JP2004161944A - 難燃性液状シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(c)白金系触媒、
(d)補強性シリカ充填剤、
(e)水酸化アルミニウム、および
(f)カーボンブラック
を含有することを特徴とする難燃性液状シリコーンゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性・成形性および硬化性に優れるのみならず、得られる硬化物の難燃性が良好である、特に射出成形用に好適な液状のシリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンゴム組成物に補強性シリカ充填剤を配合すると、引張強度、引裂強度、伸び、耐熱性、難燃性等の優れた特性を有する硬化物が得られるようになることが知られている。しかし、前記組成物にシリカ充填剤を多量に配合すると、得られる組成物はチキソトロピー性の高粘度のものとなり、流動性が乏しいため、射出成形法による成形には適さない。
【0003】
なお、補強性シリカ充填剤を配合したシリコーンゴム組成物の成形性を改良するために、重合度10〜20のα,ω−シロキサンジオール(米国特許第3,799,962号明細書)等を配合することが提案されているが、未だ十分なものではなかった。また、昭和63年6月3日に桐生地域地場産業振興センターで開催された複合材料懇話会・研究成果発表会で、シリコーンゴム組成物への水酸化アルミニウムの配合に関する難燃性付与関連技術が報告されているが、充分な難燃性付与効果が得られるものではなかった。
【0004】
更に、シリコーンゴム組成物に、難燃剤として水酸化アルミニウムを配合する点については、特開平9−316336号等に記載されているが、成形性の改良については記載されていない。同じく、カーボンブラックを配合する点については、特開平6−88028号等にに記載されているが、成形性の改良については記載されていない。同じく、ベンゾトリアゾール等の芳香族環と1個以上の窒素原子とを分子内に有する有機化合物を配合する点については、特開平10−77412号等に記載されているが、成形性の改良については記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に鑑み、本発明はの目的とするところは、流動性および硬化性に優れるのみならず、得られる硬化物の難燃性が良好である(UL規格V−0レベル)、特に射出成形用に好適な液状のシリコーン組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、シリコーンゴム組成物に補強性シリカ充填剤を多量に配合しても、流動性を損なうことがなく、難燃性についても優れたシリコーンゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(c)白金系触媒、
(d)補強性シリカ充填剤、
(e)水酸化アルミニウム、および
(f)カーボンブラック
を含有することを特徴とする難燃性液状シリコーンゴム組成物、およびより好ましくは前記各成分に加えて更に(g)芳香族環と1個以上の窒素原子とを分子内に有する有機化合物を含有する組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
[(a)成分]
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明のシリコーンゴム組成物の主成分であり、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に2個以上有することが必要である。この(a)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1):
RaSiO(4−a)/2 (1)
で示されるものが好適に用いられる。
【0010】
ここで、Rはケイ素原子に結合した、非置換または置換の炭素原子数1〜12、特に1〜8の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;およびこれらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がF、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、シアノエチル基;等が挙げられる。
【0011】
上記のとおり、(a)成分のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する上記Rで示される炭化水素基のうち2個以上は上記アルケニル基であり、好ましくは全R基中 0.001〜5モル%、より好ましくは 0.01〜2モル%がアルケニル基である。前記アルケニル基含有割合が少なすぎる場合には、得られる組成物の硬化性が低下し、また、多すぎる場合には、硬化物の引張強度、引裂強度、伸び等の物理的特性が低下する。
【0012】
また、上記式(1)中、aは 1.65〜2.35、好ましくは 1.8〜2.2、より好ましくは 1.95〜2.05の正数であり、このオルガノポリシロキサンの分子構造は基本的には、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状であることが好ましく、一部分に分岐状構造を有していても差し支えない。アルケニル基は分子鎖末端のケイ素原子、分子鎖途中のケイ素原子、または、前記両者のケイ素原子に結合していればよい。中でも、分子鎖両末端がトリビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリメチルシリル基等のトリオルガノシリル基で封鎖されていオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0013】
上記オルガノポリシロキサンの分子量は、適宜選定されるが、液状シリコーンゴム組成物を与え、硬化してゴム状弾性体になるという点から、25℃の粘度が、通常、100〜300,000mPa・s、特に 1,000〜100,000mPa・sとなる分子量であることが好ましい。
【0014】
この(a)成分の具体例としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフエニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組合わせても使用することができる。
【0015】
[(b)成分]
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、本発明のシリコーンゴム組成物の架橋剤として作用するものである。即ち、この(b)成分中のケイ素原子結合水素原子は、下記(c)成分の白金系触媒の存在下に、上記(a)成分中のケイ素原子結合アルケニル基に付加反応して架橋することにより、シリコーンゴム組成物を硬化せしめるものである。この(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中に少なくとも2個以上、通常2〜200個、好ましくは3〜50個のケイ素原子結合水素原子(以下、「SiH基」という)を有することが必要である。
【0016】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2):
R’bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
で示されるものが好適に用いられる。
【0017】
ここで、R’は非置換または置換の炭素原子数1〜12、特に1〜8の1価炭化水素基であり、上記Rについて例示した基と同様の基、好ましくは脂肪族不飽和結合を含まないものを挙げることができ、特にアルキル基、アリール基、アラルキル基、置換アルキル基が好ましい。bは 0.8≦b≦2.2、より好ましくは 1.2≦b≦2の正数、cは 0.002≦b≦1.0、より好ましくは 0.01≦b≦0.8の正数であり、b+cの和は 0.8≦b+c≦3、より好ましくは 1.5≦b+c≦2.7である。
【0018】
この(b)成分の分子構造としては直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの状態であってもよく、SiH基は分子鎖の末端、分子鎖途中、または前記両者に存在していてもよい。さらに(b)成分の分子量に特に限定はないが、25℃での粘度が、通常、1〜1000mPa・s、特に3〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0019】
この(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)3SiO1/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組合わせても使用することができる。
【0020】
この(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、該(b)成分中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)の数と、前記(a)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の数との比率が 0.5:1〜20:1となるような量が好ましく、より好ましくは1:1〜3:1となるような量である。このアルケニル基に対するケイ素原子結合水素原子の比率が低すぎる場合には、組成物が十分に硬化することができない場合があり、高すぎる場合には発泡する恐れがある。
【0021】
[(c)成分]
(c)成分の白金系触媒は、本発明の組成物を硬化させるための触媒である。このような白金系触媒としては、ヒドロシリル化付加反応触媒として公知のものは全て用いることができ、例えば、微粉末金属白金触媒(例えば、米国特許第2970150号明細書記載のもの)、塩化白金酸触媒(例えば、米国特許第2823218号明細書記載のもの)、白金−炭化水素錯化合物(例えば、米国特許第3159601号明細書または同第3159662号明細書記載のもの)、塩化白金酸−オレフィン化合物(例えば、米国特許第3516946号明細書記載のもの)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、米国特許第3775452号または同第3814780号明細書記載のもの)等が挙げられる。
【0022】
この(c)成分の配合量は、触媒としての有功量でよく、特に制限されないが、上記(a)および(b)成分の合計量に対して、白金金属原子重量として、通常、0.1〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmである。前記配合量が少なすぎると硬化が十分に進行しない場合が多く、逆に多すぎても硬化性の向上は期待できないばかりか、貴金属を用いる点から経済的に不利となる。
【0023】
[(d)成分]
(d)成分の補強性シリカ充填剤は、本発明組成物から得られる硬化物の物理的特性を向上させる成分である。
前記シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。また、この(d)成分のシリカ充填剤は、その表面を例えば鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン等の表面処理剤によって疎水化処理されたものでもよい。前記表面処理は予め行ってもよいが、組成物の調製時に前記表面処理剤と共に混練する所謂インテグラルブレンド法によっても差し支えない。
【0024】
この(d)成分のシリカ充填剤は、BET法による比表面積が 50m2/g以上であるものを用いることが好ましい。前記比表面積が小さすぎると補強性が低下するという問題があり、一方、あまりに大きすぎても組成物の流動性が低下するという問題があるので、1,000m2/g以下程度のものとすればよい。特に、硬化物の補強性の点から比表面積が 100〜400m2/gのヒュームドシリカを用いることが、また、コストおよび硬化物の弾性等の物性の点から比表面積が 50〜800m2/gの沈降性シリカを用いることが望ましい。
【0025】
この(d)成分の配合量は上記(a)成分100重量部に対して、通常、5〜200重量部の範囲、より好ましくは 10〜150重量部の範囲とするのが好ましい。前記配合量が少なすぎると得られる硬化物が十分な引張強度、引裂強度等の機械的強度を有しない場合があり、逆に多すぎるとシリコーンゴム組成物の流動性・成形性が低下する場合がある。
【0026】
[(e)成分]
(e)成分の水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は、本発明組成物の流動性を損なわずに顕著な難燃性を付与する成分である。
この(e)成分の水酸化アルミニウムとしては、その表面を例えば鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン、カーボンファンクショナルシラン類等の表面処理剤によって疎水化処理されたものでもよい。前記表面処理は予め行ってもよいが、組成物の調整時に前記表面処理剤と共に混練する所謂インテグラルブレンド法によっても差し支えない。
【0027】
この(e)成分の水酸化アルミニウムは、BET法による比表面積が1m2/g以上、好ましくは1〜10m2/gであるものを用いることが好ましい。前記比表面積が小さすぎると補強性が低下するという問題があり、逆に、大きすぎても組成物の流動性が低下したり、硬化後のゴム物性が低下するという問題がある。
【0028】
(e)成分の配合量は上記(a)成分 100重量部に対して、通常、5〜200重量部、好ましくは 10〜150重量部の範囲とするのがよい。前記配合量が少なすぎると難燃性付与効果に乏しく、UL規格のV−0レベルをクリアすることができなくなり、逆に多すぎるとシリコーンゴム組成物の流動性・成形性が低下する場合がある。
【0029】
[(f)成分]
(f)成分のカーボンブラックは、本発明組成物において上記(e)成分と組み合わされて、比較的多量に配合されても、流動性・成形性を保持しつつ、難燃性が向上できるように添加・配合される成分であり、本発明を特徴づける成分である。
【0030】
このカーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネス(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1500℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラック、チャンネルブラック等を挙げることができる。
【0031】
より具体的には、アセチレンブラックとしては、電化アセチレンブラック(商品名、電気化学(株)製)、シャウニガンアセチレンブラック(商品名、シャウニガンケミカル社製)等;コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF(商品名、コンチネンタルカーボン社製)、バルカンC(キャボット社製)等;スーパーコンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスSCF(商品名、コンチネンタルカーボン社製)、バルカンSC(商品名、キャボット社製)等;エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては、旭HS−500(商品名、旭カーボン(株)製)、バルカンXC−72(商品名、キャボット社製)等;コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(商品名、デグッサ社製)等;ファーネスブラックの一種としては、ケッチェンブラックEC(商品名、ケッチェンブラックインターナショナル社製)、ケッチェンブラックEC−600JD(同)等;が挙げられる。
【0032】
なお、これらの中では、不純物含有量が少なく、発達した二次細孔構造を有することから、特にアセチレンブラックが好適に用いられる。更に、特に比表面積が大きく充分均一に分散することが可能なため難燃性付与に効果がある上記ケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用で(f)成分の配合量は上記(a)成分 100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは 0.5〜20重量部の範囲とするのがよい。前記配合量が少なすぎると難燃性付与効果に劣る場合があり、逆に多すぎると組成物の流動性が低下したり、硬化後のゴム物性が低下したりする場合がある。
【0033】
[(g)成分]
本発明組成物には、所望により、上記(a)〜(f)成分に加えて、更に、(g)芳香族環と1個以上の窒素原子とを分子内に有する有機化合物を添加・配合してもよい。
この(g)成分は有機系難燃剤であって、上記(e)水酸化アルミニウムと共同して、本発明組成物に難燃性を付与する成分である。
【0034】
(g)成分の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、1−ビニルイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソキサゾール、クウイナゾリンが挙げられる。
【0035】
この(g)成分を配合する場合、その配合量は、上記(a)成分 100重量部に対して、通常、30重量部以下(0〜30重量部)、好ましくは 0.01〜30重量部、より好ましくは 0.05〜20重量部の範囲とするのがよい。前記配合量が少なすぎると難燃性付与効果が乏しく、逆に多すぎるとシリコーンゴム組成物の流動性・成形性が低下したり、硬化後のゴム物性が低下したりする場合がある。
【0036】
[その他の配合成分、組成物の調製等]
本発明のシリコーンゴム組成物は、流動性の液状組成物であり、その粘度は特に制限されないが、25℃における粘度が5〜5000 Pa・s、好ましくは 20〜2000 Pa・sであることが望ましい。
また、本発明組成物には、本発明の効果を損なわない限り、更に必要に応じて通常、この種の組成物に配合される各種添加剤、例えば付加反応制御剤、離型剤等を任意成分として配合することができる。
【0037】
本発明組成物の調製に際しては、上記(a)〜(f)成分、および必要に応じて上記(g)成分等の任意成分をプラネタリーミキサー、(加圧)ニーダーミキサー、エクストルーダー等の混練機で混練りし、25〜400℃で1分〜8時間処理して、製造することが好ましい。
【0038】
上記のようにして得られた本発明のシリコーンゴム組成物は、従来のシリコーンゴム組成物と同様に、その粘度に応じて射出成形、トランスファー成形、注入成形、圧縮成形等の手段を適宜選択して成形することが可能であるが、本発明の組成物の場合は、射出成形法がより好適である。
本発明組成物の成形・硬化工程を、上記装置を用いて行う場合、通常、40〜250℃で 10秒〜120分間加熱することで硬化させることができる。このようにして得られた硬化物を、必要に応じて更に 40〜250℃で 30分〜4時間程度、2次加硫(ポストキュア)してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、表1記載の「部」は、重量部を意味する。
【0040】
実施例1,2、比較例1〜5
[組成物の調製]
表1に記載した組成・重量部で、下記(a)〜(g)成分をプラリタリーミキサーで 25℃において攪拌・混合して各組成物を得た。
(a)成分:25℃における粘度が 10,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A)
(b)成分:下記構造式で示される 25℃における粘度が 15mm2/gのメチルハイドロジェンポリシロキサン(B)
【0041】
【化1】
(c)成分:塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液(C)
(d)成分:沈降シリカ ニプシルLP(商品名、日本シリカ工業(株)製、比表面積:200m2/g)(D)
(e)成分:水酸化アルミニウム ハイジライトH−32(商品名、昭和電工(株)、比表面積:2m2/g)(E)
(f)成分:カーボンブラック デンカブラック(商品名、電気化学(株)製)(F)
(g)成分:ベンゾトリアゾール(G)
【0042】
[流動性]
上記で得られた各組成物について、その流動性を調べ、下記のとおり評価し、結果を表1に示した。
○:流動性である(特に、応力を加えずとも流れる)。
△:チキソトロピー性であり、静置状態では流動性ではないが、応力を加えれば流れる。
【0043】
[成形・硬化、難燃性等]
上記で得られた各組成物を、150℃で10分間プレスキュアして、成形・硬化物を得た。
また、各硬化物についてUL規格に準じて、その難燃性のレベルをチェックし、結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
[評価]
表1の結果から、次のことが分る。実施例1,2のシリコーンゴム組成物は、難燃性および流動性に優れたものである。難燃剤である(e)成分の水酸化アルミニウムが配合されていない比較例1、2、4および5は、UL規格のV−0レベルをクリアしておらず、難燃性に難があるものである。しかも、(d)成分の補強性シリカが比較的多量に配合された比較例2のものは流動性にも劣る。(e)成分が(f)成分のカーボンブラックと併用されていない比較例3のものは、難燃性に難があることが分る。
【0046】
【発明の効果】
本発明の液状シリコーンゴム組成物は、流動性・成形性および硬化性に優れると共に、UL−94規格V−0をクリアする難燃性をも有するものであり、特に射出成形用の成形材料として好適であり、難燃性が要求される電化製品(例えば、テレビ等に用いられるアノードキャップ)、ケーブル端末部材、熱収縮チューブ等の用途に好適に用いられるものである。
Claims (2)
- (a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(c)白金系触媒、
(d)補強性シリカ充填剤、
(e)水酸化アルミニウム、および
(f)カーボンブラック
を含有することを特徴とする難燃性液状シリコーンゴム組成物。 - 更に、(g)芳香族環と1個以上の窒素原子とを分子内に有する有機化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
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