JP2004167785A - 射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高速に射出成形品の最終形状を予測する。
【解決手段】金型のキャビティ内に樹脂を充填した後、キャビティ内においてその樹脂がその温度の低下とともにどのような接触状態となるのかを演算しておく。次に、樹脂成形品を金型から取り出すときの温度分布を、あらかじめ演算しておいた前記接触状態とその接触状態における熱伝達係数に基づいて演算する。最後に、金型から取り出した樹脂成形品が常温になったときの最終形状を予測する。
【選択図】 なし
【解決手段】金型のキャビティ内に樹脂を充填した後、キャビティ内においてその樹脂がその温度の低下とともにどのような接触状態となるのかを演算しておく。次に、樹脂成形品を金型から取り出すときの温度分布を、あらかじめ演算しておいた前記接触状態とその接触状態における熱伝達係数に基づいて演算する。最後に、金型から取り出した樹脂成形品が常温になったときの最終形状を予測する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、より高速に射出成形品の最終形状を予測することができる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形品の形状を精密に予測するため種々のシミュレーション方法が用いられている。下記特許文献1では、射出成形用の金型とその金型のキャビティに注入される樹脂との界面の熱伝達係数をその金型の温度に応じて変化させることによって、成形過程における樹脂の物理的挙動の予測がより正確に行われるようにしている。また、下記特許文献2では、キャビティに注入された樹脂の冷却過程において樹脂と金型との部分的な接触状況を判断し、接触している部分は接触温度が同一になるように熱通過率を設定し、接触していない部分は空間部分(金型表面と樹脂表面の間の部分)が断熱状態になるように熱伝達率を設定し、より高精度の形状予測ができるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−289076号公報
【特許文献2】
特開2001−293748号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来のシミュレーション方法では、非常に短い時間を1ステップとしてシミュレーションの計算を行っているため、射出成形品の最終的な形状を予測するためには膨大な計算が必要であり、シミュレーションには日単位の時間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような従来のシミュレーションの時間を短縮するためになされたものであり、より高速に射出成形品の形状を予測することができる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、発明にかかる射出成形シミュレーション装置は、樹脂成形品のCADデータを記憶するCADデータ記憶手段と、当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成手段と、前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成手段と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を記憶する物理的条件記憶手段と、前記キャビティ表面モデルから形成されるキャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂とキャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算手段と、演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶手段と、前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率をそれらの接触状態ごとに記憶する熱伝達率記憶手段と、前記キャビティ内に樹脂を充填したときの当該樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記熱伝達率を用いて演算し、その後の温度分布は、前記物理的条件に加え前記接触状態を勘案した熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算手段と、前記金型から取り出された樹脂成形品の温度が常温まで低下したときの当該樹脂成形品の形状を演算する樹脂成形品形状演算手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、発明にかかる射出成形シミュレーション方法は、樹脂成形品のCADデータを入力するCADデータ入力段階と、当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成段階と、前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成段階と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を入力する物理的条件入力段階と、前記キャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算段階と、演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶段階と、前記キャビティ内に樹脂を充填した後の前記樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算段階と、演算された前記樹脂の温度分布と記憶されている前記温度ごとの接触状態とに基づいて前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を演算する接触状態演算段階と、前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態に応じて前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を選定する熱伝達率選定段階と、前記樹脂温度分布演算段階、前記接触状態演算段階、前記熱伝達率選定段階を前記金型のキャビティ内に樹脂を充填してから所望の時間経過するまで繰り返す段階と、前記樹脂成形品を前記金型から取り出す段階と、前記樹脂成形品の温度が常温になったときの当該樹脂成形品の形状を演算する段階と、を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、金型のキャビティに充填された樹脂がその温度の低下とともにキャビティ表面に対してどのような接触状態を呈するのか(熱変形解析)をあらかじめ演算しておき、その接触状態に応じた熱伝達係数を用いて樹脂の温度分布(流動解析)を計算するようにしたため、流動解析を行う際に、熱変形解析を一緒に行う必要がなくなる。このため、流動解析が高速に行えるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明にかかる射出成形シミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。射出成形シミュレーション装置100は、金型のキャビティ内に充填された樹脂がその温度の低下とともに概略どのように変形するかという熱変形解析を行う熱変形解析装置120と、熱変形解析装置120によってあらかじめ解析されている熱変形解析結果を用いて、キャビティ表面と樹脂との接触状態に応じた熱伝達系係数を選定し、金型から取り出されたときの樹脂成形品の温度分布を予測するための流動解析を行う流動解析装置140を備えている。
【0011】
熱変形解析装置120には、樹脂成形品のCADデータを記憶するCADデータ記憶部122と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために金型と当該樹脂の物理的条件を記憶する物理的条件記憶部124とが接続される。物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件には、少なくとも、金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率が含まれる。
【0012】
熱変形解析装置120は、CADデータに基づいて樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成部126と、樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成部128と、キャビティ表面モデルから形成されるキャビティ内に樹脂を充填した後この樹脂を金型から取り出すまでの間の樹脂とキャビティ表面との接触状態を、物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件を用いて樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算部130とを備えている。なお、熱変形解析装置120には、演算された樹脂とキャビティ表面との接触状態を温度ごとに記憶する接触状態記憶部132も接続される。また、有限要素モデル作成部126とキャビティ表面モデル作成部128でモデル作成部が構成される。
【0013】
流動解析装置140には、物理的条件記憶部124、接触状態記憶部132、樹脂とキャビティ表面との間の熱伝達率をそれらの接触状態ごとに記憶する熱伝達率記憶部142が接続される。また、樹脂成形品のシミュレーションの結果などを表示する表示部144も接続される。
【0014】
流動解析装置140は、金型のキャビティ内に樹脂を充填したときの樹脂の温度分布を物理的条件記憶部124に記憶されている物理的条件と熱伝達率記憶部142に記憶されている熱伝達率を用いて演算し、その後の温度分布は、前記物理的条件に加え接触状態記憶部132に記憶されている接触状態に基づいて熱伝達率記憶部142から選定した熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算部146と、金型から取り出された樹脂成形品の温度が常温まで低下したときの当該樹脂成形品の形状を演算する樹脂成形品形状演算部148とを備えている。
【0015】
本発明にかかる射出成形シミュレーション方法は、上記の射出成形シミュレーション装置によって実行される。次に、本発明にかかる射出成形シミュレーション方法を示した図2および図3のフローチャートを、図1、図4、図5を必要に応じて参照しながら説明する。
【0016】
図2は、金型のキャビティに充填された樹脂がその温度の低下とともにキャビティ表面に対してどのような接触状態を呈するのかを演算するための、熱変形解析に関するフローチャートである。熱変形解析では、金型のキャビティに樹脂を充填した後、樹脂の温度変化に応じて樹脂がキャビティ表面に対してどの程度のギャップでまたはどの程度の圧力で離間接触するのかを解析する。なお、この熱変形解析では、解析速度を上げるために、キャビティへの充填直後の樹脂の温度分布は正確に求めるが、以降の温度分布は時間とともに均一に低下すると仮定して解析を行っている。
【0017】
まず、有限要素モデル作成部126は、CADデータ記憶部から樹脂成形品のCADデータを入力する(S1)。次に、有限要素モデル作成部126は、入力したCADデータに基づいて樹脂成形品の有限要素モデルを作成する(S2)。なお、作成される有限要素モデルは、シェル要素を用いたモデルまたはソリッド要素を用いたモデルのいずれかである。シェル要素を用いると、ソリッド要素でモデリングする場合に比較して、素数、節点数が少なくて済むので、シミュレーション時間が短縮できる。CADデータに基づいてこれらのモデルを作成する手法は、従来から一般的に用いられているものを用いる。
【0018】
次に、キャビティ表面モデル作成部128は、有限要素モデル作成部126によって作成された樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて、樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを作成する(S3)。具体的には、有限要素モデルがシェル要素を用いたモデルであれば、当該シェル要素を用いたモデルをその位置を中心に半分の距離をオフセットさせて前記キャビティ表面モデルを作成し、有限要素モデルがソリッド要素を用いたモデルであれば、当該モデルの表面に沿うように前記キャビティ表面モデルを作成する。例えば、シェル要素を用いた有限要素モデルでキャビティ表面モデルを作成すると図4に示すような形態となる。樹脂成形品の有限要素モデルがあれば、金型のCADデータがなくともキャビティ表面のモデルが作成できる。金型のCADデータを使用してキャビティ表面のモデルを作成する場合に比較すれば、短時間でモデルの作成が可能である。
【0019】
キャビティ表面接触状態演算部130は、物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件(金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率)を入力する(S4)。そして、キャビティ表面接触状態演算部130は、入力した金型と樹脂の物理的条件を用いて、キャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を金型から取り出すまでの間の樹脂とキャビティ表面との接触状態を演算し、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションする(S5)。
【0020】
このシミュレーションは、具体的には次のようにして行われる。金型と樹脂の物理的条件としては、金型を剛体として扱うためにその線膨張率は0に設定し、樹脂の線膨張率は樹脂の種類に応じて適宜最適な数値を設定する。また、金型の弾性率は樹脂の100倍以上の値に設定する。さらに、金型と樹脂の接触面の接触条件(金型温度、樹脂温度)を設定し、樹脂の温度をキャビティ内に充填された直後の平気温度から金型から取り出される直前の平均温度まで低下させる。これらの条件に基づいて、樹脂の平均温度が任意の温度のときの、樹脂とキャビティとのギャップの発生方向、その発生位置、ギャップの大きさ(距離)、樹脂のキャビティへの面圧を求める。樹脂の温度がある温度のときのシミュレーションの結果を図で示すと、図5に示すようになる。図では、シミュレーションの結果が解かりかすくなるように樹脂の変形状態を誇張して描いている。
【0021】
金型200のキャビティ210内には樹脂220が充填されるが、樹脂の温度が低下してくると、図に示すように樹脂の形状がキャビティ210内で変形する。シミュレーションでは、この変形状態を求めて、キャビティのどの位置でどの方向に(キャビティ210のどちら側に)どの程度のギャップGが生じているのか、また、キャビティのどの位置でどの方向に樹脂220がどの程度の圧力で接しているのかを求める。なお、このシミュレーションの手法も従来から一般的に用いられている手法を用いる。S5のシミュレーションによって、樹脂とキャビティ表面との接触状態、すなわち、樹脂とキャビティ表面とのギャップの発生位置、方向、大きさ、面圧の発生位置、方向、大きさが樹脂の温度ごとにわかる。
【0022】
次に、キャビティ表面接触状態演算部130は、S5のステップで演算された樹脂とキャビティ表面との接触状態を、接触状態記憶部132に記憶させる(S6)。したがって、接触状態記憶部132のデータを見れば、樹脂がある温度のときの樹脂とキャビティ表面との接触状態は一目瞭然である。
【0023】
図3は、図2のフローチャートで求めた樹脂とキャビティ表面との接触状態を用いて、その接触状態に応じた熱伝達係数を選定することによって樹脂の温度分布を計算するための、流動解析に関するフローチャートである。流動解析では、金型のキャビティに樹脂を充填した後、キャビティ内の樹脂の温度が時間の経過とともにどのように低下していくのかを、金型から取り出される直前まで解析する。この解析によって、金型から取り出された時点の樹脂成形品の温度分布が正確に求められる。
【0024】
まず、樹脂温度分布演算部146は、あらかじめ設定された温度の樹脂をキャビティ内に充填した後の当該樹脂の温度分布を、物理的条件記憶部124に記憶されている物理的条件と熱伝達率記憶部142に記憶されている、樹脂とキャビティ表面との間の熱伝達率に基づいて演算する(S7)。樹脂をキャビティ内に充填した直後では、樹脂とキャビティ表面との間にはギャップがなく、キャビティ表面に対する面圧はほぼ均一である。
【0025】
樹脂を充填してから時間が経つにつれて、樹脂の温度は低下してくるので、次に、樹脂温度分布演算部146は、演算した樹脂の温度に該当する接触状態を接触状態記憶部132から取り出し、樹脂とキャビティ表面との接触状態を演算する(S8)。すなわち、樹脂とキャビティ表面とのギャップの発生位置、方向、大きさ、面圧の発生位置、方向、大きさを演算する。
【0026】
次に、樹脂温度分布演算部146は、S8の演算結果に基づいて、熱伝達率記憶部142に記憶されている熱伝達率を選定する(S9)。熱伝達率記憶部142には、樹脂温度、ギャップの大きさ、面圧などの要素に対する熱伝達率が記憶されている。例えば、キャビティ内の各部でどの程度のギャップが生じているかがわかれば、このギャップと熱伝達率との関係(接触状態と熱伝達率との関係)が記憶されている熱伝達率記憶部142から、そのギャップに見合った熱伝達率を選定することができる。
【0027】
以上のS7からS9までの処理は、金型のキャビティ内に樹脂を充填してから所望の時間経過するまで繰り返す(S10)。なお、上記の処理を繰り返す時間間隔は、流動解析結果に要求される精度に応じて例えば100分の1秒という微小時間に設定される。以上までの処理によって、樹脂成形品が金型から取り出される直前の当該樹脂成形品の正確な温度分布が求められる。
【0028】
キャビティ内に樹脂が注入されてから所定の時間が経過すると、樹脂は完全に固化し、樹脂成形品となる。この樹脂成形品を金型から擬似的に取り出す(S11)。
【0029】
最後に、樹脂成形品形状演算部148は、樹脂温度分布演算部146によって演算された樹脂成形品の温度分布に基づいて、樹脂成形品の温度が常温になったときの当該樹脂成形品の形状を演算する(S12)。この演算は、一般的に用いられている解析手法を用いて行う。
【0030】
以上のように、本発明では、熱変形解析を行いながら流動解析を行う従来のシミュレーションとは異なり、まず、熱変形解析を行っておいて、その結果を用いながら流動解析を行っている。したがって、シミュレーションに要する時間は大幅に改善される。
【0031】
なお、本発明によるシミュレーション結果を従来の手法によるシミュレーション結果と比較してみたところ、金型から取り出す直前の樹脂成形品の温度分布はほぼ同じ結果であった。したがって、その樹脂成形品が常温になった時点での最終形状は正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる射出成形シミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる射出成形シミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明にかかる射出成形シミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】シェル要素を用いた有限要素モデルで作成したキャビティ表面モデルの一例を示す図である。
【図5】樹脂の温度がある温度のときのシミュレーションの結果を示す図である。
【符号の説明】
100…射出成形シミュレーション装置、
120…熱変形解析装置、
122…CADデータ記憶部、
124…物理的条件記憶部、
126…有限要素モデル作成部、
128…キャビティ表面モデル作成部、
130…キャビティ表面接触状態演算部、
132…接触状態記憶部、
140…流動解析装置、
142…熱伝達率記憶部、
144…表示部、
146…樹脂温度分布演算部、
148…樹脂成形品形状演算部、
200…金型、
210…キャビティ、
220…樹脂。
【発明の属する技術分野】
本発明は、より高速に射出成形品の最終形状を予測することができる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形品の形状を精密に予測するため種々のシミュレーション方法が用いられている。下記特許文献1では、射出成形用の金型とその金型のキャビティに注入される樹脂との界面の熱伝達係数をその金型の温度に応じて変化させることによって、成形過程における樹脂の物理的挙動の予測がより正確に行われるようにしている。また、下記特許文献2では、キャビティに注入された樹脂の冷却過程において樹脂と金型との部分的な接触状況を判断し、接触している部分は接触温度が同一になるように熱通過率を設定し、接触していない部分は空間部分(金型表面と樹脂表面の間の部分)が断熱状態になるように熱伝達率を設定し、より高精度の形状予測ができるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−289076号公報
【特許文献2】
特開2001−293748号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来のシミュレーション方法では、非常に短い時間を1ステップとしてシミュレーションの計算を行っているため、射出成形品の最終的な形状を予測するためには膨大な計算が必要であり、シミュレーションには日単位の時間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような従来のシミュレーションの時間を短縮するためになされたものであり、より高速に射出成形品の形状を予測することができる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、発明にかかる射出成形シミュレーション装置は、樹脂成形品のCADデータを記憶するCADデータ記憶手段と、当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成手段と、前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成手段と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を記憶する物理的条件記憶手段と、前記キャビティ表面モデルから形成されるキャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂とキャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算手段と、演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶手段と、前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率をそれらの接触状態ごとに記憶する熱伝達率記憶手段と、前記キャビティ内に樹脂を充填したときの当該樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記熱伝達率を用いて演算し、その後の温度分布は、前記物理的条件に加え前記接触状態を勘案した熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算手段と、前記金型から取り出された樹脂成形品の温度が常温まで低下したときの当該樹脂成形品の形状を演算する樹脂成形品形状演算手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、発明にかかる射出成形シミュレーション方法は、樹脂成形品のCADデータを入力するCADデータ入力段階と、当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成段階と、前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成段階と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を入力する物理的条件入力段階と、前記キャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算段階と、演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶段階と、前記キャビティ内に樹脂を充填した後の前記樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算段階と、演算された前記樹脂の温度分布と記憶されている前記温度ごとの接触状態とに基づいて前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を演算する接触状態演算段階と、前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態に応じて前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を選定する熱伝達率選定段階と、前記樹脂温度分布演算段階、前記接触状態演算段階、前記熱伝達率選定段階を前記金型のキャビティ内に樹脂を充填してから所望の時間経過するまで繰り返す段階と、前記樹脂成形品を前記金型から取り出す段階と、前記樹脂成形品の温度が常温になったときの当該樹脂成形品の形状を演算する段階と、を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、金型のキャビティに充填された樹脂がその温度の低下とともにキャビティ表面に対してどのような接触状態を呈するのか(熱変形解析)をあらかじめ演算しておき、その接触状態に応じた熱伝達係数を用いて樹脂の温度分布(流動解析)を計算するようにしたため、流動解析を行う際に、熱変形解析を一緒に行う必要がなくなる。このため、流動解析が高速に行えるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明にかかる射出成形シミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。射出成形シミュレーション装置100は、金型のキャビティ内に充填された樹脂がその温度の低下とともに概略どのように変形するかという熱変形解析を行う熱変形解析装置120と、熱変形解析装置120によってあらかじめ解析されている熱変形解析結果を用いて、キャビティ表面と樹脂との接触状態に応じた熱伝達系係数を選定し、金型から取り出されたときの樹脂成形品の温度分布を予測するための流動解析を行う流動解析装置140を備えている。
【0011】
熱変形解析装置120には、樹脂成形品のCADデータを記憶するCADデータ記憶部122と、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために金型と当該樹脂の物理的条件を記憶する物理的条件記憶部124とが接続される。物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件には、少なくとも、金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率が含まれる。
【0012】
熱変形解析装置120は、CADデータに基づいて樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成部126と、樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成部128と、キャビティ表面モデルから形成されるキャビティ内に樹脂を充填した後この樹脂を金型から取り出すまでの間の樹脂とキャビティ表面との接触状態を、物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件を用いて樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算部130とを備えている。なお、熱変形解析装置120には、演算された樹脂とキャビティ表面との接触状態を温度ごとに記憶する接触状態記憶部132も接続される。また、有限要素モデル作成部126とキャビティ表面モデル作成部128でモデル作成部が構成される。
【0013】
流動解析装置140には、物理的条件記憶部124、接触状態記憶部132、樹脂とキャビティ表面との間の熱伝達率をそれらの接触状態ごとに記憶する熱伝達率記憶部142が接続される。また、樹脂成形品のシミュレーションの結果などを表示する表示部144も接続される。
【0014】
流動解析装置140は、金型のキャビティ内に樹脂を充填したときの樹脂の温度分布を物理的条件記憶部124に記憶されている物理的条件と熱伝達率記憶部142に記憶されている熱伝達率を用いて演算し、その後の温度分布は、前記物理的条件に加え接触状態記憶部132に記憶されている接触状態に基づいて熱伝達率記憶部142から選定した熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算部146と、金型から取り出された樹脂成形品の温度が常温まで低下したときの当該樹脂成形品の形状を演算する樹脂成形品形状演算部148とを備えている。
【0015】
本発明にかかる射出成形シミュレーション方法は、上記の射出成形シミュレーション装置によって実行される。次に、本発明にかかる射出成形シミュレーション方法を示した図2および図3のフローチャートを、図1、図4、図5を必要に応じて参照しながら説明する。
【0016】
図2は、金型のキャビティに充填された樹脂がその温度の低下とともにキャビティ表面に対してどのような接触状態を呈するのかを演算するための、熱変形解析に関するフローチャートである。熱変形解析では、金型のキャビティに樹脂を充填した後、樹脂の温度変化に応じて樹脂がキャビティ表面に対してどの程度のギャップでまたはどの程度の圧力で離間接触するのかを解析する。なお、この熱変形解析では、解析速度を上げるために、キャビティへの充填直後の樹脂の温度分布は正確に求めるが、以降の温度分布は時間とともに均一に低下すると仮定して解析を行っている。
【0017】
まず、有限要素モデル作成部126は、CADデータ記憶部から樹脂成形品のCADデータを入力する(S1)。次に、有限要素モデル作成部126は、入力したCADデータに基づいて樹脂成形品の有限要素モデルを作成する(S2)。なお、作成される有限要素モデルは、シェル要素を用いたモデルまたはソリッド要素を用いたモデルのいずれかである。シェル要素を用いると、ソリッド要素でモデリングする場合に比較して、素数、節点数が少なくて済むので、シミュレーション時間が短縮できる。CADデータに基づいてこれらのモデルを作成する手法は、従来から一般的に用いられているものを用いる。
【0018】
次に、キャビティ表面モデル作成部128は、有限要素モデル作成部126によって作成された樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて、樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを作成する(S3)。具体的には、有限要素モデルがシェル要素を用いたモデルであれば、当該シェル要素を用いたモデルをその位置を中心に半分の距離をオフセットさせて前記キャビティ表面モデルを作成し、有限要素モデルがソリッド要素を用いたモデルであれば、当該モデルの表面に沿うように前記キャビティ表面モデルを作成する。例えば、シェル要素を用いた有限要素モデルでキャビティ表面モデルを作成すると図4に示すような形態となる。樹脂成形品の有限要素モデルがあれば、金型のCADデータがなくともキャビティ表面のモデルが作成できる。金型のCADデータを使用してキャビティ表面のモデルを作成する場合に比較すれば、短時間でモデルの作成が可能である。
【0019】
キャビティ表面接触状態演算部130は、物理的条件記憶部124に記憶されている金型と樹脂の物理的条件(金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率)を入力する(S4)。そして、キャビティ表面接触状態演算部130は、入力した金型と樹脂の物理的条件を用いて、キャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を金型から取り出すまでの間の樹脂とキャビティ表面との接触状態を演算し、樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションする(S5)。
【0020】
このシミュレーションは、具体的には次のようにして行われる。金型と樹脂の物理的条件としては、金型を剛体として扱うためにその線膨張率は0に設定し、樹脂の線膨張率は樹脂の種類に応じて適宜最適な数値を設定する。また、金型の弾性率は樹脂の100倍以上の値に設定する。さらに、金型と樹脂の接触面の接触条件(金型温度、樹脂温度)を設定し、樹脂の温度をキャビティ内に充填された直後の平気温度から金型から取り出される直前の平均温度まで低下させる。これらの条件に基づいて、樹脂の平均温度が任意の温度のときの、樹脂とキャビティとのギャップの発生方向、その発生位置、ギャップの大きさ(距離)、樹脂のキャビティへの面圧を求める。樹脂の温度がある温度のときのシミュレーションの結果を図で示すと、図5に示すようになる。図では、シミュレーションの結果が解かりかすくなるように樹脂の変形状態を誇張して描いている。
【0021】
金型200のキャビティ210内には樹脂220が充填されるが、樹脂の温度が低下してくると、図に示すように樹脂の形状がキャビティ210内で変形する。シミュレーションでは、この変形状態を求めて、キャビティのどの位置でどの方向に(キャビティ210のどちら側に)どの程度のギャップGが生じているのか、また、キャビティのどの位置でどの方向に樹脂220がどの程度の圧力で接しているのかを求める。なお、このシミュレーションの手法も従来から一般的に用いられている手法を用いる。S5のシミュレーションによって、樹脂とキャビティ表面との接触状態、すなわち、樹脂とキャビティ表面とのギャップの発生位置、方向、大きさ、面圧の発生位置、方向、大きさが樹脂の温度ごとにわかる。
【0022】
次に、キャビティ表面接触状態演算部130は、S5のステップで演算された樹脂とキャビティ表面との接触状態を、接触状態記憶部132に記憶させる(S6)。したがって、接触状態記憶部132のデータを見れば、樹脂がある温度のときの樹脂とキャビティ表面との接触状態は一目瞭然である。
【0023】
図3は、図2のフローチャートで求めた樹脂とキャビティ表面との接触状態を用いて、その接触状態に応じた熱伝達係数を選定することによって樹脂の温度分布を計算するための、流動解析に関するフローチャートである。流動解析では、金型のキャビティに樹脂を充填した後、キャビティ内の樹脂の温度が時間の経過とともにどのように低下していくのかを、金型から取り出される直前まで解析する。この解析によって、金型から取り出された時点の樹脂成形品の温度分布が正確に求められる。
【0024】
まず、樹脂温度分布演算部146は、あらかじめ設定された温度の樹脂をキャビティ内に充填した後の当該樹脂の温度分布を、物理的条件記憶部124に記憶されている物理的条件と熱伝達率記憶部142に記憶されている、樹脂とキャビティ表面との間の熱伝達率に基づいて演算する(S7)。樹脂をキャビティ内に充填した直後では、樹脂とキャビティ表面との間にはギャップがなく、キャビティ表面に対する面圧はほぼ均一である。
【0025】
樹脂を充填してから時間が経つにつれて、樹脂の温度は低下してくるので、次に、樹脂温度分布演算部146は、演算した樹脂の温度に該当する接触状態を接触状態記憶部132から取り出し、樹脂とキャビティ表面との接触状態を演算する(S8)。すなわち、樹脂とキャビティ表面とのギャップの発生位置、方向、大きさ、面圧の発生位置、方向、大きさを演算する。
【0026】
次に、樹脂温度分布演算部146は、S8の演算結果に基づいて、熱伝達率記憶部142に記憶されている熱伝達率を選定する(S9)。熱伝達率記憶部142には、樹脂温度、ギャップの大きさ、面圧などの要素に対する熱伝達率が記憶されている。例えば、キャビティ内の各部でどの程度のギャップが生じているかがわかれば、このギャップと熱伝達率との関係(接触状態と熱伝達率との関係)が記憶されている熱伝達率記憶部142から、そのギャップに見合った熱伝達率を選定することができる。
【0027】
以上のS7からS9までの処理は、金型のキャビティ内に樹脂を充填してから所望の時間経過するまで繰り返す(S10)。なお、上記の処理を繰り返す時間間隔は、流動解析結果に要求される精度に応じて例えば100分の1秒という微小時間に設定される。以上までの処理によって、樹脂成形品が金型から取り出される直前の当該樹脂成形品の正確な温度分布が求められる。
【0028】
キャビティ内に樹脂が注入されてから所定の時間が経過すると、樹脂は完全に固化し、樹脂成形品となる。この樹脂成形品を金型から擬似的に取り出す(S11)。
【0029】
最後に、樹脂成形品形状演算部148は、樹脂温度分布演算部146によって演算された樹脂成形品の温度分布に基づいて、樹脂成形品の温度が常温になったときの当該樹脂成形品の形状を演算する(S12)。この演算は、一般的に用いられている解析手法を用いて行う。
【0030】
以上のように、本発明では、熱変形解析を行いながら流動解析を行う従来のシミュレーションとは異なり、まず、熱変形解析を行っておいて、その結果を用いながら流動解析を行っている。したがって、シミュレーションに要する時間は大幅に改善される。
【0031】
なお、本発明によるシミュレーション結果を従来の手法によるシミュレーション結果と比較してみたところ、金型から取り出す直前の樹脂成形品の温度分布はほぼ同じ結果であった。したがって、その樹脂成形品が常温になった時点での最終形状は正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる射出成形シミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる射出成形シミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明にかかる射出成形シミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】シェル要素を用いた有限要素モデルで作成したキャビティ表面モデルの一例を示す図である。
【図5】樹脂の温度がある温度のときのシミュレーションの結果を示す図である。
【符号の説明】
100…射出成形シミュレーション装置、
120…熱変形解析装置、
122…CADデータ記憶部、
124…物理的条件記憶部、
126…有限要素モデル作成部、
128…キャビティ表面モデル作成部、
130…キャビティ表面接触状態演算部、
132…接触状態記憶部、
140…流動解析装置、
142…熱伝達率記憶部、
144…表示部、
146…樹脂温度分布演算部、
148…樹脂成形品形状演算部、
200…金型、
210…キャビティ、
220…樹脂。
Claims (8)
- 樹脂成形品のCADデータを記憶するCADデータ記憶手段と、
当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成手段と、
前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成手段と、
樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を記憶する物理的条件記憶手段と、
前記キャビティ表面モデルから形成されるキャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂とキャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算手段と、
演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶手段と、
前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率をそれらの接触状態ごとに記憶する熱伝達率記憶手段と、
前記キャビティ内に樹脂を充填したときの当該樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記熱伝達率を用いて演算し、その後の温度分布は、前記物理的条件に加え前記接触状態を勘案した熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算手段と、
前記金型から取り出された樹脂成形品の温度が常温まで低下したときの当該樹脂成形品の形状を演算する樹脂成形品形状演算手段と、
を有することを特徴とする射出成形シミュレーション装置。 - 前記金型と前記樹脂の物理的条件は、金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率を含むことを特徴とする請求項1に記載の射出成形シミュレーション装置。
- 前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態は、前記樹脂と前記キャビティ表面との隙間の大きさで示されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形シミュレーション装置。
- 樹脂成形品のCADデータを入力するCADデータ入力段階と、
当該CADデータに基づいて当該樹脂成形品の有限要素モデルを作成する有限要素モデル作成段階と、
前記樹脂成形品を製造する金型のキャビティ表面モデルを当該樹脂成形品の有限要素モデルに基づいて作成するキャビティ表面モデル作成段階と、
樹脂の温度変化に伴う挙動をシミュレーションするために前記金型と当該樹脂の物理的条件を入力する物理的条件入力段階と、
前記キャビティ内に樹脂を充填した後当該樹脂を前記金型から取り出すまでの間の前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を、前記金型と前記樹脂の物理的条件を用いて前記樹脂の温度ごとに演算するキャビティ表面接触状態演算段階と、
演算された前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を前記温度ごとに記憶する接触状態記憶段階と、
前記キャビティ内に樹脂を充填した後の前記樹脂の温度分布を前記物理的条件と前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を用いて演算する樹脂温度分布演算段階と、
演算された前記樹脂の温度分布と記憶されている前記温度ごとの接触状態とに基づいて前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態を演算する接触状態演算段階と、
前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態に応じて前記樹脂と前記キャビティ表面との間の熱伝達率を選定する熱伝達率選定段階と、
前記樹脂温度分布演算段階、前記接触状態演算段階、前記熱伝達率選定段階を前記金型のキャビティ内に樹脂を充填してから所望の時間経過するまで繰り返す段階と、
前記樹脂成形品を前記金型から取り出す段階と、
前記樹脂成形品の温度が常温になったときの当該樹脂成形品の形状を演算する段階と、
を含むことを特徴とする射出成形シミュレーション方法。 - 前記有限要素モデルは、シェル要素を用いたモデルまたはソリッド要素を用いたモデルのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の射出成形シミュレーション方法。
- 前記キャビティ表面モデル作成段階では、前記有限要素モデルがシェル要素を用いたモデルであれば、当該シェル要素を用いたモデルをその位置を中心に半分の距離をオフセットさせて前記キャビティ表面モデルを作成し、前記有限要素モデルがソリッド要素を用いたモデルであれば、当該モデルの表面に沿うように前記キャビティ表面モデルを作成することを特徴とする請求項4に記載の射出成形シミュレーション方法。
- 前記金型と前記樹脂の物理的条件は、金型、樹脂それぞれの線膨張率、弾性率を含むことを特徴とする請求項4に記載の射出成形シミュレーション装置。
- 前記樹脂と前記キャビティ表面との接触状態は、前記樹脂と前記キャビティ表面との隙間の大きさで示されることを特徴とする請求項4に記載の射出成形シミュレーション方法。
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JP2002335075A JP2004167785A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 射出成形シミュレーション装置および射出成形シミュレーション方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011528829A (ja) * | 2008-07-21 | 2011-11-24 | カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー | 原型ツールの製作方法及び装置 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002335075A patent/JP2004167785A/ja not_active Withdrawn
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