JPH10110000A - 分泌Mac−2結合糖タンパク質 - Google Patents

分泌Mac−2結合糖タンパク質

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JPH10110000A
JPH10110000A JP9161725A JP16172597A JPH10110000A JP H10110000 A JPH10110000 A JP H10110000A JP 9161725 A JP9161725 A JP 9161725A JP 16172597 A JP16172597 A JP 16172597A JP H10110000 A JPH10110000 A JP H10110000A
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pha
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イー.コース カーストン
Robert Halenbeck
ヘレンベック ロバート
Eric W Taylor
ダブリュー.テイラー エリック
Alice M Wang
エム.ワン アリス
Clayton L Casipit
エル.カシピット クレイトン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Mac-2に結合する実質的に精製されたタンパ
ク質を提供すること。 【解決手段】タンパク質分解によって約70kDおよび
27kDのフラグメントに分解し得る、約85−97k
Dの分子量を有する精製糖タンパク質であって、該糖タ
ンパク質が、成熟N末端アミノ酸配列(配列番号:1)
を有し、該70kDフラグメントがリンパ球のPHA依
存活性化を妨げる能力を有する、精製糖タンパク質、お
よびその糖タンパク質に結合する抗体、およびそれらを
含有する組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子生物学/生化
学の領域に属し、そしてヒトレクチンMac-2に結合して
細胞表面で相互作用イベントに重要な役割を担う精製糖
タンパク質、このタンパク質をコードするDNA配列、お
よびそれを発現する発現系を提供する。このタンパク質
は、免疫反応に関係する細胞表面相互作用の調節、病原
体/ホスト細胞相互作用、転移、および細胞接着と細胞
移動を含む医学的応用およびプレ抗体免疫のような発生
的機能の多様性を持っている。
【0002】
【従来の技術】細胞表面分子は、ウイルスおよび他の病
原体の標的細胞に対する感染力において要となる役割を
果たす。例えば、インテグリン結合のための内皮細胞レ
セプターであるICAM-1はまたライノウイルス結合のレセ
プターでもある。ライノウイルスは、ピコルナウイルス
科の一種であり、ヒトの普通の風邪の約50%の原因と
なっている。そのような相互作用のもう一つの古典的例
は、インフルエンザ血球凝集素、つまり感染の第一段階
でホスト細胞上のシアル酸に結合するレクチンである。
このように、普通の風邪を防ぐ予防的アプローチは、ラ
イノウイルスが、細胞に結合しているICAM-1に結合する
ことを、可溶性結合競合物をホストレセプターに投与す
ることにより妨げることである。
【0003】レクチンは、炭水化物を特異的に、そして
非共有結合的に結合するタンパク質のクラスである。Li
s,HおよびSharon,N.,1986,Annual Review of Biochemis
try,55:35。非常に多数のレクチンが、高等動物におい
て、膜結合性および可溶性の双方について確認され、そ
して、それらの転移における役割に加えて、さまざまな
細胞認識現象に関係した。
【0004】レクチンは一般に、結合特性がカルシウム
依存性であり、構造的にアシアロ糖タンパク質レセプタ
ーに関係するC型、または、チオール依存性レクチンで
あるS型のどちらかに分類される。しかしながら、これ
らの分類には明らかに当てはまらないが、レクチンの性
質を有する他のタンパク質、例えばフィブロネクチンお
よびラミニンのようなタンパク質があることに留意すべ
きである。Drickamar,K.,1988, J.Biol.Chem., 263:95
57。
【0005】レクチンは、原形質膜のレベルで開始され
る細胞イベントを調節する役割を行っていると考えられ
ている。例えば、原形質膜に結合した分子は、リンパ球
様細胞、特にTリンパ球のさまざまなサブセットの活性
化に関係し、細胞表面分子はこれら細胞を活性化し、結
果として免疫反応の間、それらの応答の原因になること
が知られている。この現象は、白血球凝集性植物凝集素
(PHA)およびコンカナバリンA(con A)のようなさまざ
まな植物性レクチンを用いて研究されてきた。これらの
分子は、Tリンパ球細胞表面上の特定の分子と会合する
炭水化物の一部分に結合することによってT細胞を活性
化すると考えられている。
【0006】ある既知のヒトレクチンは、元来は細胞会
合マクロファージ抗原と記述されるが、「Mac-2」と呼
ばれる。HoおよびSpringer, J.Immunol.,(1982) 128:1
221-1228。32kDレクチンMac-2は、常在性マクロファー
ジでなくチオグリコレート誘導マウスマクロファージに
おいて著しい量が発現され、細胞接着または免疫応答に
関与し得る。ヒトMac-2同族体は、クローニングされ、
そしてリーダー配列がないにも関わらず外在化されたラ
クトース/ガラクトース特異的レクチンであることが示
された。Odaら、Gene (1991) 99:279-283;Cherayil
ら、PNAS(USA)(1990) 87:7324-7438。Mac-2は、他の以
前に記載されたタンパク質と同一または密接に関連して
いる:EBP、新しい型の細胞接着をすると考えられるタ
ンパク質(FrigeriおよびLiu、J.Immunol.,(1992) 14
8:861-867)、CBP35、ガラクトース結合レクチン(Jai
およびWang、J.Biol.Chem.(1988) 263:6009-6011)、
非インテグリンであるラミニン結合タンパク質(Woo
ら、J.Biol.Chem.(1990) 265:7097-7099)、RL-29、ラ
クトース特異的肺レクチン(LefflerおよびBarondes、
J.Biol.Chem.(1986) 261:10119-10126)、およびL-34
すなわち新生形質転換および転移に相互に関係するガラ
クトース結合レクチン(Razら、Int.J.Cancer (1990) 4
6:871-877)。Mac-2は、ヒト病原体のコロニー形成の標
的となり得る腸柔突起の先端にかなりの濃度で存在す
る。
【0007】数人の研究者が、さまざまなレクチンに対
するリガンドとして働く糖タンパク質を単離精製した。
例えば、タム・ホースフォール糖タンパク質と呼ばれる
タンパク質は、Phaseolus vularis由来の白血球凝集素
および赤血球凝集素を含む数種のレクチンによって誘起
されるリンパ球の活性化を阻害することを示した。Sera
fini-Cessi,F.ら、1979, Biochemical Journal,183:38
1-388。さらに、PHA結合因子として働く糖タンパク質
が、ブタの脾リンパ球から部分的に精製された。さらな
る研究もまたブタのリンパ球のPHA活性化が部分的に精
製糖タンパク質によって阻害されることを示す。(Dupu
is,G.ら、1985, Canadian Journal of Biochemistry &
Cell Biology, 63:932-940)。これらの研究者は、阻
害活性を示す、正確な分子量を持った種を同定できなか
った。むしろ、かれらは、ドデシル硫酸ナトリウムポリ
アクリルアミドゲルのクーマシーブルー染色で示される
ように、部分的精製調製物においてある分子量分布を持
った種を報告した。主要なバンドが、約50-55,75,9
5,130、および155kDの見かけの分子量を持っているこ
とが観察された。付随している微量種は、約42,45,60
-65,175、および200-250kDの見かけの分子量を示し
た。
【0008】他の研究者による類似の研究は、他のPHA
結合分子の存在を示した。例えば、子ブタの腸間膜リン
パ節由来のPHA結合因子が単離され、約100kDの分子質量
を持っていることが示された。Allan,D.およびCrumpto
n,N.J.,1973, Exp.Cell.Res.,78:271-278。子ブタの下
顎リンパ節リンパ球由来の原形質膜に存在するPHA結合
分子は、94kDより大きい見かけの分子質量を示すことが
示された。Alexander,S.ら、1978, Biochemical Biophy
s.Acta.,512:350-364。他のPHA結合リガンドが、アフ
ィニティークロマトグラフィーによってヒト末梢血液か
ら単離され、20-35,43,60、および70kDの範囲の分子
質量を有することが見いだされた。Skoog,B.ら、1980,
Scand. Journal Immun.,11:369-376。他の研究者ら
は、ノイラミダーゼ処理した末梢ヒトTリンパ球に、分
子量が43から250kDの範囲にある自血球凝集素レセプタ
ー糖タンパク質が存在することを報告した。
【0009】ヒトの母乳の健康上の利点がずっと認めら
れてきた。最近、胃腸の感染症防止において、母乳の予
防効果が記載された。Gerrard,J.,1974, Pediatrics, 5
4:757-764。少なくともいくぶん、これは、母乳に存在
して、新生児をウイルスまたは細菌の感染から守る結合
特性を有する非免疫グロブリン糖タンパク質によるもの
である。Lonnerdal,B.,1985, Am.J.Clin.,42:1299-131
7およびHolmgren,J.ら、1983, Infect.Immun.,33:459-
463。これらのタンパク質は、少なくともいくぶん、細
菌性粘着性物質またはウイルス性赤血球凝集素に結合す
ることによって細菌またはウイルスの腸上皮への接着を
妨げるか破壊することで、効果を及ぼすと考えられてい
る。細菌性粘着性物質およびウイルス性赤血球凝集素
は、感染の初期段階でこれらの生物の上皮細胞表面への
接着を容易にする表面分子である。この過程に関与する
母乳タンパク質は、まだよく特性がわかっていない。Ho
lmgren,J.ら、1983, Infect.Immun.,33:459-463。しか
しながら、400,000より大きい分子量を有する糖タンパ
ク質は、呼吸融合ウイルス(respiratory syncytialvir
us)を得ることができることが記載されている。Laegre
id,A.ら、1986, ActaPaediatric. Scand.,75:696-70
1。そのようなタンパク質により提供される免疫保護お
よび抗感染機能に加えて、他のヒトの母乳タンパク質は
特殊な栄養のキャリアとして特別な役割を演じている。
【0010】同様に、A型肝炎ウイルスのさまざまな細
胞系への付着および感染を妨げる高分子量物質が、ヒト
の血清中に確認された。Zajac,A.ら、1991, J. of Gen.
Virol,72:1667-1675。この物質は、精製されておら
ず、さらなる性質も明らかにされていない。
【0011】Rosenbergら、J.Biol.Chem.(1991) 266:1
8731-18736は、結腸癌細胞由来のMac-2結合タンパク質
を記載し、そして一部分のN末端のタンパク質配列を報
告している。Linsleyら、Biochem.(1986) 25:2978-298
6は、似ているが同一ではないN末端のタンパク質配列
を有する肺癌タンパク質L3の特徴を明らかにした。いま
だにヒトMac-2レクチンに特異的である新規な糖タンパ
ク質の全アミノ酸配列は確認されておらず、およびその
ような配列をコードするcDNAのクローニングもされてい
ない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Mac-
2に結合する実質的に精製されたタンパク質の記載にあ
る。この「Mac-2結合タンパク質」は、1200kDを越える
見かけの固有分子量、約25Sの沈降値を持ち、そして約5
67アミノ酸残基を有するグリコシル化されたサブユニッ
トにより構成される。供給源とグリコシル化の程度に依
存して、タンパク質分解されないサブユニットのSDSゲ
ル電気泳動で示される見かけの分子量は、約85-97kDで
ある。
【0013】本発明の第二の目的は、サブユニットをコ
ードするDNA配列およびその配列でコードされるタンパ
ク質を発現させるためのベクターの記載にある。
【0014】本発明の第三の目的は、標的細胞の細胞表
面に病気を起こす薬剤が結合する結果起こる病気を治療
または予防するのに有用なレクチン結合タンパク質から
なる薬物の記載にある。
【0015】本発明の第四の目的は、生物学的液体中の
gp85-97タンパク質濃度を決定するための、好ましくは
抗体の性質を有する、医療診断用薬の記載にあり、この
情報は個人の病気に対する感受性を含む個人の健康状態
を予測し得る。好ましい用途は、小児が最大の健康上の
恩恵を受けるのに適切な量のgp85-97タンパク質を得て
いるかどうか決定するため、ヒトの母乳中のgp85-97タ
ンパク質濃度をモニターすることにある。
【0016】本発明の第五の目的は、gp85-97タンパク
質によって与えられる医療上の恩恵を必要とする小児に
与え得る、組換えまたは精製された天然のタンパク質が
補給された小児人工栄養からなる組成物にある。
【0017】本発明の第六の目的は、癌治療に有効は濃
度にその分子を投与することからなる癌、好ましくは乳
癌の治療方法を提供することにある。
【0018】本発明の第七の目的は、患者の感染病、好
ましくは鼻道または腸上皮にコロニーを形成する病原体
によって起こる感染病の治療方法にあり、この方法は治
療上有効な量のgp85-97タンパク質および薬学的に受容
し得るキャリヤーの投与治療を必要とする患者に、そう
した治療を施すことからなる。
【0019】本発明は、タンパク質分解によって約70
kDおよび27kDのフラグメントに分解し得る、約8
5−97kDの分子量を有する精製糖タンパク質であっ
て、該糖タンパク質が、成熟N末端アミノ酸配列(配列
番号:1)を有し、該70kDフラグメントがリンパ球
のPHA依存活性化を妨げる能力を有する、精製糖タン
パク質に関する。
【0020】本発明はまた、患者の感染病を治療または
予防するのに使用するための組成物であって、該組成物
は有効な量の精製された天然のgp85−97または組
換えgp85−97、および薬学的に許容可能なキャリ
ヤーを含む組成物であって、ここで該gp85−97
は、上記糖タンパク質である、組成物に関する。
【0021】本発明はさらに、2成分を含有する幼児摂
取用組成物であって、第1成分が、精製された天然のg
p85−97および組換えgp85−97からなる群か
ら選択され、そして第2成分が、母乳およびヒトの幼児
人工栄養からなる群から選択され、ここでこのgp85
−97は、上記糖タンパク質である、組成物に関する。
【0022】本発明は、以下の特性を有する精製糖タン
パク質複合体またはそのサブユニットに結合する抗体で
あって、該精製糖タンパク質複合体が: a)見かけの分子量が1200kD以上、およびスクロ
ース速度勾配沈降値が約25Sである特性; b)サブユニット構造であって、該サブユニットが、還
元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において、約
85−97kDであり、該サブユニットが、成熟N末端
アミノ酸配列(配列番号:1)を有する、特性;および c)リンパ球のPHA依存活性化を妨げる能力を有する
特性、を包含する、抗体に関する。
【0023】本発明はまた、癌を治療または予防するの
に使用するための組成物であって、有効な量のSK-BR-3
gp97に結合する抗体を含む、組成物に関する。
【0024】本発明のこれらおよび他の目的は、本発明
の以下の記載を読むと明らかとなる。
【0025】
【課題を解決するための手段】本明細書に記載された発
明は、先に発行された文献および係属中の特許出願と関
連する。例を通して、そのような文献は、科学論文、特
許、または係属中の特許出願からなる。以上または以下
に引用したこれら全ての発行物および出願は、本明細書
中では全部参考文献に取り入れる。
【0026】本明細書中では「gp85-97」は、以下に記
載するようにレクチン結合特性および生物学的活性を有
する構造的に相同な分子クラスを意味すると定義され
る。「構造的相同」とは、gp85-97遺伝子でコードさ
れ、そして細胞酵素でタンパク質分解的に処理されてリ
ーダー配列が除去されることにより「成熟」N末端を発
現する、実質的に同一のポリペプチド骨格を含有するタ
ンパク質を意味すると定義される。タンパク質のこの形
は、さらにタンパク質分解的にニックされ得るかまたは
ニックされ得ない、そしてそのアミノ酸側鎖および/ま
たはグリコシル化部位もまた、さまざまな程度に改変さ
れ得る。gp85-97の正確な化学的構造は多くの要因に依
存する。そのクラスの二つの構成部分は、SK-BR-3細胞
培養上清およびヒト母乳から単離され、それぞれ「gp9
7」および「gp85」と定義される。それらの本来の形で
は、「gp85-97」中に存在するサブユニットは、1200kD
越える見かけの分子量を有し、そして約25S±2Sのスク
ロース速度勾配沈降値を有する天然の「複合体」中に存
在すると理解され、gp85-97サブユニットを含有する複
合体の見かけの固有分子質量を実験上特定する。
【0027】「沈降値」は、実施例に記載の5−20%ス
クロース勾配において分析される既知の沈降値および分
子量の標準品の沈降挙動から、外挿されるgp85-97につ
いての値と定義される。天然のタンパク質の沈降値すな
わちS値は、一定の条件下では再現性があり、そしてタ
ンパク質および複合体の分子質量を見積るために用いら
れてきた。大きな複合体の分子質量の正確な決定は、困
難であることが知られ、溶液中の複合体密度およびその
形状に影響され得る。イオンになり得るアミノ基および
カルボキシル基が分子内に存在しているので、gp85-97
は、酸性塩、塩基性塩、または中性塩の形で得られ得
る。適切な環境条件下に置かれた場合、活性を保持する
ような全ての調製物は、本明細書中でのタンパク質の定
義に含まれる。さらに、タンパク質のアミノ酸一次配列
は、サッカリド、ポリエチレングリコール(PEG)、およ
びポリオキシエチレングリコール(POG)との結合だけで
なく、糖部分を用いた誘導体化(グリコシル化)または
脂質、リン酸塩、アセチル基などのような他の付加分子
によって増加し得る。そのような増加の一面は、生産ホ
ストの翻訳後処理系を介して成し遂げられる;他のその
ような改変はインビトロで導入され得る。いずれにせ
よ、そのような改変は、gp85-97の定義に包含される。
もちろん、そのような改変は、さまざまなアッセイにお
いてタンパク質の活性を高めるかまたは低下させること
によって、量的または質的にその活性に影響し得ること
が予想される。さらに、鎖の個々のアミノ酸残基は、酸
化、還元、または他の誘導体化によって改変され得、そ
してそのタンパク質は、開裂され得て活性を保持するフ
ラグメントが得られる。翻訳の間に配列に取り込まれた
アミノ酸の除去、付加、または置換による一次配列自身
への一定の改変は、タンパク質の活性を損なわずになさ
れ得る。活性を損なわないような置換は、定義からタン
パク質を排除せず、実質的に等価なアミノ酸配列を持っ
ていると考えられる。さらに、N末端およびC末端の除
去および融合は、既知の変異誘発法を用いて成され得
る。
【0028】天然のgp85-97は糖タンパク質であるこ
と、およびSDSポリアクリルアミド電気泳動法(SDS-PAG
E)での見かけの分子量を基に単に定義することは困難
であることを認識することは特に重要である。例えば、
以下に記載するように、その分子のグリコシダーゼ処理
は、SDS-PAGEで示されるように分子量の減少をもたら
す。したがって、さらに、異なる供給源から単離された
gp85-97は、いくぶん一定しないグリコシル化の結果、S
DS-PAGEで決定する場合、異なった分子量を示し得るこ
とが認識される。
【0029】本明細書中で用いられるように、「クロマ
トグラフィー」は、化合物の混合物を含有する溶液の、
吸着剤または、通常、グラジエント剤または他の連続的
溶出剤と共に溶出される他の支持物質への適用を含有す
ると定義される。支持マトリックスから溶出される物質
は、溶出物で指定される。連続的溶出は、カラム中の支
持マトリックスを単離し、そして、支持マトリックスに
対する親和性を変える溶出溶液を、マトリックスに、段
階的にまたは好ましくは勾配によって、通過させること
で最も慣例的に行われる。「クロマトグラフィー」の定
義に、フィルター中の支持マトリックスの位置決め、お
よび溶出剤をフィルターを通して、またはバッチ式に、
連続的投与することが包含されることが認識される。
【0030】「疎水性相互作用マトリックス」という句
は、ポリスチレン樹脂ビーズ、ゴム、シリカをコートし
たシリカゲル、または疎水的にするために疎水性基で十
分に置換された架橋アガロースのような疎水性固体であ
る吸着剤を意味すると定義される。例えば、フェニルま
たはオクチルアガロースのようなアルキル置換アガロー
スおよびアリール置換アガロースは、代表的な疎水性材
料である。疎水性相互作用クロマトグラフィーマトリッ
クス上でクロマトグラフィーを用いて分離される物質の
混合物は、一般に、高塩濃度溶液において最初にマトリ
ックスに吸着され、そして、続いて低塩濃度溶液、また
はピロールのような疎水性溶媒中で溶出によってマトリ
ックスから脱吸着される。
【0031】「陰イオン交換マトリックス」は、水溶液
中で帯電する固体またはゲル支持マトリックスを意味す
ると定義される。支持マトリックスは、水溶液中で正味
電荷を有するように十分にアミン官能基で置換されたア
ガロースであり得る。吸着される材料は、一般に、低塩
濃度溶液中で陰イオン交換マトリックスに結合され、そ
して一般に、陰イオン交換マトリックスに結合し、吸着
材料と置き換わる塩化物イオンのような陰イオンを含有
する高塩濃度溶出剤中で陰イオン交換マトリックスから
溶出される。
【0032】「高塩濃度条件」という句は、イオン物質
が高イオン強度条件を創出するために与えられる水溶液
を意味する。イオン強度は、当該技術分野で一般に理解
されているように定義され、活性定数により修正される
溶液中に存在するさまざまなイオンの推定濃度から計算
され得る。慣例的に使用される高塩濃度は、高濃度の硫
酸アンモニウムを含有する溶液で代表される;しかしな
がら、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウ
ム、硝酸ナトリウム、またはリン酸ナトリウムのような
他の塩もまた使用される。
【0033】「アフィニティークロマトグラフィー」の
定義は、Wilchekら、1984, Methodsin Enzymology, 10
4:3の定義と類似であると理解される。「アフィニティ
ークロマトグラフィー」は、「生物学的認識に基づいた
精製方法」と定義される。簡単には、その手順は、リガ
ンドを固体支持体にカップリングし、そしてリガンドと
結合するリガンド認識分子を含有する溶液とリガンドを
接触させることを含む。続いて、そのリガンド認識分子
は、リガンドから遊離され、そして純粋な形で単離され
る。Wilchekらが議論しているように、多様なリガンド
がアフィニティークロマトグラフィーに使用され得、そ
してこれらの例は、レクチン、抗体、レセプター結合タ
ンパク質およびアミノ酸を含むことが理解される。
【0034】「細胞」または「組換えホスト」または
「ホスト細胞」は、文脈から明らかであるように、交互
に交換して用いられる。これらの用語は、直接対象とな
る細胞および、もちろん、それらの子孫細胞を含む。全
ての子孫細胞が、偶発突然変異または環境の違いにより
親細胞と全く同一ではないことが理解される。しかしな
がら、上記用語を用いるときは、そのような変化した子
孫が含まれる。
【0035】以下は、本発明の抗体の特徴に関する。
【0036】本明細書で用いる「抗体」は、ポリクロー
ナル、モノクローナル、および組換え構築物を指して言
う。このように、この用語は、これらの抗原結合フラグ
メントはもちろん全ての免疫グロブリンを含む。
【0037】本発明は、以下にgp85-97を指して言うの
に十分に精製した分子のクラス、分子のクラスの構成物
をコードするDNA配列、および材料の記載、およびそれ
らを同定し単離する方法を提供する。さらに、DNA配列
を発現させるためのベクターもまた示す。gp85-97の構
成物、あるいはそれに起源する活性フラグメントは、い
ろいろな病気の治療または予防の薬剤として有用であ
る。
【0038】本gp85-97DNA配列の同定および単離は、gp
97から得られたタンパク質配列によって予想されたDNA
配列に実質的に相同であるDNAオリゴヌクレオチドプロ
ーブの設計によって可能となった。そのようなプローブ
は、gp97の部分アミノ酸配列の知識を基にして生み出さ
れたので、本発明の議論の順序は以下である:gp85-97
のアッセイ方法;gp97の精製;gp97の部分アミノ酸配
列;gp85-97をコードする遺伝子の新規なgp97プローブ
を用いたクローニング;そして、サブクローニングを一
緒に行う、cDNAライブラリー中のgp97DNA配列の同定;
およびその配列の発現。
【0039】I.gp85-97活性に対するアッセイ gp85-97の特性の一つは、植物凝集素(PHA)に刺激され
た胸腺細胞の有糸分裂促進反応を阻害する能力である。
ConAのような、特定の他の有糸分裂促進レクチンは、測
定し得るほどにgp85-97によって阻害されず、PHAに対す
る大きな特異性を示唆している。PHAは見かけ上多数の
リンパ球細胞群で、DNA合成を刺激するが(リンパ球の
小細胞群の有糸分裂促進反応を引き起こす真の抗原刺激
とは似ていない)、被験体のリンパ球のPHA刺激への感
受性は、患者の全体的な免疫応答性と相互に関係するこ
とが示された。このように、このアッセイは免疫応答性
の研究に広く用いられる。
【0040】植物凝集素増殖アッセイ(PHA/PBL)を実
行する手順は、当業者に周知である。簡単に言えば、そ
れは、単離されたヒトリンパ球および適切な量のPHAを
含む適当な生理学的溶液中で、適切な数の細胞をインキ
ュベートすることからなる。トリチウム化されたチミジ
ンが48時間後に加えられ、そして細胞を洗浄して計数す
る前に、24時間インキュベートする。PHAとのインキュ
ベーションに先だつさまざまのgp85-97希釈物の添加は
刺激を阻害し、放射性のチミジンのDNAへの取り込みが
減少するので、アッセイされる溶液中のgp85-97の相対
濃度の評価ができる。
【0041】第二のアッセイ(PHA/IL-1)は、gp85-97
が、PHAとIL-1の存在下で刺激されてIL-2を生産する細
胞系からのIL-2産生を阻害する能力を基づいてgp85-97
活性を測定することからなる。多様な細胞系が、この性
質を持っていることが知られており、好ましい細胞系
は、LBRMと呼ばれるムリンT細胞系である。IL-2は、い
くつかのアッセイによって測定され得、好ましいアッセ
イは18-24時間期後に見いだされる生存能力のあるHT-2
細胞の計数である。HT-2細胞系は、IL-2がないと死ぬIL
-2依存性マウスヘルパーTリンパ細胞系である。そのア
ッセイは、Gillisら1978, J. of Immuol.,120:2027に
よって記載されている。簡単に言えば、IL-2に反応して
のHT-2細胞の増殖は、[3H]チミジン([3H]TdR)取
り込みマイクロアッセイによって測定される。HT-2細胞
を、洗浄し、そして10%FBSを含有するRPMI 1640培養液
に2x105/ml濃度で再懸濁する。等量の細胞および一連の
組換えIL-2を含有する希釈物を、96-ウエルのマイクロ
タイタープレート(Falcon/Becton-Dickinson Labware,
Oxnard, CA U.S.A)に入れる。24時間後、インキュベ
ートした培養物を、1μCi[3H]TdR(特異的活性,70C
i/mmol;New England Nuclear, Boston, MA, U.S.A)で
5時間パルスし、ワットマンGF/Cフィルター(Whatman
Laboratory Products,Inc.,Clifton, NJ, U.S.A)上に
採取し、そして液体シンチレーションカウンターで放射
能を測定した。未知試料のIL-2活性は、国際単位にダイ
アルを合わせ、組換えヒトIL-2標準品と比較して測定し
た。
【0042】gp85-97を測定するための他の方法は、天
然または変性のgp85-97が、125I標識PHAに、125I標識
抗gp85-97抗体に、またはECLキット(Amersham)を用い
てHRP結合ヤギ抗−ウサギ抗体により発生する蛍光によ
って検出される抗gp85-97抗体に結合する能力に基づい
た。およそのgp85-97の濃度は、SDS-PAGEブッロットの
オートラジオグラムまたは上記リガンドでプローブされ
た非変性ドットブッロットアッセイから測定した。
【0043】II.gp85-97の供給源 多様な生物学的材料は、gp85-97の供給源として役に立
つ。確立された細胞系は、利用し得、そして実際にそれ
らはたやすく取り扱われ、そしてスケールアップされ得
るので好ましい供給源である。いくつかの細胞系につい
ては、gp85-97が分泌され、それゆえ培地中に大量に存
在している。このように培地はこの分子の主要な供給源
で有り得る。例えば、gp97は、SK-BR-3細胞培養液から
好ましく単離される。gp85-97の付加的な構成物は、他
の生物学的供給源から単離され得る;例えば、ヒトの母
乳はgp85の供給源である。抗gp85-97Abと反応するPHA結
合タンパク質は、また、A375ヒトメラノーマ細胞系由来
の上清中に検出された。
【0044】III.gp85-97の精製 gp85-97の好ましい精製法は、沈降速度勾配およびサイ
ズ排除HPLCのようなクロマトグラフィーおよび分子質量
に基づいた分離のさまざまな用途を含む。電荷の違いに
基づいた分子構造の分離に効果があり、そして本発明に
使用し得るクロマトグラフィーの一例は、陰イオン交換
クロマトグラフィーである。多様な陰イオン交換クロマ
トグラフィー材料が使用し得るとはいえ、Pharmacia LK
B Biotechnology,Inc.から入手し得るDEAE-セファロー
スが好ましい。
【0045】陰イオン交換体からタンパク質を溶出する
方法は、一般に文献に詳細に記載されている。例えば、
gp85-97は適切に緩衝化された塩グラジエントを用いてD
EAEから溶出され得る。塩の性質およびグラジエントの
傾斜は経験的に決められ得る。効果的な塩グラジエント
の典型例は、約0から0.8モル変化する塩化ナトリウム
である。
【0046】第二のクロマトグラフィー技法は、特に本
発明で好ましく、疎水性相互作用クロマトグラフィーの
形である。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
は、フェニルTSK HPLCカラムビーズのように固体表面に
付着したアルキル基へ結合することによって、一般にタ
ンパク質の疎水的性質に基づいて、そのタンパク質の分
離に影響を及ぼすクロマトグラフィーと定義される。タ
ンパク質は、適切な溶媒で固体表面から別々に溶出され
得る。HICは、一般に初めのクロマトグラフィーの段階
(複数)に続いて使用され、そしてgp85-97および汚染
タンパク質のサブセットを高塩濃度で疎水性マトリック
スに結合させることによってgp85-97をさらに精製す
る。汚染タンパク質およびgp85-97は、そこから塩濃度
の低下によって溶出し得る。疎水性クロマトグラフィー
を利用するための材料および方法は、Shaltiel S.,198
4, Methods in Enzymology, 104:69により記載され
る。gp85-97の精製に使用し得る多くの疎水性クロマト
グラフィー材料および固体支持体があることは明らかで
はあるが、本発明者らはフェニルTSKが好ましいことを
見いだした。だが、フェニルセファロースもまた効果的
である。
【0047】別のクロマトグラフィー手法、高性能液体
クロマトグラフィーまたはHPLC、はgp85-97の精製度を
高めるのに適用し得る。HPLCは、gp85-97の精製に適用
されるHPLCの好ましいバージョンが、疎水性クロマトグ
ラフィー材料を使用する上記の第三の手法に関係する。
この方法は、少なくとも一観点で上記の疎水性クロマト
グラフィー段階とは異なる。クロマトグラフィーは、適
切な塩濃度下、高圧下で起こる。使用され得る材料のタ
イプおよび方法は、Regnier,F.,1983, Methods in Enzy
mology, 91:137によって記載される。本発明で好まし
く使用されるのは、フェニル残基を有するクロマトグラ
フィー材料である。さらに好ましくは、BioRad Corpora
tionから入手可能であり、フェニルTSKという名で販売
されている調製用および分析用HPLCに用いるクロマトグ
ラフィー材料である。
【0048】上記のクロマトグラフィー技術に加えて、
使用されるクロマトグラフィー材料から予め決められた
サイズの構造体を排除するのに効果的である一方、その
クロマトグラフィー材料がより小さなサイズの構造物を
保持するサイズ排除クロマトグラフィーもまた本発明中
で使用され得ることが明らかになる。排除カラムを構築
するのに用いられるクロマトグラフィー材料は、広く利
用でき、そして多くの商品名で販売されている。一例と
してPharmacia LKB Biotechnology,Inc.で売られている
種々のセファクリルがある。適切なクロマトグラフィー
材料を使用することで、gp85-97は他のタンパク質から
分離され得る。高純度でgp85-97を得るため、サイズ排
除クロマトグラフィーおよび/または速度勾配遠心分離
が、イオン交換および上記の疎水性クロマトグラフィー
と併用され得る。スクロース速度勾配精製が好ましい
が、グリセロールのような他のグラジエントもまた使用
され得る。
【0049】選ばれた精製方法にかかわらず、そしてgp
85-97が精製された形態である生物学的材料の性質に依
存して、さまざまな精製溶液に1つかそれ以上のプロテ
アーゼ阻害剤、例えば、EDTA、PMSF、およびロイペプチ
ンなどが存在することが望ましい。さらに、当該技術分
野で知られているように、ある精製段階は、gp85-97タ
ンパク質分解のリスクを減少させる温度で行われ得る。
【0050】ウエスタンブロッティングまたはPHAアフ
ィニティーブロッティングは、gp85-97を含有する調製
物を、還元または非還元条件下(Laemmli,U.,1970, Nat
ure, 227:680-685)でドデシル硫酸ナトリウムポリア
クリルアミドゲル電気泳動にかけ、そしてゲルをgp85-9
7への抗体、Burnette, 1981, Anal.Bio.Chem.,112:195
によって一般に記載される標識されたPHA、またはBurne
tte法の改変方法でブロッティングおよびプローブする
ことにより、gp85-97の精製をモニターすることに用い
られ得る。本来のgp85-97は、また、未変性タンパク質
のドットブロティングおよび抗体または標識されたPHA
をもちいてプローブすることにより検出され得る。
【0051】IV.gp85-97のクローニング A.一般的方法; 1)ポリメラーゼ連鎖反応を用いたクローニング 特定の核酸配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、そし
て非相補末端上に制限部位を含有する配列を増幅するプ
ライマーを持ちいてベクターにクローニングされる。PC
Rは、1987年7月28日発行の米国特許第4,683,195号、198
7年7月28日発行の米国特許第4,683,202号、および1989
年1月24日発行の米国特許第4,800,159号に記載され
る。一般に、PCRによるDNA配列の合成/増幅は、特定の
DNA配列を指数的量で生産する酵素的連鎖反応を包含す
る。この場合、配列末端が、それにハイブリダイズする
オリゴヌクレオチドプライマーが合成され得るように十
分詳細に知られており、そして配列の一部分が連鎖反応
を開始するのに利用され得るという条件が必要である。
プライマーは、変性DNAにアニールされ、続いて、DNAポ
リメラーゼIの大きなフラグメント(クレノー)、また
は好ましくは界面活性剤およびヌクレオチドの存在下で
安定なDNAポリメラーゼのような、適切なDNAポリメラー
ゼ酵素を持いて伸長され、その結果標的配列を含有する
新たに合成された+鎖および−鎖が生じる。代わりに、
耐熱性菌中に存在する熱安定酵素が用いられ得る。その
酵素は、1989年12月26日発行の米国特許第4,889,818号
に記載のDNA組換え技術を用いて生産され得る。PCR合成
反応で新たに合成された配列は、また、プライマーのテ
ンプレートになるので、変性、プライマーアニーリング
および伸長のサイクルの繰返しの結果、プライマーの隣
接する領域の指数的蓄積が生じる。このように、PCR
は、使用した特定のプライマーの末端に対応する末端を
有するcDNA挿入物の離散的な核酸2本鎖を産生する。
【0052】また、本明細書中では全体が参考文献とし
て援用される1987年9月9日に公開された欧州公開特許第
236,069号に記載のサーマルサイクル装置(Thermal Cyc
lerinstrument)(Perkin-Elmer Cetus Instruments)
も有用である。
【0053】gp85-97をコードするプラスミドDNAまたは
そのフラグメントをPCR用のテンプレートとしての使用
に代わるものは、米国特許第4,800,159号に記載されて
いるPCR用のテンプレートとしてこれら分子を生産する
あらゆる細胞由来のRNAを使用することである。RNAが出
発材料として利用できるならば、1つのプライマーから
合成された伸長産物は、その相補物から分離されると、
他のプライマー伸長産物の合成のテンプレートとして働
き得る。前記のそれぞれのプライマーは、その5’端の
近くに他のプライマー上の制限部位と同一または異なる
制限部位を含有する。十分な増幅が起こった後、増幅産
物は、適切な制限酵素(複数)で処理されて、制限切断
物中に開裂産物が得られる。次に、クローニングするこ
とが所望されるフラグメントは、単離され、適切なクロ
ーニングベクター中に連結される。
【0054】PCRは多様な反応条件を用いて遂行され得
るが、上記の参考文献に記載されるように、好ましい反
応条件は次の通りである。特定のプローブにハイブダイ
ズするプラークは、0.5mlの水または好適に緩衝化され
た溶液に溶出され、そして50μlの溶出液が、10μlの10
×PCR緩衝液、1.5μlの10mM dNTP、それぞれ約20pmol濃
度の1μlの1次および2次プライマー、活性1単位に
等しい0.2μlのTaqポリメラーゼと一緒にされる。最終
容積は100μlである。PCR 10×緩衝液は、500mMのKCl、
200mMのTris-HCl,pH8.4、25mMのMgCl2、および1mg/ml
からなる。
【0055】所望のgp85-97をコードする配列を含有す
る好適なベクターの構築は、標準的な連結反応および当
該技術分野で周知の制限技術を使用する。単離されたベ
クター、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドは、
開裂され、改変され、そして所望の形に再連結される。
いくつかのこれら方法の簡単な記載を、本明細書中にあ
げる。一般的なクローニングおよび分子生物学的技術
が、Maniatis,T.ら、1989, Molecular Cloning, Cold S
pring Harbor Lab.,Cold Spring Habor,N.Y.、第1巻お
よび第2巻)により記載される。
【0056】部位特異的DNA開裂は、そして、その詳細
がこれらの市販の制限酵素の製造者によって特定される
当該技術分野で一般に理解される条件下で、適切な制限
酵素(複数)を用いて、そのDNAを処理することで行
う。例えば、New England Biolabsの製品カタログを参
照のこと。一般的に、約1μgのプラスミド、またはDNA
配列は、約20μlの緩衝液中で酵素1単位により切断さ
れる。本明細書中の実施例においては、典型的には過剰
な制限酵素が、DNA基質の完全な消化を確実にするため
に用いられる。条件の変動は容認し得るが、インキュベ
ーション時間は約37℃で約1〜2時間でよい。各インキ
ュベーション後、タンパク質はフェノール/クロロホル
ムを用いる抽出により取り除かれ、引続きエーテル抽出
され得る。そして核酸は、エタノール沈澱により水層画
分から回収し、続いて、Sephadex G-50スピンカラムを
用いたクロマトグラフィーに供した。所望されれば開裂
フラグメントの、サイズ分離は、標準的な技法を用い
て、ポリアクリルアミドゲル、またはアガロースゲル電
気泳動によって実施され得る。サイズ分離の一般的記載
は、Methods in Enzymology, 65:499-560(1980)中に見
られる。
【0057】制限フラグメントは、4つのデオキシヌク
レオチド3リン酸(dNTP)存在下で、50mMのトリスpH7.
6、50mMのNaCl、6mMのMgCl2、6mMのDTT、および10mM
のdNTP中で20〜25℃、インキュベーション時間約15〜25
分で、E.coliのDNAポリメラーゼIの大きなフラグメン
ト、つまりクレノーフラグメントで処理することによっ
て、平滑末端化し得る。クレノーで処理した後、混合物
はフェノール/クロロホルムで抽出され、そして、エタ
ノール沈澱される。適当な条件下でのS1ヌクレアーゼ
処理は、一本鎖部分の加水分解に用いられ得る。
【0058】連結反応は、以下の標準的条件および温度
下の15〜30μl容量中で一般的に行なう:20mMのTris-Cl
pH7.5、10mMのMgCl2、10mMのDTT、33μg/mlのBSA、10m
M〜50mMのNaCl、および「付着末端」連結反応について
は、0℃で、1〜40μMのATP、0.01〜0.02(Weiss)単位
のT4 DNAリガーゼ、または「平滑末端」連結反応につい
ては、1mM ATPおよび0.3〜0.6(Weiss)単位のT4リガー
ゼを14℃で用いた。分子間「付着末端」連結反応は、通
常33〜100μg/mlの総DNA濃度で行なう。平滑末端連結反
応では、該末端の総DNA濃度は、約1μMである。
【0059】「ベクターフラグメント」を用いるベクタ
ー構築では、5’リン酸基の除去およびベクターの再連
結反応を防ぐために、ベクターフラグメントを、一般に
バクテリア由来アルカリ性ホスファターゼ(BAP)で処理
する。BAP消化は、pH8で約150mMのトリス中、Na+および
Mg2+の存在下、ベクター1μgあたり約1単位のBAPを用
いて、60℃で約1時間反応させて行う。核酸フラグメン
トは、上記調製物をフェノール/クロロホルムで抽出
し、続いてエタノール沈澱により回収する。あるいは、
不要なフラグメントの追加の制限酵素消化により、2重
に切断されたベクター中で、再連結が防止され得る。
【0060】以下に示す構築では、最初に適切なE.coli
株を連結反応混合物で形質転換することによって正しい
連結反応が確認される。成功した形質転換体は、アンピ
シリン、テトラサイクリン、または他の抗生物質に対す
る耐性、あるいは当該技術分野で理解されているプラス
ミド構築様式に依存する他のマーカーの使用により選別
される。少量調製(Miniprep)DNAは、D.Ish-Howowicz
ら、1981, Nucleic Acids Res., 9:2989の方法によっ
て上記形質転換体から調製され得、そして、制限(restr
iction)によって分析され得、および/または、F.Sange
rら、1977, PNAS(USA), 74:5463、さらにMessingら、19
81, Nucleic Acids Res., 9:309により記載されるジデ
オキシ法、またはMaxamら、1980, Methods in Enzymolo
gy, 65:499の方法により配列決定され得る。
【0061】E.coliのK12株DG98のようなファージに感
染しやすいE.coli株からなるM13へのクローニングに使
用されるホスト株が用いられる。このDG98株は、1984年
7月13日にATCCに寄託され、その受託番号は1965であ
る。
【0062】形質転換は、選択されたホスト細胞に適切
な標準技術を用いて行われる。S.N.Cohen, 1972, PNAS
(USA), 69:2110により記載された塩化物を用いたカル
シウム処理、またはManiatisら、1982, Molecular Clon
ing:A Laboratory Manual Co1d Spring Harbor Press,
254頁に記載のRbCl2法を、原核生物に用い得る。例え
ばSf9細胞のような昆虫細胞のトランスフェクション
は、リン酸カルシウム沈澱技術(Graham,F.L.ら、1973,
Virology, 52:456)の、昆虫細胞に適合(J,P.Burand
ら、1980, Virology, 101;E.B.Casstensら、1980, Vir
ology, 101:311)する修正法を用いることで成し遂げ
られ得る。
【0063】B.オリゴヌクレオチド合成:合成オリゴ
ヌクレオチドは、Matteucciら、1981, J. Am Chem. So
c., 103:3185のトリエステル法または市販の自動オリ
ゴヌクレオチド合成機を用いて調製され得る。アニーリ
ングする前の、または標識化のための一本鎖のリン酸化
を、50mM Tris、pH7.6、10mM MgCl2、5mMジチオスレイ
トール、1〜2mM ATP、1.7pmolλ32P-ATP(2.9mCi/mmo
l)、0.1mMスペルミジン、0.1mM EDTAの存在下で、0.1n
molの基質に対して過剰の(例えば、約10単位の)ポリ
ヌクレオチドキナーゼを用いて行う。
【0064】以下に記載した部分N-末端および内部のgp
85-97アミノ酸配列、およびそれに加えて既知のコドン
縮重を用いて、以下に記載のように、DNAオリゴヌクレ
オチドを合成し、gp85-97をコードする配列に対するcDN
Aライブラリーをプローブするためのプローブとして、
またはPCR反応を行うためのプライマーとして用いた。
【0065】C.gp85-97 DNA配列の同定および単離:g
p85-97のDNA配列を同定するのに適切であり得る手順と
しては、いくつかの手順が利用可能である。1つの手順
は、上記のように同定および合成したオリゴヌクレオチ
ドプローブを用いて、cDNAライブラリーをスクリーニン
グすることである。cDNAライブラリーは、当該分野にお
いて周知の技法を用いて構築され得るか、または市販の
ものが用いられ得る。
【0066】gp85-97配列を含むcDNAライブラリーを作
製する例示的な手順は、適切な開始材料から得た全細胞
質RNAを単離する工程とさらにそれからメッセンジャーR
NAを単離する工程とからなり得る。後者のメッセンジャ
ーRNAは、さらにポリ(A+)メッセンジャーRNAに分画さ
れ得、これは、順にgp85-97メッセンジャーRNAを含むポ
リ(A+)メッセンジャーRNA画分にさらに分画される。次
いで、目的とするgp85-97メッセンジャーRNAを逆転写
し、適切なベクター中にクローニングしてcDNAライブラ
リーを作製し得る。
【0067】さらに詳細には、開始材料(すなわち、組
織、細胞)をリン酸緩衝生理食塩水で、そして非イオン
性デタージェント(例えば、エチレンオキシドのポリマ
ー)で洗浄する。例えば、NP-40を、細胞膜を溶解する
量で、好ましくは通常約0.3%で、加える。次いで、1,0
00×gで10分間の遠心分離にかけて核を取り除き得る。
核を取り除いた後の上清を、等量のTE(10mM Tris、1m
Mエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、pH7.5)で飽和し
た、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および10mM EDT
Aを含有するフェノール/クロロホルム(1:1)に加え
る。この上清を4回再抽出し、2,000×gで120分間の遠
心分離により水層を分離する。試料を0.25M NaClに調整
し、2倍量の100%エタノールを加え、-20℃で貯蔵する
ことにより、RNAを沈澱させる。次いで、このRNAを5,00
0×gで30分間でペレット化し、70%および100%のエタ
ノールで洗浄し、乾燥する。これにより、全細胞質RNA
が得られる。ポリアデニル化(ポリA+)メッセンジャ
ーRNA(mRNA)は、オリゴ(dT)セルロースでのクロマトグ
ラフィーにより、全細胞質RNAから得られ得る(J.Aviv
ら、1972, PNAS, 69:1408-1412)。RNAは、2mg/mlの濃
度でETS(10mM Tris、1mM EDTA、0.5%SDS、pH7.5)に
溶解する。この溶液を65℃に5分間加熱し、次いで4℃
に急冷する。RNA溶液を室温に戻した後、この溶液を0.4
M NaClに調整し、結合緩衝液(500mM NaCl、10mM Tri
s、1mM EDTA、pH7.5)で予め平衡化したオリゴ(dT)セ
ルロースカラム中にゆっくりと通す。流した溶液をさら
に2回カラムに通し、そしてカラムを10倍量の結合緩衝
液で洗浄する。ポリ(A+)mRNAを、ETSのアリコートで溶
出し、TE飽和フェノールクロロホルムで1回抽出し、Na
Clを0.2Mに調整して2倍量の100%エタノールを加える
ことにより沈澱させる。このRNAを2回再沈澱し、乾燥
前に70%エタノールで1回、次いで100%エタノールで
洗浄する。次いで、ポリ(A+)mRNAを用いて、cDNAライ
ブラリーを作製し得る。
【0068】cDNAは、Okayama,H.,ら、1983, Mol. Cell
Biol., 3:280の方法(本明細書中に参考として援用さ
れている)を用いて、ポリAテイルのオリゴ(dT)プライ
ミングおよびAMV逆転写酵素を用い、mRNAが富化された
画分から作製され得る。
【0069】cDNAライブラリーを調製する他の方法もま
た、もちろん当該分野において周知である。1つの方法
は、オリゴ(dT)プライマー、逆転写酵素、ポリ(dG)での
二本鎖cDNAの末尾付加(テーリング)、およびpBR322ま
たはそれらの誘導体のような適切なベクターへのアニー
リングを用い、この方法により、所望の制限部位で切断
され、ポリ(dC)で末尾付加される。この代替となる方法
の詳細な記載は、例えば、欧州特許第109,748号に見い
だされる。この特許は、1983年4月13日に公開され、同
一譲渡人に譲渡されており、本明細書中に参考として援
用されている。実際、この方法は好ましく、ベクターpC
DL-SRα296を用いてTHP-1細胞系からcDNAライブラリー
を作製するのに用い、gp85-97のDNA配列を同定し、単離
した。
【0070】好ましいcDNAライブラリーは、上記の方法
により、ヒト単球性白血病細胞系のTHP-1(Res. Inst.
for Tuberculosis and Cancer, Tohoku Univ. JapanのD
r.Tsuchiga)からのmRNAを用いて作製される。
【0071】最も好ましくは、メゼリン(mezerin)処理T
HP-1細胞から単離したmRNA、およびベクターpCDL SRα-
296を用いてcDNAライブラリーを構築することである。p
CDLSRα-296は、DNAX Corporationから入手し得、Takeb
eら、1988, Molecular and Cellular Biology, 8(1):4
66により;および米国特許第4,695,542号中に記載され
ている。
【0072】最後に、上述のように、cDNAライブラリー
は市販されており、所望のgp85-97DNA配列を同定し単離
するために、これを購入して用い得る。特に有用なライ
ブラリーは、Clontechにより販売されている(カタログ
番号#L H1008)。これは、全ポリ(A+)メッセンジャーR
NAから作製されたλgt11ヒト胎盤cDNAライブラリーであ
る。
【0073】V.gp85-97に対する抗体 gp85-97に対するポリクローナル、モノクローナル、ま
たは組換え抗体は、種々の技法を用いて生成され得る。
非ヒト抗体でも十分に働くが、抗体は、好ましくは、ヒ
トまたはヒト形化したものである。高力価中和ポリクロ
ーナル抗体の調製は、種々の種を免疫感作し、いくつか
の異なる免疫感作レジメのうち1つを用いることにより
行われ得る。本発明の好ましい方法は、完全フロイント
アジュバント中で調製したgp85-97で、ウサギを免疫感
作することである。85〜97kDの分子および/またはそれ
らに由来するフラグメントを含む天然複合体が、免疫原
として利用され得る。動物には、続いて複数回の不完全
フロイントアジュバントでのブースト(目的とする分子
の元の量の約半分を含む)を、約21日の期間をあけて行
う。それぞれの約21日期間から約10日後に、20〜30mlの
血液を採り、血清を単離し、そこから抗体を単離する。
この手順は、数カ月間行われ得る。
【0074】モノクローナル抗体は、天然gp85-97複合
体、そのサブユニット、またはそれら由来のフラグメン
トを免疫原として用いて産生され得る。その手順は、Ko
hler, G.およびMilstein,C., 1975, Nature, 256:495
により記載の手順、または当該分野において周知である
それらの改変法が用いられ得る。
【0075】上記のKohlerおよびMilsteinの研究は、マ
ウスリンパ球と薬剤選択性プラズマ細胞腫とを融合して
ハイブリドーマを生成することに関わる。適切なプラズ
マ細胞腫は、Sp 2/0-Ag14であり、当業者に広く用いら
れている。KohlerおよびMilsteinの研究以後、ハイブリ
ドーマ技法は、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイ
ブリッド細胞系を生成するために用いられている。最近
では、Abrams, P, 1986, Methods in Enzymology, 12
1:107に記載の手法が一般的に用いられるが、他の改変
法は、当業者に周知である。
【0076】産生される抗体がマウスまたはヒト抗体で
あるかどうかに関わらず、抗体分泌細胞を融合パートナ
ーと組合せ、その細胞を適切な融合剤、好ましくはポリ
エチレングリコール、より好ましくはポリエチレングリ
コール1000で融合する。この融合剤を、抗体分泌細胞を
含む細胞ペレットおよび融合パートナーに、短時間穏や
かに撹拌しながら少量加える。融合剤を加えた後、細胞
混合物を洗浄して融合剤および細胞デブリを除去し、そ
して融合細胞および非融合細胞からなる細胞混合物を選
択増殖培地を含む適切な細胞培養チャンバーに播種す
る。数週間後、ハイブリッド細胞が見られ、目的とする
抗体産生に対してスクリーニングし、サブクローニング
して、安定なハイブリッド細胞系を確実に得られるよう
にし得る。細胞はまた、当該分野において周知である電
気融合法を用いても融合され得る。
【0077】好ましい抗体は、gp85-97材料により感作
されたリンパ球から調製され得るヒトモノクローナル抗
体である。この抗体の調製は、上記の細胞融合法を用い
て、インビボまたはインビトロのいずれかで、抗体産生
ハイブリッド細胞系を不朽化し、それにより所望の抗体
の永久源を得ることにより行われる。あるいは、感作リ
ンパ球は、2つの技法、ウイルス形質転換および細胞融
合、の組合せにより不朽化され得る。好ましい組合せ
は、エプスタイン・バールウイルスでの抗体産生細胞の
形質転換と、次いで行われる適切な融合パートナーへの
形質転換細胞の融合とからなる。このような融合パート
ナーは当該分野において周知であり、例えば、融合パー
トナーは、マウス骨髄腫細胞系、異種骨髄腫系(heterom
yeloma line)、またはヒト骨髄腫系、または他の不朽化
細胞系であり得る。PCT特許出願第81/00957号;Schlom
ら、1980, PNAS USA, 77:6841;Croceら、1980, Natur
e, 288:488。好ましい融合パートナーは、マウス−ヒ
ト異種ハイブリッドであり、より好ましくは、F3B6と称
される細胞系である。この細胞系は、American Type Cu
lture Collection、受託番号HB8785として寄託されてい
る。これは1985年4月18日に寄託された。F3B6を作製す
る手順は、欧州特許出願、公開番号第174,204号に記載
されている。エプスタイン・バールウイルス形質転換の
使用および不朽化抗体分泌細胞系の産生に適した技法
は、Roder,J.ら、1986, Methods in Enzymology, 121
140に示されている。
【0078】上述のように、本発明の好ましい実施態様
は、gp85-97モノクローナル抗体を不活性化することで
あるが、このような抗体は改変されて生物学的活性を維
持し得ることが、当業者に明らかである。従って、本発
明の範囲内には、例えばF(ab')2、Fab、Fvなどのような
種々のサイズのフラグメントに還元(reduction)するこ
とにより改変された抗体が含まれる。また、抗体を産生
するハイブリッド細胞系は、所望の抗体をコードするDN
Aの供給源であるとみなされ、これらは、遺伝的に工作
された抗体を産生するために、既知の遺伝子技術により
単離されて細胞に転移され得る。後者の例は、本明細書
中に記載のハイブリドーマの抗体結合部位を有する一本
鎖抗体を産生することである。一本鎖抗体は、米国特許
第4,704,692号に記載されている。
【0079】遺伝子的に工作された抗体の2番目の例
は、組換え抗体、またはキメラ抗体である。組換え抗体
を産生する方法は、Cabillyらによる米国特許第4,816,5
67号;1984年8月15日に出願された日本特許出願番号第
84-169370号;1984年9月3日に出願された英国特許出
願8422238;1985年10月28日に出願された日本特許出願
第85-239543号に示されている。また、1986年3月27日
に出願された英国特許出願第867679号には、軽鎖または
重鎖の可変ドメインの相補的決定領域(CDRs)の少なくと
も一部分が、異なる特異性の抗体由来のCDRの相似部分
により置換されている改変抗体を産生する方法が記載さ
れている。その明細書中に記載されている手順を用いる
ことにより、ある種において、置換されたCDR領域を有
する別の種に由来の抗体に融合したCDR領域を有するよ
うな組換え抗体を構築することが可能である。
【0080】出願人が彼らの発明であると考えているこ
とを記載しており、ヒト乳およびSK-BR-3細胞からそれ
ぞれ単離されたgp85およびgp97に関連する以下の実施例
は、本発明を説明するものであり、本発明の範囲を限定
するように構築されるものではない。例えば、起源、種
類、または方法における変更は、本発明の範囲から逸脱
することなく用いられ得る。
【0081】
【実施例】
(実施例1)SK-BR-3 gp97のアッセイ/精製/特性付け I.gp85-97に対するアッセイ A.増殖アッセイ gp85-97の活性を、2つのPHA-刺激細胞アッセイのうち
1つを用いて測定した。ヒト末梢血単核細胞を、Ficoll
-Hypaque(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.)を用い
る密度遠心分離により、新鮮なヘパリン処理血液から単
離した。単核細胞を、界面から単離し、1%L-グルタミ
ン、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン
(100μg/ml)を補足したRoswell Park Memorial Insti
tute 1640(RPMI 1640)培地で3回洗浄し、そして得ら
れた細胞を、アッセイの実施に用いられる培地に再懸濁
した。
【0082】この単核細胞を、以下を含むアッセイ混合
物中に、細胞0.67×106個/mlの濃度で再懸濁した:25mM
へペス、10%熱不活性化ウシ胎児血清、1%L-グルタミ
ン、および2%ペニシリン(200単位/ml)およびストレ
プトマイシン(200μg/ml)を含むRPMI 1640。
【0083】次に、PHA(0.25μg/ml)を含む単核細胞
懸濁液150μlを、96ウェルのU底の組織培養プレート(C
oster)のウェル中に加えた。この懸濁液は、細胞を1×
105個/ウェル含んでいた。この混合物を、gp85-97活性
をアッセイする試料50μl、またはコントロール緩衝液5
0μlのいずれかを含むウェルに加えた。
【0084】この96ウェルプレートを、37℃で3日間組
織培養インキュベーター中でインキュベートした。アッ
セイを完了する18時間前に、細胞培養物を0.5uCi/ウェ
ルの3H-チミジン(2Ci/mmol)で標識した。18時間の放
射線標識の後、96ウェルプレートからの細胞を、自動細
胞採集機(automated cell harvester)(Skarton, In
c., Sterling, Virginia)で採集し、液体シンチレーシ
ョン計数を行った。LKBβプレートシンチレーションカ
ウンター(Pharmacia LKB Biotechnology, Inc.)を用
い、DNAへの3H-チミジンの取り込みを測定した。図に示
したデータは、コントロール緩衝液を含む培地で処理し
たコントロール細胞と比較した、増殖の阻害パーセント
として表している。
【0085】上記の増殖アッセイに加えて、gp85-97活
性を、その分子の、LBRM-33細胞からのIL-2の産生を阻
害する能力を測定することによりアッセイした。PHAお
よびIL-1の存在下で、この細胞系がIL-2を分泌するの
で、増殖のために、IL-2を必要とするHT-2細胞でアッセ
イされ得る。
【0086】このアッセイは、96ウェル組織培養プレー
ト(Falcon Corp., 3072)で行った。gp85-97に対して
試験しようとするクロマトグラフィー画分をPBS中で透
析し、10%ウシ胎児血清および5×10-5M β-メルカプ
トエタノールを補足したRPMI 1640からなるアッセイ培
地に希釈した。最終容量は、50μl/ウェルであった。ア
ッセイの前に、プレートを紫外線照射により滅菌した。
次に、LBRM-33細胞を上記のアッセイ培地にml当たり5
×105個に希釈し、そしてPHA-L(Sigma L-4144)を最終
濃度が2.5μg/mlになるように加えた。100μl/ウェルの
LBRM-33細胞を試料に加え、gp97活性に対して試験し
た。IL-1を加える前に、この混合物を37℃で1時間イ
ンキュベートした。1時間インキュベートした後、最終
濃度が0.08単位/mlとなるように、IL-1を50μl/ウェル
で各ウェルに加えた。IL-1は、アッセイ培地中で、0.31
2単位/mlの濃度になった。IL-1を与えないコントロール
試料には、50μl/ウェルのアッセイ培地のみを与えた。
ウェル中のIL-1の最終濃度は、0.08単位/mlであった。
コントロールは、PHAを与えずLBRM-33細胞を含むウェル
と、LBRM-33細胞およびPHAの両方を含まないウェルとを
包含する。
【0087】次いで、組織培養インキュベーター中で37
℃で18〜24時間、ウェルをインキュベートした。このプ
レートを1,000rpmで10分間遠心分離することにより細胞
をペレット化し、各ウェルの上清の最上部分50μlを新
しいウェルに移した。HT-2細胞は、アッセイ培地で細胞
2×105個/mlの濃度にまで生成され、このうち50μl
を、ウェルに対して50μlの上清を含むように加えた。H
T-2細胞を37℃で18〜24時間インキュベートし、1uCi/
ウェルの3H-チミジン(50μl/ウェル、NEN No.NET-027
A)でのパルスを3〜4時間行った。ウェルを自動細胞
採集機で採集し、液体シンチレーション計数を行った。
【0088】B.ウエスタンブロッテイングおよびアフ
ィニティーブロッティング:gp85-97の精製をモニター
するために、ウエスタンブロッティング、またはPHAア
フィニティーブロッティングを用いた。このブロッティ
ングは、その分子を含む調製物を、還元下、または「非
還元」条件下で(Laemmli, U., 1970 Nature,22:680-6
85)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動にかける工程、および、ブロットし、そ
のブロットをgp85-97または標識PHAに対する抗体でプロ
ーブする工程からなる。これらは、一般的にはBurnett
e, 1981,Anal. Bio. Chem., 112:195に記載の方法、ま
たは、Burnette法の改変法により行われる。試料を、0.
45μm Immobilon P(Millipore)上にブロットし、0.02
%アジド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%オボアルブ
ミン、および0.1% Tween20が加えられた、3mM KCl、0.
14M CaCl, 1.5mM K2HPO4、8mM NaH2PO4、pH7.4 (PBS)か
らなるウエスタン緩衝液でブロックし、125I-PHA-L(P
ierce Iodo-Beadsを用いて標識した)でプローブし、洗
浄し、マルチワイヤー比例検出器(multi-wire proport
ional detector)(自動化されたMicrobiology System
s, Inc.)で計数した。
【0089】いくつかの場合において、gp85-97の濃度
を、順に画分を希釈し、ポリビニリデンジフルオライド
紙上にドットブロットし、抗gp85-97Abでプローブし、
そしてgp97の希釈に対して標準化したオートラジオグラ
ムの定量走査を行うことによってもまた測定した。比重
測定は、Abaton Scanプログラムで、Apple MacintoshII
コンピューターおよび16ビットAppleスキャナーを用い
て行った。選択されたドットブロット希釈のオートラジ
オグラムを走査して、相対的なgp85-97濃度を、ドット
の平均密度に対する生成物サイズのドット倍から、Imag
e 1.3.5.プログラムを用いて測定した。絶対的なgp85-9
7濃度は、次いで、同じオートラジオグラム上で、既知
の量の精製gp85-97の希釈を走査することにより測定さ
れ得る。
【0090】抗gp85-97抗体ドットブロットのために、
精製された天然gp97に対するポリクローナルウサギ抗体
を、Berkeley Antibody Companyにより調製し、プロテ
インAセファロースクロマトグラフィーにより、次いで
97kDおよび70kDのSK-BR-3 gp97サブユニット(高性能電
気泳動クロマトグラフィーにより精製された)を用いる
アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。こ
れらのサブユニットは、BioRad Affigel 10/15に結合し
ており、pH2での0.1Mグリシンで溶出した。gp85-97濃
度は、順に希釈した試料をドットブロットし、ブロック
し(上記と同様)、125I-標識抗gp85-97抗体でプロー
ブし、そしてオートラジオグラムでの定量比重測定を行
うことにより測定した。
【0091】gp85-97のN末端気相配列決定は、精製し
た物質の以下のSDS-PAGEおよびPVDFメンブレンヘの転移
に続いて行われ得る。内部アミノ酸配列は、適当な酵素
(例えば、Lys-Cプロテアーゼ)でgp85-97を消化し、次
いでSDS-PAGEにかけ、PVDFメンブレン上に移し、ABI気
相シークエンサーを用いて配列決定することにより得ら
れ得る。
【0092】II.gp97の精製 gp97の精製の供給源として、10リットルのSK-BR-3細胞
培養上清を用いた。培地を採集する前に、細胞を血清フ
リーおよびインスリンフリーのDMEM培地で3日間培養し
た。
【0093】馴化培地を種々のプロテアーゼインヒビタ
ーを含むように調整した。このインヒビターには、1mM
EDTA,1μg/mlロイペプチン、および200μM PMSFが
含まれる。精製の間を通して、これらの濃度でのこれら
のインヒビターを全ての緩衝液中で用いた。
【0094】馴化培地を、Amicon YM10 Spiral Cartrig
e濃縮器で20倍に濃縮した。保持物質を25mMトリス緩衝
液、pH8.5中で透析し、5×20cmの大きさのDEAE-セファ
ロース(Pharmacia)カラムを通してクロマトグラフィ
ーにかけた。タンパク質を、全容量1.5リットルを10ml/
分の速度で流した塩化ナトリウムの0〜0.7Mのグラジエ
ントで溶出した。gp97を富化したこれらの画分を、次の
クロマトグラフィー手順を開始する前に、プールして、
硫酸アンモニウム、pH7.0で0.8Mにした。
【0095】DEAE-セファロースプール画分から得た全
量150mgのタンパク質をそれぞれ含有する3つのアリコ
ートを、21.5×150mmの大きさのBioRadの調製用フェニ
ル-TSKHPLCカラムにそれぞれ別々にかけた。タンパク質
を、硫酸アンモニウムを減少させ(0.8Mで開始)エチレ
ングリコールを0から30%に増加させる十字交差型グラ
ジエントで、3ml/分でカラムから溶出した。3つのDEA
E-セファロースアリコートのそれぞれをこの方法で処理
し、続いてフェニル-TSKカラムからgp97の単一ピークを
得た。この段階での精製のフェニル-TSKクロマトグラフ
ィーの代表例を、図1に示す。これらのフェニル-TSKカ
ラム画分をプールし、リン酸緩衝生理食塩水中で透析
し、YM10メンブレンを用いるAmicon stir cellで20倍に
濃縮した。
【0096】次に、濃縮した物質の2mlアリコートを、
リン酸緩衝生理食塩水で緩衝させた5から50%のスクロ
ースグラジエント37mlで展開し、10℃、24,000rpmで39
時間、Beckman SW28ローターで遠心分離した。チューブ
の底に穴を開け、そこから画分を採取した。この精製gp
97をプロテアーゼインヒビターを含まないリン酸緩衝生
理食塩水中で透析し、0.45μm acrodiscフィルター(Ge
lman Sciences)を用いて濾過滅菌し、そして4℃で貯
蔵した。SK-BR-3細胞の3日間培養から得た馴化培地か
ら始まる精製プロトコルにより、3.3mgのgp97が得ら
れ、この画分は、70kDおよび27kDのフラグメントに切断
されていた。これは、300倍精製に相当し、回収率は20%
であった。
【0097】本質的に同一の精製から得られた精製gp97
タンパク質を、PBSに対して透析し、Amicon YM30限外濾
過により0.5mg/mlに濃縮した。これを、0.1Mトリス、pH
8.9および0.1%SDSおよび0.1mMチオグリコレート中で1
時間予め電気泳動し、次いで緩衝液(0.1mMチオグリコ
レートを含む)を流してゲルを回復させた8%還元SDS-
PAGEに流し、試料を分離した。タンパク質のバンドをPV
DFメンブレン(Pro-Blot、Applied Biosystems, Inc.)
に移し、簡単なクーマシーブルー染色により可視化し
た。優勢な70kDのバンドを検出し、次いで気相シークエ
ンサー(Applied Biosystems)を用いて配列決定した。
以下のN末端配列が得られた:VNDGDM?LAD。97kDの分子
量のバンドもまた、本質的に同一の3番目のgp97調製物
から配列決定し、以下のN末端配列を得た:(配列番
号:1)。
【0098】A.特徴付け:精製SK-BR-3複合体の見か
けの固有分子量は、2.5mM EDTA、0.2mMフェニルメチル
スルホニルフルオライド、および2μg/mlロイペプチン
を含むリン酸緩衝生理食塩水中の5から20%のスクロー
ス(w/v)グラジエント12mlを用いる沈降速度法により推
定した。精製SK-BK-3 gp97(6μg)を、0.2mgのウシ血
清アルブミンと、全部で200μlのPBS中で混合し、15
℃、28Krpmで16時間、SW40ローターで遠心分離した。画
分を底から採集し、BioRadアッセイによりマーカータン
パク質に対してアッセイした(595nmで読み取る)。200
μl PBS中に400μg BSAおよび600μg IgM T88を含むコ
ントロールグラジエントもまた、平行して行った。gp97
のピークは、各画分10μlのウサギ抗gp85-97/ヤギ抗ウ
サギHRP抗体検出により位置を突き止め、続いてこれを
希釈し、PVDFメンブレンにドットブロットし、蛍光によ
り可視化した。オートラジオグラムを走査して、相対的
なgp97濃度を定量し、ピークの位置を決定した。巨大分
子の沈降係数は、固有分子量を決定するために用いられ
た。gp97のS値は、約25であった。
【0099】SK-BR-3細胞培養上清から単離したgp97の
見かけの固有分子量はまた、移動相として0.5ml/分のリ
ン酸緩衝生理食塩水を用いるセファロース6サイズ排除
HPLCカラム(Pharmacia)でのクロマトグラフィーによ
り推定した。図3に結果を示す。上記のような125I−P
HAドットブロットアッセイを用いて、gp97を含む画分を
同定した。見かけの固有分子量は、最も大きい標準であ
るIgM T88よりも大きく、1200kDを超えると推定され
る。IgM T88モノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマは、American Type Culture Collectionに受託番号
HB7431で寄託されている。
【0100】精製SK-BR-3 gp97複合体の密度は、平衡密
度遠心分離により測定した。ここで、30μgのgp97を、
密度1.35gm/mlでCsClを含むリン酸緩衝生理食塩水14ml
中に混合した。この混合物を、5℃、28,000rpmで70時
間、Beckman SW40ローターで遠心分離した。チューブの
底に穴を開け、0.5mlの画分を採取し、各画分の密度
を、密閉した3組のチューブの画分のアリコートを計量
することにより測定した。精製SK-BR-3 gp97の密度は、
約1.35gm/mlであると決定された。
【0101】部分的に精製したgp97のトリプシン消化に
対する感受性を決定するために、実験を行った。gp97天
然複合体を、トリプシンを用いて、1:10の割合(w/
w、全タンパク質に対するトリプシン)で37℃で60分間
処理した。図4は、消化前と後の物質のBio-Sil SEC-25
0サイズ排除HPLCクロマトグラフィープロフィールを示
す。これら2つの調製物のSDS-PAGEにより、半精製gp97
は、比較的プロテアーゼ抵抗性(トリプシンでの限定的
な消化を行った後)であり70kDと27kDのフラグメントに
なるが、他のバンドはさらに広範囲に分解した。70kDバ
ンドのN末端配列(PVDFメンブレンに移した後)が、上
記の精製SK-BR-3 gp97の配列に相当した。
【0102】レクチン結合の研究をgp97(70kDおよび27
kDのフラグメントを含む)で行い、この糖タンパク質の
糖成分を部分的に特性付けた。用いたレクチンの糖の特
徴は以下のように報告されている:1)con A(α-D-マ
ンノースおよびα-D-グルコサミン)、2)レンズマメ
レクチン(α-D-マンノース)、3)コムギ胚芽アグル
チニン[(D-glcNAc)2およびNeuNAc]、および4)フィ
トヘマグルチニン、白血球特異性(オリゴ糖)。精製gp
97(PBS 300μl中50ng)を、種々のアガロースビーズ
(インキュベーションにつきビーズ25μl)に固定した
種々のレクチンと共に、室温で2時間撹拌しながらイン
キュベートした。遠心分離によりビーズを取り除いた
後、上清中で残渣と結合していないgp97を、上記の抗gp
85-97抗体ドットブロットアッセイにより測定した。PHA
-Lおよびコムギ胚芽アグルチニンのみが顕著な量でgp97
と結合した。
【0103】SDS-PAGE上に流し、PVDF紙にブロットした
gp97に結合する125I標識PHA-Lを用い、同様の研究を行
った。グリコシダーゼでの前処理による影響についても
また、このシステムにおいて研究し、gp97中の糖の結合
についての部分的な特性付けを行った。各グリコシダー
ゼ反応は、pH7.0で100mMヘペス中に2-メルカプトエタ
ノールを含有する0.1%ドデシル硫酸ナトリウム中で5
分間煮沸することにより変性させた精製gp97 6マイク
ログラムで行った。NP40を最終濃度が1%(w/v)になる
ように加え、そして個々の60マイクロリットルの反応液
を、以下の酵素単位を加えた後、37℃で18時間インキュ
ベートした:1)2ミリ単位のノイラミニダーゼ(Boeh
ringer Mannheim Biochemicals);2)2ミリ単位のノ
イラミニダーゼと1ミリ単位のO-グリカン-ペプチド-ヒ
ドロラーゼ(Boehringer Mannheim);および3)0.5ミ
リ単位のN-グリカナーゼ(Genzyme)。ノイラミニダー
ゼを含有する反応液中に、CaCl2を4mMとなるように加
えた。コントロール反応液を含む各反応液について、20
マイクロリットルアリコートを3組でSDS-PAGEを行っ
た。生成物を、それぞれ以下の方法により可視化した:
1)クーマシーブルー染色;2)ブロッティングし、
125I-プロテインAで標識した抗SK-BR-3 gp97抗体でプ
ローブすること:および3)ブロッティングし、125I-
PHAでプローブすること。
【0104】3つの検出法はすべて、グリコシダーゼ処
理後のSDS-PAGEにおいて、分子の分子量が変化すること
を示した。ノイラミニダーゼ処理によりわずかな移動が
生じたので、シアル酸が存在することが示される。O-グ
リカン-ペプチド-ヒドロラーゼ処理ではいかなる影響も
生じなかったので、明らかなO-グリコシル化は起こって
いないと考えられる。N-グリカナーゼ処理では、分子量
の大きな移動が生じたため、明らかなN-結合グリコシル
化が起こっていると考えられる。125I-PHAでは、N-グ
リカナーゼで処理した物質以外の全ての抗体反応バンド
に結合することが観察されたので、PHA-Lはgp97のN-結
合糖成分に結合すると考えられる。
【0105】(実施例2)ヒトgp97をコードする遺伝子のクローニング ヒトgp97をコードする遺伝子は、以下の一般的方法を用
いてクローン化した。まず、部分的にタンパク質分解さ
れた形で回収したSK-BR-3 gp97を、変性し、還元し、そ
して、97kDおよび70kDの分子を、0.1%のSDSで、サイズ
排除HPLCを用いて精製した。この97kDおよび70kDの分子
を、Lys-Cプロテアーゼで消化し、そして得られたペプ
チドを精製し、配列決定した。次に、ペプチドの一つで
あるペプチドIのアミノ酸配列を基に、縮重したオリゴ
ヌクレオチドプライマーを合成し、SK-BR-3 mRNA上での
PCR反応に用いた。ここで得たDNA配列は、順次、結局、
cDNAライブラリーをスクリーニングするための特異的DN
Aプローブを合成するための、他のオリゴヌクレオチド
プライマーを合成するために使用され、SK-BR-3 gp97を
コードする全長のcDNA配列を得た。
【0106】より明確には、1mgの部分的にタンパク質
分解したSK-BR-3 gp97を、2%のドデシル硫酸ナトリウ
ムで変性し、そして40mMのジチオスレイトールで還元し
た。混合物を10分間50℃に加熱し、Pharmacia Superose
6サイズ排除-HPLCカラム上で、1mM EDTAを含む25mM
のトリス(pH8.5)中の0.1%のドデシル硫酸ナトリウム
を移動相に用い、0.6ml/分の速度でクロマトグラフィー
を行った。精製した97kDのサブユニットおよび70kDのフ
ラグメントは、別々に5%(w/w)のLys-Cプロテアーゼ
で、37℃、18時間処理した。消化およびペプチド生成の
程度を決定するために、97kDおよび70kDの消化物の3分
の1を、14%アクリルアミドTricine緩衝化ゲルを用い
て、還元SDS-PAGEで電気泳動した。ゲルは、PVDFメンブ
レン(Pro-Blot, Applied Biosystems)を用いてブロッ
トし、クーマシーブルー染色で可視化した。2組のレー
ンを、125I-PHA結合に対して分析した。各消化物の残
りの3分の2は、アセトニトリル/TFAを移動相とし
て、Vydac C4カラムを用いるRP-HPLCによりクロマトグ
ラフィーを行った。各カラム画分のアリコートを、凍結
乾燥し、14%アクリルアミドTricine緩衝化ゲルで、SDS
-PAGEにより分析し、各画分の残りのタンパク質を、N
末端から配列決定した。97kDおよび70kDの両方の分子を
Lys-Cプロテアーゼで消化すると、同様の消化パターン
を示し、これらの分子が構造上関係がある証拠を得た。
4つのRP-HPLCのピークを選び、そしてピークIと命名
したその1つを、PVDFメンブレンに移しApplied Biosys
temsの気相シークエンサーを用いて配列決定した。ピー
クIのペプチドから得られたN末端のアミノ酸配列を、
(配列番号:2)に示す。
【0107】ペプチドIのアミノ酸配列から、3つの縮
重オリゴヌクレオチドプライマーを、一部がペプチドの
種々の領域に対応するように合成した。オリゴヌクレオ
チドを、SK-BR-3ポリA+mRNA上のプライムPCR反応に使
用した。縮重は、いくつかの選択したゆらぎの位置をイ
ノシンで置換することにより、幾分減少した。オリゴヌ
クレオチドは、下記の配列:(配列番号:3);(配列
番号:4);および(配列番号:5)を有する。
【0108】アンダーラインは、(配列番号:3)につ
いてはHindIIIの、および(配列番号:4)および(配
列番号:5)についてはEcoRIの制限部位の位置を示
す。制限部位は、pUCベクターへPCR生成物を容易にクロ
ーニングするようなプライマーの設計を含んだ。
【0109】PCR反応は、(配列番号:4)または(配
列番号:5)と組合せて、(配列番号:3)を用いて行
った。
【0110】簡単にいえば、PCRは総量50μl中、最終濃
度1×PCR緩衝液、50μMのdNTP,1μMの5’および
3’の各プライマー、および1単位のTaqポリメラーゼ
で行った。Taqポリメラーゼを加える前に、反応混合物
を80℃に加熱した。増幅は2つの結合したサイクル方式
を用いて行った。増幅の最初の5サイクルは、95℃で30
秒の変性、45℃で30秒のアニーリング、および72℃で30
秒の伸長からなる。これに続いて、それは、95℃で30秒
の変性、55℃で30秒のアニーリング、および72℃で30秒
の伸長からなる、30サイクルの増幅を行った。
【0111】予測したPCR生成物は、約24塩基対が異な
ると予測され、そして実際に、ゲル電気泳動の移動度か
ら判断し、得られた生成物は約97および121塩基対の長
さであった。
【0112】SK-BR-3 gp97のアミノ末端のアミノ酸配列
を、上記のように決定し、そしてこれらのデータを用い
て、さらに他のオリゴヌクレオチドプライマーを合成
し、それらのプライマーを、(配列番号:4)および
(配列番号:5)のプライマーを用いた、以下のPCR反
応に用いた。
【0113】一部アミノ末端の配列に基づくオリゴヌク
レオチドプライマーを、(配列番号:6)に記載し、上
記のように設計した。
【0114】(配列番号:6)と(配列番号:4)また
は(配列番号:5)のどちらかとを用いたPCR反応によ
り、それぞれ、約740および765塩基のDNA配列を得た。
【0115】DNA配列を、上記PCR反応によって生成した
物質から得た。この配列に基づいて、さらに2つのオリ
ゴヌクレオチド配列を合成し、THP-1 cDNAライブラリー
をプローブするのに用いて、gp97の全長をコードする配
列を有するクローンを同定した。これらのオリゴヌクレ
オチド配列は、(配列番号:7)および(配列番号:
8)である。それらの配列は、以下の(配列番号:7)
および(配列番号:8)である。
【0116】(実施例3)gp85-97に対するcDNAライブラリーのスクリーニング cDNAライブラリーを、100ng/mlのメゼレイン(mezerei
n)で24時間誘導した、THP-1細胞から単離したmRNAから
作成した。その手順は、上記の手順を用いてmRNAを単離
する工程、および直鎖状にしたプラスミド、pcDL-SRα2
96に共有結合したオリゴ(dT)でプライムすることによ
り一本鎖cDNAの合成を行う工程からなる。
【0117】ポリ(dT)テイル化は、10×ターミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ緩衝液(本願
明細書では、以下10×TdT緩衝液と称す)を用いて行っ
た。この緩衝液は、以下のように調製した:13.8gのカ
コジル酸を、3.0gのトリス塩基を溶解した60mlの水に加
える。固体のKOHをゆっくり加えることにより溶液をpH
7.6に調整し、その後容量を水で88mlに増やす。次に、
溶液を0℃に冷却し、それから溶液を一定に撹拌しなが
ら、0.1M DTTを2ml加えた後、0.1MのMnCl2を10ml滴下
する。20μlの10×TdT緩衝液に、5.0μlの10mMのdTTP、
および、200μgのKpnエンドヌクレアーゼ消化pcDL-SRα
296プラスミドを加える。溶液の総量が200μlになるよ
うに、水を加える。溶液を37℃に15分間暖め、約3μl
中の360単位のTdTを加えて、37℃で5分間インキュベー
トする。
【0118】次に、cDNA合成を当該分野で公知のよう
に、逆転写酵素を用いて行い、新たに合成したcDNAの
3’ヒドロキシル末端に(dC)テイルを付加する。pcDL
-SRα296の3’末端に、反応中に付加した(dC)テイル
を、HindIIIで消化して除去した。100μlの逆転写酵素
反応は、10μgのポリ(A+)THP-1 RNA、20mMのトリス-
HCl、pH8.3、2.5mMのMgCl2、50mMのKCl、1mMのDTT、0.
5mMの各100単位のRNAsin、5μgのポリ(dT)単一テイ
ル化ベクター-プライマーDNA、および100単位の逆転写
酵素を含む。反応は、37℃で30分間行った。
【0119】最終的に、オリゴ(dC)テイル化cDNA-mRN
Aプラスミドは、SRαプロモーター-リンカーで環状にし
た。それは、一方の端のHindIII部位、および他方のホ
モポリマーテイルのdGで行った。アニーリング反応は、
10×アニーリング緩衝液からなるアニーリング溶液を用
いて、標準条件下で行った。10×アニーリング緩衝液
は、0.1MのTris-HCl、pH7.6、1.0MのNaCl、10mMのEDTA
からなる。mRNA鎖は、連続的にE.coliのRNase H、DNAポ
リメラーゼI、およびDNAリガーゼを用いて、DNAに置き
換えた。次いでDNAを、DH5-α細菌内へと形質転換し
た。(DH5-α細菌は、Bethesda Research Laboratorie
s, Research Products Division, Life Technologies,
Inc., Gaithersburg, MD 20877. Cat. No. 82585Aから
得る:Max Efficiency DH5-α感応細胞)。
【0120】上記で得たcDNAライブラリーを、当該分野
では周知の手順を用いて増幅し得、ライブラリーを-70
℃で、LB培地中12.5%グリセロール中で細胞ペレット
を懸濁して保存し得る。
【0121】cDNAライブラリーは、1.65×105個の形質
転換体を平板培養し、(配列番号:8)を有するオリゴ
ヌクレオチドを用いることによりスクリーニングした。
31個のコロニーはポジティブであり、プライマー(配列
番号:7)および(配列番号:8)を用いるPCRによ
り、さらに分析した。31個のポジティブなコロニーのう
ち、7個のコロニーはおおよそ予測した塩基対の数であ
る437を有することが見いだされた。7個のコロニーの
うち2個の、クローン17および18を選択し、さらに研究
した。
【0122】クローン18の両方の鎖を、上記のα-35
およびSangerジデオキシ法を用いて、配列決定した。シ
ーケネースを、ポリメラーゼとして使用した。クローン
由来のDNA配列は、(配列番号:9)に示す。180-1934
残基は、gp85-97のプロ型をコードする。234-1934残基
は、gp85-97の成熟型をコードする。推定したアミノ酸
配列を、(配列番号:10)に示す。アミノ酸1-18は推
定リーダー配列を形成する。
【0123】gp85-97遺伝子のDNA配列は、多数の機能を
有すると予測され得る、十分な大きさおよび複雑度を有
する成熟タンパク質をコードする。DNAおよびタンパク
質のデータベースのホモロジー検索から、ヒトgp85-97
のN末端領域に、著しく保存されたドメインが存在する
ことが示される。成熟gp85-97タンパク質の最初の105個
のアミノ酸は、タイプIヒトマクロファージスカベンジ
ャーレセプターの、細胞外末端配列と50%以上一致して
いる。Kodama, T.ら, 1990, Nature, 343:531-535。こ
のドメインの正確な機能は、現在未知である。しかし、
スカベンジャーレセプターの他のドメインは、酸化され
た低密度リポタンパク質、細菌リポ多糖、および一本鎖
の核酸などの、望ましくない分子を除去することを、明
らかに包含する。この同じドメインは、gp85-97と、精
子の表面に複製物が見いだされるウニとの間で高度に保
存され、そして、精子−活性化卵ペプチドに対するレセ
プターとして機能している。Dangott, L.ら, 1989, PNA
S(USA), 86:2128。gp85-97のN末端ドメインもまた、
リンパ球糖タンパク質CD6のような他のヒトタンパク質
と、著しく相同である。従って、gp85-97は、例えば、
感染病に対して応答すること、または免疫応答を促進す
ることを含む、これらの相同タンパク質と同様の機能を
示し得る。成熟N末端配列、およびgp85-97の見かけの
分子量は、まだクローン化していない、肺癌の糖タンパ
ク質であるL3抗原の分子量と同一である。Linsleyら,
Biochemistry(1986)25:2978-2986。
【0124】(実施例4)SK-BR-3 gp97の発現 全長を有する二つのクローンである、クローン17および
18を、細胞系Cos A2中にトランスフェクトした。細胞系
「Cos A2」はCos-1細胞の軟寒天サブクローン(Gluzma
n, Y., 1981, Cell, 23:175-182)である。対数増殖期
の細胞は、適切なプラスミドと、0.05%のDEAE Dextran
(Sompayrac, L.M.ら,1981, PNAS(USA), 78:7575-757
8)を用いてトランスフェクトした。細胞を、室温で1
時間インキュベートし、次いで洗浄して、DEAE-プラス
ミドの残基を除去し、100uMのクロロキンを含む増殖培
地を添加した。5%CO2/95%空気雰囲気中で、37℃4
時間インキュベートした後、培地を除去し、クロロキン
を含まない新鮮な増殖培地に取り替えた。細胞を組織培
養インキュベーター中でインキュベートし、培地を24、
48、および72時間後に採集した。
【0125】72時間インキュベーション物由来の培地
は、採集後ただちに遠心分離によって透明にし、さらに
分析するために凍結した。培養上清1ml中のgp97タンパ
ク質を、40μlのAffigel 10ビーズ(BioRad)と結合し
た、精製抗-gp85-97抗体に結合することにより、免疫沈
降した。結合タンパク質を、20μlの非還元SDS-PAGE試
料緩衝液中で煮沸することによりペレット化し、洗浄し
たビーズから遊離した。ビーズを除去した後、試料を、
添加した2-メルカプトエタノール(1%)の存在下
で、煮沸によって還元し、上記のようにアフィニティー
精製125I-標識抗-gp85-97抗体を用いて、ウエスタンブ
ロットによりアッセイした。抗体を以下に記載のように
産生した。結果を図5に示す。図から明らかなように、
gp97抗体反応性物質は、両方のクローンにより産生す
る。糖鎖形成に相違があるので、観測した85kDの分子量
がSK-BR-3 gp97の分子量と異なる可能性がある。
【0126】(実施例5)SK-BR-3 gp97に対する抗体 天然のSK-BR-3 gp97(スクロース勾配工程を通して上記
のように精製した)を用いる免疫化の手順は、数カ月以
上かかって行った。免疫化は、約200μgの物質で開始し
た。この免疫化の約20日後、ウサギを約100μgの物質で
ブーストし、10日後に採血した。このブースト/採血の
手順は、数カ月にわたって行った。約200μgの最初の免
疫化を、完全フロイントアジュバントでニュージーラン
ド白ウサギの膝後面の節に注人して行った。その後のブ
ーストを、不完全フロイントアジュバントで筋肉内に投
与した。7ヵ月目の最後に、ウサギを瀉血し、血清を単
離した。抗体を、プロテインAセファロースカラム(Ph
armacia LKB Biotechnology, Inc.)で、アフイニティ
ークロマトグラフィーにより精製した。いくつかの実験
では、gp85-97抗体を、高性能電気泳動クロマトグラフ
ィーで精製し、Affigel 10/15(BioRad)に結合させ
た、97kDおよび70kDの糖ペプチドを利用した、リガンド
アフィニティークロマトグラフィーによって、さらに精
製した。精製した抗体を、グリシン/HCl、pH2で溶出
した。
【0127】SK-BR-3 gp97に対して生成した抗体が、中
和活性を有するかどうかを決定するために、研究を行っ
た。抗体を、2つの細胞に基づくアッセイ、および、上
記の125I-PHAドットブロットアッセイにおいて、gp97
に対する中和力価について試験した。1/40の希釈で、
抗体は、細胞に基づく生物学的アッセイで測定したよう
に、gp97の20μg/ml溶液の50%を中和し得た。gp97の非
存在下で、抗体はアッセイにおいて効力を有しないの
で、抗体はgp97の効力を中和することが明らかである。
抗体の比較的低い中和力価は、大きな多-サブユニット
タンパク質複合体であると考えられているものの上に、
多くの結合部位を有することを示し得る。同様に希釈し
た抗体は、固定化した天然のgp97の同量に結合した125
I-PHAを中和した。
【0128】SK-BR-3 gp97に対する抗体を、種々の生物
学的試料中で、gp85-97と反応する能力について試験し
た。ウエスタンブロット、またはドットブロット分析を
用いて、抗体を、ヒト血清由来の半精製した物質、およ
びヒト乳由来の精製物質と反応した。新鮮ヒト血清由来
の物質を、SEC-HPLCで、ボイドボリュームまたはそれに
近い容量で溶出し、従って、SK-BR-3細胞から精製した
物質と同様であった。
【0129】(実施例6)ヒト母乳からのgp85の精製 400ミリリットルのヒト乳を多くの匿名の提供者からプ
ールし、これらはHIVおよびB型肝炎ウイルスに対して
陰性を示す。乳は、1mMのEDTA,1μg/mlのロイペプチ
ン、および200μMのPMSFを含むように調整した。これら
のインヒビターを、これらの濃度で、精製期間中通して
使用した。
【0130】乳は、4℃で25,000×g,30分間、2回の
遠心分離によって脂肪分を除去し、上部の脂肪層を除去
した後、水層をグラスファイバーフィルターを通して濾
過し、続いてGelman 50A 5μmフィルターを通して濾過
した。濾液は、硫酸アンモニウム(pH7.0)で0.5Mにし
て、5×20cmのフェニル-Sepharose(Pharmacia)カラ
ムでクロマトグラフィーを行った。タンパク質を、硫酸
アンモニウムが減少し、エチレングリコールが0−30%
増加する十字交差型グラジエントで、10ml/分でカラム
から溶出した。カラムを通した流出物は、同じカラムで
再びクロマトグラフィーを行った。gp85を富化した画分
を、両方のカラムからプールし、PBS中で透折し、YM30
メンブレンを用いてAmicon stir cellで30倍に濃縮し
た。
【0131】Amicon濃縮物質は、2つの25mlアリコート
に分割し、それぞれを別々に5×90cmの大きさを有する
S300 Sephacryl(Pharmacia)サイズ排除カラムでクロ
マトグラフィーを行った。タンパク質を、5ml/分でカ
ラムから溶出した。gp85のピーク画分をプールして、上
記のように30倍に濃縮した。
【0132】次に、濃縮物質のうち2mlアリコートを、
PBSで緩衝化した37mlの5−50%スクロースグラジエント
に積層し、Beckman SW28ローターで、15℃、23時間、2
7,000rpmで遠心分離した。チューブの底に穴を開け、画
分をそこから採取した。
【0133】gp85のピーク画分の5分の2を、1mMの代
わりに0.1mMのEDTAを含む50mMのトリスpH8、150mMのNa
Cl中で透析した。保持物質を、MgCl2、CaCl2、およびMn
Cl2で1mMに調整し、続いて、前洗浄したLentil Lectin
Sepharose(Pharmacia)のベッドボリューム20mlを加
えた。混合物を4℃で3時間振盪しながらインキュベー
トし、2.6cm直径のカラムに注ぎ、周囲の温度で、EDTA
を除いた50mMのトリスpH8、150mMのNaClで洗浄した。
カラムは、同じ緩衝液中の200mMのα-メチル-D-マンノ
ピラノシドで溶出した。溶出したgp85を、硫酸アンモニ
ウムpH7.0で0.8Mにして、7.5×75mmの大きさを有する分
析用フェニル-TSK HPLCカラム(BioRad)でクロマトグ
ラフィーを行った。タンパク質を、上記の条件下で、1
ml/分の流速でカラムから溶出した。SDS-PAGE分析のた
めに、全部の画分を1mMのトリスpH7.5で緩衝化した0.1
%SDS中で透析し、凍結乾燥し、15μlの還元試料緩衝液
で再懸濁した。バンドを、クーマシーブリリアントブル
ーで染色して可視化した。カラムプロフィールおよびSD
S-PAGE分析を図6AおよびBに示す。約60kD〜100kDを
越える見かけのサブユニット分子量の不均一分布は、お
そらくグリコシル化における不均一性を反映している。
【0134】精製調製物の2番目のアリコートを、上記
のようにSDS-PAGEで分画し、実施例1のSK-BR-3 70kDフ
ラグメントの単離に記載のようにPVDFメンブレンに転移
した。Applied Biosystems 470A気相シークエンサーを
用いて得たN末端配列は、以下の(配列番号:11)で
ある。
【0135】スクロースグラジエント画分の残りの5分
の3は、上記のようなレンズマメ−レクチンクロマトグ
ラフィーを行った。ただし、カラムを4℃で溶出し、続
いてさらに結合したタンパク質が解離する周囲の温度で
の同様の溶出は行わなかった。4℃で溶出したgp85を、
上記の分析用Phenyl-TSK HPLCを用いて、クロマトグラ
フィーを行った。gp85を富化した画分をプールし、PBS
中で透析し、10倍に濃縮して-20℃で保存した。周囲の
温度で溶出したgp85を、Amicon YM30メンブレンを用い
て75倍に濃縮し、保持物質を、Pharmacia Superose 6
サイズ排除FPLCカラムでクロマトグラフィーを行った。
タンパク質を、PBSの移動相で0.5ml/分でカラムから溶
出した。gp85のピーク画分をプールし、2倍に濃縮し、
フィルター滅菌して4℃で保存した。精製プロトコール
で、脱脂肪して濾過したヒト乳から始めて、約6%の回
収率で1300倍に精製した400μgのgp85を得た。
【0136】上記のgp85の特性に加えて、Superose 6
クロマトグラフィーによって精製した物質を、実施例1
に記載のようにスクロースグラジエント沈降速度によっ
て分折した。ドットブロットアッセイにおいて、抗gp85
-97と反応した物質の沈降値は、約25であった。他の反
応性物質は、30を越える沈降値で検出した。
【0137】(実施例7)胸部癌細胞の増殖阻害 実施例5に記載したようにして得た中和抗体を、癌細胞
の増殖阻害活性について試験した。アッセイは、チミジ
ン取り込み機能としての細胞増殖におけるプロテインA
精製抗-gp85-97抗体の有効希釈を決定する工程からな
る。ヒトの胸部腫瘍細胞系SK-BR-3は、栄養欠失培地
(ウシ胎児血清を制限したRPMI)での最小刺激条件下
で、試験した。抗-GAPポリクローナル抗体(Halenbeck,
R.ら, 1990, J. Biol. Chem., 265:21922-21928)
は、以下の同一のプロテインA精製にコントロールとし
て用いた。
【0138】チミジンアッセイを、以下のように行っ
た:SK-BR-3細胞増殖は、2μCi/ウェル当たりの3H-チ
ミジンを加え、37℃で4時間細胞をインキュベートし、
その後、細胞を洗浄し、採集し、標準物を用いて計数す
ることにより測定した。5組でアッセイした全ての試料
について、2回アッセイした。結果を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】最初の実施例では、抗体または抗体gp97を
産生するのに用いる抗原を欠く培地からなるコントロー
ルに比べて、1:10および1:40の抗体希釈では、それ
ぞれ、3H-チミジン取り込み量で68%および60%の減少
がみられた。コントロール抗体は、3H-チミジン取り込
みに本質的に効果がない、または刺激効果を有すること
を示した。
【0141】2番目の実施例では、3H-チミジン取り込
み量において、1:10および1:40の抗体希釈で、それ
ぞれ、57%および49%の減少が見られた。
【0142】(実施例8)ヒト体液中のgp85-97の検出 分類したヒト体液を、抗gp85-97抗体(上記のように調
製した)で免疫沈降し、ウエスタン分析をした(図
7)。レーン1−7はそれぞれ:緩衝液コントロール;
精液、0.5ml;母乳、0.05ml;血漿、1.0ml;唾液、0.5m
l;涙、0.2ml;および尿、1.0mlである。試料を、最終
容量1mlのPBS中で、0.1mMのPMSFおよび2μg/mlのロイ
ペプチンになるよう調整した。これらの溶液を、免疫沈
降し、実施例1−Bに記載のようにアフィニティー精製
125I-標識抗gp85-97抗体を用いて、非還元SDS-PAGEお
よびウエスタン分析を行った。免疫反応物質は、大きさ
および複雑度が幾分変化したが、通常は60および100kDa
Mrの間の2つのバンドを含んだ。母乳の免疫反応物質
を、アッセイ検出のための同じ抗体を用いて精製し、gp
85-97のN末端配列を有することは(上記参照のこ
と)、別のヒト体液で、同様のサイズの免疫反応バンド
もgp85-97を表すことを示す。
【0143】(実施例9)gp85-97の共沈 本質的には既に記述されているように(Rosenbergら、
J.Biol.Chem.(1991)266:18731-18736)、HT-29系細
胞(ATCC HTB 38)を増殖し、0.5%のTriton X-100で溶
解し、遠心分離して細胞およびデブリを除去し、抗Mac-
2モノクローナル抗体(M3/38,Boehringer Mannheim)
およびプロテインG Sepharose(Pharmacia)を用いて免
疫沈降した。免疫沈降はまた、Affigel 10に固定化した
gp85-97に対する、精製ポリクローナルウサギ抗体を用
いて行った。HL-60細胞(ATCC CCL240)を、80mMのホル
ボール12-ミリステート13-アセテートで72時間分化し、
上記のように溶解した。
【0144】免疫沈降物を、非還元型または還元型(Ma
c-2抗体でプローブしたレーン)SDS-PAGE、および図8
に示すように125I-標識抗体(プローブAb)でのウエス
タン分析により分析した。(+lac)および(+man)で
印をつけた試料には、それぞれO.25Mのラクトースまたは
マンノースを沈降前に与えた。各パネルの最初のレーン
は、溶解緩衝液の免疫沈降由来のバックグラウンドを示
す。A)ヒト結腸癌HT-29の溶解物(1.5mg/レーン)。
B)ヒト前骨髄腫白血病HL-60の溶解物と混合した精製g
p97(5μg)(0.8mg/レーン)。図8は、gp85-97が、
ラクトースと解離し得、炭水化物と結合する性質を通じ
て、ヒトMac-2レクチンにより結合することを示す。
【0145】(培養物の寄託) ベクター:pSKBR3-gp97 寄託日:1991年4月30日 ATCC受託番号:68608。
【0146】本発明は、特定の実施態様に関して記述さ
れている。しかしながら、本出願は、上記特許請求の範
囲およびその意図から逸脱せずに、当業者により成され
得る本発明の改変および置換を網羅するものである。
【0147】
【発明の効果】本発明により、Mac-2に結合する実質的
に精製されたタンパク質およびそれに結合する抗体が提
供される。本発明により、標的細胞の細胞表面に病気を
起こす薬剤が結合する結果起こる病気を治療または予防
するのに有用なレクチン結合タンパク質からなる薬物、
およびgp85-97タンパク質によって与えられる医療上の
恩恵を必要とする小児に与え得る、組換えまたは精製さ
れた天然のタンパク質が補給された小児人工栄養からな
る組成物もまた提供される。本発明により、糖タンパク
質に対する抗体を含有する癌治療に有効な組成物もまた
提供される。
【0148】
【配列表】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
【表6】
【0154】
【表7】
【0155】
【表8】
【0156】
【表9】
【0157】
【表10】
【0158】
【表11】
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】
【表14】
【0162】
【表15】
【0163】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【図1】SK-BR-3分泌gp97の分析用フェニル-TSK HPLCク
ロマトグラフィープロフィールを示すグラフである。PH
A被刺激細胞の増殖活性の阻害をアッセイして、gp97を
含有する画分を明らかにした。
【図2A】抗gp85-97抗体による非変性ドットブロット
アッセイを用いて検出された精製SK-BR-3 gp97のスクロ
ース勾配遠心分離プロフィールを示すグラフである。
【図2B】SDS-PAGEによる精製gp97の代表的な調製品の
分析を示す電気泳動図である。
【図3】セファロース6サイズ排除HPLCカラム上のクロ
マトグラフィーを経て決定されたSK-BR3細胞から単離さ
れたgp97の見かけの固有分子質量を示すグラフである。
【図4】部分的に精製されたトリプシン消化または未消
化のSK-BR-3 gp97のBio-Sil SEC 250サイズ排除HPLCク
ロマトグラフィープロフィールを示すグラフである。
【図5】COS細胞発現gp85-97のウエスタンブロット分析
を示す電気泳動図である。
【図6A】ヒトの母乳由来のgp85のフェニルTSK HPLCク
ロマトグラフィープロフィールを示すグラフである。
【図6B】上記クロマトグラフィーのピーク画分のSDS-
PAGE分析を示す電気泳動図である。
【図7】抗gp85-97抗体の存在下でのさまざまなヒト体
液のウエスタンブロット分析を示す電気泳動図である。
【図8】HT-29およびHL-60細胞由来のgp85-97の共沈澱
物のウエスタンブロット分析を示す電気泳動図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/53 V 33/574 33/574 B // A61K 38/00 ADU C12P 21/08 ADX A61K 37/02 ADU ADZ ADX 38/36 ADZ C12N 15/09 ZNA 37/46 C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 ロバート ヘレンベック アメリカ合衆国 カリフォルニア 94901, サン ラファエル,スプリング グローブ アベニュー 136 (72)発明者 エリック ダブリュー.テイラー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94708, バークレー,フェアローン ドライブ 209 (72)発明者 アリス エム.ワン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94549, ラファイエット,クアント ロード 1246 (72)発明者 クレイトン エル.カシピット アメリカ合衆国 カリフォルニア 94544, ヘイワード,イースト テンス ストリー ト 28074

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質分解によって約70kDおよ
    び27kDのフラグメントに分解し得る、約85−97
    kDの分子量を有する精製糖タンパク質であって、該糖
    タンパク質が、成熟N末端アミノ酸配列(配列番号:
    1)を有し、該70kDフラグメントがリンパ球のPH
    A依存活性化を妨げる能力を有する、精製糖タンパク
    質。
  2. 【請求項2】 患者の感染病を治療または予防するのに
    使用するための組成物であって、該組成物は有効な量の
    精製された天然のgp85−97または組換えgp85
    −97、および薬学的に許容可能なキャリヤーを含む組
    成物であって、ここで該gp85−97は、請求項1に
    記載の糖タンパク質である、組成物。
  3. 【請求項3】 2成分を含有する幼児摂取用組成物であ
    って、第1成分が、精製された天然のgp85−97お
    よび組換えgp85−97からなる群から選択され、そ
    して第2成分が、母乳およびヒトの幼児人工栄養からな
    る群から選択され、ここで該gp85−97は、請求項
    1に記載の糖タンパク質である、組成物。
  4. 【請求項4】 以下の特性を有する精製糖タンパク質複
    合体またはそのサブユニットに結合する抗体であって、
    該精製糖タンパク質複合体が: a)見かけの分子量が1200kD以上、およびスクロ
    ース速度勾配沈降値が約25Sである特性; b)サブユニット構造であって、該サブユニットが、還
    元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において、約
    85−97kDであり、該サブユニットが、成熟N末端
    アミノ酸配列(配列番号:1)を有する、特性;および c)リンパ球のPHA依存活性化を妨げる能力を有する
    特性、を包含する、抗体。
  5. 【請求項5】 癌を治療または予防するのに使用するた
    めの組成物であって、有効な量のSK-BR-3 gp97に結合
    する抗体を含む、組成物。
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