JP2004171634A - レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対物レンズ60とレンズ保持部材81とを含む可動系の回転中心と対物レンズの主点との位置関係と、可動系における対物レンズの光軸方向に直交する第1軸方向の回転軸まわりの慣性モーメント及び複数の弾性部材の特性の少なくとも一方とに応じて、回転軸まわりの回転力の作用点と第1軸方向に直交する第2軸方向の並進力の作用点とが設定され、回転軸まわりの回転力と、可動系の回転による対物レンズの主点位置の移動の少なくとも一部を相殺するように第2軸方向の並進力とをほぼ同時に発生するチルト駆動手段を備えることにより、チルト制御における主点位置の移動を抑制することができる。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、光ピックアップ装置の対物レンズを駆動するためのレンズ駆動装置、情報記録媒体の記録面上に光束を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、光ディスクなどの情報記録媒体が用いられ、そのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射することによりデータの記録及び消去を行い、記録面からの反射光に基づいてデータの再生などを行っている。そして、光ディスク装置は、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射して光スポットを形成するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置を備えている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、受光位置に配置された受光素子、及び対物レンズをその光軸方向(フォーカス方向)及びトラックの接線に直交する方向(トラッキング方向)に駆動するレンズ駆動装置などを備えている。受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ情報)などを含む信号が出力される。
【0004】
そして、光ディスク装置では、受光素子からのサーボ情報を含む信号に基づいて、フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号を検出し、光スポットにフォーカスずれがある場合には、レンズ駆動装置を介して対物レンズをフォーカス方向にシフトさせフォーカスずれを補正する(フォーカス制御)。また、光スポットにトラックずれがある場合には、レンズ駆動装置を介して対物レンズをトラッキング方向にシフトさせトラックずれを補正する(トラッキング制御)。
【0005】
近年、情報記録媒体の記録容量の増加要求に伴い記録密度の高密度化が図られてきた。記録密度を高くするには記録面に形成される光スポットのスポット径を小さくする必要があり、開口数の大きな対物レンズが用いられる傾向にある。しかしながら、対物レンズの開口数が大きくなると、対物レンズの光軸方向と記録面に垂直な方向とのずれ(以下、便宜上「メディアチルト」ともいう)に起因する波面収差のコマ収差成分(以下、「コマ収差」と略述する)も大きくなり、光スポットの形状の劣化、再生情報及びサーボ情報などを含む信号の劣化を引き起こすおそれがあった。なお、トラックの接線方向に関するメディアチルトはタンジェンシャルチルト、トラックの接線に直交する方向に関するメディアチルトはラジアルチルトとも呼ばれている。
【0006】
そこで、メディアチルトを補正することができるレンズ駆動装置が種々提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−283258号公報
【特許文献2】
特開平10−275354号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている光ヘッドアクチュエータでは、対物レンズを含む可動部をトラッキング方向およびフォーカス方向に駆動する場合には問題ないが、メディアチルトを補正するために可動部を傾ける、いわゆるチルト駆動を行う場合には、対物レンズの主点位置がチルト駆動時の回転軸上にないために、可動部のチルト駆動によって対物レンズの主点位置が移動し、これに伴って記録面上での光スポットの形成位置が移動するという不都合があった。特に、ラジアルチルト量が大きい場合などには、トラッキング制御が正しく行われずに、いわゆるサーボ外れが起こり易くなるという不都合があった。なお、以下では、可動部のチルト駆動によって対物レンズの主点位置が移動することを「チルト動作によるクロスアクション」とも呼ぶ。
【0009】
また、上記特許文献2に開示されている対物レンズ駆動装置では、フォーカス方向に関する可動部の長さが短いため、チルト動作によるクロスアクションの発生は抑制できるが、可動部を駆動するための駆動部の大きさを十分確保することが困難となり,駆動開始時の加速度が低いという不都合があった。すなわち、サーボ追従性が不十分であった。
【0010】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、対物レンズを高速度で精度良く駆動することができるレンズ駆動装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第3の目的は、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ピックアップ装置を構成するハウジングに搭載され、情報記録媒体の記録面に光を集光する対物レンズを駆動するレンズ駆動装置であって、前記ハウジングに固定された固定部材と;前記対物レンズを保持するレンズ保持部材と;前記固定部材にそれぞれの一端が接続されるとともに、他端が前記レンズ保持部材に接続され、前記レンズ保持部材を支持する複数の弾性部材と;前記対物レンズと前記レンズ保持部材とを含む可動系の回転中心と前記対物レンズの主点との位置関係と、前記可動系における前記対物レンズの光軸方向に直交する第1軸方向の回転軸まわりの慣性モーメント及び前記複数の弾性部材の特性の少なくとも一方とに応じて、前記回転軸まわりの回転力の作用点と前記第1軸方向に直交する第2軸方向の並進力の作用点とが設定され、前記回転軸まわりの回転力と、前記可動系の回転による前記対物レンズの主点位置の移動の少なくとも一部を相殺するように前記第2軸方向の並進力とをほぼ同時に発生するチルト駆動手段と;を備えるレンズ駆動装置である。
【0014】
これによれば、例えば、情報記録媒体の記録面に垂直な軸に対して対物レンズの光軸が傾いている場合に、その傾き量に対応する駆動信号をチルト駆動手段に供給すると、対物レンズの光軸の傾きを補正するための回転力と、可動系の回転による対物レンズの主点位置の移動の少なくとも一部を相殺するような並進力とがほぼ同時に発生するために、チルト動作によるクロスアクションの発生を抑制しつつ、傾きを補正することができる。また、上記特許文献2に開示されている対物レンズ駆動装置と異なり、可動系を駆動するための駆動部の大きさを十分確保することが可能なため、応答性良く対物レンズのチルト制御を行うことができる。従って、結果として対物レンズを高速度で精度良く駆動することが可能となる。
【0015】
この場合において、請求項2に記載のレンズ駆動装置の如く、前記チルト駆動手段は、前記可動系の回転中心から前記対物レンズと反対の方向に所定の距離だけ離れた位置に前記第2軸方向の駆動力を作用させることとすることができる。
【0016】
この場合において、請求項3に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfsが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記複数の弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数kradを用いて、Lfs=krad/ktr/Lnsで示されることとすることができる。かかる場合には、特にチルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数が比較的低いとき、例えば光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる弾性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。
【0017】
上記請求項2に記載のレンズ駆動装置において、請求項4に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfgが、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Lfg=Irad/m/Lngで示されることとすることができる。かかる場合には、特にチルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数が比較的高いとき、例えば光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる慣性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。
【0018】
上記請求項2に記載のレンズ駆動装置において、請求項5に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfsが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記複数の弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Irad/m/Lng≦Lfs≦krad/ktr/Lnsの範囲内に含まれることとすることができる。かかる場合には、チルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数域が比較的広いときに、チルト動作によるクロスアクションの発生を低いレベルに抑えることができる。
【0019】
上記請求項2に記載のレンズ駆動装置において、請求項6に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfgが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Irad/m/Lng≦Lfg≦krad/ktr/Lnsの範囲内に含まれることとすることができる。かかる場合には、チルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数域が比較的広いときに、チルト動作によるクロスアクションの発生を低いレベルに抑えることができる。
【0020】
上記請求項1に記載のレンズ駆動装置において、請求項7に記載のレンズ駆動装置の如く、前記チルト駆動手段は、前記可動系に対して、前記可動系の回転中心から前記対物レンズと反対の方向に所定の距離だけ離れた位置に前記第2軸方向の駆動力を作用させるとともに、前記第1軸方向の所定の軸を中心とする偶力を作用させることとすることができる。
【0021】
この場合において、請求項8に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfs、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数kradを用いて、Ftr/Mg=Lns/{krad・(1/ktr−Lns・Lfs/krad)}で示されることとすることができる。かかる場合には、例えば光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる弾性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。
【0022】
上記請求項7に記載のレンズ駆動装置において、請求項9に記載のレンズ駆動装置の如く、前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfg、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Ftr/Mg=Lng/{Irad・(1/m−Lng・Lfg/Irad)}で示されることとすることができる。かかる場合には、例えば光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる慣性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。
【0023】
上記請求項7〜9に記載の各レンズ駆動装置において、請求項10に記載のレンズ駆動装置の如く、前記複数の弾性部材による支持中心と前記可動系の慣性中心とがほぼ等しく、前記可動系の前記回転軸まわりの慣性モーメントIradと前記可動系の質量mとの比は、前記複数の弾性部材のばね定数krad及びねじりばね定数ktrを用いて、Irad/m=krad/ktrで示されることとすることができる。かかる場合には、チルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数域が比較的広いときに、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。
【0024】
上記請求項7に記載のレンズ駆動装置において、請求項11に記載のレンズ駆動装置の如く、前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記複数の弾性部材による支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfs、前記作用点と前記可動系の慣性中心との距離Lfg、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Lns/{krad・(1/ktr−Lns・Lfs/krad)}<(Ftr/Mg)<Lng/{Irad・(1/m−Lng・Lfg/Irad)}の範囲内に含まれることとすることができる。かかる場合には、チルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数域が比較的広いときに、チルト動作によるクロスアクションの発生を低いレベルに抑えることができる。
【0025】
請求項12に記載の発明は、情報記録媒体の記録面上に光束を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、前記光束を出射する光源と;請求項1〜11のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と;前記保持部材に保持され、前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズを含み、前記記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置に導く光学系と;前記受光位置に配置された光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0026】
これによれば、光源から出射された光束は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置を構成するレンズ保持部に保持された対物レンズを含む光学系を介して情報記録媒体の記録面に集光され、記録面で反射された戻り光束は光学系を介して光検出器で受光される。そこで、例えば情報記録媒体の記録面に垂直な軸に対して対物レンズの光軸が傾いている場合には、その傾き量に対応する電流をレンズ駆動装置に供給することにより、チルト動作によるクロスアクションの発生を抑制しつつ光軸の傾きを応答性良く補正することができる。従って、情報記録媒体の所定位置に所定形状の光スポットが精度良く安定して形成され、その結果として光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することが可能となる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体に対して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項12に記載の光ピックアップ装置と;前記情報記録媒体の傾きを検出するチルト検出手段と;前記チルト検出手段の出力信号に基づいて前記レンズ駆動装置を制御するとともに、前記光ピックアップ装置の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0028】
これによれば、処理装置により、チルト検出手段の出力信号に基づいて請求項12に記載の光ピックアップ装置のレンズ駆動装置が制御されるため、光ピックアップ装置からは、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号が精度良く出力される。その結果、情報記録媒体への高速度での記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図11(C)に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の概略構成が示されている。
【0030】
この図1に示される光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40、RAM41及びチルトセンサ42などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例としてDVD(digital versatile disc)系の規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15として用いられるものとする。
【0031】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面の所定位置にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0032】
前記再生信号処理回路28は、図2に示されるように、第1のI/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e、第2のI/Vアンプ28f、及びチルト検出回路28gなどから構成されている。第1のI/Vアンプ28aは、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。サーボ信号検出回路28bは、第1のI/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。ウォブル信号検出回路28cは、第1のI/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてウォブル信号を検出する。RF信号検出回路28dは、第1のI/Vアンプ28aからの電圧信号に基づいてRF信号を検出する。デコーダ28eは、ウォブル信号検出回路28cで検出されたウォブル信号からADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号などを抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは、RF信号検出回路28dで検出されたRF信号に対して復調処理及び誤り訂正処理等を行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、再生データが音楽データの場合には外部のオーディオ機器などに出力される。第2のI/Vアンプ28fは、チルトセンサ42の出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。チルト検出回路28gは、第2のI/Vアンプ28gからの電圧信号に基づいて、メディアチルトに関する情報を検出する。ここで検出されたメディアチルトに関する情報は、チルト情報信号としてサーボコントローラ33に出力される。
【0033】
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御するための各種制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。また、サーボコントローラ33は、チルト情報信号に基づいて記録面の傾きを補正するためのチルト補正信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
【0034】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号及びチルト補正信号に基づいて光ピックアップ装置23に駆動信号を出力する。また、モータドライバ27は、CPU40の指示に基づいてスピンドルモータ22に駆動信号を出力する。
【0035】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
【0036】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加等を行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して書き込み信号をレーザコントロール回路24に出力する。
【0037】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて光ディスク15に照射するレーザ光の出力を制御する。
【0038】
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)などの標準インターフェースに準拠している。
【0039】
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。そして、CPU40は、ROM39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的に前記RAM41に保存する。
【0040】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図3〜図11を用いて説明する。光ピックアップ装置23は、図3に示されるように、スピンドルモータ22によって回転している光ディスク15の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するピックアップ本体101と、このピックアップ本体101を保持するとともに、ピックアップ本体101のX軸方向(紙面左右方向)への移動をガイドする2本のシークレール102と、ピックアップ本体101をX軸方向に駆動するためのシークモータ(図示省略)などを含んで構成されている。
【0041】
前記ピックアップ本体101は、ハウジング71と、このハウジング71の内部に格納され、波長が660nmの光束を光ディスク15の記録面に垂直な方向に出射する光束出射系12と、この光束出射系12からの光束を光ディスク15の記録面の所定位置に集光する集光系11とから構成されている。
【0042】
前記光束出射系12は、図4に示されるように、光源ユニット51、カップリングレンズ52、ビームスプリッタ54、立ち上げミラー56、検出レンズ58、シリンドリカルレンズ57及び受光器59などを備えている。
【0043】
前記光源ユニット51は、波長が660nmの光束を発光する光源としての半導体レーザ(図示省略)を備えている。この光源ユニット51は、光源ユニット51から出射される光束(以下「出射光束」ともいう)の最大強度出射方向が+X方向となるようにハウジング71に固定されている。
【0044】
前記カップリングレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、出射光束を略平行光とする。前記ビームスプリッタ54は、カップリングレンズ52の+X側に配置され、光ディスク15の記録面からの反射光(戻り光束)を−Y方向に分岐する。前記立ち上げミラー56は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した出射光束の最大強度出射方向を+Z方向に変更する。立ち上げミラー56で最大強度出射方向が+Z方向に変更された出射光束は、ハウジング71に設けられた開口部を介して前記集光系11に入射する。
【0045】
前記検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Y側に配置され、ビームスプリッタ54で−Y方向に分岐された戻り光束を集光する。前記シリンドリカルレンズ57は、検出レンズ58の−Y側に配置され、検出レンズ58で集光された戻り光束を整形する。前記受光器59は、シリンドリカルレンズ57の−Y側に配置され、シリンドリカルレンズ57で整形された戻り光束をその受光面で受光する。この受光器59には、通常の光ディスク装置と同様に4分割受光素子が用いられており、各受光素子からは、それぞれ受光量に応じた信号が再生信号処理回路28に出力される。すなわち、ハウジング71の内部には、半導体レーザから出射された光束を集光系11に導くとともに、戻り光束を受光器59に導くための光路が形成されている。
【0046】
前記集光系11は、図5、図6(A)及びこの図6(A)におけるA−A線断面図である図6(B)に示されるように、対物レンズ60、レンズ保持部材としてのレンズホルダ81、第1のトラッキング用コイル82a、第2のトラッキング用コイル82b、第1のフォーカス用コイル84a1、第2のフォーカス用コイル84a2、第3のフォーカス用コイル84b1、第4のフォーカス用コイル84b2、ベース板85、第1のヨーク86a、第2のヨーク86b、固定部材としてのステム87、第1のラジアルチルト用コイル88a、第2のラジアルチルト用コイル88b、第1の永久磁石91a、第2の永久磁石91b、弾性部材としての導電性を有する6本の線ばね(92a1、92a2、92a3、92b1、92b2、92b3とする)、及び基板93などから構成されている。
【0047】
前記ベース板85は、外形が長方形の板状部材であり、そのほぼ中央部には、ハウジング71に設けられた前記開口部とほぼ同形状の開口部が設けられている。このベース板85は、長辺の方向がY軸方向とほぼ一致するとともに、その開口部がハウジング71に設けられた開口部と重なるように、その一側の面がハウジング71の+Z側の面と貼り合わされている。なお、ベース板85は磁気回路を形成するためのヨークとしての役割を有している。
【0048】
前記第1のヨーク86a及び第2のヨーク86bは、それぞれほぼ同形状の板状部材であり、所定の位置関係を有してベース板85上に固定されている。ここでは、第1のヨーク86aはベース板85の+Y側端部に配置され、第2のヨーク86bはベース板85の−Y側端部に配置されている。
【0049】
前記ステム87は、ブロック状部材であり、上記第1のヨークの+Y側の面に貼り付けられている。このステム87にはY軸方向に延びる貫通孔が、−X側の端部近傍に3カ所、+X側の端部近傍に3カ所それぞれ形成されている。
【0050】
前記第1の永久磁石91a及び第2の永久磁石91bは、それぞれほぼ同形状のブロック状の永久磁石である。第1の永久磁石91aは第1のヨークの−Y側の面に貼り付けられ、第2の永久磁石91bは第2のヨークの+Y側の面に貼り付けられている。すなわち、第1の永久磁石91aの−Y側の面と第2の永久磁石91bの+Y側の面とは、Y軸方向に関して互いに対峙している。
【0051】
第1の永久磁石91aの−Y側の面は、図7(A)に示されるようにX軸方向の着磁境界CP1とZ軸方向の着磁境界CP2とによって互いにほぼ等しい大きさの4つの領域に分けられている。ここでは、着磁境界CP1の+Z側でかつ着磁境界CP2の−X側の領域を領域RC1、着磁境界CP1の+Z側でかつ着磁境界CP2の+X側の領域を領域RC2、着磁境界CP1の−Z側でかつ着磁境界CP2の−X側の領域を領域RC3、着磁境界CP1の−Z側でかつ着磁境界CP2の+X側の領域を領域RC4とする。なお、隣り合う領域は互いに逆極性を有している。
【0052】
第2の永久磁石91bの+Y側の面は、図7(B)に示されるようにX軸方向の着磁境界DP1とZ軸方向の着磁境界DP2とによって互いにほぼ等しい大きさの4つの領域に分けられている。ここでは、着磁境界DP1の+Z側でかつ着磁境界DP2の−X側の領域を領域RD1、着磁境界DP1の+Z側でかつ着磁境界DP2の+X側の領域を領域RD2、着磁境界DP1の−Z側でかつ着磁境界DP2の−X側の領域を領域RD3、着磁境界DP1の−Z側でかつ着磁境界DP2の+X側の領域を領域RD4とする。なお、隣り合う領域は互いに逆極性を有している。
【0053】
従って、領域RC1と領域RD1、領域RC2と領域RD2、領域RC3と領域RD3、領域RC4と領域RD4は、互いに対向することとなる。また、領域RC1と領域RD1、領域RC2と領域RD2、領域RC3と領域RD3、領域RC4と領域RD4は、それぞれ互いに逆極性の領域である。
【0054】
図5に戻り、前記基板93は、一部ダンパ材を介してステム87の+Y側の面に固定されており、複数の入力端子及び出力端子を備えている。各入力端子には、モータドライバ27からの複数の信号線がそれぞれ接続される。なお、基板93は、Y軸方向の振動を吸収するためにY軸方向への若干の弾性変形が可能である。
【0055】
前記レンズホルダ81は、外形形状が立方体に類似した部材であり、第1の永久磁石91aと第2の永久磁石91bとの間に配置されている。また、図6(B)に示されるようにレンズホルダ81の中央部にはハウジング71からの出射光束の光路となるZ軸方向に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔の+Z側の端部には、前記対物レンズ60がその光軸と貫通孔の中心軸とがほぼ一致するように配置されている。さらに、レンズホルダ81には、図8(A)〜図8(D)に示されるように、前記第1のトラッキング用コイル82a、前記第2のトラッキング用コイル82b、前記第1のフォーカス用コイル84a1、前記第2のフォーカス用コイル84a2、前記第3のフォーカス用コイル84b1、前記第4のフォーカス用コイル84b2、前記第1のラジアルチルト用コイル88a、及び前記第2のラジアルチルト用コイル88bがそれぞれ所定の位置関係で一体化されている。なお、対物レンズ60、レンズホルダ81及び各コイルは一体となって移動するので、以下では、便宜上これらが一体化したものを「可動部」と呼ぶこととする。
【0056】
レンズホルダ81には、各ラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給するための端子(Ta1、Tb1とする)、各トラッキング用コイルに駆動電流を供給するための端子(Ta2、Tb2とする)及び各フォーカス用コイルに駆動電流を供給するための端子(Ta3、Tb3とする)が設けられている。ここでは、レンズホルダ81の−X側の面に端子Ta1、Ta2及びTa3が、レンズホルダ81の+X側の面に端子Tb1、Tb2及びTb3が設けられている。そして、端子Ta1には線ばね92a1の一端が接続され、端子Ta2には線ばね92a2の一端が接続され、端子Ta3には線ばね92a3の一端が接続されている。また、端子Tb1には線ばね92b1の一端が接続され、端子Tb2には線ばね92b2の一端が接続され、端子Tb3には線ばね92b3の一端が接続されている。
【0057】
各線ばねはY軸方向に延び、それらの他端はステム87に設けられた前記貫通孔を介して基板93の出力端子に、はんだ付け等によってそれぞれ接続されている。すなわち、可動部は、6本の線ばねを介してステム87に弾性的に支持されている。なお、本実施形態では、各線ばねによる支持中心(S92とする)が可動部の慣性中心(Skとする)とほぼ一致するように設定されている。
【0058】
第1のフォーカス用コイル84a1、第2のフォーカス用コイル84a2、第3のフォーカス用コイル84b1、及び第4のフォーカス用コイル84b2は、互いにほぼ同一形状のコイルである。そして、各フォーカス用コイルには同一の駆動電流が供給されるように結線されている。
【0059】
第1のフォーカス用コイル84a1及び第2のフォーカス用コイル84a2は、それぞれレンズホルダ81の+Y側に位置し、図9(A)に示されるように、第1のフォーカス用コイル84a1は第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC3にほぼ等しく対向する位置に配置され、第2のフォーカス用コイル84a2は第1の永久磁石91aの領域RC2及び領域RC4にほぼ等しく対向する位置に配置されている。
【0060】
第3のフォーカス用コイル84b1及び第4のフォーカス用コイル84b2は、それぞれレンズホルダ81の−Y側に位置し、図9(B)に示されるように、第3のフォーカス用コイル84b1は第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD3にほぼ等しく対向する位置に配置され、第4のフォーカス用コイル84b2は第2の永久磁石91bの領域RD2及び領域RD4にほぼ等しく対向する位置に配置されている。
【0061】
これにより、第1のフォーカス用コイル84a1に駆動電流が供給されると、図10(A)に示されるように、第1のフォーカス用コイル84a1を流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC3からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)に力(第1のフォーカス力:Ff1)が発生する。第2のフォーカス用コイル84a2に駆動電流が供給されると、第2のフォーカス用コイル84a2を流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC2及び領域RC4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第1のフォーカス力と同じ方向に力(第2のフォーカス力:Ff2)が発生する。第3のフォーカス用コイル84b1に駆動電流が供給されると、図10(B)に示されるように、第3のフォーカス用コイル84b1を流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD3からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第1のフォーカス力と同じ方向に力(第3のフォーカス力:Ff3)が発生する。第4のフォーカス用コイル84b2に駆動電流が供給されると、第4のフォーカス用コイル84b2を流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD2及び領域RD4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第1のフォーカス力と同じ方向に力(第4のフォーカス力:Ff4)が発生する。ここでは、各フォーカス力が互いに同じ大きさとなるように設定されているため、可動部は駆動電流の大きさに応じて+Z方向(又は−Z方向)に駆動されることとなる。なお、駆動方向は各フォーカス用コイルを流れる電流の向きによって制御することができる。また、各フォーカス用コイルは、必要とされる駆動力に応じた大きさ及び形状を有している。
【0062】
第1のトラッキング用コイル82a及び第2のトラッキング用コイル82bは、互いにほぼ同一形状のコイルである。第1のトラッキング用コイル82aは、レンズホルダ81の+Y側であって、図9(A)に示されるように第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC2とほぼ等しく対向する位置に配置されている。第2のトラッキング用コイル82aは、レンズホルダ81の−Y側であって、図9(B)に示されるように第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD2とほぼ等しく対向する位置に配置されている。なお、第1のトラッキング用コイル82aの一部は、Y軸方向に関して第1のフォーカス用コイル84a1の一部及び第2のフォーカス用コイル84a2の一部と重なり合っている。同様に、第2のトラッキング用コイル82bの一部は、Y軸方向に関して第1のフォーカス用コイル84a1の一部及び第2のフォーカス用コイル84a2の一部と重なり合っている。また、第1のトラッキング用コイル82a及び第2のトラッキング用コイル82bには互いに同一の駆動電流が供給されるように結線されている。これにより、第1のトラッキング用コイル82aに駆動電流が供給されると、図10(C)に示されるように、第1のトラッキング用コイル82aを流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC2からの磁束とに基づいて+X方向(又は−X方向)に力(第1のトラッキング力:Ft1)が発生する。一方、第2のトラッキング用コイル82bに駆動電流が供給されると、図10(D)に示されるように、第2のトラッキング用コイル82bを流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD2からの磁束とに基づいて+X方向(又は−X方向)、すなわち、第1のトラッキング力と同じ方向に力(第2のトラッキング力:Ft2)が発生する。ここでは、第1のトラッキング力と第2のトラッキング力とは互いに同じ大きさとなるように設定されているため、結果として、可動部は駆動電流の電流値に応じて+X方向(又は−X方向)に駆動することとなる。なお、駆動方向(+X方向又は−X方向)は各トラッキング用コイルに流れる電流の向きによって制御することができる。また、各トラッキング用コイルは、必要とされる駆動力に応じた大きさ及び形状を有している。本実施形態では、各トラッキング力の作用中心と各線ばねによる支持中心S92(慣性中心Sk)とがほぼ一致するように設定されているために、高速度でのトラッキング制御において可動部がXZ面内で回転することはない。
【0063】
第1のラジアルチルト用コイル88a及び第2のラジアルチルト用コイル88bは、互いにほぼ同一形状のコイルである。第1のラジアルチルト用コイル88aは、レンズホルダ81の+Y側であって、図9(A)に示されるように第1の永久磁石91aの領域RC3及び領域RC4とほぼ等しく対向する位置に配置されている。第2のラジアルチルト用コイル88bは、レンズホルダ81の−Y側であって、図9(B)に示されるように第2の永久磁石91bの領域RD3及び領域RD4とほぼ等しく対向する位置に配置されている。なお、第1のラジアルチルト用コイル88aの一部は、Y軸方向に関して第1のフォーカス用コイル84a1の一部及び第2のフォーカス用コイル84a2の一部と重なり合っている。同様に、第2のラジアルチルト用コイル88bの一部は、Y軸方向に関して第1のフォーカス用コイル84a1の一部及び第2のフォーカス用コイル84a2の一部と重なり合っている。また、第1のラジアルチルト用コイル88a及び第2のラジアルチルト用コイル88bには互いに同一の駆動電流が供給されるように結線されている。これにより、第1のラジアルチルト用コイル88aに駆動電流が供給されると、図10(E)に示されるように、第1のラジアルチルト用コイル88aを流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC3及び領域RC4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)に力(第1のラジアルチルト力:Fr1)が発生する。第2のラジアルチルト用コイル88bに駆動電流が供給されると、図10(F)に示されるように、第2のラジアルチルト用コイル88bを流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD3及び領域RD4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第1のラジアルチルト力と同じ方向に力(第2のラジアルチルト力:Fr2)が発生する。なお、一例として図11(A)及び図11(B)に示されるように、第1のラジアルチルト力の作用点S88a及び第2のラジアルチルト力の作用点S88bは、Z軸方向に関して支持中心S92からほぼ等距離にあり、その距離Lfsは、次の(1)式で示される条件を満足するように設定されている。なお、LnsはZ軸方向に関する対物レンズ60の主点Stと支持中心S92との距離であり、ktrは線ばねのばね定数であり、kradは線ばねのねじりばね定数である。
【0064】
Lfs=krad/ktr/Lns ……(1)
【0065】
ここで、第1のラジアルチルト力と第2のラジアルチルト力との合力をFtrとすると、可動部のトラッキング方向への移動量Xtrは、次の(2)式で示される。
【0066】
Xtr=Ftr/ktr ……(2)
【0067】
また、可動部がXZ面内で角度θ1だけ回転したときの対物レンズ60の主点位置のトラッキング方向への移動量Xは、幾何学的に次の(3)式で示される。
【0068】
X=−Lns・sinθ1≒−Lns・θ1 ……(3)
【0069】
可動部の回転角θ1は、次の(4)式で示される。
【0070】
θ1=Lfs・Ftr/krad ……(4)
【0071】
そこで、上記(4)式の関係を用いると、上記(3)式は次の(5)式に書き換えることができる。
【0072】
X=−Lns・Lfs・Ftr/krad ……(5)
【0073】
さらに、上記(1)式の関係が満足されるように設定されているので、上記(5)式は、次の(6)式に書き換えることができる。
【0074】
X=−Ftr/ktr ……(6)
【0075】
従って、XtrとXとは、次の(7)式で示される関係となる。
【0076】
Xtr+X=0 ……(7)
【0077】
すなわち、一例として図11(C)に示されるように、可動部の回転により対物レンズ60の主点位置が移動しても、可動部自体が主点位置の移動方向とは逆の方向に同一移動量で移動するために、結果としてチルト制御では対物レンズの主点位置はほとんど変化しないこととなる。
【0078】
なお、可動部の回転角は各ラジアルチルト用コイルに流れる電流の大きさによって制御することができ、回転の向きは各ラジアルチルト用コイルに流れる電流の向きによって制御することができる。また、各ラジアルチルト用コイルは、必要とされる駆動力に応じた大きさ及び形状を有している。
【0079】
ここで、前述のようにして構成された光ピックアップ装置23の作用について説明する。なお、光ピックアップ装置23は、光ディスク15の記録面に垂直な方向がZ軸方向、トラックの接線方向がY軸方向と一致するように光ディスク装置20に搭載されているものとする。すなわち、X軸方向がトラッキング方向、Z軸方向がフォーカス方向となる。
【0080】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、カップリングレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、立ち上げミラー56で+Z方向に反射され、ハウジング71の開口部及びベース板85の開口部を介して集光系11に入射する。集光系11に入射した光束は、レンズホルダ81の貫通孔を介して対物レンズ60に入射し、対物レンズ60によって光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0081】
光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、ベース板85の開口部及びハウジング71の開口部を介して立ち上げミラー56に入射する。立ち上げミラー56に入射した戻り光束は−X方向に反射され、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Y方向に分岐した戻り光束は、検出レンズ58及びシリンドリカルレンズ57を介して受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた電流信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0082】
ここで、光ディスク装置20における対物レンズ60の位置及び姿勢の制御について説明する。
【0083】
《フォーカス制御》
1.再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号を第1のI/Vアンプ28aで電圧信号に変換した後、サーボ信号検出回路28bでフォーカスエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、フォーカス制御信号に対応したフォーカス制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23では、モータドライバ27からのフォーカス制御用の駆動電流は、基板93の所定の入力端子に入力され、線ばね92a3及び線ばね92b3を介して各フォーカス用コイルに供給される。
5.各フォーカス用コイルに駆動電流が流れると、その電流の大きさ及び電流の向きに応じた駆動力が発生し、それによって可動部がフォーカス方向に駆動される。その結果対物レンズ60がフォーカス方向にシフトし、フォーカスずれが補正される。
【0084】
《トラッキング制御》
1.再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号を第1のI/Vアンプ28aで電圧信号に変換した後、サーボ信号検出回路28bでトラックエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、トラッキング制御信号に対応したトラッキング制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23では、モータドライバ27からのトラッキング制御用の駆動電流は、基板93の所定の入力端子に入力され、線ばね92a2及び線ばね92b2を介して各トラッキング用コイルに供給される。
5.各トラッキング用コイルに駆動電流が流れると、その電流の大きさ及び電流の向きに応じた駆動力が発生し、それによって可動部がトラッキング方向に駆動される。その結果対物レンズ60がトラッキング方向にシフトし、トラックずれが補正される。
【0085】
《チルト制御》
1.再生信号処理回路28は、チルトセンサ42の出力信号を第2のI/Vアンプ28fで電圧信号に変換した後、チルト検出回路28gでメディアチルトに関する情報を検出し、チルト情報信号としてサーボコントローラ33に出力する。
2.サーボコントローラ33は、チルト情報信号に基づいて、ラジアルチルトを補正するためのラジアルチルト補正信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
3.モータドライバ27は、ラジアルチルト補正信号に対応したラジアルチルト制御用の駆動電流を光ピックアップ装置23に出力する。
4.光ピックアップ装置23では、モータドライバ27からのラジアルチルト制御用の駆動電流は、基板93の所定の入力端子に入力され、線ばね92a1及び線ばね92b1を介してラジアルチルト用コイルに供給される。
5.各ラジアルチルト用コイルに駆動電流が流れると、その電流の大きさ及び電流の向きに応じた駆動力が発生し、前述した如く、可動部がXZ面内で傾斜する。その結果対物レンズ60がXZ面内で回転し、ラジアルチルトが補正される。
【0086】
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15をアクセスする場合の処理動作について簡単に説明する。
【0087】
《記録処理》
CPU40はホストから記録要求のコマンドを受信すると、指定された記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、記録要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40はホストから受信したユーザデータのバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0088】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前述の如くしてフォーカス制御、トラッキング制御及びチルト制御(以下、これらを総称して「位置姿勢制御」ともいう)が行われる。なお、位置姿勢制御は記録処理が終了するまで随時行われる。そして、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号に基づいてADIP情報を取得し、CPU40に通知する。なお、再生信号処理回路28は、記録処理が終了するまで所定のタイミング毎にADIP情報を取得し、CPU40に通知する。
【0089】
CPU40は、ADIP情報に基づいて書き込み開始地点に光ピックアップ本体101が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。
【0090】
CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたユーザデータ量が所定の値を超えたとの通知を受け取ると、エンコーダ25に書き込み信号の生成を指示する。
【0091】
CPU40は、ADIP情報に基づいて光ピックアップ本体101の位置が書き込み開始地点であると判断すると、エンコーダ25に通知する。これにより、ユーザデータは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に記録される。
【0092】
《再生処理》
CPU40は、ホストから再生要求のコマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、再生要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0093】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前述の如くして位置姿勢制御が行われる。なお、位置姿勢制御は再生処理が終了するまで随時行われる。そして、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号に基づいてADIP情報を取得し、CPU40に通知する。なお、再生信号処理回路28は、再生処理が終了するまで所定のタイミング毎にADIP情報を取得し、CPU40に通知する。
【0094】
CPU40は、ADIP情報に基づいて読み出し開始地点に光ピックアップ本体101が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。そして、CPU40は、ADIP情報に基づいて光ピックアップ本体101の位置が読み出し開始地点であると判断すると、再生信号処理回路28に通知する。
【0095】
そして、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号に基づいてRF信号を検出し、復調処理、誤り訂正処理等を行った後、再生データとしてバッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。
【0096】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置では、チルトセンサ42とチルト検出回路28gとによってチルト検出手段が構成されている。また、再生信号処理回路28とCPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した構成各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全ての構成部分をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0097】
また、本実施形態では、各トラッキング用コイルと各フォーカス用コイルとベース板と各ヨークと各ラジアルチルト用コイルと各永久磁石とによってレンズ駆動装置が構成されている。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係るレンズ駆動装置によると、各ラジアルチルト用コイルに駆動電流が供給されると、Y軸方向(第1軸方向)の回転軸まわりに可動部を回転する回転力と、前記回転に伴うX軸方向(第2軸方向)に関する前記対物レンズの主点の移動を相殺する並進力とがほぼ同時に可動部に作用するために、光ディスク15の記録面に垂直な軸に対して対物レンズ60の光軸がラジアル方向に傾いている場合に、その傾き量に対応する駆動電流を各ラジアルチルト用コイルに供給することにより、対物レンズの主点位置の移動を抑制しつつラジアルチルトを補正することができる。特に光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる弾性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えることができる。従って、結果として対物レンズを精度良く駆動することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態によると、チルト制御において、対物レンズの主点が可動部の回転軸上近傍に位置する必要がないため、各コイルの設計における自由度が増大し、必要な駆動力を容易に得ることが可能となる。従って、サーボ追随性を向上させることが可能となる。すなわち、対物レンズを高速度で精度良く駆動することが可能となる。
【0100】
また、本実施形態に係る光ピックアップ装置によると、応答性良く、対物レンズのフォーカス制御、トラッキング制御、及びラジアルチルト制御をそれぞれ行うことができる。従って、光ディスクの所定位置に所定形状の光スポットが精度良く安定して形成され、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からは、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号が精度良く出力されるため、情報記録媒体への高速度での記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。
【0102】
なお、上記実施形態では、特にチルト駆動手段に供給される駆動信号の周波数が比較的低いとき、すなわち光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる弾性領域での、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑える場合について説明したが、光ピックアップ装置に出力される駆動信号の周波数が高い場合に、すなわち、光ピックアップ装置の変位感度特性における、いわゆる慣性領域において、チルト動作によるクロスアクションの発生を極めて低いレベルに抑えるように設定しても良い。この場合には、Z軸方向に関する各ラジアルチルト力の作用点と可動部の慣性中心Skとの距離(Lfgとする)が次の(8)式で示される条件を満足するように設定することとなる。ここで、Iradは可動部の慣性モーメント、mは可動部の質量、LngはZ軸方向に関する対物レンズ60の主点Stと慣性中心Skとの距離である。なお、上記実施形態では、支持中心S92と慣性中心Skとがほぼ一致しているため、Lng=Lnsであるが、これに限定されるものではなく、支持中心S92と慣性中心Skとが異なっていても良い。
【0103】
Lfg=Irad/m/Lng ……(8)
【0104】
その理由について以下に説明する。ここで、各ラジアルチルト力による可動部のトラッキング方向への移動の加速度α1は、次の(9)式で示される。
【0105】
α1=Ftr/m ……(9)
【0106】
可動部がXZ面内で角度θ2だけ回転したときの対物レンズ60の主点位置のトラッキング方向への移動量X2は、次の(10)式で示される。
【0107】
X2=−Lng・sinθ2≒−Lng・θ2 ……(10)
【0108】
そこで、主点位置のトラッキング方向への加速度α2は、次の(11)式で示される。ここで、θ2”は可動部の角加速度である。
【0109】
α2=−Lng・θ2” ……(11)
【0110】
一方、角加速度θ2”は次の(12)式の関係を有している。
【0111】
θ2”=Lfg・Ftr/Irad ……(12)
【0112】
そこで、上記(12)式の関係を用いると、上記(11)は次の(13)式に書き換えることができる。
【0113】
α2=−Lng・Lfg・Ftr/Irad ……(13)
【0114】
ここでは、上記(8)式の関係が満足されるように設定されているために、さらに上記(13)式は次の(14)式に書き換えることができる。
【0115】
α2=−Ftr/m ……(14)
【0116】
従って、α1とα2とは、次の(15)式で示される関係となる。
【0117】
α1+α2=0 ……(15)
【0118】
すなわち、可動部の回転により対物レンズ60の主点位置が移動しても、可動部自体が主点位置の移動方向とは逆の方向に同一加速度で移動するために、結果としてチルト制御による対物レンズの主点位置はほとんど変化しないこととなる。
【0119】
なお、駆動信号の周波数帯域が広いときには、次の(16)式で示される条件を満足させても良い。
【0120】
Irad/m=krad/ktr ……(16)
【0121】
すなわち、可動部のトラッキング方向における一次共振周波数と、XZ面内での回転における一次共振周波数とをほぼ一致させても良い。なお、設計上の制約により上記条件を満足させることができない場合や、上記条件を満足させると光ディスク装置の動作に悪影響を及ぼすおそれがある場合などには、LfgとLfsとの間の値を採用しても良い。
【0122】
また、上記実施形態では、ラジアルチルト用コイルとして、一対のラジアルチルト用コイル(第1のラジアルチルト用コイル88a及び第2のラジアルチルト用コイル88b)を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば図12(A)〜図12(D)に示されるように、偶力モーメント発生用のコイルとして、二対のラジアルチルト用コイル(88a1、88a2、88b1、88b2)を付加しても良い。これら二対のラジアルチルト用コイル(88a1、88a2、88b1、88b2)は、いずれもフォーカス用コイルとほぼ同一形状のコイルである。ラジアルチルト用コイル88a1と第1のフォーカス用コイル84a1とは、Y軸方向に互いに積層され、第1の積層コイルSC1を形成している。ラジアルチルト用コイル88a2と第2のフォーカス用コイル84a2とは、Y軸方向に互いに積層され、第2の積層コイルSC2を形成している。ラジアルチルト用コイル88b1と第3のフォーカス用コイル84b1とは、Y軸方向に互いに積層され、第3の積層コイルSC3を形成している。ラジアルチルト用コイル88b2と第4のフォーカス用コイル84b2とは、Y軸方向に互いに積層され、第4の積層コイルSC4を形成している。
【0123】
図13(A)に示されるように、第1の積層コイルSC1はレンズホルダ81の+Y側であって、第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC3とほぼ等しく対向する位置に配置されている。第2の積層コイルSC2はレンズホルダ81の+Y側であって、第1の永久磁石91aの領域RC2及び領域RC4とほぼ等しく対向する位置に配置されている。図13(B)に示されるように、第3の積層コイルSC3はレンズホルダ81の−Y側であって、第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD3とほぼ等しく対向する位置に配置されている。第4の積層コイルSC4はレンズホルダ81の−Y側であって、第2の永久磁石91bの領域RD2及び領域RD4とほぼ等しく対向する位置に配置されている。なお、フォーカス用コイルはラジアルチルト用コイルよりも大きな駆動力を必要とするため、フォーカス用コイルに強い磁束がかかるように、フォーカス用コイルを永久磁石側に配置している。また、各ラジアルチルト用コイルには、それぞれ同一の駆動電流が供給されるように結線されている。
【0124】
これにより、ラジアルチルト用コイル88a1に駆動電流が供給されると、図14(A)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88a1を流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC1及び領域RC3からの磁束とに基づいて−Z方向(又は+Z方向)に力(第3のラジアルチルト力:Fr3)が発生する。ラジアルチルト用コイル88a2に駆動電流が供給されると、ラジアルチルト用コイル88a2を流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC2及び領域RC4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち第3のラジアルチルト力と反対の方向に力(第4のラジアルチルト力:Fr4)が発生する。ラジアルチルト用コイル88b1に駆動電流が供給されると、図14(B)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88b1を流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD1及び領域RD3からの磁束とに基づいて−Z方向(又は+Z方向)、すなわち第3のラジアルチルト力と同じ方向に力(第5のラジアルチルト力:Fr5)が発生する。ラジアルチルト用コイル88b2に駆動電流が供給されると、ラジアルチルト用コイル88b2を流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD2及び領域RD4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち第3のラジアルチルト力と反対の方向に力(第6のラジアルチルト力:Fr6)が発生する。その結果として、可動部にはXZ面内で回転しようとする偶力モーメント(Mgとする)が生じることとなる。
【0125】
この場合には、偶力モーメントMgと前記Ftrとの比が次の(17)式を満足するように、各ラジアルチルト用コイルを配置すれば良い。
【0126】
Ftr/Mg=Lns/krad・{(1/ktr)−(Lns・Lfs/krad)} ……(17)
【0127】
その理由について以下に説明する。可動部がXZ面内で角度θ3だけ回転したときの対物レンズ60の主点位置のトラッキング方向への移動量X3は、次の(18)式で示される。
【0128】
X3=−Lns・sinθ3≒−Lns・θ3 ……(18)
【0129】
この場合には、可動部のXZ面内での回転角θ3は、次の(19)式で示されるように、偶力モーメントMgによる回転とFtrによる回転との積算値である。
【0130】
θ3=Mg/krad+Lfs・Ftr/krad ……(19)
【0131】
そこで、上記(19)式の関係を用いると、上記(18)式は次の(20)式に書き換えることができる。
【0132】
X3=−Lns・Mg/krad−Lns・Lfs・Ftr/krad ……(20)
【0133】
さらに、上記(17)式の関係が満足されるように設定されているため、上記(20)式は次の(21)式に書き換えることができる。
【0134】
【0135】
従って、XtrとX3とは、次の(22)式で示される関係となる。
【0136】
Xtr+X3=0 ……(22)
【0137】
すなわち、可動部の回転により対物レンズ60の主点位置が移動しても、可動部自体が主点位置の移動方向とは逆の方向に同一移動量で移動するために、結果としてチルト駆動による対物レンズの主点位置はほとんど変化しないこととなる。なお、回転方向は各ラジアルチルト用コイルを流れる電流の向きによって制御することができる。また、各ラジアルチルト用コイルは、必要とされる駆動力に応じた大きさ及び形状を有している。
【0138】
この場合において、駆動信号の周波数が高いときには、偶力モーメントMgとFtrとの比が次の(23)式を満足するように、各ラジアルチルト用コイルを配置すれば良い。
【0139】
Ftr/Mg=Lng/{Irad・(1/m−Lng・Lfg/Irad)} ……(23)
【0140】
その理由について以下に説明する。駆動力Ftrによる可動部のトラッキング方向への移動の加速度α1は、前記(9)式で示される。また、可動部がXZ面内で角度θ4だけ回転したときの対物レンズ60の主点位置のトラッキング方向への移動量X4は、次の(24)式で示される。
【0141】
X4=−Lng・sinθ4≒−Lng・θ4 ……(24)
【0142】
そこで、主点位置のトラッキング方向への加速度α4は、次の(25)式で示される。ここで、θ4”は可動部の角加速度である。
【0143】
α4=−Lng・θ4” ……(25)
【0144】
一方、角加速度θ4”は次の(26)式で示されるように、偶力モーメントMgによる角加速度と駆動力Ftrによる角加速度との積算値である。
【0145】
θ4”=Mg/Irad+Lfg・Ftr/Irad ……(26)
【0146】
そこで、上記(26)式の関係を用いると、上記(25)式は次の(27)式に書き換えることができる。
【0147】
α4=−Lng・Mg/Irad−Lng・Lfg・Ftr/Irad ……(27)
【0148】
さらに、上記(23)式の関係を満足するように設定されているため、上記(27)式は更に次の(28)式に書き換えることができる。
【0149】
【0150】
従って、α1とα4とは、次の(29)式で示される関係となる。
【0151】
α1+α4=0 ……(29)
【0152】
すなわち、可動部の回転により対物レンズ60の主点位置が移動しても、可動部自体が主点位置の移動方向とは逆の方向に同一加速度で移動するために、結果としてチルト制御による対物レンズの主点位置はほとんど変化しないこととなる。
【0153】
なお、駆動信号の周波数帯域が広い場合に、設計上の制約により上記(23)式の条件を満足させることができないときや、上記条件を満足させると光ディスク装置の動作に悪影響を及ぼすおそれがあるときなどには、Ftr/Mgが次の(30)式で示される条件を満足すれば良い。
【0154】
Lns/krad{(1/ktr)−Lns・Lfs/krad}<Ftr/Mg<Lng/Irad{(1/m)−Lng・Lfg/Irad} ……(30)
【0155】
また、上記実施形態において、図15(A)〜図15(D)に示されるように、偶力モーメント発生用のコイルとして、XY平面においてレンズホルダ81’の周囲に巻回されたラジアルチルト用コイル88が付加されても良い。
【0156】
このラジアルチルト用コイル88は、図16(A)に示されるように、レンズホルダ81の−Y側では第1の永久磁石91aの領域RC3及び領域RC4に対向する位置に配置され、図16(B)に示されるように、レンズホルダ81の+Y側では第2の永久磁石91bの領域RD3及び領域RD4に対向する位置に配置されている。これにより、ラジアルチルト用コイル88に駆動電流が供給されると、図17(A)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88を流れる電流と第1の永久磁石91aの領域RC3からの磁束とに基づいて−Z方向(又は+Z方向)に力(第7のラジアルチルト力:Fr7)が発生するとともに、領域RC3からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第7のラジアルチルト力と反対の方向に力(第8のラジアルチルト力:Fr8)が発生する。また、図17(B)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88を流れる電流と第2の永久磁石91bの領域RD3からの磁束とに基づいて−Z方向(又は+Z方向)、すなわち、第7のラジアルチルト力と同じ方向に力(第9のラジアルチルト力:Fr9)が発生するとともに、領域RD4からの磁束とに基づいて+Z方向(又は−Z方向)、すなわち、第9のラジアルチルト力と反対の方向に力(第10のラジアルチルト力:Fr10)が発生する。その結果として、可動部にはXZ面内で回転しようとする偶力モーメント(Mg2とする)が生じることとなる。
【0157】
この場合には、偶力モーメントMg2と駆動力Ftrとの比が次の(31)式を満足するように、各ラジアルチルト用コイルを配置すれば良い。
【0158】
Ftr/Mg2=Lns/krad・{(1/ktr)−(Lns・Lfs/krad)} ……(31)
【0159】
また、上記実施形態において、ラジアルチルト用コイルとして、Z軸方向に延びる部分以外が、各磁石領域に対向して配置された偶力モーメント発生用の一対のラジアルチルト用コイルが付加されても良い。
【0160】
また、上記実施形態では、各永久磁石の互いに対峙する面をそれぞれ4つの領域に分ける場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば図18(A)及び図18(B)に示されるように、Z軸方向の着磁境界(EP、FP)によって2つの領域に分けても良い。すなわち、第1の永久磁石91aの代わりに第3の磁石91a’が用いられ、第2の永久磁石91bの代わりに第4の磁石91b’が用いられても良い。
【0161】
ここでは、図18(A)に示されるように、第3の磁石91a’における着磁境界EPの−X側の領域を領域RE1、+X側の領域を領域RE2とする。なお、各領域は互いに逆極性を有している。また、図18(B)に示されるように、第4の磁石91b’における着磁境界FPの−X側の領域を領域RF1、+X側の領域を領域RF2とする。なお、各領域は互いに逆極性を有している。
【0162】
この場合には、一例として図19(A)〜図19(D)に示されるように、第1のラジアルチルト用コイル88aの代わりにラジアルチルト用コイル88a’が用いられ、第2のラジアルチルト用コイル88bの代わりにラジアルチルト用コイル88b’が用いられることとなる。
【0163】
ラジアルチルト用コイル88a’は、図20(A)に示されるように、X軸方向に延びる部分の一部を除いて、第3の磁石91a’の領域RE1及び領域RE2とほぼ等しく対向する位置に配置され、ラジアルチルト用コイル88b’は、図20(B)に示されるように、X軸方向に延びる部分の一部を除いて、第4の磁石91b’の領域RF1及び領域RF2とほぼ等しく対向する位置に配置されている。これにより、ラジアルチルト用コイル88a’に駆動電流が供給されると、図21(A)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88a’を流れる電流と第3の永久磁石91a’の領域RE1及び領域RE2からの磁束とに基づいて+X方向(又は−X方向)に力(第11のラジアルチルト力:Fr11、第12のラジアルチルト力:Fr12)が発生するとともに、+Z方向(又は−Z方向)の力(第13のラジアルチルト力:Fr13)及び−Z方向(又は+Z方向)の力(第14のラジアルチルト力:Fr14)が発生する。ラジアルチルト用コイル88b’に駆動電流が供給されると、図21(B)に示されるように、ラジアルチルト用コイル88b’を流れる電流と第4の永久磁石91b’の領域RF1及び領域RF2からの磁束とに基づいて+X方向(又は−X方向)に力(第15のラジアルチルト力:Fr15、第16のラジアルチルト力:Fr16)が発生するとともに、+Z方向(又は−Z方向)の力(第17のラジアルチルト力:Fr17)及び−Z方向(又は+Z方向)の力(第18のラジアルチルト力:Fr18)が発生する。
【0164】
この場合には、Fr13、Fr14、Fr17及びFr18による偶力モーメントMg3と、Fr11、Fr12、Fr15及びFr16によるX軸方向への駆動力Ftr2との比が次の(32)式を満足するように、各ラジアルチルト用コイルを配置すれば良い。
【0165】
Ftr2/Mg3=Lns/krad・{(1/ktr)−(Lns・Lfs/krad)} ……(32)
【0166】
なお、駆動信号の周波数が高い場合、及び周波数帯域が広い場合には前記と同様にして対応することができる。
【0167】
また、例えば図22(A)及び図22(B)に示されるように、各領域の大きさが互いに異なる永久磁石95a、95bを用いても良い。
【0168】
永久磁石95aの−Y側の面は、図22(A)に示されるように、Z軸方向の着磁境界GPによって2つの領域に分けられ、さらに各領域はL字型の領域と矩形の領域とに分けられている。ここでは、着磁境界GPの−X側の矩形領域を領域RG1、L字型領域を領域RG2、着磁境界GPの+X側の矩形領域を領域RG3、L字型領域を領域RG4とする。そして、領域RG1と領域RG2は互いに逆極性の領域であり、領域RG3と領域RG4は互いに逆極性の領域である。また、領域RG1は領域RG2よりも小さく、領域RG3は領域RG4よりも小さい。一方、永久磁石95bの+Y側の面は、図22(B)に示されるように、Z軸方向の着磁境界HPによって2つの領域に分けられ、さらに各領域はL字型の領域と矩形の領域とに分けられている。ここでは、着磁境界HPの−X側の矩形領域を領域RH1、L字型領域を領域RH2、着磁境界HPの+X側の矩形領域を領域RH3、L字型領域を領域RH4とする。そして、領域RH1と領域RH2は互いに逆極性の領域であり、領域RH3と領域RH4は互いに逆極性の領域である。また、領域RH1は領域RH2よりも小さく、領域RH3は領域RH4よりも小さい。
【0169】
この場合には、第1のトラッキング用コイル82aは、一例として図23(A)に示されるように、永久磁石95aの領域RG2及び領域RG4とほぼ等しく対向する位置に配置され、第2のトラッキング用コイル82bは、一例として図23(B)に示されるように、永久磁石95bの領域RH2及び領域RH4とほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。
【0170】
第1のフォーカス用コイル84a1は、一例として図23(A)に示されるように、永久磁石95aの領域RG1と領域RG2とがZ軸方向に隣接する部分にほぼ等しく対向する位置に配置され、第2のフォーカス用コイル84a2は永久磁石95aの領域RG3と領域RG4とがZ軸方向に隣接する部分にほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。また、第3のフォーカス用コイル84b1は、一例として図23(B)に示されるように、永久磁石95bの領域RH1と領域RH2とがZ軸方向に隣接する部分にほぼ等しく対向する位置に配置され、第4のフォーカス用コイル84b2は、永久磁石95bの領域RH3と領域RH4とがZ軸方向に隣接する部分にほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。
【0171】
ラジアルチルト用コイル88a1は、一例として図23(A)に示されるように、そのほぼ2/3が永久磁石95aの領域RG2に対向し、残りが領域RG1に対向する位置に配置され、ラジアルチルト用コイル88a2は、そのほぼ2/3が領域RG4に対向し、残りが領域RG2に対向する位置に配置されている。ラジアルチルト用コイル88b1は、一例として図23(B)に示されるように、そのほぼ2/3が永久磁石95bの領域RH2に対向し、残りが領域RH1に対向する位置に配置され、ラジアルチルト用コイル88b2は、そのほぼ2/3が領域RH4に対向し、残りが領域RH3に対向する位置に配置されている。これにより、各ラジアルチルト用コイルに駆動電流が供給されると、一例として図24(A)及び図24(B)に示されるように、可動部をX軸方向に移動する駆動力と、可動部をXZ面内で回転する偶力とが発生することとなる。そこで、駆動力と偶力モーメントとの比が前述した条件を満足するように各ラジアルチルト用コイルを配置することにより、チルト駆動に伴う対物レンズの主点位置の移動を抑制することができる。
【0172】
さらに、例えば図25(A)及び図25(B)に示されるように、各領域が三角形状を有する永久磁石96a、96bを用いても良い。
【0173】
永久磁石96aの−Y側の面は、図25(A)に示されるように、Z軸方向の着磁境界IPによって2つの領域に分けられ、さらに各領域は2つの三角形状の領域に分けられている。ここでは、着磁境界IPの−X側で着磁境界IPを一辺とする三角形領域を領域RI2、他の三角形領域を領域RI1、着磁境界IP+X側で着磁境界IPを一辺とする三角形領域を領域RI4、他の三角形領域を領域RI3とする。そして、互いに隣り合う領域は逆極性の領域である。永久磁石96bの+Y側の面は、図25(B)に示されるように、Z軸方向の着磁境界JPによって2つの領域に分けられ、さらに各領域は2つの三角形状の領域に分けられている。ここでは、着磁境界JPの−X側で着磁境界JPを一辺とする三角形領域を領域RJ2、他の三角形領域を領域RJ1、着磁境界JPの+X側で着磁境界JPを一辺とする三角形領域を領域RJ4、他の三角形領域を領域RJ3とする。そして、互いに隣り合う領域は逆極性の領域である。
【0174】
この場合には、第1のトラッキング用コイル82aは、一例として図26(A)に示されるように、永久磁石96aの領域RI2及び領域RI4とほぼ等しく対向する位置に配置され、第2のトラッキング用コイル82bは、一例として図26(B)に示されるように、永久磁石96bの領域RJ2及び領域RJ4とほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。
【0175】
第1のフォーカス用コイル84a1は、一例として図26(A)に示されるように、永久磁石96aの領域RI1及び領域RI2とほぼ等しく対向する位置に配置され、第2のフォーカス用コイル84a2は永久磁石96aの領域RI3及び領域RI4とほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。また、第3のフォーカス用コイル84b1は、一例として図26(B)に示されるように、永久磁石96bの領域RJ1及び領域RJ2とほぼ等しく対向する位置に配置され、第4のフォーカス用コイル84b2は、永久磁石96bの領域RJ3及び領域RJ4とほぼ等しく対向する位置に配置されることとなる。
【0176】
ラジアルチルト用コイル88a1は、一例として図26(A)に示されるように、そのほぼ2/3が永久磁石96aの領域RI1に対向し、残りが領域RI2に対向する位置に配置され、ラジアルチルト用コイル88a2は、そのほぼ2/3が領域RI3に対向し、残りが領域RI4に対向する位置に配置されている。ラジアルチルト用コイル88b1は、一例として図26(B)に示されるように、そのほぼ2/3が永久磁石96bの領域RJ1に対向し、残りが領域RJ2に対向する位置に配置され、ラジアルチルト用コイル88b2は、そのほぼ2/3が領域RJ3に対向し、残りが領域RJ4に対向する位置に配置されている。これにより、各ラジアルチルト用コイルに駆動電流が供給されると、一例として図27(A)及び図27(B)に示されるように、可動部をX軸方向に移動する駆動力と、可動部をXZ面内で回転する偶力とが発生することとなる。そこで、駆動力と偶力モーメントとの比が前述した条件を満足するように各ラジアルチルト用コイルを配置することにより、チルト駆動に伴う対物レンズの主点位置の移動を抑制することができる。
【0177】
また、上記実施形態では、チルトセンサが光ピックアップ装置とは別に配置される場合について説明したが、これに限らず、チルトセンサが光ピックアップ装置内に実装されても良い。そして、チルト検出回路28gと同様な処理を行う回路を光ピックアップ装置に付加しても良い。これにより、光ピックアップ装置からはラジアルチルトの影響が除去された信号が安定して出力されることとなる。
【0178】
また、永久磁石における領域の配置については、上述したものに限定されるものではなく、チルト制御において、Y軸方向の回転軸まわりに可動部を回転する回転力と、前記回転に伴うX軸方向に関する前記対物レンズの主点の移動を相殺する並進力とがほぼ同時に可動部に作用すれば良い。
【0179】
また、ラジアルチルト用コイルの構成及び配置位置については、上述したものに限定されるものではなく、チルト制御において、Y軸方向の回転軸まわりに可動部を回転する回転力と、前記回転に伴うX軸方向に関する前記対物レンズの主点の移動を相殺する並進力とがほぼ同時に可動部に作用すれば良い。
【0180】
また、上記実施形態では、DVD系の規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15として用いられる場合について説明したが、これに限らず、例えばCD(compact disc)系の規格に準拠した情報記録媒体やレーザディスクであっても良い。要するに、本発明は、光を照射して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行う情報記録媒体に適用することができる。すなわち、光源として、波長が660nmの光束を出射する光源に限らず、例えば波長が405nmの光束を出射する光源や波長が780nmの光束を出射する光源などであっても良い。
【0181】
また、上記実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、これに限らず、複数の光源を備えていても良い。この場合に、例えば波長が405nmの光束を出射する光源、波長が660nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源の少なくともいずれかを含む複数の光源を備えていても良い。
【0182】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0183】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るレンズ駆動装置によると、対物レンズを高速度で精度良く駆動することができるという効果がある。
【0184】
また、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することができるという効果がある。
【0185】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における再生信号処理回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図4】図3における光束出射系の詳細構成を説明するための図である。
【図5】図3における集光系の斜視図である。
【図6】図6(A)は、図3における集光系の詳細構成を説明するための図であり、図6(B)は、図6(A)のA−A線断面図である。
【図7】図7(A)は、第1の永久磁石における領域の構成を説明するための図であり、図7(B)は、第2の永久磁石における領域の構成を説明するための図である。
【図8】図8(A)〜図8(D)は、それぞれレンズホルダを駆動するための各コイルの配置を説明するための図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、それぞれレンズホルダを駆動するための各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図10】図10(A)〜図10(F)は、それぞれレンズホルダを駆動するための各コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、それぞれチルト制御を説明するための図である。
【図12】図12(A)〜図12(D)は、それぞれラジアルチルト用コイルの第1の変形例を説明するための図である。
【図13】図13(A)及び図13(B)は、それぞれ図12(A)〜図12(D)における各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれ図12(A)〜図12(D)におけるラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【図15】図15(A)〜図15(D)は、それぞれラジアルチルト用コイルの第2の変形例を説明するための図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、それぞれ図15(A)〜図15(D)における各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、それぞれ図15(A)〜図15(D)におけるラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【図18】図18(A)及び図18(B)は、それぞれ永久磁石における領域配置の第1の変形例を説明するための図である。
【図19】図19(A)〜図19(D)は、それぞれ図18(A)及び図18(B)の領域配置を有する永久磁石を用いたときの、各コイルの配置を説明するための図である。
【図20】図20(A)及び図20(B)は、それぞれ図19(A)〜図19(D)における各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、それぞれ図19(A)〜図19(D)におけるラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【図22】図22(A)及び図22(B)は、それぞれ永久磁石における領域配置の第2の変形例を説明するための図である。
【図23】図23(A)及び図23(B)は、それぞれ図22(A)及び図22(B)の領域配置を有する永久磁石を用いたときの、各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図24】図24(A)及び図24(B)は、それぞれ図23(A)及び図23(B)におけるラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【図25】図25(A)及び図25(B)は、それぞれ永久磁石における領域配置の第3の変形例を説明するための図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は、それぞれ図25(A)及び図25(B)の領域配置を有する永久磁石を用いたときの、各コイルと永久磁石の各領域との位置関係を説明するための図である。
【図27】図27(A)及び図27(B)は、それぞれ図26(A)及び図26(B)におけるラジアルチルト用コイルに駆動電流を供給したときに発生する力を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、28g…チルト検出回路(チルト検出手段の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、42…チルトセンサ(チルト検出手段の一部)、59…受光器(光検出器)、60…対物レンズ、71…ハウジング、81…レンズホルダ(レンズ保持部材)、87…ステム(固定部材)、92a1,92a2,92a3,92b1,92b2,92b3…線ばね(弾性部材)。
Claims (13)
- 光ピックアップ装置を構成するハウジングに搭載され、情報記録媒体の記録面に光を集光する対物レンズを駆動するレンズ駆動装置であって、
前記ハウジングに固定された固定部材と;
前記対物レンズを保持するレンズ保持部材と;
前記固定部材にそれぞれの一端が接続されるとともに、他端が前記レンズ保持部材に接続され、前記レンズ保持部材を支持する複数の弾性部材と;
前記対物レンズと前記レンズ保持部材とを含む可動系の回転中心と前記対物レンズの主点との位置関係と、前記可動系における前記対物レンズの光軸方向に直交する第1軸方向の回転軸まわりの慣性モーメント及び前記複数の弾性部材の特性の少なくとも一方とに応じて、前記回転軸まわりの回転力の作用点と前記第1軸方向に直交する第2軸方向の並進力の作用点とが設定され、前記回転軸まわりの回転力と、前記可動系の回転による前記対物レンズの主点位置の移動の少なくとも一部を相殺するように前記第2軸方向の並進力とをほぼ同時に発生するチルト駆動手段と;を備えるレンズ駆動装置。 - 前記チルト駆動手段は、前記可動系の回転中心から前記対物レンズと反対の方向に所定の距離だけ離れた位置に前記第2軸方向の駆動力を作用させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、
前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfsが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記複数の弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数kradを用いて、Lfs=krad/ktr/Lnsで示されることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、
前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfgが、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Lfg=Irad/m/Lngで示されることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、
前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfsが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記複数の弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Irad/m/Lng≦Lfs≦krad/ktr/Lnsの範囲内に含まれることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、
前記可動系に対する前記駆動力の作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfgが、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Irad/m/Lng≦Lfg≦krad/ktr/Lnsの範囲内に含まれることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。 - 前記チルト駆動手段は、前記可動系に対して、前記可動系の回転中心から前記対物レンズと反対の方向に所定の距離だけ離れた位置に前記第2軸方向の駆動力を作用させるとともに、前記第1軸方向の所定の軸を中心とする偶力を作用させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記可動系の回転中心は前記複数の弾性部材による支持中心であり、
前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfs、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数kradを用いて、Ftr/Mg=Lns/{krad・(1/ktr−Lns・Lfs/krad)}で示されることを特徴とする請求項7に記載のレンズ駆動装置。 - 前記可動系の回転中心は前記可動系の慣性中心であり、
前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記慣性中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfg、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Ftr/Mg=Lng/{Irad・(1/m−Lng・Lfg/Irad)}で示されることを特徴とする請求項7に記載のレンズ駆動装置。 - 前記複数の弾性部材による支持中心と前記可動系の慣性中心とがほぼ等しく、前記可動系の前記回転軸まわりの慣性モーメントIradと前記可動系の質量mとの比は、前記複数の弾性部材のばね定数krad及びねじりばね定数ktrを用いて、Irad/m=krad/ktrで示されることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
- 前記駆動力Ftrと前記偶力による偶力モーメントMgとの比は、前記駆動力の前記可動系に対する作用点と前記複数の弾性部材による支持中心との前記対物レンズの光軸方向に関する距離Lfs、前記作用点と前記可動系の慣性中心との距離Lfg、前記主点と前記支持中心との距離Lns、前記弾性部材のばね定数ktr及びねじりばね定数krad、前記主点と前記慣性中心との距離Lng、前記可動系の質量m、前記回転軸まわりの慣性モーメントIradを用いて、Lns/{krad・(1/ktr−Lns・Lfs/krad)}<(Ftr/Mg)<Lng/{Irad・(1/m−Lng・Lfg/Irad)}の範囲内に含まれることを特徴とする請求項7に記載のレンズ駆動装置。
- 情報記録媒体の記録面上に光束を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
前記光束を出射する光源と;
請求項1〜11のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と;
前記保持部材に保持され、前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズを含み、前記記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置に導く光学系と;
前記受光位置に配置された光検出器と;を備える光ピックアップ装置。 - 情報記録媒体に対して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、
請求項12に記載の光ピックアップ装置と;
前記情報記録媒体の傾きを検出するチルト検出手段と;
前記チルト検出手段の出力信号に基づいて前記レンズ駆動装置を制御するとともに、前記光ピックアップ装置の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置。
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EP03253580A EP1369854A3 (en) | 2002-06-06 | 2003-06-06 | Objective lens drive apparatus, optical pickup device, and optical disk drive |
US11/783,733 US20070195658A1 (en) | 2002-06-06 | 2007-04-11 | Objective lens drive apparatus, optical pickup device, and optical disk drive |
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JP2008052839A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Pioneer Electronic Corp | レンズ駆動装置 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002334417A patent/JP2004171634A/ja active Pending
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