JPWO2009081965A1 - 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置 - Google Patents

融解曲線解析方法および融解曲線解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2009081965A1
JPWO2009081965A1 JP2009522262A JP2009522262A JPWO2009081965A1 JP WO2009081965 A1 JPWO2009081965 A1 JP WO2009081965A1 JP 2009522262 A JP2009522262 A JP 2009522262A JP 2009522262 A JP2009522262 A JP 2009522262A JP WO2009081965 A1 JPWO2009081965 A1 JP WO2009081965A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
differential value
signal differential
temperature range
peak
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009522262A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5542438B2 (ja
Inventor
高輔 久保
高輔 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arkray Inc
Original Assignee
Arkray Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arkray Inc filed Critical Arkray Inc
Priority to JP2009522262A priority Critical patent/JP5542438B2/ja
Publication of JPWO2009081965A1 publication Critical patent/JPWO2009081965A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5542438B2 publication Critical patent/JP5542438B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N25/00Investigating or analyzing materials by the use of thermal means
    • G01N25/02Investigating or analyzing materials by the use of thermal means by investigating changes of state or changes of phase; by investigating sintering
    • G01N25/04Investigating or analyzing materials by the use of thermal means by investigating changes of state or changes of phase; by investigating sintering of melting point; of freezing point; of softening point
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6827Hybridisation assays for detection of mutation or polymorphism
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2527/00Reactions demanding special reaction conditions
    • C12Q2527/107Temperature of melting, i.e. Tm

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

2つの温度範囲の少なくとも一方にピークが存在するか否かを自動解析可能な融解曲線解析方法を提供する。各温度におけるシグナル微分値から絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索し、前記(A)を示す温度(t1)が所定の温度範囲THおよびTLのいずれか一方(T1)に含まれる場合、前記(A)を第1ピークとして決定する。さらに、絶対値が減少から増加に変化した最初のシグナル微分値(C)および前記(A)に次いで絶対値が最も大きくなる最初のシグナル微分値(D)を検索する。X=(A−C)/(D−C)が[X>所定閾値]を満たし且つ前記(D)の温度(t2)が前記温度範囲(T2)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する。前記Xが[X≦所定閾値]となる場合、温度範囲(T1)におけるシグナル微分値の積分値(Y1)および前記温度範囲(T2)におけるシグナル微分値の積分値(Y2)からY=Y1/Y2を求め、[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記(D)を第2ピークとして決定する。

Description

本発明は、融解曲線解析方法、融解曲線解析システム、融解曲線解析装置、前記解析方法をコンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラムならびにそれを格納した電子媒体に関する。
近年、遺伝子の多型や変異等を検出する方法として、標的核酸とプローブとから形成される二本鎖核酸の融解曲線を解析する方法(融解曲線解析方法)が広く採用されている。前記融解曲線解析方法によれば、前記融解曲線について、前記二本鎖の融解温度(Tm:melting temperature)におけるピークの有無を解析することで、遺伝子の多型の判断や変異の有無の検出が可能になる。
Tmは、一般的に、以下のように定義されている。二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。この現象に基づき、融解温度Tm(℃)とは、一般に、吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。
二本鎖DNAのこのような特性を利用すれば、例えば、以下のようにして標的部位における多型や変異の検出が可能である。すなわち、まず、変異型の標的部位を含む標的核酸配列に対して相補的な変異型検出用プローブを用いて、分析対象の一本鎖核酸と前記プローブとの二本鎖核酸を形成させる。続いて、形成された二本鎖核酸に加熱処理を施し、温度上昇に伴う二本鎖核酸の解離を示す吸光度等のシグナルを検出する。そして、得られたシグナル値の挙動から、標的部位における変異の有無を判断する方法である(非特許文献1、特許文献1参照)。Tm値は、二本鎖核酸の相同性が高い程高く、相同性が低い程低くなる。そこで、変異型の標的部位を含む標的核酸配列とそれに100%相補的な変異型検出用プローブとの二本鎖核酸、および、前記標的部位が野生型である核酸配列と前記変異型検出用プローブとの二本鎖核酸のそれぞれについて、予め評価基準となるTm値を求めておく。前述のように相同性が高い程Tm値は高くなるため、前者、すなわち標的部位が変異型である場合のTm値(以下、「Tm値」ともいう)は、相対的に高く、後者、すなわち標的部位が野生型である場合のTm値(以下、「Tm値」)は、相対的に低くなる。そして、分析対象の一本鎖核酸と前記変異型検出用プローブとから形成される二本鎖核酸の融解曲線を作成し、予め求めたTm値およびTm値のいずれにシグナルのピークが存在するかを確認する。その結果、Tm値付近にピークが存在する場合、前記変異型検出用プローブと100%マッチしているため、分析対象の一本鎖核酸は、変異型の多型であると判断できる。他方、Tm値付近にピークが存在する場合、前記変異型変異用プローブと1塩基ミスマッチしているため、分析対象の一本鎖核酸は、野生型の多型であると判断できる。
クリニカル・ケミストリー、2000年、第46巻、第5号、p631‐635 特開2005−58107号公報
しかしながら、従来の方法では、以下のような点が問題視されている。すなわち、従来では、各温度と、前記各温度におけるサンプルの融解状態を表すシグナル値またはシグナル値の微分値(以下、「シグナル微分値」という)との関係を示す融解曲線のグラフが作成されるに留まっている。そして、多型が野生型および変異型のいずれであるかは、例えば、目視により融解曲線から判断するしかない。しかし、このような多型の判断には、専門的知識が必要とされるため、例えば、融解曲線解析によって容易に多型を判断することが困難である。また、目視判断の場合、判断基準に個人差が生じることも問題視されている。このため、一般的な分析や診断の現場に、融解曲線解析を利用した遺伝子分析・遺伝子診断の用途を広げることが難しい状況である。さらに、複数の検体を一括に分析することも、その専門性等から困難となっている。このような問題は、遺伝子解析には限られず、例えば、融解曲線の所定の領域にピークがあるか否かを判断することが必要な場合、同様に起こっている問題と考えられる。
そこで、本発明は、サンプルの融解曲線において、2つの温度範囲の少なくとも一方にピークが存在するか否かを容易に解析できる、自動化可能な融解曲線解析方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのような融解曲線解析方法を実行するための融解曲線解析システム、融解曲線解析装置、プログラムおよび電子媒体の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の融解曲線解析方法は、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方に第1ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索工程
、および、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定工程
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、前述のように、絶対値が最も大きいシグナル微分値の検索と、そのシグナル微分値を示す温度が所定の温度範囲(T)または(T)内であるか否かを判断することによって、融解曲線について、所定の2つの温度範囲の少なくとも一方におけるピークの有無を解析できる。このため、例えば、従来のように、解析を行う個人の判定基準の違いや、専門的知識が必要とされるというような問題を回避することが可能である。したがって、融解曲線の解析が容易となり、また、自動化も可能となる。特に、従来の遺伝子解析装置等に本発明のシステムを組みこむことで、例えば、遺伝子型の判断はもちろんのこと、核酸の増幅から遺伝子型の判断までを全自動化して行うことも可能となる、したがって、本発明は、例えば、一般的な分析や診断の現場においても使用することができ、多数の検体についても容易な解析を可能とすることから、特に、遺伝子解析の分野において、極めて有用な技術といえる。
図1は、本発明のシステムを用いたスタンドアローン型の装置の一例の全体構成図である。 図2は、本発明のシステムを用いたネットワーク利用型の装置の一例の全体構成図である。 図3は、前記スタンドアローン型の装置の機器構成の一例を示すブロック図である。 図4は、前記ネットワーク型の装置の機器構成の一例を示すブロック図である。 図5は、本発明のシステムを実施するためのフローチャートの一例である。 図6は、本発明のシステムを実施するためのフローチャートの一例である。 図7は、本発明のシステムを実施するためのフローチャートの一例である。 図8は、本発明の実施形態における融解曲線を示すグラフである。 図9は、本発明の実施形態における融解曲線を示すグラフである。 図10は、本発明の実施形態における融解曲線を示すグラフである。 図11は、本発明の実施形態における融解曲線を示すグラフである。 図12は、本発明の実施形態における融解曲線を示すグラフである。 図13は、本発明の実施形態におけるシグナル微分値から得られたXを示すグラフである。 図14は、本発明の実施形態におけるシグナル積分値の比を示すグラフである。
本発明において、前記サンプルは、例えば、融解曲線の所定の温度範囲にピークが存在しているか否かを解析することが必要なものであれば、特に制限されない。前記サンプルの具体例としては、例えば、二本鎖核酸があげられる。前記二本鎖核酸としては、特に制限されないが、例えば、DNAとDNAとの二本鎖、RNAとRNAとの二本鎖、DNAとRNAとの二本鎖等があげられる。また、前記二本鎖核酸における各一本鎖の核酸配列は、例えば、天然の核酸を含んでもよいし、ペプチド核酸等の非天然の核酸を含んでもよく、また両方を含んでもよい。
本発明において、サンプルの融解状態を示すシグナルは、例えば、前記サンプルの非融解によって発生し、前記サンプルの融解によって発生が抑制されるものでもよいし、反対に、前記サンプルの非融解によって発生が抑制され、前記サンプルの融解によって発生するものであってもよい。本発明において、シグナル微分値は、例えば、「dF/dT」で表してもよいし、「−dF/dT」で表してもよい。dFは、シグナル値の変化量、dTは、温度の変化量を示す。サンプルの融解によってシグナルの発生が抑制される場合、シグナル微分値を「dF/dT」で表した融解曲線において、ピークは谷型となり、シグナル微分値を「−dF/dT」で表した融解曲線において、ピークは山型となる。また、前記サンプルの融解によってシグナルが発生する場合、シグナル微分値を「dF/dT」で表した融解曲線において、ピークは山型となり、シグナル微分値を「−dF/dT」で表した融解曲線において、ピークは谷型となる。なお、シグナルがサンプルの融解・非融解のいずれで発生しても、また、シグナル微分値をいずれの式で表した場合も、ピークの大きさは、例えば、シグナル微分値の絶対値の大きさで評価可能である。
本発明において、シグナル値の種類は、特に制限されず、例えば、吸光度(吸収強度)、蛍光強度等があげられる。前記本発明の融解曲線解析方法が、二本鎖核酸の融解曲線の解析を目的とする場合、前記シグナル値としては、例えば、前述のような、二本鎖核酸の融解により増加する、260nmにおける吸光度があげられる。また、前記シグナル値は、蛍光物質を使用した場合、例えば、前記蛍光物質に応じた励起光により放射される蛍光の強度であってもよい。前記蛍光物質は、前述のように、二本鎖の形成(非融解)により蛍光を発するものでも、二本鎖の融解により蛍光を発するものでもよい。蛍光物質の具体例として、エチジウムブロマイドやSYBR(登録商標)Greenのようなインターカレーターがあげられる。これらは、一般的に、二本鎖の形成(非融解)により蛍光を発し、二本鎖の融解によって蛍光の発生が抑制される。また、前記蛍光物質は、例えば、二本鎖核酸を構成する少なくとも一方の一本鎖核酸に結合していてもよい。前記蛍光物質が結合した一本鎖核酸としては、例えば、グアニン消光プローブとして知られているQProbe(登録商標)のようないわゆる蛍光消光プローブがあげられる。前記蛍光消光プローブは、一般的に、二本鎖の形成により蛍光が消光し、二本鎖の融解によって蛍光が発生する。なお、本発明は、シグナル値の処理に特徴があり、シグナルの種類等には何ら制限されない。
<融解曲線解析方法>
本発明の融解曲線解析方法は、前述のように、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索工程、
および、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定工程、を含むことを特徴とする。
本発明において、第1ピークとは、温度範囲(T)および(T)のいずれかに存在する、最も大きい絶対値であるシグナル微分値を示すピークを意味する。
また、本発明の融解曲線解析方法は、例えば、以下のような工程を含むことによって、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析することもできる。この場合、本発明は、前記温度範囲(T)および温度範囲(T)のいずれか一方に前記第1ピークが存在すると決定した場合、さらに、前記決定した第1ピークが存在しない他方の温度範囲に、第2ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法ともいえる。本発明において、第2ピークとは、前記温度範囲(T)および(T)のうち、前記第1ピークが存在する温度範囲(T)とは別の温度範囲に存在する、前記第1ピークについで大きい絶対値であるシグナル微分値を示すピークを意味する。
本発明の融解曲線解析方法は、さらに、
前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索工程、
および、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定工程を含むことが好ましい。
また、前記第2ピーク候補検索工程は、例えば、前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後(絶対値が減少から増加に変化した最初)のシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、絶対値がさらに増加して前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きくなる最初のシグナル微分値(D)を検索してもよい。
前記第2ピーク候補検索工程および第1の第2ピーク判定工程は、前述の第1ピーク判定工程において、前記第1ピークを決定した場合に行うことが好ましい。また、前記第1の第2ピーク判定工程においては、例えば、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピーク候補として決定できる。
本発明の融解曲線解析方法は、例えば、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、さらに、
前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算工程、
および、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定工程を含むことが好ましい。
本発明の融解曲線解析方法は、例えば、前記Xが「X≧閾値」を満たす場合、さらに、
前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う演算工程、
および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定工程を含むことが好ましい。
このように、温度範囲(T)および温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法としては、具体例として、以下のような方法があげられる。すなわち、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であり、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索工程、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定工程、
第1ピークが存在する場合、前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索工程、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定工程、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、
前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算工程、
X=(A−C)/(D−C)
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定工程、
前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算工程
Y=Y/Y
、および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定工程を含む方法があげられる。
以下に、本発明の融解曲線解析方法について、サンプルが二本鎖核酸である例をあげて説明する。具体的に、前記二本鎖核酸は、標的部位を含む標的核酸と前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸(以下、「検出用核酸」という)とから形成される二本鎖核酸である。この二本鎖核酸の融解曲線を、本発明の方法で解析することにより、前記標的部位における多型の解析が可能である。なお、本発明は、これに制限されない。
微分値準備工程
まず、各温度における二本鎖核酸の融解状態を示すシグナル値の微分値(シグナル微分値)を準備する。
前記シグナル微分値は、例えば、予め演算した値を用いてもよいし、本工程において、シグナル値から演算してもよい。また、前記シグナル微分値は、例えば、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)を含む広域の範囲について準備する。
前記温度範囲(T)および(T)は、それぞれ、後述するようにTmを含むことが好ましく、前記温度範囲(T)は、相対的に高い温度のTm値を含むことが好ましく、前記温度範囲(T)は、相対的に低い温度のTm値を含むことが好ましい。
前記温度範囲(T)および温度範囲(T)のそれぞれの温度幅は、特に制限されない。前記温度範囲(T)と前記温度範囲(T)との間、つまり、前記温度範囲(T)の下限と前記温度範囲(T)の上限とは、例えば、離れていることが好ましい。具体例としては、前記温度範囲(T)の下限と前記温度範囲(T)の上限との差が、3℃以上であることが好ましく、より好ましくは5℃以上である。前記差の上限は特に制限されず、前記温度範囲(T)の下限と前記温度範囲(T)の上限は、例えば、前記差の設定値や、Tm値(Tm、Tm)等に応じて適宜決定できる。具体的に、Tm値(例えば、56℃)とTm値(例えば、49℃)とに基づいて、温度範囲(T)および(T)を設定する一例をあげるが、本発明はこれには制限されない。Tm値(56℃)を含むTの下限と、Tm値(49℃)を含むTの上限との差が、例えば、3℃となるように、Tの下限およびTの上限を決定する場合、Tm値(56℃)とTの下限との温度幅、および、Tm値(49℃)とTの上限との温度幅が、同程度となるように、Tの下限(54℃)とTの上限(51℃)とを設定することが好ましい。そして、前記Tの上限は、Tm値(56℃)とTの上限との温度幅が、Tm値(56℃)とTの下限(54℃)との温度幅(2℃)と同程度となるように設定する(Tの上限58℃)。また、前記Tの下限は、Tm値(49℃)とTの下限との温度幅が、Tm値(49℃)とTの上限(51℃)との温度幅と同程度となるように設定する(Tの下限47℃)。
前記温度範囲(T)および温度範囲(T)を含む広域の温度範囲としては、例えば、下限が、Tm値よりも1〜20℃低い温度であることが好ましく、より好ましくは、Tm値よりも1〜10℃低い温度であり、上限が、Tm値よりも1〜20℃高い温度であることが好ましく、より好ましくは、Tm値よりも1〜10℃高い温度である。具体例として、前記温度範囲は、[Tm値−5]℃〜[Tm値+5]℃であることが好ましく、より好ましく[Tm値−2]℃〜[Tm値+2]℃である。
シグナル微分値の温度間隔は、特に制限されないが、例えば、0.1〜5℃の間隔であり、好ましくは0.2〜3℃の間隔、より好ましくは0.8〜1.2℃の間隔である。また、前記温度間隔は、例えば、異なっていてもよいが(ランダムでもよいが)、等間隔であることが好ましい。
前記温度範囲(T)は、相対的に高い温度のTm値を含むことが好ましく、前記温度範囲(T)は、相対的に低い温度のTm値を含むことが好ましい。これらのTm値は、解析目的の二本鎖核酸の種類に応じて適宜決定できる。前記Tm値は、例えば、従来公知のMELTCALCソフトウエア(http://www.meltcalc.com/)や最近接塩基対法(Nearest Neighbor Method)等によって決定できる。また、二本鎖核酸の標品を用いて、実際にTm値を測定することによっても決定できる(以下、同様)。具体例を以下に示すが、本発明は、これには制限されない。前記検出用核酸として、例えば、変異型の標的部位にハイブリダイズ可能な検出用核酸(以下、「変異型検出用核酸」という)を使用する場合には、変異型の標的部位を有する標的核酸と前記変異型検出用核酸との二本鎖核酸のTm値と、野生型の標的部位を有する標的核酸と前記変異型検出核酸との二本鎖核酸のTm値とを予め決定する。相同性が高い程、Tm値が高くなることから、前者のTm値がTm値となり、後者のTm値がTm値となる。反対に、前記検出用核酸として、野生型の標的部位にハイブリダイズ可能な検出用核酸(以下、「野生型検出用核酸」という)を使用する場合には、野生型の標的部位を有する標的核酸と前記野生型検出用核酸との二本鎖核酸のTm値と、変異型の標的部位を有する標的核酸と前記野生型検出核酸との二本鎖核酸のTm値とを予め決定する。相同性が高い程、Tm値が高くなることから、前者のTm値がTm値となり、後者のTm値がTm値となる。
なお、本発明の融解曲線解析方法においては、例えば、前記微分値準備工程に先立って、増幅不良の検知工程を有してもよい。二本鎖核酸の融解曲線解析は、一般に、目的の鋳型核酸を核酸増幅方法により増幅させ、得られた増幅産物を用いて行われるが、例えば、増幅目的の配列が存在しなかったり、増幅試薬の劣化等によって、鋳型核酸が増幅されない場合もある。したがって、本発明においては、微分値準備工程に先立って、増幅不良を検知することで、未増幅のサンプルについての解析を中止し、増幅したサンプルのみの解析を行うこともできる。
第1ピーク候補検索工程
つぎに、前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する。
第1ピーク判定工程
続いて、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれるか否かを確認する。そして、前記温度(t)が、前記温度範囲(T)および(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定する。他方、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する。
第2ピーク候補検索工程
前記工程で第1ピークが存在すると判定した場合、続いて、シグナル微分値(C)およびシグナル微分値(D)の検索を行う。具体的には、前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する。この際、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または絶対値が減少から増加に変化した最初のシグナル微分値(C)、および、絶対値がさらに増加して前記シグナル微分値(A)に次いで最も大きくなる最初のシグナル微分値(D)を検索してもよい(以下、同様)。
第1の第2ピーク判定工程
前記工程で前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在すると判定した場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定する。他方、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する。
Xの演算工程
続いて、前記工程で前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在すると判定した場合、前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う。
X=(A−C)/(D−C)
第2の第2ピーク判定工程
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する。他方、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する。前記閾値は、例えば、シグナルの種類、シグナルの検出波長、シグナル(蛍光)を発する蛍光物質の種類、検出目的の遺伝子や多型の種類、検出用核酸の配列、二本鎖核酸を形成する際の反応溶液組成等に応じて適宜設定できる。本発明は、閾値の具体的な値やその設定方法が特徴ではなく、それらによって制限されるものではない。なお、閾値の設定方法については、その一例を後述する。
積分演算工程
一方、前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る。
Yの演算工程
前記工程により得られた温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う。
Y=Y/Y
第3の第2ピーク判定工程
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する。他方、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する。前記閾値は、例えば、シグナルの種類、シグナルの検出波長、シグナル(蛍光)を発する蛍光物質の種類、検出目的の遺伝子や多型の種類、検出用核酸の配列、二本鎖核酸を形成する際の反応溶液組成等に応じて適宜設定できる。本発明は、閾値の具体的な値やその設定方法が特徴ではなく、それらによって制限されるものではない。なお、閾値の設定方法については、その一例を後述する。このようにして、融解曲線解析の所定の温度範囲TおよびTのそれぞれにおいてピークが存在するか否かを客観的に判断することができる。
前記標的核酸が一対の対立遺伝子の場合、前記標的部位の多型が、ホモ接合性およびヘテロ接合性のいずれであるかを判定することが求められる。本発明においては、まず、前記第1の第2ピーク判定工程、前記第2の第2ピーク判定工程および前記第3の第2ピーク判定工程において、第2ピークなしと決定した場合、第1ピークのみが存在することから、前記標的部位の多型をホモ接合性であると決定できる。他方、前記各工程のいずれかにおいて、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定した場合は、第1および第2の2つのピークが存在することから、前記標的部位の多型をヘテロ接合性であると決定できる。
また、前記多型がホモ接合性の場合、前記標的部位における多型について、野生型であるか変異型であるかを判定することが求められる。そこで、本発明は、さらに、多型について野生型であるか変異型であるかを判定する多型判定工程を含んでもよい。この工程においては、前記野生型検出用核酸を用いた場合、前記第1ピークであるシグナル微分値(A)を示す温度(t)が前記温度範囲(T)に含まれる際には、野生型と判定し、前記温度範囲(T)に含まれる際には、変異型と判定できる。他方、前記変異型検出用核酸を使用した場合、前記第1ピークであるシグナル微分値(A)を示す温度(t)が前記相対的に高い所定の温度範囲(T)に含まれる際には、変異型と判定し、前記相対的に低い所定の温度範囲(T)に含まれる際には、野生型と判定できる。以上のようにして、標的部位の多型がホモ接合性であるかヘテロ接合性であるか、さらに、野生型であるか変異型であるかについても判定することができる。
本発明の融解曲線解析方法は、例えば、得られた判定結果の情報を出力する出力工程をさらに有することが好ましい。前記判定結果としては、例えば、第1ピークおよび第2ピークの有無、多型がホモ接合性およびヘテロ接合性のいずれであるか、多型が野生型および変異型のいずれであるか等という項目があげられる。出力の際には、例えば、判定結果のみが出力されてもよいし、融解曲線のグラフとあわせてこれらの判定結果が出力されてもよい。
本発明においては、例えば、さらに、前記微分値準備工程において準備した前記各温度におけるシグナル微分値について、連続するシグナル微分値間の多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る多項演算工程を含んでもよい。これによって、例えば、融解曲線においてピークを際立たせることができる。この多項演算工程において得られた前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を、前述した各工程において、前記各温度におけるシグナル微分値として使用すればよい。
多項演算の方法は、特に制限されず、一般的な方法が採用できる。多項演算は、例えば、連続する奇数個のシグナル微分値の和により行ってもよいし、連続する偶数個のシグナル微分値の和により行ってもよい。奇数個の場合、例えば、下記式に示すように、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M:M個目の点)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M)を中心として、連続する前のq個のシグナル微分値と、連続する後ろのq個のシグナル微分値との和から算出できる。Mは、2以上の正整数であり、qは、1以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−q+PM−q+1+・・・+P+・・・+PM+q−1+PM+q
また、偶数個の場合、例えば、下記式に示すように、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M)を中心として、連続する前のr個のシグナル微分値と、連続する後ろの(r+1)個のシグナル微分値との和から算出できる。Mは、2以上の正整数であり、rは、0以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−r+・・・+P+・・・+PM+(r+1)
または、例えば、下記式に示すように、任意の点(M)におけるシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M)を中心として、連続する前の(r+1)個のシグナル微分値と、連続する後ろのr個のシグナル微分値との和から算出することもできる。rは、0以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−(r+1)+・・・+P+・・・+PM+r
多項演算において、任意の点の多項演算値の算出に使用するシグナル微分値の個数は、特に制限されず、例えば、連続する2点以上のシグナル微分値について行うことが好ましく、より好ましくは2〜9点であり、さらに好ましくは3点である。3点のシグナル微分値について行う場合は、例えば、前記微分値準備工程において準備したn点(nは3以上の正整数)の各温度におけるシグナル微分値のうち、2点目から(n−1)点目の各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ、下記式に基づいて多項演算処理を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得ることができる。下記式において、Pは、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値、PM−1は、前記任意の点(M)の直前の点(M−1)におけるシグナル微分値、PM+1は、前記任意の点(M)の直後の点(M+1)におけるシグナル微分値である。Mは、2番目以降の点であり、具体的には、2番目の点から(n−1)番目の点である。
多項演算値=(PM−1+P+PM+1
このように多項演算を行った場合の融解曲線の例を図12に示す。同図は、温度とシグナル微分値(−dF/dT)との関係を示す融解曲線のグラフであり、同図において、◆が、シグナル微分値のプロットであり、■が、シグナル微分値を多項演算した値のプロットである。このように、多項演算を行うことによって、ピークを際立たせることが可能である。なお、同図において、シグナル微分値の値ならびに温度値等は例示であって、本発明を制限するものではない(他の図においても同様)。また、前記多項演算工程においては、例えば、連続するシグナル微分値について、移動平均化を行ってもよい。
また、微分値準備工程における前記シグナル微分値は、予め演算されたものを使用してもよいが、例えば、微分値準備工程において、各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を微分することによって、前記各温度におけるシグナル微分値を得てもよい。また、前記シグナル値は、例えば、予め検出により得られたデータを使用してもよいが、例えば、微分値準備工程に先立って、シグナル値の検出を行うことにより準備してもよい。具体的には、前記微分値準備工程に先立って、さらに、サンプル(例えば、二本鎖核酸)の温度を変化させる温度変化工程、および、温度変化時における前記サンプルの融解状態を示すシグナル値を連続的または断続的に検出する検出工程を有してもよい。前記温度変化工程は、例えば、前記サンプルを加熱する加熱工程であってもよいし、加熱されたサンプルを冷却する冷却工程でもよいが、前記加熱工程が好ましい。
さらに具体的に、図8〜図11に示す融解曲線を例にあげて、本発明の融解曲線解析方法を説明する。図8〜図11は、それぞれ、温度とシグナル微分値(−dF/dT)との関係を示す融解曲線のグラフである。各図において、X軸が温度(℃)であり、Y軸が、シグナル微分値(−dF/dT)である。また、相対的に低いTm値を49℃、それを含む温度範囲Tmを47〜51℃、相対的に高いTm値を56℃、それを含む温度範囲Tmを54〜58℃に設定している。なお、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
図8に示すように、温度と各温度におけるシグナル微分値との関係を示す融解曲線を準備し、絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する。これが第1ピーク候補となる。ここで、前記シグナル微分値(A)が検出されなかった場合、第1ピークおよび第2ピークなしと判断される。
次に、図9に示すように、前記シグナル微分値(A)を示す温度56℃は、温度範囲(T)に含まれることから、シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定する。続いて、図10に示すように、シグナル微分値(A)を示す温度56℃を始点として、矢印で示すように、温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前のシグナル微分値(C)を検索する。図10においては、52℃におけるシグナル微分値がシグナル微分値(C)となる。引き続き、シグナル微分値(C)を示す温度(52℃)から、矢印に示すように温度範囲(T)の方向に向かって、絶対値がさらに増加して、前記シグナル微分値(A)に次いで最も大きくなる最初のシグナル微分値(D)を検索する。図10においては、49℃におけるシグナル微分値が、第2ピーク候補のシグナル微分値(D)となる。なお、ここで、シグナル微分値(C)および(D)が検出されなかった場合は、第2ピークなしと決定される。
続いて、シグナル微分値(A)、(C)および(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う。得られたXが[X<所定閾値]を満たす場合、シグナル微分値(D)を示す温度(49℃)は、温度範囲(T)に含まれるため、第2ピークとして決定する。
他方、得られたXが[X<所定閾値]ではなく[X≧所定閾値]を満たす場合、温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る。図11における斜線部分が、温度範囲TおよびTにおける微分値の積分範囲である。そして、温度範囲(T)の積分値(Y)と温度範囲(T)の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う。前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する。なお、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する。
本発明において、前述のように、前記Xの閾値およびYの閾値は何ら制限されず、例えば、標的核酸(遺伝子)の種類や多型の種類等に応じて適宜決定できる。以下に、閾値の設定方法について例示するが、本発明は、これに制限されない。
Xの閾値は、例えば、以下のようにして決定できる。予め、所定の遺伝子の標的部位における多型(ホモ接合性またはヘテロ接合性)が既知である核酸検体を複数準備する。そして、各核酸検体と検出用核酸との二本鎖に関する融解曲線から、前述と同様にして、シグナル微分値(A)、(C)および(D)を決定し、X=(A−C)/(D−C)の演算を行う。そして、各核酸検体におけるXをプロットしたグラフを作成する。このグラフの一例を図13に示す。同図に示すように、第1ピークのみが検出されるホモ接合性(■)と、第1および第2の2つのピークが検出されるヘテロ接合性(◆)では、Xの値が明らかに異なる。そこで、このグラフから、ホモ接合性とヘテロ接合性との臨界値を決定し、これをXの閾値に設定することができる。
Yの閾値も、前記Xと同様にして決定できる。予め、所定の遺伝子の標的部位における多型(ホモ接合性またはヘテロ接合性)が既知である核酸検体を複数準備する。そして、各核酸検体と検出用核酸との二本鎖に関する融解曲線から、温度範囲Tにおける積分値(Y)と温度範囲Tにおける積分値(Y)を求め、Y=Y/Yの演算を行う。そして、各核酸検体におけるYをプロットしたグラフを作成する。このグラフの一例を図14に示す。同図に示すように、第1ピークのみが検出されるホモ接合性(■)と、第1および第2の2つのピークが検出されるヘテロ接合性(◆)では、Xの値が明らかに異なる。そこで、このグラフから、ホモ接合性とヘテロ接合性との臨界値を決定し、これをXの閾値に設定することができる。
本発明の融解曲線解析方法は、例えば、後述する本発明の融解曲線解析システム、本発明の融解曲線解析装置、本発明のコンピュータプログラムの実行等によって実現できる。
<第2ピーク判定方法>
本発明の第2ピーク判定方法は、例えば、前述の本発明の融解曲線解析方法における、積分演算工程、Yの演算工程および第3の第2ピーク判定工程に該当する。この方法によれば、第1ピークの存在が決定された融解曲線について、容易に、第2ピークの存在の有無を判定することが可能である。
本発明の第2ピーク判定方法は、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを判定する第2ピーク判定方法であって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
前記一方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値、および、前記他方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う演算工程、
および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、第2ピークありと決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第2ピーク判定工程を含むことを特徴とする。なお、前記第2ピーク判定工程は、前述の第3の第2ピーク判定工程に該当する。
本発明の第2ピーク判定方法は、例えば、前記積分演算工程に先立って、さらに、前述のような、前記第2ピーク候補検索工程、前記第1の第2ピーク判定工程、前記Xの演算工程、前記第2の第2ピーク判定工程を有してもよい。すなわち、本発明の第2ピーク判定方法は、例えば、前記Yの演算工程に先立って、さらに、前記第1ピークを示す温度(t)を始点として、前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から前記他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索工程を有してもよい。
そして、例えば、さらに、第1の第2ピーク判定工程を有し、本工程において、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定してもよい。本工程において、前記ピークの候補を決定した場合は、例えば、引き続き、前記Yの演算工程および第3の第2ピーク判定工程を実施してもよいし、さらに、前記Xの演算工程および第2の第2ピーク判定工程を実施してもよい。
すなわち、本発明の第2ピーク判定方法は、例えば、さらに、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合には、前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算工程、
および、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定工程を有してもよい。そして、前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合に、前記Yを演算する演算工程を行うことが好ましい。
本発明の第2ピーク判定方法は、例えば、後述する本発明の融解曲線解析システム、本発明の第2ピーク判定システム、本発明の融解曲線解析装置、本発明の第2ピーク判定システム、本発明のコンピュータプログラムの実行等によって実現できる。
<融解曲線解析システム>
本発明の融解曲線解析システムは、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムであって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記微分値入力部により入力された前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、
および、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部、を含むことを特徴とする。
また、本発明の融解曲線解析システムは、例えば、以下のような各部を含むことによって、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析することもできる。この場合、本発明は、前記温度範囲(T)および温度範囲(T)のいずれか一方に前記第1ピークが存在すると決定した場合、さらに、前記決定した前記第1ピークが存在しない他方の温度範囲に第2ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムともいえる。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、
前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
および、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記第1の第2ピーク判定部において、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定することができる。
また、前記第2ピーク候補検索部は、例えば、前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後(絶対値が減少から増加に変化した最初)のシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、絶対値がさらに増加して前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きくなる最初のシグナル微分値(D)を検索する検索部であってもよい。
本発明の融解曲線解析システムは、例えば、さらに、前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算部、
および、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、これらの各部によって、前記第2ピークの候補について、第2ピークか否かを判断することができる。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う演算部、
および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。
前記演算部で求めた前記Xが[X≦所定閾値]を満たす場合、これらの各部により、第2ピークか否かを判断することができる。
このように、温度範囲(T)および温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムとしては、具体例として、以下のような方法があげられる。すなわち、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムであって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記微分値入力部により入力された前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部、
第1ピークが存在する場合、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部、
前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算部、
X=(A−C)/(D−C)
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部、
前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
Y=Y/Y
、および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部、を含むことを特徴とする。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を微分して、前記各温度におけるシグナル微分値を得る微分演算部を含むことが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値について、連続するシグナル微分の多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る多項演算部を含んでもよい。他の各部は、前記多項演算部により得られた前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を、前記各温度におけるシグナル微分値として使用することが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムにおいて、前記多項演算部は、特に制限されず、一般的な手段が採用できる。多項演算は、例えば、連続する奇数個のシグナル微分値の和により行ってもよいし、連続する偶数個のシグナル微分値の和により行ってもよい。奇数個の場合、例えば、下記式に示すように、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M:M番目の点)を中心として、連続する前のq個のシグナル微分値と、連続する後ろのq個のシグナル微分値との和から算出できる。Mは、2以上の正整数であり、qは、1以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−q+PM−q+1+・・・+P+・・・+PM+q−1+PM+q
また、偶数個の場合、例えば、下記式に示すように、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M)を中心として、連続する前のr個のシグナル微分値と、連続する後ろの(r+1)個のシグナル微分値との和から算出できる。Mは、2以上の正整数であり、rは、0以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−r+・・・+P+・・・+PM+(r+1)
または、例えば、下記式に示すように、任意の点(M)におけるシグナル微分値(P)の多項演算値(Q)は、任意の点(M)のシグナル微分値(P)と、前記任意の点(M)を中心として、連続する前の(r+1)個のシグナル微分値と、連続する後ろのr個のシグナル微分値との和から算出することもできる。rは、0以上の正整数である。
多項演算値(Q)=PM−(r+1)+・・・+P+・・・+PM+r
多項演算において、任意の点の多項演算値の算出に使用するシグナル微分値の個数は、特に制限されず、例えば、連続する2点以上のシグナル微分値について行うことが好ましく、より好ましくは2〜9点であり、さらに好ましくは3点である。3点のシグナル微分値について行う場合は、例えば、前記微分値準備工程において準備したn点(nは3以上の正整数)の各温度におけるシグナル微分値のうち、2点目から(n−1)点目の各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ、下記式に基づいて多項演算処理を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得ることができる。下記式において、Pは、融解曲線における任意の点(M)のシグナル微分値、PM−1は、前記任意の点(M)の直前の点(M−1)におけるシグナル微分値、PM+1は、前記任意の点(M)の直後の点(M+1)におけるシグナル微分値である。Mは、2番目以降の点であり、具体的には、2番目の点から(n−1)番目の点である。
多項演算値=(PM−1+P+PM+1
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、サンプルの温度を変化させる温度変化部、および、温度変化時における前記サンプルの融解状態を示すシグナル値を連続的または断続的に検出する検出部を有することが好ましい。前記温度変化部としては、例えば、サンプルを加熱する加熱部でもよいし、加熱されたサンプルを冷却する冷却部であってもよい。前記温度変化部としては、例えば、温度調節が可能な温度調節器、ヒーター、サーマルサイクラー等があげられ、前記検出部としては、例えば、分光光度計や蛍光光度計等があげられる。また、両者を備えた手段としては、例えば、リアルタイムPCRに使用する測定器等があげられる。
本発明の融解曲線解析システムにおいて、前記シグナルが蛍光であり、前記検出部は、蛍光を検出することが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムは、二本鎖核酸の融解曲線の解析システムであることが好ましく、前記二本鎖核酸は、標的部位を含む標的核酸と前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸とから形成される二本鎖核酸であることが好ましい。そして、前記標的部位を含む標的核酸と前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸とから形成される二本鎖核酸の融解曲線の解析により、前記標的部位における多型を解析することが好ましい。
本発明において、前記標的核酸が一対の対立遺伝子の場合、前記第1の第2ピーク判定部、前記第2の第2ピーク判定部および前記第3の第2ピーク判定部は、第2ピークなしと決定する場合、さらに前記標的部位の多型についてホモ接合性であると決定し、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する場合、さらに前記標的部位の多型についてヘテロ接合性であると決定することが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記標的核酸の標的部位における多型について野生型であるか変異型であるかを判定する多型判定部を含み、前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸が、野生型の前記標的部位にハイブリダイズ可能な場合、前記第1ピークであるシグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記相対的に高い所定の温度範囲(T)に含まれる際には野生型と判定し、前記相対的に低い所定の温度範囲(T)に含まれる際には変異型と判定し、
前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸が、変異型の前記標的部位にハイブリダイズ可能な場合、前記第1ピークであるシグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記相対的に高い所定の温度範囲(T)に含まれる際には変異型と判定し、前記相対的に低い所定の温度範囲(T)に含まれる際には野生型と判定することが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムは、例えば、第1ピークおよび第2ピークの有無、ホモ接合性かヘテロ接合性であるか、野生型か変異型であるか等の判定結果の情報を出力する出力部を有することが好ましい。出力の際には、例えば、判定結果のみが出力されてもよいし、融解曲線のグラフとあわせてこれらの判定結果が出力されてもよい。
<ネットワーク融解曲線解析システムおよびそれに用いる端末>
本発明の融解曲線解析システムは、以下に示す端末とサーバーとを有するネットワークシステムであってもよい。なお、特に示さない限りは、前述の融解曲線解析システムと同様である。すなわち、本発明のネットワーク融解曲線解析システムは、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析するネットワーク融解曲線解析システムであって、
端末と、サーバーとを有し、
前記端末および前記サーバーは、システム外の通信網を介して接続可能であり、
前記端末は、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記端末内の情報を前記通信網を介して前記サーバーに送信する端末側送信部、および、
前記サーバーから送信された情報を前記通信網を介して受信する端末側受信部を有し、
前記サーバーは、
前記サーバー内の情報を前記通信網を介して前記端末に送信するサーバー側送信部、
前記端末から送信された情報を前記通信網を介して受信するサーバー側受信部、
前記サーバー側受信部により受信した前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、および、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部を含み、
少なくとも前記各温度における前記シグナル微分値が、前記端末側送信部から前記サーバー側受信部に送信され、且つ、前記第1ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることを特徴とする。
また、本発明の融解曲線解析システムは、例えば、以下のような各部を含むことによって、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析することもできる。この場合、本発明は、前記温度範囲(T)および温度範囲(T)のいずれか一方に前記第1ピークが存在すると決定した場合、さらに、前記決定した前記第1ピークが存在しない他方の温度範囲に第2ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムともいえる。また、この場合、前記第1ピークの判定結果に加えて、第2ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることが好ましい。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記サーバー側受信部により受信した前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
および、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記第1の第2ピーク判定部において、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定することができる。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算部、
および、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、これらの部によって、前記第2ピークの候補について、第2ピークか否かを判断することができる。
本発明の融解曲線解析システムは、さらに、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う演算部、
および。
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部を含むことが好ましい。前記演算部で求めた前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、これらの各部により、第2ピークか否かを判断することができる。
このように、温度範囲(T)および温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムとしては、具体例として、以下のような方法があげられる。すなわち、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析するネットワーク融解曲線解析システムであって、
端末と、サーバーとを有し、
前記端末および前記サーバーは、システム外の通信網を介して接続可能であり、
前記端末は、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記端末内の情報を前記通信網を介して前記サーバーに送信する端末側送信部、および、
前記サーバーから送信された情報を前記通信網を介して受信する端末側受信部を有し、
前記サーバーは、
前記サーバー内の情報を前記通信網を介して前記端末に送信するサーバー側送信部、
前記端末から送信された情報を前記通信網を介して受信するサーバー側受信部、
前記サーバー側受信部により受信した前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、
前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部、
第1ピークが存在する場合、前記サーバー側受信部により受信した前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部、
前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算部、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部、
前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
Y=Y/Y
、および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部を含み、
少なくとも前記各温度における前記シグナル微分値が、前記端末側送信部から前記サーバー側受信部に送信され、且つ、前記第1ピークおよび第2ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることを特徴とする。
前記端末は、さらに、前記各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を微分して、前記各温度におけるシグナル微分値を得る微分演算部を含むことが好ましい。また、前記端末から前記サーバーに微分前の前記シグナル値を送信する場合には、前記サーバーは、前記微分演算部を含むことが好ましい。
前記端末または前記サーバーは、さらに、前記各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る多項演算部を含むことが好ましい。そして、他の各部においては、前記多項演算部により得られた前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を、前記各温度におけるシグナル微分値として使用することが好ましい。また、前記端末または前記サーバーは、さらに、前記各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ移動平均処理を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の移動平均値を得る移動平均演算部を含んでもよい。そして、他の各部においては、前記移動平均演算部により得られた前記各温度におけるシグナル微分値の移動平均値を、例えば、前記各温度におけるシグナル微分値として使用することもできる。
本発明のネットワーク融解曲線解析システムは、二本鎖核酸の融解曲線の解析システムであることが好ましく、前記二本鎖核酸は、標的部位を含む標的核酸と前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸とから形成される二本鎖核酸であることが好ましい。そして、前記標的部位を含む標的核酸と前記標的部位にハイブリダイズ可能な核酸とから形成される二本鎖核酸の融解曲線の解析により、前記標的部位における多型を解析することが好ましい。
本発明において、前記標的核酸が一対の対立遺伝子の場合、前記第1の第2ピーク判定部、前記第2の第2ピーク判定部および前記第3の第2ピーク判定部は、第2ピークなしと決定する場合、さらに前記標的部位の多型についてホモ接合性であると決定し、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する場合、さらに前記標的部位の多型についてヘテロ接合性であると決定することが好ましい。
前記サーバーは、さらに、前記標的核酸の標的部位における多型について野生型であるか変異型であるかを判定する多型判定部を含むことが好ましい。判定方法は、前述の通りある。この場合、前記サーバーから前記端末に、多型の判定結果の情報が送信されることが好ましい。また、前記端末が、多型判定部を有し、前記サーバーから前記端末に送信された前記第1ピークおよび第2ピークの判定結果の情報に基づいて、多型の判定が行われてもよい。
本発明の端末は、本発明のネットワーク融解曲線解析システムに用いる端末であって、
前記端末は、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記端末内の情報を前記通信網を介して前記サーバーに送信する端末側送信部、および、
前記サーバーから送信された情報を前記通信網を介して受信する端末側受信部を有し、
少なくとも前記各温度における前記シグナル微分値が、前記端末側送信部から前記サーバー側受信部に送信され、且つ、前記第1ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることを特徴とする。また、前記サーバー側送信部から、前記第1ピークの判定結果に加えて、第2ピークの判定結果の情報が、前記端末受信部に送信されることが好ましい。
<第2ピーク判定システム>
本発明の第2ピーク判定システムは、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを解析する第2ピーク判定システムであって、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記一方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値、および、前記他方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて式「Y=Y/Y」の演算を行う演算部、および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、第2ピークありと決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第2ピーク判定部を含むことを特徴とする。
本発明の第2ピーク判定システムは、さらに、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記第1ピークを示す温度(t)を始点として、前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から前記他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部を有することが好ましい。そして、例えば、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合には、前記演算部および前記第2ピーク判定部を実行させ、前記第2ピーク判定部により、前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル部分値(D)を第2ピークとして決定することが好ましい。また、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合には、例えば、前記2ピーク判定部により、第2ピークなしと決定することができる。前記第2ピーク候補検索部は、例えば、本発明の融解曲線解析システムにおける第2ピーク候補検索部に該当する。
また、本発明の第2ピーク判定システムは、さらに、前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて式「X=(A−C)/(D−C)」の演算を行う演算部、および、
前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する判定部を有してもよい。そして、前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合に、前記Yを演算する演算部を実行させることが好ましい。
本発明の第2ピーク判定システムは、例えば、本発明の融解曲線解析システムにおいて、第2の第2ピーク判定部として用いることが好ましい。
<第2ピーク判定ネットワークシステムおよびそれに用いる端末>
本発明の第2ピーク判定システムは、以下に示す端末とサーバーとを有するネットワークシステムであってもよい。なお、特に示さない限りは、前述の第2ピーク判定システムと同様である。すなわち、本発明のネットワーク第2ピーク判定システムは、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを解析するネットワーク第2ピーク判定システムであって、
端末と、サーバーとを有し、
前記端末および前記サーバーは、システム外の通信網を介して接続可能であり、
前記端末は、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記端末内の情報を前記通信網を介して前記サーバーに送信する端末側送信部、および、
前記サーバーから送信された情報を前記通信網を介して受信する端末側受信部を有し、
前記サーバーは、
前記サーバー内の情報を前記通信網を介して前記端末に送信するサーバー側送信部、
前記端末から送信された情報を前記通信網を介して受信するサーバー側受信部、
前記サーバー側受信部により受信した、前記一方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値、および、前記他方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
Y=Y/Y
、および、
前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、第2ピークありと決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第2ピーク判定部を含み、
少なくとも前記各温度における前記シグナル微分値が、前記端末側送信部から前記サーバー側受信部に送信され、且つ、前記第2ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることを特徴とする。
前記サーバーは、さらに、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記第1ピークを示す温度(t)を始点として、前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から前記他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部を有することが好ましい。そして、例えば、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合には、前記演算部および前記第2ピーク判定部が実行され、前記第2ピーク判定部により、前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル部分値(D)を第2ピークとして決定することが好ましい。また、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合には、例えば、第2ピークなしと決定することができる。
本発明の端末は、本発明の第2ピーク判定システムに用いる端末であって、
前記端末は、
各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
前記端末内の情報を前記通信網を介して前記サーバーに送信する端末側送信部、および、
前記サーバーから送信された情報を前記通信網を介して受信する端末側受信部を有し、
少なくとも前記各温度における前記シグナル微分値が、前記端末側送信部から前記サーバー側受信部に送信され、且つ、前記第2ピークの判定結果の情報が、前記サーバー側送信部から前記端末側受信部に送信されることを特徴とする。
<融解曲線解析装置>
本発明の融解曲線解析装置は、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析装置であって、本発明の融解曲線解析システムを含むことを特徴とする。
<第2ピーク判定装置>
本発明の第2ピーク判定装置は、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを解析する第2ピーク判定装置であって、本発明の第2ピーク判定システムを含むことを特徴とする。また、本発明の第2ピーク判定装置は、本発明の融解曲線解析装置に用いることが好ましい。
<プログラム>
本発明のプログラムは、本発明の融解曲線解析方法をコンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラムである。また、本発明のプログラムは、本発明の第2ピーク判定方法をコンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラムである。
<電子媒体>
本発明の電子媒体は、本発明のコンピュータプログラムを格納した電子媒体である。
つぎに、本発明の実施例について説明する。
第1のシステム構成例
図1に、本発明のシステムの構成の一例であるスタンドアローン型の全体構成図を示す。図1に示すシステムは、本発明の融解曲線解析システム11から構成され、融解曲線解析システム11は、データ入出力部12とピーク判定計算部13から構成される。図3に、スタンドアローン型の融解曲線解析装置のハードウェア構成の一例を示す。図示のように、融解曲線解析システム11は、データ入出力部12、ピーク判定計算部13および記憶装置37から構成されている。前記データ入出力部12は、プログラムを実行するCPU31、入出力I/F(インターフェース)32、データの入力を行う入力装置33、データの出力を行う出力装置34を有するコンピュータ機器で構成される。入力装置33としては、例えば、キーボードやマウス等があげられ、出力装置34としては、例えば、プリンターや、LEDまたは液晶ディスプレイ等があげられる。ピーク判定計算部13は、プログラムが格納されたプログラム格納部36およびプログラムを実行するCPU35を有するコンピュータ機器で構成される。記憶装置37には、例えば、各温度におけるシグナル値およびシグナル微分値、Tm値(Tm値、Tm値)やTm値を含む所定の温度範囲(T、T)、検出用プローブの種類(野生型検出用であるか変異型検出用であるか)やその配列等のデータが、呼び出し可能な状態で記憶される。記憶装置37としては、例えば、ROM、HDD、HD等があげられ、CPUの制御下、読みこみ/書きこみを制御し、データを記憶する。なお、データ出力部12、ピーク判定計算部13、記憶装置37は、あくまでも機能上のものであり、例えば、1台のコンピュータ機器で一体に構成してもよいし、複数台のコンピュータ機器で個別に構成してもよい。
また、本発明のシステムは、さらに、サンプルの温度を変化させる温度変化処理部、温度変化処理時におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を連続的または断続的に検出する検出部を有してもよい。そして、前記検出部において検出されたシグナル値を前記データ入出力部により入力してもよい。前記温度変化処理部は、例えば、サンプルを加熱処理する加熱処理部でもよいし、加熱したサンプルを冷却する冷却処理部であってもよい。前記加熱処理部は、例えば、加熱装置等があげられる。前記検出部は、例えば、光学光度計や蛍光光度計があげられる。前記温度変化処理部および前記検出部は、それぞれ、例えば、1台のコンピュータ機器で一体に構成してもよいし、複数台のコンピュータ機器で個別に構成してもよい。また、前記温度変化処理部および前記検出部は、例えば、1台のコンピュータ機器で一体に構成してもよいし、複数台のコンピュータ機器で個別に構成してもよい。この他に、生体試料から核酸を抽出するための核酸抽出部や、核酸増幅反応を行う増幅処理部等を備えてもよい。このような構成とすることで、例えば、核酸の増幅から融解曲線解析による多型の判定までを一つのシステムで自動的に行うことができる遺伝子型判定システムを提供できる。
第2のシステム構成例
図2に、サーバーで処理するネットワーク型のシステムの全体構成図を示す。図2に示すように、本実施形態のシステムは、本発明の融解曲線解析システム21、および、ピーク判定計算部23から構成されるサーバーシステム24で構成される。融解曲線解析システム21は、データ入出力部22から構成される。融解曲線解析システム21とサーバーシステム24は、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に基づくインターネットとして機能する公衆網や専用線等の通信回線100を介して接続されている。図4に、前記ネットワーク型システムの装置の構成の一例を示す。融解曲線解析システム21は、データ入出力部22および通信I/F(インターフェース)47から構成され、通信I/F47を介して通信回線100に接続されている。サーバーシステム24は、ピーク判定計算部23および通信I/F48から構成され、通信I/F48を介して通信回線100に接続されている。データ出力部22は、プログラムを実行するCPU41、入出力I/F42、データの入力を行う入力装置43およびデータの出力を行う出力装置44から構成される。前記データ入出力部22および通信I/F47は、あくまでも機能上のものであり、例えば、1台のコンピュータ機器で一体に構成してもよいし、複数台のコンピュータ機器で個別に構成してもよい。ピーク判定計算部23は、プログラムを実行するCPU45およびプログラムが格納されたプログラム格納部46で構成される。ピーク判定計算部23および通信I/F48は、あくまでも機能上のものであり、例えば、1台のコンピュータ機器で一体に構成してもよいし、複数台のコンピュータ機器で個別に構成してもよい。
システムの基本的な処理の例
本発明の融解曲線解析システムの基本的な処理の例を、図5のフローチャートに示す。以下、同図にしたがって、処理の流れを説明する。なお、本発明のシステムにおける各処理ステップは、例えば、CPU、主メモリ、バス、あるいは、二次記憶装置、印刷装置やディスプレイ、その他の外部周辺装置等のハードウェア構成部や、その外部周辺機器用の入出力ポート(I/Oポート)、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどを適宜利用することで実行できる。
[1]
各温度におけるシグナル微分値を入力する。
[2]
最も高いシグナル微分値(A)を検索する。
[3]
シグナル微分値(A)の温度が、温度範囲TおよびTのいずれか一方の温度範囲(T)に含まれるかを判断する。
[3−1:No]
前記[3]がNoの場合、ピークなしと決定する。
[4:Yes]
前記[3]がYesの場合、シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定する。
[5]
シグナル微分値(C)およびシグナル微分値(D)が存在するかを検索する。
[5−1:No]
前記[5]がNoの場合、第2ピークなしと決定する。
[6]
前記[5]がYesの場合、シグナル微分値(A)、(C)および(D)から演算したXが、[X>閾値]を満たすか判断する。
[7:Yes]
前記[6]がYesの場合、シグナル微分値(D)の温度が、温度範囲TおよびTのうち、前記温度範囲(T)ではない他方の温度範囲(T)に含まれるかを判断する。
[7−1:No]
前記[7]がNoの場合、第2ピークなしと決定する。
[8:Yes]
前記[7]がYesの場合、シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定する。
[6−1:No]
前記[6]がNoの場合、温度範囲(T)と温度範囲(T)におけるシグナル微分値をそれぞれ積算し、温度範囲(T)の積算値Yと温度範囲(T)の積算値Yをそれぞれ求める。
[9]
前記温度範囲(T)の積算値Yと温度範囲(T)の積算値YからYを演算し、前記Yが、[1≦Y≦所定の閾値]を満たすか否かを判断する。
[9−1:No]
前記[9]がNoの場合、第2ピークなしと決定する。
[10:Yes]
前記[9]がYesの場合、シグナル積分値(D)を第2ピークとして決定する。
さらに、第1ピークおよび第2ピークの有無の判断から、多型がヘテロ接合性かホモ接合性であるかを判断する処理の例を、図6のフローチャートに示す。特に示さない限り、前記図5と同様である。
[3−1’]
前記[3−1]でピークなしと判断した場合、標的核酸なしと判定する。
[5−1’]
前記[5−1]で第2ピークなしと判断した場合、ホモ接合性と判定する。
[7−1’]
前記[7−1]で第2ピークなしと判断した場合、ホモ接合性と判定する。
[8’]
前記[8]でシグナル微分値(D)を第2ピークとして決定した場合、ヘテロ接合性と判定する。
[9−1’]
前記[9-1]で第2ピークなしと判断した場合、ホモ接合性と判定する。
[10’]
前記[10]でシグナル微分値(D)を第2ピークとして決定した場合、ヘテロ接合性と判定する。
さらに、第2ピークなしとの判断からホモ接合性との判定に到った際、多型が野生型であるか変異型であるかを判断する処理の例を、図7(a)、(b)のフローチャートに示す。特に示さない限り、前記図5および図6と同様である。なお、図7(a)、(b)は、図6における「A」に続くフローチャートである。
検出用核酸の種類に応じて以下のように判断する。
[11b]
前記検出用核酸が、変異型検出用ポリヌクレオチド(変異型検出用核酸)である場合
[12b]
第1ピークを示す温度が温度範囲Tに含まれるかを判断する。
[12−1b:Yes]
前記[12b]がYesの場合、変異型のホモ接合体と判定する。
[12−2b:No]
前記[12b]がNoの場合、野生型のホモ接合体と判定する。
[11c]
前記検出用核酸が、野生型検出用ポリヌクレオチド(野生型検出用核酸)である場合
[12c]
第1ピークを示す温度が温度範囲Tに含まれるかを判断する。
[12−1c:Yes]
前記[12c]がYesの場合、野生型のホモ接合体と判定する。
[12−2c:No]
前記[12c]がNoの場合、変異型のホモ接合体と判定する。
[11d]
前記検出用核酸が、変異型検出用ポリヌクレオチド(変異型検出用核酸)である場合
[12d]
第1ピークを示す温度が温度範囲Tに含まれるかを判断する。
[12−1d:Yes]
前記[12d]がYesの場合、野生型のホモ接合体と判定する。
[12−2d:No]
前記[12d]がNoの場合、変異型のホモ接合体と判定する。
[11e]
前記検出用核酸が、野生型検出用ポリヌクレオチド(野生型検出用核酸)である場合
[12e]
第1ピークを示す温度が温度範囲Tに含まれるかを判断する。
[12−1e:Yes]
前記[12e]がYesの場合、変異型のホモ接合体と判定する。
[12−2e:No]
前記[12e]がNoの場合、野生型のホモ接合体と判定する。
第1ピークを示す温度が温度範囲Tに含まれるかを判断する。
以上のように、本発明によれば、前述のような演算を利用することにより、融解曲線の所定の2つの温度範囲の少なくとも一方におけるピークの有無を解析することができる。このため、例えば、従来のように、解析を行う個人の判定基準の違いや、専門的知識が必要とされるというような問題がないことから、融解曲線の解析を容易に行うことができ、また、自動化も可能となる。したがって、本発明は、例えば、一般的な分析や診断の現場においても使用することができ、また、例えば、多量の検体についても解析が可能であることから、特に、遺伝子解析の分野において、極めて有用な技術といえる。

Claims (20)

  1. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であって、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
    前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索工程、
    および、
    前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定工程
    を含む融解曲線解析方法。
  2. さらに、前記第1ピークが存在すると決定した場合、前記第1ピークが存在しない他方の温度範囲に第2ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であり、
    さらに、
    前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索工程、
    および、
    前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定工程、
    を含む、請求の範囲1記載の融解曲線解析方法。
  3. 前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、
    さらに、
    前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算工程
    X=(A−C)/(D−C)
    、および、
    前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定工程
    を含む請求の範囲2記載の融解曲線解析方法。
  4. 前記Xが「X≧閾値」を満たす場合、
    さらに、
    前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算工程
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定工程
    を含む請求の範囲3記載の融解曲線解析方法。
  5. 前記融解曲線解析方法が、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析方法であり、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
    前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索工程、
    前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定工程、
    第1ピークが存在する場合、前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索工程、
    前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定工程、
    前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、
    前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算工程、
    X=(A−C)/(D−C)
    前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定工程、
    前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算工程
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定工程
    を含む、請求の範囲1記載の融解曲線解析方法。
  6. 前記微分値準備工程において、各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を微分して、前記各温度におけるシグナル微分値を得る、請求の範囲1記載の融解曲線解析方法。
  7. さらに、前記微分値準備工程において準備した前記各温度におけるシグナル微分値について、連続するシグナル微分値間の多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る多項演算工程を含み、
    前記多項演算工程において得られた前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を、他の工程において、前記各温度におけるシグナル微分値として使用する、請求の範囲1記載の融解曲線解析方法。
  8. 前記多項演算工程において、前記微分値準備工程において準備した各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ、下記式に基づいて多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る、請求の範囲7記載の融解曲線解析方法。
    多項演算値=(PM−1+P+PM+1
    前記式において、
    は、任意の点(M)におけるシグナル微分値、PM−1は、前記任意の点(M)の直前の点(M−1)におけるシグナル微分値、PM+1は、前記任意の点(M)の直後の点におけるシグナル微分値であり、Mは、2以上の正整数である。
  9. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを判定する第2ピーク判定方法であって、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を準備する微分値準備工程、
    前記一方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値、および、前記他方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算工程、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算工程
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、第2ピークありと決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第2ピーク判定工程
    を含む第2ピーク判定方法。
  10. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方にピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムであって、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
    前記微分値入力部により入力された前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、
    および、
    前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部
    を含む融解曲線解析システム。
  11. さらに、前記第1ピークが存在すると決定した場合、前記第1ピークが存在しない他方の温度範囲に第2ピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムであり、
    さらに、
    前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
    および、
    前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部
    を含む、請求の範囲10記載の融解曲線解析システム。
  12. さらに、
    前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算部
    X=(A−C)/(D−C)
    、および、
    前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部
    を含む、請求の範囲11記載の融解曲線解析システム。
  13. さらに、
    前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部
    を含む、請求の範囲12記載の融解曲線解析システム。
  14. 前記融解曲線解析システムが、サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のそれぞれにピークが存在するか否かを解析する融解曲線解析システムであり、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
    前記微分値入力部により入力された前記各温度における前記シグナル微分値から、第1ピークの候補として、その絶対値が最も大きいシグナル微分値(A)を検索する第1ピーク候補検索部、
    前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(A)を第1ピークとして決定し、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)が、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のいずれにも含まれない場合、ピークなしと決定する第1ピーク判定部、
    第1ピークが存在する場合、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値から、前記シグナル微分値(A)を示す温度(t)を始点として、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち前記温度(t)を含む一方の温度範囲(T)から他方の温度範囲(T)に向かって、絶対値が減少から増加に変化する直前または直後であり且つ前記絶対値が最も小さいシグナル微分値(C)、および、第2ピークの候補となる、前記絶対値が増加から減少に変化する直前または直後であり且つ前記シグナル微分値(A)に次いで絶対値が最も大きいシグナル微分値(D)を検索する第2ピーク候補検索部、
    前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在する場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークの候補として決定し、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)が存在しない場合、第2ピークなしと決定する第1の第2ピーク判定部、
    前記シグナル微分値(A)、前記シグナル微分値(C)および前記シグナル微分値(D)を用いて下記式の演算を行う演算部、
    X=(A−C)/(D−C)
    前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれる場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Xが[X<所定閾値]を満たし且つ前記シグナル微分値(D)を示す温度(t)が前記他方の温度範囲(T)に含まれない場合、第2ピークなしと決定する第2の第2ピーク判定部、
    前記Xが[X≧所定閾値]を満たす場合、前記温度(t)を含む前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値、および、前記温度(t)を含む前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、前記シグナル微分値(D)を第2ピークとして決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第3の第2ピーク判定部
    を含む、請求の範囲10記載の融解曲線解析システム。
  15. さらに、各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値を微分して、前記各温度におけるシグナル微分値を得る微分演算部を含む、請求の範囲10記載の融解曲線解析システム。
  16. さらに、前記微分値入力部により入力された前記各温度におけるシグナル微分値について、連続するシグナル微分値間の多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る多項演算部を含み、
    他の各部は、前記多項演算部により得られた前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を、前記各温度におけるシグナル微分値として使用する、請求の範囲10記載の融解曲線解析システム。
  17. 前記多項演算部は、前記微分値入力部により入力された各温度におけるシグナル微分値について、それぞれ、下記式に基づいて多項演算を行い、前記各温度におけるシグナル微分値の多項演算値を得る、請求の範囲16記載の融解曲線解析システム。
    多項演算値=(PM−1+P+PM+1
    前記式において、
    は、任意の点(M)におけるシグナル微分値、PM−1は、前記任意の点(M)の直前の点(M−1)におけるシグナル微分値、PM+1は、前記任意の点(M)の直後の点におけるシグナル微分値であり、Mは、2以上の正整数である。
  18. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを判定する第2ピーク判定システムであって、
    各温度におけるサンプルの融解状態を示すシグナル値の微分値を入力する微分値入力部、
    前記一方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値、および、前記他方の温度範囲(T)における前記シグナル微分値を、それぞれ積分して、前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を得る積分演算部、
    前記一方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)および前記他方の温度範囲(T)におけるシグナル微分値の積分値(Y)を用いて下記式の演算を行う演算部
    Y=Y/Y
    、および、
    前記Yが[1≦Y≦所定の閾値]を満たす場合、第2ピークありと決定し、前記Yが[Y>所定の閾値]または[Y<1]を満たす場合、第2ピークなしと決定する第2ピーク判定部
    を含む第2ピーク判定システム。
  19. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)の少なくとも一方に温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在するか否かを解析する融解曲線解析装置であって、
    請求の範囲10記載の融解曲線解析システムを含む融解曲線解析装置。
  20. サンプルの融解曲線において、相対的に高い所定の温度範囲(T)および相対的に低い所定の温度範囲(T)のいずれか一方の温度範囲(T)にピーク(第1ピーク)が存在する場合、前記温度範囲(T)および前記温度範囲(T)のうち他方の温度範囲(T)にピーク(第2ピーク)が存在するか否かを判定する第2ピーク判定装置であって、
    請求の範囲18記載の第2ピーク判定システムを含む第2ピーク判定装置。
JP2009522262A 2007-12-26 2008-12-25 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置 Active JP5542438B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009522262A JP5542438B2 (ja) 2007-12-26 2008-12-25 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007334975 2007-12-26
JP2007334975 2007-12-26
PCT/JP2008/073535 WO2009081965A1 (ja) 2007-12-26 2008-12-25 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
JP2009522262A JP5542438B2 (ja) 2007-12-26 2008-12-25 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009081965A1 true JPWO2009081965A1 (ja) 2011-05-06
JP5542438B2 JP5542438B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=40801265

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009522262A Active JP5542438B2 (ja) 2007-12-26 2008-12-25 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8364415B2 (ja)
EP (1) EP2226390B1 (ja)
JP (1) JP5542438B2 (ja)
KR (1) KR101251177B1 (ja)
CN (1) CN101663408B (ja)
WO (1) WO2009081965A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5843501B2 (ja) 2010-07-07 2016-01-13 アークレイ株式会社 核酸の存在比測定装置、核酸の存在比測定方法、核酸の存在比測定プログラム、判定方法、及び核酸の存在比測定キット
EP2766711B1 (en) 2011-10-14 2017-12-13 Becton, Dickinson and Company Square wave thermal cycling
KR101483576B1 (ko) 2011-10-31 2015-01-21 아크레이 가부시키가이샤 유전자 존재량의 측정 방법
CN102559868B (zh) * 2011-11-28 2014-11-05 厦门大学 一种单管定性并定量检测多个目标核酸序列的方法
AU2015221851B2 (en) * 2014-02-25 2019-05-09 C.Y. O'connor Erade Village Foundation Inc. Methods and systems for measuring melting temperatures
US20210005286A1 (en) 2018-01-23 2021-01-07 Biocartis Nv Methods for the analysis of dissociation melt curve data
BR112020019755A2 (pt) 2018-04-20 2021-01-26 Seegene, Inc. método e aparelho para detectar uma pluralidade de sequências de ácidos nucleicos alvo na amostra

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06324029A (ja) * 1993-03-15 1994-11-25 Hitachi Ltd クロマトグラム解析表示方法及びその装置
JP2006170647A (ja) * 2004-12-13 2006-06-29 Intec Web & Genome Informatics Corp ピーク抽出方法およびピーク抽出装置
JP2006230401A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 F Hoffmann La Roche Ag 溶融温度の差異を用いての遺伝子型分類方法
JP2007282512A (ja) * 2006-04-12 2007-11-01 Arkray Inc セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NZ502323A (en) * 1996-06-04 2001-09-28 Univ Utah Res Found Monitoring a fluorescence energy transfer pair during hybridization of first probe labelled with fluorescein to second probe labelled with Cy5 or Cy5.5
US6506568B2 (en) * 2000-02-10 2003-01-14 The Penn State Research Foundation Method of analyzing single nucleotide polymorphisms using melting curve and restriction endonuclease digestion
EP1499745B1 (en) * 2002-04-26 2016-11-23 University of Utah Research Foundation Characterization of single stranded nucleic acids by melting analysis of secondary structure using double strand-specific nucleic acid dye
JP4454265B2 (ja) 2003-08-13 2010-04-21 アークレイ株式会社 融解曲線解析法
US7387887B2 (en) * 2004-04-20 2008-06-17 University Of Utah Research Foundation Nucleic acid melting analysis with saturation dyes

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06324029A (ja) * 1993-03-15 1994-11-25 Hitachi Ltd クロマトグラム解析表示方法及びその装置
JP2006170647A (ja) * 2004-12-13 2006-06-29 Intec Web & Genome Informatics Corp ピーク抽出方法およびピーク抽出装置
JP2006230401A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 F Hoffmann La Roche Ag 溶融温度の差異を用いての遺伝子型分類方法
JP2007282512A (ja) * 2006-04-12 2007-11-01 Arkray Inc セルフアニーリング形成を阻害する方法およびその用途

Also Published As

Publication number Publication date
US20100280789A1 (en) 2010-11-04
KR20090130287A (ko) 2009-12-22
KR101251177B1 (ko) 2013-04-08
CN101663408B (zh) 2012-11-28
EP2226390A1 (en) 2010-09-08
EP2226390B1 (en) 2018-08-29
JP5542438B2 (ja) 2014-07-09
EP2226390A4 (en) 2013-05-01
CN101663408A (zh) 2010-03-03
WO2009081965A1 (ja) 2009-07-02
US8364415B2 (en) 2013-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5542438B2 (ja) 融解曲線解析方法および融解曲線解析装置
Arya et al. Basic principles of real-time quantitative PCR
Montgomery et al. Simultaneous mutation scanning and genotyping by high-resolution DNA melting analysis
US9081737B2 (en) Methods for predicting stability and melting temperatures of nucleic acid duplexes
CN105765583B (zh) 去除dna解链分析中的荧光背景的量子方法
JP2012523645A (ja) 動的シグナルの相関分析による、パターン認識、機械学習、および自動遺伝子型分類の迅速な方法
KR102165933B1 (ko) 둘 이상의 데이터 세트를 이용한 비정상적인 시그널의 검출
JP5542439B2 (ja) 核酸増幅判定方法および核酸増幅判定装置
US20200291462A1 (en) Method and device for analyzing target analyte in sample
KR102110985B1 (ko) 타겟 핵산 서열에 대한 시그널 추출
JP4505838B2 (ja) Nat2*6の変異の検出法ならびにそのための核酸プローブおよびキット
KR102408564B1 (ko) 타겟 핵산 서열의 존재를 결정하기 위한 분석 시그널
JP2005287335A (ja) Mdr1遺伝子の変異の検出法ならびにそのための核酸プローブおよびキット
Long Rapid diagnosis of common deletional α-thalassemia in the Chinese population by qPCR based on identical primer homologous fragments
Murugesan et al. LightTyper™ platform for high-throughput clinical genotyping
US9817943B2 (en) Cumulative differential chemical assay identification
FITZGERALD Up to Speed on PCR
JP2005323563A (ja) Nat2*7の変異の検出法ならびにそのための核酸プローブおよびキット
KR20180100446A (ko) 타겟 핵산 서열에 대한 시그널을 제공하는 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140507

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5542438

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250