JP4429591B2 - 高脂血症改善剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、健康食品、医薬品などに使用することができる高脂血症改善剤、更には、血中の中性脂肪低下、血中コレステロール低下を示す高脂血症改善剤を高収率で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本においても食生活が、高蛋白、高脂肪の食物を過剰に摂取する欧米型の食生活に移行しており、高脂血症の傾向が顕著となり、冠動脈疾患、動脈硬化等の疾患が増加している。
かかる疾患は遺伝等の先天的な要因もある一方で、生活習慣、食生活に関する要因に負う面が大きく、その予防及び治療に種々の対策が検討されている。
【0003】
また、かかる疾患は中性脂肪値やコレステロール値と関連があり、中性脂肪値が1.5g/L以上、またコレステロール値においては5.7ミリモル/L以上がかかる疾患のリスクをもつ領域であるので、かかる値より低くすることが推奨されている。
そして、かかる疾患に対して、難消化性デキストリンを摂取すると中性脂肪値が低下することが報告されている(例えば、非特許文献1。)。
また、本発明者も大豆をアスペルギルス属のかびで固形培養した豆鼓を摂取するとが糖尿病改善効果とともに中性脂肪値やコレステロール値が低下すること報告した(例えば、非特許文献2)。
【0004】
【非特許文献1】
梶本修身、外5名,「難消化デキストリン含有飲料の脂質代謝および肥満関連指標に対する有用性」,健康・栄養食品研究,(財)日本健康・栄養食品協会発行,2000年、第3巻、第3号、p.47−64
【非特許文献2】
藤田裕之,「豆鼓エキス配合「食前茶」による糖尿病改善作用」,Food Style,(株)食品化学新聞社発行,2002年、第6巻、第4号、p.103−105
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に開示の技術では、まだまだ中性脂肪低下やコレステロール低下の効果が弱く、また非特許文献2に開示の技術では、抽出物(エキス)の収率が原料の大豆に対して27%程度と低く、また、かなり良好な中性脂肪低下やコレステロール低下の効果も示すが、更なる収率の向上やそれらの強い効果が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる課題を解決するため検討した結果、含水率40重量%以上の蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類をリゾーパス属あるいはニューロスポラ属のかびを用いて固形培養を開始し、培養中に含水率を5重量%以上低下させた後、得られた培養物を水で抽出することにより、抽出物の収率が従来の固形培養法の場合における収率(30%程度)より大巾に向上し、しかもかかる抽出物が従来以上に血中の中性脂肪を低下させると共にコレステロールを低下させることを確認した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられる豆類としては、大豆、アズキ(別名ショウズ)、ササゲ(別名ナガササゲ、ハタササゲ)、リョクトウ(別名ヤエナリ、アオアズキ)、タケアズキ(別名ツルアズキ、バカアズキ)、インゲンマメ(別名五月ササゲ、三度豆、菜豆)、ベニバナインゲン(別名ハナマメ、ハナササゲ)、ライマメ(別名ラーマビーン、アオイマメ、ツキマメ)、落花生(別名ナンキンマメ、ピーナッツ)、バンバラマメ(別名フタゴマメ)、ソラマメ(別名ナツマメ)、レンズマメ(別名ヒラマメ)、キマメ(別名リュウキュウマメ)、ガラスマメ、ナタマメ、ハッショウマメ(別名テンジクマメ、オシャラクマメ)、ヒヨコマメ(別名チックピー)、クラスタマメ(別名グアル)等が挙げられる。
【0008】
穀類としては、あわ、えんばく、大麦、きび、小麦、米、餅米、そば、とうもろこし、ひえ、もろこし、ライ麦、鳩麦等が挙げられ、かかる穀類を加工した、精白粒、オートミール、精麦、麦こがし、薄力粉、中力粉、強力粉、玄米、半つき米、七部つき米、精白米、胚芽精米、強化米、α米、上新粉、白玉粉、全層粉、コーンミル、コーングリップツ、コーンフラワー、ライ麦粉等も用いることができる。
【0009】
本発明の製造方法を実施するに当っては、豆類又は穀類を蒸煮あるいは煮沸して含水率を40重量%以上にすることが必要であり、好ましくは45〜65重量%、更には52〜63重量%である。かかる含水率が40重量%未満では抽出物の収率が低くなり、しかも高脂血改善効果も低下するので不適当である。
【0010】
蒸煮あるいは煮沸する前には上記の豆類又は穀類を水に浸漬するのが、高脂血症の改善効果をより発揮させることができる点で好ましい。
かかる浸漬の条件としては、まず、上記の豆類又は穀類に2〜10倍重量の水を加え、10〜30℃(更には15〜30℃)で3時間以上浸漬するのが好ましく、更には5〜25時間浸漬する。水が2倍重量未満では含水させるのに時間がかかることがあり、10倍重量を超えると生産効率が低下することがあり好ましくない。また、かかる浸漬温度が10℃未満や浸漬時間が3時間未満では蒸煮あるいは煮沸して含水率を40重量%以上とすることが困難となることがあり、浸漬温度が30℃を超えると雑菌が増殖し腐敗することがあり好ましくない。
ついで、蒸煮あるいは煮沸を行うのであるが、この時の条件としては、豆類又は穀類を蒸煮器に入れて、蓋をして下から水蒸気を送って豆類又は穀類の温度が70℃以上、好ましくは80℃以上となるような条件で1〜8時間程度蒸煮したり、沸騰水に入れて豆類又は穀類を0.5〜12時間程度煮沸すればよい。また、加圧蒸気釜で0.2〜5時間程度蒸気と接触させてもよい。
【0011】
次いで、蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類に対して固形培養を行うのであるが、本発明の方法ではテンペ、オンチョム等の製造に用いられる、リゾーパス(Rhizopus)属あるいはニューロスポラ(Neurospora)属のかびが好ましく、例えば、リゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus ATCC22959、NRRL2710)、リゾーパス オリゼー(Rhizopus oryzae ATCC1230)、リゾーパスス トロニファ(Rhizopus stolonifer ATCC12938)、ニューロスポラ インターメディア(Neurospora intermedia ATCC9276)、ニューロスポラ クラッサ(Neurospora crassa ATCC9277)等が挙げられる。
【0012】
なお、本発明では、固形培養の安定性をはかるため、かかる培養系の塩分が5重量%以下(好ましくは1重量%以下)になる範囲で塩分を存在させてもよい。塩分としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等が挙げられる。
豆類又は穀類はもともと自然界で塩分を含有し、蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類では0.1重量%以下の塩分を含有するので、通常はそのまま培養に入ればよい。培養の安定性が特に求められる場合は塩分を添加するのがよいが、かかる塩分が5重量%を越えると後で抽出操作を行っても残留塩分が多くなって、摂取時に著しく塩辛くあるいはまずくなり、別途阻害剤の脱塩処理を施す必要があり好ましくない。
塩分の測定にあたっては、対象物にイオン交換水を加えて撹拌し、その上澄みを適宜希釈してデジタル塩分計(積水化学工業社製『SS−31A』)を使用して測定して求める。
固形培養にあたっては、蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類に対して0.0001〜10重量%程度の上記のかびを添加すればよく、添加方法としては蒸煮あるいは煮沸した該豆類又は穀類にかびを振りかけたり混合すればよい。また、一度培養した容器や培養室を培養後そのまま使用すれば、残存しているかびと該豆類又は穀類が接触するので特に上記のかびを添加しなくてもよいこともある。
【0013】
かびの添加後、固形培養を開始するのであるが、本発明では、かかる培養中に含水率を初期の含水率よりも5重量%以上低下させるのが特徴であり、好ましくは6〜30重量%、更には8〜25重量%低下させる。5重量%未満の時は雑菌等が繁殖することがあり、本発明の高脂血症の改善効果を得る抽出物が得られない。
【0014】
このように含水率を低下させるためには、(1)固形培養中の培養室の湿度を調整する方法、(2)固形培養中に含水率の異なる培養物を添加する方法、(3)固形培養中に湿度の低い空気あるいは乾燥空気を送風する方法等の方法が挙げられるが、(1)の方法が実用的で、しかも含水率のコントロールが容易な点で好ましく、以下かかる方法について詳しく説明する。
【0015】
(1)の方法で含水率を低下させるには、通常95〜100%RHに保たれる培養室の湿度を低くすればよく、培養温度や培養時間によりその程度は変動するが、10〜40℃程度の培養温度で、48〜150時間程度の培養を行う場合、培養初期や培養中期は95〜100%RHの湿度で30〜40℃で培養した後、培養後期において湿度75〜85%RH程度まで下げて、温度が20〜30℃、24〜80時間程度で培養を行うことが好ましい。
培養初期や中期の湿度が低いと培養の進行が遅くなることがあり、また温度が30℃未満や40℃を越えても同様に培養の進行が遅くなることがあり好ましくない。
また、培養後期の湿度が85%RHを越えたり、温度が30℃を越えると雑菌が繁殖することがあり、湿度が75%RH未満や温度が20℃未満では培養速度が遅くなることがあり好ましくない。
固形培養終了後は以下に述べる抽出操作を行うであるが、本発明では上記の含水率の低下まで培養を行った後であればその後系に水を加えて含水率を上昇させ、必要な培養を短時間継続させることも可能である。
【0016】
次に上記で得られた培養物を水で抽出するのであるが、抽出操作の前には、必要に応じて豆類又は穀類表面に付着しているかびを落す為に水洗してもよい。
抽出条件としては具体的には、抽出時の温度が50℃以上が好ましく、更には60℃以上の水で抽出する。水の温度が50℃未満では、抽出率が低いことがあり好ましくない。使用する水の量は、培養物に1〜30倍重量(好ましくは2〜15倍重量)程度である。抽出時間は90℃までの抽出温度では1〜12時間、90℃を越える場合には1〜6時間程度でよく、オートクレーブ等を利用して100℃以上で0.5〜5時間抽出すればよい。抽出法としては、特に制限はないが、通常撹拌抽出法あるいは浸漬抽出法が用いられる。
【0017】
得られた抽出液は清澄濾過、遠心分離、膜分離等により固形分を取除いた後、必要に応じて活性炭や白土で脱色してから、濃縮乾固、フリーズドライ、スプレードライ等の方法で粉末化するのが腐敗を防ぐため好ましい。
【0018】
かくして得られた本発明の高脂血症改善剤は、中性脂肪低下、コレステロール低下の作用を有しているので、水、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの液状担体や、でんぷん、セルロースなどの固形担体などの無毒性担体で希釈して、アンプル剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤などの医薬品、健康食品として用いることができる。
【0019】
さらに、本発明の高脂血症改善剤を含有する上記の製剤は、食前、食中、食後、食間などに摂取すればよく、摂取量としては、乾燥粉末として、0.001〜10g/日が好ましく、特に0.01〜3g/日が好ましい。
【0020】
また、本発明の製造法で得られた高脂血症改善剤は、以下のような食品に添加可能である。
(1)農水産加工品
はるさめ、こしあん、こんにゃく、パン、麺類(即席めん、パスタ、生めん、乾めん)、餅、シリアル食品、大豆加工品(豆腐、豆乳、納豆、凍豆腐)、水産加工品〔練り製品、(かに風味)蒲鉾、(魚肉)ハム、(魚肉)ソーセージ、(魚肉)ウィンナー、ふりかけ、お茶づけのり〕、卵含有食品(スープ、丼等)、缶詰(シーチキン、オイルサーディン、焼鳥)、レトルト食品(カレー、シチュー、スパゲティー)、みそ汁、スープ等
(2)乳製品
牛乳、加工乳、乳酸菌飲料、バター、チーズ、練乳、粉乳等
(3)調味料
味噌、醤油、うま味(風味)調味料、(粉末)天然調味料、ソース、ドレッシング、焼き肉のたれ、みりん、カレー、シチュー、香辛料、スパイス、ヨーグルト等
【0021】
(4)健康食品(栄養補助食品)
▲1▼サポニン含有食品(オタネニンジン根含有食品、エゾウコギ含有食品)等
▲2▼糖含有食品〔オリゴ糖(フラクトオリゴ糖含有食品、イソマルトオリゴ糖含有食品、ガラクトオリゴ糖含有食品)、多糖類(シイタケ含有食品、ムコ多糖、蛋白含有食品、コンドロイチン硫酸含有食品、マンネンタケ(霊芝)含有食品、キチン、キトサン含有食品)〕等
▲3▼ミネラル含有食品(カルシウム含有食品、アルファルファ含有食品、プルーンエキス食品、β−カロチン含有食品)等
▲4▼油脂含有食品
ビタミンE含有油脂〔麦(小麦、鳩麦)胚芽油、大豆胚芽油、米胚芽油〕、エイコサペンタエン酸含有食品、大豆レシチン含有食品、γ−リノレン酸含有食品(月見草油、ボラージ油)、ドコサヘキサエン酸含有食品等
▲5▼蛋白質含有食品
大豆蛋白含有食品、カゼイン、ホエー蛋白、鯉加工食品等
▲6▼タウリン
かき加工食品、シジミ加工食品、緑イ貝加工食品等
▲7▼その他
スッポン加工食品、アミノ酸代謝異常用食品、流動食(病食)等
【0022】
(5)菓子
ケーキ、ムース、(粉末)デザート、アイスクリーム、飴、チョコレート、グミ、キャンディー、クッキー、ウエハース、ゼリー等
(6)飲料
清涼飲料(炭酸飲料、果実飲料、スポーツ飲料、栄養飲料)、嗜好飲料(コーヒー、ココア、麦汁)等
【0023】
上記(1)〜(7)における添加量としては、上記食品あるいは飲料に対して、乾燥粉末として、0.01〜80重量%が好ましく、特に1〜70重量%が好ましい。
更に本発明の効果を阻害しない範囲で、甘味剤、保存剤、分散剤、着色剤、酸化防止剤等も併用することができる。更に、その他の公知の高脂血症改善剤であるベザトールのようなフィブラート系の製剤、コレキサミンのようなニコチン酸製剤などを併用してもよい。
【0024】
【実施例】
次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。特に断りのない限り「%」は重量基準を示す。
実施例1
大豆100gに25℃の水300mLを加え、15時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で6時間蒸煮した。この時の含水率は58%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆140gに対し、リゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus NRRL2710)0.04gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間の間は、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を54%とした。更に湿度95%RH、温度32℃で24時間培養をつづけ、48時間目に含水率を45%とし、更に湿度80%RH、温度25℃で28時間培養し、76時間目で含水率を38%とした(培養中の含水率の低下は20%)。
その後、固形培養した大豆110gに95℃の水600gを加えて15時間抽出し、固液分離後、濃縮、乾燥して抽出物(高脂血症改善剤)36g(原料大豆に対する収率36%)を得た。
【0025】
得られた高脂血症改善剤の高脂血症の改善効果を確認するために、高脂血症を併発する糖尿病自然発症マウスKKAyマウス8匹に60日間、得られた抽出物を1%添加した餌(日本クレア社製『CE−2』)を経口投与し、7週間後、心臓採血法により血液を、ヘパリン処理できる採取管に採取して以下の様に評価した。
ペパリン処理した血液を37℃で30分間インキュベーションした後、3000×gで10分間遠心分離し上澄みに血清を得た。得られた血清中の中性脂肪を和光純薬社製の『トリグリセライドEテストワコー』で、コレステロールを和光純薬社製の『コレステロールCテストワコー』で測定し中性脂肪値とコレステロール値の平均値を求めた。
【0026】
実施例2
実施例1の大豆に替えて小麦を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率55%、塩分0.04%の蒸煮した小麦139gを得た。
かかる小麦を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物(高脂血症改善剤)36g(原料小麦に対する収率36%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0027】
実施例3
実施例1の大豆に替えて米を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率52%、塩分0.07%の蒸煮した米148gを得た。
かかる米を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物35g(原料大豆に対する収率35%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0028】
実施例4
実施例1の大豆に替えてささげ豆を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率52%、塩分0.07%の蒸煮したささげ豆141gを得た。
かかるささげ豆を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物35g(原料ささげ豆に対する収率35%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0029】
実施例5
実施例1の大豆に替えてインゲン豆を同量用いて同様に浸漬、蒸煮して含水率53%、塩分0.07%の蒸煮したインゲン豆146gを得た。
かかるインゲン豆を実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物35g(原料インゲン豆に対する収率35%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0030】
実施例6
実施例1と同様の蒸煮した大豆に対して、固形培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を55%とした。更に湿度99%RH、温度33℃で24時間培養をつづけ、48時間目で含水率を47%として、更に湿度85%RH、温度29℃で28時間培養し、76時間目で含水率を43%とした(培養中の含水率の低下は15%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(高脂血症改善剤)を36g(原料大豆に対する収率36%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0031】
実施例7
実施例1と同様の蒸煮した大豆に対して、固形培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度33℃で培養し、24時間目で含水率を56%とした。更に湿度95%RH、温度32℃で24時間培養をつづけ、48時間目で含水率を49%とした。更に湿度76%RH、温度25℃で28時間培養し、76時間目で含水率を34%とした(培養中の含水率の低下は24%)。実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(高脂血症改善剤)を36g(原料大豆に対する収率36%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0032】
実施例8
大豆100gに25℃の水300mLを加え、12時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で6時間蒸煮した。この時の含水率は52%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した米126gに対し、リゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus NRRL2710)0.03gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度34℃で培養し、24時間目で含水率を44%として、更に湿度97%RH、温度32℃で24時間培養し、48時間目で含水率を45%として、更に湿度85%RH、温度27℃で28時間培養し、76時間目で含水率を32%とした(培養中の含水率の低下は26%)
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物(高脂血症改善剤)を35g(原料大豆に対する収率35%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0033】
実施例9
実施例1で用いたリゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus ATCC22959、NRRL2710)にかえて、ニューロスポラ インターメディア(Neurospora intermedia ATCC9276)を用いて実施例1と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物36g(原料大豆に対する収率36%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0034】
実施例10
実施例3で用いたリゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus ATCC22959、NRRL2710)にかえて、ニューロスポラ インターメディア(Neurospora intermedia ATCC9276)を用いて実施例3と同様にして固形培養、抽出操作を行い、抽出物35g(原料大豆に対する収率35%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0035】
比較例1
大豆100gに25℃の水300mLを加え、0.5時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で90℃で0.5時間蒸煮した。この時の含水率は37%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆126gに対し、リゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus NRRL2710)0.04gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度99%RH、温度34℃で培養し、24時間目で含水率を35%とした。更に湿度97%RH、温度32℃で24時間培養をつづけ、48時間目で含水率を33%として、更に湿度85%RH、温度27℃で28時間培養し、76時間目で含水率を31%とした(培養中の含水率の低下は6%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物を26g(原料大豆に対する収率26%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0036】
比較例2
大豆100gに25℃の水300mLを加え、15時間室温で放置した。水切り後、木製の蒸し容器に入れ、蒸気を吹き込んだ状態で6時間蒸煮した。この時の含水率は58%、塩分は0.05%であった。この蒸煮した大豆126gに対し、リゾーパス オリゴスポラス(Rhizopus oligosporusNRRL2710)0.04gを入れ十分混合し、76時間固形培養した。
培養条件としては培養開始から24時間までは、湿度100%RH、温度40℃で培養し、24時間目で含水率を57%とした。更に湿度99%RH、温度38℃で24時間培養をつづけ、48時間目で含水率を56%として、更に湿度99%RH、温度37℃で28時間培養し、76時間目で含水率を55%とした(培養中の含水率の低下は3%)。
実施例1と同様に抽出操作を行い、抽出物を33g(原料大豆に対する収率33%)を得、実施例1と同様に高脂血症の改善効果を評価した。
【0037】
参考例
実施例1の高脂血改善効果の評価において抽出物を添加せずに餌を与えて同様に評価した。
実施例1〜10、比較例1、2、参考例の結果を表1に示した。
【0038】
〔表1〕
なお、マウスでは中性脂肪値が1.5g/L以上、コレステロール値が2.5ミリモル/L以上がリスク領域である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の製造方法は血中の中性脂肪やコレステロールを有意に低下させる高脂血改善剤を高収率で製造することができる。
Claims (1)
- 含水率40重量%以上の蒸煮あるいは煮沸した豆類又は穀類をリゾーパス属あるいはニューロスポラ属のかびを用いて固形培養を開始し、培養中に含水率を5重量%以上低下させた後、得られた培養物を60℃以上の水で抽出することを特徴とする高脂血症改善剤の製造方法。
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