JP2004168691A - 癌細胞増殖抑制ヒトモノクローナル抗体の取得法 - Google Patents
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Abstract
【課題】癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体を選別するための簡便な方法を提供すること。
【解決手段】ヒトモノクローナル抗体又はその断片をヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と接触させ、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することを特徴とする癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片の取得方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒトモノクローナル抗体又はその断片をヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と接触させ、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することを特徴とする癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片の取得方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、ヒトの疾患の治療、診断、予防などの医学および薬学分野や、生化学試薬、生体高分子の精製試薬などの薬理学・生化学分野などの広い分野において有用な癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体またはその断片の取得方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
癌細胞は正常細胞とは質的・量的に異なった癌特異抗原あるいは癌関連抗原を有しており、ある場合には、そのような抗原をもつ癌細胞は宿主の免疫系によって排除されると考えられる。ヒトの場合、初期の研究において癌患者の血清中に自己の癌細胞と反応する抗体の存在が確認されたことから、そのような抗体を大量に且つ安定に供給することが可能であれば、癌の治療・診断において極めて利用価値の高いものになると考えられた。しかし、癌患者の血清中には、1)多種多様な特異性をもつ抗体が含まれていること、2)量的に制限があること、3)安定供給が得られないこと、などの問題点があった。
【0003】
KohlerとMilsteinによって開発されたハイブリドーマ法によるモノクローナル抗体の作製技術はこれらの問題点を解決するものであった。彼らの報告以後、ヒト癌細胞あるいはその抽出物でマウスを免疫し、ヒト癌細胞と反応する多数のマウスモノクローナル抗体がつくられ、それらが認識する抗原の同定とともに、一部の抗体は臨床応用も試みられた。
【0004】
しかしながら、そのような臨床試験の結果から明らかになった問題点は、ヒトにとって異種であるマウス由来の抗体をヒトに頻回投与した場合、HAMA反応(Human Anti−Mouse Antibody response:ヒト抗マウス抗体反応)が誘導され、その結果、副作用ならびに治療効果の減弱を引き起こすことであった。そこで、より安全性の高い同種由来の抗癌抗体、すなわちヒト抗癌モノクローナル抗体の出現が要望された。
【0005】
このような状況下に、本発明者らは、特公平1−59878号公報、特公平7−121221号公報、特公平7−119240号公報、特許第2599258号公報、特許第2509191号公報、特公平8−29078号公報、特公平7−98000号公報、特許第2721817号公報、特許第2830976号公報、特開昭62−70400号公報、特開平06−141884号公報、特開平09−100300号公報に詳しく開示されているごとく、癌患者リンパ球とヒトB細胞リンパ芽球との細胞融合により種々のヒト−ヒトハイブリドーマを創製し、癌細胞と結合性を有するヒトモノクローナル抗体を多数取得した。本発明者らは、それら抗体に関しさらに研究を行なったところ、ヒトモノクローナル抗体の癌細胞結合活性と抗癌効果(細胞増殖抑制効果)との間には明確な相関が存在しないこと、すなわち、癌と結合する抗体のすべてが抗癌効果を示すものでは必ずしもないことが判明した。癌細胞に結合する抗体の特異性は非常に多様であるので、それらすべてにおいて抗癌効果を調べることは実際上不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、癌細胞と結合する多数のヒトモノクローナル抗体の中から抗癌効果を示す抗体を選別・取得することができる簡便な方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の如き課題を解決すべく、以下のような研究を行った。
【0008】
本発明者らは、先に、子宮癌患者リンパ球とヒトB細胞リンパ芽球との細胞融合により、ヒト癌細胞に高い反応性を有するヒトモノクローナル抗体を産生するヒト−ヒトハイブリドーマ細胞株CLNH11を樹立した。そして、CLNH11が産生するモノクローナル抗体CLN−IgGが子宮癌のみならず脳腫瘍、肺癌、胃癌、大腸癌などの多くの種類の癌と結合し、さらには癌細胞の増殖を抑制することを明らかにした。さらに、CLN−IgGが認識する抗原は細胞骨格蛋白質の一種であるヒトビメンチンであることを明らかにした(Hagiwaraet al. Human Antibodies 10,77−82(2001))。また、ヒトビメンチンの各種断片を作製し、それぞれの断片とCLN−IgGの結合性を調べ、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域を同定したところ、ヒトビメンチンのロッドC2ドメイン上のアミノ酸残基番号289〜367からなる領域にエピトープが存在することが判明した(特開2002−51785号公報)。
【0009】
癌細胞増殖抑制効果を期待して抗体を作製する場合、これまでは、細胞増殖関連蛋白質(たとえば、細胞膜上の細胞増殖因子受容体や細胞増殖因子など)や特に癌細胞で過剰に発現している細胞表面蛋白質などを標的抗原として用いるのが通例であった。したがって、細胞骨格蛋白質であるヒトビメンチンが癌抗原として機能し、なおかつ、抗体による細胞増殖抑制効果の標的となりうることはこれまで全く知られておらず、ましてや、ヒトビメンチンを標的とした抗癌ヒトモノクローナル抗体は皆無であった。
【0010】
そこで、本発明者らは、ヒト癌細胞と反応する種々のヒトモノクローナル抗体の特異性と抗腫瘍効果との関連性を調べた。その結果、今回、ヒトビメンチンの特定のエピトープに結合性を有する抗体は癌細胞増殖抑制活性を持ち、他方、結合性を有しない抗体は癌細胞増殖抑制活性を実質的に示さないことを究明し、ヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することによって、癌細胞の破壊または増殖抑制効果を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択・所得できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
かくして、本発明によれば、ヒトモノクローナル抗体又はその断片をヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と接触させ、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することを特徴とする癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片の取得方法が提供される。
【0012】
以下、本発明によって提供される方法についてさらに詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
ヒトビメンチンは、細胞の構造を維持する働きをする細胞骨格蛋白質のうち、中間径フィラメントに分類される蛋白質(アミノ酸残基数466、分子量53,651)である。ヒトビメンチンはN末端側からhead、coil1(C1)、coil2(C2)、tailの4つのドメイン構造を有し、特にC1およびC2は螺旋状の構造を有している。
【0014】
このうち、C2ドメイン上にヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるエピトープが存在する。そこで、本発明者らは、このエピトープ領域をさらに絞り込むために、種々のC2断片をコードするDNAを大腸菌発現ベクターに組込み、GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)との融合蛋白質として発現させ精製した後、ウェスタンブロッティングおよびELISA法を用いて、それら断片とモノクローナル抗体との結合性を調べた。その結果、2種類のモノクローナル抗体がビメンチンのアミノ酸残基289〜367の断片と結合することが明らかとなった(特開2002−51785号公報)。
【0015】
つぎに、各種ヒトモノクローナル抗体の癌細胞増殖抑制活性を調べるために、ヌードマウスを用いてin vivo試験を行った。まず、ヒトモノクローナル抗体と子宮頸部癌細胞株ME−180を混合し、ヌードマウスの皮下に移植した後、腫瘍体積を経時的に測定し、細胞増殖抑制効果を評価した。その結果、上述したようなヒトビメンチンエピトープと結合性を示した抗体のみに強い細胞増殖抑制効果が認められた。
【0016】
これらのことより、ヒトモノクローナル抗体において、ヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域に対する結合性と癌細胞増殖抑制効果との間には密接な関連があることが示された。したがって、該ヒトビメンチンエピトープを用いることによって、癌細胞増殖抑制効果を示すヒトモノクローナル抗体を容易に選択・取得することが可能となる。
【0017】
ヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域について、本発明者らは、先に、ヒトビメンチンのC2ドメインの各種ペプチド断片を作製し、それぞれの断片とCLN−IgGとの反応性から、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域を同定し、その領域のアミノ酸配列を解析し、その領域がヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号289〜367の部分に相当することを明らかにした(特開2002−51785号公報)。本発明者らは、ヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域について、その三次元構造も含めてさらに検討を重ねた結果、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域は、ヒトビメンチンのアミノ酸配列残基289〜367の部分よりも、さらに広い領域を認識している可能性があることがわかり、その領域のアミノ酸配列を解析し、下記のアミノ酸配列
で示されるヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の部分を決定した(配列表の配列番号6)。
【0018】
上記のアミノ酸配列残基246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片(以下「ヒトビメンチンエピトープ断片」ということがある)は種々の方法で製造することが可能である。たとえば、ヒトビメンチンエピトープ断片は、それ自体既知の固相または液相合成法によって化学的に合成することができる。また、ヒトビメンチンエピトープ断片のアミノ酸配列からそれをコードするDNAを合成し、それを細菌、動物細胞、植物細胞などの宿主とそれに対する発現ベクターからなるベクター−宿主細胞系に適用して遺伝子工学的に製造することも可能である。この場合、種々の機能を有する融合蛋白質の形態で発現させることもできる。
【0019】
ヒトビメンチンエピトープ断片は、CLN−IgGと結合するものであれば、その大きさには特に制限はなく、また、CLN−IgGとの結合性が損なわれない範囲で、アミノ酸配列の一部が欠失、置換および/又は追加されているものも包含される。
【0020】
他方、本発明の方法において、ヒトビメンチンとしては、ヒトビメンチンを発現しているヒト細胞、例えばヒト膠芽腫細胞株U−251 MGそのものを使用することができ、或いは該細胞から通常の蛋白質精製法に従い、例えばアフィニティクロマトグラフィー等の手段により分離される粗製の又は精製されたヒトビメンチンを使用することもできる。
【0021】
ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片を用いて、癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片(以下、便宜上「ヒトモノクローナル抗体」ということがある)を選別・取得する方法としては、例えば、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片を適当な固体担体(例えば、マイクロプレート、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、ガラスビーズ、樹脂、センサーチップ等)上に付着固定し、被検ヒトモノクローナル抗体又はその断片を含む液体と接触させ、担体上のヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片と結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を、酵素抗体法を利用するウェスタンブロッティング法、ELISA法、ドットブロッティング法;表面プラズモン共鳴を利用する測定法等によって検出することからなる方法が挙げられる。
【0022】
かくして、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択・取得することができる。
【0023】
なお、上記の被検ヒトモノクローナル抗体としては、精製されたヒトモノクローナル抗体のみならず、ヒトモノクローナル抗体を産生している細胞そのものを使用することもできる。
【0024】
以上に述べた本発明の方法により取得されるヒトモノクローナル抗体又はその断片は、その抗体の由来に応じて各種の癌細胞の増殖を抑制する効果を有しており、癌細胞増殖抑制剤の有効成分として、例えば、子宮癌、肺癌、胃癌、大腸癌、脳腫瘍、肝癌、乳癌、前立腺癌などの癌疾患の処置のために使用することが期待される。
【0025】
本発明により取得されるヒトモノクローナル抗体又はその断片を癌細胞増殖抑制剤として臨床的に使用する場合、該ヒトモノクローナル抗体又はその断片は、それ自体既知の方法で、例えば適当な賦形剤と共に凍結乾燥粉末の形態に製剤化することができ、得られる製剤は注射用蒸留水で復元した後、非経口的に例えば静脈内、腫瘍内に投与することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1:ヒトビメンチンに結合するヒトモノクローナル抗体のウェスタンブロッティング法による選択
ヒト膠芽腫細胞株U−251 MGを62.5mMトリス(pH6.8)、2% SDS、5% 2−メルカプトエタノール、4M尿素を含む溶液中で超音波破砕し、細胞5x104個に相当する破砕液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけた。
【0027】
電気泳動後、セミドライ型のブロッティング装置を用いて48mMトリス、39mMグリシン、0.037%SDS、10%メタノール中でHybond ECL膜(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に蛋白質を転写した。
【0028】
つぎに、転写後の膜をブロッキング溶液(5%スキムミルク含有PBS−T(0.3%Tween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水))に37℃で1時間浸した後、10μg/mLの一次抗体(1%スキムミルク含有PBS−Tに溶解したCLN−IgG、TOH/G2−IgG、IM9−IgG又はHT2−IgM)に、37℃で30分間浸した。
【0029】
さらに、膜をPBS−Tで3回洗った後、二次抗体(1%スキムミルク含有PBS−Tで溶解したペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgG抗体又はペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgM抗体(いずれもBIOSORCE社製、1万倍希釈))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、ECL detection reagent(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を添加し、1分間静置した(ECL detection reagentは、膜上に固定された蛋白質の中から、ペルオキシダーゼ標識抗体を用いて、目的の抗原を化学発光によって検出する高感度システムである)。
【0030】
最後に、膜からDetection reagentを除去し、膜をOHPシートにはさみX線フィルムに1分間露光した後、フィルムを現像した。
【0031】
その結果、図1に示すとおり、被検ヒトモノクローナル抗体4種のうち、CLN−IgGとHT2−IgMの2種がヒトビメンチンを認識していることが判明した(図1で矢印はビメンチンの位置を表す)。
実施例2:ヒトビメンチンC2断片−GST融合蛋白質の作製
ヒトビメンチンのアミノ酸配列をもとに配列表に示す配列番号1,2,3の3’側のDNAプライマーおよび配列番号4,5の5’側のDNAプライマーを合成し、これらのプライマーを種々組み合わせて、ヒトビメンチンC2ドメインを含むプラスミドを鋳型にPCRを行い、C2ドメインの種々部分配列を増幅した。得られた断片をEcoRIおよびNotIで消化した後、DNAライゲーションキット・バージョン2(宝酒造社製)を用いて、EcoRIおよびNotIで消化したGST融合蛋白質発現ベクターpGEX−4T−1(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に連結した。さらに、大腸菌BL21を得られたプラスミドで形質転換し、アンピシリン耐性株を選択し、それらからアルカリ法でプラスミドを調製した。得られたプラスミドをEcoRIおよびNotIで消化した後、アガロース電気泳動にかけ、ヒトビメンチンC2の断片が挿入されているクローンを確認し選択した。
【0032】
上記で得られた各組換えプラスミドを有する大腸菌クローンを2mLのLB培地(バクトトリプトン10g/L、バクトイーストエキストラクト5g/L、塩化ナトリウム10g/L)に植え、25℃で一晩培養した。この培養液を再び20mLのLB培地に植え、25℃で3.5時間培養した後、1MのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を2μL加えてさらに2時間培養した。5,000rpmで5分間遠心して集菌し、上清を捨て、沈殿に1mLのPBS(フォスフェートバッファードセーライン、生理食塩水(pH7.2))を加えた。菌体を懸濁した溶液を超音波処理し、20% TritonX−100を1mL加えた後、4℃で1時間振盪し、グルタチオンセファロース4B(ファルマシア社製)によるアフィニティクロマトグラフィーで精製し、ヒトビメンチンC2断片−GST融合蛋白を得た。
実施例3:ヒトビメンチンC2断片に結合するヒトモノクローナル抗体のウェスタンブロッティング法による選択
実施例1で得られた各融合蛋白質を200ng/レーンの濃度に調整し、SDS−PAGEを行った。泳動後のゲルからセミドライ・ブロッティング法によりHybond−ECL膜(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に蛋白質を転写した。転写後の膜をブロッキング溶液(5% スキムミルク含有 PBS−T)に37℃で1時間浸した後、一次抗体(1% スキムミルク含有PBS−Tで溶解したCLN−IgGまたはHT2−IgM(それぞれ10μg/mL))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、二次抗体溶液(1% スキムミルク含有PBS−Tで溶解したペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgG抗体又はペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgM抗体(いずれもBIOSORCE社製、25,000倍希釈))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、ECL detection reagent(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を添加し1分間静置した。さらに、膜からDetection reagentを除去し、膜をOHPシートにはさみX線フィルムに1分間露光した後、フィルムを現像した。その結果を図2に示す。なお、図2Bにおいては、融合蛋白質の他に参照として、ウシ血清アルブミンを200ng/レーンの濃度で、また、膠芽腫細胞株U−251MGの細胞抽出液(8M尿素、2%SDS、4%DTT、0.125M Tris−HCl pH6.8で細胞を破砕した溶液)を10μg蛋白/レーンの濃度で電気泳動にかけた。
【0033】
その結果、CLN−IgG(図2A)とHT2−IgM抗体(図2B)のいずれもヒトビメンチン(アミノ酸残基番号246〜397)と反応すること、特にヒトビメンチンC2エピトープ断片(アミノ酸残基番号246〜372)と強く反応することが判明した。このことから、CLN−IgGおよびHT2−IgMはヒトビメンチンのアミノ酸残基番号246〜372からなる領域を認識することが明らかとなった。
実施例4:ヌードマウス移植癌に対する細胞増殖抑制効果
ヒト子宮頸部癌ME−180細胞株(ATCC HTB33)5x106個をヒトモノクローナル抗体(CLN−IgG、TOH/G2−IgG又はIM9−IgG)170μgと混合した後、ヌードマウス(日本クレア、BALB/cAJCl−nu nu/nu 6週齡雌、1群5匹)の皮下へ移植し、経時的に腫瘍体積を測定した。腫瘍体積は(長径)x(短径)2x1/2の近似式により求めた。
【0034】
その結果、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープと結合性を有しないIM9−IgGおよびTOH/G2−IgGでは癌細胞増殖抑制効果はほとんど認められなかったが、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープと結合性を有しているCLN−IgGは強い癌細胞増殖抑制効果を示した(図3)。
実施例5:in vitroにおける癌細胞増殖抑制試験
10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するDF培地に5x104/mLの濃度で懸濁したヒト膠芽種細胞株U251MGを100μLずつ96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)にまき、そこへHT2−IgM又はIM9−IgGを最終濃度が50μg/mLまたは100μg/mLになるように添加した。さらに、炭酸ガス濃度5%、37℃の条件で2日間培養した後、Cell proliferation ELISA試薬(ベーリンガー・マンハイム社製)を用いてS期の細胞によるBrdUの取り込みを測定した。具体的には、ウェルあたり10μLのBrdU(100μM)を加え、2時間培養し、細胞の固定とDNAの変性を行った後、ペルオキシダーゼ標識抗BrdU抗体と90分間反応させ、最後に酵素基質テトラメチルベンジジン(TMB)を添加し370nmの吸光度を測定した。抗体を添加しない細胞のみの対照群と比較し、細胞増殖抑制活性を求めた。
【0035】
結果は下表(表1)に示すとおりであり、HT2−IgMでは癌細胞増殖抑制効果が認められたが、IM9−IgGでは認められなかった。すなわち、ヒトビメンチンエピトープ断片との結合性を有しているHT2−IgM抗体は増殖抑制活性を示し、他方、結合性を有していないIM9−IgG抗体は増殖抑制効果を示さなかったことから、該エピトープ断片に対する反応性の有無を調べることにより、細胞増殖抑制効果をもつ抗体を選別・取得することが可能となる。
【0036】
【表1】
【0037】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェスタンブロッティングでみたヒトモノクローナル抗体とヒト膠芽種細胞株U−251MGのビメンチンとの結合性。
【符号の説明】
1 分子量マーカー
2 CLN−IgG
3 TOH/G2−IgG
4 IM9−IgG
5 HT2−IgM
図中、右側に示した矢印はヒトビメンチンの位置を表す。
【図2】ウェスタンブロッティングでみたヒトモノクローナル抗体とビメンチン断片−GST融合蛋白質との結合性。
【符号の説明】
A. CLN−IgGを用いたウェスタンブロッティング
1 分子量マーカー
2 GST
3 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
4 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜367)−GST融合蛋白質
5 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
6 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜367)−GST融合蛋白質
7 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜371)−GST融合蛋白質
8 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
9 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜371)−GST融合蛋白質
10 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜372)−GST融合蛋白質
11 分子量マーカー
B. HT−2 IgMを用いたウェスタンブロッティング
レーン1〜6はCBB染色、レーン7〜12はウェスタンブロッティング
1 分子量マーカー
2 ヒトビメンチンC1ドメイン(アミノ酸残基番号96〜245)−GST 融合蛋白質
3 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
4 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
5 BSA(ウシ血清アルブミン)
6 ヒト膠芽腫U−251 MG細胞抽出液
7 分子量マーカー
8 ヒトビメンチンC1ドメイン(アミノ酸残基番号96〜245)−GST融合蛋白質
9 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
10 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
11 BSA(ウシ血清アルブミン)
12 ヒト膠芽腫U−251 MG細胞抽出液
【図3】ヌードマウス移植癌(ヒト子宮頸部癌細胞株ME−180)に対する各種ヒトモノクローナル抗体の細胞増殖抑制効果
【符号の説明】
○:PBS
■:TOH/G2−IgG
●:IM9−IgG
▲:CLN−IgG
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、ヒトの疾患の治療、診断、予防などの医学および薬学分野や、生化学試薬、生体高分子の精製試薬などの薬理学・生化学分野などの広い分野において有用な癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体またはその断片の取得方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
癌細胞は正常細胞とは質的・量的に異なった癌特異抗原あるいは癌関連抗原を有しており、ある場合には、そのような抗原をもつ癌細胞は宿主の免疫系によって排除されると考えられる。ヒトの場合、初期の研究において癌患者の血清中に自己の癌細胞と反応する抗体の存在が確認されたことから、そのような抗体を大量に且つ安定に供給することが可能であれば、癌の治療・診断において極めて利用価値の高いものになると考えられた。しかし、癌患者の血清中には、1)多種多様な特異性をもつ抗体が含まれていること、2)量的に制限があること、3)安定供給が得られないこと、などの問題点があった。
【0003】
KohlerとMilsteinによって開発されたハイブリドーマ法によるモノクローナル抗体の作製技術はこれらの問題点を解決するものであった。彼らの報告以後、ヒト癌細胞あるいはその抽出物でマウスを免疫し、ヒト癌細胞と反応する多数のマウスモノクローナル抗体がつくられ、それらが認識する抗原の同定とともに、一部の抗体は臨床応用も試みられた。
【0004】
しかしながら、そのような臨床試験の結果から明らかになった問題点は、ヒトにとって異種であるマウス由来の抗体をヒトに頻回投与した場合、HAMA反応(Human Anti−Mouse Antibody response:ヒト抗マウス抗体反応)が誘導され、その結果、副作用ならびに治療効果の減弱を引き起こすことであった。そこで、より安全性の高い同種由来の抗癌抗体、すなわちヒト抗癌モノクローナル抗体の出現が要望された。
【0005】
このような状況下に、本発明者らは、特公平1−59878号公報、特公平7−121221号公報、特公平7−119240号公報、特許第2599258号公報、特許第2509191号公報、特公平8−29078号公報、特公平7−98000号公報、特許第2721817号公報、特許第2830976号公報、特開昭62−70400号公報、特開平06−141884号公報、特開平09−100300号公報に詳しく開示されているごとく、癌患者リンパ球とヒトB細胞リンパ芽球との細胞融合により種々のヒト−ヒトハイブリドーマを創製し、癌細胞と結合性を有するヒトモノクローナル抗体を多数取得した。本発明者らは、それら抗体に関しさらに研究を行なったところ、ヒトモノクローナル抗体の癌細胞結合活性と抗癌効果(細胞増殖抑制効果)との間には明確な相関が存在しないこと、すなわち、癌と結合する抗体のすべてが抗癌効果を示すものでは必ずしもないことが判明した。癌細胞に結合する抗体の特異性は非常に多様であるので、それらすべてにおいて抗癌効果を調べることは実際上不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、癌細胞と結合する多数のヒトモノクローナル抗体の中から抗癌効果を示す抗体を選別・取得することができる簡便な方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の如き課題を解決すべく、以下のような研究を行った。
【0008】
本発明者らは、先に、子宮癌患者リンパ球とヒトB細胞リンパ芽球との細胞融合により、ヒト癌細胞に高い反応性を有するヒトモノクローナル抗体を産生するヒト−ヒトハイブリドーマ細胞株CLNH11を樹立した。そして、CLNH11が産生するモノクローナル抗体CLN−IgGが子宮癌のみならず脳腫瘍、肺癌、胃癌、大腸癌などの多くの種類の癌と結合し、さらには癌細胞の増殖を抑制することを明らかにした。さらに、CLN−IgGが認識する抗原は細胞骨格蛋白質の一種であるヒトビメンチンであることを明らかにした(Hagiwaraet al. Human Antibodies 10,77−82(2001))。また、ヒトビメンチンの各種断片を作製し、それぞれの断片とCLN−IgGの結合性を調べ、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域を同定したところ、ヒトビメンチンのロッドC2ドメイン上のアミノ酸残基番号289〜367からなる領域にエピトープが存在することが判明した(特開2002−51785号公報)。
【0009】
癌細胞増殖抑制効果を期待して抗体を作製する場合、これまでは、細胞増殖関連蛋白質(たとえば、細胞膜上の細胞増殖因子受容体や細胞増殖因子など)や特に癌細胞で過剰に発現している細胞表面蛋白質などを標的抗原として用いるのが通例であった。したがって、細胞骨格蛋白質であるヒトビメンチンが癌抗原として機能し、なおかつ、抗体による細胞増殖抑制効果の標的となりうることはこれまで全く知られておらず、ましてや、ヒトビメンチンを標的とした抗癌ヒトモノクローナル抗体は皆無であった。
【0010】
そこで、本発明者らは、ヒト癌細胞と反応する種々のヒトモノクローナル抗体の特異性と抗腫瘍効果との関連性を調べた。その結果、今回、ヒトビメンチンの特定のエピトープに結合性を有する抗体は癌細胞増殖抑制活性を持ち、他方、結合性を有しない抗体は癌細胞増殖抑制活性を実質的に示さないことを究明し、ヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することによって、癌細胞の破壊または増殖抑制効果を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択・所得できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
かくして、本発明によれば、ヒトモノクローナル抗体又はその断片をヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と接触させ、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することを特徴とする癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片の取得方法が提供される。
【0012】
以下、本発明によって提供される方法についてさらに詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
ヒトビメンチンは、細胞の構造を維持する働きをする細胞骨格蛋白質のうち、中間径フィラメントに分類される蛋白質(アミノ酸残基数466、分子量53,651)である。ヒトビメンチンはN末端側からhead、coil1(C1)、coil2(C2)、tailの4つのドメイン構造を有し、特にC1およびC2は螺旋状の構造を有している。
【0014】
このうち、C2ドメイン上にヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるエピトープが存在する。そこで、本発明者らは、このエピトープ領域をさらに絞り込むために、種々のC2断片をコードするDNAを大腸菌発現ベクターに組込み、GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)との融合蛋白質として発現させ精製した後、ウェスタンブロッティングおよびELISA法を用いて、それら断片とモノクローナル抗体との結合性を調べた。その結果、2種類のモノクローナル抗体がビメンチンのアミノ酸残基289〜367の断片と結合することが明らかとなった(特開2002−51785号公報)。
【0015】
つぎに、各種ヒトモノクローナル抗体の癌細胞増殖抑制活性を調べるために、ヌードマウスを用いてin vivo試験を行った。まず、ヒトモノクローナル抗体と子宮頸部癌細胞株ME−180を混合し、ヌードマウスの皮下に移植した後、腫瘍体積を経時的に測定し、細胞増殖抑制効果を評価した。その結果、上述したようなヒトビメンチンエピトープと結合性を示した抗体のみに強い細胞増殖抑制効果が認められた。
【0016】
これらのことより、ヒトモノクローナル抗体において、ヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域に対する結合性と癌細胞増殖抑制効果との間には密接な関連があることが示された。したがって、該ヒトビメンチンエピトープを用いることによって、癌細胞増殖抑制効果を示すヒトモノクローナル抗体を容易に選択・取得することが可能となる。
【0017】
ヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域について、本発明者らは、先に、ヒトビメンチンのC2ドメインの各種ペプチド断片を作製し、それぞれの断片とCLN−IgGとの反応性から、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域を同定し、その領域のアミノ酸配列を解析し、その領域がヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号289〜367の部分に相当することを明らかにした(特開2002−51785号公報)。本発明者らは、ヒトモノクローナル抗体CLN−IgGによって認識されるヒトビメンチンのC2ドメイン上のエピトープ領域について、その三次元構造も含めてさらに検討を重ねた結果、CLN−IgGによって認識される抗原エピトープ領域は、ヒトビメンチンのアミノ酸配列残基289〜367の部分よりも、さらに広い領域を認識している可能性があることがわかり、その領域のアミノ酸配列を解析し、下記のアミノ酸配列
で示されるヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の部分を決定した(配列表の配列番号6)。
【0018】
上記のアミノ酸配列残基246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片(以下「ヒトビメンチンエピトープ断片」ということがある)は種々の方法で製造することが可能である。たとえば、ヒトビメンチンエピトープ断片は、それ自体既知の固相または液相合成法によって化学的に合成することができる。また、ヒトビメンチンエピトープ断片のアミノ酸配列からそれをコードするDNAを合成し、それを細菌、動物細胞、植物細胞などの宿主とそれに対する発現ベクターからなるベクター−宿主細胞系に適用して遺伝子工学的に製造することも可能である。この場合、種々の機能を有する融合蛋白質の形態で発現させることもできる。
【0019】
ヒトビメンチンエピトープ断片は、CLN−IgGと結合するものであれば、その大きさには特に制限はなく、また、CLN−IgGとの結合性が損なわれない範囲で、アミノ酸配列の一部が欠失、置換および/又は追加されているものも包含される。
【0020】
他方、本発明の方法において、ヒトビメンチンとしては、ヒトビメンチンを発現しているヒト細胞、例えばヒト膠芽腫細胞株U−251 MGそのものを使用することができ、或いは該細胞から通常の蛋白質精製法に従い、例えばアフィニティクロマトグラフィー等の手段により分離される粗製の又は精製されたヒトビメンチンを使用することもできる。
【0021】
ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片を用いて、癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片(以下、便宜上「ヒトモノクローナル抗体」ということがある)を選別・取得する方法としては、例えば、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片を適当な固体担体(例えば、マイクロプレート、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、ガラスビーズ、樹脂、センサーチップ等)上に付着固定し、被検ヒトモノクローナル抗体又はその断片を含む液体と接触させ、担体上のヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープ断片と結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を、酵素抗体法を利用するウェスタンブロッティング法、ELISA法、ドットブロッティング法;表面プラズモン共鳴を利用する測定法等によって検出することからなる方法が挙げられる。
【0022】
かくして、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択・取得することができる。
【0023】
なお、上記の被検ヒトモノクローナル抗体としては、精製されたヒトモノクローナル抗体のみならず、ヒトモノクローナル抗体を産生している細胞そのものを使用することもできる。
【0024】
以上に述べた本発明の方法により取得されるヒトモノクローナル抗体又はその断片は、その抗体の由来に応じて各種の癌細胞の増殖を抑制する効果を有しており、癌細胞増殖抑制剤の有効成分として、例えば、子宮癌、肺癌、胃癌、大腸癌、脳腫瘍、肝癌、乳癌、前立腺癌などの癌疾患の処置のために使用することが期待される。
【0025】
本発明により取得されるヒトモノクローナル抗体又はその断片を癌細胞増殖抑制剤として臨床的に使用する場合、該ヒトモノクローナル抗体又はその断片は、それ自体既知の方法で、例えば適当な賦形剤と共に凍結乾燥粉末の形態に製剤化することができ、得られる製剤は注射用蒸留水で復元した後、非経口的に例えば静脈内、腫瘍内に投与することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1:ヒトビメンチンに結合するヒトモノクローナル抗体のウェスタンブロッティング法による選択
ヒト膠芽腫細胞株U−251 MGを62.5mMトリス(pH6.8)、2% SDS、5% 2−メルカプトエタノール、4M尿素を含む溶液中で超音波破砕し、細胞5x104個に相当する破砕液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけた。
【0027】
電気泳動後、セミドライ型のブロッティング装置を用いて48mMトリス、39mMグリシン、0.037%SDS、10%メタノール中でHybond ECL膜(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に蛋白質を転写した。
【0028】
つぎに、転写後の膜をブロッキング溶液(5%スキムミルク含有PBS−T(0.3%Tween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水))に37℃で1時間浸した後、10μg/mLの一次抗体(1%スキムミルク含有PBS−Tに溶解したCLN−IgG、TOH/G2−IgG、IM9−IgG又はHT2−IgM)に、37℃で30分間浸した。
【0029】
さらに、膜をPBS−Tで3回洗った後、二次抗体(1%スキムミルク含有PBS−Tで溶解したペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgG抗体又はペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgM抗体(いずれもBIOSORCE社製、1万倍希釈))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、ECL detection reagent(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を添加し、1分間静置した(ECL detection reagentは、膜上に固定された蛋白質の中から、ペルオキシダーゼ標識抗体を用いて、目的の抗原を化学発光によって検出する高感度システムである)。
【0030】
最後に、膜からDetection reagentを除去し、膜をOHPシートにはさみX線フィルムに1分間露光した後、フィルムを現像した。
【0031】
その結果、図1に示すとおり、被検ヒトモノクローナル抗体4種のうち、CLN−IgGとHT2−IgMの2種がヒトビメンチンを認識していることが判明した(図1で矢印はビメンチンの位置を表す)。
実施例2:ヒトビメンチンC2断片−GST融合蛋白質の作製
ヒトビメンチンのアミノ酸配列をもとに配列表に示す配列番号1,2,3の3’側のDNAプライマーおよび配列番号4,5の5’側のDNAプライマーを合成し、これらのプライマーを種々組み合わせて、ヒトビメンチンC2ドメインを含むプラスミドを鋳型にPCRを行い、C2ドメインの種々部分配列を増幅した。得られた断片をEcoRIおよびNotIで消化した後、DNAライゲーションキット・バージョン2(宝酒造社製)を用いて、EcoRIおよびNotIで消化したGST融合蛋白質発現ベクターpGEX−4T−1(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に連結した。さらに、大腸菌BL21を得られたプラスミドで形質転換し、アンピシリン耐性株を選択し、それらからアルカリ法でプラスミドを調製した。得られたプラスミドをEcoRIおよびNotIで消化した後、アガロース電気泳動にかけ、ヒトビメンチンC2の断片が挿入されているクローンを確認し選択した。
【0032】
上記で得られた各組換えプラスミドを有する大腸菌クローンを2mLのLB培地(バクトトリプトン10g/L、バクトイーストエキストラクト5g/L、塩化ナトリウム10g/L)に植え、25℃で一晩培養した。この培養液を再び20mLのLB培地に植え、25℃で3.5時間培養した後、1MのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を2μL加えてさらに2時間培養した。5,000rpmで5分間遠心して集菌し、上清を捨て、沈殿に1mLのPBS(フォスフェートバッファードセーライン、生理食塩水(pH7.2))を加えた。菌体を懸濁した溶液を超音波処理し、20% TritonX−100を1mL加えた後、4℃で1時間振盪し、グルタチオンセファロース4B(ファルマシア社製)によるアフィニティクロマトグラフィーで精製し、ヒトビメンチンC2断片−GST融合蛋白を得た。
実施例3:ヒトビメンチンC2断片に結合するヒトモノクローナル抗体のウェスタンブロッティング法による選択
実施例1で得られた各融合蛋白質を200ng/レーンの濃度に調整し、SDS−PAGEを行った。泳動後のゲルからセミドライ・ブロッティング法によりHybond−ECL膜(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に蛋白質を転写した。転写後の膜をブロッキング溶液(5% スキムミルク含有 PBS−T)に37℃で1時間浸した後、一次抗体(1% スキムミルク含有PBS−Tで溶解したCLN−IgGまたはHT2−IgM(それぞれ10μg/mL))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、二次抗体溶液(1% スキムミルク含有PBS−Tで溶解したペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgG抗体又はペルオキシダーゼ標識アフィニティ精製ヤギ抗ヒトIgM抗体(いずれもBIOSORCE社製、25,000倍希釈))に37℃で30分間浸した。PBS−Tで3回洗った後、ECL detection reagent(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を添加し1分間静置した。さらに、膜からDetection reagentを除去し、膜をOHPシートにはさみX線フィルムに1分間露光した後、フィルムを現像した。その結果を図2に示す。なお、図2Bにおいては、融合蛋白質の他に参照として、ウシ血清アルブミンを200ng/レーンの濃度で、また、膠芽腫細胞株U−251MGの細胞抽出液(8M尿素、2%SDS、4%DTT、0.125M Tris−HCl pH6.8で細胞を破砕した溶液)を10μg蛋白/レーンの濃度で電気泳動にかけた。
【0033】
その結果、CLN−IgG(図2A)とHT2−IgM抗体(図2B)のいずれもヒトビメンチン(アミノ酸残基番号246〜397)と反応すること、特にヒトビメンチンC2エピトープ断片(アミノ酸残基番号246〜372)と強く反応することが判明した。このことから、CLN−IgGおよびHT2−IgMはヒトビメンチンのアミノ酸残基番号246〜372からなる領域を認識することが明らかとなった。
実施例4:ヌードマウス移植癌に対する細胞増殖抑制効果
ヒト子宮頸部癌ME−180細胞株(ATCC HTB33)5x106個をヒトモノクローナル抗体(CLN−IgG、TOH/G2−IgG又はIM9−IgG)170μgと混合した後、ヌードマウス(日本クレア、BALB/cAJCl−nu nu/nu 6週齡雌、1群5匹)の皮下へ移植し、経時的に腫瘍体積を測定した。腫瘍体積は(長径)x(短径)2x1/2の近似式により求めた。
【0034】
その結果、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープと結合性を有しないIM9−IgGおよびTOH/G2−IgGでは癌細胞増殖抑制効果はほとんど認められなかったが、ヒトビメンチン又はヒトビメンチンエピトープと結合性を有しているCLN−IgGは強い癌細胞増殖抑制効果を示した(図3)。
実施例5:in vitroにおける癌細胞増殖抑制試験
10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するDF培地に5x104/mLの濃度で懸濁したヒト膠芽種細胞株U251MGを100μLずつ96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)にまき、そこへHT2−IgM又はIM9−IgGを最終濃度が50μg/mLまたは100μg/mLになるように添加した。さらに、炭酸ガス濃度5%、37℃の条件で2日間培養した後、Cell proliferation ELISA試薬(ベーリンガー・マンハイム社製)を用いてS期の細胞によるBrdUの取り込みを測定した。具体的には、ウェルあたり10μLのBrdU(100μM)を加え、2時間培養し、細胞の固定とDNAの変性を行った後、ペルオキシダーゼ標識抗BrdU抗体と90分間反応させ、最後に酵素基質テトラメチルベンジジン(TMB)を添加し370nmの吸光度を測定した。抗体を添加しない細胞のみの対照群と比較し、細胞増殖抑制活性を求めた。
【0035】
結果は下表(表1)に示すとおりであり、HT2−IgMでは癌細胞増殖抑制効果が認められたが、IM9−IgGでは認められなかった。すなわち、ヒトビメンチンエピトープ断片との結合性を有しているHT2−IgM抗体は増殖抑制活性を示し、他方、結合性を有していないIM9−IgG抗体は増殖抑制効果を示さなかったことから、該エピトープ断片に対する反応性の有無を調べることにより、細胞増殖抑制効果をもつ抗体を選別・取得することが可能となる。
【0036】
【表1】
【0037】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェスタンブロッティングでみたヒトモノクローナル抗体とヒト膠芽種細胞株U−251MGのビメンチンとの結合性。
【符号の説明】
1 分子量マーカー
2 CLN−IgG
3 TOH/G2−IgG
4 IM9−IgG
5 HT2−IgM
図中、右側に示した矢印はヒトビメンチンの位置を表す。
【図2】ウェスタンブロッティングでみたヒトモノクローナル抗体とビメンチン断片−GST融合蛋白質との結合性。
【符号の説明】
A. CLN−IgGを用いたウェスタンブロッティング
1 分子量マーカー
2 GST
3 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
4 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜367)−GST融合蛋白質
5 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
6 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜367)−GST融合蛋白質
7 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜371)−GST融合蛋白質
8 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
9 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜371)−GST融合蛋白質
10 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号289〜372)−GST融合蛋白質
11 分子量マーカー
B. HT−2 IgMを用いたウェスタンブロッティング
レーン1〜6はCBB染色、レーン7〜12はウェスタンブロッティング
1 分子量マーカー
2 ヒトビメンチンC1ドメイン(アミノ酸残基番号96〜245)−GST 融合蛋白質
3 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
4 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
5 BSA(ウシ血清アルブミン)
6 ヒト膠芽腫U−251 MG細胞抽出液
7 分子量マーカー
8 ヒトビメンチンC1ドメイン(アミノ酸残基番号96〜245)−GST融合蛋白質
9 ヒトビメンチンC2ドメイン(アミノ酸残基番号246〜397)−GST融合蛋白質
10 ヒトビメンチンC2断片(アミノ酸残基番号246〜372)−GST融合蛋白質
11 BSA(ウシ血清アルブミン)
12 ヒト膠芽腫U−251 MG細胞抽出液
【図3】ヌードマウス移植癌(ヒト子宮頸部癌細胞株ME−180)に対する各種ヒトモノクローナル抗体の細胞増殖抑制効果
【符号の説明】
○:PBS
■:TOH/G2−IgG
●:IM9−IgG
▲:CLN−IgG
Claims (4)
- ヒトモノクローナル抗体又はその断片をヒトビメンチン又は少なくともヒトビメンチンのアミノ酸配列残基番号246〜372の領域を含むヒトビメンチン断片と接触させ、ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を選択することを特徴とする癌細胞増殖抑制活性を有するヒトモノクローナル抗体又はその断片の取得方法。
- 請求項1に記載の方法により得られるヒトモノクローナル抗体。
- 請求項1に記載の方法により得られるヒトモノクローナル抗体由来のヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合する断片。
- ヒトビメンチンのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号246〜372の領域と特異的に結合するヒトモノクローナル抗体又はその断片を有効成分として含有することを特徴とする癌細胞増殖抑制剤。
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