JP2004163722A - 部品内蔵基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品内蔵基板に関し、光導波路を用いる部品内蔵基板に於いて、光導波路やミラーの位置精度ばらつきの問題を解消すると共に従来の表面実装型部品の実装に比較してVCSELとドライバIC間やPDとレシーバIC間の配線短縮を可能にしようとする。
【解決手段】光導波路フィルムを内蔵する溝が形成されたコア基板51、フィルム面とコア基板51の絶縁層面或いは電気配線表面とを同じ高さに整列して前記溝に配置、且つ、接着固定したポリマ光導波路フィルム57、整列させた面と反対側のコア基板51からコア55Bを斜めにカットし、且つ、カットした面を金属膜ミラー61で覆ったV状溝59、ポリマ光導波路フィルム57と面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】光導波路フィルムを内蔵する溝が形成されたコア基板51、フィルム面とコア基板51の絶縁層面或いは電気配線表面とを同じ高さに整列して前記溝に配置、且つ、接着固定したポリマ光導波路フィルム57、整列させた面と反対側のコア基板51からコア55Bを斜めにカットし、且つ、カットした面を金属膜ミラー61で覆ったV状溝59、ポリマ光導波路フィルム57と面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子を備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマ光導波路をはじめ、面発光型半導体レーザ、面受光型受光素子、電子デバイスなどを内蔵し、光伝送モジュールとして好適な部品内蔵基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電気信号を光信号に変換し、その光信号を送受信する為の光伝送モジュールは、基幹系光通信や装置間信号伝送に多用されつつある。
【0003】
従来の光伝送モジュールとしては、基板上に無機材料で光導波路を形成して半導体レーザ等の光部品を搭載したもの、或いは、基板上にポリマ導波路を形成したもの等が知られている。
【0004】
図9は石英導波路を用いた光伝送モジュールを例示する要部斜面図である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
図に於いて、1はSi基板、1AはSi基板に於けるテラス型部分、2は石英導波路、3はボンディング・パッド、4はフォトダイオードからなるモニタ、5は半導体レーザからなる送信器、6はフィルタ、7はフォトダイオードからなる受信器をそれぞれ示している。
【0006】
この光伝送モジュールに於いては、例えば、火炎堆積法を適用してSi基板1上に石英導波路2を形成すると共に光部品を実装したものであって、波長1.5〔μm〕の光信号を入力した場合、フィルタ6を通過して受信器7に到達し、また、送信器5から波長1.3〔μm〕の光信号が放射された場合、フィルタ6で反射されてから出力されることなどが明らかにされている。
【0007】
図10はSi基板そのものを導波路として用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である(例えば、非特許文献2参照)。
【0008】
図10(A)に於いて、11は第1のSi基板、12は入射側直線状グレーティング、13は出射側直線状グレーティング、14はリレー・レンズ、15A及び15Bは第2のSi基板、16及び17はレンズ、18は光源、19は受光器をそれぞれ示している。
【0009】
図10(B)に於いて、15は第2のSi基板、20はLSIをそれぞれ示していて、図10(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0010】
図10(B)は、図10(A)に見られる第2のSi基板15Aと15Bとを一体化し、LEDからなる光源18から波長1.5〔μm〕の光信号を放射し、レンズ16から図10(A)に於ける第1のSi基板11に入射させ、Si基板11中を反射を繰り返しながら進行した光信号をPDからなる受光器19で受信するようにしてある。尚、波長1.5〔μm〕の光はSiを透過する。
【0011】
図11は光ファイバを用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である(例えば、非特許文献3参照。)。
【0012】
図に於いて、21は支持基板、22はOIIC(optically interconnected integrated circuits)、23はドライバ、24はLSIからなる論理部、25はレシーバ、26はVCSEL(vertical cavity surface emitting Laser)、27はフォトダイオード、28はPOF(plastic optical fiber)をそれぞれ示している。
【0013】
前記図9(非特許文献1)及び図10(非特許文献2)について説明した従来例では、何れSi基板を用いることが必須であり、基板が限定されてしまう旨の問題があり、また、図11(非特許文献3)について説明した従来例では、空間に出射される光を光ファイバの端面で受光する構成になっている為、構造が大きくなり、また、光ファイバを安定に固定する為の部材が必要になるなどの問題がある。
【0014】
図12はマイクロレンズを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断側面図であり、(A)は全体を、(B)は一部の拡大詳細をそれぞれ示している(例えば、非特許文献4参照。)。
【0015】
図に於いて、31はポリマ導波路、32はVCSEL、33はドライバIC、34はLSI、35はPD、36はレシーバIC、37はマイクロレンズ、37A及び37Bはマイクロレンズ、38はVCSELやPDなどの光素子、39はソルダ・バンプをそれぞれ示している。
【0016】
図13はマイクロレンズ及びミラーを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断説明図であり、(A)は要部切断平面を、(B)は要部切断側面をそれぞれ示している(例えば、非特許文献5参照。)。
【0017】
図に於いて、41はPETIT(photonic/electric tied interface)用ケース、42はVCSEL、43は平板マイクロレンズ(PML:planar micro lens)、44はpin−PD、45はMT(mechanically transferable)型コネクタ互換ガイド孔、46はV溝ハウジング、46は45度ミラー、47はガイドピン、48は光ファイバ(12芯)をそれぞれ示している。
【0018】
前記図12(非特許文献4)について説明した従来例では、有機基板に光導波路であるポリマ導波路31を内蔵し、マイクロレンズ37A及び37Bを用いてポリマ導波路31とVCSELやPDなどの光素子37との光結合を行うものであり、また、前記図13(非特許文献5)について説明した従来例では、空間に出射する光を平板マイクロレンズ43及び精密プラスチック成形で作製した光を垂直に曲げる45度ミラー46を用いて光ファイバ48に結合するものであり、何れもマイクロレンズや精密なミラーを用いているので、光素子と導波路とを光学的に結合させること、及び、それを長期に亙って維持するのは簡単なことではない。
【0019】
光伝送モジュールについては、前記した文献に見られる技術だけでなく、他に特許出願された発明が開示されている。
【0020】
電気回路基板の内層に光導波路部品を搭載する為、光導波路部品を作製するベース基板として透明なガラス基板を用い、このガラス基板を含む光導波路を1つの光導波路部品とすることでリジッドな光導波路部品にしたものであって、扱い易さが向上するとしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0021】
この発明では、光導波路がリジッドになるから、これをプリント基板に接着剤やはんだバンプを用いて平坦性良く貼り合わせることが可能となるが、ガラス基板にはある程度の厚さが必要であるから、光の入出力にレンズを用いることが不可欠になる。
【0022】
光導波路を基板から剥離したフイルムの状態で使用し、その上に発光素子や受光素子などの光素子を実装することができれば、レンズを用いることなく光結合することが可能である。
【0023】
然しながら、前記特許文献1にも開示されているところであるが、フィルムの状態では、扱いが容易ではなく、例えば、接着剤で基板上に固着する際、端部は接着剤の厚さに最も分布を生じ易い箇所であり、そこにミラーを設置する場合、高さを精度よく制御することが困難である。
【0024】
また、〔GHz〕以上の高速信号伝送を用途とする部品内蔵基板では、面発光型半導体レーザとドライバIC間、或いは、受光素子とレシーバIC間などの配線は、できる限り短縮しなければならないが、従来の部品実装形態では、多層の基板に於ける同じ配線層に実装するのが普通であって、配線の短縮には限界がある。
【0025】
【特許文献1】
特開2002−189137号公報
【非特許文献1】
光通信技術の最新資料集III オプトロニクス社 平成10年 第1版 p122
【非特許文献2】
沖電気 Real World Computing Project,次世代情報処理基盤技術開発事業総合報告
【非特許文献3】
ゲント大「L Vanwassenhove,et,al.“Demonstration of 2−D Plastic Optical Fiber based Optical interconnect between CMOS IC’s”OFC2001 WDD74」
【非特許文献4】
NTT「エレクトロニクス実装学会誌 Vol.5,No5.AUG,2002」
【非特許文献5】
NEC「Real World Computing Project、次世代情報処理基板技術開発事業総合報告、エレクトロニクス実装学会誌 Vol.5,No5.AUG,2002」
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、基板間や装置間などの比較的短距離の伝送を対象とする光伝送用のポリマ光導波路を用いる部品内蔵基板に於いて、光導波路とVCSELやPDなどの光素子との間をレンズを用いることなく光結合することを可能にし、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせを不要にしようとするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明に依る部品内蔵基板に於いては、少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子とを備えてなることが基本になっている。尚、本明細書に於ける表記では、本発明に係わる光素子の場合、全て面受光型或いは面発光型の光素子を指すものと定義する。
【0028】
前記手段を採ることに依り、光導波路とVCSELやPD等の光素子との間をレンズを用いることなく光結合することが可能となり、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせは不要であり、また、光導波路やミラーの位置精度ばらつきの問題も解消され、この結果、部材のコスト、及び、プロセスのコストを共に低減させることが可能であって、その製造面の優位性は極めて高い。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に於ける部品内蔵基板は、コア基板にポリマ光導波路を収容する溝を形成し、その溝にポリマ光導波路を配置して接着剤などで接着・固定し、その後、ポリマ光導波路の所要箇所を斜め45度カットし、カット面に金属膜を形成することで45度反射ミラーとした構成が基本になっている。
【0030】
ポリマ光導波路をコア基板に接着・固定するには、平板上でポリマ光導波路とコア基板とを位置合わせして接着することで位置精度及び角度精度を充分に高く維持することができる。この場合、平板には、予め位置合わせ用マーカを形成しておいても良い。
【0031】
ポリマ光導波路の斜め45度カットは、半導体チップをダイシングするダイサを用いることができる。尚、予め45度反射ミラーが形成されたポリマ光導波路をコア基板の溝に接着・固定することで、接着剤の厚みばらつきに起因する光導波路及びミラー位置ばらつきを抑えることも可能である。
【0032】
ポリマ光導波路を内蔵したコア基板の表裏両面、又は、コア基板に積層したビルドアップ層の一面或いは両面に金属パターンを形成し、VCSELやPDを実装することは容易である。
【0033】
本発明に依る部品内蔵基板は、ポリマ光導波路、VCSEL、PD等を内蔵するのであるが、VCSELやPDの上部を含む近傍にVCSEL用ドライバICやPD用アンプIC等を3次元的に実装することができ、この実装方法を採った場合には、従来の表面実装に比較し、VCSEL−ドライバIC間、PD−アンプIC間の配線距離は著しく短縮され、高速動作性能は向上する。
【0034】
VCSEL及びPDなどの光素子には、光を出射する面、或いは、受光する面に基板と接合する為の金属パッドを形成し、その反対側の面に電気配線を接続する為の金属パッドを形成する。
【0035】
前記光素子を基板に実装するには、光の入出力側の面に形成した金属パッドを用いて基板と接合し、電気接続は、反対側の面に形成した金属パッドを用いて行う。この構成を採ることで、VCSEL及びそのドライバIC、或いは、PD及びそのレシーバICをスタック状に実装することが可能になる。
【0036】
実施例1
図1は製造工程要所に於けるコア基板を表す要部平面図であり、また、図2は製造工程要所に於ける光電気複合回路基板を説明する要部説明図であり、(A)は要部切断側面、(B)及び(C)はテープ状並列光ファイバを説明する要部平面及び要部正面をそれぞれ示している。
【0037】
図1(A)、(B)、図2(A)参照
100×100×0.15〔mm〕の両面銅張り有機コア基板51にプレス機用穴51A、溝形成用マーカ51B、V溝形成用マーカ51C(裏面)、VCSEL実装用マーカ51D、スルービア52、配線53などを形成する。
【0038】
ダイサを用い、溝形成用マーカ51Bを利用して所定位置にポリマ光導波路フィルム内蔵用溝54を形成する。
【0039】
図2(B)及び(C)参照
ポリマ光導波路フィルム57は、例えば、支持基板上に先ずポリイミドやエポキシなどの樹脂材料を用いてアンダー・クラッド層を形成し、そのアンダー・クラッド層上に屈折率が高いコア材料層を成膜し、レジスト塗布、パターン露光、レジスト現像、コア材料層のエッチング、レジスト剥離の工程を経てコア配線パターンを形成し、その上にオーバー・クラッド層を塗布して完成するものであって、図では、アンダー・クラッド層とオーバー・クラッド層とで構成されるクラッドを55Aで、また、クラッド55Aで覆われているコアを55Bで指示してある。
【0040】
ポリマ光導波路フィルム57は、平板上でコア基板51の溝54に一部を挿入し、高さを合わせて整列させ、溝54内に接着剤を充填して接着する。尚、記号58は接着剤層を指示している。
【0041】
コア基板51とポリマ光導波路フィルム57との高さを合わせるのに用いる平板には部品設置用としてマーカを形成しておくことが好ましく、また、コア基板51には配線53が存在しているので、高さを合わせる為のスペーサを設けても良い。尚、図示例では、コア基板51の絶縁層表面とフィルム57の表面とを合わせた構成になっている。
【0042】
前記のようにして、ポリマ光導波路フィルム57の一方の面がコア基板51と同じ面に在り、他方の面が接着剤58に接触している状態となる。
【0043】
実施例2
図3(A)は金属膜ミラーを形成した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1及び図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0044】
斜め45度切削部をもつブレードを取り付けたダイサを用い、図2について説明した接着剤層58側からポリマ光導波路フィルム57に対して斜め45度カットを行ってV状溝59を形成する。勿論、この場合、V溝形成用マーカ51Cを利用して位置決めする。
【0045】
次いで、例えばスパッタリング法を適用することに依り、前記斜め45度カットで形成されたV状溝内面に厚さ2〔μm〕のAu膜を被着し、それを樹脂60で埋め込んで金属膜ミラー61を完成する。この構成に依り、コア基板51の表面側から光信号を入出力させることが可能となる。
【0046】
実施例3
図3(B)は樹脂付き銅箔を付設した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図3(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0047】
実施例2として説明した部品内蔵基板の両面に樹脂付き銅箔であるビルドアップ層62(アラミカ 旭化成製、又は、ユウーピレックス 宇部興産製)を例えば真空プレスで積層する。尚、62Aは樹脂層、62Bは銅層をそれぞれ示している。
【0048】
樹脂層62Aの層厚は100〔μm〕以下が望ましく、例えば、出射角が30度であるVCSELを用いる場合には、ポリマ光導波路フィルム57に於けるコア55Bの一辺が50〔μm〕以上であれば、樹脂層厚が25〔μm〕以下であるビルドアップ層62を、また、コア55Bの一辺が100〔μm〕以上であれば、樹脂層厚が100〔μm〕以下であるビルドアップ層62を用いると良い。
【0049】
樹脂層62Aは、VCSELやPDを実装する温度に耐える材料であれば、エポキシ樹脂、PPE(polyphenylene ether)、BT(bismaleimide triazine resin)などの樹脂で良い。
【0050】
ビルドアップ層62には、金属膜ミラー61を利用してポリマ光導波路フィルム57に光を導入する領域に光が通過する孔を予め形成しておくと良い。尚、樹脂層62Aが例えばVCSELの発光波長に対して透明であれば、前記孔は不要であるが銅層62Bには形成しなければならない。尚、発光波長に対して透光性を有する樹脂としては、アラミカ(旭化成製)やユーピレックス(宇部興産製)を用いると良い。
【0051】
実施例3に依れば、ファイバを内蔵した基板の両面にビルドアップ層を一層ずつ形成した部品内蔵基板が実現される。
【0052】
実施例4
図4(A)は多層化された全ての層がIVH(interstitial via−hole)で結ばれた光電気複合回路基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図3に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0053】
実施例3として説明した部品内蔵基板に於けるビルドアップ層62に炭酸ガス・レーザ、或いは、UV−YAGレーザなどを用いてビア・ホールを形成し、無電解銅めっき、及び、電解銅めっきを行ってコア基板51に於ける配線53と導通を取り、リソグラフィ技術を摘要し、ビルドアップ層62に於ける銅層62Bをエッチングして配線62Cを形成し、Ag、Sn、Pb、Ni、Bi、In等の金属から選択した材料を用いてチップ部品搭載用パッド62Dを形成することで、全ての層がIVHで結ばれ、4層配線をもつポリマ光導波路フィルム内蔵の部品内蔵基板が実現される。ここで、チップ部品搭載用パッド62Dを作製するのもリソグラフィ技術を適用することができ、レジスト成膜、パッド・パターンの露光、レジスト現像、Cuめっき、接合用金属めっき、レジスト剥離などを実施すれば良い。尚、62Eは開孔を示している。
【0054】
実施例5
図4(B)はVCSELなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図4(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0055】
実施例4として説明した部品内蔵基板にVCSEL63を実装する。この場合のVCSEL63としては、表面発光型のフリップ・チップ実装可能なものが好適であり、例えば、表面発光型850〔nm〕光発光VCSLE(U04T:ULM Photonics社製)を用いることができる。
【0056】
VCSLE63を実装する際のパッド62Dとの接合用金属としては、Ag−Snなど低温実装用の各種金属を用いることができる。因に、Ag−Snの接合温度は240〔℃〕程度である。
【0057】
VCSLE63を実装してから、VCSEL用ドライバIC64のダイ・ボンディングを行い、ボンディング・ワイヤ65を用いて所要箇所、例えば、VCSEL63やその他の配線62Cとボンディングすることで、電気信号を光信号に変換し且つ送信することができる送信機能をもつ部品内蔵基板を実現することができる。尚、VCSEL用ドライバIC64としては、例えば、HXT2312A(Helix社製)を用いることができ、また、ドライバIC用としてキャパシタを設置することは任意である。
【0058】
実施例6
図5(A)はVCSELなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図4に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0059】
実施例5として説明した部品内蔵基板に100〔μm〕程度に薄板化したドライバIC64を搭載し、ボンディング・ワイヤ65の高さをドライバIC64の上方150〔μm〕以下に抑えてボンディングする。
【0060】
VCSEL63の下方に透光性アンダー・フィル剤66を充填してから、VCSEL63、ドライバIC64、キャパシタなどが設置された領域に対応する収容穴68Aが形成され、且つ、配線が形成されたコア基板68(アラミカ 旭化成社製)をプリプレグ層67を介して積層する。
【0061】
透光性アンダー・フィル剤66としては、例えばJCR6140、JCR6122(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などを用いて良い。
【0062】
積層したコア基板68に形成されている収容穴68A内に封止剤69を充填する。封止剤69としては、有機パッケージで多用されているものを用いることができ、熱伝導性の樹脂であることが好ましい。封止剤69の上方には、放熱用のフィンを設置しても良い。
【0063】
実施例7
図5(B)はPD及びPD用アンプICなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図5(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0064】
実施例6として説明した部品内蔵基板に実装されたVCSEL63に代えてPD70を、そして、ドライバIC64に代えてPD用アンプIC71をそれぞれ搭載したものであり、光ファイバから導入された光信号を受信する機能をもっている。
【0065】
実施例8
図6(A)は高速LSIを搭載したインターポーザ型の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図5に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0066】
実施例8は、実施例1乃至6に於いて、ポリマ光導波路フィルム57を内蔵したコア基板51に高速LSIを実装する為の領域を確保し、高速LSI用の配線や実装用パッドを形成して高速LSI72を実装することで、これからの電気信号を光信号に変換して送信することができるインターポーザ型の部品内蔵基板を実現した。尚、記号73は光導波路57に接続したコネクタを示している。
【0067】
実施例9
図6(B)は高速LSIを搭載したインターポーザ型の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図6(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0068】
実施例9は、実施例7に於いて、ポリマ光導波路フィルム57を内蔵したコア基板51に高速LSIを実装する為の領域を確保し、高速LSI用の配線や実装用パッドを形成して高速LSI72を実装することで、ポリマ光導波路フィルム57からの高速光信号を電気信号に変換して高速LSI72に伝送することができるインターポーザ型の部品内蔵基板を実現した。
【0069】
実施例10
図7(A)は基板内光配線用の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図6に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0070】
実施例10は、実施例8として説明した送信モジュール74と実施例9として説明した受信モジュール75を同一基板上に形成することで、基板内光配線を実現したものである。
【0071】
実施例11
図7(B)は部品内蔵基板に実装するのに好適なMSM(metal semiconductor metal)−PDを表す要部切断側面図であり、図に於いて、81はGaAsからなる基板、82は基板に作り込まれた受光部分に於ける受光面、83はスルーホール、84はスルーホール配線、85は受光面側パッド、86は裏面側パッドをそれぞれ示している。
【0072】
このMSM−PDでは、基板81に受光部分を作り込み、スルーホール83を形成してから、スルーホール配線84や他の配線を形成し、受光面側及び裏面側にNi/Auからなるパッド85及び86を形成する。
【0073】
この構成を採ることで、ポリマ光導波路フィルム−PD−PD用レシーバICをスタック状に実装した部品内蔵基板が実現される。
【0074】
実施例12
図8はMSM−PDを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図7に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0075】
実施例12は、実施例7或いは実施例9として説明した部品内蔵基板に実施例11で説明したMSM−PDを実装すると共にPD用レシーバIC87をスタック状に実装してある。尚、必要に応じ、PD用レシーバIC87の近傍にキャパシタを配置しても良い。
【0076】
部品内蔵基板を実施例12の構成にすると、PDとPD用レシーバICとをスタック状に実装されているので、配線を短くすることができ、高速化を必要とする部品内蔵基板の場合に有効である。尚、VCSEL及びVCSEL用ドライバICを実装する送信側基板の場合にも、実施例12と同様な構成にすることで、スタック型の実装を行うことができる。
【0077】
本発明に於いては、前記説明した実施の形態を含め、多くの形態で実施することができ、以下、それを付記として例示する。
【0078】
(付記1)
少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、
前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、
前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、
前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子とを備えてなることを特徴とする部品内蔵基板。
【0079】
(付記2)
ポリマ光導波路フィルムを内蔵したコア基板に積層形成された絶縁層と金属箔とからなるビルドアップ配線層及びそのビルドアップ配線層上に搭載された少なくとも面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子とを備えてなることを特徴とする(付記1)記載の部品内蔵基板。
【0080】
(付記3)
ポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝からなる反射ミラーがポリマ光導波路の一端或いは両端或いは分岐ポリマ光導波路の各端の近傍に形成されたポリマ光導波路フィルムがコア基板に内蔵されると共に該コア基板の一方の面或いは両面にビルドアップ配線層が形成されてなること
を特徴とする(付記1)或いは(付記2)記載の部品内蔵基板。
【0081】
(付記4)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーの反射を介して光がポリマ光導波路に入射する位置に面発光型半導体レーザが設置されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0082】
(付記5)
面発光型半導体レーザとV状溝を覆う金属膜との間の光路中に透光性樹脂が充填されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記4)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0083】
(付記6)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーの反射を介して光がポリマ光導波路から出射される位置に面受光型受光素子が設置されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0084】
(付記7)
面受光型受光素子とV状溝を覆う金属膜との間の光路中に透光性樹脂が充填されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1又は(付記6)記載の部品内蔵基板。
【0085】
(付記8)
ポリマ光導波路フィルムの一端側はコア基板内側に設置され且つ他端側はコア基板外側に自由端として導出され光コネクタが取り付けられてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記7)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0086】
(付記9)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーが両端近傍に形成されたポリマ光導波路フィルムを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記7)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0087】
(付記10)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の周囲に該光素子の厚さ以上の厚さをもつ積層材料が配設されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記9)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0088】
(付記11)
面発光型半導体レーザが有機材料を主体とする封止剤或いは熱伝導性絶縁樹脂で封止されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記5)の何れか1又は(付記8)乃至(10)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0089】
(付記12)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の近傍であって、且つ、同一配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記11)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0090】
(付記13)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の上方を含む近傍であって、且つ、異なる配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記11)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0091】
(付記14)
面発光型半導体レーザが光出射側の面に基板との接合用金属パッドを備え且つ反対側の面に電気配線との接続用金属パッドを備えるものであることを特徴とする(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0092】
(付記15)
面受光型受光素子が有機材料を主体とする封止剤或いは熱伝導性絶縁樹脂で封止されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1又は(付記6)乃至(9)の何れか1又は(付記12)又は(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0093】
(付記16)
面受光型受光素子が光入射側の面に基板との接合用金属パッドを備え且つ反対側の面に電気配線との接続用金属パッドを備えるものであることを特徴とする(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0094】
【発明の効果】
本発明に依る光電気複合回路基板に於いては、少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された少なくとも面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子とを備えることが基本になっている。
【0095】
前記手段を採ることに依り、光導波路とVCSELやPD等の光素子との間をレンズを用いることなく光結合することが可能となり、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせは不要であり、また、光導波路やミラーの位置精度ばらつきの問題も解消され、この結果、部材のコスト、及び、プロセスのコストを共に低減させることが可能であって、その製造面の優位性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造工程要所に於けるコア基板を表す要部平面図である。
【図2】製造工程要所に於ける部品内蔵基板を説明する要部説明図である。
【図3】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図4】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図5】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図6】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図7】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図8】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図9】石英導波路を用いた光伝送モジュールを例示する要部斜面図である。
【図10】Si基板そのものを導波路として用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図11】光ファイバを用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図12】マイクロレンズを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図13】マイクロレンズ及びミラーを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断説明図である。
【符号の説明】
51 コア基板
51A プレス機用穴
51B 溝形成用マーカ
51C V溝形成用マーカ
51D VCSEL実装用マーカ
52 スルービア
53 配線
54 溝
55A クラッド
55B コア
57 ポリマ光導波路フィルム
58 接着剤層
59 V状溝
60 樹脂
61 金属膜ミラー
62 ビルドアップ層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマ光導波路をはじめ、面発光型半導体レーザ、面受光型受光素子、電子デバイスなどを内蔵し、光伝送モジュールとして好適な部品内蔵基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電気信号を光信号に変換し、その光信号を送受信する為の光伝送モジュールは、基幹系光通信や装置間信号伝送に多用されつつある。
【0003】
従来の光伝送モジュールとしては、基板上に無機材料で光導波路を形成して半導体レーザ等の光部品を搭載したもの、或いは、基板上にポリマ導波路を形成したもの等が知られている。
【0004】
図9は石英導波路を用いた光伝送モジュールを例示する要部斜面図である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
図に於いて、1はSi基板、1AはSi基板に於けるテラス型部分、2は石英導波路、3はボンディング・パッド、4はフォトダイオードからなるモニタ、5は半導体レーザからなる送信器、6はフィルタ、7はフォトダイオードからなる受信器をそれぞれ示している。
【0006】
この光伝送モジュールに於いては、例えば、火炎堆積法を適用してSi基板1上に石英導波路2を形成すると共に光部品を実装したものであって、波長1.5〔μm〕の光信号を入力した場合、フィルタ6を通過して受信器7に到達し、また、送信器5から波長1.3〔μm〕の光信号が放射された場合、フィルタ6で反射されてから出力されることなどが明らかにされている。
【0007】
図10はSi基板そのものを導波路として用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である(例えば、非特許文献2参照)。
【0008】
図10(A)に於いて、11は第1のSi基板、12は入射側直線状グレーティング、13は出射側直線状グレーティング、14はリレー・レンズ、15A及び15Bは第2のSi基板、16及び17はレンズ、18は光源、19は受光器をそれぞれ示している。
【0009】
図10(B)に於いて、15は第2のSi基板、20はLSIをそれぞれ示していて、図10(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0010】
図10(B)は、図10(A)に見られる第2のSi基板15Aと15Bとを一体化し、LEDからなる光源18から波長1.5〔μm〕の光信号を放射し、レンズ16から図10(A)に於ける第1のSi基板11に入射させ、Si基板11中を反射を繰り返しながら進行した光信号をPDからなる受光器19で受信するようにしてある。尚、波長1.5〔μm〕の光はSiを透過する。
【0011】
図11は光ファイバを用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である(例えば、非特許文献3参照。)。
【0012】
図に於いて、21は支持基板、22はOIIC(optically interconnected integrated circuits)、23はドライバ、24はLSIからなる論理部、25はレシーバ、26はVCSEL(vertical cavity surface emitting Laser)、27はフォトダイオード、28はPOF(plastic optical fiber)をそれぞれ示している。
【0013】
前記図9(非特許文献1)及び図10(非特許文献2)について説明した従来例では、何れSi基板を用いることが必須であり、基板が限定されてしまう旨の問題があり、また、図11(非特許文献3)について説明した従来例では、空間に出射される光を光ファイバの端面で受光する構成になっている為、構造が大きくなり、また、光ファイバを安定に固定する為の部材が必要になるなどの問題がある。
【0014】
図12はマイクロレンズを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断側面図であり、(A)は全体を、(B)は一部の拡大詳細をそれぞれ示している(例えば、非特許文献4参照。)。
【0015】
図に於いて、31はポリマ導波路、32はVCSEL、33はドライバIC、34はLSI、35はPD、36はレシーバIC、37はマイクロレンズ、37A及び37Bはマイクロレンズ、38はVCSELやPDなどの光素子、39はソルダ・バンプをそれぞれ示している。
【0016】
図13はマイクロレンズ及びミラーを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断説明図であり、(A)は要部切断平面を、(B)は要部切断側面をそれぞれ示している(例えば、非特許文献5参照。)。
【0017】
図に於いて、41はPETIT(photonic/electric tied interface)用ケース、42はVCSEL、43は平板マイクロレンズ(PML:planar micro lens)、44はpin−PD、45はMT(mechanically transferable)型コネクタ互換ガイド孔、46はV溝ハウジング、46は45度ミラー、47はガイドピン、48は光ファイバ(12芯)をそれぞれ示している。
【0018】
前記図12(非特許文献4)について説明した従来例では、有機基板に光導波路であるポリマ導波路31を内蔵し、マイクロレンズ37A及び37Bを用いてポリマ導波路31とVCSELやPDなどの光素子37との光結合を行うものであり、また、前記図13(非特許文献5)について説明した従来例では、空間に出射する光を平板マイクロレンズ43及び精密プラスチック成形で作製した光を垂直に曲げる45度ミラー46を用いて光ファイバ48に結合するものであり、何れもマイクロレンズや精密なミラーを用いているので、光素子と導波路とを光学的に結合させること、及び、それを長期に亙って維持するのは簡単なことではない。
【0019】
光伝送モジュールについては、前記した文献に見られる技術だけでなく、他に特許出願された発明が開示されている。
【0020】
電気回路基板の内層に光導波路部品を搭載する為、光導波路部品を作製するベース基板として透明なガラス基板を用い、このガラス基板を含む光導波路を1つの光導波路部品とすることでリジッドな光導波路部品にしたものであって、扱い易さが向上するとしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0021】
この発明では、光導波路がリジッドになるから、これをプリント基板に接着剤やはんだバンプを用いて平坦性良く貼り合わせることが可能となるが、ガラス基板にはある程度の厚さが必要であるから、光の入出力にレンズを用いることが不可欠になる。
【0022】
光導波路を基板から剥離したフイルムの状態で使用し、その上に発光素子や受光素子などの光素子を実装することができれば、レンズを用いることなく光結合することが可能である。
【0023】
然しながら、前記特許文献1にも開示されているところであるが、フィルムの状態では、扱いが容易ではなく、例えば、接着剤で基板上に固着する際、端部は接着剤の厚さに最も分布を生じ易い箇所であり、そこにミラーを設置する場合、高さを精度よく制御することが困難である。
【0024】
また、〔GHz〕以上の高速信号伝送を用途とする部品内蔵基板では、面発光型半導体レーザとドライバIC間、或いは、受光素子とレシーバIC間などの配線は、できる限り短縮しなければならないが、従来の部品実装形態では、多層の基板に於ける同じ配線層に実装するのが普通であって、配線の短縮には限界がある。
【0025】
【特許文献1】
特開2002−189137号公報
【非特許文献1】
光通信技術の最新資料集III オプトロニクス社 平成10年 第1版 p122
【非特許文献2】
沖電気 Real World Computing Project,次世代情報処理基盤技術開発事業総合報告
【非特許文献3】
ゲント大「L Vanwassenhove,et,al.“Demonstration of 2−D Plastic Optical Fiber based Optical interconnect between CMOS IC’s”OFC2001 WDD74」
【非特許文献4】
NTT「エレクトロニクス実装学会誌 Vol.5,No5.AUG,2002」
【非特許文献5】
NEC「Real World Computing Project、次世代情報処理基板技術開発事業総合報告、エレクトロニクス実装学会誌 Vol.5,No5.AUG,2002」
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、基板間や装置間などの比較的短距離の伝送を対象とする光伝送用のポリマ光導波路を用いる部品内蔵基板に於いて、光導波路とVCSELやPDなどの光素子との間をレンズを用いることなく光結合することを可能にし、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせを不要にしようとするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明に依る部品内蔵基板に於いては、少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子とを備えてなることが基本になっている。尚、本明細書に於ける表記では、本発明に係わる光素子の場合、全て面受光型或いは面発光型の光素子を指すものと定義する。
【0028】
前記手段を採ることに依り、光導波路とVCSELやPD等の光素子との間をレンズを用いることなく光結合することが可能となり、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせは不要であり、また、光導波路やミラーの位置精度ばらつきの問題も解消され、この結果、部材のコスト、及び、プロセスのコストを共に低減させることが可能であって、その製造面の優位性は極めて高い。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に於ける部品内蔵基板は、コア基板にポリマ光導波路を収容する溝を形成し、その溝にポリマ光導波路を配置して接着剤などで接着・固定し、その後、ポリマ光導波路の所要箇所を斜め45度カットし、カット面に金属膜を形成することで45度反射ミラーとした構成が基本になっている。
【0030】
ポリマ光導波路をコア基板に接着・固定するには、平板上でポリマ光導波路とコア基板とを位置合わせして接着することで位置精度及び角度精度を充分に高く維持することができる。この場合、平板には、予め位置合わせ用マーカを形成しておいても良い。
【0031】
ポリマ光導波路の斜め45度カットは、半導体チップをダイシングするダイサを用いることができる。尚、予め45度反射ミラーが形成されたポリマ光導波路をコア基板の溝に接着・固定することで、接着剤の厚みばらつきに起因する光導波路及びミラー位置ばらつきを抑えることも可能である。
【0032】
ポリマ光導波路を内蔵したコア基板の表裏両面、又は、コア基板に積層したビルドアップ層の一面或いは両面に金属パターンを形成し、VCSELやPDを実装することは容易である。
【0033】
本発明に依る部品内蔵基板は、ポリマ光導波路、VCSEL、PD等を内蔵するのであるが、VCSELやPDの上部を含む近傍にVCSEL用ドライバICやPD用アンプIC等を3次元的に実装することができ、この実装方法を採った場合には、従来の表面実装に比較し、VCSEL−ドライバIC間、PD−アンプIC間の配線距離は著しく短縮され、高速動作性能は向上する。
【0034】
VCSEL及びPDなどの光素子には、光を出射する面、或いは、受光する面に基板と接合する為の金属パッドを形成し、その反対側の面に電気配線を接続する為の金属パッドを形成する。
【0035】
前記光素子を基板に実装するには、光の入出力側の面に形成した金属パッドを用いて基板と接合し、電気接続は、反対側の面に形成した金属パッドを用いて行う。この構成を採ることで、VCSEL及びそのドライバIC、或いは、PD及びそのレシーバICをスタック状に実装することが可能になる。
【0036】
実施例1
図1は製造工程要所に於けるコア基板を表す要部平面図であり、また、図2は製造工程要所に於ける光電気複合回路基板を説明する要部説明図であり、(A)は要部切断側面、(B)及び(C)はテープ状並列光ファイバを説明する要部平面及び要部正面をそれぞれ示している。
【0037】
図1(A)、(B)、図2(A)参照
100×100×0.15〔mm〕の両面銅張り有機コア基板51にプレス機用穴51A、溝形成用マーカ51B、V溝形成用マーカ51C(裏面)、VCSEL実装用マーカ51D、スルービア52、配線53などを形成する。
【0038】
ダイサを用い、溝形成用マーカ51Bを利用して所定位置にポリマ光導波路フィルム内蔵用溝54を形成する。
【0039】
図2(B)及び(C)参照
ポリマ光導波路フィルム57は、例えば、支持基板上に先ずポリイミドやエポキシなどの樹脂材料を用いてアンダー・クラッド層を形成し、そのアンダー・クラッド層上に屈折率が高いコア材料層を成膜し、レジスト塗布、パターン露光、レジスト現像、コア材料層のエッチング、レジスト剥離の工程を経てコア配線パターンを形成し、その上にオーバー・クラッド層を塗布して完成するものであって、図では、アンダー・クラッド層とオーバー・クラッド層とで構成されるクラッドを55Aで、また、クラッド55Aで覆われているコアを55Bで指示してある。
【0040】
ポリマ光導波路フィルム57は、平板上でコア基板51の溝54に一部を挿入し、高さを合わせて整列させ、溝54内に接着剤を充填して接着する。尚、記号58は接着剤層を指示している。
【0041】
コア基板51とポリマ光導波路フィルム57との高さを合わせるのに用いる平板には部品設置用としてマーカを形成しておくことが好ましく、また、コア基板51には配線53が存在しているので、高さを合わせる為のスペーサを設けても良い。尚、図示例では、コア基板51の絶縁層表面とフィルム57の表面とを合わせた構成になっている。
【0042】
前記のようにして、ポリマ光導波路フィルム57の一方の面がコア基板51と同じ面に在り、他方の面が接着剤58に接触している状態となる。
【0043】
実施例2
図3(A)は金属膜ミラーを形成した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1及び図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0044】
斜め45度切削部をもつブレードを取り付けたダイサを用い、図2について説明した接着剤層58側からポリマ光導波路フィルム57に対して斜め45度カットを行ってV状溝59を形成する。勿論、この場合、V溝形成用マーカ51Cを利用して位置決めする。
【0045】
次いで、例えばスパッタリング法を適用することに依り、前記斜め45度カットで形成されたV状溝内面に厚さ2〔μm〕のAu膜を被着し、それを樹脂60で埋め込んで金属膜ミラー61を完成する。この構成に依り、コア基板51の表面側から光信号を入出力させることが可能となる。
【0046】
実施例3
図3(B)は樹脂付き銅箔を付設した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図3(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0047】
実施例2として説明した部品内蔵基板の両面に樹脂付き銅箔であるビルドアップ層62(アラミカ 旭化成製、又は、ユウーピレックス 宇部興産製)を例えば真空プレスで積層する。尚、62Aは樹脂層、62Bは銅層をそれぞれ示している。
【0048】
樹脂層62Aの層厚は100〔μm〕以下が望ましく、例えば、出射角が30度であるVCSELを用いる場合には、ポリマ光導波路フィルム57に於けるコア55Bの一辺が50〔μm〕以上であれば、樹脂層厚が25〔μm〕以下であるビルドアップ層62を、また、コア55Bの一辺が100〔μm〕以上であれば、樹脂層厚が100〔μm〕以下であるビルドアップ層62を用いると良い。
【0049】
樹脂層62Aは、VCSELやPDを実装する温度に耐える材料であれば、エポキシ樹脂、PPE(polyphenylene ether)、BT(bismaleimide triazine resin)などの樹脂で良い。
【0050】
ビルドアップ層62には、金属膜ミラー61を利用してポリマ光導波路フィルム57に光を導入する領域に光が通過する孔を予め形成しておくと良い。尚、樹脂層62Aが例えばVCSELの発光波長に対して透明であれば、前記孔は不要であるが銅層62Bには形成しなければならない。尚、発光波長に対して透光性を有する樹脂としては、アラミカ(旭化成製)やユーピレックス(宇部興産製)を用いると良い。
【0051】
実施例3に依れば、ファイバを内蔵した基板の両面にビルドアップ層を一層ずつ形成した部品内蔵基板が実現される。
【0052】
実施例4
図4(A)は多層化された全ての層がIVH(interstitial via−hole)で結ばれた光電気複合回路基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図3に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0053】
実施例3として説明した部品内蔵基板に於けるビルドアップ層62に炭酸ガス・レーザ、或いは、UV−YAGレーザなどを用いてビア・ホールを形成し、無電解銅めっき、及び、電解銅めっきを行ってコア基板51に於ける配線53と導通を取り、リソグラフィ技術を摘要し、ビルドアップ層62に於ける銅層62Bをエッチングして配線62Cを形成し、Ag、Sn、Pb、Ni、Bi、In等の金属から選択した材料を用いてチップ部品搭載用パッド62Dを形成することで、全ての層がIVHで結ばれ、4層配線をもつポリマ光導波路フィルム内蔵の部品内蔵基板が実現される。ここで、チップ部品搭載用パッド62Dを作製するのもリソグラフィ技術を適用することができ、レジスト成膜、パッド・パターンの露光、レジスト現像、Cuめっき、接合用金属めっき、レジスト剥離などを実施すれば良い。尚、62Eは開孔を示している。
【0054】
実施例5
図4(B)はVCSELなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図4(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0055】
実施例4として説明した部品内蔵基板にVCSEL63を実装する。この場合のVCSEL63としては、表面発光型のフリップ・チップ実装可能なものが好適であり、例えば、表面発光型850〔nm〕光発光VCSLE(U04T:ULM Photonics社製)を用いることができる。
【0056】
VCSLE63を実装する際のパッド62Dとの接合用金属としては、Ag−Snなど低温実装用の各種金属を用いることができる。因に、Ag−Snの接合温度は240〔℃〕程度である。
【0057】
VCSLE63を実装してから、VCSEL用ドライバIC64のダイ・ボンディングを行い、ボンディング・ワイヤ65を用いて所要箇所、例えば、VCSEL63やその他の配線62Cとボンディングすることで、電気信号を光信号に変換し且つ送信することができる送信機能をもつ部品内蔵基板を実現することができる。尚、VCSEL用ドライバIC64としては、例えば、HXT2312A(Helix社製)を用いることができ、また、ドライバIC用としてキャパシタを設置することは任意である。
【0058】
実施例6
図5(A)はVCSELなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図4に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0059】
実施例5として説明した部品内蔵基板に100〔μm〕程度に薄板化したドライバIC64を搭載し、ボンディング・ワイヤ65の高さをドライバIC64の上方150〔μm〕以下に抑えてボンディングする。
【0060】
VCSEL63の下方に透光性アンダー・フィル剤66を充填してから、VCSEL63、ドライバIC64、キャパシタなどが設置された領域に対応する収容穴68Aが形成され、且つ、配線が形成されたコア基板68(アラミカ 旭化成社製)をプリプレグ層67を介して積層する。
【0061】
透光性アンダー・フィル剤66としては、例えばJCR6140、JCR6122(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などを用いて良い。
【0062】
積層したコア基板68に形成されている収容穴68A内に封止剤69を充填する。封止剤69としては、有機パッケージで多用されているものを用いることができ、熱伝導性の樹脂であることが好ましい。封止剤69の上方には、放熱用のフィンを設置しても良い。
【0063】
実施例7
図5(B)はPD及びPD用アンプICなどを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図5(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0064】
実施例6として説明した部品内蔵基板に実装されたVCSEL63に代えてPD70を、そして、ドライバIC64に代えてPD用アンプIC71をそれぞれ搭載したものであり、光ファイバから導入された光信号を受信する機能をもっている。
【0065】
実施例8
図6(A)は高速LSIを搭載したインターポーザ型の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図5に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0066】
実施例8は、実施例1乃至6に於いて、ポリマ光導波路フィルム57を内蔵したコア基板51に高速LSIを実装する為の領域を確保し、高速LSI用の配線や実装用パッドを形成して高速LSI72を実装することで、これからの電気信号を光信号に変換して送信することができるインターポーザ型の部品内蔵基板を実現した。尚、記号73は光導波路57に接続したコネクタを示している。
【0067】
実施例9
図6(B)は高速LSIを搭載したインターポーザ型の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図6(A)に於いて用いた記号と同記号は同部分を示すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0068】
実施例9は、実施例7に於いて、ポリマ光導波路フィルム57を内蔵したコア基板51に高速LSIを実装する為の領域を確保し、高速LSI用の配線や実装用パッドを形成して高速LSI72を実装することで、ポリマ光導波路フィルム57からの高速光信号を電気信号に変換して高速LSI72に伝送することができるインターポーザ型の部品内蔵基板を実現した。
【0069】
実施例10
図7(A)は基板内光配線用の部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図6に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0070】
実施例10は、実施例8として説明した送信モジュール74と実施例9として説明した受信モジュール75を同一基板上に形成することで、基板内光配線を実現したものである。
【0071】
実施例11
図7(B)は部品内蔵基板に実装するのに好適なMSM(metal semiconductor metal)−PDを表す要部切断側面図であり、図に於いて、81はGaAsからなる基板、82は基板に作り込まれた受光部分に於ける受光面、83はスルーホール、84はスルーホール配線、85は受光面側パッド、86は裏面側パッドをそれぞれ示している。
【0072】
このMSM−PDでは、基板81に受光部分を作り込み、スルーホール83を形成してから、スルーホール配線84や他の配線を形成し、受光面側及び裏面側にNi/Auからなるパッド85及び86を形成する。
【0073】
この構成を採ることで、ポリマ光導波路フィルム−PD−PD用レシーバICをスタック状に実装した部品内蔵基板が実現される。
【0074】
実施例12
図8はMSM−PDを実装した部品内蔵基板を表す要部切断側面図であり、図1乃至図7に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0075】
実施例12は、実施例7或いは実施例9として説明した部品内蔵基板に実施例11で説明したMSM−PDを実装すると共にPD用レシーバIC87をスタック状に実装してある。尚、必要に応じ、PD用レシーバIC87の近傍にキャパシタを配置しても良い。
【0076】
部品内蔵基板を実施例12の構成にすると、PDとPD用レシーバICとをスタック状に実装されているので、配線を短くすることができ、高速化を必要とする部品内蔵基板の場合に有効である。尚、VCSEL及びVCSEL用ドライバICを実装する送信側基板の場合にも、実施例12と同様な構成にすることで、スタック型の実装を行うことができる。
【0077】
本発明に於いては、前記説明した実施の形態を含め、多くの形態で実施することができ、以下、それを付記として例示する。
【0078】
(付記1)
少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、
前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、
前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、
前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子とを備えてなることを特徴とする部品内蔵基板。
【0079】
(付記2)
ポリマ光導波路フィルムを内蔵したコア基板に積層形成された絶縁層と金属箔とからなるビルドアップ配線層及びそのビルドアップ配線層上に搭載された少なくとも面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子とを備えてなることを特徴とする(付記1)記載の部品内蔵基板。
【0080】
(付記3)
ポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝からなる反射ミラーがポリマ光導波路の一端或いは両端或いは分岐ポリマ光導波路の各端の近傍に形成されたポリマ光導波路フィルムがコア基板に内蔵されると共に該コア基板の一方の面或いは両面にビルドアップ配線層が形成されてなること
を特徴とする(付記1)或いは(付記2)記載の部品内蔵基板。
【0081】
(付記4)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーの反射を介して光がポリマ光導波路に入射する位置に面発光型半導体レーザが設置されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0082】
(付記5)
面発光型半導体レーザとV状溝を覆う金属膜との間の光路中に透光性樹脂が充填されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記4)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0083】
(付記6)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーの反射を介して光がポリマ光導波路から出射される位置に面受光型受光素子が設置されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0084】
(付記7)
面受光型受光素子とV状溝を覆う金属膜との間の光路中に透光性樹脂が充填されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1又は(付記6)記載の部品内蔵基板。
【0085】
(付記8)
ポリマ光導波路フィルムの一端側はコア基板内側に設置され且つ他端側はコア基板外側に自由端として導出され光コネクタが取り付けられてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記7)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0086】
(付記9)
金属膜で覆われたV状溝からなるミラーが両端近傍に形成されたポリマ光導波路フィルムを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記7)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0087】
(付記10)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の周囲に該光素子の厚さ以上の厚さをもつ積層材料が配設されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記9)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0088】
(付記11)
面発光型半導体レーザが有機材料を主体とする封止剤或いは熱伝導性絶縁樹脂で封止されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記5)の何れか1又は(付記8)乃至(10)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0089】
(付記12)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の近傍であって、且つ、同一配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記11)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0090】
(付記13)
面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の上方を含む近傍であって、且つ、異なる配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記11)の何れか1記載の部品内蔵基板。
【0091】
(付記14)
面発光型半導体レーザが光出射側の面に基板との接合用金属パッドを備え且つ反対側の面に電気配線との接続用金属パッドを備えるものであることを特徴とする(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0092】
(付記15)
面受光型受光素子が有機材料を主体とする封止剤或いは熱伝導性絶縁樹脂で封止されてなることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1又は(付記6)乃至(9)の何れか1又は(付記12)又は(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0093】
(付記16)
面受光型受光素子が光入射側の面に基板との接合用金属パッドを備え且つ反対側の面に電気配線との接続用金属パッドを備えるものであることを特徴とする(付記13)記載の部品内蔵基板。
【0094】
【発明の効果】
本発明に依る光電気複合回路基板に於いては、少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された少なくとも面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子とを備えることが基本になっている。
【0095】
前記手段を採ることに依り、光導波路とVCSELやPD等の光素子との間をレンズを用いることなく光結合することが可能となり、従って、組み立て時にレンズの精密な位置合わせは不要であり、また、光導波路やミラーの位置精度ばらつきの問題も解消され、この結果、部材のコスト、及び、プロセスのコストを共に低減させることが可能であって、その製造面の優位性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造工程要所に於けるコア基板を表す要部平面図である。
【図2】製造工程要所に於ける部品内蔵基板を説明する要部説明図である。
【図3】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図4】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図5】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図6】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図7】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図8】部品内蔵基板を表す要部切断側面図である。
【図9】石英導波路を用いた光伝送モジュールを例示する要部斜面図である。
【図10】Si基板そのものを導波路として用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図11】光ファイバを用いた光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図12】マイクロレンズを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断側面図である。
【図13】マイクロレンズ及びミラーを用いる光伝送モジュールを例示する要部切断説明図である。
【符号の説明】
51 コア基板
51A プレス機用穴
51B 溝形成用マーカ
51C V溝形成用マーカ
51D VCSEL実装用マーカ
52 スルービア
53 配線
54 溝
55A クラッド
55B コア
57 ポリマ光導波路フィルム
58 接着剤層
59 V状溝
60 樹脂
61 金属膜ミラー
62 ビルドアップ層
Claims (5)
- 少なくとも電気配線、マーカ、ポリマ光導波路フィルムを内蔵する為の溝が形成されてなるコア基板と、
前記ポリマ光導波路フィルムのフィルム面と前記コア基板に於ける絶縁層面或いは電気配線表面とを略同じ高さに整列させて前記溝に配置すると共に接着固定したポリマ光導波路フィルムと、
前記整列させた面と反対側のコア基板表面から形成され少なくともポリマ光導波路のコアを斜めにカットし且つ該カットした面が金属膜で覆われたV状溝と、
前記ポリマ光導波路フィルムと面を揃えた側の電気配線を用いて搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子と
を備えてなることを特徴とする部品内蔵基板。 - ポリマ光導波路フィルムを内蔵したコア基板に積層形成された絶縁層と金属箔とからなるビルドアップ配線層及びそのビルドアップ配線層上に搭載された面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子と
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。 - 面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の周囲に該光素子の厚さ以上の厚さをもつ積層材料が配設されてなること
を特徴とする請求項1或いは2記載の部品内蔵基板。 - 面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の近傍であって、且つ、同一配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1記載の部品内蔵基板。 - 面発光型半導体レーザ或いは面受光型受光素子などの光素子の上方を含む近傍であって、且つ、異なる配線層に設置された光素子動作用IC或いは光素子動作用ICとキャパシタを備えてなること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1記載の部品内蔵基板。
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