JP2004168161A - マスタシリンダ - Google Patents

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明彦 小池
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Abstract

【課題】マスタシリンダにおいて,作動ピストンの限られた作動ストロークによって,負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを可能にする。
【解決手段】シリンダ本体1の一連のシリンダ孔2f,2s,2rに嵌装される作動ピストン7f,7rと,この作動ピストン7f,7rの中空部8f,8rに嵌装される挿入体6a,7faと,この挿入体6,7fa周囲でシリンダ孔2f,2s,2r内に作動ピストン7f,7rにより画成される主液圧室10f,10rと,中空部8f,8r内で挿入体6a,7faにより画成される補助液圧室11と,この補助液圧室11側から主液圧室10f,10rへの一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁手段16a,16bと,所定の条件で開弁して補助液圧室11をリザーバRに開放する制御弁25を備える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,シリンダ本体と,このシリンダ本体にシリンダ孔に摺動可能に嵌装されて,そのシリンダ孔内に液圧室を画成する作動ピストンとを備え,その作動ピストンの前進により液圧室に液圧を発生させて,自動車等のブレーキやクラッチ等の負荷を作動するようにしたマスタシリンダの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるマスタシリンダは,例えば下記特許文献1に開示されているように,既に広く知られている。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−42499号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマスタシリンダでは,作動ピストンの,液圧室に臨む加圧面の面積は,その全作動ストロークに亙り一定である。このため,作動ピストンの限られた作動ストロークによって,負荷に対する液圧の急速充填と高出力の発揮とを,共に満足させることが困難である。即ち,作動ピストンの加圧面積を大きく設定して,負荷に対する作動液の急速充填を可能にすれば,作動ピストンの作動ストロークを短くして,マスタシリンダの短縮化を可能にするが,負荷に対する高出力の発揮が困難となり,反対に作動ピストンの加圧面積を小さく設定して,負荷に対する高出力の発揮を可能にすれば,作動ピストンの作動ストロークが長くなってしまい,マスタシリンダの短縮化が困難となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,作動ピストンの限られた作動ストロークによって,負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを可能にした,新規なマスタシリンダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明のマスタシリンダは,作動液を貯留するリザーバと,一連のシリンダ孔を有するシリンダ本体と,前記シリンダ孔に摺動可能に嵌装される作動ピストンと,前記作動ピストンに形成されてその前端面に開口する,後壁を持った中空部に相対摺動可能に嵌装される挿入体と,この挿入体周囲で前記シリンダ孔内に作動ピストンの前端面により画成され,出力ポートに連なる主液圧室と,前記中空部内でその後端壁及び前記挿入体により画成される補助液圧室と,この補助液圧室側から前記主液圧室への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁手段と,所定の条件で開弁して前記補助液圧室を前記リザーバに開放する制御弁とからなることを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記挿入体は,後述する本発明の実施例中の前部作動ピストンの小径ピストン部7fa及び固定ピストン6の小径ピストン部6aに対応し,また前記一方向弁手段はカップシール部材16a,16bに対応する。
【0008】
この第1の特徴によれば,作動ピストンのストローク前半では補助液圧室の液圧を主液圧室に補充し,そのストローク後半では補助液圧室をリザーバに開放することで,作動ピストンの有効加圧面積は,その作動ストローク前半と後半とで大面積から小面積に切り換えられることになり,したがって作動ピストンの限られた作動ストロークにより,負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ,マスタシリンダの全長の短縮化に寄与し得る。
【0009】
しかも,作動ピストンの中空部に補助液圧室を画成したことで,シリンダ本体のシリンダ孔は,従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ,シリンダ本体の製作性が良好である。
【0010】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記制御弁を,主液圧室の液圧が所定値以上になったことに応答して開弁する圧力応動型に構成し,前記制御弁には,リザーバ側から補助液圧室への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁機能を付与したことを第2の特徴とする。
【0011】
この第2の特徴によれば,簡単な構造により,補助液圧室のリザーバへの開放を自動的に行うことができる。また作動ピストンの後退時には制御弁が前記一方向機能を発揮して,リザーバの作動液を補助液圧室に補給することができる。
【0012】
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記制御弁を,リザーバ及び補助液圧室間の流路に並列に接続される一方向弁及び常閉型の電磁弁で構成したことを第3の特徴とする。
【0013】
この第3の特徴によれば,電磁弁の通電条件の設定により,補助液圧室のリザーバへの開放時期,即ち高出力発揮時期を自由に設定することができ,しかも作動ピストンの後退時には,一方向弁を通してリザーバの作動液を補助液圧室に補給することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例に係るタンデム型マスタシリンダの縦断側面図,図2は図1の2部拡大図,図3は図2に対応する作用説明図,図4は本発明の第2実施例を示す図2との対応図,図5は本発明の第3実施例に係るシングル型マスタシリンダの縦断側面図である。
【0016】
先ず,図1において,符号Mは自動車の2系統式ブレーキ用のタンデム型マスタシリンダであり,そのシリンダ本体1の上面に開口する前後一対の作動液入口20f,20rにリザーバRの,作動液を貯留する前後一対の液溜め室21f,21rが接続される。
【0017】
シリンダ本体1には,前端壁を有する前部シリンダ孔2fと,この前部シリンダ孔2fの後端に環状段部を介して同軸に連なる,前部シリンダ孔2fより大径のスリーブ孔3が形成されており,スリーブ孔3には,前方から環状のシールホルダ4,前部スリーブ5f及び後部スリーブ5rが順次嵌合して固定される。その前部スリーブ5f及び後部スリーブ5rの内側は,前部シリンダ孔2fと同径で同軸に並ぶ中央シリンダ孔2s及び後部シリンダ孔2rとされる。したがってこれらシリンダ孔2f,2s,2rは一連のストレートシリンダ孔を構成する。
【0018】
前部シリンダ孔2fには,その前端壁に前端面を当接させる固定ピストン6がシール部材9aを介して嵌装される。この固定ピストン6は,後方へ突出する小径ピストン部6aを一体に有する。中央シリンダ孔2sには前部作動ピストン7fが,また後部シリンダ孔2rには後部作動ピストン7rがそれぞれ摺動可能に嵌装される。前部作動ピストン7fは,その前端面に開口する,後壁を持った中空部8fを有ており,その中空部8fに前記小径ピストン部6aを相対摺動可能に嵌合させている。中空部8fには,固定ピストン6を前部シリンダ孔2fの前端壁側に押し付けると共に,前部作動ピストン7fを後退方向に付勢する前部戻しばね15fが縮設される。
【0019】
而して,前部シリンダ孔2fには,固定ピストン6及び前部作動ピストン7fにより環状の前部主液圧室10fが画成され,小径ピストン部6aの外周には,前部作動ピストン7fの内周面に接して,前部作動ピストン7fの中空部8fから前部主液圧室10fへの一方向のみ作動液の流れを許容する,一方向弁機能をもったカップシール部材16aが装着される。
【0020】
前部作動ピストン7fは,後方へ突出する小径ピストン部7faを一体に有する。また後部作動ピストン7rは,後端壁を持った中空部8rを有しており,この中空部8rに上記小径ピストン7faの後端部が相対摺動可能に嵌装されると共に,中空部8rには,後部作動ピストン7rを後退方向に付勢する後部戻しばね15rが縮設される。この後部戻しばね15rのセット荷重は,前部戻しばね15fのそれより小さく設定される。
【0021】
而して,中央シリンダ孔2sには,スリーブ孔3には,シールホルダ4及び前部スリーブ5fにより環状の液圧室12が画成され,また前部作動ピストン7f及び後部作動ピストン7rにより環状の液圧室13が画成され,この両液圧室12,13は,前部スリーブ5fの内周面又は前部作動ピストン7fの外周に形成される複数条の軸方向溝17(図には,そのうちの一本のみを示す。)により相互に連通されることで,一連の後部主液圧室10rを構成する。この後部主液圧室10rに臨んで前部作動ピストン7fの外周に密接するカップシール部材16eがシールホルダ4に装着される。
【0022】
後部作動ピストン7rの後端壁には,小径ピストン部7faの後端壁の通孔18を貫通する連結ボルト19が植設される。この連結ボルト19の先端には上記後端壁の内側面に当接する膨大頭部19aを一体に有する。この連結ボルト19は,後部作動ピストン7rの,前部作動ピストン7fに対する前進を許容するが,後部作動ピストン7rの後退時には,膨大頭部19aを介して前部作動ピストン7fを引き戻すようになっている。
【0023】
前部及び後部作動ピストン7f,7rの中空部8f,8rと,それらを相互に連通する通孔18とにより一つの補助液圧室11が構成される。
【0024】
前部作動ピストン7fの小径ピストン部7faの後端部には,後部作動ピストン7rの内周面に接するカップシール部材16bが装着され,この後部カップシール部材16bは,補助液圧室11から後部主液圧室10rへの一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁機能を持つ。
【0025】
シリンダ本体1には,前部作動液入口20fを前部作動ピストン7fの外周面に連通する前部サプライポート22fが前記シールホルダ4の前面に隣接した設けられ,この前部サプライポート22fを前部主液圧室10fに連通する環状配列の複数の切欠き溝23fが前部作動ピストン7fの前端部外周面に設けられ,その前端部外周面に接するカップシール部材16cが前部シリンダ孔2fの後端部に装着される。このカップシール部材16cは,これが前部作動ピストン7f外周面の切欠き溝23fが存在する部分に接する前部作動ピストン7fの後退限では,前部サプライポート22f及び前部主液圧室10f間を連通させるが,後部作動ピストン7rが一定量前進して,切欠き溝23fがカップシール部材16cより前方へ移動したときは,前部主液圧室10fから前部サプライポート22fへの作動液の逆流を阻止するようになっている。
【0026】
また後部スリーブ5rには,後部作動液入口20rを後部作動ピストン7rの外周面に連通する後部サプライポート22rが設けられる。この後部サプライポート22rを後部主液圧室10rに連通する環状配列の複数の切欠き溝23rが後部作動ピストン7rの前端部外周面に設けられ,その前端部外周面に接するカップシール部材16dが前部スリーブの後端部に装着される。このカップシール部材216dは,これが後部作動ピストン7r外周面の切欠き溝23rが存在する部分に接する後部作動ピストン7rの後退限では,後部サプライポート22r及び後部主液圧室10r間を連通させるが,後部作動ピストン7rが一定量前進して,切欠き溝23rがカップシール部材16dより前方へ移動したときは,後部主液圧室10rから後部サプライポート22rへの作動液の逆流を阻止するようになっている。
【0027】
前記固定ピストン6には,前部主液圧室10fの圧力が所定値以上に上昇したとき,前記補助液圧室11をリザーバR内に開放する制御弁25が設けられる。この制御弁25について,図2を参照しながら説明する。
【0028】
固定ピストン6には,その前端面に開口する有底の大径シリンダ孔26aと,この大径シリンダ孔26aの底面に開口する小径シリンダ孔26bと,この小径シリンダ孔26bから固定ピストン6の後端面に達する,小径シリンダ孔26bより若干大径の弁ガイド孔27とが設けられ,大小のシリンダ孔26a,26bに,弁座部材28を構成する大径ピストン部28a及び小径ピストン部28bが大小のOリング9b,9cをそれぞれ介して前後摺動可能に嵌装され,その前方摺動を制限すべく,大径ピストン部28aの前端面に対向するストッパ板29が固定ピストン6に係止される。このストッパ板29と大径ピストン部28aとの間には,弁座部材28を後退位置に保持するセットばね30が縮設される。
【0029】
大径ピストン部28a及び小径ピストン部28bには,一連の中空部31が形成されると共に,小径ピストン部28bの後端には,その中空部31に連なる弁座32が形成される。中空部31は,シリンダ本体1に設けられた通路33を介してリザーバR内に連通される。また大径ピストン部28aの前端面は,固定ピストン6に穿設された通孔34を介して前部主液圧室10fに連通していて,前部主液圧室10fの液圧を受けるようになっている。
【0030】
上記弁座32と協働して補助液圧室11及び通路33間を連通,遮断する弁体35と,この弁体35を弁座32との着座方向に付勢する弁ばね36とが前記弁ガイド孔27に収められる。弁ばね36のセット荷重は,前記セットばね30のセット荷重より小さく設定される。また弁座部材28がストッパ板29に当接する前進限まで前進したときは,弁体35は,それに応じて前進しても,途中で弁ガイド孔27の前端壁に当接して停止して,弁座32を開放状態にするようになっている(図3参照)。
【0031】
再び図1において,シリンダ本体1の後端部は,車体に取り付けられる負圧式ブースタBのブースタシェル40の前端壁に結合される。負圧式ブースタBは公知のもので,ブースタシェル40の内部を前部の負圧室41fと後部の作動室41rとに区画するブースタピストン42に反力機構43を介して出力杆44を連結し,この出力杆44に反力機構43を介して入力杆45を連結して構成され,入力杆45及びブースタピストン42間には,入力杆45の進退に応じて作動室41rを大気と負圧室41fとに連通を切り換える切換弁46が設けられる。入力杆45は,図示しないブレーキペダルに,また出力杆44は前記後部作動ピストン7rの後端にそれぞれ連接される。負圧室41fは常時,負圧源に連通している。入力杆45の前進時,作動室41rは負圧室41fと遮断されると共に,大気が導入され,入力杆45への入力は,大気を導入した作動室41rと負圧室41fと間の気圧差により前進作動するブースタピストン42により倍力されて,出力杆44へと伝達され,後部作動ピストン7rを前方へ押圧することになり,入力杆45への入力を解除すると,作動室41rが大気と遮断されると共に負圧室41fと連通され,ブースタピストン42は,負圧室41f内の戻しばね47の付勢力により後退し,同時に出力杆44を後退させることになる。
【0032】
前部主液圧室10fに開口する前部出力ポート14fは,自動車の一方の系統のブレーキの作動油室に接続され,後部主液圧室10rに開口する後部出力ポート14rは,他方の系統のブレーキの作動油室に接続される。
【0033】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0034】
前部主液圧室10f,後部主液圧室10r及び補助液圧室11は,リザーバRから供給された作動液によって満たされている。
【0035】
いま,ブースタBの出力杆44により後部作動ピストン7rを前方に押圧すると,先ず,後部主液圧室10r及び補助液圧室11が加圧され,これによって後部主液圧室10rに発生した液圧は,前部作動ピストン7fを前方に押圧すると共に,後部出力ポート14rから対応する系統のブレーキに供給され,また前部主液圧室10fに発生した液圧は,それに対応する系統のブレーキに供給される。
【0036】
補助液圧室11に発生した液圧は,カップシール部材16aを通して前部主液圧室10fに,またカップシール部材16bを通して後部主液圧室10rに供給される。
【0037】
このときの前部及び後部作動ピストン7f,7rの前部主液圧室10f及び後部主液圧室10rに対するそれぞれの有効加圧面積Aは,各ピストン7f,7rの最大直径をDとすると,
A=πD/4
となる。したがって,前部及び後部作動ピストン7f,7rの比較的少ない前進ストロークにより,比較的多量の作動液を前部及び後部出力ポート14f,14rから送り出すことができ,各系統のブレーキの無効作動間隙を速やかに排除して,ブレーキの応答性を高めることができる。
【0038】
前部主液圧室10fの圧力が所定値以上に上昇すると,即ち,制御弁25において,弁座部材28の大径ピストン部28aの後端面に作用する前部主液圧室10fの液圧による,弁座部材28の推力がセットばね30のセット荷重を超えたとき,弁座部材28は,ストッパ板29に受け止められる前進限まで移動するが,弁体35は前述のように前進途中で停止し,弁座32が開放される結果,補助液圧室11は,弁座32,中空部31及び通路33を通して,大気圧状態のリザーバR内に開放される。このとき,前部及び後部主液圧室10f,10rから補助液圧室11への液圧の逆流は,カップシール部材16a,16bにより阻止される。
【0039】
こうして,補助液圧室11が前部及び後部主液圧室10f,10rの昇圧に関与しなくなると,前部及び後部作動ピストン7f,7rの前部主液圧室10f及び後部主液圧室10rに対するそれぞれの有効加圧面積A′は,各ピストン7f,7rの最大直径をD,前部作動ピストン7fの小径ピストン部7faの直径をdとすると,
A′=π(D−d)/4
と,先刻の場合より減少する。したがって,前部及び後部作動ピストン7f,7rの前進により,前部及び後部主液圧室10f,10rを効果的に増圧せしめ,各系統のブレーキを強力に作動することができる。
【0040】
ブレーキを解除すべく,ブースタBの出力杆44を後退させる,前部及び後部作動ピストン7f,7rは,前部及び後部戻しばね15f,15rの反発力によりそれぞれ図1の状態の後退限まで後退する。このとき,前部主液圧室10fに減圧があれば,リザーバRの前部液溜め室21fの作動液が前部サプライポート22fを通過した後,カップシール部材16cを撓ませながら前部主液圧室10fに補給され,また後部主液圧室10rに減圧があれば,リザーバRの後部液溜め室21rの作動液が後部サプライポート22rを通過した後,カップシール部材16dを撓ませながら後部主液圧室10rに補給される。また補助液圧室11に減圧があれば,制御弁25の弁体35が弁ばね36のセット荷重に抗して開弁して,通路33を通過したリザーバRの作動液が補助液圧室11に補給される。
【0041】
こうして,前部及び後部作動ピストン7f,7rの有効加圧面積を,それらの作動ストローク前半と後半とで切り換えることにより,前部及び後部作動ピストン7f,7rの限りある作動ストロークにより,負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ,マスタシリンダMの全長の短縮化に寄与し得る。しかも,前部及び後部作動ピストン7f,7rの中空部8f,8rを利用して補助液圧室11を画成したことで,シリンダ本体1のシリンダ孔2f,2s,2rは,従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ,シリンダ本体1の製作性が良好である。
【0042】
また制御弁25は,前部主液圧室10fの液圧が所定値以上になったことに応答して開弁する圧力応動型に構成されるので,簡単な構造により,補助液圧室11のリザーバRへの開放を自動的に行うことができる。
【0043】
尚,この第1実施例においては,前部作動ピストン7fの小径ピストン部7faに装着されたカップシール部材16bを,後部作動ピストン7rの中空部8r内周面に常時密接する,一方向弁機能を有しないOリングとすることもできる。この場合,前部及び後部作動ピストン7f,7rの作動により,補助液圧室11で発生した液圧は,前部のカップシール部材16aを通して前部主液圧室10fにのみ供給されることになるが,それによる前部主液圧室10fの急速昇圧は,前部作動ピストン7fを介して後部主液圧室10rの急速昇圧をも生じさせるので,結局,前記と同様に前部及び後部主液圧室10f,10rにそれぞれ連なるブレーキに対して作動液の急速充填を達成することができる。しかも上記Oリングは,後部主液圧室10rと補助液圧室11間を常時遮断するものであるから,各一連の前部液溜め室21f,補助液圧室11及び前部主液圧室10fの系統と,後部液溜め室21r及び後部液圧室10rの系統とが互いに分離されることになり,万一,前部及び後部主液圧室10f,10rの一方に対応する一方のブレーキ系統に液圧リーク等の失陥が発生したときでも,他方の主液圧室及び他方のブレーキ系統への影響を回避することができる。
【0044】
次に,図4に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0045】
この第2実施例では,制御弁25は,リザーバRに連なる通路33と補助液圧室11との間に並列に接続される一方向弁50及び電磁弁51から構成される。一方向弁50は,リザーバR側から補助液圧室11への一方向のみ作動液の流れを許容するものであり,電磁弁51は,通電時に開弁する常閉型である。この電磁弁51は,例えばブースタBの入力杆45の規定の前進量が検知されたときなど,或るブレーキ条件が成立したとき通電されるようになっている。
【0046】
その他の構成は,前実施例と同様であるので,図4中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0047】
この第2実施例によれば,電磁弁51の通電条件の設定により,補助液圧室11のリザーバRへの開放時期,即ち高出力発揮時期を自由に設定することができ,しかも前部作動ピストン7fの後退時には,一方向弁51を通してリザーバRの作動液を補助液圧室11に補給することができる。
【0048】
最後に,図5に示す本発明の第3実施例について説明する。
【0049】
この第3実施例は,本発明をシングル型マスタシリンダM′に適用したものである。このシングル型マスタシリンダM′は,前記第1実施例のタンデム型マスタシリンダMから,後部スリーブ5r,後部作動ピストン7r及び後部主液圧室10rを含む後半部を取り除いて,前部作動ピストン7fを出力杆44により直接押圧するようにしたものに相当する。したがって,図5中,前記タンデム型マスタシリンダMの前半部に対応する部分には同一の参照符号を付して,その構成の説明は省略する。
【0050】
而して,出力杆44により作動ピストン5fを前方に押圧すれば,先ず,主液圧室10f及び補助液圧室11が加圧され,これによって主液圧室10fに発生した液圧は,出力ポート14fから対応する系統のブレーキに供給され,また補助液圧室11に発生した液圧は,カップシール部材16aを通して同じく主液圧室10fに供給される。
【0051】
このときの作動ピストン5fの主液圧室10fに対する有効加圧面積Aは,作動ピストン5fの直径をDとすると,
A=πD/4
となる。したがって,作動ピストン5fの比較的少ない前進ストロークにより,比較的多量の作動液を出力ポート14fから送り出すことができ,ブレーキの無効作動間隙を速やかに排除して,ブレーキの応答性を高めることができる。
【0052】
主液圧室10fの圧力が所定値以上に上昇すると,前記第1実施例と同様に,弁座部材28は,ストッパ板29に受け止められる前進限まで移動するが,弁体35は前述のように前進途中で停止し,弁座32が開放される結果,補助液圧室11は,弁座32,中空部31及び通路33を通して,大気圧状態のリザーバR内に開放される。このとき,主液圧室10fから補助液圧室11への液圧の逆流は,カップシール部材16aにより阻止される。
【0053】
このときの作動ピストン5fの主液圧室10fに対する有効加圧面積A′は,作動ピストン5fの直径をD,固定ピストン6の小径ピストン部6aの直径をdとすると,
A′=π(D−d)/4
と,先刻の場合より減少する。したがって,作動ピストン5fの前進により,主液圧室10fを効果的に増圧せしめ,各系統のブレーキを強力に作動することができる。
【0054】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,マスタシリンダは,作動液を貯留するリザーバと,一連のシリンダ孔を有するシリンダ本体と,前記シリンダ孔に摺動可能に嵌装される作動ピストンと,前記作動ピストンに形成されてその前端面に開口する,後壁を持った中空部に相対摺動可能に嵌装される挿入体と,この挿入体周囲で前記シリンダ孔内に作動ピストンの前端面により画成され,出力ポートに連なる主液圧室と,前記中空部内でその後端壁及び前記挿入体により画成される補助液圧室と,この補助液圧室側から前記主液圧室への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁手段と,所定の条件で開弁して前記補助液圧室を前記リザーバに開放する制御弁とからなるので,作動ピストンの限られた作動ストロークにより,負荷に対する作動液の急速充填と高出力の発揮とを効果的に行うことができ,マスタシリンダの全長の短縮化に寄与し得る。しかも,作動ピストン内に補助液圧室を画成したことで,シリンダ本体のシリンダ孔は,従来一般のマスタシリンダと同様に全長に亙り同径のストレートシリンダ孔とすることができ,シリンダ本体の製作性が良好である。
【0056】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記制御弁を,主液圧室の液圧が所定値以上になったことに応答して開弁する圧力応動型に構成し,前記制御弁には,リザーバ側から補助液圧室への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁機能を付与したので,簡単な構造により,補助液圧室のリザーバへの開放を自動的に行うことができ,また作動ピストンの後退時には制御弁が前記一方向機能を発揮して,リザーバの作動液を補助液圧室に補給することができる。
【0057】
さらにまた本発明の第3の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記制御弁を,リザーバ及び補助液圧室間の流路に並列に接続される一方向弁及び常閉型の電磁弁で構成したので,電磁弁の通電条件の設定により,補助液圧室のリザーバへの開放時期,即ち高出力発揮時期を自由に設定することができ,しかも作動ピストンの後退時には,一方向弁を通してリザーバの作動液を補助液圧室に補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るタンデム型マスタシリンダの縦断側面図
【図2】図1の2部拡大図
【図3】図2に対応する作用説明図
【図4】本発明の第2実施例を示す図2との対応図
【図5】本発明の第3実施例に係るシングル型マスタシリンダの縦断側面図
【符号の説明】
M・・・・・・・・・マスタシリンダ(タンデム型)
M′・・・・・・・・マスタシリンダ(シングル型)
R・・・・・・・・・リザーバ
1・・・・・・・・・シリンダ本体
2f,2s,2r・・シリンダ孔
6a,7fa・・・・挿入体
7f,7r・・・・・作動ピストン
8f,8r・・・・・中空部
10f,10r・・・主液圧室
11・・・・・・・・補助液圧室
14f,14r・・・出力ポート
16a,16b・・・一方向弁手段(カップシール)
25・・・・・・・・制御弁
50・・・・・・・・一方向弁
51・・・・・・・・電磁弁

Claims (3)

  1. 作動液を貯留するリザーバ(R)と,一連のシリンダ孔(2f,2s,2r)を有するシリンダ本体(1)と,前記シリンダ孔(2f,2s,2r)に摺動可能に嵌装される作動ピストン(7f,7r)と,前記作動ピストン(7f,7r)に形成されてその前端面に開口する,後壁を持った中空部(8f,8r)に相対摺動可能に嵌装される挿入体(6a,7fa)と,この挿入体(6,7fa)周囲で前記シリンダ孔(2f,2s,2r)内に作動ピストン(7f,7r)の前端面により画成され,出力ポート(14f,14r)に連なる主液圧室(10f,10r)と,前記中空部(8f,8r)内でその後端壁及び前記挿入体(6a,7fa)により画成される補助液圧室(11)と,この補助液圧室(11)側から前記主液圧室(10f,10r)への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁手段(16a,16b)と,所定の条件で開弁して前記補助液圧室(11)を前記リザーバ(R)に開放する制御弁(25)とからなることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 請求項1記載のマスタシリンダにおいて,
    前記制御弁(25)を,主液圧室(10f,10r)の液圧が所定値以上になったことに応答して開弁する圧力応動型に構成し,前記制御弁(25)には,リザーバ(R)側から補助液圧室(11)への一方向のみ作動液の流れを許容する一方向弁機能を付与したことを特徴とするマスタシリンダ。
  3. 請求項1記載のマスタシリンダにおいて,
    前記制御弁(25)を,リザーバ(R)及び補助液圧室(11)間の流路に並列に接続される一方向弁(50)及び常閉型の電磁弁(51)で構成したことを特徴とするマスタシリンダ。
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