JPH06184717A

JPH06184717A - 溶融金属めっきのめっき付着量制御方法

Info

Publication number: JPH06184717A
Application number: JP33993292A
Authority: JP
Inventors: Michinori Suhara; 道憲須原; Yasunari Sato; 康成佐藤; Makoto Kusama; 誠草間
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-12-21
Filing date: 1992-12-21
Publication date: 1994-07-05
Anticipated expiration: 2015-02-07
Also published as: JP3006968B2

Abstract

(57)【要約】【目的】めっき鋼帯のＣ反りをなくすとともにガスワ
イピング位置でのめっき鋼帯のフラッタリングをなくす
ことによりめっき付着量の均一性に優れた溶融めっき鋼
板を安価に得られるようにした溶融金属めっきのめっき
付着量制御方法を提供すること。【構成】めっき槽内の溶融金属めっき浴中に送り込ま
れためっき鋼帯をサポートロールを介して上方へ引き上
げる間に該めっき鋼帯の両面にめっき付着量制御用のガ
スを吹き付けてめっき付着量を制御するようにした溶融
金属めっきのめっき付着量制御方法において、少なくと
もシンクロールの直上に位置するサポートロールを無駆
動とするとともにめっき付着量制御用のガス吹付角度を
斜め下向きとすること。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、めっき付着量の均一性
に優れた溶融めっき鋼板を得る溶融金属めっきのめっき
付着量制御方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板を中心とする
溶融亜鉛めっき鋼板の需要は、産業界の防錆強化動向の
高まりとともに近年急激な高まりを呈しており、その用
途の拡大に伴って要求される品質のレベルも従来とは比
較にならぬほど高度化しつつある。中でもめっき付着量
の均一化はめっき鋼板の耐食性、溶接性、めっき層密着
性等に支配的な影響をおよぼすことから、めっき付着量
の均一化技術の重要度が高まっている。

【０００３】めっき槽内の溶融金属めっき浴中に送り込
まれためっき鋼帯をサポートロールを介して上方へ引き
上げる間に該めっき鋼帯の両面にめっき付着量制御用の
ガスを吹き付けて溶融金属めっき鋼板を製造する方法に
おいて、めっき付着量に影響を及ぼす主要な要因は次の
２つと考えられる。即ち、第１の要因は、めっき量制御
位置すなわちガスワイピング位置でのめっき鋼帯の板幅
方向反り（以下、Ｃ反りと称す）であり、このＣ反りに
起因してめっき鋼帯の幅方向端部と中央部でガス吹付ノ
ズルとめっき鋼帯との距離に差異が生じ、板幅方向での
ガス衝突圧力が不均一となって板幅方向のめっき付着量
を不均一とすることにある。また、第２の要因は、ガス
ワイピング位置でのめっき鋼帯の振動、いわゆるフラッ
タリングである。フラッタリングはめっき鋼帯の位置が
ガス吹付ノズル対の中心位置を基準として時間と共に振
動する現象であり、ある瞬間にはめっき鋼帯の表面がノ
ズルに近接して表面側でのガス衝突圧力が裏面側と比較
して高いものになり、この結果、当然表面めっき付着量
が裏面と比較して厚いものになる。このフラッタリング
は、周期的にガス吹付ノズルに近接する面を逆にするも
ので、一方の面で考えればこの振動のためにめっき鋼帯
にめっき付着量の厚い部分と薄い部分が周期的に出現す
ることになり、トラマークと称されている色調模様が顕
れて外観不良となる。

【０００４】めっき鋼帯の板幅方向の不均一性すなわち
ガスワイピング部でのめっき鋼帯のＣ反りを改善する技
術は、例えば特開平２ー２６５８５４号公報などにも見
られるが、このような技術ではＣ反りはなくなるものの
フラッタリングの改善は全くみられない。また、本出願
人が先に特願平４ー２７９７８４号として出願したよう
な、サポートロールを無駆動としてサポートロールの振
動を少なくするとともにめっき鋼帯への噛込量を少なく
しこれによりＣ反りを改善するとともにフラッタリング
を少なくした技術においても未だフラッタリングの改善
は充分でない。これはＣ反りの改善により通板中にめっ
き鋼帯は剛性が少なくなるため、サポートロールの振動
によるフラッタリングはなくすことができても対向する
ガス吹付ノズルからのガス吹付条件のアンバランスによ
り起こるめっき鋼帯の振動は逆に大きくなるからであ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
するところは前記のような問題点を解決し、めっき鋼帯
のＣ反りをなくすとともにガスワイピング位置でのめっ
き鋼帯のフラッタリングをなくすことによりめっき付着
量の均一性に優れた溶融めっき鋼板を安価に得られるよ
うにした溶融金属めっきのめっき付着量制御方法を提供
しようとすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記のような課題を解決
した本発明に係る溶融金属めっきのめっき付着量制御方
法は、めっき槽内の溶融金属めっき浴中に送り込まれた
めっき鋼帯をサポートロールを介して上方へ引き上げる
間に該めっき鋼帯の両面にめっき付着量制御用のガスを
吹き付けてめっき付着量を制御するようにした溶融金属
めっきのめっき付着量制御方法において、少なくともシ
ンクロールの直上に位置するサポートロールを無駆動と
するとともにめっき付着量制御用のガス吹付角度を斜め
下向きとすることを特徴とするものである。この場合、
ガス吹付角度は水平面に対して３〜３０度としてめっき
付着量制御用のガスが斜め下向きに吹き付けられるよう
にしておくことが特に好ましい。

【０００７】

【作用】このような溶融金属めっきのめっき付着量制御
方法によれば、スナウトを通じてめっき槽内の溶融金属
めっき浴中に送られためっき鋼帯がシンクロールにおい
て通板方向が変換されてサポートロールを介して上方へ
引上げられる間に表裏面に溶融金属めっきが施されるこ
とは従来のこの種溶融金属めっきのめっき付着量制御方
法と同様であるが、本発明方法においては、少なくとも
シンクロールの直上に位置するサポートロールを無駆動
ロールとしたことによりＣ反りがなくなるうえにめっき
鋼帯の両面に対し吹き付けられるワイピングガスのガス
吹付角度が斜め下向きとしてあることにより上昇するめ
っき鋼帯の両面と吹付ノズルとの間に負圧が生じること
がなくなるので、ガスワイピング位置において対向する
ガス吹付ノズルのガス吹付条件のアンバランスにより起
こるめっき鋼帯の振動がなく、このため、Ｃ反りがなく
なることによりめっき鋼帯の剛性が低下したとしてもガ
スワイピング位置でのめっき鋼帯のフラッタリングが著
しく減少し、めっき鋼帯のめっき付着量の不均一性が解
決されて良質の製品を安価に提供できる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明方法を図示の実施装置に基づい
て詳細に説明する。１は溶融金属めっき浴が入れられた
めっき槽、２はこのめっき槽１内の底方部に設置されて
連続的に送られてくるめっき鋼帯１１の通板方向を変換
するシンクロール、３はシンクロール２の上方に設置さ
れるサポートロールであって、これらシンクロール２と
サポートロール３とは溶融金属めっき浴中に位置され
る。前記サポートロール３は単一ロールであっても上下
のサポートロール対としてもよい。そして、サポートロ
ール３のうち少なくともシンクロール２の直上に位置す
るものは無駆動ロールとしてある。すなわち、サポート
ロール３が単一ロールであるときはこの単一ロールを無
駆動ロールとし、サポートロール対であるときはシンク
ロール２の直上に位置する下側ロール３を無駆動ロール
とする。また、この実施装置ではシンクロール２とサポ
ートロール３のうちの少なくとも１つを水平方向に位置
制御可能としてめっき鋼帯１１の板厚や鋼種に応じて定
まる適正条件にロール位置を設定できるようにするとと
もに、めっき浴深さ方向にも位置制御可能としてある。
７、７はサポートロール３の上方の溶融金属めっき浴面
より上方位置に対向して設置されるガス吹付ノズルであ
って、各ガス吹付ノズル７は上昇するめっき鋼帯の両面
に対しめっき付着量制御用のガスが斜め下向きに吹き付
けられるようにガス吹付角度が水平面に対して３〜３０
度となるように設置されている。なお、図中８はスナウ
トである。

【０００９】このような装置が組み込まれた連続溶融め
っきラインにおいて、スナウト８を通じてめっき槽１内
の溶融金属めっき浴中にめっき鋼帯１１が送られてくる
と、シンクロール２において通板方向が変換されたうえ
サポートロール３を介して上方へ引上げられる間にめっ
き鋼帯１１の表裏面に溶融金属めっきが施されることと
なるが、本発明においては、シンクロール２の直上に位
置するサポートロール３を無駆動ロールとしてあるの
で、前記したＣ反りの解消でめっき鋼帯１１の剛性が極
めて低い状態となった場合でもサポートロール３の振動
自体がなくなるばかりか、各ガス吹付ノズル７が水平面
に対して斜め下向きに設置されて上昇するめっき鋼帯１
１の両面に対しめっき付着量制御用のガスが斜め下向き
に吹き付けられるようにしたことにより、めっき鋼帯１
１に対して水平にガスが吹き付けられる時に吹付ノズル
との間に起こる負圧現象はなくなってガスワイピング位
置において対向するガス吹付ノズルのガス吹付条件のア
ンバランスにより起こるフラッタリングも解消され、め
っき鋼帯のめっき付着量の不均一性が解決されて色調模
様のない良質の製品を安価に提供できる。

【００１０】本発明はめっき付着量の均一化に影響を及
ぼすと考えられているめっき鋼帯のＣ反りをなくしても
めっき付着量の均一化が不充分であることを解消すべく
さらに研究をすすめた結果、Ｃ反りがなくなるとフラッ
タリングは逆に助長されることを見いだした。このフラ
ッタリングはサポートロール３を駆動するためのスピン
ドルを結合しているジョイントの接合部に起因する振動
と、ガスワイピング位置でのめっき鋼帯とガス吹付ノズ
ルとの間に生じる負圧現象に起因するめっき鋼帯の振動
にあることに着目し、この振動をなくすべくサポートロ
ール３のうち少なくともシンクロール２の直上に位置す
るものを無駆動ロールしてサポートロール３の振動によ
るめっき鋼帯１１ののフラッタリングなくすと同時に、
めっき鋼帯１１の両面に対しガスホイピング位置におけ
るガス吹付ノズル７、７からめっき付着量制御用のガス
吹付角度を斜め下向きとすることにより、フラッタリン
グの別の要因であるガスワイピング位置における吹付ノ
ズルとめっき鋼帯１１との間に起こる負圧現象をなくし
て対向するガス吹付ノズルのガス吹付条件のアンバラン
スによるフラッタリングを解消し、めっき鋼帯１１のめ
っき付着量の不均一性を解決することに成功したもので
ある。従って、フラッタリングの原因をなくすためにサ
ポートロール３のうち少なくともシンクロールの直上に
位置するものを無駆動ロールとすることと、上昇するめ
っき鋼帯１１の両面に対しガス吹付ノズル７、７からめ
っき付着量制御用のガス吹付角度を斜め下向きに吹き付
けることとを組み合わせることが本発明の必須の要件
で、サポートロール３を単に無駆動で使用するだけでは
本発明の目的を達成することができない。

【００１１】本発明においてはガス吹付角度を水平面に
対して斜め下向きとすることを必須の要件とするが、実
施装置においてガス吹付角度を水平面に対して３〜３０
度としてあるのは、このガス吹付角度が水平面に対して
３度を下回るにつれて徐々に従来の水平に吹き付ける場
合に近くなるのでノズル先端と板面との間に負圧が生じ
る量が増え、また、３０度を超えてくると負圧の問題は
解決できても傾斜角度が増えるにつれて徐々に浴面に生
じるさざ波が増えて所期の効果が期待できなくなるから
で、好ましいガス吹付角度は水平面に対して３〜３０度
である。

【００１２】また、サポートロール３の無駆動化による
Ｃ反り解消および振動除去と、ガス吹付角度の設定によ
るガス吹き付け時におけるめっき鋼帯１１の無振動化と
を併用した本発明によれば、めっき鋼帯１１のめっき付
着量の均一化が完全に解決できるという効果が生じた。
すなわち、サポートロール３の無駆動化によるＣ反りの
解消と振動除去によってめっき鋼帯１１とサポートロー
ル３の均一接触が実現されるうえ、ガスワイピング位置
でのガス吹き付けを斜め下向きとすることにより、先に
Ｃ反りが解消されたことによりめっき鋼帯１１の剛性が
低下するにもかかわらずガスワイピング位置でのフラッ
タリングを解消し、サポートロール３の無駆動化のみに
よっても吹付ノズル７、７の傾斜のみによっても期待で
きないめっき付着量の均一性に優れた溶融めっき鋼板の
量産を可能としたものである。

【００１３】なお、サポートロール３の無駆動化は少な
くともシンクロール２の直上のサポートロール３を無駆
動ロールとすればよいもので、単一サポートロールであ
るときはこの単一サポートロールに無駆動ロールを用い
ればよく、また、図示すようなサポートロール対である
ときは少なくとも下側ロール３に無駆動ロールを用いれ
ばよい。この理由は、サポートロール対としたときは溶
融金属めっき浴内で深い方の下側ロール３に対する駆動
伝達軸の浴への進入角度が大きくてこの下側ロール３で
の振動発生が顕著なためである。

【００１４】一方、さらに、溶融金属めっき浴中のサ
ポートロール３を前記したような無駆動の下側ロール３
とパスライン規定用の上側ロール３とよりなるサポート
ロール対とし、このサポートロール対のうち少なくとも
一方をめっき浴深さ方向に位置制御可能としておけば、
より優れたＣ反り防止効果が得られる。すなわち、サポ
ートロール３の浴深さ方向への垂直移動制御は、サポー
トロール３やシンクロール２へのめっき鋼帯１１の巻き
付き角度を変更させることであり、この巻き付き角度の
変更により水平シフトと同様に曲げ歪量を調整でき、ま
た、サポートロール対の上側ロール３と下側の無駆動ロ
ールの間隔を変更することによってサポートロール水平
移動量当りの歪量制御精度を調整できる。

【００１５】なお、本発明は亜鉛めっき、亜鉛に鉄、マ
ンガン、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、クロ
ム、鉛、アンチモン、スズ等の１種又は２種以上含有せ
しめた合金めっき、アルミニウムめっきその他溶融金属
めっきの全てに共通して適用可能であることは勿論であ
る。

【００１６】

【実験例】次に、本発明の実験例を比較例と共に下表に
示す。深絞り用冷間圧延鋼板（板厚0.３mm〜０．８mm）
を素材として連続溶融めっきラインをライン内通板速度
１２０mpm で通板し、めっき付着量の目標値を４０ｇ／
m²として家電向および自動車向の合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を製造した。めっき鋼帯の焼鈍条件は８００℃ー６
０秒間とし、これにより深絞り用途相当の機械的性質を
確保している。焼鈍炉冷却帯からめっき後の合金化炉に
到る範囲の鋼帯に付与した張力は2.０kgｆ／mm²とし、
また、ワイピングガスは常温Ｎ₂を用い、ガス噴出圧は
０．２〜１．５kgｆ／cm²、ガス吹付ノズルと板面間の
距離は３〜３０mm、ガス吹付ノズルと浴面間の距離は１
００〜５００mm、ガス吹付ノズルの水平面に対する傾斜
角度は３〜３０度、浴温は４６０℃とした。このような
条件で実験した結果のうちのいくつかをめっき付着量の
ばらつきおよび外観品位を第１表に示した。めっき付着
量測定は、１００mmピッチでＪＩＳＨ０４０１の方法で
行った。なお、シンクロール直径は８００mm、サポート
ロール直径は実施例６の場合、上側ロール３００mm、無
駆動の下側ロール２５０mmの異径組み合わせ、他の例は
上側ロール、下側ロールとも３００mmであった。下表に
よれば実施例１〜実施例７では、鋼帯幅方向のＣ反りが
解消されると同時にフラッタリングも解消されてめっき
付着量が均一化され、トラマークと称されている色調模
様が解消された良質の製品を得られることが判る。これ
に対し比較例１では、サポートロール駆動による振動
と、水平方向にワイピングガスが吹き付けられるときに
めっき鋼帯と吹付ノズル間が負圧化されて起こる振動と
の複合によるフラッタリングがひどくてめっき量均一性
が劣り、表面外観も振動が増幅されることにより形成さ
れたいわゆるトラマークが顕れることが判る。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【発明の効果】本発明は前記説明から明らかなように、
めっき鋼帯のＣ反りをなくすとともにガスワイピング位
置でのめっき鋼帯のフラッタリングをなくすことにより
めっき付着量の均一性に優れた良質の溶融めっき鋼板を
安価に量産できる利点がある。従って、本発明は従来の
溶融金属めっきのめっき付着量制御方法の問題点を解決
したものとして業界の発展に寄与するところ極めて大き
いものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を実施する装置の１例を示す概略説
明図である。

【符号の説明】

１めっき槽２シンクロール３サポートロール７ガス吹付ノズル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】めっき槽内の溶融金属めっき浴中に送り
込まれためっき鋼帯をサポートロールを介して上方へ引
き上げる間に該めっき鋼帯の両面にめっき付着量制御用
のガスを吹き付けてめっき付着量を制御するようにした
溶融金属めっきのめっき付着量制御方法において、少な
くともシンクロールの直上に位置するサポートロールを
無駆動とするとともにめっき付着量制御用のガス吹付角
度を斜め下向きとすることを特徴とする溶融金属めっき
のめっき付着量制御方法。
【請求項２】ガス吹付角度が水平面に対して３〜３０
度である請求項１に記載の溶融金属めっきのめっき付着
量制御方法。