JP2004170229A - 透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過型電子顕微鏡本来の高性能の観察を行うために有用な試料表面の処理方法を提供する。
【解決手段】Arガス導入口8、9を有する真空室1内に、あらかじめFIB加工などの前処理を行った透過型電子顕微鏡用試料16を付着させたシリコン基板17を装着した試料ホルダ6を載置する電極2と、これに対向する位置に設けた電極3とを備えた真空表面処理装置を用いて、試料16の表裏両面をプラズマ雰囲気下に曝すことにより、プラズマ表面処理を行う。プラズマ発生のための活性種ガスとして、Arガス以外にCF4ガスなどのハロゲン系ガスやO2ガスを用いることが可能である。また、基板17の材質には、シリコン以外にモリブデン、ケイ化鉄などを用いることができる。
【選択図】図1
【解決手段】Arガス導入口8、9を有する真空室1内に、あらかじめFIB加工などの前処理を行った透過型電子顕微鏡用試料16を付着させたシリコン基板17を装着した試料ホルダ6を載置する電極2と、これに対向する位置に設けた電極3とを備えた真空表面処理装置を用いて、試料16の表裏両面をプラズマ雰囲気下に曝すことにより、プラズマ表面処理を行う。プラズマ発生のための活性種ガスとして、Arガス以外にCF4ガスなどのハロゲン系ガスやO2ガスを用いることが可能である。また、基板17の材質には、シリコン以外にモリブデン、ケイ化鉄などを用いることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法に関する。透過型電子顕微鏡(TEM)の結像には種々の方法があり、明視野像を用いた比較的低倍率の像から多波格子像によるナノ領域での高分解能観察及び分析まで、目的に応じて多様な観察が可能である。
【0002】
【従来の技術】
透過型電子顕微鏡観察に用いられる試料の調整にさまざまな方法が用いられ、試料の観察部位を数百nm程度まで薄くする前処理工程(薄化工程)が重要である。この前処理工程には、従来、イオン研磨(イオンシンニング)装置やFIB(Focused Ion Beam)装置、電解研磨装置(例えば特許文献1参照。)などによる方法が用いられる。
【0003】
しかしながら、これらのものを用いて前処理工程を行う際に、試料に対して炭化水素系のコンタミネーションが堆積して付着することがある。このコンタミネーションは、透過型電子顕微鏡による観察後に粒界での元素分析などを目的として行われるエネルギー分散X線分光分析(EDX)時に、電子線照射により誘発されて分析部位にまで成長し、観察や分析の障害となるおそれがある。このような障害が生じると、例えばX線回折などを用いて行う観察追試験も不可能になる。
【0004】
また、特に、FIB装置を用いて前処理工程を行うと、試料表面に非晶質層が形成されることがあり、これも透過型電子顕微鏡による高性能の観察及び分析を阻害する要因となる。
【0005】
また、いずれの装置による場合も、前処理工程中に自然酸化層など酸化層の形成を招く可能性があることも看過できない。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5510624号明細書(第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、透過型電子顕微鏡本来の高性能の観察を行うために有用な試料表面の処理方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、透過型電子顕微鏡用試料の薄化工程後に、この試料に対してプラズマ表面処理を行うものとする。
【0009】
これによれば、電解研磨装置やイオン研磨装置、FIB装置などにより前処理工程として薄化工程を行った透過型電子顕微鏡用試料に対し、イオンクリーニングが施されて、前処理工程の際に発生するコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化膜などが除去される。このため、その後の透過型電子顕微鏡観察や、EDXによる粒界での元素分析、及び、X線回折による膜構造の追試験など、透過型電子顕微鏡を用いる一連の評価を正確に行うことができる。
【0010】
この場合、上記したプラズマ表面処理を試料の表裏両面に行うことにより、試料に対するイオンクリーニング効果がさらに確実になる。試料の表裏両面に対する処理を可能とするには、例えば、試料載置面を直立させ、その両面がプラズマ雰囲気下に曝されるようにすれば良い。
【0011】
また、プラズマ表面処理のためのプラズマ源として、ハロゲン系ガス及びArガス、O2ガスのいずれかの活性種ガスまたはこれらのうちいずれかの活性種ガスを混合成分とする混合活性種ガスを導入して用いることができる。なお、この場合のハロゲン系ガスとして、F2ガス、HFガス、NF3ガス、CF4ガス、CHF3ガス、C2F6ガスなどを具体例として挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明方法による試料表面処理を行うための真空表面処理装置の略断面図である。図1を参照して、真空室1の内部に、電極2及び3が対向して配置されている。このうち、電極2は、絶縁部材4を介して外部の高周波電源5と接続されると共に、透過型電子顕微鏡用試料の試料ホルダ6の載置台として用いられる。一方、電極3は、絶縁部材7を介して装置外部の接地電位に設定される。また、真空室1の側面には第1及び第2のガス導入口8、9が設けられ、それぞれ、可変流量弁10、11を介してシリンダ弁12、13からの導入ガスの流量が調整可能である。さらに、真空室1の下部には、ターボ分子ポンプ14a及びダイヤフラムポンプ14bから成る二段排気システムに連なる真空排気口16が設けられている。
【0013】
図2は、上記した試料ホルダ6に、試料16を付着させた試料板17が装着された状態を示す拡大図である。試料ホルダ6は、図2(a)の上面図及び(b)の側面図で示すようにL字型の台座構造に形成され、一方の側端の突起部6aにて、例えば、シリコン、モリブデン、ケイ化鉄などを材質とする円形基板から成る試料板17が上下方向に着脱可能となっている。即ち、図2(a)で示すように突起部6aには、その中央を最深部とするV字状の溝6bが設けられ、さらに、突起部6aは、溝6bのV字形状よりやや小型の相似形状断面の切り欠き6cが両側面間で貫通している。そして、溝6bに円形試料板17を落とし込むと、試料板17の円周上の2点で試料板17が支持され、さらに、試料板17の中心部の試料16が、突起部6aの両側面方向から覗けるようにされている。(図2(c)参照。)
【0014】
このようにして直立して載置される試料板17や試料16は、例えば、それぞれ直径3mm及び直径1mm程度のものを想定しており、試料ホルダ6をL字台座構造にしたのは、このような小型試料を扱い易くするためである。
【0015】
ただし、このようなL字台座構造は本実施の形態における一例に過ぎず、これにより本発明が限定されるものではない。即ち、図1の試料ホルダ6として、例えば、FIB加工装置用のホルダをそのまま電極2上に載置するようにしても良い。
【0016】
図1の装置を用いて表面処理を行うに際しては、試料ホルダ6に、あらかじめ上記の電解研磨やイオン研磨、あるいはFIBなどによる前処理加工を行った試料16付きの試料板17を保持させた後、真空室1に付属のターボ分子ポンプ14a及びダイヤフラムポンプ14bから成る二段排気システムを作動させて、真空排気口16から真空排気を開始して、真空表面処理装置1の内部を所定の到達圧力にする。そして、この状態で、第1及び第2のガス導入口8、9よりAr及びO2ガスをそれぞれ導入する。このとき、導入されるガスは、それぞれ所定流量に保たれ、この結果、真空室1の内部圧力も所定のプロセス圧力範囲内となるように図外の真空計でモニタしながら上記の排気システムの真空作動を調整する。なお、この際の導入ガスとしては、Arガス、O2ガス以外にも、CF4ガスを始めとするハロゲン系ガスなど、プラズマ発生のための活性種ガスの条件を満たすものであれば、これを用いても良い。
【0017】
そして、この状態で、電極2の温度が20〜300℃の範囲となるように高周波電源5を調整して、電極2、3間にてプラズマ放電を行い、試料16の表裏両面が所定時間プラズマ雰囲気下に曝されるようにする。このとき、試料16の表面では、前処理工程中に形成されていたコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化層が、プラズマを用いたイオンクリーニングにより除去される。このようにして表面処理を行った試料16は、透過型電子顕微鏡による観察や、これを用いた一連の分析作業に適した清浄表面を備えている。
【0018】
また、本実施の形態において表面処理を行う試料を、透過型電子顕微鏡用のものとしたが、試料表面をクリーニングして観察や分析を確実に行える点から透過型電子顕微鏡より感度の劣る走査型電子顕微鏡(SEM)においても、その効果が有効であることは言うまでもない。
【0019】
【実施例】
図1の真空表面処理装置1を用い、あらかじめFIB加工済みのGaN膜16付きシリコン基板17を試料ホルダ6に装着した。その後、装置内部を10−2Paの初期到達圧力とした状態で、Arガスのみを導入ガスとしてその流量を40sccmに保ち、プロセス圧力を1.33Paに維持させた。そして、高周波電源5より5Wの高周波電力を印加して、約4分間プラズマ放電を持続させた。
【0020】
このようにしてプラズマ表面処理によるイオンクリーニングを行ったGaN膜の顕微鏡写真を図3(a)に示す。
【0021】
本発明のプラズマ表面処理を行わないままのGaN膜の顕微鏡写真図3(b)では、FIB加工に起因するアモルファス層(非晶質層)が20nm程度の膜厚で形成されているのに対し、本発明の表面処理を経たGaN膜(図3(a))では、このような付着層が確実に除去されていることが分る。
【0022】
なお、本実施例において、基板17としてシリコン基板を用いたが、これ以外にもモリブデン基板、ケイ化鉄基板などを用いても同様の結果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の表面処理方法により、透過型電子顕微鏡観察に用いる試料表面は効果的にイオンクリーニングされるので、試料に対する前処理工程において発生が危惧されるコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化層などを確実に除去することができる。
【0024】
したがって、透過型電子顕微鏡観察や、これを用いた一連の分析作業に支障をもたらす試料表面付着物の影響を払拭することができ、透過型電子顕微鏡本来の高い性能に基づいた高精度の測定を行うことができる。
【0025】
また、本発明による、試料表面の確実なクリーニング効果は、透過型電子顕微鏡用試料にとどまらず、走査型電子顕微鏡による観察及び分析にも転用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法を行うための真空表面処理装置の略断面図
【図2】(a)試料ホルダの拡大上面図
(b)試料ホルダの拡大側面図
(c)試料ホルダの拡大正面図
【図3】(a)前処理工程後に本発明の表面処理を行ったGaN膜表面の顕微鏡写真
(b)従来の前処理工程のみを経たGaN膜表面の顕微鏡写真
【符号の説明】
1 真空表面処理装置
2,3 電極
5 高周波電源
6 試料ホルダ
6a 突起部
6b 溝
6c 切り欠き
8,9 ガス導入口
14a ターボ分子ポンプ
14b ダイヤフラムポンプ
15 真空排気口
16 試料
17 試料板
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法に関する。透過型電子顕微鏡(TEM)の結像には種々の方法があり、明視野像を用いた比較的低倍率の像から多波格子像によるナノ領域での高分解能観察及び分析まで、目的に応じて多様な観察が可能である。
【0002】
【従来の技術】
透過型電子顕微鏡観察に用いられる試料の調整にさまざまな方法が用いられ、試料の観察部位を数百nm程度まで薄くする前処理工程(薄化工程)が重要である。この前処理工程には、従来、イオン研磨(イオンシンニング)装置やFIB(Focused Ion Beam)装置、電解研磨装置(例えば特許文献1参照。)などによる方法が用いられる。
【0003】
しかしながら、これらのものを用いて前処理工程を行う際に、試料に対して炭化水素系のコンタミネーションが堆積して付着することがある。このコンタミネーションは、透過型電子顕微鏡による観察後に粒界での元素分析などを目的として行われるエネルギー分散X線分光分析(EDX)時に、電子線照射により誘発されて分析部位にまで成長し、観察や分析の障害となるおそれがある。このような障害が生じると、例えばX線回折などを用いて行う観察追試験も不可能になる。
【0004】
また、特に、FIB装置を用いて前処理工程を行うと、試料表面に非晶質層が形成されることがあり、これも透過型電子顕微鏡による高性能の観察及び分析を阻害する要因となる。
【0005】
また、いずれの装置による場合も、前処理工程中に自然酸化層など酸化層の形成を招く可能性があることも看過できない。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5510624号明細書(第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、透過型電子顕微鏡本来の高性能の観察を行うために有用な試料表面の処理方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、透過型電子顕微鏡用試料の薄化工程後に、この試料に対してプラズマ表面処理を行うものとする。
【0009】
これによれば、電解研磨装置やイオン研磨装置、FIB装置などにより前処理工程として薄化工程を行った透過型電子顕微鏡用試料に対し、イオンクリーニングが施されて、前処理工程の際に発生するコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化膜などが除去される。このため、その後の透過型電子顕微鏡観察や、EDXによる粒界での元素分析、及び、X線回折による膜構造の追試験など、透過型電子顕微鏡を用いる一連の評価を正確に行うことができる。
【0010】
この場合、上記したプラズマ表面処理を試料の表裏両面に行うことにより、試料に対するイオンクリーニング効果がさらに確実になる。試料の表裏両面に対する処理を可能とするには、例えば、試料載置面を直立させ、その両面がプラズマ雰囲気下に曝されるようにすれば良い。
【0011】
また、プラズマ表面処理のためのプラズマ源として、ハロゲン系ガス及びArガス、O2ガスのいずれかの活性種ガスまたはこれらのうちいずれかの活性種ガスを混合成分とする混合活性種ガスを導入して用いることができる。なお、この場合のハロゲン系ガスとして、F2ガス、HFガス、NF3ガス、CF4ガス、CHF3ガス、C2F6ガスなどを具体例として挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明方法による試料表面処理を行うための真空表面処理装置の略断面図である。図1を参照して、真空室1の内部に、電極2及び3が対向して配置されている。このうち、電極2は、絶縁部材4を介して外部の高周波電源5と接続されると共に、透過型電子顕微鏡用試料の試料ホルダ6の載置台として用いられる。一方、電極3は、絶縁部材7を介して装置外部の接地電位に設定される。また、真空室1の側面には第1及び第2のガス導入口8、9が設けられ、それぞれ、可変流量弁10、11を介してシリンダ弁12、13からの導入ガスの流量が調整可能である。さらに、真空室1の下部には、ターボ分子ポンプ14a及びダイヤフラムポンプ14bから成る二段排気システムに連なる真空排気口16が設けられている。
【0013】
図2は、上記した試料ホルダ6に、試料16を付着させた試料板17が装着された状態を示す拡大図である。試料ホルダ6は、図2(a)の上面図及び(b)の側面図で示すようにL字型の台座構造に形成され、一方の側端の突起部6aにて、例えば、シリコン、モリブデン、ケイ化鉄などを材質とする円形基板から成る試料板17が上下方向に着脱可能となっている。即ち、図2(a)で示すように突起部6aには、その中央を最深部とするV字状の溝6bが設けられ、さらに、突起部6aは、溝6bのV字形状よりやや小型の相似形状断面の切り欠き6cが両側面間で貫通している。そして、溝6bに円形試料板17を落とし込むと、試料板17の円周上の2点で試料板17が支持され、さらに、試料板17の中心部の試料16が、突起部6aの両側面方向から覗けるようにされている。(図2(c)参照。)
【0014】
このようにして直立して載置される試料板17や試料16は、例えば、それぞれ直径3mm及び直径1mm程度のものを想定しており、試料ホルダ6をL字台座構造にしたのは、このような小型試料を扱い易くするためである。
【0015】
ただし、このようなL字台座構造は本実施の形態における一例に過ぎず、これにより本発明が限定されるものではない。即ち、図1の試料ホルダ6として、例えば、FIB加工装置用のホルダをそのまま電極2上に載置するようにしても良い。
【0016】
図1の装置を用いて表面処理を行うに際しては、試料ホルダ6に、あらかじめ上記の電解研磨やイオン研磨、あるいはFIBなどによる前処理加工を行った試料16付きの試料板17を保持させた後、真空室1に付属のターボ分子ポンプ14a及びダイヤフラムポンプ14bから成る二段排気システムを作動させて、真空排気口16から真空排気を開始して、真空表面処理装置1の内部を所定の到達圧力にする。そして、この状態で、第1及び第2のガス導入口8、9よりAr及びO2ガスをそれぞれ導入する。このとき、導入されるガスは、それぞれ所定流量に保たれ、この結果、真空室1の内部圧力も所定のプロセス圧力範囲内となるように図外の真空計でモニタしながら上記の排気システムの真空作動を調整する。なお、この際の導入ガスとしては、Arガス、O2ガス以外にも、CF4ガスを始めとするハロゲン系ガスなど、プラズマ発生のための活性種ガスの条件を満たすものであれば、これを用いても良い。
【0017】
そして、この状態で、電極2の温度が20〜300℃の範囲となるように高周波電源5を調整して、電極2、3間にてプラズマ放電を行い、試料16の表裏両面が所定時間プラズマ雰囲気下に曝されるようにする。このとき、試料16の表面では、前処理工程中に形成されていたコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化層が、プラズマを用いたイオンクリーニングにより除去される。このようにして表面処理を行った試料16は、透過型電子顕微鏡による観察や、これを用いた一連の分析作業に適した清浄表面を備えている。
【0018】
また、本実施の形態において表面処理を行う試料を、透過型電子顕微鏡用のものとしたが、試料表面をクリーニングして観察や分析を確実に行える点から透過型電子顕微鏡より感度の劣る走査型電子顕微鏡(SEM)においても、その効果が有効であることは言うまでもない。
【0019】
【実施例】
図1の真空表面処理装置1を用い、あらかじめFIB加工済みのGaN膜16付きシリコン基板17を試料ホルダ6に装着した。その後、装置内部を10−2Paの初期到達圧力とした状態で、Arガスのみを導入ガスとしてその流量を40sccmに保ち、プロセス圧力を1.33Paに維持させた。そして、高周波電源5より5Wの高周波電力を印加して、約4分間プラズマ放電を持続させた。
【0020】
このようにしてプラズマ表面処理によるイオンクリーニングを行ったGaN膜の顕微鏡写真を図3(a)に示す。
【0021】
本発明のプラズマ表面処理を行わないままのGaN膜の顕微鏡写真図3(b)では、FIB加工に起因するアモルファス層(非晶質層)が20nm程度の膜厚で形成されているのに対し、本発明の表面処理を経たGaN膜(図3(a))では、このような付着層が確実に除去されていることが分る。
【0022】
なお、本実施例において、基板17としてシリコン基板を用いたが、これ以外にもモリブデン基板、ケイ化鉄基板などを用いても同様の結果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の表面処理方法により、透過型電子顕微鏡観察に用いる試料表面は効果的にイオンクリーニングされるので、試料に対する前処理工程において発生が危惧されるコンタミネーションや非晶質層、あるいは酸化層などを確実に除去することができる。
【0024】
したがって、透過型電子顕微鏡観察や、これを用いた一連の分析作業に支障をもたらす試料表面付着物の影響を払拭することができ、透過型電子顕微鏡本来の高い性能に基づいた高精度の測定を行うことができる。
【0025】
また、本発明による、試料表面の確実なクリーニング効果は、透過型電子顕微鏡用試料にとどまらず、走査型電子顕微鏡による観察及び分析にも転用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法を行うための真空表面処理装置の略断面図
【図2】(a)試料ホルダの拡大上面図
(b)試料ホルダの拡大側面図
(c)試料ホルダの拡大正面図
【図3】(a)前処理工程後に本発明の表面処理を行ったGaN膜表面の顕微鏡写真
(b)従来の前処理工程のみを経たGaN膜表面の顕微鏡写真
【符号の説明】
1 真空表面処理装置
2,3 電極
5 高周波電源
6 試料ホルダ
6a 突起部
6b 溝
6c 切り欠き
8,9 ガス導入口
14a ターボ分子ポンプ
14b ダイヤフラムポンプ
15 真空排気口
16 試料
17 試料板
Claims (3)
- 透過型電子顕微鏡用試料の薄化工程後に、該試料に対してプラズマ表面処理を行うことを特徴とする透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法。
- 前記プラズマ表面処理を、前記試料の表裏両面に行うことを特徴とする請求項1に記載の透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法。
- 前記プラズマ表面処理のためのプラズマ源として、ハロゲン系ガス及びArガス、O2ガスのいずれかの活性種ガスまたは該ガスを混合成分とする混合活性種ガスを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002336115A JP2004170229A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002336115A JP2004170229A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004170229A true JP2004170229A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32700045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002336115A Pending JP2004170229A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 透過型電子顕微鏡用試料の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004170229A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105021621A (zh) * | 2014-04-30 | 2015-11-04 | 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 | 一种石墨烯的表征方法 |
CN105225908A (zh) * | 2014-06-18 | 2016-01-06 | 北京北方微电子基地设备工艺研究中心有限责任公司 | 托盘组件和刻蚀设备 |
CN111238894A (zh) * | 2020-02-03 | 2020-06-05 | 天津理工大学 | 一种原位电学tem样品的制备方法 |
-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002336115A patent/JP2004170229A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105021621A (zh) * | 2014-04-30 | 2015-11-04 | 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 | 一种石墨烯的表征方法 |
CN105021621B (zh) * | 2014-04-30 | 2019-04-30 | 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 | 一种石墨烯的表征方法 |
CN105225908A (zh) * | 2014-06-18 | 2016-01-06 | 北京北方微电子基地设备工艺研究中心有限责任公司 | 托盘组件和刻蚀设备 |
CN105225908B (zh) * | 2014-06-18 | 2017-07-04 | 北京北方微电子基地设备工艺研究中心有限责任公司 | 托盘组件和刻蚀设备 |
CN111238894A (zh) * | 2020-02-03 | 2020-06-05 | 天津理工大学 | 一种原位电学tem样品的制备方法 |
CN111238894B (zh) * | 2020-02-03 | 2023-02-28 | 天津理工大学 | 一种原位电学tem样品的制备方法 |
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