JP2004163211A - 中空繊維へのゲル充填方法、ゲル充填中空繊維及びそれを用いた生体関連物質マイクロアレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】キャピラリーに目的とする量のゲル溶液を正確且つ簡便に充填する方法を提供する。
【解決手段】一端を密封した中空繊維の開放端側を、減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬し、次いで該系内に気体を封入して該系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とすることにより該中空繊維中空部に該溶液を充填させ、充填された該溶液を中空繊維中空部内でゲル化させることを含む中空繊維へのゲル充填方法。
【選択図】 なし
【解決手段】一端を密封した中空繊維の開放端側を、減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬し、次いで該系内に気体を封入して該系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とすることにより該中空繊維中空部に該溶液を充填させ、充填された該溶液を中空繊維中空部内でゲル化させることを含む中空繊維へのゲル充填方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛細管、中空繊維等のキャピラリーへゲルを充填する方法、及びゲル充填中空繊維の製造方法に関する。ゲル充填中空繊維は、キャピラリーゲル電気泳動、DNAマイクロアレイ等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
キャピラリーゲル電気泳動法は、糖鎖の分離解析、光学分割、遺伝子配列解析等に広く利用されている。近年においては、ヒトゲノムプロジェクトの本格化により、ゲノム解析分野で広範囲に利用されており、例えば遺伝子発現解析、SNPs等の多型解析、プロテオーム解析等に利用されている。
【0003】
遺伝子発現解析の一例としては、予め有用な遺伝子由来のDNA断片等のプローブを、ゲルに固定化したゲル充填キャピラリーを準備し、検体をキャピラリー内へ導入して、プローブとの相互作用を観察する試みがなされている(特開平3−47097号公報参照)。
【0004】
さらにゲル充填キャピラリーは、DNAマイクロアレイの構成部材としても使用されている。このマイクロアレイは、整然配列した複数本のゲル充填キャピラリーを含むブロック体をキャピラリーの長手方向と交叉する方向で切断することにより得られる。このマイクロアレイは、各キャピラリーにより区画化され、該区画にゲルが保持されている。キャプチャープローブはゲルに保持されている。
【0005】
上記いずれの場合もキャピラリーにゲルを充填する必要があるが、ゲルを充填する方法としては、加圧してゲル溶液をキャピラー内に押し込む方法(加圧法:例えば特開平2−128158号、特開平5−196603号)、ゲル溶液を吸引してキャピラリー内に吸い上げる方法(減圧法:例えば特開2000−321244号)、減圧と加圧を併用する方法(例えば特開平3−31752号)に大別される。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−128158号公報
【特許文献2】
特開平5−196603号公報
【特許文献3】
特開2000−321244号公報
【特許文献4】
特開平3−31752号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
キャピラリーのような細孔管に溶液を充填するには、精密な液量制御が必要となるが、上記のいずれの公報も両端が開口したキャピラリーへの充填方法であるため、液の噴出しや漏洩のおそれがある。このため、ゲル溶液を吸い上げた反対側のキャピラリー端を加圧して充填液量を制御している例もあるが装置が大掛かりとなる。
【0008】
また、ガラスキャピラリーのように光学的に透明な材質のものであれば光学的な手法で検知する方法も可能であるが、金属製カラムなど遮光性の材質のものであれば、上記解決手段は採用できない。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、キャピラリーの片端側を密封することにより、ゲル形成性溶液のキャピラリーへの充填を正確且つ簡便に行う方法を見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、一端を密封した中空繊維の開放端側を、減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬し、次いで該系内に気体を封入して該系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とすることにより該中空繊維中空部に該溶液を充填させ、充填された該溶液を中空繊維中空部内でゲル化させることを含む中空繊維へのゲル充填方法である。
【0011】
また、本発明は、以下の工程を含むゲル充填中空繊維の製造方法である。
(1)一端を密封した中空繊維の開放端を減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬する工程。
(2)系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とし、中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)中空繊維中空部に充填されたゲル形成性溶液をゲル化する工程。
【0012】
さらには、上記方法で製造されたゲル充填中空繊維は、生体関連物質マイクロアレイの構成部材として使用される。
すなわち、本発明は、以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法である。
(1)請求項9記載の方法により製造したゲル充填中空繊維を複数本、集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。
【0013】
また、本発明は、以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法である。
(1)複数本の中空繊維を集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)請求項5の方法で、該繊維配列体の各中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、「ゲル形成性溶液」とは、ゲル形成性重合性モノマー等の反応性物質を含有する溶液であって、該モノマー等を重合、架橋させることにより該溶液がゲル状物となることが可能な溶液をいう。そのようなモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。この場合、溶液には、重合開始剤等が含まれていてもよい。
【0015】
また、本発明の「ゲル形成性溶液」とは、アガロース等の温度依存性の可逆ゲル、即ち冷却することでゲル化が可能な溶液も含まれる。ゲル形成性溶液の溶媒としては水等が挙げられる。
【0016】
更に本発明のゲル形成溶液には、生体関連物質を含んでいてもよい。生体関連物質としては、核酸(DNA、RNA等)、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質等が挙げられる。
【0017】
これら生体関連物質は、公知の方法によりゲルに固定される。例えば、ゲル成分として重合性モノマーを使用した場合、生体関連物質に不飽和官能基を導入しておくことで、モノマー成分と共重合反応により、ゲル成分に固定することができる。また、アガロースを使用する場合は、アビジン−ビオチンの特異的結合を利用することにより生体関連物質を固定することも可能である。
【0018】
本発明において、「中空繊維」とは内部に空洞を有するマカロニ状の繊維をいい、極細管、キャピラリー、中空糸等と同義に使用される。
中空繊維に使用する原材料は、中空繊維に加工可能なものであれば、有機材料、無機材料のいずれでも良く、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系の各種繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系の各種繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系の各種繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の各種繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系の各種繊維、ポリビニルアルコール系の各種繊維、ポリ塩化ビニリデン系の各種繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン系の各種繊維、フェノール系繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系等の材料が使用できる。
【0019】
中空繊維を、光学検出手段を用いるデバイスの構成として使用する場合は、透明性のあるものが好ましい。そのような材料としては、ポリカーボネート系材料、ポリメチルメタクリレート系材料である。
中空繊維の外径は、2mm以下、好ましくは1mm以下である。内径は0.2mm以上1.0mm以下が好ましい。
【0020】
上記の中空繊維は片端の開口部が密封、封止されている。密封、封止は、加圧、減圧条件下のいずれの場合にも気密性が保持されていれば良く、その方法は特に限定するものではない。一般に熱融着や樹脂を流し込んで開口部を封止する方法が採用される。
【0021】
次に上記のごとく片端が密封された中空繊維の中空部にはゲル形成性溶液が充填される。
具体的には、気圧、温度等の調節が可能な系内、例えばチャンバー内に、前記中空繊維及びゲル形成性溶液を入れた容器を設置する。ここで使用するチャンバーは真空/減圧、及び加温が可能なものであれば特に限定されず、例えば市販の真空乾燥機、実験用ガラス反応器等を使用することができる。減圧時の圧力は、ゲル形成性溶液が中空繊維の一端の密封された位置まで十分に充填するために必要な圧力とする。圧力は中空繊維の長さ、中空繊維の内径、ゲル形成性溶液の粘土等により適宜選択される。好ましくは50mmHgであり、さらに好ましくは30mmHg以下である。
【0022】
次に中空繊維の開放端側をゲル形成性溶液へ浸漬する。浸漬の方法としては、例えばチャンバー内に中空繊維の開放端側の開口部が下向きとなるように設置し、その下にゲル形成性溶液を入れた容器を設置する。前記容器を例えば、昇降台上に設置すれば、昇降台を上下することにより、中空繊維を溶液に浸漬することができる。また中空繊維を上下することにより溶液に浸漬することも可能である。昇降台は特に限定されないが、空気圧又は油圧により作動する昇降台が好ましい。
【0023】
中空繊維の開口部をゲル形成性溶液に浸漬するタイミングは、系内を減圧雰囲気下にする前後のいずれでも良い。溶液中に気泡が生じ、充填液に気泡が混入する恐れがあるため、減圧操作を行った後、浸漬操作を行うことが好ましい。
【0024】
次に、中空繊維の開口部をゲル形成性溶液に浸漬した状態で、系内の圧力(気圧)を減圧状態から常圧以下に加圧することで、中空繊維中空部の内外の気圧差により、ゲル形成性溶液が中空繊維の中空部に充填される(図1参照)。この加圧工程において、系内の気圧は常圧以上であれば特に限定されないが、好ましくは760mmHg〜1000mmHgである。加圧操作は、例えば系内に気体を導入することで実施することができる。気体としては、例えばゲル形成性溶液としてアクリルアミド系のモノマーを含む溶液を使用した場合、重合反応やゲル形成反応を阻害しないような不活性ガスが好ましい。具体的には、窒素ガス、アルゴンガスである。
【0025】
さらに中空繊維として、ポリメチルメタクリレート系、ポリカーボネート系の中空繊維を使用した場合、無機材料からなる中空繊維に比べ、水蒸気透過性が高いため、ゲル形成中又は形成後のゲルの乾燥が問題となる場合がある。このような問題点を解決するために、充填操作の際、系内を水蒸気圧に飽和させておくことが好ましい。水蒸気圧を飽和させる方法としては、例えば気体を封入することにより、系内を加圧して溶液を中空部に充填する際、気体を図4に示すような水蒸気ポットを通す。これにより水蒸気が飽和した気体を系内に導入することができ、系内を水蒸気圧で飽和することができる。また、充填操作完了後に系内に水を直接供給することも可能である。水を直接供給する場合は霧状に吹き込むことにより効率よく系内の湿度を飽和にすることができる。
上記のごとく充填操作が終了した後、公知の方法により重合、ゲル化を実施することによりゲル充填中空繊維を製造することができる。
【0026】
また、生体関連物質を含有するゲルを用いて上記のようにしてゲル充填中空繊維を製造し、生体関連物質を含有するゲルが導入された中空繊維を、複数本、集束固定化し、繊維の長手方向(繊維軸方向)と交叉する方向で切断することにより、生体関連物質マイクロアレイを製造することができる。
【0027】
また、本発明の充填方法によれば、複数本の中空繊維を束ねた中空繊維束(繊維配列体)の各中空繊維に一度にゲル形成性溶液を充填することも可能である。公知の方法、例えば、特開2000−270878号公報記載の方法に従い、繊維配列体を作成する。次に、図5に示すよう繊維配列体の開口端部側を、繊維固定治具に固定する。繊維固定治具の下方には、昇降台上に複数のウェルからなるプレートが設置されている。ウェル部にゲル形成性溶液が添加されている。昇降台を上下することにより、繊維固定治具の固定された各中空繊維が、各ウェル内に保持されているゲル形成性溶液に浸漬し、先に述べた方法により充填操作が実施される。
【0028】
上記のごとく各中空繊維にゲル形成性溶液が充填され、中空部にゲルを形成することができる。このようにして作成されたゲル充填中空繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断をすることにより、生体関連物質マイクロアレイを製造することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
<実施例1> アクリルアミドゲルの中空繊維への充填
以下、図2を使用して説明する。
1.充填準備
中空繊維として、ガラスキャピラリーA(フューズドシリカ製、内径150μm、長さ30cm)を用意した。その片側の口をエポキシ樹脂で密封した。次に、充填するアクリルアミドモノマー溶液を入れた20cc容器B及び充填用チャンバーとして用いる2Lの3つ口セパラタブルフラスコCを用意した。アクリルアミドモノマー溶液の調製方法は以下の通りである。
【0030】
アクリルアミド(アルドリッチ社製)150mg及びメチレンビスアクリルアミド(アルドリッチ社製)8mgを10分間超音波脱気した蒸留水1840mgに溶解した後、過硫酸カリウム10%水溶液を2mg添加した溶液を容器Bに入れた。次にガラスキャピラリーA及びモノマー溶液を入れた容器Bを3つ口フラスコCに設置し、3つ口フラスコCにはキャピラリーを固定する金属棒D、2方コックE、Fを2個所に取り付け、更にコックEには窒素を封入したバルーン、コックFには真空ポンプへの接続チューブをそれぞれ取り付けた。ガラスキャピラリーAは金属棒Dの先に固定し、更に金属棒Dはネジ式の止め具で減圧時に下がらないように固定した。
【0031】
2.溶液のキャピラリーへの充填
始めにフラスコC内を窒素置換するために以下の操作を行った。
まず、窒素バルーンをつないだコックEを閉め、真空ポンプにつないだコックFを開けてフラスコC内を30mmHgまで減圧した。次にコックFを閉め、コックEを開けてフラスコC内を780mmHgまで加圧した。その後同様の減圧及び加圧操作を5回繰り返した。次にもう一度コックEを閉め、コックFを開けてフラスコC内を20mmHgまで減圧した後、コックFを閉め、金属棒Dのネジ固定式留め具を緩めて金属棒をキャピラリーAの先端の口が溶液に十分に浸漬するまでフラスコC内に押し下げて再びネジをしっかり締めて固定した。次にコックEを開いてフラスコ内を780mmHgまで加圧した。加圧操作後、溶液はキャピラリーのほぼ密封された位置まで充填された。次にフラスコCを70℃の恒温槽に移し、3時間重合せしめ、ゲル充填キャピラリーを得た。
【0032】
<実施例2> DNAマイクロアレイの作成
以下、図4を使用して説明する。
1.中空繊維配列体及び充填溶液の準備
三菱エンジニアリング(株)製のポリカーボネートを溶融紡糸して得た長さ60cmの非多孔質中空繊維(内径160μm、外径280μm)384本を8×24に配列させてウレタン樹脂で固めた繊維配列体を用意し、その繊維配列体の一方の口を384本すべて樹脂で塞いだ。次に充填する溶液としてジメチルアクリルアミド9部、メチレンビスアクリルアミド1部からなる15%水溶液を6cc調製し、更に10%アゾ系開始剤溶液(和光純薬社製VA044)を6μl加えた重合溶液を作成した。次にこの重合液を15μlに2pmol/μlの末端アクリルアミド修飾DNA(商品名アクリダイト:ユーロジェンティック社)溶液5μlを混合したものを384プレートの各ウェルに分注したものを用意し、前記繊維配列体と供に遠隔操作が可能な空気圧式昇降台を具備した真空乾燥機内に入れ、溶液を分注した384プレートは乾燥機内の昇降台の上に配置し、繊維配列体は各糸先が384プレートの各ウェルに入るように専用の固定治具で固定して配置した。
【0033】
2.充填重合操作方法
充填重合用のチャンバーとして市販の真空乾燥機を用い、これに窒素吹き込みライン及び真空ラインを以下の通り接続した。
初めに真空乾燥機内を窒素置換するために真空乾燥機のパージラインに窒素ガスの供給ラインを接続し、真空ラインは真空ポンプに接続した。更に窒素ガスラインには窒素ガスを飽和水蒸気圧にするための水蒸気供給ポット(図3参照)を窒素ラインの途中に設置した。次に真空ポンプで乾燥機内を30mmHgまで減圧した後、窒素ガスをパージラインより乾燥機内に吹き込み、780mmHgまで加圧した。その後同様の減圧及び加圧操作を5回繰り返して乾燥機内を窒素ガス雰囲気にした。次にもう一度真空ポンプで20mmHgまで減圧した後、遠隔操作にて昇降台を引き上げて繊維配列体の各糸先を384プレートの各ウェル中の溶液に浸漬させた。次いで再度窒素ガスを吹き込んで乾燥機内圧力を780mmHgまで加圧した後、窒素ガスを3L/min.の流量で乾燥機に供給しながら温度を55℃に設定して昇温を開始し、そのまま3時間重合を行った。
【0034】
3.配列体の薄片化
上記の充填重合操作で得られたゲル充填繊維配列体を繊維軸方向に対して垂直方向にミクロトームで厚さ500μmに薄片化することで、各中空繊維に仕切られた中にDNA断片が固定化されたゲルのスポットが8×24に配列されたDNAマイクロアレイを得た。
【0035】
【発明の効果】
キャピラリーの片端側を密封することにより、ゲル形成性溶液のキャピラリーへの充填を正確且つ簡便に行うことが可能となる。また、キャピラリーが複数本、集束固定化した繊維配列体の各繊維にゲル形成性溶液を充填するに好適な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一端を封止した中空繊維の内部を減圧状態とし、中空繊維の開放端を溶液に浸漬して加圧することにより、中空繊維内部に溶液が充填されることを示す図である。
【図2】充填用チャンバーの一例を示す図である。
【図3】本発明の方法を実施するための装置の一例である。
【図4】水蒸気供給ポットの一例を示す図である。
【図5】繊維配列体の各繊維に溶液を充填する方法を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛細管、中空繊維等のキャピラリーへゲルを充填する方法、及びゲル充填中空繊維の製造方法に関する。ゲル充填中空繊維は、キャピラリーゲル電気泳動、DNAマイクロアレイ等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
キャピラリーゲル電気泳動法は、糖鎖の分離解析、光学分割、遺伝子配列解析等に広く利用されている。近年においては、ヒトゲノムプロジェクトの本格化により、ゲノム解析分野で広範囲に利用されており、例えば遺伝子発現解析、SNPs等の多型解析、プロテオーム解析等に利用されている。
【0003】
遺伝子発現解析の一例としては、予め有用な遺伝子由来のDNA断片等のプローブを、ゲルに固定化したゲル充填キャピラリーを準備し、検体をキャピラリー内へ導入して、プローブとの相互作用を観察する試みがなされている(特開平3−47097号公報参照)。
【0004】
さらにゲル充填キャピラリーは、DNAマイクロアレイの構成部材としても使用されている。このマイクロアレイは、整然配列した複数本のゲル充填キャピラリーを含むブロック体をキャピラリーの長手方向と交叉する方向で切断することにより得られる。このマイクロアレイは、各キャピラリーにより区画化され、該区画にゲルが保持されている。キャプチャープローブはゲルに保持されている。
【0005】
上記いずれの場合もキャピラリーにゲルを充填する必要があるが、ゲルを充填する方法としては、加圧してゲル溶液をキャピラー内に押し込む方法(加圧法:例えば特開平2−128158号、特開平5−196603号)、ゲル溶液を吸引してキャピラリー内に吸い上げる方法(減圧法:例えば特開2000−321244号)、減圧と加圧を併用する方法(例えば特開平3−31752号)に大別される。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−128158号公報
【特許文献2】
特開平5−196603号公報
【特許文献3】
特開2000−321244号公報
【特許文献4】
特開平3−31752号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
キャピラリーのような細孔管に溶液を充填するには、精密な液量制御が必要となるが、上記のいずれの公報も両端が開口したキャピラリーへの充填方法であるため、液の噴出しや漏洩のおそれがある。このため、ゲル溶液を吸い上げた反対側のキャピラリー端を加圧して充填液量を制御している例もあるが装置が大掛かりとなる。
【0008】
また、ガラスキャピラリーのように光学的に透明な材質のものであれば光学的な手法で検知する方法も可能であるが、金属製カラムなど遮光性の材質のものであれば、上記解決手段は採用できない。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、キャピラリーの片端側を密封することにより、ゲル形成性溶液のキャピラリーへの充填を正確且つ簡便に行う方法を見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、一端を密封した中空繊維の開放端側を、減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬し、次いで該系内に気体を封入して該系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とすることにより該中空繊維中空部に該溶液を充填させ、充填された該溶液を中空繊維中空部内でゲル化させることを含む中空繊維へのゲル充填方法である。
【0011】
また、本発明は、以下の工程を含むゲル充填中空繊維の製造方法である。
(1)一端を密封した中空繊維の開放端を減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬する工程。
(2)系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とし、中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)中空繊維中空部に充填されたゲル形成性溶液をゲル化する工程。
【0012】
さらには、上記方法で製造されたゲル充填中空繊維は、生体関連物質マイクロアレイの構成部材として使用される。
すなわち、本発明は、以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法である。
(1)請求項9記載の方法により製造したゲル充填中空繊維を複数本、集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。
【0013】
また、本発明は、以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法である。
(1)複数本の中空繊維を集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)請求項5の方法で、該繊維配列体の各中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、「ゲル形成性溶液」とは、ゲル形成性重合性モノマー等の反応性物質を含有する溶液であって、該モノマー等を重合、架橋させることにより該溶液がゲル状物となることが可能な溶液をいう。そのようなモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。この場合、溶液には、重合開始剤等が含まれていてもよい。
【0015】
また、本発明の「ゲル形成性溶液」とは、アガロース等の温度依存性の可逆ゲル、即ち冷却することでゲル化が可能な溶液も含まれる。ゲル形成性溶液の溶媒としては水等が挙げられる。
【0016】
更に本発明のゲル形成溶液には、生体関連物質を含んでいてもよい。生体関連物質としては、核酸(DNA、RNA等)、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質等が挙げられる。
【0017】
これら生体関連物質は、公知の方法によりゲルに固定される。例えば、ゲル成分として重合性モノマーを使用した場合、生体関連物質に不飽和官能基を導入しておくことで、モノマー成分と共重合反応により、ゲル成分に固定することができる。また、アガロースを使用する場合は、アビジン−ビオチンの特異的結合を利用することにより生体関連物質を固定することも可能である。
【0018】
本発明において、「中空繊維」とは内部に空洞を有するマカロニ状の繊維をいい、極細管、キャピラリー、中空糸等と同義に使用される。
中空繊維に使用する原材料は、中空繊維に加工可能なものであれば、有機材料、無機材料のいずれでも良く、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系の各種繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系の各種繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系の各種繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の各種繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系の各種繊維、ポリビニルアルコール系の各種繊維、ポリ塩化ビニリデン系の各種繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン系の各種繊維、フェノール系繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系等の材料が使用できる。
【0019】
中空繊維を、光学検出手段を用いるデバイスの構成として使用する場合は、透明性のあるものが好ましい。そのような材料としては、ポリカーボネート系材料、ポリメチルメタクリレート系材料である。
中空繊維の外径は、2mm以下、好ましくは1mm以下である。内径は0.2mm以上1.0mm以下が好ましい。
【0020】
上記の中空繊維は片端の開口部が密封、封止されている。密封、封止は、加圧、減圧条件下のいずれの場合にも気密性が保持されていれば良く、その方法は特に限定するものではない。一般に熱融着や樹脂を流し込んで開口部を封止する方法が採用される。
【0021】
次に上記のごとく片端が密封された中空繊維の中空部にはゲル形成性溶液が充填される。
具体的には、気圧、温度等の調節が可能な系内、例えばチャンバー内に、前記中空繊維及びゲル形成性溶液を入れた容器を設置する。ここで使用するチャンバーは真空/減圧、及び加温が可能なものであれば特に限定されず、例えば市販の真空乾燥機、実験用ガラス反応器等を使用することができる。減圧時の圧力は、ゲル形成性溶液が中空繊維の一端の密封された位置まで十分に充填するために必要な圧力とする。圧力は中空繊維の長さ、中空繊維の内径、ゲル形成性溶液の粘土等により適宜選択される。好ましくは50mmHgであり、さらに好ましくは30mmHg以下である。
【0022】
次に中空繊維の開放端側をゲル形成性溶液へ浸漬する。浸漬の方法としては、例えばチャンバー内に中空繊維の開放端側の開口部が下向きとなるように設置し、その下にゲル形成性溶液を入れた容器を設置する。前記容器を例えば、昇降台上に設置すれば、昇降台を上下することにより、中空繊維を溶液に浸漬することができる。また中空繊維を上下することにより溶液に浸漬することも可能である。昇降台は特に限定されないが、空気圧又は油圧により作動する昇降台が好ましい。
【0023】
中空繊維の開口部をゲル形成性溶液に浸漬するタイミングは、系内を減圧雰囲気下にする前後のいずれでも良い。溶液中に気泡が生じ、充填液に気泡が混入する恐れがあるため、減圧操作を行った後、浸漬操作を行うことが好ましい。
【0024】
次に、中空繊維の開口部をゲル形成性溶液に浸漬した状態で、系内の圧力(気圧)を減圧状態から常圧以下に加圧することで、中空繊維中空部の内外の気圧差により、ゲル形成性溶液が中空繊維の中空部に充填される(図1参照)。この加圧工程において、系内の気圧は常圧以上であれば特に限定されないが、好ましくは760mmHg〜1000mmHgである。加圧操作は、例えば系内に気体を導入することで実施することができる。気体としては、例えばゲル形成性溶液としてアクリルアミド系のモノマーを含む溶液を使用した場合、重合反応やゲル形成反応を阻害しないような不活性ガスが好ましい。具体的には、窒素ガス、アルゴンガスである。
【0025】
さらに中空繊維として、ポリメチルメタクリレート系、ポリカーボネート系の中空繊維を使用した場合、無機材料からなる中空繊維に比べ、水蒸気透過性が高いため、ゲル形成中又は形成後のゲルの乾燥が問題となる場合がある。このような問題点を解決するために、充填操作の際、系内を水蒸気圧に飽和させておくことが好ましい。水蒸気圧を飽和させる方法としては、例えば気体を封入することにより、系内を加圧して溶液を中空部に充填する際、気体を図4に示すような水蒸気ポットを通す。これにより水蒸気が飽和した気体を系内に導入することができ、系内を水蒸気圧で飽和することができる。また、充填操作完了後に系内に水を直接供給することも可能である。水を直接供給する場合は霧状に吹き込むことにより効率よく系内の湿度を飽和にすることができる。
上記のごとく充填操作が終了した後、公知の方法により重合、ゲル化を実施することによりゲル充填中空繊維を製造することができる。
【0026】
また、生体関連物質を含有するゲルを用いて上記のようにしてゲル充填中空繊維を製造し、生体関連物質を含有するゲルが導入された中空繊維を、複数本、集束固定化し、繊維の長手方向(繊維軸方向)と交叉する方向で切断することにより、生体関連物質マイクロアレイを製造することができる。
【0027】
また、本発明の充填方法によれば、複数本の中空繊維を束ねた中空繊維束(繊維配列体)の各中空繊維に一度にゲル形成性溶液を充填することも可能である。公知の方法、例えば、特開2000−270878号公報記載の方法に従い、繊維配列体を作成する。次に、図5に示すよう繊維配列体の開口端部側を、繊維固定治具に固定する。繊維固定治具の下方には、昇降台上に複数のウェルからなるプレートが設置されている。ウェル部にゲル形成性溶液が添加されている。昇降台を上下することにより、繊維固定治具の固定された各中空繊維が、各ウェル内に保持されているゲル形成性溶液に浸漬し、先に述べた方法により充填操作が実施される。
【0028】
上記のごとく各中空繊維にゲル形成性溶液が充填され、中空部にゲルを形成することができる。このようにして作成されたゲル充填中空繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断をすることにより、生体関連物質マイクロアレイを製造することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
<実施例1> アクリルアミドゲルの中空繊維への充填
以下、図2を使用して説明する。
1.充填準備
中空繊維として、ガラスキャピラリーA(フューズドシリカ製、内径150μm、長さ30cm)を用意した。その片側の口をエポキシ樹脂で密封した。次に、充填するアクリルアミドモノマー溶液を入れた20cc容器B及び充填用チャンバーとして用いる2Lの3つ口セパラタブルフラスコCを用意した。アクリルアミドモノマー溶液の調製方法は以下の通りである。
【0030】
アクリルアミド(アルドリッチ社製)150mg及びメチレンビスアクリルアミド(アルドリッチ社製)8mgを10分間超音波脱気した蒸留水1840mgに溶解した後、過硫酸カリウム10%水溶液を2mg添加した溶液を容器Bに入れた。次にガラスキャピラリーA及びモノマー溶液を入れた容器Bを3つ口フラスコCに設置し、3つ口フラスコCにはキャピラリーを固定する金属棒D、2方コックE、Fを2個所に取り付け、更にコックEには窒素を封入したバルーン、コックFには真空ポンプへの接続チューブをそれぞれ取り付けた。ガラスキャピラリーAは金属棒Dの先に固定し、更に金属棒Dはネジ式の止め具で減圧時に下がらないように固定した。
【0031】
2.溶液のキャピラリーへの充填
始めにフラスコC内を窒素置換するために以下の操作を行った。
まず、窒素バルーンをつないだコックEを閉め、真空ポンプにつないだコックFを開けてフラスコC内を30mmHgまで減圧した。次にコックFを閉め、コックEを開けてフラスコC内を780mmHgまで加圧した。その後同様の減圧及び加圧操作を5回繰り返した。次にもう一度コックEを閉め、コックFを開けてフラスコC内を20mmHgまで減圧した後、コックFを閉め、金属棒Dのネジ固定式留め具を緩めて金属棒をキャピラリーAの先端の口が溶液に十分に浸漬するまでフラスコC内に押し下げて再びネジをしっかり締めて固定した。次にコックEを開いてフラスコ内を780mmHgまで加圧した。加圧操作後、溶液はキャピラリーのほぼ密封された位置まで充填された。次にフラスコCを70℃の恒温槽に移し、3時間重合せしめ、ゲル充填キャピラリーを得た。
【0032】
<実施例2> DNAマイクロアレイの作成
以下、図4を使用して説明する。
1.中空繊維配列体及び充填溶液の準備
三菱エンジニアリング(株)製のポリカーボネートを溶融紡糸して得た長さ60cmの非多孔質中空繊維(内径160μm、外径280μm)384本を8×24に配列させてウレタン樹脂で固めた繊維配列体を用意し、その繊維配列体の一方の口を384本すべて樹脂で塞いだ。次に充填する溶液としてジメチルアクリルアミド9部、メチレンビスアクリルアミド1部からなる15%水溶液を6cc調製し、更に10%アゾ系開始剤溶液(和光純薬社製VA044)を6μl加えた重合溶液を作成した。次にこの重合液を15μlに2pmol/μlの末端アクリルアミド修飾DNA(商品名アクリダイト:ユーロジェンティック社)溶液5μlを混合したものを384プレートの各ウェルに分注したものを用意し、前記繊維配列体と供に遠隔操作が可能な空気圧式昇降台を具備した真空乾燥機内に入れ、溶液を分注した384プレートは乾燥機内の昇降台の上に配置し、繊維配列体は各糸先が384プレートの各ウェルに入るように専用の固定治具で固定して配置した。
【0033】
2.充填重合操作方法
充填重合用のチャンバーとして市販の真空乾燥機を用い、これに窒素吹き込みライン及び真空ラインを以下の通り接続した。
初めに真空乾燥機内を窒素置換するために真空乾燥機のパージラインに窒素ガスの供給ラインを接続し、真空ラインは真空ポンプに接続した。更に窒素ガスラインには窒素ガスを飽和水蒸気圧にするための水蒸気供給ポット(図3参照)を窒素ラインの途中に設置した。次に真空ポンプで乾燥機内を30mmHgまで減圧した後、窒素ガスをパージラインより乾燥機内に吹き込み、780mmHgまで加圧した。その後同様の減圧及び加圧操作を5回繰り返して乾燥機内を窒素ガス雰囲気にした。次にもう一度真空ポンプで20mmHgまで減圧した後、遠隔操作にて昇降台を引き上げて繊維配列体の各糸先を384プレートの各ウェル中の溶液に浸漬させた。次いで再度窒素ガスを吹き込んで乾燥機内圧力を780mmHgまで加圧した後、窒素ガスを3L/min.の流量で乾燥機に供給しながら温度を55℃に設定して昇温を開始し、そのまま3時間重合を行った。
【0034】
3.配列体の薄片化
上記の充填重合操作で得られたゲル充填繊維配列体を繊維軸方向に対して垂直方向にミクロトームで厚さ500μmに薄片化することで、各中空繊維に仕切られた中にDNA断片が固定化されたゲルのスポットが8×24に配列されたDNAマイクロアレイを得た。
【0035】
【発明の効果】
キャピラリーの片端側を密封することにより、ゲル形成性溶液のキャピラリーへの充填を正確且つ簡便に行うことが可能となる。また、キャピラリーが複数本、集束固定化した繊維配列体の各繊維にゲル形成性溶液を充填するに好適な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一端を封止した中空繊維の内部を減圧状態とし、中空繊維の開放端を溶液に浸漬して加圧することにより、中空繊維内部に溶液が充填されることを示す図である。
【図2】充填用チャンバーの一例を示す図である。
【図3】本発明の方法を実施するための装置の一例である。
【図4】水蒸気供給ポットの一例を示す図である。
【図5】繊維配列体の各繊維に溶液を充填する方法を示す図である。
Claims (11)
- 一端を密封した中空繊維の開放端側を、減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬し、次いで該系内に気体を封入して該系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とすることにより該中空繊維中空部に該溶液を充填させ、充填された該溶液を中空繊維中空部内でゲル化させることを含む中空繊維へのゲル充填方法。
- 気体が不活性ガスである請求項1記載の方法。
- 系内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧である請求項1又は2記載の方法。
- ゲル形成性溶液が、アクリルアミド系モノマーを含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- ゲル形成性溶液が、生体関連物質を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 以下の工程を含むゲル充填中空繊維の製造方法。
(1)一端を密封した中空繊維の開放端を減圧雰囲気の系内でゲル形成性溶液に浸漬する工程。
(2)系内を減圧雰囲気から常圧以上の加圧雰囲気とし、中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)中空繊維中空部に充填されたゲル形成性溶液をゲル化する工程。 - 系内の水蒸気圧が飽和水蒸気圧である請求項6記載の方法。
- ゲル形成性溶液が、アクリルアミド系モノマーを含むものである請求項6又は7記載の方法。
- ゲル形成性溶液が、生体関連物質を含むものである請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
- 以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法。
(1)請求項9記載の方法により得られるゲル充填中空繊維を複数本、集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。 - 以下の工程を含む生体関連物質マイクロアレイの製造方法。
(1)複数本の中空繊維を集束し、繊維配列体を形成する工程。
(2)請求項5の方法により、該繊維配列体の各中空繊維中空部にゲル形成性溶液を充填する工程。
(3)該繊維配列体を繊維の長手方向と交叉する方向で切断する工程。
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