JP2004169047A - 溶融金属めっき装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切にめっき材をしぼることができる溶融金属めっき装置を提供すること。
【解決手段】この発明では、小径のレベリングロール5と大径のレベリングロール6が対向して一組のレベリングロールを構成し、大径の前記レベリングロール6がストリップ流れの後流側に配置される。それぞれのレベリングロール5、6の軸受け7、8は、めっき槽1の溶融金属2界面より上に設けられる。軸受け7、8が溶融金属2界面上に出るように、レベリングロール5、6を配置すると、一般のレベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。一組のレベリングロール5、6のうち、上流側のレベリングロール5の径を小さくして矯正力を大きくし、後流側のレベリングロール6の径を大きくして矯正したストリップ3をならすと効率よくストリップ3のC反りを矯正することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】この発明では、小径のレベリングロール5と大径のレベリングロール6が対向して一組のレベリングロールを構成し、大径の前記レベリングロール6がストリップ流れの後流側に配置される。それぞれのレベリングロール5、6の軸受け7、8は、めっき槽1の溶融金属2界面より上に設けられる。軸受け7、8が溶融金属2界面上に出るように、レベリングロール5、6を配置すると、一般のレベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。一組のレベリングロール5、6のうち、上流側のレベリングロール5の径を小さくして矯正力を大きくし、後流側のレベリングロール6の径を大きくして矯正したストリップ3をならすと効率よくストリップ3のC反りを矯正することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶融金属めっき装置に関し、更に詳しくは、ストリップをめっき材に浸漬し、その後に当該めっき材を絞ってめっき製品を製造する溶融金属めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の溶融金属めっき装置を示す構成図である。溶融金属めっき装置71は、めっき槽72に溜められためっき材73たる溶融金属に、ストリップ74を浸漬させてめっきする装置である。ストリップ74は、めっき槽72の斜め上方から搬送され、めっき槽72の中のシンクロール75で搬送方向が上方に転向させられる。
【0003】
上記のような構成でストリップ74を搬送すると、シンクロール75によってストリップ74がC字状に反ってしまうことが経験上知られている。これをストリップ74のC反りという。C反りがあると、その後に余計なめっき材73を拭い去る絞り作業で均一に絞ることができなくなる。JISでは金属めっきの厚さについてストリップ74の幅方向の3点を検査することを義務づけている。このため、均一に絞ることができないと不良品となってしまう。
【0004】
そこで、従来は、反りをとるためにレベリングロール(レベラ−)76が用いられていた。レベリングロール76は、めっき材73中におかれ、流体軸受けで回転可能になっている。このレベリングロール76により一旦シンクロール75でC反りをしてしまったストリップ74は平坦に矯正される。また、補助的な矯正装置として位置センサーと電磁石を用いる場合もあった(例えば特許文献1参照。)。その後、めっき槽72から上方に搬送されたストリップ74は、加圧した空気や窒素をストリップ74の両面から吹きかけるガスワイパ−77によって過付着しためっき材73が絞られる(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−287736号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平07−268588号公報(第4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の溶融金属めっき装置では、合金化や酸化した溶融金属73がレベルロール76の軸受けにからみ、必然的に定期的なメンテナンスが必要だった。また、ストリップ74の搬送速度を大きくすると、ストリップ74に過付着するめっき材73の量が増え、ガスワイパー77の絞り能力が不足してしまっていた。
【0007】
このため、さらにガスワイパー77をストリップ74により近づける必要が生ずるが、ストリップ74へのめっき材73の過付着量が多いとスプラッシュが起きてしまうという問題点があった。このスプラッシュは、めっき材73の飛び散りであり、めっきの不均一を起こすばかりか、ひどい場合は絞った後のストリップ74にまでめっき材73が付着し、めっき鋼板の品質を損ねてしまう。
【0008】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レベリングロール76の軸受けのメンテナンスを不要とし、ストリップ74の搬送速度を大きくしても適切にめっき材を絞ることができる溶融金属めっき装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る溶融金属めっき装置は、軸受けがめっき槽の溶融金属界面より上に設けられる一組のレベリングロールと、前記レベリングロールを通り過ぎたストリップに過付着した溶融金属を絞るワイピング手段と、を有するようにしたものである。
【0010】
レベリングロールの軸受けを溶融金属界面上に出すことによって、元来レベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。レベリングロールを通り過ぎたストリップに過付着した溶融金属を絞るワイピング手段には、ロールワイパー、ガスワイパーがある。
【0011】
また、請求項2に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、一組の前記レベリングロールが、互いに径が異なる前記レベリングロールが対向して構成され、大径の前記レベリングロールがストリップ流れの後流側に配置されるようにしたものである。
【0012】
レベリングロールは径が小さい程、矯正力が大きい。そのため、一組のレベリングロールのうち、片方の径を小さくして矯正力を大きくし、他方の径を大きくして矯正したストリップをならすことができる。また、双方のレベリングロールは絞り機能も果たす。
【0013】
また、請求項3に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、
一組の前記レベリングロールが、一部分が溶融金属に浸漬しているようにしたものである。
【0014】
レベリングロールの一部分が溶融金属に浸漬していると、レベリングロールの温度を溶融金属の温度に近づけることができる。これによりめっき材としてストリップに付着している溶融金属が乾く前にC反り矯正、絞りができる。
【0015】
また、請求項4に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、ストリップの幅方向形状を検出する検出手段と、前記検出手段からの信号によって前記一組のレベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、を有するようにしたものである。
【0016】
ストリップの幅方向形状を検出する検出手段は、幅方向に複数設けられる位置センサー等で実現できる。これらセンサーからの信号でどれくらいストリップが曲がっているかを把握し、一組のレベリングロールの隙間量を演算する。これにはコンピューター等の隙間制御手段が用いられる。レベリングロールの隙間は、演算された隙間量に応じて、油圧シリンダー、モーター等のアクチュエータで調整される。
【0017】
また、請求項5に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、ストリップに対向して幅方向に複数個付設される位置センサーと、前記ストリップの流れにおける前記位置センサーの上流側で、前記ストリップの両面に非接触で、かつ互いに対向するように設けられる一組の電磁石と、前記位置センサーの信号から前記電磁石に流すべき電流値を演算する制御装置と、前記制御装置の出力から所望の電流を前記電磁石に流す励磁回路と、を有する溶融金属めっき装置において、前記制御装置の出力である電流値または前記励磁回路から前記電磁石に流れる電流値によって一組の前記レベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、を有するようにしたものである。
【0018】
前記制御装置の出力である電流値または前記励磁回路から前記電磁石に流れる電流値は、ストリップの幅方向に複数個設けられる位置センサーからの信号をコンピューター等の制御装置が処理することによって決定される。したがって、前記電流値は、それぞれの位置センサーの検出する距離、すなわちストリップの幅方向形状に応じた値を示している。そこで、この発明では、当該電流値から一組の前記レベリングロールの隙間量を演算するコンピューター等の隙間制御手段を用い、当該隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間をアクチュエータで調整する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものを含む。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。この装置において、めっき槽1に亜鉛、アルミ、錫等の溶融金属2が溜められ、そこに鋼板等のストリップ3が浸漬される点は従来技術と同様である。また、溶融金属2の中に設けられるシンクロール4でストリップ3が上方に転向する点も従来技術と同様である。
【0021】
この発明では、小径のレベリングロール5と大径のレベリングロール6が対向して一組のレベリングロールを構成し、大径の前記レベリングロール6がストリップ流れの後流側に配置される点に特徴がある。それぞれのレベリングロール5、6の軸受け7、8は、めっき槽1の溶融金属2界面より上に設けられる。レベリングロール5、6を通り過ぎたストリップ3は、ガスワイパー9等のワイピング手段で過付着しためっき材である溶融金属を取り去られる。なお、ガスワイパー9は、ロールワイパーとしてもよい。
【0022】
軸受け7、8が溶融金属2界面上に出るように、レベリングロール5、6を配置すると、少なくともレベリングロール5、6の上半分が溶融金属2より上に出るので、一般のレベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。したがって、全体としてみれば、当該レベリングロール5、6が一段目の絞り手段となり、その後のガスワイパー9が二段目の絞り手段となる。これにより、ガスワイパー9の位置まで溶融金属2が過付着することがなくなる。この効果はストリップ3の搬送速度が大きいときほど顕著に現れる。
【0023】
レベリングロール5、6は径が小さい程、C反り矯正力が大きくなる。そのため、一組のレベリングロール5、6のうち、上流側のレベリングロール5の径を小さくして矯正力を大きくし、後流側のレベリングロール6の径を大きくして矯正したストリップ3をならすと効率よくストリップ3のC反りを矯正することができる。なお、各レベリングロール5、6の配置は、上記のように上流側と後流側とにずらす千鳥配置であることが好ましいが、水平配置でもよい。
【0024】
同図に示すように、レベリングロール5、6は、一部分が溶融金属2に浸漬している。レベリングロール5、6の一部分が溶融金属2に浸漬していると、レベリングロール5、6の温度を溶融金属の温度に近づけることができる。これによりめっき材としてストリップ3に付着している溶融金属2が乾く前にC反り矯正、絞りができる。浸漬させない場合は、レベリングロール5、6に直接ヒーターを付設したり、ヒーターのような熱源を隣接させるようにして、温度を高温に維持するようにしてもよい。
【0025】
なお、各レベリングワイパー5、6は、独立して回転可能であり、回転速度、向きも自由に設定できる。これら速度、向きはストリップ3の厚み、搬送速度に応じて適切に選択される。また、この装置では、同径のレベリングロールを一組として用いることもできる。この場合は、各レベリングロールのC反り矯正能力、絞り能力が同じであるから、回転方向、回転速度を調整しやすいというメリットがある。
【0026】
このように、この発明に係る溶融金属めっき装置によれば、ストリップ3の搬送速度を大きくしてもレベリングロール5、6で一度絞っているので、ガスワイパー9等のワイピング手段がある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。スプラッシュが起きなければガスワイパー9をストリップ3に近づけることができる。
【0027】
したがって、この装置は、ストリップ3の搬送速度が大きい、例えば300m/min.程度の製造ラインにも適用でき、生産能力の向上に資するという効果を有する。従来の溶融金属めっき装置における搬送速度が150m/min.程度であったことを考慮すると、この発明は生産性向上に著しく貢献すると言える。また、レベリングロール5、6の軸受け7、8に関してもメンテナンス性が向上する。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、この発明の実施の形態2に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。この装置は、ストリップ3の幅方向形状を検出する検出手段を有する。具体的には、ストリップ3の表面と検出手段との距離を検出する位置センサー11がストリップ3の幅方向に複数設けられる。各位置センサー11が検出する距離は、幅方向に並べれば、ストリップ3のC反りの有無、またはその大きさがわかる。
【0029】
位置センサー11は、溶融金属めっきという性質から非接触であることが好ましい。また、位置センサー11の設けられる高さ方向の位置は、基本的にレベリングロール5、6を通り過ぎたストリップ3に対向するのであれば、どの位置でもよい。ただし、ガスワイパー9等のワイピング手段の近くであるほうが,レベリングロール5,6の隙間制御の動作遅れが小さく,めっき品質不良部の長さを短くできる。
【0030】
また、この装置は、上記検出手段からの信号によって前記一組のレベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段16を有する。具体的には、目標値12から検出手段の信号を減算し、その値をPID等の制御アルゴリズム13にかけ、レベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段16を有する。この隙間制御手段16は、ハードウェアによる回路で実現してもよいし、コンピューター等によるソフトウェアで実現してもよい。なお、制御アルゴリズムはPIDに限らず、適当な制御アルゴリズムが採用される。
【0031】
演算された値または信号は、一般に駆動回路14で増幅され、油圧シリンダー、油圧モーター、モーターとボールねじの組み合わせ、その他のアクチュエータ15に出力される。なお、ここでは、上記目標値12から駆動回路14までを隙間制御手段16と捉えている。アクチュエータ15は、片方のレベリングロール6に連結され、当該レベリングロール6の位置を動かすことにより、他方のレベリングロール5との隙間を調整する。なお、一組のレベリングロール5、6のうち、アクチュエータ15に連結されるのは大径小径いずれのレベリングロールでもよい。
【0032】
溶融金属めっき装置を上記のように構成すると、ストリップ3の厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロール5、6の隙間をストリップ3の幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。
【0033】
したがって、この発明は、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。なお、後述する実施の形態3で説明するように、制振装置に位置センサー11が適当な位置に用いられていれば、その位置センサー11を流用して、上記構成としてもよい。
【0034】
(実施の形態3)
図3は、この発明の実施の形態3に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。溶融金属めっき装置には、電磁石21を用いた制振装置Mが用いられる場合がある。この制振装置Mは、ストリップ3の幅方向にわたって電磁石21とストリップ3との距離を一定に保とうとするものである。したがって、この原理から、制振装置Mは、形状矯正装置としても機能する。
【0035】
具体的に説明すると、まず位置センサー22が、ストリップ3に対向して幅方向に複数個、例えば3個付設される。そして、電磁石21がストリップ3の流れにおける位置センサー22の上流側で、ストリップ3の両面に非接触で、かつ互いに対向するように設けられる。なお、同図では、位置センサー22の下流側にも電磁石21が設けられているが、上流側のみでもよい。
【0036】
それぞれの位置センサー22からの信号は、制御装置23に入力され、制御装置23内で目標値と比較された後、PID等のアルゴリズムにかけられる等の演算がなされ、最終的に電磁石21に流すべき電流値となる。演算された電流値は制御装置23から出力され、励磁回路24を介して所望の電流となり、電磁石21に流される。
【0037】
この発明では、制御装置23の出力である電流値または励磁回路24から電磁石21に流れる電流値によって一組のレベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段25を上記の構成に加えて有する。すなわち、隙間制御手段25への入力は、実際に励磁回路24から電磁石21に流れる電流の値を採用してもよいし、図中点線で表したように制御装置23から励磁回路24へ出力される電流値を採用するようにしてもよい。
【0038】
上記電流値は、ストリップ3の幅方向形状に応じた値となっている。すなわち、ストリップ3の幅方向に複数あるそれぞれの位置センサー22と、ストリップ3との距離が反映された電流値が、例えば両端で大きく、中程で小さければ、レベリングロール5、6の隙間が適切でなく、ストリップ3にC反りが発生していることになる。
【0039】
上記のようなときは、隙間制御手段25内において、C反りの大きさとレベリングロール5、6の隙間との関係をテーブルにしたものを参照してレベリングロール5、6の隙間量を演算することができる。また、上記関係を関数にして予め隙間制御手段25内に有するようにしてもよい。もっとも、具体的な隙間量を演算しなくても、C反りの大きさと上記隙間量の大方の傾向、例えばC反りの向きと隙間量の正負の関係さえわかっていれば、位置センサーと後述するアクチュエータ26とがサーボ機構を構成するので、目標値12が0であれば、隙間量はそれに追従する。
【0040】
上記のように演算されたレベリングロール5、6の隙間量は信号として、油圧シリンダー、油圧モーター、モーターとボールねじの組み合わせ、その他のアクチュエータ26に出力される。そして、アクチュエータ26はレベリングロール6の位置を動かし、一組のレベリングロール5、6の隙間を調整する。なお、一組のレベリングロール5、6のうち、アクチュエータ26に連結されるのは大径のレベリングロール6、小径のレベリングロール5、のいずれでもよい。
【0041】
このようにすれば、ストリップ3の厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロール5、6の隙間をストリップ3の幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0042】
なお、上記制振装置M、位置センサー22、制御装置23、隙間制御手段25、およびアクチュエータ26との組み合わせは、絞りを目的とせずに、C反りを矯正する目的でも適用可能である。例えば、電気めっき装置は、めっき材が電気的に合金化するので、その後で絞る必要はないが、ローラーで搬送される際のC反りは防止する必要がある。この場合でも、上記制振装置M、位置センサー22、制御装置23、隙間制御手段25、およびアクチュエータ26の組み合わせはストリップ3の幅方向形状に基づきC反りを矯正可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項1)によれば、ストリップの搬送速度を大きくしてもレベルロールで一度絞っているので、ワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0044】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項2)によれば、互いに径が異なる前記レベリングロールが対向して構成され、大径の前記レベリングロールがストリップ流れの後流側に配置されるのでC反りの矯正がしやすくなる。また、レベリングロールが絞り機能をも有するのでストリップの搬送速度を大きくしてもワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0045】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項3)によれば、めっき材としてストリップに付着している溶融金属が乾く前にC反り矯正、絞りができる。このように、レベリングロールが絞り機能をも有するのでストリップの搬送速度を大きくしてもワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0046】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項4または5)によれば、ストリップの厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロールの隙間をストリップの幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図2】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図3】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図4】従来の溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1、72 めっき槽
2 溶融金属
3、74 ストリップ
5、6、76 レベリングロール
7、8 軸受け
9、77 ガスワイパー
11、22 位置センサー
13 隙間制御手段
14 駆動回路
15 アクチュエータ
M 制振装置
21 電磁石
23 制御装置
24 励磁回路
25 隙間制御手段
26 アクチュエータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶融金属めっき装置に関し、更に詳しくは、ストリップをめっき材に浸漬し、その後に当該めっき材を絞ってめっき製品を製造する溶融金属めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の溶融金属めっき装置を示す構成図である。溶融金属めっき装置71は、めっき槽72に溜められためっき材73たる溶融金属に、ストリップ74を浸漬させてめっきする装置である。ストリップ74は、めっき槽72の斜め上方から搬送され、めっき槽72の中のシンクロール75で搬送方向が上方に転向させられる。
【0003】
上記のような構成でストリップ74を搬送すると、シンクロール75によってストリップ74がC字状に反ってしまうことが経験上知られている。これをストリップ74のC反りという。C反りがあると、その後に余計なめっき材73を拭い去る絞り作業で均一に絞ることができなくなる。JISでは金属めっきの厚さについてストリップ74の幅方向の3点を検査することを義務づけている。このため、均一に絞ることができないと不良品となってしまう。
【0004】
そこで、従来は、反りをとるためにレベリングロール(レベラ−)76が用いられていた。レベリングロール76は、めっき材73中におかれ、流体軸受けで回転可能になっている。このレベリングロール76により一旦シンクロール75でC反りをしてしまったストリップ74は平坦に矯正される。また、補助的な矯正装置として位置センサーと電磁石を用いる場合もあった(例えば特許文献1参照。)。その後、めっき槽72から上方に搬送されたストリップ74は、加圧した空気や窒素をストリップ74の両面から吹きかけるガスワイパ−77によって過付着しためっき材73が絞られる(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−287736号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平07−268588号公報(第4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の溶融金属めっき装置では、合金化や酸化した溶融金属73がレベルロール76の軸受けにからみ、必然的に定期的なメンテナンスが必要だった。また、ストリップ74の搬送速度を大きくすると、ストリップ74に過付着するめっき材73の量が増え、ガスワイパー77の絞り能力が不足してしまっていた。
【0007】
このため、さらにガスワイパー77をストリップ74により近づける必要が生ずるが、ストリップ74へのめっき材73の過付着量が多いとスプラッシュが起きてしまうという問題点があった。このスプラッシュは、めっき材73の飛び散りであり、めっきの不均一を起こすばかりか、ひどい場合は絞った後のストリップ74にまでめっき材73が付着し、めっき鋼板の品質を損ねてしまう。
【0008】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レベリングロール76の軸受けのメンテナンスを不要とし、ストリップ74の搬送速度を大きくしても適切にめっき材を絞ることができる溶融金属めっき装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る溶融金属めっき装置は、軸受けがめっき槽の溶融金属界面より上に設けられる一組のレベリングロールと、前記レベリングロールを通り過ぎたストリップに過付着した溶融金属を絞るワイピング手段と、を有するようにしたものである。
【0010】
レベリングロールの軸受けを溶融金属界面上に出すことによって、元来レベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。レベリングロールを通り過ぎたストリップに過付着した溶融金属を絞るワイピング手段には、ロールワイパー、ガスワイパーがある。
【0011】
また、請求項2に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、一組の前記レベリングロールが、互いに径が異なる前記レベリングロールが対向して構成され、大径の前記レベリングロールがストリップ流れの後流側に配置されるようにしたものである。
【0012】
レベリングロールは径が小さい程、矯正力が大きい。そのため、一組のレベリングロールのうち、片方の径を小さくして矯正力を大きくし、他方の径を大きくして矯正したストリップをならすことができる。また、双方のレベリングロールは絞り機能も果たす。
【0013】
また、請求項3に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、
一組の前記レベリングロールが、一部分が溶融金属に浸漬しているようにしたものである。
【0014】
レベリングロールの一部分が溶融金属に浸漬していると、レベリングロールの温度を溶融金属の温度に近づけることができる。これによりめっき材としてストリップに付着している溶融金属が乾く前にC反り矯正、絞りができる。
【0015】
また、請求項4に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、ストリップの幅方向形状を検出する検出手段と、前記検出手段からの信号によって前記一組のレベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、を有するようにしたものである。
【0016】
ストリップの幅方向形状を検出する検出手段は、幅方向に複数設けられる位置センサー等で実現できる。これらセンサーからの信号でどれくらいストリップが曲がっているかを把握し、一組のレベリングロールの隙間量を演算する。これにはコンピューター等の隙間制御手段が用いられる。レベリングロールの隙間は、演算された隙間量に応じて、油圧シリンダー、モーター等のアクチュエータで調整される。
【0017】
また、請求項5に係る溶融金属めっき装置は、前記溶融めっき装置において、ストリップに対向して幅方向に複数個付設される位置センサーと、前記ストリップの流れにおける前記位置センサーの上流側で、前記ストリップの両面に非接触で、かつ互いに対向するように設けられる一組の電磁石と、前記位置センサーの信号から前記電磁石に流すべき電流値を演算する制御装置と、前記制御装置の出力から所望の電流を前記電磁石に流す励磁回路と、を有する溶融金属めっき装置において、前記制御装置の出力である電流値または前記励磁回路から前記電磁石に流れる電流値によって一組の前記レベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、を有するようにしたものである。
【0018】
前記制御装置の出力である電流値または前記励磁回路から前記電磁石に流れる電流値は、ストリップの幅方向に複数個設けられる位置センサーからの信号をコンピューター等の制御装置が処理することによって決定される。したがって、前記電流値は、それぞれの位置センサーの検出する距離、すなわちストリップの幅方向形状に応じた値を示している。そこで、この発明では、当該電流値から一組の前記レベリングロールの隙間量を演算するコンピューター等の隙間制御手段を用い、当該隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間をアクチュエータで調整する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものを含む。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。この装置において、めっき槽1に亜鉛、アルミ、錫等の溶融金属2が溜められ、そこに鋼板等のストリップ3が浸漬される点は従来技術と同様である。また、溶融金属2の中に設けられるシンクロール4でストリップ3が上方に転向する点も従来技術と同様である。
【0021】
この発明では、小径のレベリングロール5と大径のレベリングロール6が対向して一組のレベリングロールを構成し、大径の前記レベリングロール6がストリップ流れの後流側に配置される点に特徴がある。それぞれのレベリングロール5、6の軸受け7、8は、めっき槽1の溶融金属2界面より上に設けられる。レベリングロール5、6を通り過ぎたストリップ3は、ガスワイパー9等のワイピング手段で過付着しためっき材である溶融金属を取り去られる。なお、ガスワイパー9は、ロールワイパーとしてもよい。
【0022】
軸受け7、8が溶融金属2界面上に出るように、レベリングロール5、6を配置すると、少なくともレベリングロール5、6の上半分が溶融金属2より上に出るので、一般のレベリングロールの有するC反り矯正機能に、絞り機能が備わる。したがって、全体としてみれば、当該レベリングロール5、6が一段目の絞り手段となり、その後のガスワイパー9が二段目の絞り手段となる。これにより、ガスワイパー9の位置まで溶融金属2が過付着することがなくなる。この効果はストリップ3の搬送速度が大きいときほど顕著に現れる。
【0023】
レベリングロール5、6は径が小さい程、C反り矯正力が大きくなる。そのため、一組のレベリングロール5、6のうち、上流側のレベリングロール5の径を小さくして矯正力を大きくし、後流側のレベリングロール6の径を大きくして矯正したストリップ3をならすと効率よくストリップ3のC反りを矯正することができる。なお、各レベリングロール5、6の配置は、上記のように上流側と後流側とにずらす千鳥配置であることが好ましいが、水平配置でもよい。
【0024】
同図に示すように、レベリングロール5、6は、一部分が溶融金属2に浸漬している。レベリングロール5、6の一部分が溶融金属2に浸漬していると、レベリングロール5、6の温度を溶融金属の温度に近づけることができる。これによりめっき材としてストリップ3に付着している溶融金属2が乾く前にC反り矯正、絞りができる。浸漬させない場合は、レベリングロール5、6に直接ヒーターを付設したり、ヒーターのような熱源を隣接させるようにして、温度を高温に維持するようにしてもよい。
【0025】
なお、各レベリングワイパー5、6は、独立して回転可能であり、回転速度、向きも自由に設定できる。これら速度、向きはストリップ3の厚み、搬送速度に応じて適切に選択される。また、この装置では、同径のレベリングロールを一組として用いることもできる。この場合は、各レベリングロールのC反り矯正能力、絞り能力が同じであるから、回転方向、回転速度を調整しやすいというメリットがある。
【0026】
このように、この発明に係る溶融金属めっき装置によれば、ストリップ3の搬送速度を大きくしてもレベリングロール5、6で一度絞っているので、ガスワイパー9等のワイピング手段がある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。スプラッシュが起きなければガスワイパー9をストリップ3に近づけることができる。
【0027】
したがって、この装置は、ストリップ3の搬送速度が大きい、例えば300m/min.程度の製造ラインにも適用でき、生産能力の向上に資するという効果を有する。従来の溶融金属めっき装置における搬送速度が150m/min.程度であったことを考慮すると、この発明は生産性向上に著しく貢献すると言える。また、レベリングロール5、6の軸受け7、8に関してもメンテナンス性が向上する。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、この発明の実施の形態2に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。この装置は、ストリップ3の幅方向形状を検出する検出手段を有する。具体的には、ストリップ3の表面と検出手段との距離を検出する位置センサー11がストリップ3の幅方向に複数設けられる。各位置センサー11が検出する距離は、幅方向に並べれば、ストリップ3のC反りの有無、またはその大きさがわかる。
【0029】
位置センサー11は、溶融金属めっきという性質から非接触であることが好ましい。また、位置センサー11の設けられる高さ方向の位置は、基本的にレベリングロール5、6を通り過ぎたストリップ3に対向するのであれば、どの位置でもよい。ただし、ガスワイパー9等のワイピング手段の近くであるほうが,レベリングロール5,6の隙間制御の動作遅れが小さく,めっき品質不良部の長さを短くできる。
【0030】
また、この装置は、上記検出手段からの信号によって前記一組のレベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段16を有する。具体的には、目標値12から検出手段の信号を減算し、その値をPID等の制御アルゴリズム13にかけ、レベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段16を有する。この隙間制御手段16は、ハードウェアによる回路で実現してもよいし、コンピューター等によるソフトウェアで実現してもよい。なお、制御アルゴリズムはPIDに限らず、適当な制御アルゴリズムが採用される。
【0031】
演算された値または信号は、一般に駆動回路14で増幅され、油圧シリンダー、油圧モーター、モーターとボールねじの組み合わせ、その他のアクチュエータ15に出力される。なお、ここでは、上記目標値12から駆動回路14までを隙間制御手段16と捉えている。アクチュエータ15は、片方のレベリングロール6に連結され、当該レベリングロール6の位置を動かすことにより、他方のレベリングロール5との隙間を調整する。なお、一組のレベリングロール5、6のうち、アクチュエータ15に連結されるのは大径小径いずれのレベリングロールでもよい。
【0032】
溶融金属めっき装置を上記のように構成すると、ストリップ3の厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロール5、6の隙間をストリップ3の幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。
【0033】
したがって、この発明は、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。なお、後述する実施の形態3で説明するように、制振装置に位置センサー11が適当な位置に用いられていれば、その位置センサー11を流用して、上記構成としてもよい。
【0034】
(実施の形態3)
図3は、この発明の実施の形態3に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。溶融金属めっき装置には、電磁石21を用いた制振装置Mが用いられる場合がある。この制振装置Mは、ストリップ3の幅方向にわたって電磁石21とストリップ3との距離を一定に保とうとするものである。したがって、この原理から、制振装置Mは、形状矯正装置としても機能する。
【0035】
具体的に説明すると、まず位置センサー22が、ストリップ3に対向して幅方向に複数個、例えば3個付設される。そして、電磁石21がストリップ3の流れにおける位置センサー22の上流側で、ストリップ3の両面に非接触で、かつ互いに対向するように設けられる。なお、同図では、位置センサー22の下流側にも電磁石21が設けられているが、上流側のみでもよい。
【0036】
それぞれの位置センサー22からの信号は、制御装置23に入力され、制御装置23内で目標値と比較された後、PID等のアルゴリズムにかけられる等の演算がなされ、最終的に電磁石21に流すべき電流値となる。演算された電流値は制御装置23から出力され、励磁回路24を介して所望の電流となり、電磁石21に流される。
【0037】
この発明では、制御装置23の出力である電流値または励磁回路24から電磁石21に流れる電流値によって一組のレベリングロール5、6の隙間量を演算する隙間制御手段25を上記の構成に加えて有する。すなわち、隙間制御手段25への入力は、実際に励磁回路24から電磁石21に流れる電流の値を採用してもよいし、図中点線で表したように制御装置23から励磁回路24へ出力される電流値を採用するようにしてもよい。
【0038】
上記電流値は、ストリップ3の幅方向形状に応じた値となっている。すなわち、ストリップ3の幅方向に複数あるそれぞれの位置センサー22と、ストリップ3との距離が反映された電流値が、例えば両端で大きく、中程で小さければ、レベリングロール5、6の隙間が適切でなく、ストリップ3にC反りが発生していることになる。
【0039】
上記のようなときは、隙間制御手段25内において、C反りの大きさとレベリングロール5、6の隙間との関係をテーブルにしたものを参照してレベリングロール5、6の隙間量を演算することができる。また、上記関係を関数にして予め隙間制御手段25内に有するようにしてもよい。もっとも、具体的な隙間量を演算しなくても、C反りの大きさと上記隙間量の大方の傾向、例えばC反りの向きと隙間量の正負の関係さえわかっていれば、位置センサーと後述するアクチュエータ26とがサーボ機構を構成するので、目標値12が0であれば、隙間量はそれに追従する。
【0040】
上記のように演算されたレベリングロール5、6の隙間量は信号として、油圧シリンダー、油圧モーター、モーターとボールねじの組み合わせ、その他のアクチュエータ26に出力される。そして、アクチュエータ26はレベリングロール6の位置を動かし、一組のレベリングロール5、6の隙間を調整する。なお、一組のレベリングロール5、6のうち、アクチュエータ26に連結されるのは大径のレベリングロール6、小径のレベリングロール5、のいずれでもよい。
【0041】
このようにすれば、ストリップ3の厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロール5、6の隙間をストリップ3の幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0042】
なお、上記制振装置M、位置センサー22、制御装置23、隙間制御手段25、およびアクチュエータ26との組み合わせは、絞りを目的とせずに、C反りを矯正する目的でも適用可能である。例えば、電気めっき装置は、めっき材が電気的に合金化するので、その後で絞る必要はないが、ローラーで搬送される際のC反りは防止する必要がある。この場合でも、上記制振装置M、位置センサー22、制御装置23、隙間制御手段25、およびアクチュエータ26の組み合わせはストリップ3の幅方向形状に基づきC反りを矯正可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項1)によれば、ストリップの搬送速度を大きくしてもレベルロールで一度絞っているので、ワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0044】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項2)によれば、互いに径が異なる前記レベリングロールが対向して構成され、大径の前記レベリングロールがストリップ流れの後流側に配置されるのでC反りの矯正がしやすくなる。また、レベリングロールが絞り機能をも有するのでストリップの搬送速度を大きくしてもワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0045】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項3)によれば、めっき材としてストリップに付着している溶融金属が乾く前にC反り矯正、絞りができる。このように、レベリングロールが絞り機能をも有するのでストリップの搬送速度を大きくしてもワイピング手段のある位置での過付着が減り、スプラッシュを防止できる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【0046】
また、この発明に係る溶融金属めっき装置(請求項4または5)によれば、ストリップの厚み、搬送速度ごとに調整すべきレベリングロールの隙間をストリップの幅方向形状によって自動的に調整可能となる。これにより、連続めっきラインの速度を大きくしてもC反りを的確に矯正しつつ、余計な溶融金属を絞ることができる。したがって、連続めっきラインの速度を大きくしても、ワイピングを的確にでき、生産能力の向上に資するという効果を有する。また、レベリングロールの軸受けのメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図2】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図3】この発明に係る溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【図4】従来の溶融金属めっき装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1、72 めっき槽
2 溶融金属
3、74 ストリップ
5、6、76 レベリングロール
7、8 軸受け
9、77 ガスワイパー
11、22 位置センサー
13 隙間制御手段
14 駆動回路
15 アクチュエータ
M 制振装置
21 電磁石
23 制御装置
24 励磁回路
25 隙間制御手段
26 アクチュエータ
Claims (5)
- 軸受けがめっき槽の溶融金属界面より上に設けられる一組のレベリングロールと、
前記レベリングロールを通り過ぎたストリップに過付着した溶融金属を絞るワイピング手段と、
を有することを特徴とする溶融金属めっき装置。 - 一組の前記レベリングロールは、互いに径が異なる前記レベリングロールが対向して構成され、大径の前記レベリングロールがストリップ流れの後流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき装置。
- 一組の前記レベリングロールは、一部分が溶融金属に浸漬していることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属めっき装置。
- ストリップの幅方向形状を検出する検出手段と、
前記検出手段からの信号によって前記一組のレベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、
前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の溶融金属めっき装置。 - ストリップに対向して幅方向に複数個付設される位置センサーと、
前記ストリップの流れにおける前記位置センサーの上流側で、前記ストリップの両面に非接触で、かつ互いに対向するように設けられる一組の電磁石と、
前記位置センサーの信号から前記電磁石に流すべき電流値を演算する制御装置と、
前記制御装置の出力から所望の電流を前記電磁石に流す励磁回路と、
を有する溶融金属めっき装置において、
前記制御装置の出力である電流値または前記励磁回路から前記電磁石に流れる電流値によって一組の前記レベリングロールの隙間量を演算する隙間制御手段と、
前記隙間制御手段からの信号によって前記レベリングロールの隙間を調整するアクチュエータと、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の溶融金属めっき装置。
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