を増幅させる工程を含むことを特徴とする。
前記プライマーは、前記目的部位を増幅可能であれば特に制限されず、前記目的部位の塩基配列に応じて設計できる。プライマーの長さは、特に制限されず、一般的な長さ(例えば、10〜30mer)に設定できる。目的部位がpreC領域を含む場合、例えば、配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド(センスプライマー)、配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチド(アンチセンスプライマー)等が使用できる。また、前記目的部位は、例えば、前記本発明のハイブリダイズ方法と同様である。
前記試料へのプライマーの添加は、本発明の阻害方法における阻害剤(阻害用ポリヌクレオチド)の添加と同様にして行うことができる。前記プライマーの添加順序は、特に制限されず、前記阻害用ポリヌクレオチドと同時に試料に添加してもよいし、前記阻害用ポリヌクレオチド添加の前後いずれに添加してもよい。前記試料に添加する前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プライマーの量は特に制限されず、試料中の二本鎖DNAの量等に応じて適宜決定でき、例えば、二本鎖DNAと阻害用ポリヌクレオチドとプライマーとのモル比は、適宜決定できる。
前記解離工程は、前記本発明のセルフアニーリング形成阻害方法と同様に行うことができ、加熱温度および加熱時間も前述の通りである。
前記ハイブリダイズ工程は、特に制限されず、例えば、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。本発明においては、前述のように本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤によって、HBV一本鎖DNAのセルフアニーリングよりも先に、HBV一本鎖DNAへ前記阻害用ポリヌクレオチドがハイブリダイズする。このため、解離したHBV一本鎖DNAはセルフアニーリングすることなく、前記目的部位に前記プライマーがハイブリダイズすることができる。前記加熱温度の降下方法は、特に制限されないが、例えば、プライマーがハイブリダイズする温度(例えば、プライマーのTm値以下)にまで、徐々に温度を降下させてもよいし、加熱温度を、「セルフアニーリングのTm値(Tm2)<加熱温度<阻害用ポリヌクレオチドのTm値(Tm1)」の条件となるように降下させ、一定時間維持した後、さらに、プライマーがハイブリダイズする温度にまで降下させてもよい。本発明によれば、前記阻害用ポリヌクレオチドが、HBV一本鎖DNAのセルフアニーリング形成温度よりも高い温度で、HBV 一本鎖DNAにハイブリダイズするため、前記セルフアニーリングの形成温度よりも低い温度になっても、前記プライマーが目的部位にハイブリダイズすることができる。
前者の場合、例えば、0.1〜20℃/秒の速度で、94〜20℃にまで温度を降下させ、前記温度で1秒〜10分間、プライマーのハイブリダイズ処理を行うことが好ましく、より好ましくは、1〜5℃/秒の速度で、80〜40℃にまで温度を降下させ、前記温度で1秒〜60秒間、プライマーのハイブリダイズ処理を行う。後者の場合、例えば、まず94〜50℃の範囲に温度を降下させて1秒〜10分間維持した後、さらに70〜40℃に降下して1秒〜10分間、プライマーのハイブリダイズ処理を行うことが好ましく、より好ましくは80〜50℃の範囲に温度を降下させて1秒〜60秒間維持した後、さらに60〜40℃に降下して1秒〜60秒間、プライマーのハイブリダイズ処理を行う。なお、この温度設定等は、使用する阻害用ポリヌクレオチドの種類やプライマーの種類によって適宜決定できる。
本発明における増幅工程は、従来公知のPCR方法により行うことができ、中でも、目的部位の増幅と多型解析等を同時に行うことができるため、定量的遺伝子増幅方法が好ましい。前記定量的遺伝子増幅方法としては、例えば、リアルタイムPCR法、TaqMan法(商標、Applied Biosystems社)、RFLP−PCR法(Restriction Fragment Length Polymorphisms-PCR)、LATE−PCR法(Linear-After-The-Exponential-PCR; Sanchez et al. (2004) PNAS, 101(7); 1933-1938)、アレル特異的プライマーPCR法(Allele Specific Primer PCR:ASP PCR)、シングルヌクレオチドプライマー伸長反応等があげられる。前記リアルタイムPCR法としては、例えば、標的遺伝子をPCRで増幅し、リアルタイムモニタリング用試薬を用いて増幅産物の生成過程をリアルタイムでモニタリングし、解析する方法があげられる。前記リアルタイムモニタリング試薬としては、例えば、SYBRGreenI(登録商標;Molecular Probes社)、TaqManプローブ(登録商標:Applied Biosystems社)、サイクリングプローブ、モレキュラービーコンプローブ等が挙げられる。特に、前記ASP−PCRは、SNP特異的なプライマーを用いたPCR法であるため、本発明は、セルフアニーリングが生じるpreC領域にプライマーを結合させるASP−PCRに極めて有用といえる。
つぎに、本発明の点突然変異検出方法は、前述のように、Tm解析によりHBV DNAのpreC領域における点突然変異を検出する方法であって、プローブとして、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用し、本発明のハイブリダイズ方法により、HBV二本鎖DNAを解離し、解離した一本鎖DNAに前記標識化プローブおよび前記阻害用ポリヌクレオチドをそれぞれハイブリダイズさせる工程、前記一本鎖DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を加熱し、温度上昇に伴うシグナルの変動を測定する工程、シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および、前記Tm値から、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基における点突然変異の有無を決定する工程を含むことを特徴とする。なお、特に示さない限り、ハイブリダイズ工程は、前述と同様である。
前記プローブとしては、例えば、標識化された下記(1)および(2)の少なくとも一方のポリヌクレオチドからなるプローブがあげられる。
(1)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基の少なくとも一方を含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
(2)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
前記点突然変異の有無は、例えば、前記ハイブリダイズ工程において、二種類以上のプローブを使用してそれぞれハイブリダイズを行い、各プローブを使用した際の各Tm値を決定し、Tm値の高低およびTm値の差から決定することが好ましい。
二種類以上のプローブを使用する場合、下記(1)と(2)のプローブを組み合わせて使用することが好ましい。前記(1)のプローブと(2)のプローブの組合せとしては、例えば、下記x1およびx2の組合せ、y1およびy2の組合せ、z1およびz2の組合せ等があげられる。また、x2およびz2の組合せ、y2およびz2の組合せ等でもよい。
(x1)配列番号1の塩基配列における第1896番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド
(x2)配列番号1の塩基配列における第1896番目の塩基がAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド
(y1)配列番号1の塩基配列における第1899番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド
(y2)配列番号1の塩基配列における第1899番目の塩基がAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド
(z1)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
(z2)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド
前記x1、y1およびz1の具体例としては、以下のものがあげられ、下記配列においてtはuでもよい。
配列番号9: 5'- atgtccatgCccCaaagccacc
前記x2の具体例としては、
配列番号10: 5'- atgtccatgCccTaaagccacc
前記y2の具体例としては、
配列番号11: 5'- atgtccatgTccCaaagccacc
前記z2の具体例としては、
配列番号7: 5'- atgtccatgTccTaaagccacc
具体例として、一方のプローブが配列番号1の部分配列と完全に相補的なポリヌクレオチドであり、他方のプローブが配列番号1における第1896番目の塩基GがAに変異した部分配列と完全に相補的なポリヌクレオチドとした場合について説明する。この場合、測定対象の二本鎖DNAに点突然変異が存在しなければ(野生型)、解離した一本鎖DNAと前者のプローブとは、完全一致(Perfect Match)でハイブリッドを形成し、解離した一本鎖DNAと後者のプローブとは、一塩基が異なる状態(Miss Match)でハイブリッドを形成する。他方、前記二本鎖DNAが第1896番目の塩基に点突然変異が生じている場合(G→A:変異型)、前記一本鎖DNAと前者のプローブとはミスマッチを生じ、前記一本鎖DNAと後者のプローブとは、完全一致となる。そして、完全一致のハイブリッド体とミスマッチのハイブリッド体では、完全一致の方がTm値が高く、完全一致とミスマッチとでは、一塩基の違いでTm値が約2〜8℃異なることが知られている。したがって、前者のプローブを使用した際のTm値が高ければ、完全一致であるため、一本鎖DNAには点突然変異は無く野生型と判断できる。また、後者のプローブを使用した際のTm値が高ければ、一本鎖DNAには第1896番目に点突然変異が存在し、変異型と判断できる。このように、前記二種類のプローブを使用すれば、それぞれのTm値を測定し、いずれのTm値が高い値であるか、また、両方のTm値の差を求めることによって、点突然変異の有無を決定できる。このように、二種類以上のプローブを用いることで、より高い精度で点突然変異の有無を決定できる。なお、完全一致と一塩基のミスマッチでは、Tm値が約2〜8℃異なり、二塩基のミスマッチでは、さらに異なると考えられる。
また、予め、点突然変異を有する二本鎖DNA(変異型)と有さない二本鎖DNA(野生型)ならびに各種プローブを用いて、それぞれのTm値を測定しておき、これを評価基準とすることもできる。
下記表に、プローブの組合せによって検出できる点突然変異を例示するが、これには限定されない。なお、下記表において「G→A」とは、分析対象遺伝子のHBV DNAにおいて、第1896番目および第1899番目の塩基GがAに変異していることを示す。
Figure 2007282512
本発明の検出方法によれば、従来の方法では困難であったTm解析によるミスマッチの検出が可能である。その理由は以下のとおりである。ミスマッチの場合、前述のように完全一致に比較してTm値が低くなるが、Tm値が低くなるということは、完全一致と比較して、プローブと一本鎖DNAとの結合力が弱いということである。このため、プローブと一本鎖DNAとの結合が、一本鎖DNA内での完全一致のセルフアニーリングに負けてしまう。したがって、従来方法では、プローブが一本鎖DNAと完全一致である場合のTm値は測定できたとしても、ミスマッチのTm値は、セルフアニーリング形成によって測定できなかったのである。しかし、本発明によれば、セルフアニーリングの問題が解消されているため、前述のような一塩基の違いをTm値の測定によって検出することが可能となった。このため、従来の方法よりも極めて容易且つ確実に点突然変異の有無を決定することができる。
なお、本発明の検出方法は、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤を使用して、HBVのセルフアニーリング形成を阻害することが特徴であり、具体的なプローブの配列や、プローブの組合せ等は何ら制限されず、当業者であれば適宜決定できる。
前記シグナル変動の測定方法は、特に制限されず、標識の種類によって適宜決定でき、例えば、蛍光標識の場合には蛍光強度、発色標識の場合には吸光度、放射線標識の場合には、放射線量を測定すればよい。
つぎに、本発明の点突然変異検出方法の具体例として、グアニン消光プローブを用いた例をあげて説明するが、以下の方法には制限されない。
まず、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを用いてセルフアニーリングを阻害し、HBV DNAを鋳型としてpreC領域を含む部分配列をPCR法により増幅させる。なお、使用する阻害用ポリヌクレオチドやプライマー、条件等は、前述の通りである。
つぎに、得られたPCR産物に、阻害用ポリヌクレオチドとグアニン消光プローブを添加して、PCR産物(二本鎖DNA)の解離と、前記阻害用ポリヌクレオチドおよびプローブのハイブリダイズを行う。グアニン消光プローブとは、プローブの末端シトシン塩基を蛍光色素で標識化したプローブであり、これが目的部位に結合することで蛍光色素とグアニン塩基が相互作用し、その結果、蛍光が消光するものである。なお、前記阻害用ポリヌクレオチドは新たに添加してもよいし、PCR増幅の際に添加したものをそのまま利用してもよい。また、プローブは、PCR増幅の際に予め添加しておいてもよい。
そして、得られた前記一本鎖DNAとプローブとのハイブリッド体を加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の変動を測定する。グアニン消光プローブを使用した場合、一本鎖DNAとのハイブリダイズした状態では、蛍光が消光し、解離した状態では、蛍光を発する。したがって、例えば、消光しているハイブリッド体を徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定する。
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃であり、好ましくは25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.1〜20℃/秒であり、好ましくは0.5〜5℃/秒である。
つぎに、前記蛍光強度の変動を解析してTm値として決定する。具体的には、得られた蛍光強度から各温度における値(−d蛍光強度増加量/dt)を算出し、最も低い値を示す温度をTm値として決定できる。また、単位時間当たりの蛍光強度増加量(蛍光強度増加量/t)が最も高い点をTm値として決定することもできる。なお、プローブとして、消光プローブではなく、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示すプローブを使用した場合には、反対に、蛍光強度の減少量を測定すればよい。
前述のように、Tm値は、ミスマッチがある場合、完全一致と比較して低い値となる。このため、野生型遺伝子に対応したプローブまたは変異型遺伝子に対応したプローブを用いることによって、分析対象遺伝子を、Tm値の結果から、野生型遺伝子であるか変異型遺伝子であるかを決定できる。また、各温度における値(例えば、−d蛍光強度増加量/dt、蛍光強度増加量/t等)をプロットした際に、ピークが2点得られた場合には、分析対象遺伝子がヘテロタイプであることを示す。
そして、このTm値から、例えば、前述のように使用したプローブの組合せ等に基づき、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基における点突然変異の有無を決定すればよい。
本発明は、前述のような点突然変異検出方法によりHBV感染症の診断や治療が可能であることから、さらに、本発明の点突然変異検出方法を利用したHBV感染症の診断方法ならびに治療方法を含む。
また、本発明のハイブリダイズ用キットは、本発明のポリヌクレオチドを含む阻害剤を含むことを特徴とする。このキットを用いれば、前述のように、HBVのpreC領域におけるセルフアニーリングを防止して、例えば、プローブやプライマーをHBV DNAに結合させることができる。本発明のキットは、前記阻害剤を含んでいればよく、他の構成は何ら制限されないが、例えば、プローブ、プライマー、試薬、内部標準試料および取扱説明書等を含んでいてもよい。前記プローブおよびプライマーは、前述のものがあげられ、前記試薬としては、例えば、ポリメラーゼ等の酵素、ヌクレオチド、標識化合物、バッファー等があげられる。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は下記の実施例および比較例により制限されない。
まず、商品名QIAamp(R) DNA Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、HBV Plasma(ProMedDx社製:Number10222136)からHBV DNAを精製した。
つぎに、精製したHBV DNA5μLを下記表2の試薬20μLに添加し、PCR反応によりpreC領域を含む領域(配列番号8:配列番号1における第1673番目から第1954番目に相当)を増幅した。PCR反応は、商品名Master Cycler(eppendorf社製)を用い、50℃2分間および95℃2分間で処理した後、95℃10秒、54℃10秒および72℃30秒を1サイクルとし、50サイクル繰り返した。なお、下記表3には、使用した阻害用ポリヌクレオチドの配列を示し、前記阻害用ポリヌクレチドの3’末端はリン酸化した。下記表4には、プライマーと消光プローブの配列を示す。前記消光プローブは、3’末端の塩基Cに蛍光色素BODIPY FL(商標名)を付加したプローブであり、セルフアニーリングの形成領域にあたる配列番号1の塩基配列における第1887番目から第1908番目を目的部位として、これにハイブリダイズするように設計した。
Figure 2007282512
Figure 2007282512
Figure 2007282512
ついで、95℃10秒間および45℃1秒間で処理し、PCR産物の解離、および、解離した一本鎖DNAとプローブおよび阻害用ポリヌクレオチドとのハイブリダイズを行った。そして、一本鎖DNAとプローブとのハイブリッド体を加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の変化を測定した。前記測定は、商品名Smart Cycler(登録商標)(Cepheid製)を用いて、温度の上昇速度1℃/秒とし、40℃〜95℃の範囲を行った。そして、得られた蛍光強度から各温度における単位時間あたりの蛍光強度の変化量(−d蛍光強度/dt)を算出し、蛍光強度の変動を示すグラフ(融解曲線)を作成した。各阻害用ポリヌクレオチドを使用した際のグラフを図1〜3に示す。図1が、B−PC−R2の結果(Tm値63℃)であり、図2が、B−PC−R4の結果(Tm値63℃)であり、図3が、B−PC−R5の結果(Tm値63℃)である。
(比較例1)
阻害用ポリヌクレオチドに代えてdH2Oとした以外は、実施例1と同様に測定を行った。得られた蛍光強度の変動のグラフ(融解曲線)を図4に示す。
図1〜3に示す実施例1は、阻害用ポリヌクレオチドを添加していない図4の比較例1と比較して、阻害用ポリヌクレオチドの添加により曲線のピークが顕著となっている。すなわち、前記阻害用ポリヌクレオチドの添加によりセルフアニーリング形成が阻害され、その結果、セルフアニーリング形成領域に位置する目的部位にハイブリダイズするプローブの量を増加できたといえる。また、阻害用ポリヌクレオチドの長さが長い程、変化量のピークが顕著になったことから、より長い阻害用ポリヌクレオチドの使用により、より一層セルフアニーリング形成を阻害できるといえる。このように、本発明の阻害用ポリヌクレオチドを用いれば、Tm解析における精度・感度を向上できるため、HBV感染症の診断に極めて有用といえる。
HBV PlasmaとしてNumber9990282(ProMedDx社製)、阻害用ポリヌクレオチドとして前記B−PC−R2のみを使用した以外は、前記実施例1と同様にしてHBV DNAの精製、PCRおよびTm解析を行った。得られた蛍光強度の変動のグラフ(融解曲線)を図5(Tm値67℃)に示す。
(比較例2)
ポリヌクレオチドに代えてdH2Oとした以外は、実施例2と同様に測定を行った。得られ蛍光強度の変動のグラフ(融解曲線)を図6に示す。
図5に示す実施例2は、阻害用ポリヌクレオチドを添加していない図6の比較例2と比較して、阻害用ポリヌクレオチドの添加により曲線のピークが顕著となっている。すなわち、前記阻害用ポリヌクレオチドの添加によりセルフアニーリング形成を阻害でき、その結果、セルフアニーリング形成領域に位置する目的部位にハイブリダイズするプローブの量を増加できたといえる。
実施例1および2のいずれの試料においても、阻害用ポリヌクレオチドを添加することにより、HBVのセルフアニーリング形成が阻害されるため、セルフアニーリング形成領域に位置する目的部位へのプローブのハイブリダイズが容易になり、プローブのハイブリダイズ量を増加できた。このように、本発明の阻害剤を用いれば、Tm解析における精度・感度を向上できるため、HBV感染症の診断に極めて有用といえる。
まず、商品名QIAamp(R) DNA Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、200μLのHBV Plasma(ProMedDx社製:Number9990282(実施例2と同様))からHBV DNAを精製した。なお、溶出は20μLのdH2Oで行った。
つぎに、精製したHBV DNA1μLを下記表5の試薬23.5μLに添加し、preC領域を含む領域(配列番号1における第1673番目から第1895番目に相当)をPCRにより増幅させつつリアルタイムで蛍光強度を測定した。PCR反応は、商品名i−Cycler(登録商標)(Bio−Rad Laboratories製)を用いて、50℃2分間および95℃2分間で処理した後、95℃10秒、54℃10秒および72℃30秒を1サイクルとし、50サイクル繰り返した。下記表6には、プライマーを示す。下記アンチセンスプライマーは、セルフアニーリングの形成領域を含む部分配列(配列番号1における第1896番目から第1911番目に相当)にハイブリダイズするように設計した。阻害用ポリヌクレオチドは、実施例1におけるB−PC−R5を使用した。
Figure 2007282512
Figure 2007282512
(比較例3)
前記阻害用ポリヌクレオチドに代えてdH2Oとした以外は、実施例3と同様に測定を行った。
実施例3および比較例3における蛍光強度の変動のグラフを図7に示す。同図において、マーカー(三角)を付したグラフが実施例3の結果であり、マーカーなしのグラフが比較例3の結果である。同図に示すように、実施例3のCt値(蛍光強度が100となるときのサイクル数)は、26.3であったのに対し、比較例3ではCt値が31.5であった。すなわち、阻害用ポリヌクレオチドの添加によりセルフアニーリング形成を阻害でき、その結果、セルフアニーリング形成領域に位置する目的部位にハイブリダイズするプライマーの量を増加できたといえる。この結果から、本発明の阻害剤を用いれば、PCRの増幅効率を改善できることがわかる。
まず、商品名QIAamp(R) DNA Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、100μLのHBV Plasma(ProMedDx社製:Number10150036)からHBV DNAを精製した。なお、溶出は20μLのdH2Oで行った。
つぎに、精製したHBV DNA1μLを下記表6の試薬24μLに添加し、preC領域を含む領域(配列番号8:配列番号1における第1673番目から第1954番目に相当)をPCRにより増幅させつつリアルタイムで蛍光強度を測定した。PCR反応は、商品名i−Cycler(登録商標)(Bio−Rad Laboratories製)を用い、50℃2分間および95℃2分間で処理した後、95℃10秒、54℃10秒および68℃1分を1サイクルとし、50サイクル繰り返した。下記表8にプローブの配列を示す。前記プローブは、5’末端の塩基にTAMRA(tetramethylrhodamine)を付加し、3’末端の塩基に蛍光色素DABCYL(商標名)を付加したプローブであり、セルフアニーリングの形成領域にあたる配列番号1の塩基配列における第1887番目から第1906番目を目的部位として、これにハイブリダイズするように設計した。なお、プライマーは実施例1と同様のものを使用し、阻害用ポリヌクレオチドは実施例1におけるB−PC−R2およびB−PC−R5を使用した。
Figure 2007282512
Figure 2007282512
(比較例4)
前記阻害用ポリヌクレオチドに代えてdH2Oとした以外は、実施例4と同様に測定を行った。
実施例4および比較例4における蛍光強度の変動のグラフを図8に示す。同図において、マーカー(四角)を付したグラフが実施例4のB−PC−R2の結果(Ct値32.4)であり、マーカー(三角)を付したグラフが実施例4のB−PC−R5の結果(Ct値29.2)であり、マーカーなしのグラフが比較例4の結果(Ct値37.7)である。前記阻害用ポリヌクレオチドの添加した実施例4は、阻害用ポリヌクレオチドを添加していない比較例4と比較してCt値が低かった。すなわち、前記阻害用ポリヌクレオチドの添加によりセルフアニーリング形成が阻害され、その結果、セルフアニーリング形成領域に位置する目的部位にハイブリダイズするプローブの量を増加できたといえる。また、阻害用ポリヌクレオチドの長さが長い程、Ct値が低くなったことから、より長い阻害用ポリヌクレオチドを使用することで、より一層セルフアニーリング形成を阻害できるといえる。このように本発明の阻害剤を用いれば、遺伝子の検出精度・感度を向上できるため、例えば、感染症等の遺伝子診断等に有用である。
以上のように、本発明のセルフアニーリング形成阻害剤によれば、前記阻害用ポリヌクレオチドが、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、HBV DNAにハイブリダイズすることができる。このため、従来の方法では、セルフアニーリングによって、HBV感染症に特異的な点突然変異が生じるpreC領域へのプライマーやプローブのハイブリダイズが従来困難であったが、そのような問題も解消される。このようにプライマーやプローブのハイブリダイズが容易になることから、例えば、PCRでの増幅効率の向上や、プローブの結合量が増加することによる分析精度や分析感度の向上も可能となる。したがって、本発明は、例えば、HBV感染症の診断等に極めて有効といえる。
図1は、本発明の一実施例において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。 図2は、本発明の前記実施例において得られたその他の蛍光強度の変動を示すグラフである。 図3は、本発明の前記実施例において得られたさらにその他の蛍光強度の変動を示すグラフである。 図4は、比較例1において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。 図5は、本発明のその他の実施例において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。 図6は、比較例2において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。 図7は、本発明のさらにその他の実施例および比較例3において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。 図8は、本発明のさらにその他の実施例および比較例4において得られた蛍光強度の変動を示すグラフである。
配列番号2 ポリヌクレオチド:B−PC−R2
配列番号3 ポリヌクレオチド:B−PC−R4
配列番号4 ポリヌクレオチド:B−PC−R5
配列番号5 プライマー:B−1653−F1
配列番号6 プライマー:B−BC1−R2
配列番号7 プローブ:3FL−PC−R1
配列番号9 プローブ
配列番号10 プローブ
配列番号11 プローブ
配列番号12 プライマー:B−ASP−R2m
配列番号13 プローブ:TD−PC−Wild−Taqman

Claims (22)

  1. 一本鎖DNAにおけるセルフアニーリング形成を阻害する方法であって、
    前記セルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、前記セルフアニーリングを形成する相補配列のいずれか一方にハイブリダイズする阻害用ポリヌクレオチドを含むセルフアニーリング形成阻害剤を、セルフアニーリングを形成する二本鎖DNAを含有する試料に添加する工程、
    加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、
    前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含むセルフアニーリング形成阻害方法。
  2. B型肝炎ウイルスDNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する方法であって、
    preC領域を含むB型肝炎ウイルス二本鎖DNAを含有する試料に、preC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する下記(a)または(b)の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤を添加する工程、
    加熱により前記二本鎖DNAを解離させる工程、および、
    前記解離した一本鎖DNAと前記阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を含むセルフアニーリング形成阻害方法。
    (a)配列番号2から4のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)前記(a)の塩基配列において、1または数個の塩基が修飾され、または置換、付加若しくは欠失された塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、B型肝炎ウイルスDNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  3. 前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって、前記ハイブリダイズ工程において、前記解離した一本鎖DNAと阻害用ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる、請求項2記載の阻害方法。
  4. 前記ハイブリダイズ工程における加熱温度が、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度である、請求項2または3記載の阻害方法。
  5. 前記ハイブリダイズ工程における加熱温度が、40〜95℃の範囲である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の阻害方法。
  6. B型肝炎ウイルスDNAのpreC領域におけるセルフアニーリング形成を阻害する阻害剤であって、
    下記(a)または(b)の阻害用ポリヌクレオチドを含むことを特徴とする阻害剤。
    (a)配列番号2から4のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)前記(a)の塩基配列において、1または数個の塩基が修飾され、または置換、付加若しくは欠失された塩基配列からなり、且つ、前記preC領域におけるセルフアニーリングを生じる温度よりも高い温度で、B型肝炎ウイルスDNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  7. 前記阻害用ポリヌクレオチドが、B型肝炎ウイルスDNAを示す配列番号1の塩基配列における第1855番目と第1858番目の塩基を含む部分配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項6記載の阻害剤。
  8. 前記阻害用ポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列における第1839番目から第1871番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列、または、前記ポリヌクレオチドの部分配列と相補的な塩基配列からなる、請求項6または7記載の阻害剤。
  9. B型肝炎ウイルスDNAのpreC領域における目的部位にプローブをハイブリダイズさせる方法であって、
    前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、
    B型肝炎ウイルス二本鎖DNAを含有する試料に、請求項6〜8のいずれか一項に記載の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプローブとを添加する工程、
    加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、および、
    前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プローブをそれぞれハイブリダイズさせる工程を含む、ハイブリダイズ方法。
  10. 前記目的部位が、前記配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列である、請求項9記載のハイブリダイズ方法。
  11. 前記プローブが、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド、または、前記配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチドである、請求項9または10記載のハイブリダイズ方法。
  12. 前記プローブが、配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、請求項9〜11のいずれか一項に記載のハイブリダイズ方法。
  13. 前記プローブが、標識化プローブである、請求項9〜12のいずれか一項に記載のハイブリダイズ方法。
  14. 前記プローブが、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブである、請求項13記載のハイブリダイズ方法。
  15. 前記プローブが、蛍光色素で標識された標識化プローブであり、単独で蛍光を示し、且つ、ハイブリッド形成により蛍光が消光するプローブである、請求項14記載のハイブリダイズ方法。
  16. 前記プローブにおいて、5’末端または3’末端の塩基がCであり、前記末端塩基Cが標識化されている、請求項15記載のハイブリダイズ方法。
  17. B型肝炎ウイルスDNAのpreC領域における目的部位を、プライマーを用いて増幅させる方法であって、
    前記目的部位が、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基を含む部分配列であり、
    B型肝炎ウイルス二本鎖DNAを含有する試料に、請求項6〜8のいずれか一項に記載の阻害用ポリヌクレオチドを含む阻害剤とプライマーとを添加する工程、
    加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程、
    前記解離した一本鎖DNAに、前記阻害用ポリヌクレオチドおよび前記プライマーをそれぞれハイブリダイズさせる工程、および、
    前記プライマーを用いて前記目的部位の配列を増幅させる工程を含む増幅方法。
  18. 前記目的部位が、前記配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列である、請求項17記載の増幅方法。
  19. Tm解析によりB型肝炎ウイルスDNAのpreC領域における点突然変異を検出する方法であって、
    プローブとして、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用し、
    請求項9〜16のいずれか一項に記載のハイブリダイズ方法により、B型肝炎ウイルス二本鎖DNAを解離し、解離した一本鎖DNAに前記標識化プローブおよび前記阻害用ポリヌクレオチドをそれぞれハイブリダイズさせる工程、
    前記一本鎖DNAと前記プローブとのハイブリッド形成体を加熱し、温度上昇に伴うシグナルの変動を測定する工程、
    シグナルの変動を解析してTm値を決定する工程、および、
    前記Tm値から、配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基における点突然変異の有無を決定する工程を含む検出方法。
  20. 前記プローブが、標識化された下記(1)および(2)の少なくとも一方のポリヌクレオチドからなるプローブである、請求項19記載の検出方法。
    (1)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基の少なくとも一方を含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
    (2)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の少なくとも一方の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
  21. 前記ハイブリダイズ工程において、二種類以上のプローブを用いてそれぞれハイブリダイズを行い、各プローブを使用した際のそれぞれのTm値を決定し、Tm値の高低およびTm値の差から点突然変異の有無を決定する、請求項19または20記載の検出方法。
  22. 前記プローブの組合せが、下記(x1)および(x2)の組合せ、(y1)および(y2)の組合せ、(z1)および(z2)の組合せ、(x2)および(z2)の組合せ、ならびに、(y2)および(z2)の組合せからなる群から選択された少なくとも一つの組合せである、請求項20または21記載の検出方法。
    (x1)配列番号1の塩基配列における第1896番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド
    (x2)配列番号1の塩基配列における第1896番目の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド
    (y1)配列番号1の塩基配列における第1899番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド
    (y2)配列番号1の塩基配列における第1899番目の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド
    (z1)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基Gを含む部分配列に相補的なポリヌクレオチド。
    (z2)配列番号1の塩基配列における第1896番目および第1899番目の塩基GがAに変異している部分配列に相補的なポリヌクレオチド

JP2006109986A 2006-04-12 2006-04-12 セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途 Withdrawn JP2007282512A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006109986A JP2007282512A (ja) 2006-04-12 2006-04-12 セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006109986A JP2007282512A (ja) 2006-04-12 2006-04-12 セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007282512A true JP2007282512A (ja) 2007-11-01

Family

ID=38754840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006109986A Withdrawn JP2007282512A (ja) 2006-04-12 2006-04-12 セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007282512A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009081965A1 (ja) * 2007-12-26 2009-07-02 Arkray, Inc. 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
JP2014103904A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Toyo Kohan Co Ltd K−rasにおける変異検出用オリゴヌクレオチドプローブ

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009081965A1 (ja) * 2007-12-26 2009-07-02 Arkray, Inc. 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
JPWO2009081965A1 (ja) * 2007-12-26 2011-05-06 アークレイ株式会社 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
CN101663408B (zh) * 2007-12-26 2012-11-28 爱科来株式会社 熔解曲线分析方法以及熔解曲线分析装置
US8364415B2 (en) 2007-12-26 2013-01-29 Arkray, Inc. Melting curve analyzing method and melting curve analyzing device
KR101251177B1 (ko) * 2007-12-26 2013-04-08 아크레이 가부시키가이샤 융해 곡선 해석 방법 및 융해 곡선 해석 장치
JP5542438B2 (ja) * 2007-12-26 2014-07-09 アークレイ株式会社 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
JP2014103904A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Toyo Kohan Co Ltd K−rasにおける変異検出用オリゴヌクレオチドプローブ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7111773B2 (ja) 核酸配列変種を検出するための方法
AU2017203349B2 (en) Compositions of toehold primer duplexes and methods of use
JP5112592B2 (ja) ハイブリダイゼーション・ビーコン、並びに迅速に配列を検出および判別する方法
JP5604302B2 (ja) オリゴヌクレオチドおよびその使用
US9359647B2 (en) Probe for detection of polymorphism in EGFR gene, amplification primer, and use thereof
US20170051343A1 (en) Strand exchange hairpin primers that give high allelic discrimination
WO2013040491A2 (en) Probe: antiprobe compositions for high specificity dna or rna detection
US10689718B2 (en) HEV Assay
JPWO2009011297A1 (ja) Jak2遺伝子の変異検出用プローブおよびその用途
EP1426448A1 (en) Method for lowering the effects of sequence variations in a diagnostic hybridization assay, probe for use in the assay and assay
KR101569127B1 (ko) 다형 검출용 프로브, 다형 검출 방법, 약효 평가 방법, 질환 예측 방법 및 다형 검출용 시약 키트
JP6153515B2 (ja) Hla−a*24:02を検出する方法、及び検出キット
JP6153758B2 (ja) 多型検出用プローブ、多型検出方法、薬効判定方法及び多型検出用キット
JP2007282512A (ja) セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途
JP5315519B2 (ja) コイヘルペスウイルス(khv)の検出方法
JP6205216B2 (ja) 変異検出用プローブ、変異検出方法、薬効判定方法及び変異検出用キット
JP5720564B2 (ja) 遺伝子型の識別方法
JP5520449B2 (ja) 核酸の検出方法
WO2018079579A1 (ja) 標的塩基配列を検出する方法、プローブを設計および製造する方法ならびにキット
JP5860667B2 (ja) Egfrエクソン21l858r遺伝子多型検出用プライマーセット及びその用途
JP5504676B2 (ja) 遺伝子型の識別方法
JP2023036344A (ja) SARS-CoV-2の型を判定する方法、前記方法に用いるプローブセット及び前記方法に用いるプライマープローブセット
EP3870722A1 (en) Compositions and methods for amplifying, detecting or quantifying human polyomavirus bk virus
JP2011072247A (ja) 標的塩基配列の識別方法
JPH1092A (ja) 新規核酸断片、それから成るプライマー及びそれを用いた非a−b−c−d−e−f型肝炎ウイルスの検出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20090707