JP2004166628A - α−グルコシダーゼ阻害剤の製造方法 - Google Patents

α−グルコシダーゼ阻害剤の製造方法 Download PDF

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Hiroyuki Fujita
裕之 藤田
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Abstract

【課題】強い阻害活性を示すα−グルコシダーゼ阻害剤を収率良く製造する方法を提供すること。
【解決手段】含水率40重量%以上の蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類をアスペルギルス属のかびを用いて固形培養を開始し、培養中に含水率を5重量%以上低下させた後、得られた培養物を水で抽出する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品、食品、健康食品などに使用することができる阻害活性が強いα−グルコシダーゼ阻害剤を収率良く製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼ阻害剤は、小腸の微絨毛に局在するα−グルコシダーゼを阻害し、食後の血糖値の急上昇及びそれに続くインスリン値の上昇を抑制することが報告され、人間及び人間以外の動物においても炭水化物(特に、澱粉由来のオリゴ糖、シュクロース等)の代謝を抑制するために、例えば血糖上昇抑制作用を示し、過血糖症状及び過血糖に由来する肥満症、糖尿病などの種々の疾患の改善に有用である。また、α−グルコシダーゼ阻害剤を添加して製造した食品は、代謝異常の患者食に適しており、さらに代謝異常予防食として健康な人にも適している。
【0003】
かかる阻害剤について本出願人は、先に蒸煮あるいは煮沸した大豆を、培養系の塩分を5重量%以下の条件下で、かびを用いて固形培養し、得られた培養物から50℃以上の水で抽出するという製造法を開示した(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−186877号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示の方法で得られた抽出物の収率は32〜35%程度とやや低く、また、かなり良好なα−グルコシダーゼ阻害活性を示すものの市場では更に高収率で強い効果を発現するα−グルコシダーゼ阻害剤が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる課題を解決するため検討した結果、含水率40重量%以上の蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類をアスペルギルス属のかびを用いて固形培養を開始し、培養中に含水率を5重量%以上低下させた後、得られた培養物を水で抽出することにより、抽出物の収率がより向上し、しかもかかる抽出物が従来以上に強いα−グルコシダーゼ阻害活性を示すことを確認した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられる豆類としては、大豆、アズキ(別名ショウズ)、ササゲ(別名ナガササゲ、ハタササゲ)、リョクトウ(別名ヤエナリ、アオアズキ)、タケアズキ(別名ツルアズキ、バカアズキ)、インゲンマメ(別名五月ササゲ、三度豆、菜豆)、ベニバナインゲン(別名ハナマメ、ハナササゲ)、ライマメ(別名ラーマビーン、アオイマメ、ツキマメ)、落花生(別名ナンキンマメ、ピーナッツ)、バンバラマメ(別名フタゴマメ)、ソラマメ(別名ナツマメ)、レンズマメ(別名ヒラマメ)、キマメ(別名リュウキュウマメ)、ガラスマメ、ナタマメ、ハッショウマメ(別名テンジクマメ、オシャラクマメ)、ヒヨコマメ(別名チックピー)、クラスタマメ(別名グアル)等が挙げられる。
【0008】
穀類としては、あわ、えんばく、大麦、きび、小麦、米、餅米、そば、とうもろこし、ひえ、もろこし、ライ麦、鳩麦等が挙げられ、かかる穀類を加工した、精白粒、オートミール、精麦、麦こがし、薄力粉、中力粉、強力粉、玄米、半つき米、七部つき米、精白米、胚芽精米、強化米、α米、上新粉、白玉粉、全層粉、コーンミル、コーングリップツ、コーンフラワー、ライ麦粉等いずれも用いられる。
【0009】
本発明の製造方法を実施するに当っては、豆類又は穀類を蒸煮あるいは煮沸して含水率を40重量%以上にすることが必要であり、好ましくは45〜65重量%、更には52〜63重量%である。かかる含水率が40重量%未満では抽出物の収率が低くなり、しかもα−グルコシダーゼ阻害活性も低下するので不適当である。
【0010】
蒸煮あるいは煮沸する前には上記の豆類又は穀類を水に浸漬するのが、α−グルコシダーゼ阻害活性をより発揮させることができる点で好ましい。
かかる浸漬の条件としては、まず、上記の豆類又は穀類に2〜10倍重量の水を加え、10〜30℃(更には15〜30℃)で3時間以上浸漬するのが好ましく、更には5〜25時間浸漬する。水が2倍重量未満では含水させるのに時間がかかることがあり、10倍重量を超えると生産効率が低下することがあり好ましくない。また、かかる浸漬温度が10℃未満や浸漬時間が3時間未満では蒸煮あるいは煮沸して含水率を40重量%以上とすることが困難となることがあり、浸漬温度が30℃を超えると雑菌が増殖し腐敗することがあり好ましくない。
ついで蒸煮あるいは煮沸を行うのであるが、この時の条件としては、豆類又は穀類を蒸煮器に入れて、蓋をして下から水蒸気を送って豆類又は穀類の温度が70℃以上、好ましくは80℃以上となるような条件で1〜8時間程度蒸煮したり、沸騰水に豆類又は穀類を入れて0.5〜12時間程度煮沸すればよい。また、加圧蒸気釜で0.2〜5時間程度蒸気と接触させてもよい。
【0011】
次いで、蒸煮あるいは煮沸した後、豆類又は穀類に対して固形培養を行うのであるが、本発明の方法では醤油、もろみ、トウチ、みそ等の製造に用いられるアスペルギルス(Aspergillus)属のかびを使用する。例えば、アスペルギルス アルバス(Aspergillus albus IFO4039)、アスペルギルス キャンディダス(Aspergillus candidus IFO4389)、アスペルギルス ニーズランス(Aspergillus nidulans ATCC10074)、アスペルギルス グラウカス(Aspergillus glaucus ATCC10059)、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae IFO4135)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus IFO5839)、アスペルギルス インディカス(Aspergillus indicus ATCC15054)、アスペルギルス スルフレウス(Aspergillus sulphureus ATCC11904)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger IFO4343)、アスペルギルス ソジャエ(Aspergillus sojae IFO4200)、アスペルギルス タマリ(Aspergillus tamarii ATCC12669)等が挙げられる。
具体的には、『別撰味噌用』『ハイ・ソーヤ』、『マイルド・S』、『スリーダイヤ』、『ダイヤモンドC』、『うすむらさき』、『宝菌』、『白醤油用』、『改良焼酎用』(以上いずれも株式会社樋口松之助商店製)等の市販品が挙げられる。
【0012】
なお、本発明では、固形培養の安定性をはかるため、かかる培養系の塩分が5重量%以下(好ましくは1重量%以下)になる範囲で塩分を存在させてもよい。塩分としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等が挙げられる。豆類又は穀類はもともと自然界で塩分を含有し、蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類では0.1重量%以下の塩分を含有するので、通常はそのまま培養に入ればよい。培養の安定性が特に求められる場合は塩分を添加するのがよいが、かかる塩分が5重量%を越えると後で抽出操作を行っても残留塩分が多くなって、摂取時に著しく塩辛くあるいはまずくなり、別途阻害剤の脱塩処理を施す必要があり好ましくない。
塩分の測定にあたっては、対象物にイオン交換水を加えて撹拌し、その上澄みを適宜希釈してデジタル塩分計(積水化学工業社製『SS−31A』)を使用して測定して求める。
固形培養にあたっては、蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類に対して0.0001〜10重量%程度の上記のかびを添加すればよく、添加方法としては蒸煮あるいは煮沸した該豆類又は穀類にかびを振りかけたり混合すればよい。また、一度培養した容器や培養室を培養後そのまま使用すれば、残存しているかびと該豆類又は穀類が接触するので特に上記のかびを添加しなくてもよいこともある。
【0013】
かびの添加後、固形培養を開始するのであるが、本発明では、かかる培養中に含水率を初期の含水率よりも5重量%以上低下させるのが特徴であり、好ましくは6〜30重量%、更には8〜25重量%低下させる。5重量%未満の時は雑菌等が繁殖することがあり、本発明のα−グルコシダーゼ阻害活性を示す抽出物が得られない。
【0014】
このように含水率を低下させるためには、(1)固形培養中の培養室の湿度を調整する方法、(2)固形培養中に含水率の異なる培養物を添加する方法、(3)固形培養中に湿度の低い空気あるいは乾燥空気を送風する方法等の方法が挙げられるが、(1)の方法が実用的で、しかも含水率のコントロールが容易な点で好ましく、以下かかる方法について詳しく説明する。
【0015】
(1)の方法で含水率を低下させるには、通常95〜100%RHに保たれる培養室の湿度を低くすればよく、培養温度や培養時間によりその程度は変動するが、10〜40℃程度の培養温度で、48〜150時間程度の培養を行う場合、培養初期や培養中期は95〜100%RHの湿度で30〜40℃で培養した後、培養後期において湿度75〜85%RH程度まで下げて、温度が20〜30℃、24〜80時間程度で培養を行うことが好ましい。
培養初期や中期の湿度が低いと培養の進行が遅くなることがあり、また温度が30℃未満や40℃を越えても同様に培養の進行が遅くなることがあり好ましくない。
また、培養後期の湿度が85%RHを越えたり、温度が30℃を越えると雑菌が繁殖することがあり、湿度が75%RH未満や温度が20℃未満では培養速度が遅くなることがあり好ましくない。
固形培養終了後は以下に述べる抽出操作を行うであるが、本発明では上記の含水率の低下まで培養を行った後であればその後系に水を加えて含水率を上昇させ、必要な培養を短時間継続させることも可能である。
【0016】
次に上記で得られた培養物を水で抽出するのであるが、抽出操作の前には、必要に応じて豆類又は穀類表面に付着しているかびを落す為に水洗してもよい。
抽出条件としては具体的には、抽出時の温度が50℃以上が好ましく、更には60℃以上の水で抽出する。水の温度が50℃未満では、抽出率が低いことがあり好ましくない。使用する水の量は、培養物に1〜30倍重量(好ましくは2〜15倍重量)程度である。抽出時間は90℃までの抽出温度では1〜12時間、90℃を越える場合には1〜6時間程度でよく、オートクレーブ等を利用して100℃以上で0.5〜5時間抽出することが収率向上の点で好ましい。抽出法としては、特に制限はないが、通常撹拌抽出法あるいは浸漬抽出法が用いられる。
【0017】
得られた抽出液は清澄濾過、遠心分離、膜分離等により固形分を取除いた後、必要に応じて活性炭や白土で脱色してから、濃縮乾固、フリーズドライ、スプレードライ等の方法で粉末化するのが腐敗を防ぐため好ましい。
【0018】
かくして得られた本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、中性脂肪低下、コレステロール低下の作用を有しているので、水、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの液状担体や、でんぷん、セルロースなどの固形担体などの無毒性担体で希釈して、アンプル剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤などの医薬品、健康食品として用いることができる。
【0019】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有する上記の製剤は、食前、食中、食後、食間などに摂取すればよく、摂取量としては、乾燥粉末として、0.001〜10g/日が好ましく、特に0.01〜3g/日が好ましい。
【0020】
また、本発明の製造方法で得られたα−グルコシダーゼ阻害剤は、以下のような食品に添加可能である。
(1)農水産加工品
はるさめ、こしあん、こんにゃく、パン、麺類(即席めん、パスタ、生めん、乾めん)、餅、シリアル食品、大豆加工品(豆腐、豆乳、納豆、凍豆腐)、水産加工品〔練り製品、(かに風味)蒲鉾、(魚肉)ハム、(魚肉)ソーセージ、(魚肉)ウィンナー、ふりかけ、お茶づけのり〕、卵含有食品(スープ、丼等)、缶詰(シーチキン、オイルサーディン、焼鳥)、レトルト食品(カレー、シチュー、スパゲティー)、みそ汁、スープ等
(2)乳製品
牛乳、加工乳、乳酸菌飲料、バター、チーズ、練乳、粉乳等
(3)調味料
味噌、醤油、うま味(風味)調味料、(粉末)天然調味料、ソース、ドレッシング、焼き肉のたれ、みりん、カレー、シチュー、香辛料、スパイス、ヨーグルト等
【0021】
(4)健康食品(栄養補助食品)
▲1▼サポニン含有食品(オタネニンジン根含有食品、エゾウコギ含有食品)
▲2▼糖含有食品〔オリゴ糖(フラクトオリゴ糖含有食品、イソマルトオリゴ糖含有食品、ガラクトオリゴ糖含有食品)、多糖類(シイタケ含有食品、ムコ多糖、蛋白含有食品、コンドロイチン硫酸含有食品、マンネンタケ(霊芝)含有食品、キチン、キトサン含有食品)〕等
▲3▼ミネラル含有食品(カルシウム含有食品、アルファルファ含有食品、プルーンエキス食品、β−カロチン含有食品)等
▲4▼油脂含有食品
ビタミンE含有油脂〔麦(小麦、鳩麦)胚芽油、大豆胚芽油、米胚芽油〕、 エイコサペンタエン酸含有食品、大豆レシチン含有食品、γ−リノレン酸含有食品(月見草油、ボラージ油)、ドコサヘキサエン酸含有食品等
▲5▼蛋白質含有食品
大豆蛋白含有食品、カゼイン、ホエー蛋白、鯉加工食品等
▲6▼タウリン
かき加工食品、シジミ加工食品、緑イ貝加工食品等
▲7▼その他
スッポン加工食品、アミノ酸代謝異常用食品、流動食(病食)
【0022】
また、下記のような、糖を多量に含有する食品にも添加可能であるが、本発明の効果が明確に発現しない場合もあり、下記のような食品に添加する場合は、食品の製造時に糖含有量をできるだけ低くしたり、人工甘味量を用いて低糖分としたものに添加するのが好ましい。
(5)菓子
ケーキ、ムース、(粉末)デザート、アイスクリーム、飴、チョコレート、グミ、キャンディー、クッキー、ウエハース、ゼリー
(6)飲料
清涼飲料(炭酸飲料、果実飲料、スポーツ飲料、栄養飲料)、嗜好飲料(コーヒー、ココア、麦汁)
【0023】
上記(1)〜(7)における添加量としては、上記食品に対して、乾燥粉末として、0.01〜80重量%が好ましく、特に1〜70重量%が好ましい。
更に本発明の効果を阻害しない範囲で、甘味剤、保存剤、分散剤、着色剤、酸化防止剤等も併用することができる。更に、その他の公知のα−グルコシダーゼ阻害剤であるバリエナミンやアミノシクリトールなどを併用してもよい。
【0024】
【実施例】
次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。特に断りのない限り「%」は重量基準を示す。
実施例1
大豆100gに対し、25℃の水300mLを加え、15時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で6時間蒸煮した。この時の含水率は58%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆140gに対し、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae IFO4135)0.03gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間の間は、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を55%とした。更に湿度95%RH、温度32℃で24時間培養をつづけ、48時間目に含水率を46%とし、更に湿度80%、RH温度25℃で28時間培養し、76時間目で含水率を38%とした(培養中の含水率の低下は20%)。
固形培養した大豆110gに水600gに浸漬後、該浸漬液をオートクレーブに入れて1.4kg/cm(ゲージ圧)、内温135℃で1時間抽出し、固液分離後、濃縮、乾燥して抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)42g(原料大豆に対する収率42%)を得た。
かかる抽出物の阻害活性を以下のように評価した。
【0025】
(阻害活性)
・ラット小腸からの二(三)糖加水分解酵素(α−グルコシダーゼ)の調製
冷凍保存しておいたラット小腸(空腸)を解凍し、粘膜をピンセットで押出すように採取した。該粘膜に5倍重量の5mMエチレンジアミン四酢酸を含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、冷却しながらホモゲナイズした。その後遠心分離(4℃、21000×g、60分)し、得られた沈殿物に5倍重量になるように1%非イオン性界面活性剤(シグマ社製「トリトンX−100」)を含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、可溶化処理(4℃、60分)を行った。これを超遠心分離(4℃、110000×g、90分)し、この上清を0.01Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で透析(4℃、24時間)し、酵素液とした。
【0026】
・酵素(α−グルコシダーゼ)活性の測定
酵素活性は市販のキットを用い、基質としてはシュクロースを用いた。
標準反応液組成は、60mM基質溶液(シュクロースを0.1Mリン酸カリウム緩衝液pH6.3に溶解したもの)0.7ml、被験物質溶液(抽出物を50%ジメチルスルホキシド水溶液に25mg/mlに溶解)0.2ml、上記酵素液0.1ml(計1.0ml)とした。これを37℃、15分間反応させ、2Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)1.5mlを用いて反応を停止させ試験液とした。
次に96穴マイクロプレートに1穴あたり発色試薬〔グルコースBテストワコー(和光純薬社製)〕200μlに試験液50μl(酢酸エチル等は留去したもの)を加え、37℃で30分間インキュベートした後、マイクロプレートリーダ(BIO RAD社製「MODEL550」)で490nmの吸光度を測定した。基質溶液の代りに0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.3)を加えた時の吸光度をブランク値とし、この値を差し引いた値をA490sとした。被験液の代りに50重量%ジメチルスルホキシド水溶液を加えた時の吸光度をコントロール値(A490c)とし、下式によりα−グルコシダーゼ阻害活性を求めた。測定は2回行い、平均値を測定値とした。
α−グルコシダーゼ阻害活性(%)=[(A490c−A490s)/A490c]×100
【0027】
実施例2
実施例1の大豆に替えて小麦を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率55%、塩分0.04%の蒸煮した小麦139gを得た。
かかる小麦を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)40g(原料小麦に対する収率40%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0028】
実施例3
実施例1の大豆に替えて米を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率52%、塩分0.07%の蒸煮した米148gを得た。
かかる米を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)40g(原料米に対する収率40%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0029】
実施例4
実施例1の大豆に替えてささげ豆を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率52%、塩分0.07%の蒸煮したささげ豆141gを得た。
かかるささげ豆を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)41g(原料ささげ豆に対する収率41%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0030】
実施例5
実施例1の大豆に替えてインゲン豆を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率53%、塩分0.07%の蒸煮したインゲン豆146gを得た。
かかるインゲン豆を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)41g(原料インゲン豆に対する収率41%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0031】
実施例6
実施例1と同様の蒸煮した大豆に対して、固形培養条件として培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を55%とした。更に湿度99%RH、温度33℃で24時間培養し、48時間目で含水率を48%とした。更に湿度85%RH、温度29℃で28時間培養し、76時間目で含水率を45%とした(培養中の含水率の低下は13%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)41g(原料大豆に対する収率41%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0032】
実施例7
実施例1と同様の蒸煮した大豆に対して、固形培養条件として培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を55%とした。更に湿度95%RH、温度32℃で24時間培養し、48時間目で含水率を48%とした。さらに湿度75%RH、温度25℃で28時間培養し、76時間目で含水率を33%とした(培養中の含水率の低下25%)
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)を41g(原料大豆に対する収率41%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0033】
実施例8
大豆100gに25℃の水300mLを加え、12時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で6時間蒸煮した。この時の含水率は52%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した米126gに対し、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzaeIFO4135)0.03gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度34℃で培養し、24時間目で含水率を48%とした。更に湿度97%RH、温度32℃で24時間培養し、48時間目で含水率を45%とした。更に湿度85%RH、温度27℃で28時間培養し、76時間目で含水率を34%とした(培養中の含水率の低下は18%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)を42g(原料大豆に対する収率42%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0034】
実施例9
実施例1のアスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae IFO4135)大豆に替えてアスペルギルス タマリ(Aspergillus tamarii ATCC12669)を同量用いて同様に固形培養、抽出操作を行い、抽出物(α−グルコシダーゼ阻害剤)41g(原料大豆に対する収率41%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0035】
比較例1
大豆100gに25℃の水300mLを加え、0.5時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で0.5時間蒸煮した。この時の含水率は37%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆126gに対し、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae IFO4135)0.03gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度34℃で培養し、24時間目で含水率を35%とした。更に湿度97%RH、温度32℃で24時間培養し、48時間目で含水率を33%とした。更に湿度85%RH、温度27℃で28時間培養し、76時間目で含水率を31%とした(培養中の含水率の低下は6%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物を27g(原料大豆に対する収率27%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
【0036】
比較例2
大豆100gに25℃の水300mLを加え、15時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で6時間蒸煮した。この時の含水率は58%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆126gに対し、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae IFO4135)0.03gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度100%RH、温度40℃で培養し、24時間目で含水率を57%とした。更に湿度99%RH、温度38℃で24時間培養し、48時間目で含水率を56%とした。更に湿度99%RH、温度37℃で28時間培養し、76時間目で含水率を55%とした(培養中の含水率の低下は3%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物を34g(原料大豆に対する収率34%)を得、実施例1と同様にα−グルコシダーゼ阻害活性を評価した。
実施例1〜9、比較例1、2の結果を表1に示した。
【0037】
Figure 2004166628
【0038】
【発明の効果】
本発明の製造方法は強い阻害活性を示すα−グルコシダーゼ剤を収率良く製造することができる。

Claims (1)

  1. 含水率40重量%以上の蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類をアスペルギルス属のかびを用いて固形培養を開始し、培養中に含水率を5重量%以上低下させた後、得られた培養物を水で抽出することを特徴とするα−グルコシダーゼ阻害剤の製造方法。
JP2002337793A 2002-11-21 2002-11-21 α−グルコシダーゼ阻害剤の製造方法 Pending JP2004166628A (ja)

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