JP2004160464A - 工具ホーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工具ホーン本体2を、大形部2aと小形部2bとから段付き角柱状に形成する。大形部2aの上端部に、昇降機構等に固定するための固定面7を形成する。小形部2bの下端部に、溶着等の加工を行なうための放射面8を形成する。工具ホーン本体2の隣位する二側面に、第1縦振動子3で駆動される第1固定ホーン4、および第2縦振動子5で駆動される第2固定ホーン6をそれぞれ設ける。工具ホーン本体2の第2固定ホーン6が取付けられている面に、第1縦振動子3に対応する第1スリット9を設ける。工具ホーン本体2の第1固定ホーン4が取付けられている面に、第2縦振動子5に対応する第2スリット10を設ける。各スリット9,10を設けることで、放射面8の振動が横方向振動となる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックや金属等の溶着に用いられる工具ホーンに係り、特に放射面を縦方向成分を全く含まない横方向振動のみで駆動することができる工具ホーンに関する。
【0002】
従来から、入力面とこれに対向する放射面とを有する工具ホーンを用い、入力面に縦振動を入力するとともに、放射面で超音波溶着を行なうようにした工具ホーンは一般に知られている。
【0003】
ところが、この種の工具ホーンにおいては、放射面での振動が縦方向振動となるため、例えばボスの先端に超音波振動を伝えて加絞め加工を行なう場合に、ボスが座屈して加絞め加工を行なうことができない等の問題がある。
【0004】
そこで一部では、前記工具ホーンを横倒しにし、工具ホーン本体の先端周面を用いて超音波溶着を行なうようにしたり、あるいは前記工具ホーン本体の入力面に捩り振動を入力して超音波溶着を行なう方法が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の超音波溶着方法において、工具ホーンを横倒しにする前者は、加工に用いられる振動成分が、すべて横方向振動となるため、縦方向振動を用いて加工する場合と異なり、ボスの座屈等の問題はないが、工具ホーン本体の周面を用いて加工しなければならないため、工具ホーン本体の先端から離れるにつれて振幅が次第に小さくなり、広い面積の加工は不可能であるという問題がある。
【0006】
また、捩り振動を入力する後者は、放射面での振動が、縦方向成分を含まない捩り振動となるため、前者同様ボスの座屈等の問題はないが、捩り振動の場合には、捩り中心に向かって次第に振幅が小さくなるため、広い面積を溶着する場合に、溶着位置によって加工斑が生じてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる現況に鑑みなされたもので、放射面を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる工具ホーンを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、放射面を、一方向の横方向振動で駆動することができる工具ホーンを提供するにある。
【0009】
本発明の他の目的は、放射面を、二方向の横方向振動を組合わせた,いわゆる円運動のような振動で駆動することができる工具ホーンを提供するにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、放射面を広くしても、確実に横方向振動で駆動することができる工具ホーンを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、一端側が固定面,他端側が放射面となる工具ホーン本体の周面側から、縦振動が入力されて駆動される工具ホーンにおいて、前記工具ホーン本体の周面に、入力される縦振動に対し直交する方向に貫通するスリットを設けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
ところで、一端側が固定面,他端側が放射面となる工具ホーン本体の周面側から、縦振動を入力すると、放射面での振動は、横方向振動に縦方向振動を加えた,いわゆる円弧運動のような撓み振動となるが、スリットを設けることで、縦方向成分がなくなり、放射面を、各所同一振幅の横方向振動で駆動することが可能となる。
【0013】
本発明はまた、縦振動を、工具ホーン本体周面の一方向から入力するようにしたことを特徴とする。そしてこれにより、放射面を、縦振動の入力方向と同一方向に振動する横方向振動で駆動することが可能となる。
【0014】
本発明はまた、縦振動を、工具ホーン本体周面の直交二方向から入力するようにしたことを特徴とする。そしてこれにより、放射面を、直交二方向の横方向振動を組合わせた,いわゆる円運動のような振動で駆動することが可能となる。
【0015】
本発明はさらに、スリットを、ほぼ平行に複数本設けるようにしたことを特徴とする。そしてこれにより、放射面を広くしても、確実に横方向振動で駆動することが可能となり、広い面積を均一に溶着する必要があるような場合に便宜である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る工具ホーンを示すももので、この工具ホーン1は、上半側の大形部2aと下半側の小形部2bとからなる段付き角柱状の工具ホーン本体2を備えており、この工具ホーン本体2の隣位する二側面には、第1縦振動子3で駆動される第1固定ホーン4、および第2縦振動子5で駆動される第2固定ホーン6がそれぞれ取付けられている。
【0017】
前記工具ホーン本体2には、図1ないし図3に示すように、大形部2aの上端部に、図示しない昇降機構等に固定される固定面7が形成されているとともに、小形部2bの下端部に、溶着等の加工を行なう放射面8が形成されている。
【0018】
前記工具ホーン本体2にはまた、図2および図3に示すように、前記第2固定ホーン6が取付けられている面の幅方向中央部に、第1縦振動子3に対応する第1スリット9が設けられているとともに、前記第1固定ホーン4が取付けられている面の幅方向中央部に、第2縦振動子5に対応する第2スリット10が設けられている。
【0019】
すなわち、前記各スリット9,10は、入力される縦振動に対し直交する方向に工具ホーン本体2を貫通しており、これら各スリット9,10により、本来撓み振動する放射面8の振動成分から縦方向成分をなくし、放射面8を、各所同一振幅の横方向振動で駆動することができるようになっている。
【0020】
なお、実際には、工具ホーン本体2は直交二方向から駆動されるため、放射面8は、直交二方向の横振動を組合わせた,いわゆる円運動のような振動で駆動されるようになっている。
【0021】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
図1に示す工具ホーン1において、第1縦振動子3に通電し、第1固定ホーン4を介して工具ホーン本体2に縦振動を入力すると、工具ホーン本体2は、図4(a),(b)に示すように振動することになる。
【0022】
図4(a),(b)は、工具ホーン本体2の振動状態を、有限要素法を用いて解析した結果を示すもので、図4(a),(b)からも明らかなように、放射面8が、完全な横方向振動で駆動されていることが判る。
【0023】
本発明者等は、比較例としてスリット9,10を設けない工具ホーン本体2Aの振動状態を、有限要素法を用いて解析した処、図5(a),(b)に示すような結果となり、放射面8Aが、横方向振動に縦方向振動を加えた,いわゆる円弧運動のような撓み振動となることが確認された。
【0024】
以上のことから、第1縦振動子3に通電する場合には、これに対応する第1スリット9を工具ホーン本体2に設けることで、第1スリット9により縦方向成分が吸収され、放射面8を、各所同一振幅の横方向振動で駆動することができることが判る。
【0025】
なお、第2縦振動子5に通電する場合には、これに対応する第2スリット10を工具ホーン本体2に設けることで、放射面8を、第1スリット9の場合と同様、各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる。そして、両縦振動子3,5に同時に通電した場合には、放射面8は、二方向の横方向振動を組合わせた,いわゆる円運動のような振動で駆動されることになる。
【0026】
しかして、工具ホーン本体2の周面に、入力される縦振動に対し直交する方向に貫通するスリット9,10を設けるようにしているので、放射面8を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる。
【0027】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、前記第1の実施の形態における工具ホーン本体2に代え、工具ホーン12を用いるようにしたものである。
【0028】
すなわち、前記工具ホーン本体12は、図6に示すように、大形部12aと中形部12bと小形部12cとを二段の段付き状に連接した角柱状に形成されており、その隣位する二側面には、前記第1の実施の形態における各スリット9,10に対応する第1スリット19および第2スリット20がそれぞれ設けられている。そして、前記大形部12aの上端部には、固定面17が形成されているとともに、前記小形部12cの下端部には、放射面18が形成されている。
なお、その他の点については、前記第1の実施の形態と同一構成となっており、作用も同一である。
【0029】
しかして、本実施の形態における工具ホーン本体12の場合にも、図7(a),(b)に有限要素法による解析結果を示すように、放射面18を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一振幅の横方向で駆動することができる。
【0030】
図8は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、前記第1の実施の形態における工具ホーン本体2に代え、工具ホーン本体22を用いるようにしたものである。
【0031】
すなわち、前記工具ホーン本体22は、図8に示すように、各所同一寸法の角柱状に形成されており、その隣位する二側面には、前記第1の実施の形態における各スリット9,10に対応する第1スリット29および第2スリット30がそれぞれ設けられている。そして、この工具ホーン本体22の上端部には、固定面27が形成されているとともに、下端部には、放射面28が形成されている。
なお、その他の点については、前記第1の実施の形態と同一構成となっており、作用も同一である。
【0032】
しかして、本実施の形態における工具ホーン本体22の場合にも、図9(a),(b)に有限要素法による解析結果を示すように、放射面28を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一幅の横方向振動で駆動することができる。
【0033】
図10は、本発明の第4の実施の形態を示すもので、前記第1の実施の形態における工具ホーン本体2に代え、工具ホーン本体32を用いるようにしたものである。
【0034】
すなわち、前記工具ホーン本体32は、図10に示すように、上端から下端に向かって次第に縮径する逆截頭円錐状に形成されており、その周面の90度ずれた位置には、前記第1の実施の形態における各スリット9,10に対応する第1スリット39および第2スリット40がそれぞれ設けられている。そして、この工具ホーン本体32の上端部には、固定面37が形成されているとともに、下端部には、放射面38が形成されている。
なお、その他の点については、前記第1の実施の形態と同一構成となっており、作用も同一である。
【0035】
しかして、本実施の形態における工具ホーン本体32の場合にも、図11(a),(b)に有限要素法による解析結果を示すように、放射面38を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる。
【0036】
図12は、本発明の第5の実施の形態を示すもので、前記第1の実施の形態における工具ホーン本体2に代え、工具ホーン本体42を用いるようにしたものである。
【0037】
すなわち、前記工具ホーン本体42は、図12に示すように、各所同一寸法の角柱状に形成されており、その隣位する二側面には、前記第1の実施の形態における各スリット9,10に対応する第1スリット49A,49Bおよび第2スリット50A,50Bがほぼ平行に2本ずつそれぞれ設けられている。そして、この工具ホーン本体42の上端部には、固定面47が形成されているとともに、下端部には、放射面48が形成されている。
なお、その他の点については、前記第1の実施と同一構成となっており、作用も同一である。
【0038】
しかして、本実施の形態における工具ホーン本体42の場合にも、図13(a),(b)に有限要素による解析結果を示すように、放射面48を、縦方向成分を全く含まず、しかも各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる。また、各スリット49A,49B,50A,50Bを複数本設けることで、放射面48の面積の拡大が可能となり、より広い面積を同時に溶着することができる。
【0039】
なお、前記第5の実施の形態においては、各スリット49A,49B,50A,50Bを2本ずつ設ける場合について説明したが、3本以上設けて放射面48の更なる拡大化を図るようにしてもよい。
【0040】
また、前記各実施の形態においては、いずれも第1縦振動子3と第2縦振動子5とを同時に用いる場合について説明したが、いずれか一方の縦振動子3,5のみを用いるようにしてもよい。そしてこの場合には、省略した縦振動子3,5に対応するスリット9,10,19,20,29,30,39,40,49A,49B,50A,50Bは省略することができることは云うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、一端側が固定面,他端側が放射面となる工具ホーン本体の周面側から、縦振動が入力されて駆動される工具ホーンにおいて、前記工具ホーン本体の周面に、入力される縦振動に対し直交する方向に貫通するスリットを設けるようにしたことを特徴とする。
【0042】
ところで、一端側が固定面,他端側が放射面となる工具ホーン本体の周面側から、縦振動を入力すると、放射面での振動は、横方向振動に縦方向振動を加えた,いわゆる円弧運動のような撓み振動となるが、スリットを設けることで、縦方向成分がなくなり、放射面を、各所同一振幅の横方向振動で駆動することができる。
【0043】
本発明はまた、縦振動を、工具ホーン本体周面の一方向から入力するようにしているので、放射面を、縦振動の入力方向と同一方向に振動する横方向振動で駆動することができる。
【0044】
本発明はまた、縦振動を、工具ホーン本体周面の直交二方向から入力するようにしているので、放射面を、直交二方向の横方向振動を組合わせた,いわゆる円運動のような振動で駆動することができる。
【0045】
本発明はさらに、スリットを、ほぼ平行に複数本設けるようにしているので、放射面を広くしても、確実に横方向振動で駆動することができ、広い面積を均一に溶着する必要があるような場合に便宜である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る工具ホーンを示す説明図である。
【図2】図1の工具ホーン本体の形状を示す斜視図である。
【図3】図2の工具ホーン本体の断面形状を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は、図1の工具ホーン本体の振動状態を、有限要素法による解析結果で示す説明図である。
【図5】(a),(b)は、スリットを設けない場合の工具ホーン本体の振動状態を示す図4相当図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す図2相当図である。
【図7】(a),(b)は、図6の工具ホーン本体の振動状態を示す図4相当図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す図2相当図である。
【図9】(a),(b)は、図8の工具ホーン本体の振動状態を示す図4相当図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態を示す図2相当図である。
【図11】(a),(b)は、図10の工具ホーン本体の振動状態を示す図4相当図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態を示す図2相当図である。
【図13】(a),(b)は、図12の工具ホーン本体の振動状態を示す図4相当図である。
【符号の説明】
1 工具ホーン
2,12,22,32,42 工具ホーン本体
2a,12a 大形部
2b,12c 小形部
3 第1縦振動子
4 第1固定ホーン
5 第2縦振動子
6 第2固定ホーン
7,17,27,37,47 固定面
8,18,28,38,48 放射面
9,19,29,39,49A,49B 第1スリット
10,20,30,40,50A,50B 第2スリット
12b 中形部
Claims (4)
- 一端側が固定面,他端側が放射面となる工具ホーン本体の周面側から、縦振動が入力されて駆動される工具ホーンにおいて、前記工具ホーン本体の周面に、入力される縦振動に対し直交する方向に貫通するスリットを設けたことを特徴とする工具ホーン。
- 縦振動は、工具ホーン本体周面の一方向から入力されることを特徴とする請求項1記載の工具ホーン。
- 縦振動は、工具ホーン本体周面の直交二方向から入力されることを特徴とする請求項1記載の請求項1記載の工具ホーン。
- スリットは、ほぼ平行して複数本設けられていることを特徴とする請求項1,2または3記載の工具ホーン。
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