JP2005070158A - 光導波路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率のよい光信号の伝送を実現することができ、しかも製造が簡単でしかも安価な光導波路基板を提供すること。
【解決手段】本発明の光導波路基板40を構成する光導波路層41は、コア43、クラッド42,44、凹部46を有する。コア43は光信号が伝搬する光路となる部分である。クラッド42,44はコア43を取り囲んでいる。凹部46はコア43の途上または端部に配置されている。凹部46内面においてコア43に接する箇所は、光路変換部として機能する凸状湾曲面47になっている。この凸状湾曲面47の表面上には反射体48が形成されていてもよい。また、コア43において光路変換部の近傍には、その幅が光路変換部に近づくに従って徐々に狭くなる集光部61が設けられていてもよい。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の光導波路基板40を構成する光導波路層41は、コア43、クラッド42,44、凹部46を有する。コア43は光信号が伝搬する光路となる部分である。クラッド42,44はコア43を取り囲んでいる。凹部46はコア43の途上または端部に配置されている。凹部46内面においてコア43に接する箇所は、光路変換部として機能する凸状湾曲面47になっている。この凸状湾曲面47の表面上には反射体48が形成されていてもよい。また、コア43において光路変換部の近傍には、その幅が光路変換部に近づくに従って徐々に狭くなる集光部61が設けられていてもよい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路基板及びその製造方法に係り、特には光を反射して光路を変換する部位の形状等に特徴がある光導波路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットに代表される情報通信技術の発達や、情報処理装置の処理速度の飛躍的向上などに伴って、画像等の大容量データを送受信するニーズが高まりつつある。かかる大容量データを情報通信設備を通じて自由にやり取りするためには10Gbps以上の情報伝達速度が望ましく、そのような高速通信環境を実現しうる技術として光通信技術に大きな期待が寄せられている。一方、機器内の配線基板間での接続、配線基板内の半導体チップ間での接続、半導体チップ内での接続など、比較的短い距離における信号伝達経路に関しても、高速で信号を伝送することが近年望まれている。このため、従来一般的であった金属ケーブルや金属配線から、光ファイバや光導波路等の光伝送手段を用いた光伝送へと移行することが理想的である考えられている。
【0003】
特に光導波路は、光ファイバと比較して配線自由度が高い等の利点を有することから、近年注目を集めている。それゆえ最近では、光導波路基板を支持基材の表面に対してほぼ平行な状態で配置した構造物が、種々提案されるに至っている。この種の光導波路基板においては、通常、基板上方に光学素子が配置される。そして、光学素子との間で効率よく光が伝わるように、光導波路基板のコアを伝搬する光を支持基材に対して略垂直な方向に反射して進路変換させる光路変換部が、光導波路基板側または支持基板側に配設される。
【0004】
ところで、光路変換部の反射面からの距離が大きくなると、反射光のスポットサイズが大きくなり、おのずと光の伝送ロスが増大する。そこで、反射面として凹状湾曲面を有するミラー(光路変換部材)を支持基板上に接合し、反射光の集光を図るようにした技術が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−82244号公報(図11等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の従来技術の場合、複雑な表面形状を有する微小なミラーを作製する必要がある。しかし、このようなミラーを作製することは極めて煩雑かつ困難であり、たとえミラーを作製できたとしても製造コストが非常に高くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率のよい光信号の伝送を実現することができ、しかも製造が簡単でしかも安価な光導波路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決するための手段としては、光信号が伝搬する光路となるコアと、前記コアを取り囲むクラッドと、前記コアの途上または端部に配置された凹部とを有する光導波路層を備え、前記凹部内面において少なくとも前記コアに接する箇所が、光路変換部として機能しうる凸状湾曲面であることを特徴とする光導波路基板がある。
【0009】
従って、本発明の構成によると、凹部内面の凸状湾曲面を光導波路層の内側から見ると、その面は光路変換部として機能しうる凹状湾曲面となっている。そして、その面に入射した光は反射される際に集光される。よって、反射光のスポットサイズが小さくなり、光の伝送ロスを低減することができる。従って、効率のよい光信号の伝送を実現することができる。また、この構成によると、凹状湾曲面を含む複雑な表面形状を有する微小な光路変換部材が不要になるので、製造が簡単でしかも安価な光導波路基板とすることができる。
【0010】
本発明の光導波路基板を構成する光導波路層は、主面及び裏面を有していることがよく、具体的には板状またはフィルム状の部材であることがよい。かかる光導波路層は、光信号が伝搬する光路となるコア、前記コアを取り囲むクラッドを有する。光導波路層は、無機材料を用いて構成されたものであって、有機材料を用いて構成されたものであってもよい。また、かかる光導波路層は、支持基板等のような支持体なしで単独で存在しうるものであってもよいほか、支持体上に支持された状態で存在するものであってもよい。前記無機系光導波路層の例としては、石英等からなる光導波路層がある。前記有機系光導波路層の例としては、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などのポリマ材料からなる光導波路層がある。前記ポリマ材料の具体例としては、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。コアを形成する材料及びクラッドを形成する材料はいずれも透光性を有することが好ましい。コアを形成するポリマ材料は、クラッドを形成するポリマ材料よりも数%ほど屈折率が高くなるように設定される。
【0011】
ここで、コアの厚さ及びクラッドの厚さは、特に限定されないが、それぞれ数μm〜数十μm程度に設定されることがよい。また、コアの幅も、特に限定されないが、数μm〜数十μm程度に設定されることがよい。
【0012】
本発明の光導波路基板を構成する光導波路層は、コアの途上または端部に配置された凹部を有している。ここで凹部とは、内面において前記コアに接する箇所が凸状湾曲面になっていればよく、光導波路層の主面及び裏面を貫通した凹部であってもよく、非貫通の凹部であってもよい。凹部の好適例としては、例えば、光導波路層の裏面にのみ開口する溝部を挙げることができる。また、溝部等のような凹部は、1つのコアの途上または端部に位置していてもよく、複数のコアを横切る(跨ぐ)ようにしてそれらの途上または端部に位置していてもよい。非貫通の凹部の深さは特に限定されないが、少なくとも先端がコアに達する程度の深さであることがよい。
【0013】
前記凸状湾曲面を、前記光導波路層の厚さ方向に平行かつ前記コアの長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状であってもよい。このような構成であると、反射光をコアの延びる方向に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。あるいは、前記凸状湾曲面を、前記光導波路層の厚さ方向に平行かつ前記コアの長手方向に直交する平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状であってもよい。このような構成であると、反射光をコアの延びる方向に直交する方向に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。そして、上記の特徴を有する凹部であれば、凸状湾曲面の三次元形状がそれほど複雑にならないため、比較的簡単に形成可能である。
【0014】
勿論、前者の特徴と後者の特徴とを併せ備えた凹部としてもよく、この構成によれば凹部の形成に関しては若干困難になる反面、反射光を2方向から集光することで、スポットサイズを確実に小さくすることができる。
【0015】
前記凹部の曲率半径は特に限定されるべきではないが、例えば150μm以上1mm以下であることがよく、200μm以上600μm以下であることがよりよい。即ち、曲率半径が大きすぎると、焦点距離が長くなり実装素子高さとの整合がとりづらくなるためである。一方、曲率半径が小さすぎると、焦点距離が短くなり焦点が上層のクラッド内にきてしまうためである。
【0016】
前記凹部内面の凸状湾曲面上には、光路変換部として機能する反射体(光反射体)が形成されていることがよい。そして、この場合には、反射体における反射面が凹状湾曲面になるため、光を集光しながら効率よく反射することができる。
【0017】
前記反射体は光を効率よく反射しうる材料を用いて形成されることがよく、そのような材料の好適例としては金属等がある。より具体的には、反射体は凸状湾曲面上に形成された金属膜であることが好ましい。この場合、金属膜は凸状湾曲面に対して密着して追従していることがよい。金属膜の形成に使用される金属材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、ロジウム等のような、光沢を有する金属を挙げることができる。光沢を有する金属は光を効率よく反射しうるため、光路変換部としての用途に適するからである。金属膜は光を90%以上反射することがよく、特には光を全反射することがよい。また、金属膜は凹部内面の一部に形成されてもよく全部に形成されてもよい。その場合、金属膜の形成面積は、少なくともコアの断面積よりも大きく設定されることがよい。金属膜の厚さは、使用する金属材料の種類や薄膜の形成方法などに鑑みて適宜設定される。
【0018】
前記コアの幅は一定であってもよいが、部分的に狭くなっていてもよい。具体的には、前記コアにおいて前記光路変換部の近傍には、その幅が前記光路変換部に近づくに従って徐々に狭くなる集光部が設けられていてもよい。このような集光部があると、コアから出射する光のスポットサイズを小さくすることができる。なお、前記コアにおいて前記光路変換部の近傍には、その厚さが前記光路変換部に近づくに従って徐々に薄くなる集光部が設けられていてもよい。ただし、後者の集光部に比べて前者の集光部のほうが形成が容易であり、低コスト化に向いている。
【0019】
ここで、凸状湾曲面を光導波路層の厚さ方向に平行かつコアの長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分が円弧状である凹部を形成した場合には、併せて、幅が徐々に狭くなる集光部を設けることが好適である。このような組み合わせにすれば、比較的簡単にかつコスト高を伴わずに光を2方向に集光することができ、スポットサイズを確実に小さくすることができる。
【0020】
本発明の光導波路基板の使用時において、凹部の近傍には光学素子が配置される。ただし、本発明の光導波路基板において光学素子は任意の構成要素である。前記光学素子は、光導波路層の主面上または光導波路基板を支持する支持基板上に、1つまたは2つ以上搭載される。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、前記光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。前記光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、導体を介して電気的に接続される。
【0021】
上記課題を解決する別の手段としては、光信号が伝搬する光路となるコア、前記コアを取り囲むクラッド及び前記コアの途上または端部に配置された凹部を有し、前記凹部内面において前記コアに接する箇所が凸状湾曲面である光導波路層と、前記凸状湾曲面上に反射体を形成した構造の光路変換部とを備えたことを特徴とする光導波路基板の製造方法において、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する工具を用いて前記光導波路層を加工することにより、前記コアに接する箇所に凸状湾曲面が配置された前記凹部を形成する工程(凹部形成工程)と、前記凹部における前記凸状湾曲面上に反射体を形成する工程(反射体形成工程)と、を含むことを特徴とする光導波路基板の製造方法、がある。
【0022】
従って、本発明の製造方法によれば、凹状湾曲面を有する工具を用いて光導波路層を加工することにより、その工具の凹状湾曲面に対応した形状の凹状湾曲面を内面に有する凹部を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。そして、凹部の形成後に凸状湾曲面上に金属膜を形成すれば、凸状湾曲面に沿った形状の反射体を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。
【0023】
以下、本発明の光導波路基板の製造方法について説明する。
【0024】
凹部形成工程及び反射体形成工程を行う前に、コア及びクラッドを有する光導波路層をあらかじめ形成しておく(光導波路層形成工程)。光導波路層形成工程では、周知の手法(選択混合法、RIE法、直接露光法、射出成形利用法、フォトブリーチング法など)を適宜採用することができる。
【0025】
コアにおいて光路変換部の近傍に光路変換部に近づくに従って徐々に幅が狭くなる集光部を形成する場合には、例えば、次のようにすればよい。まず、キャリア板の表面上に下層のクラッドを形成した後、その上に感光性を付与したコア形成材料を塗布して乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に所定のフォトマスクを配置し、この状態で露光及び現像を行い、集光部を有する所望形状のコアとする。例えば、レーザ光を用いれば、フォトマスクを省略して露光を行うことができる。そしてこの後、上層のクラッドを形成すれば、クラッドでコアを挟み込んだ光導波路層を形成することができる。
【0026】
続く凹部形成工程では、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する工具を用いて光導波路層を加工する。その結果、コアに接する箇所には、凹状湾曲面の形状に対応した形状の凸状湾曲面を有する凹部が形成される。このような工具の具体例としては、例えば、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する型押し治具を挙げることができる。この場合において凹部は、型押し治具を加熱下で光導波路層の裏面側に押し当てることにより加工形成される。また、工具の別の例としては、例えば、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有するダイシング加工用のダイシングブレードを挙げることができる。この場合において凹部は、ダイシングブレードを用いて加工形成された溝部となる。なお、ダイシングブレードを用いる手法であれば、加工時におけるコアの変形を確実に防止することできる。これにより、コアの変形に伴う光漏れが防止され、光の伝送ロスが確実に低減される。
【0027】
続く反射体形成工程では、凹部における凸状湾曲面上に反射体を形成する。上述したごとく反射体は金属膜であることがよい。金属膜の形成法としては、例えば、金属ペーストの塗布による手法や、金属のスパッタリング、蒸着、CVD等による手法、金属めっきによる手法がある。これらの手法のなかでも、大掛かりな装置が不要な金属ペーストを用いた手法が、とりわけ低コスト化に有利である。
【0028】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
【0029】
以下、本発明の光導波路基板40を具体化した一実施形態の光電気複合実装配線基板10を、図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1には、本実施形態の光電気複合実装配線基板10が示されている。この光電気複合実装配線基板10を構成するセラミック基板11は、上面12及び下面13を有する略矩形状の板部材である。かかるセラミック基板11はいわゆる多層配線基板であって、上面12及び内層に金属配線層からなる導体回路16を備えている。このセラミック基板11はビアホール導体(図示略)も備えており、層の異なる導体回路16同士はビアホール導体を介して層間接続されている。
【0031】
セラミック基板11の上面12には、各種の電子部品が表面実装されている。より詳細にいうと、発光素子(光学素子)の一種である面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下「VCSEL31」とする。)、ドライバIC17、受光素子(光学素子)の一種であるフォトダイオード21、レシーバIC15が、それぞれ表面実装されている。なお、VCSEL31、ドライバIC17、フォトダイオード21、レシーバIC15は、はんだバンプ23を下面側に備えている。それらのはんだバンプ23は、セラミック基板11の上面12に設けられた複数のパッド14に対して接合されている。前記パッド14には図示しない他の電子部品も接合されている。
【0032】
前記VCSEL31は、発光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の発光部32をその発光面内に有している。従って、これらの発光部32は、セラミック基板11の上面12に対して直交する方向(即ち図1,図2の下方向)に、所定波長のレーザ光を出射するようになっている。フォトダイオード21は、受光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の受光部22をその受光面内に有している。従って、これらの受光部22は、図1の下側から上側に向かうレーザ光を受けやすいような構成となっている。
【0033】
図1,図2に示されるように、セラミック基板11の上面12には、光路変換部付きの光導波路基板40が貼り付けられている。この光導波路基板40は、フィルム状を呈する有機系の光導波路基板であって、下層のクラッド42、コア43及び上層のクラッド44を有する光導波路層41からなる。コア43は、実質的に光信号が伝搬する光路となる部分であって、下層のクラッド42及び上層のクラッド44により取り囲まれている。本実施形態の場合、クラッド42,44及びコア43は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。かかるPMMAは熱硬化性及び光硬化性を有している。図3に示されるように、本実施形態の場合、光路となるコア43は2つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。なお、コア43の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。コア43を形成する材料は、クラッド42,44を形成する材料よりも数%ほど屈折率が高くなるように設定される。クラッド42,44及びコア43の厚さはそれぞれ数十μm程度に設定され、結果として光導波路基板40の厚さは150μm〜200μm程度になっている。また、コア43の幅は一定であり、50μm程度に設定されている。
【0034】
図1〜図3に示されるように、コア43の途上には、光導波路層41の下面のみにて開口する略V字状の溝部46(凹部)が形成されている。本実施形態の溝部46は、2つのコア43を横切る(跨ぐ)ようにして形成されている(図3参照)。一方の溝部46はVCSEL31の発光部32の直下に位置している、他方の溝部46はフォトダイオード21の受光部22の直下に位置している。溝部46の深さは、80μm〜150μm程度に設定されている。そして、この溝部46における内面は、全体的に、曲率半径が250μmの凸状湾曲面47になっている。なお、凸状湾曲面47を、光導波路層41の厚さ方向に平行かつコア43の長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分は、図2等に示されるように円弧状である。一方、凸状湾曲面47を、光導波路層41の厚さ方向に平行かつコア43の長手方向に直交する平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状ではなく直線状である。このような構成であると、反射光をコア43の延びる方向(即ち図3の左右方向)に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。そして、溝部46の内面における凸状湾曲面47上には、光路変換部として機能する金属膜48(反射体)が、全体にわたって形成されている。本実施形態では、光沢のある金属であるロジウムを用いて厚さ0.1μm〜10μm程度の金属膜48を形成している。かかる金属膜48は光を全反射しうるものである。
【0035】
このように構成された光電気複合実装配線基板10の一般的な動作について簡単に述べておく。
【0036】
VCSEL31及びフォトダイオード21は、セラミック基板11の導体回路16を介した電力供給により、動作可能な状態となる。ドライバIC17からVCSEL31に電気信号が出力されると、VCSEL31は入力した電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その光信号を光路変換部である金属膜48に向けて出射する。このとき、光信号は光導波路層41の上面45から内部に入り込んだ後、反射面である金属膜48の表面に到る。光信号の進行方向から見た場合、金属膜48の反射面は凹状湾曲面となっているため、光信号はそこで1方向に集光されつつ約45°進行方向を変える。その後、光信号はコア43の内部をその長手方向に沿って伝搬し、受光側の金属膜48の表面に到る(図2の矢印参照)。光信号の進行方向から見た場合、金属膜48の反射面は凹状湾曲面となっているため、光信号はそこで1方向に集光されつつ約45°進行方向を変える。反射された光信号は、光導波路層41の上面45から出射し、最終的にはフォトダイオード21の受光部22に入射する(図2の矢印参照)。フォトダイオード21は受光した光信号を電気信号に変換してレシーバIC15に出力する。レシーバIC15は、それを元の電気信号の状態に戻して出力するようになっている。
【0037】
次に、上記構成の光電気複合実装配線基板10の製造方法を図4〜図8に基づいて説明する。
【0038】
以下の手順により、あらかじめセラミック基板11を作製しておく。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、所定厚みのグリーンシートを形成する。グリーンシートにおける所定部分にはパンチ加工を施し、形成された穴の中にビアホール導体形成用の金属ペーストを充填する。また、グリーンシートの表面に金属ペーストを印刷することにより、後に導体回路16となる印刷層を形成する。そして、これら複数枚のグリーンシートを積層プレスして一体化し、グリーンシート積層体とする。このグリーンシート積層体を、周知の手法に従って乾燥、脱脂、焼成することにより、セラミック基板11とする。
【0039】
そして、以下の手順により光導波路基板40を作製する。
【0040】
まず、PMMAからなる材料を用いて、従来公知の手法によりコア43及びクラッド42,44を有する光導波路層41を形成する(光導波路層形成工程)。具体例を挙げると、キャリア板53の表面上に全体的にPMMAを塗布し、かつこれを硬化させて、下層のクラッド42を形成する。その後、下層のクラッド42の表面上に、感光性を付与したコア形成用のPMMAを塗布し、かつこれを乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に所定のフォトマスクを配置し、この状態で露光及び現像を行い、所望形状のコア43とする。さらに、下層のクラッド42及びコア43の表面上に上層のクラッド44を塗布し、かつこれを硬化させれば、クラッド42,44でコア3を挟み込んだ構造の光導波路層41を形成することができる(図4参照)。
【0041】
次に、両面に凹状湾曲面52を有する断面略V字状のダイシングブレード51を用いて、光導波路層41の片側面をダイシング加工する(凹部形成工程)。この場合、コア43に直交する方向に沿ってダイシングブレード51を当てるようにする。凹状湾曲面52の曲率半径は、得ようとする凸状湾曲面47の曲率半径と同程度にあらかじめ設定されている。このようなダイシング加工の結果、凹状湾曲面52の形状に対応した形状の凸状湾曲面47を有する略V字状の溝部46が、比較的簡単にかつ低コストで形成される(図5参照)。なお、ダイシング加工を経ても、コア43がうねるような変形が生じることは特にない。溝部46における凸状湾曲面47は、光導波路層41の上面45を基準として、おおよそ45°±10°の傾斜角度を有している。ゆえに、光の進行方向を約90°変換可能となっている。
【0042】
次に、ロジウムを含むペーストを作製し、同ペーストを溝部46の内面に塗布し、かつ乾燥させて硬化する。その結果、凸状湾曲面47の表面上に密着しかつ追従する所定厚さの金属膜48を形成する(図6参照、反射体形成工程)。なお、この手法によれば大掛かりな装置が不要なため、金属膜47の形成を低コストで行うことができる。
【0043】
次に、以上のようにして完成した光導波路基板40を上下反対向きにして、セラミック基板11の表面上に光導波路基板40の下面49側を接着剤等により貼り付ける(図7参照、光導波路基板転写工程)。そしてさらに、セラミック基板11上のパッド14上にVCSEL31等の光学素子を位置合わせして実装すれば(図8参照、光学素子実装工程)、所望の光電気複合実装配線基板10が完成する。
【0044】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0045】
(1)この構成によると、溝部46内面の凸状湾曲面47を光導波路層41の内側から見ると、その面は光路変換部として機能しうる凹状湾曲面となっている。しかも、その部分には、光沢があって光を全反射しうるロジウムからなる金属膜48が形成されている。そして、金属膜48における凹状湾曲面(即ち反射面)に入射した光は反射される際に集光される。よって、反射光のスポットサイズが小さくなり、光の伝送ロスを低減することができる。従って、効率のよい光信号の伝送を実現することができる。また、この構成によると、凹状湾曲面を含む複雑な表面形状を有する微小な光路変換部材が不要になるので、製造が簡単でしかも安価な光導波路基板40とすることができる。
【0046】
(2)また、本実施形態では、凹状湾曲面52を有するダイシングブレード51を用いて光導波路層41を加工することにより、その凹状湾曲面52に対応した形状の凸状湾曲面47を内面に有する溝部46を形成している。よって、好適な形状の溝部46を、比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。そして、溝部46の形成後に凸状湾曲面47上に金属膜48を形成すれば、凸状湾曲面47に沿った形状の反射体を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。
[第2の実施形態]
【0047】
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図9に基づき詳細に説明する。ここでは上記実施形態との相違点について言及し、共通点についての説明を省略する。
【0048】
図9に示されるように、本実施形態ではコア43の形状が第1実施形態のものと若干異なっている。即ち、受光素子であるフォトダイオード21に対応して配置された金属膜48の近傍には、その幅が金属膜48に近づくに従って徐々に狭くなるテーパ状集光部61が設けられている。本実施形態の場合、テーパ状集光部61の最小幅が20μm〜30μm程度になるように設定されている。ただし、発光素子であるVCSEL31に対応して配置された金属膜48の近傍には、テーパ状集光部61は設けられていない。
【0049】
本実施形態では光導波路層形成工程を下記の要領で行う。まず、キャリア板53の表面上に全体的にPMMAを塗布し、かつこれを硬化させて、下層のクラッド42を形成する。その後、下層のクラッド42の表面上に、感光性を付与したコア形成用のPMMAを塗布し、かつこれを乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に、狭窄部分を有する開口が形成された所定のフォトマスクを配置する。そして、この状態で露光及び現像を行い、テーパ状集光部61を有する所望形状のコア43とする。さらに、下層のクラッド42及びコア43の表面上に上層のクラッド44を塗布し、かつこれを硬化させれば、クラッド42,44でコア3を挟み込んだ構造の光導波路層41を形成することができる。
【0050】
従って、上記のようなテーパ状集光部61を受光側部分に備えた本実施形態によると、コア43から金属膜48の反射面に向けて出射する光をコア43の延びる方向に直交する方向に沿った1方向(即ち図9の上下方向)に集光することができる。また、光が金属膜48の反射面にて反射される際には、反射光をコア43の延びる方向に直交する方向に沿った1方向(即ち図9の左右方向)に集光することができる。従って、本実施形態の構成によれば、比較的簡単に光を2方向に集光することができ、スポットサイズを確実に小さくすることができる。このことは光の伝送ロスの確実な低減に貢献する。
【0051】
本実施形態のような凸状湾曲面47は、第1実施形態のときと同様に、ダイシング加工によって比較的簡単にかつ低コストで形成することが可能である。また、図9のテーパ状集光部61も従来周知のフォトリソグラフィ技術により比較的簡単にかつ低コストで形成することが可能である。
【0052】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、光導波路基板40の支持体としてアルミナ製の基板を用いたが、これに代えて、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成セラミック等からなる基板を用いてもよい。また、セラミック製の基板に代えて、樹脂基板、金属基板、ガラス基板などを使用してもよい。樹脂基板の好適例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等からなる基板がある。金属基板の好適例としては、例えば、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などがある。
【0054】
・上記実施形態では有機系の材料により光導波路基板40を構成していたが、無機系の材料により光導波路基板40を構成してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、溝部46内面の凸状湾曲面47に金属ペーストによってほぼ均一な厚さの金属膜48(反射体)を形成するようにしたが、例えば金属ペーストによって溝部46を完全に埋めるようにして反射体を形成してもよい。つまり、金属ペーストを用いて形成される反射体は必ずしも膜状でなくてもよい。
【0056】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0057】
(1)前記反射体は、前記凸状湾曲面上に形成された金属膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板。
【0058】
(2)前記反射体は、金属ペーストの塗布によって前記凸状湾曲面上に形成された金属膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板。
【0059】
(3)前記集光部を、受光素子に対応して配置された前記光路変換部の近傍に設ける一方、発光素子に対応して配置された前記光路変換部の近傍には設けないことを特徴とする請求項4に記載の光導波路基板。
【0060】
(4)光導波路層にダイシング加工を施して溝部を形成するとともに、同時にその溝部の内面に凸状湾曲面を形成するためのダイシングブレードであって、少なくともその一側面に、前記凸状湾曲面に対応した形状の凹状湾曲面を有するダイシング加工用のダイシングブレード。
【0061】
(5)請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板と、前記光導波路基板が設けられる基板主面を有する配線基板と、少なくとも1つの発光部を有し、その発光部が前記光導波路基板における発光側の光路変換部に対応して配置され、前記基板主面上に実装された発光素子と、少なくとも1つの受光部を有し、その受光部が前記光導波路基板における受光側の光路変換部に対応して配置され、、前記基板主面上に実装された受光素子と、を備えることを特徴とする光電気複合実装配線基板。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の光導波路基板を使用した光電気複合配線基板を示す概略断面図。
【図2】第1実施形態の光導波路基板の要部を示す概略断面図。
【図3】前記光導波路基板の要部を示す概略底面図。
【図4】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路層を形成した状態を示す概略断面図。
【図5】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路層にダイシング加工により溝部を形成する工程を示す概略断面図。
【図6】前記光導波路基板の製造過程において、溝部内面に金属膜を形成する工程を示す概略断面図。
【図7】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路基板をセラミック基板に貼り付けた状態を示す概略断面図。
【図8】セラミック基板上にさらに光導波路を実装する際の様子を示す概略断面図。
【図9】第2実施形態の光導波路基板の要部を示す概略底面図。
【符号の説明】
40…光導波路基板
41…光導波路層
42,44…クラッド
43…コア
46…凹部としての溝部
47…凸状湾曲面
48…反射体としての金属膜
51…工具としてのダイシングブレード
61…集光部としてのテーパ状集光部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路基板及びその製造方法に係り、特には光を反射して光路を変換する部位の形状等に特徴がある光導波路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットに代表される情報通信技術の発達や、情報処理装置の処理速度の飛躍的向上などに伴って、画像等の大容量データを送受信するニーズが高まりつつある。かかる大容量データを情報通信設備を通じて自由にやり取りするためには10Gbps以上の情報伝達速度が望ましく、そのような高速通信環境を実現しうる技術として光通信技術に大きな期待が寄せられている。一方、機器内の配線基板間での接続、配線基板内の半導体チップ間での接続、半導体チップ内での接続など、比較的短い距離における信号伝達経路に関しても、高速で信号を伝送することが近年望まれている。このため、従来一般的であった金属ケーブルや金属配線から、光ファイバや光導波路等の光伝送手段を用いた光伝送へと移行することが理想的である考えられている。
【0003】
特に光導波路は、光ファイバと比較して配線自由度が高い等の利点を有することから、近年注目を集めている。それゆえ最近では、光導波路基板を支持基材の表面に対してほぼ平行な状態で配置した構造物が、種々提案されるに至っている。この種の光導波路基板においては、通常、基板上方に光学素子が配置される。そして、光学素子との間で効率よく光が伝わるように、光導波路基板のコアを伝搬する光を支持基材に対して略垂直な方向に反射して進路変換させる光路変換部が、光導波路基板側または支持基板側に配設される。
【0004】
ところで、光路変換部の反射面からの距離が大きくなると、反射光のスポットサイズが大きくなり、おのずと光の伝送ロスが増大する。そこで、反射面として凹状湾曲面を有するミラー(光路変換部材)を支持基板上に接合し、反射光の集光を図るようにした技術が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−82244号公報(図11等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の従来技術の場合、複雑な表面形状を有する微小なミラーを作製する必要がある。しかし、このようなミラーを作製することは極めて煩雑かつ困難であり、たとえミラーを作製できたとしても製造コストが非常に高くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率のよい光信号の伝送を実現することができ、しかも製造が簡単でしかも安価な光導波路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決するための手段としては、光信号が伝搬する光路となるコアと、前記コアを取り囲むクラッドと、前記コアの途上または端部に配置された凹部とを有する光導波路層を備え、前記凹部内面において少なくとも前記コアに接する箇所が、光路変換部として機能しうる凸状湾曲面であることを特徴とする光導波路基板がある。
【0009】
従って、本発明の構成によると、凹部内面の凸状湾曲面を光導波路層の内側から見ると、その面は光路変換部として機能しうる凹状湾曲面となっている。そして、その面に入射した光は反射される際に集光される。よって、反射光のスポットサイズが小さくなり、光の伝送ロスを低減することができる。従って、効率のよい光信号の伝送を実現することができる。また、この構成によると、凹状湾曲面を含む複雑な表面形状を有する微小な光路変換部材が不要になるので、製造が簡単でしかも安価な光導波路基板とすることができる。
【0010】
本発明の光導波路基板を構成する光導波路層は、主面及び裏面を有していることがよく、具体的には板状またはフィルム状の部材であることがよい。かかる光導波路層は、光信号が伝搬する光路となるコア、前記コアを取り囲むクラッドを有する。光導波路層は、無機材料を用いて構成されたものであって、有機材料を用いて構成されたものであってもよい。また、かかる光導波路層は、支持基板等のような支持体なしで単独で存在しうるものであってもよいほか、支持体上に支持された状態で存在するものであってもよい。前記無機系光導波路層の例としては、石英等からなる光導波路層がある。前記有機系光導波路層の例としては、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などのポリマ材料からなる光導波路層がある。前記ポリマ材料の具体例としては、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。コアを形成する材料及びクラッドを形成する材料はいずれも透光性を有することが好ましい。コアを形成するポリマ材料は、クラッドを形成するポリマ材料よりも数%ほど屈折率が高くなるように設定される。
【0011】
ここで、コアの厚さ及びクラッドの厚さは、特に限定されないが、それぞれ数μm〜数十μm程度に設定されることがよい。また、コアの幅も、特に限定されないが、数μm〜数十μm程度に設定されることがよい。
【0012】
本発明の光導波路基板を構成する光導波路層は、コアの途上または端部に配置された凹部を有している。ここで凹部とは、内面において前記コアに接する箇所が凸状湾曲面になっていればよく、光導波路層の主面及び裏面を貫通した凹部であってもよく、非貫通の凹部であってもよい。凹部の好適例としては、例えば、光導波路層の裏面にのみ開口する溝部を挙げることができる。また、溝部等のような凹部は、1つのコアの途上または端部に位置していてもよく、複数のコアを横切る(跨ぐ)ようにしてそれらの途上または端部に位置していてもよい。非貫通の凹部の深さは特に限定されないが、少なくとも先端がコアに達する程度の深さであることがよい。
【0013】
前記凸状湾曲面を、前記光導波路層の厚さ方向に平行かつ前記コアの長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状であってもよい。このような構成であると、反射光をコアの延びる方向に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。あるいは、前記凸状湾曲面を、前記光導波路層の厚さ方向に平行かつ前記コアの長手方向に直交する平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状であってもよい。このような構成であると、反射光をコアの延びる方向に直交する方向に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。そして、上記の特徴を有する凹部であれば、凸状湾曲面の三次元形状がそれほど複雑にならないため、比較的簡単に形成可能である。
【0014】
勿論、前者の特徴と後者の特徴とを併せ備えた凹部としてもよく、この構成によれば凹部の形成に関しては若干困難になる反面、反射光を2方向から集光することで、スポットサイズを確実に小さくすることができる。
【0015】
前記凹部の曲率半径は特に限定されるべきではないが、例えば150μm以上1mm以下であることがよく、200μm以上600μm以下であることがよりよい。即ち、曲率半径が大きすぎると、焦点距離が長くなり実装素子高さとの整合がとりづらくなるためである。一方、曲率半径が小さすぎると、焦点距離が短くなり焦点が上層のクラッド内にきてしまうためである。
【0016】
前記凹部内面の凸状湾曲面上には、光路変換部として機能する反射体(光反射体)が形成されていることがよい。そして、この場合には、反射体における反射面が凹状湾曲面になるため、光を集光しながら効率よく反射することができる。
【0017】
前記反射体は光を効率よく反射しうる材料を用いて形成されることがよく、そのような材料の好適例としては金属等がある。より具体的には、反射体は凸状湾曲面上に形成された金属膜であることが好ましい。この場合、金属膜は凸状湾曲面に対して密着して追従していることがよい。金属膜の形成に使用される金属材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、ロジウム等のような、光沢を有する金属を挙げることができる。光沢を有する金属は光を効率よく反射しうるため、光路変換部としての用途に適するからである。金属膜は光を90%以上反射することがよく、特には光を全反射することがよい。また、金属膜は凹部内面の一部に形成されてもよく全部に形成されてもよい。その場合、金属膜の形成面積は、少なくともコアの断面積よりも大きく設定されることがよい。金属膜の厚さは、使用する金属材料の種類や薄膜の形成方法などに鑑みて適宜設定される。
【0018】
前記コアの幅は一定であってもよいが、部分的に狭くなっていてもよい。具体的には、前記コアにおいて前記光路変換部の近傍には、その幅が前記光路変換部に近づくに従って徐々に狭くなる集光部が設けられていてもよい。このような集光部があると、コアから出射する光のスポットサイズを小さくすることができる。なお、前記コアにおいて前記光路変換部の近傍には、その厚さが前記光路変換部に近づくに従って徐々に薄くなる集光部が設けられていてもよい。ただし、後者の集光部に比べて前者の集光部のほうが形成が容易であり、低コスト化に向いている。
【0019】
ここで、凸状湾曲面を光導波路層の厚さ方向に平行かつコアの長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分が円弧状である凹部を形成した場合には、併せて、幅が徐々に狭くなる集光部を設けることが好適である。このような組み合わせにすれば、比較的簡単にかつコスト高を伴わずに光を2方向に集光することができ、スポットサイズを確実に小さくすることができる。
【0020】
本発明の光導波路基板の使用時において、凹部の近傍には光学素子が配置される。ただし、本発明の光導波路基板において光学素子は任意の構成要素である。前記光学素子は、光導波路層の主面上または光導波路基板を支持する支持基板上に、1つまたは2つ以上搭載される。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、前記光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。前記光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、導体を介して電気的に接続される。
【0021】
上記課題を解決する別の手段としては、光信号が伝搬する光路となるコア、前記コアを取り囲むクラッド及び前記コアの途上または端部に配置された凹部を有し、前記凹部内面において前記コアに接する箇所が凸状湾曲面である光導波路層と、前記凸状湾曲面上に反射体を形成した構造の光路変換部とを備えたことを特徴とする光導波路基板の製造方法において、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する工具を用いて前記光導波路層を加工することにより、前記コアに接する箇所に凸状湾曲面が配置された前記凹部を形成する工程(凹部形成工程)と、前記凹部における前記凸状湾曲面上に反射体を形成する工程(反射体形成工程)と、を含むことを特徴とする光導波路基板の製造方法、がある。
【0022】
従って、本発明の製造方法によれば、凹状湾曲面を有する工具を用いて光導波路層を加工することにより、その工具の凹状湾曲面に対応した形状の凹状湾曲面を内面に有する凹部を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。そして、凹部の形成後に凸状湾曲面上に金属膜を形成すれば、凸状湾曲面に沿った形状の反射体を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。
【0023】
以下、本発明の光導波路基板の製造方法について説明する。
【0024】
凹部形成工程及び反射体形成工程を行う前に、コア及びクラッドを有する光導波路層をあらかじめ形成しておく(光導波路層形成工程)。光導波路層形成工程では、周知の手法(選択混合法、RIE法、直接露光法、射出成形利用法、フォトブリーチング法など)を適宜採用することができる。
【0025】
コアにおいて光路変換部の近傍に光路変換部に近づくに従って徐々に幅が狭くなる集光部を形成する場合には、例えば、次のようにすればよい。まず、キャリア板の表面上に下層のクラッドを形成した後、その上に感光性を付与したコア形成材料を塗布して乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に所定のフォトマスクを配置し、この状態で露光及び現像を行い、集光部を有する所望形状のコアとする。例えば、レーザ光を用いれば、フォトマスクを省略して露光を行うことができる。そしてこの後、上層のクラッドを形成すれば、クラッドでコアを挟み込んだ光導波路層を形成することができる。
【0026】
続く凹部形成工程では、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する工具を用いて光導波路層を加工する。その結果、コアに接する箇所には、凹状湾曲面の形状に対応した形状の凸状湾曲面を有する凹部が形成される。このような工具の具体例としては、例えば、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する型押し治具を挙げることができる。この場合において凹部は、型押し治具を加熱下で光導波路層の裏面側に押し当てることにより加工形成される。また、工具の別の例としては、例えば、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有するダイシング加工用のダイシングブレードを挙げることができる。この場合において凹部は、ダイシングブレードを用いて加工形成された溝部となる。なお、ダイシングブレードを用いる手法であれば、加工時におけるコアの変形を確実に防止することできる。これにより、コアの変形に伴う光漏れが防止され、光の伝送ロスが確実に低減される。
【0027】
続く反射体形成工程では、凹部における凸状湾曲面上に反射体を形成する。上述したごとく反射体は金属膜であることがよい。金属膜の形成法としては、例えば、金属ペーストの塗布による手法や、金属のスパッタリング、蒸着、CVD等による手法、金属めっきによる手法がある。これらの手法のなかでも、大掛かりな装置が不要な金属ペーストを用いた手法が、とりわけ低コスト化に有利である。
【0028】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
【0029】
以下、本発明の光導波路基板40を具体化した一実施形態の光電気複合実装配線基板10を、図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1には、本実施形態の光電気複合実装配線基板10が示されている。この光電気複合実装配線基板10を構成するセラミック基板11は、上面12及び下面13を有する略矩形状の板部材である。かかるセラミック基板11はいわゆる多層配線基板であって、上面12及び内層に金属配線層からなる導体回路16を備えている。このセラミック基板11はビアホール導体(図示略)も備えており、層の異なる導体回路16同士はビアホール導体を介して層間接続されている。
【0031】
セラミック基板11の上面12には、各種の電子部品が表面実装されている。より詳細にいうと、発光素子(光学素子)の一種である面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下「VCSEL31」とする。)、ドライバIC17、受光素子(光学素子)の一種であるフォトダイオード21、レシーバIC15が、それぞれ表面実装されている。なお、VCSEL31、ドライバIC17、フォトダイオード21、レシーバIC15は、はんだバンプ23を下面側に備えている。それらのはんだバンプ23は、セラミック基板11の上面12に設けられた複数のパッド14に対して接合されている。前記パッド14には図示しない他の電子部品も接合されている。
【0032】
前記VCSEL31は、発光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の発光部32をその発光面内に有している。従って、これらの発光部32は、セラミック基板11の上面12に対して直交する方向(即ち図1,図2の下方向)に、所定波長のレーザ光を出射するようになっている。フォトダイオード21は、受光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の受光部22をその受光面内に有している。従って、これらの受光部22は、図1の下側から上側に向かうレーザ光を受けやすいような構成となっている。
【0033】
図1,図2に示されるように、セラミック基板11の上面12には、光路変換部付きの光導波路基板40が貼り付けられている。この光導波路基板40は、フィルム状を呈する有機系の光導波路基板であって、下層のクラッド42、コア43及び上層のクラッド44を有する光導波路層41からなる。コア43は、実質的に光信号が伝搬する光路となる部分であって、下層のクラッド42及び上層のクラッド44により取り囲まれている。本実施形態の場合、クラッド42,44及びコア43は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。かかるPMMAは熱硬化性及び光硬化性を有している。図3に示されるように、本実施形態の場合、光路となるコア43は2つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。なお、コア43の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。コア43を形成する材料は、クラッド42,44を形成する材料よりも数%ほど屈折率が高くなるように設定される。クラッド42,44及びコア43の厚さはそれぞれ数十μm程度に設定され、結果として光導波路基板40の厚さは150μm〜200μm程度になっている。また、コア43の幅は一定であり、50μm程度に設定されている。
【0034】
図1〜図3に示されるように、コア43の途上には、光導波路層41の下面のみにて開口する略V字状の溝部46(凹部)が形成されている。本実施形態の溝部46は、2つのコア43を横切る(跨ぐ)ようにして形成されている(図3参照)。一方の溝部46はVCSEL31の発光部32の直下に位置している、他方の溝部46はフォトダイオード21の受光部22の直下に位置している。溝部46の深さは、80μm〜150μm程度に設定されている。そして、この溝部46における内面は、全体的に、曲率半径が250μmの凸状湾曲面47になっている。なお、凸状湾曲面47を、光導波路層41の厚さ方向に平行かつコア43の長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分は、図2等に示されるように円弧状である。一方、凸状湾曲面47を、光導波路層41の厚さ方向に平行かつコア43の長手方向に直交する平面にて切断したときに現れる線分は、円弧状ではなく直線状である。このような構成であると、反射光をコア43の延びる方向(即ち図3の左右方向)に沿った1方向に集光し、結果としてスポットサイズを小さくすることができる。そして、溝部46の内面における凸状湾曲面47上には、光路変換部として機能する金属膜48(反射体)が、全体にわたって形成されている。本実施形態では、光沢のある金属であるロジウムを用いて厚さ0.1μm〜10μm程度の金属膜48を形成している。かかる金属膜48は光を全反射しうるものである。
【0035】
このように構成された光電気複合実装配線基板10の一般的な動作について簡単に述べておく。
【0036】
VCSEL31及びフォトダイオード21は、セラミック基板11の導体回路16を介した電力供給により、動作可能な状態となる。ドライバIC17からVCSEL31に電気信号が出力されると、VCSEL31は入力した電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その光信号を光路変換部である金属膜48に向けて出射する。このとき、光信号は光導波路層41の上面45から内部に入り込んだ後、反射面である金属膜48の表面に到る。光信号の進行方向から見た場合、金属膜48の反射面は凹状湾曲面となっているため、光信号はそこで1方向に集光されつつ約45°進行方向を変える。その後、光信号はコア43の内部をその長手方向に沿って伝搬し、受光側の金属膜48の表面に到る(図2の矢印参照)。光信号の進行方向から見た場合、金属膜48の反射面は凹状湾曲面となっているため、光信号はそこで1方向に集光されつつ約45°進行方向を変える。反射された光信号は、光導波路層41の上面45から出射し、最終的にはフォトダイオード21の受光部22に入射する(図2の矢印参照)。フォトダイオード21は受光した光信号を電気信号に変換してレシーバIC15に出力する。レシーバIC15は、それを元の電気信号の状態に戻して出力するようになっている。
【0037】
次に、上記構成の光電気複合実装配線基板10の製造方法を図4〜図8に基づいて説明する。
【0038】
以下の手順により、あらかじめセラミック基板11を作製しておく。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、所定厚みのグリーンシートを形成する。グリーンシートにおける所定部分にはパンチ加工を施し、形成された穴の中にビアホール導体形成用の金属ペーストを充填する。また、グリーンシートの表面に金属ペーストを印刷することにより、後に導体回路16となる印刷層を形成する。そして、これら複数枚のグリーンシートを積層プレスして一体化し、グリーンシート積層体とする。このグリーンシート積層体を、周知の手法に従って乾燥、脱脂、焼成することにより、セラミック基板11とする。
【0039】
そして、以下の手順により光導波路基板40を作製する。
【0040】
まず、PMMAからなる材料を用いて、従来公知の手法によりコア43及びクラッド42,44を有する光導波路層41を形成する(光導波路層形成工程)。具体例を挙げると、キャリア板53の表面上に全体的にPMMAを塗布し、かつこれを硬化させて、下層のクラッド42を形成する。その後、下層のクラッド42の表面上に、感光性を付与したコア形成用のPMMAを塗布し、かつこれを乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に所定のフォトマスクを配置し、この状態で露光及び現像を行い、所望形状のコア43とする。さらに、下層のクラッド42及びコア43の表面上に上層のクラッド44を塗布し、かつこれを硬化させれば、クラッド42,44でコア3を挟み込んだ構造の光導波路層41を形成することができる(図4参照)。
【0041】
次に、両面に凹状湾曲面52を有する断面略V字状のダイシングブレード51を用いて、光導波路層41の片側面をダイシング加工する(凹部形成工程)。この場合、コア43に直交する方向に沿ってダイシングブレード51を当てるようにする。凹状湾曲面52の曲率半径は、得ようとする凸状湾曲面47の曲率半径と同程度にあらかじめ設定されている。このようなダイシング加工の結果、凹状湾曲面52の形状に対応した形状の凸状湾曲面47を有する略V字状の溝部46が、比較的簡単にかつ低コストで形成される(図5参照)。なお、ダイシング加工を経ても、コア43がうねるような変形が生じることは特にない。溝部46における凸状湾曲面47は、光導波路層41の上面45を基準として、おおよそ45°±10°の傾斜角度を有している。ゆえに、光の進行方向を約90°変換可能となっている。
【0042】
次に、ロジウムを含むペーストを作製し、同ペーストを溝部46の内面に塗布し、かつ乾燥させて硬化する。その結果、凸状湾曲面47の表面上に密着しかつ追従する所定厚さの金属膜48を形成する(図6参照、反射体形成工程)。なお、この手法によれば大掛かりな装置が不要なため、金属膜47の形成を低コストで行うことができる。
【0043】
次に、以上のようにして完成した光導波路基板40を上下反対向きにして、セラミック基板11の表面上に光導波路基板40の下面49側を接着剤等により貼り付ける(図7参照、光導波路基板転写工程)。そしてさらに、セラミック基板11上のパッド14上にVCSEL31等の光学素子を位置合わせして実装すれば(図8参照、光学素子実装工程)、所望の光電気複合実装配線基板10が完成する。
【0044】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0045】
(1)この構成によると、溝部46内面の凸状湾曲面47を光導波路層41の内側から見ると、その面は光路変換部として機能しうる凹状湾曲面となっている。しかも、その部分には、光沢があって光を全反射しうるロジウムからなる金属膜48が形成されている。そして、金属膜48における凹状湾曲面(即ち反射面)に入射した光は反射される際に集光される。よって、反射光のスポットサイズが小さくなり、光の伝送ロスを低減することができる。従って、効率のよい光信号の伝送を実現することができる。また、この構成によると、凹状湾曲面を含む複雑な表面形状を有する微小な光路変換部材が不要になるので、製造が簡単でしかも安価な光導波路基板40とすることができる。
【0046】
(2)また、本実施形態では、凹状湾曲面52を有するダイシングブレード51を用いて光導波路層41を加工することにより、その凹状湾曲面52に対応した形状の凸状湾曲面47を内面に有する溝部46を形成している。よって、好適な形状の溝部46を、比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。そして、溝部46の形成後に凸状湾曲面47上に金属膜48を形成すれば、凸状湾曲面47に沿った形状の反射体を比較的簡単にかつ低コストで形成することができる。
[第2の実施形態]
【0047】
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図9に基づき詳細に説明する。ここでは上記実施形態との相違点について言及し、共通点についての説明を省略する。
【0048】
図9に示されるように、本実施形態ではコア43の形状が第1実施形態のものと若干異なっている。即ち、受光素子であるフォトダイオード21に対応して配置された金属膜48の近傍には、その幅が金属膜48に近づくに従って徐々に狭くなるテーパ状集光部61が設けられている。本実施形態の場合、テーパ状集光部61の最小幅が20μm〜30μm程度になるように設定されている。ただし、発光素子であるVCSEL31に対応して配置された金属膜48の近傍には、テーパ状集光部61は設けられていない。
【0049】
本実施形態では光導波路層形成工程を下記の要領で行う。まず、キャリア板53の表面上に全体的にPMMAを塗布し、かつこれを硬化させて、下層のクラッド42を形成する。その後、下層のクラッド42の表面上に、感光性を付与したコア形成用のPMMAを塗布し、かつこれを乾燥させる。そして、乾燥したコア形成材料からなる層の上に、狭窄部分を有する開口が形成された所定のフォトマスクを配置する。そして、この状態で露光及び現像を行い、テーパ状集光部61を有する所望形状のコア43とする。さらに、下層のクラッド42及びコア43の表面上に上層のクラッド44を塗布し、かつこれを硬化させれば、クラッド42,44でコア3を挟み込んだ構造の光導波路層41を形成することができる。
【0050】
従って、上記のようなテーパ状集光部61を受光側部分に備えた本実施形態によると、コア43から金属膜48の反射面に向けて出射する光をコア43の延びる方向に直交する方向に沿った1方向(即ち図9の上下方向)に集光することができる。また、光が金属膜48の反射面にて反射される際には、反射光をコア43の延びる方向に直交する方向に沿った1方向(即ち図9の左右方向)に集光することができる。従って、本実施形態の構成によれば、比較的簡単に光を2方向に集光することができ、スポットサイズを確実に小さくすることができる。このことは光の伝送ロスの確実な低減に貢献する。
【0051】
本実施形態のような凸状湾曲面47は、第1実施形態のときと同様に、ダイシング加工によって比較的簡単にかつ低コストで形成することが可能である。また、図9のテーパ状集光部61も従来周知のフォトリソグラフィ技術により比較的簡単にかつ低コストで形成することが可能である。
【0052】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、光導波路基板40の支持体としてアルミナ製の基板を用いたが、これに代えて、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成セラミック等からなる基板を用いてもよい。また、セラミック製の基板に代えて、樹脂基板、金属基板、ガラス基板などを使用してもよい。樹脂基板の好適例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等からなる基板がある。金属基板の好適例としては、例えば、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などがある。
【0054】
・上記実施形態では有機系の材料により光導波路基板40を構成していたが、無機系の材料により光導波路基板40を構成してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、溝部46内面の凸状湾曲面47に金属ペーストによってほぼ均一な厚さの金属膜48(反射体)を形成するようにしたが、例えば金属ペーストによって溝部46を完全に埋めるようにして反射体を形成してもよい。つまり、金属ペーストを用いて形成される反射体は必ずしも膜状でなくてもよい。
【0056】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0057】
(1)前記反射体は、前記凸状湾曲面上に形成された金属膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板。
【0058】
(2)前記反射体は、金属ペーストの塗布によって前記凸状湾曲面上に形成された金属膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板。
【0059】
(3)前記集光部を、受光素子に対応して配置された前記光路変換部の近傍に設ける一方、発光素子に対応して配置された前記光路変換部の近傍には設けないことを特徴とする請求項4に記載の光導波路基板。
【0060】
(4)光導波路層にダイシング加工を施して溝部を形成するとともに、同時にその溝部の内面に凸状湾曲面を形成するためのダイシングブレードであって、少なくともその一側面に、前記凸状湾曲面に対応した形状の凹状湾曲面を有するダイシング加工用のダイシングブレード。
【0061】
(5)請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光導波路基板と、前記光導波路基板が設けられる基板主面を有する配線基板と、少なくとも1つの発光部を有し、その発光部が前記光導波路基板における発光側の光路変換部に対応して配置され、前記基板主面上に実装された発光素子と、少なくとも1つの受光部を有し、その受光部が前記光導波路基板における受光側の光路変換部に対応して配置され、、前記基板主面上に実装された受光素子と、を備えることを特徴とする光電気複合実装配線基板。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の光導波路基板を使用した光電気複合配線基板を示す概略断面図。
【図2】第1実施形態の光導波路基板の要部を示す概略断面図。
【図3】前記光導波路基板の要部を示す概略底面図。
【図4】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路層を形成した状態を示す概略断面図。
【図5】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路層にダイシング加工により溝部を形成する工程を示す概略断面図。
【図6】前記光導波路基板の製造過程において、溝部内面に金属膜を形成する工程を示す概略断面図。
【図7】前記光導波路基板の製造過程において、光導波路基板をセラミック基板に貼り付けた状態を示す概略断面図。
【図8】セラミック基板上にさらに光導波路を実装する際の様子を示す概略断面図。
【図9】第2実施形態の光導波路基板の要部を示す概略底面図。
【符号の説明】
40…光導波路基板
41…光導波路層
42,44…クラッド
43…コア
46…凹部としての溝部
47…凸状湾曲面
48…反射体としての金属膜
51…工具としてのダイシングブレード
61…集光部としてのテーパ状集光部
Claims (7)
- 光信号が伝搬する光路となるコアと、前記コアを取り囲むクラッドと、前記コアの途上または端部に配置された凹部とを有する光導波路層を備え、
前記凹部内面において少なくとも前記コアに接する箇所が、光路変換部として機能しうる凸状湾曲面であることを特徴とする光導波路基板。 - 前記凸状湾曲面上には反射体が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光導波路基板。
- 前記凸状湾曲面を、前記光導波路層の厚さ方向に平行かつ前記コアの長手方向に平行な平面にて切断したときに現れる線分は、少なくとも円弧状であることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路基板。
- 前記コアにおいて前記光路変換部の近傍には、その幅が前記光路変換部に近づくに従って徐々に狭くなる集光部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の光導波路基板。
- 光信号が伝搬する光路となるコア、前記コアを取り囲むクラッド及び前記コアの途上または端部に配置された凹部を有し、前記凹部内面において前記コアに接する箇所が凸状湾曲面である光導波路層と、前記凸状湾曲面上に反射体を形成した構造の光路変換部とを備えたことを特徴とする光導波路基板の製造方法において、
少なくとも一側面に凹状湾曲面を有する工具を用いて前記光導波路層を加工することにより、前記コアに接する箇所に凸状湾曲面が配置された前記凹部を形成する工程と、
前記凹部における前記凸状湾曲面上に反射体を形成する工程と
を含むことを特徴とする光導波路基板の製造方法。 - 前記工具は、少なくとも一側面に凹状湾曲面を有するダイシング加工用のダイシングブレードであり、前記凹部は、前記ダイシングブレードを用いて加工形成された溝部であることを特徴とする請求項5に記載の光導波路基板の製造方法。
- 前記反射体は、前記凸状湾曲面上に形成された金属膜であることを特徴とする請求項5または6に記載の光導波路基板の製造方法。
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