JP2004160398A - 環境に優しいごみの資源化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストでダイオキシンやHCl、硫黄酸化物、重金属類等の有害物質の環境への排出を抑制しつつ、ごみ発電の効率を上げ、焼却灰をセメント等の工業用原料として有効に利用する。
【解決手段】ごみを400〜650℃の還元雰囲気下の熱分解炉で分解するに際して、発生する高沸点成分・タ−ル状物質をFCC(流動接融分解)触媒の存在下に低沸点成分とチャ−に転化し、FCC反応器出口に設けた熱回収部でガス温度を70〜500℃に下げると共に熱回収部出口にアルカリ性物質を吹き込んで塩化水素などを固定し、次いで集塵機で分解ガス中の固形分を除去して、得られるクリーンなガス成分は発電用の燃料として利用し、30%以上の効率で発電を行う。集塵機で除去された固形分は水洗によりアルカリ塩および未反応アルカリ性物質を除いた後セメントや高炉用の工業用原料とし、酸化されていない金属類は資源として利用する。
【選択図】 なし
【解決手段】ごみを400〜650℃の還元雰囲気下の熱分解炉で分解するに際して、発生する高沸点成分・タ−ル状物質をFCC(流動接融分解)触媒の存在下に低沸点成分とチャ−に転化し、FCC反応器出口に設けた熱回収部でガス温度を70〜500℃に下げると共に熱回収部出口にアルカリ性物質を吹き込んで塩化水素などを固定し、次いで集塵機で分解ガス中の固形分を除去して、得られるクリーンなガス成分は発電用の燃料として利用し、30%以上の効率で発電を行う。集塵機で除去された固形分は水洗によりアルカリ塩および未反応アルカリ性物質を除いた後セメントや高炉用の工業用原料とし、酸化されていない金属類は資源として利用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は低コストでダイオキシン等の環境に有害な物質の発生を抑制しつつ、ごみを資源として有効に利用することを目的とするごみ処理技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
ダイオキシンは化学的に安定であるために環境の中では分解され難く、たとえ排出濃度が低くても経年的に環境の中に蓄積され、やがてそれが食物連鎖を経て人体に大きな害を与える恐れがあるために、都市ごみや、産業廃棄物の焼却炉からの排ガスや飛灰・焼却灰から排出されるダイオキシンと有害重金属を含む飛灰・焼却灰の処理が深刻な社会問題になっている。
【0003】
ダイオキシンと飛灰・焼却灰の究極的な処理方法として、現在ガス化熔融炉が次世代のごみ焼却技術であると推奨されている。ガス化熔融炉を次世代ごみ焼却技術と位置づける根拠は1400〜1500℃の高温に曝せばダイオキシンは焼き尽くされ、排ガス中のダイオキシン濃度は0.01ng(TEQ)/m3Nのレベルに、灰分はダイオキシンを含まず且つ有害重金属を溶出しない熔融スラグになるから安全であると言うものである。
【0004】
しかし、この方式は処理工程が複雑であり、且つ1400〜1500℃の過酷な温度条件下での操作を含むために、炉材の寿命が短かかったり、また除塵工程での所謂de novo合成を避けるために一旦排ガス温度を下げ、その後NOxを除去するために排ガス温度を再度上げると言った煩雑な操作が必要である。そのために建設費のみならず維持管理費も高くつき、見かけ以上にコスト高になる。また高いコストをかけて処理したにもかかわらずその生成物である熔融スラグは依然として廃棄物扱いでしかない。
【0005】
また近年ごみを厄介な廃棄物からエネルギ−資源として見直そうと言う動きがあるが、その際の最大の問題点はごみから発生するHCl によるボイラ伝熱管の高温腐蝕のために発電効率が10数%を越えられないことである。
【非特許文献1】津川 敬「検証・ガス化溶融炉」緑風出版 2000年
【非特許文献2】田中 勝、他「廃棄物概論」丸善出版 1998年
【発明が解決しようとする課題】
ダイオキシン等の有害物質の環境中へのゼロエミッションと高効率発電を実現するためには、ごみをガス化した後のガス精製(HClや固形分除去)が必須であるが、そのガス精製の障害になっているのが分解ガス中の高沸点成分・タ−ル状物質の存在である。
【0006】
本発明はこの障害を克服しつつゼロエミッションと高効率発電を目指す。また飛灰・焼却灰はごみ処理プラントの中で自己完結的に小規模に熔融処理するのでなく、1450℃のセメントキルンや高炉の中に投入する。この方式が飛灰・焼却灰の処理方法としては最も合理的な方法であると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は焼却炉におけるダイオキシン生成メカニズムを研究する中で、炉内のHCl濃度がダイオキシンの生成に大きく影響していること、つまり、
[ダイオキシンの生成量] ∝ [ HCl濃度 ]2〜3
の関係を見出した。今、仮に炉内でHCl 発生後直ちに除去してHCl濃度を1/10にすればダイオキシンの発生量は1/100〜1/1000になる。
ガス化熔融法ではダイオキシン抑制は1400〜1500℃の過酷な温度条件下で強引に焼き尽くすことによって、ようやく0.01ng(TEQ)/m3Nのレベルが達成されるのであるが、本発明者の研究によると極く普通の焼却炉において炉内のHCl濃度を迅速に1/10にするだけの方法で、ダイオキシン排出量は1 ng(TEQ)/m3Nのレベルにあったものを0.01〜0.001ng(TEQ)/m3N のレベルにすることが可能であることを見出した。
【0008】
また燃焼ガス中のHClによるボイラ伝熱管の高温腐蝕のために発電効率が上がらない事はよく知られているが、本発明者の研究の結果、伝熱管の腐蝕速度もダイオキシン同様HCl濃度の2〜3乗に比例することが分かった。
【0009】
[伝熱管腐蝕速度] ∝ [ HCl濃度 ]2〜3
これらの事からごみ焼却炉内のHCl濃度を下げることが大変重要である。
【0010】
炉内のHCl濃度を下げるには、炉内にアルカリ性物質(重炭酸ソ−ダ、炭酸ソ−ダ、天然ソ−ダ、苛性ソ−ダ、重炭酸カリ、炭酸カリ、カ性カリ、生石灰、消石灰など)を吹き込んでHClをNaCl、KCl、CaCl2等として固定すればよいが、HCl除去の操作温度はNaClの融点(800.4℃)、KClの融点(776℃)、CaCl2の熱安定性(400℃以上で不安定)の制約を受ける。また、ごみに含まれるAl(融点:660.2℃)を資源として回収するための制約条件は(660.2℃以下の還元雰囲気)である。
【0011】
これらを考慮して、本発明者はごみを400〜650℃の還元雰囲気下で分解した後、発生する分解ガスを熱交換器に導いて熱エネルギ−を回収しながら70〜500℃に温度を下げると共にアルカリ性物質を添加して、熱分解ガス中に含まれる酸性ガスをアルカリ塩として固定し、次いで固形分を集塵機を用いて除去し、得られるクリ−ンガス成分は燃料用ガスとして利用し、当該除去された固形分はアルカリ分を除いた後工業用原料として利用する方法を先に提案した。
【0012】
この方法の最大の問題点は熱分解ガスに含まれる高沸点成分・タ−ル状物質のために除塵操作に支障を来すことであった。
【0013】
高温集塵機はセラミック・フィルタ−の高温に対する信頼性の点でガス温度を500℃以下に下げることが好ましいとされているが、650℃の分解温度から500℃以下に下げた場合に高温集塵でもタ−ル状物質による障害が考えられるし、また通常のバグフィルタ−ではガス温度を200℃以下に下げる必要があるために沸点が約285℃(分解ガス中の高沸点成分の濃度が仮に10%以下とすると190℃で0.10気圧の蒸気圧を持つ物質の沸点は約285℃)以上の高沸点成分やタ−ル状物質が障害になる。
そこで本発明では石油精製で軽油、重油、アスファルトからガソリンを製造する触媒としてよく用いられているFCC(流動接触分解)触媒を用いて、分解ガス精製の障害になる沸点285℃以上の高沸点成分とタ−ル状物質の大部分を沸点285℃以下の成分とチャ−(FCC触媒表面に析出)に転化し、さらに僅かに残る高沸点成分とタ−ル状物質は流動床の流動媒体(FCC触媒)で絡め取る目的で分解ガスを流動床付き熱交換器に導いて熱エネルギ−を回収しながらガス温度を500℃以下(高温集塵機の場合)あるいは190℃以下(通常のバグフィルタ−の場合)に下げる。
【0014】
FCC触媒表面に析出したチャ−とFCC触媒で絡め取った高沸点成分・タ−ル状物質は再生塔で燃焼させて除去すると共に高温の再生排ガスを熱分解炉の熱源として利用する。
【0015】
流動床付き熱交換器の出口にアルカリ性物質を添加して、分解ガス中に含まれる酸性ガス(HCl、H2S)をアルカリ塩として固定し、次いで固形分を集塵機で除去し、得られたクリ−ンガス成分を発電用ボイラで焚くことによりダイオキシン発生を伴う事なく高効率発電を行う。他方、固形分は粗大不燃物と共に未反応アルカリおよびアルカリ塩を水洗で除いた後工業用原料として利用することを特徴とするごみの資源化方法である。
【0016】
ごみの熱分解炉には流動床方式、キルン方式、シャフト炉方式があるが、流動床方式の場合には流動媒体の代わりにFCC触媒を用いればよいし、キルン、シャフト炉の場合には熱分解炉の下流にFCC反応器を新たに設ける事になる。 本発明によればごみをHCl や硫黄分を含まないクリ−ンな燃料ガスと固形分に転化する。クリ−ンな燃料ガスは発電ボイラに導いて30%以上の効率で電力に転換し、固形分は水洗によりアルカリ性物質の塩化物(NaCl、KCl、CaCl2)等や未反応のアルカリ性物質を除去した後、セメントや高炉の原材料等の工業用原料として利用する。クリ−ンガスを燃料とする発電ボイラではダイオキシンも煤塵も全く発生しないし、また集塵機内ではHClの濃度が低く、且つ還元雰囲気であるためにde novo合成でダイオキシンが合成されることもない。そのため、集塵機で回収した固形分にもダイオキシンは含まれない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、対象となるごみとしては、一般の都市ごみや産業廃棄物などである。具体的なごみの種類としては厨芥、食品残飯、塵埃、繊維類、紙類、草木、プラスチック類、汚泥、廃油、鉱物、硝子や陶器等のセラミックス等である。
【0018】
これらのごみは分解炉に投入するに先立ち、あらかじめ一般に用いられる破砕機等を用いて細片化、粒状化し、調整槽で均一化しておくことが好ましい。
熱分解ガスには通常、水素、一酸化炭素、メタン、エタン等の軽質可燃ガスの他に高沸点成分やタ−ル状物質が含まれているが、熱分解ガスから固形分を除去する際にこの高沸点成分・タ−ル状物質が障害になる。特に通常のバグフィルタで除塵を行う場合には高沸点成分・タ−ル状物質を285℃以下の低沸点成分とチャ−に転化しなければならない。
【0019】
そのために本発明では合成ゼオライトを主体とするFCC触媒を用いるが、合成ゼオライトよりも活性は劣るが天然のゼオライト、白土(酸性白土、活性白土)、ベントナイトや石油精製のFCC廃触媒でもよい。これらFCC触媒は適宜混合して用いてよい。流動床式熱分解炉の場合には流動媒体の代わりにこのFCC触媒を用いればよいし、キルン、シャフト炉の場合には熱分解炉の下流に新たに設けたFCC反応器にこのFCC触媒を用いる。
【0020】
熱分解炉の加熱方式には間接加熱方式と炉内での部分燃焼方式があるが仕組みの簡単な部分燃焼方式が適している。
【0021】
FCC反応器と後述の熱回収部流動床からはFCC触媒を連続的に抜き出して再生塔に送り、FCC触媒表面に析出したチャ−およびFCC触媒に付着した高沸点成分・タ−ル状物質を空気で燃焼させて触媒を再生することが好ましい。
【0022】
再生によって発生する600〜700℃の排ガスは熱分解炉に吹き込んで、熱分解炉の熱源の一部とする。触媒活性を一定のレベルに保つために新しいFCC触媒を連続的に供給しながら供給量に見合った触媒を連続的に抜き出して、集塵機で回収された灰・脱塩剤や分解炉の炉底から回収された粗大不燃物(Fe、Al、Cu などの金属以外の)と共に水洗によって塩素分および未反応アルカリを除去した後にセメント原料として利用する。
【0023】
熱分解炉の操作温度はAl の融点(660.2℃)を考慮して650℃を上限とし、沸点285℃以上の高沸点成分の発生量を微量に留める事とFCC触媒の劣化のバランスを考慮した上で決められる。以上の事情から熱分解炉の操作温度は400〜650℃であるが、有機性塩素量を1%以下にするためには分解温度は450℃以上である事が好ましい。従って、操作温度は450〜650℃が好ましい。FCC触媒によらない熱分解炉では高沸点成分・タ−ル状物質による障害を回避するためには1000℃近い温度が必要だったが、FCC触媒を組み込む事によって大幅に下げることが出来た。
【0024】
FCC触媒の再生は700℃以上で活性が低下する事を考慮して600〜700℃で行われる。
【0025】
一方集塵操作では集塵機の技術的制約(フィルタ−の高温に対する信頼性、固体物質の融着トラブル)とガスの取扱い量(集塵機の容量に関係する)およびHCl除去率(Ca系のアルカリ性物質を用いる場合)の点では温度が低い方が有利である。つまり集塵機として通常のバグフィルタ−を使う場合には190℃以下で且つ、分解ガスの露点(分解ガス中の水蒸気濃度が30%の時には70℃)以上にしなければならないし、セラミックフィルタ−の場合でも500℃以下が好ましいとされている。そこで本発明では400〜650℃のFCC反応器の出口に流動床を組み込んだ熱回収部を設けて、分解ガス温度を70〜500℃に下げる。
【0026】
FCC反応器の出口に設ける熱回収部の構造は熱回収伝熱管への高沸点成分・タ−ル状物質(大部分はFCC触媒の作用で低沸点成分と触媒表面のチャ−に転化するが)の付着トラブルを回避し、伝熱効率をよくする目的で流動床付きの伝熱管とするのが好ましい。
【0027】
つまり、残存する少量の高沸点成分・タ−ル状物質は熱回収部(流動床)のFCC触媒で絡め取って伝熱管への付着トラブルを回避する。
【0028】
流動床式熱分解炉の場合には、熱分解部と熱回収部は図2に示すように一体化した構造でもよいし、独立したものをダクトで繋いだ構造でもよい。
熱回収伝熱管は空気予熱器、蒸気加熱器、ボイラ給水予熱器等として用いられるが、回収した熱の有効利用の観点から熱回収部は図3に示すように温度の異なる流動床を多段に設けて熱回収することも出来る。
【0029】
アルカリ性物質は、温度特性(高温より低温の方がHCl、H2S 除去に有利である)とFCC触媒への悪影響を避けるために熱回収部の出口にエアロゾルとして添加するのが好ましい。
【0030】
アルカリ性物質とは、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カルシウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ性を示すアルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、酸化物であり、これらは単独でのみならず、数種混合して用いてもよく、更に、これらを含む鉱物資源、例えば石灰石、ドロマイト、天然ソーダなどであってもよい。
【0031】
またFCC触媒の一部を鉄鉱石粒に置き換えることによって(1)式の反応に従って分解ガス中のH2Sを硫化鉄として除去することが出来る。
【0032】
FeO + H2S = FeS + H2O (1)
更にごみ中に含まれる微量のZn、Pb、Mn、Cu、Cr、Ni、Cdなどは従来のごみ焼却炉では揮発性の塩化物になるために通常の乾式HCl除去装置では除去することが困難であったが、H2S が存在し、HCl 濃度が低く且つ温度が比較的低い集塵機の中では例えば揮発性の塩化鉛は(2)、(3)式の様に不揮発性の硫化鉛、酸化鉛になる。
【0033】
Zn、Mn、Cu、Cr、Ni、Cdについても(2)、(3)式と同様の反応で不揮発性の硫化物や酸化物になるために煤塵として集塵機で除去することができる。これらの重金属類の大気中への放出量を低くするためには集塵機の温度は可能な限り低い温度、つまり70℃(熱分解ガスの露点)近くであることが好ましい。
【0034】
PbCl2 + H2S = PbS + 2 HCl (2)
PbCl2 + H2O = PbO + 2 HCl (3)
分解ガスから回収された固形分中には分解残滓、摩耗したFCC触媒の他、未反応アルカリ性物質およびアルカリ塩が含まれるが、この未反応アルカリ性物質およびアルカリ塩を除去して工業用原料として利用する。アルカリ分の除去方法は特に限定されないが、これらは水溶性であるので、水洗により取り除くことが出来る。水洗の方法も何んら制限がなく適宜条件を設定して実施すればよい。アルカリ分を除去した固形分はセメントの原材料等に利用できる。
【0035】
熱分解炉底から回収される粗大不燃物は、酸化されていない金属類を資源として回収した後、分解ガスから回収された飛灰と同様に水洗処理してセメントの原材料に利用することが出来る。
【0036】
本発明を図1に示すブロック図でもって240ton/dayのごみ処理量の場合について具体的に説明するが、本発明はこの説明に制限されるものではない。
【0037】
Aはごみ調整槽、Bは流動床式熱分解炉(炉内温度:550℃)、Cは流動床付き熱回収器(温度:190℃)、DはFCC触媒の再生塔、Eはサイクロン、FはFCC触媒ストリッパ(FCC触媒によるマテリアルシ−ル)、Gは集塵機、Hは分解ガス燃焼ボイラ(炉内温度:850℃、蒸気温度:500℃、蒸気圧力:20MPa)、Iは飛灰(熱分解残滓、CaCl2、摩耗FCC触媒等)のホッパ、Jは消石灰ホッパ、KはFCC触媒ホッパ、Lは粗大不燃物とFCC触媒(微細灰を含む)の分離機 をそれぞれ示す。ごみ、燃焼用空気等の供給量、分解ガス等の発生量やその化学組成については以下の通りである。
▲1▼ごみ(ごみ供給量:10.0t/h、水分:4.2t/h、灰分:0.92t/h、可燃分:4.88t/h(内有機性塩素:0.059t/h)、低位発熱量:2200 kcal/kg)
▲2▼部分燃焼用空気(11.13km3N/h)
▲3▼分解ガス(22.43km3N/h、190℃, HCl:20ppm)
▲4▼燃焼用空気(16.58km3N/h)
▲5▼排ガス(36.63km3N/h、140℃、HCl:12.2ppm、SOx:6ppm、ダイオキシン:0.001ng(TEQ)/m3N以下)
▲6▼固形分( 灰:0.92t/h、FCC触媒:0.015t/h、CaCl2:0.091t/h、CaS:0.012t/h、消石灰:0.060t/h)
▲7▼消石灰(0.132t/h)
▲8▼FCC触媒(0.015t/h)
図1のフロ−から明らかなように、本発明方法はガス化熔融方式に比べて、操作温度が低く仕組みが単純である。その分処理コストが大幅に安い。
【0038】
また従来のごみ焼却方式と比べると、燃焼工程が熱分解部(低温部)と主燃焼部(高温部)の二段に分かれていて、集塵操作とHClや硫黄分等の除去を効果的に行うために熱分解部(FCC反応器)の出口に熱回収部を設けて、分解ガスを70〜500℃に冷却する点、FCC触媒の再生工程を設ける点で、仕組みがやや複雑ではあるが、従来のスト−カ−炉方式では過剰空気率が大きいために設備が水ぶくれ状態であるが,本発明方法では過剰空気率が小さいために設備がコンパクトになる。そのために設備の建設費は従来のスト−カ−炉方式とあまり差がない。
【0039】
一方ダイオキシン、HCl、SOx、Zn 、Pb、Mn、Cu、Cr、Ni、Cd の環境への排出量が極めて低く、エネルギ−回収効率が高い(発電効率:30%以上)のが本発明の特徴である。
【0040】
【発明の効果】
本発明者は基礎研究の結果、炉内で発生したHClを発生直後に除去して、HCl濃度を1/10にすることができればダイオキシンの発生量は1/100〜1/1000になり、また高温腐蝕領域によるボイラ伝熱管の寿命は100〜1000倍に延びることを明らかにした。
【0041】
この原理を工業化するために、ごみを400〜650℃の還元雰囲気下の熱分解炉で分解するに際して、発生する高沸点成分・タ−ル状物質をFCC触媒の存在下に低沸点成分とチャ−に分解し、FCC反応器出口に設けた熱回収部の出口(70〜500℃)にアルカリ性物質を吹き込み、HCl、H2Sを固定した後、集塵装置を通してHCl、H2Sを含まないクリ−ンガスと固形分に分け、得られたクリ−ンガスは発電ボイラに導いて30%以上の効率で発電を行う一方、固形物は水洗等でアルカリ塩を除去した後、セメントや高炉の原材料とし、酸化されていない金属類は資源として回収する有害物質ゼロエミッションの画期的なごみ処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体的に説明するブロック図である。
【図2】分解部と熱回収部の一体型構造の図である。
【図3】分解部と多段(2段)熱回収部の一体型構造の図である。
【符号の説明】
A:ごみ調整槽
B:流動床式熱分解炉
C:流動床付き熱回収器
D:FCC触媒の再生塔
E:サイクロン
F:触媒ストリッパ
G :集塵機
H :分解ガス燃焼ボイラ
I :飛灰ホッパ
J:消石灰ホッパ
K:FCC触媒ホッパ
L:粗大不燃物とFCC触媒(微細灰を含む)の分離器
▲1▼:ごみ
▲2▼:部分燃焼用空気
▲3▼:分解ガス
▲4▼:燃焼用空気
▲5▼:排ガス
▲6▼:固形分
▲7▼:消石灰
▲8▼:FCC触媒
【産業上の利用分野】
本発明は低コストでダイオキシン等の環境に有害な物質の発生を抑制しつつ、ごみを資源として有効に利用することを目的とするごみ処理技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
ダイオキシンは化学的に安定であるために環境の中では分解され難く、たとえ排出濃度が低くても経年的に環境の中に蓄積され、やがてそれが食物連鎖を経て人体に大きな害を与える恐れがあるために、都市ごみや、産業廃棄物の焼却炉からの排ガスや飛灰・焼却灰から排出されるダイオキシンと有害重金属を含む飛灰・焼却灰の処理が深刻な社会問題になっている。
【0003】
ダイオキシンと飛灰・焼却灰の究極的な処理方法として、現在ガス化熔融炉が次世代のごみ焼却技術であると推奨されている。ガス化熔融炉を次世代ごみ焼却技術と位置づける根拠は1400〜1500℃の高温に曝せばダイオキシンは焼き尽くされ、排ガス中のダイオキシン濃度は0.01ng(TEQ)/m3Nのレベルに、灰分はダイオキシンを含まず且つ有害重金属を溶出しない熔融スラグになるから安全であると言うものである。
【0004】
しかし、この方式は処理工程が複雑であり、且つ1400〜1500℃の過酷な温度条件下での操作を含むために、炉材の寿命が短かかったり、また除塵工程での所謂de novo合成を避けるために一旦排ガス温度を下げ、その後NOxを除去するために排ガス温度を再度上げると言った煩雑な操作が必要である。そのために建設費のみならず維持管理費も高くつき、見かけ以上にコスト高になる。また高いコストをかけて処理したにもかかわらずその生成物である熔融スラグは依然として廃棄物扱いでしかない。
【0005】
また近年ごみを厄介な廃棄物からエネルギ−資源として見直そうと言う動きがあるが、その際の最大の問題点はごみから発生するHCl によるボイラ伝熱管の高温腐蝕のために発電効率が10数%を越えられないことである。
【非特許文献1】津川 敬「検証・ガス化溶融炉」緑風出版 2000年
【非特許文献2】田中 勝、他「廃棄物概論」丸善出版 1998年
【発明が解決しようとする課題】
ダイオキシン等の有害物質の環境中へのゼロエミッションと高効率発電を実現するためには、ごみをガス化した後のガス精製(HClや固形分除去)が必須であるが、そのガス精製の障害になっているのが分解ガス中の高沸点成分・タ−ル状物質の存在である。
【0006】
本発明はこの障害を克服しつつゼロエミッションと高効率発電を目指す。また飛灰・焼却灰はごみ処理プラントの中で自己完結的に小規模に熔融処理するのでなく、1450℃のセメントキルンや高炉の中に投入する。この方式が飛灰・焼却灰の処理方法としては最も合理的な方法であると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は焼却炉におけるダイオキシン生成メカニズムを研究する中で、炉内のHCl濃度がダイオキシンの生成に大きく影響していること、つまり、
[ダイオキシンの生成量] ∝ [ HCl濃度 ]2〜3
の関係を見出した。今、仮に炉内でHCl 発生後直ちに除去してHCl濃度を1/10にすればダイオキシンの発生量は1/100〜1/1000になる。
ガス化熔融法ではダイオキシン抑制は1400〜1500℃の過酷な温度条件下で強引に焼き尽くすことによって、ようやく0.01ng(TEQ)/m3Nのレベルが達成されるのであるが、本発明者の研究によると極く普通の焼却炉において炉内のHCl濃度を迅速に1/10にするだけの方法で、ダイオキシン排出量は1 ng(TEQ)/m3Nのレベルにあったものを0.01〜0.001ng(TEQ)/m3N のレベルにすることが可能であることを見出した。
【0008】
また燃焼ガス中のHClによるボイラ伝熱管の高温腐蝕のために発電効率が上がらない事はよく知られているが、本発明者の研究の結果、伝熱管の腐蝕速度もダイオキシン同様HCl濃度の2〜3乗に比例することが分かった。
【0009】
[伝熱管腐蝕速度] ∝ [ HCl濃度 ]2〜3
これらの事からごみ焼却炉内のHCl濃度を下げることが大変重要である。
【0010】
炉内のHCl濃度を下げるには、炉内にアルカリ性物質(重炭酸ソ−ダ、炭酸ソ−ダ、天然ソ−ダ、苛性ソ−ダ、重炭酸カリ、炭酸カリ、カ性カリ、生石灰、消石灰など)を吹き込んでHClをNaCl、KCl、CaCl2等として固定すればよいが、HCl除去の操作温度はNaClの融点(800.4℃)、KClの融点(776℃)、CaCl2の熱安定性(400℃以上で不安定)の制約を受ける。また、ごみに含まれるAl(融点:660.2℃)を資源として回収するための制約条件は(660.2℃以下の還元雰囲気)である。
【0011】
これらを考慮して、本発明者はごみを400〜650℃の還元雰囲気下で分解した後、発生する分解ガスを熱交換器に導いて熱エネルギ−を回収しながら70〜500℃に温度を下げると共にアルカリ性物質を添加して、熱分解ガス中に含まれる酸性ガスをアルカリ塩として固定し、次いで固形分を集塵機を用いて除去し、得られるクリ−ンガス成分は燃料用ガスとして利用し、当該除去された固形分はアルカリ分を除いた後工業用原料として利用する方法を先に提案した。
【0012】
この方法の最大の問題点は熱分解ガスに含まれる高沸点成分・タ−ル状物質のために除塵操作に支障を来すことであった。
【0013】
高温集塵機はセラミック・フィルタ−の高温に対する信頼性の点でガス温度を500℃以下に下げることが好ましいとされているが、650℃の分解温度から500℃以下に下げた場合に高温集塵でもタ−ル状物質による障害が考えられるし、また通常のバグフィルタ−ではガス温度を200℃以下に下げる必要があるために沸点が約285℃(分解ガス中の高沸点成分の濃度が仮に10%以下とすると190℃で0.10気圧の蒸気圧を持つ物質の沸点は約285℃)以上の高沸点成分やタ−ル状物質が障害になる。
そこで本発明では石油精製で軽油、重油、アスファルトからガソリンを製造する触媒としてよく用いられているFCC(流動接触分解)触媒を用いて、分解ガス精製の障害になる沸点285℃以上の高沸点成分とタ−ル状物質の大部分を沸点285℃以下の成分とチャ−(FCC触媒表面に析出)に転化し、さらに僅かに残る高沸点成分とタ−ル状物質は流動床の流動媒体(FCC触媒)で絡め取る目的で分解ガスを流動床付き熱交換器に導いて熱エネルギ−を回収しながらガス温度を500℃以下(高温集塵機の場合)あるいは190℃以下(通常のバグフィルタ−の場合)に下げる。
【0014】
FCC触媒表面に析出したチャ−とFCC触媒で絡め取った高沸点成分・タ−ル状物質は再生塔で燃焼させて除去すると共に高温の再生排ガスを熱分解炉の熱源として利用する。
【0015】
流動床付き熱交換器の出口にアルカリ性物質を添加して、分解ガス中に含まれる酸性ガス(HCl、H2S)をアルカリ塩として固定し、次いで固形分を集塵機で除去し、得られたクリ−ンガス成分を発電用ボイラで焚くことによりダイオキシン発生を伴う事なく高効率発電を行う。他方、固形分は粗大不燃物と共に未反応アルカリおよびアルカリ塩を水洗で除いた後工業用原料として利用することを特徴とするごみの資源化方法である。
【0016】
ごみの熱分解炉には流動床方式、キルン方式、シャフト炉方式があるが、流動床方式の場合には流動媒体の代わりにFCC触媒を用いればよいし、キルン、シャフト炉の場合には熱分解炉の下流にFCC反応器を新たに設ける事になる。 本発明によればごみをHCl や硫黄分を含まないクリ−ンな燃料ガスと固形分に転化する。クリ−ンな燃料ガスは発電ボイラに導いて30%以上の効率で電力に転換し、固形分は水洗によりアルカリ性物質の塩化物(NaCl、KCl、CaCl2)等や未反応のアルカリ性物質を除去した後、セメントや高炉の原材料等の工業用原料として利用する。クリ−ンガスを燃料とする発電ボイラではダイオキシンも煤塵も全く発生しないし、また集塵機内ではHClの濃度が低く、且つ還元雰囲気であるためにde novo合成でダイオキシンが合成されることもない。そのため、集塵機で回収した固形分にもダイオキシンは含まれない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、対象となるごみとしては、一般の都市ごみや産業廃棄物などである。具体的なごみの種類としては厨芥、食品残飯、塵埃、繊維類、紙類、草木、プラスチック類、汚泥、廃油、鉱物、硝子や陶器等のセラミックス等である。
【0018】
これらのごみは分解炉に投入するに先立ち、あらかじめ一般に用いられる破砕機等を用いて細片化、粒状化し、調整槽で均一化しておくことが好ましい。
熱分解ガスには通常、水素、一酸化炭素、メタン、エタン等の軽質可燃ガスの他に高沸点成分やタ−ル状物質が含まれているが、熱分解ガスから固形分を除去する際にこの高沸点成分・タ−ル状物質が障害になる。特に通常のバグフィルタで除塵を行う場合には高沸点成分・タ−ル状物質を285℃以下の低沸点成分とチャ−に転化しなければならない。
【0019】
そのために本発明では合成ゼオライトを主体とするFCC触媒を用いるが、合成ゼオライトよりも活性は劣るが天然のゼオライト、白土(酸性白土、活性白土)、ベントナイトや石油精製のFCC廃触媒でもよい。これらFCC触媒は適宜混合して用いてよい。流動床式熱分解炉の場合には流動媒体の代わりにこのFCC触媒を用いればよいし、キルン、シャフト炉の場合には熱分解炉の下流に新たに設けたFCC反応器にこのFCC触媒を用いる。
【0020】
熱分解炉の加熱方式には間接加熱方式と炉内での部分燃焼方式があるが仕組みの簡単な部分燃焼方式が適している。
【0021】
FCC反応器と後述の熱回収部流動床からはFCC触媒を連続的に抜き出して再生塔に送り、FCC触媒表面に析出したチャ−およびFCC触媒に付着した高沸点成分・タ−ル状物質を空気で燃焼させて触媒を再生することが好ましい。
【0022】
再生によって発生する600〜700℃の排ガスは熱分解炉に吹き込んで、熱分解炉の熱源の一部とする。触媒活性を一定のレベルに保つために新しいFCC触媒を連続的に供給しながら供給量に見合った触媒を連続的に抜き出して、集塵機で回収された灰・脱塩剤や分解炉の炉底から回収された粗大不燃物(Fe、Al、Cu などの金属以外の)と共に水洗によって塩素分および未反応アルカリを除去した後にセメント原料として利用する。
【0023】
熱分解炉の操作温度はAl の融点(660.2℃)を考慮して650℃を上限とし、沸点285℃以上の高沸点成分の発生量を微量に留める事とFCC触媒の劣化のバランスを考慮した上で決められる。以上の事情から熱分解炉の操作温度は400〜650℃であるが、有機性塩素量を1%以下にするためには分解温度は450℃以上である事が好ましい。従って、操作温度は450〜650℃が好ましい。FCC触媒によらない熱分解炉では高沸点成分・タ−ル状物質による障害を回避するためには1000℃近い温度が必要だったが、FCC触媒を組み込む事によって大幅に下げることが出来た。
【0024】
FCC触媒の再生は700℃以上で活性が低下する事を考慮して600〜700℃で行われる。
【0025】
一方集塵操作では集塵機の技術的制約(フィルタ−の高温に対する信頼性、固体物質の融着トラブル)とガスの取扱い量(集塵機の容量に関係する)およびHCl除去率(Ca系のアルカリ性物質を用いる場合)の点では温度が低い方が有利である。つまり集塵機として通常のバグフィルタ−を使う場合には190℃以下で且つ、分解ガスの露点(分解ガス中の水蒸気濃度が30%の時には70℃)以上にしなければならないし、セラミックフィルタ−の場合でも500℃以下が好ましいとされている。そこで本発明では400〜650℃のFCC反応器の出口に流動床を組み込んだ熱回収部を設けて、分解ガス温度を70〜500℃に下げる。
【0026】
FCC反応器の出口に設ける熱回収部の構造は熱回収伝熱管への高沸点成分・タ−ル状物質(大部分はFCC触媒の作用で低沸点成分と触媒表面のチャ−に転化するが)の付着トラブルを回避し、伝熱効率をよくする目的で流動床付きの伝熱管とするのが好ましい。
【0027】
つまり、残存する少量の高沸点成分・タ−ル状物質は熱回収部(流動床)のFCC触媒で絡め取って伝熱管への付着トラブルを回避する。
【0028】
流動床式熱分解炉の場合には、熱分解部と熱回収部は図2に示すように一体化した構造でもよいし、独立したものをダクトで繋いだ構造でもよい。
熱回収伝熱管は空気予熱器、蒸気加熱器、ボイラ給水予熱器等として用いられるが、回収した熱の有効利用の観点から熱回収部は図3に示すように温度の異なる流動床を多段に設けて熱回収することも出来る。
【0029】
アルカリ性物質は、温度特性(高温より低温の方がHCl、H2S 除去に有利である)とFCC触媒への悪影響を避けるために熱回収部の出口にエアロゾルとして添加するのが好ましい。
【0030】
アルカリ性物質とは、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カルシウム及び水酸化カルシウム等のアルカリ性を示すアルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、酸化物であり、これらは単独でのみならず、数種混合して用いてもよく、更に、これらを含む鉱物資源、例えば石灰石、ドロマイト、天然ソーダなどであってもよい。
【0031】
またFCC触媒の一部を鉄鉱石粒に置き換えることによって(1)式の反応に従って分解ガス中のH2Sを硫化鉄として除去することが出来る。
【0032】
FeO + H2S = FeS + H2O (1)
更にごみ中に含まれる微量のZn、Pb、Mn、Cu、Cr、Ni、Cdなどは従来のごみ焼却炉では揮発性の塩化物になるために通常の乾式HCl除去装置では除去することが困難であったが、H2S が存在し、HCl 濃度が低く且つ温度が比較的低い集塵機の中では例えば揮発性の塩化鉛は(2)、(3)式の様に不揮発性の硫化鉛、酸化鉛になる。
【0033】
Zn、Mn、Cu、Cr、Ni、Cdについても(2)、(3)式と同様の反応で不揮発性の硫化物や酸化物になるために煤塵として集塵機で除去することができる。これらの重金属類の大気中への放出量を低くするためには集塵機の温度は可能な限り低い温度、つまり70℃(熱分解ガスの露点)近くであることが好ましい。
【0034】
PbCl2 + H2S = PbS + 2 HCl (2)
PbCl2 + H2O = PbO + 2 HCl (3)
分解ガスから回収された固形分中には分解残滓、摩耗したFCC触媒の他、未反応アルカリ性物質およびアルカリ塩が含まれるが、この未反応アルカリ性物質およびアルカリ塩を除去して工業用原料として利用する。アルカリ分の除去方法は特に限定されないが、これらは水溶性であるので、水洗により取り除くことが出来る。水洗の方法も何んら制限がなく適宜条件を設定して実施すればよい。アルカリ分を除去した固形分はセメントの原材料等に利用できる。
【0035】
熱分解炉底から回収される粗大不燃物は、酸化されていない金属類を資源として回収した後、分解ガスから回収された飛灰と同様に水洗処理してセメントの原材料に利用することが出来る。
【0036】
本発明を図1に示すブロック図でもって240ton/dayのごみ処理量の場合について具体的に説明するが、本発明はこの説明に制限されるものではない。
【0037】
Aはごみ調整槽、Bは流動床式熱分解炉(炉内温度:550℃)、Cは流動床付き熱回収器(温度:190℃)、DはFCC触媒の再生塔、Eはサイクロン、FはFCC触媒ストリッパ(FCC触媒によるマテリアルシ−ル)、Gは集塵機、Hは分解ガス燃焼ボイラ(炉内温度:850℃、蒸気温度:500℃、蒸気圧力:20MPa)、Iは飛灰(熱分解残滓、CaCl2、摩耗FCC触媒等)のホッパ、Jは消石灰ホッパ、KはFCC触媒ホッパ、Lは粗大不燃物とFCC触媒(微細灰を含む)の分離機 をそれぞれ示す。ごみ、燃焼用空気等の供給量、分解ガス等の発生量やその化学組成については以下の通りである。
▲1▼ごみ(ごみ供給量:10.0t/h、水分:4.2t/h、灰分:0.92t/h、可燃分:4.88t/h(内有機性塩素:0.059t/h)、低位発熱量:2200 kcal/kg)
▲2▼部分燃焼用空気(11.13km3N/h)
▲3▼分解ガス(22.43km3N/h、190℃, HCl:20ppm)
▲4▼燃焼用空気(16.58km3N/h)
▲5▼排ガス(36.63km3N/h、140℃、HCl:12.2ppm、SOx:6ppm、ダイオキシン:0.001ng(TEQ)/m3N以下)
▲6▼固形分( 灰:0.92t/h、FCC触媒:0.015t/h、CaCl2:0.091t/h、CaS:0.012t/h、消石灰:0.060t/h)
▲7▼消石灰(0.132t/h)
▲8▼FCC触媒(0.015t/h)
図1のフロ−から明らかなように、本発明方法はガス化熔融方式に比べて、操作温度が低く仕組みが単純である。その分処理コストが大幅に安い。
【0038】
また従来のごみ焼却方式と比べると、燃焼工程が熱分解部(低温部)と主燃焼部(高温部)の二段に分かれていて、集塵操作とHClや硫黄分等の除去を効果的に行うために熱分解部(FCC反応器)の出口に熱回収部を設けて、分解ガスを70〜500℃に冷却する点、FCC触媒の再生工程を設ける点で、仕組みがやや複雑ではあるが、従来のスト−カ−炉方式では過剰空気率が大きいために設備が水ぶくれ状態であるが,本発明方法では過剰空気率が小さいために設備がコンパクトになる。そのために設備の建設費は従来のスト−カ−炉方式とあまり差がない。
【0039】
一方ダイオキシン、HCl、SOx、Zn 、Pb、Mn、Cu、Cr、Ni、Cd の環境への排出量が極めて低く、エネルギ−回収効率が高い(発電効率:30%以上)のが本発明の特徴である。
【0040】
【発明の効果】
本発明者は基礎研究の結果、炉内で発生したHClを発生直後に除去して、HCl濃度を1/10にすることができればダイオキシンの発生量は1/100〜1/1000になり、また高温腐蝕領域によるボイラ伝熱管の寿命は100〜1000倍に延びることを明らかにした。
【0041】
この原理を工業化するために、ごみを400〜650℃の還元雰囲気下の熱分解炉で分解するに際して、発生する高沸点成分・タ−ル状物質をFCC触媒の存在下に低沸点成分とチャ−に分解し、FCC反応器出口に設けた熱回収部の出口(70〜500℃)にアルカリ性物質を吹き込み、HCl、H2Sを固定した後、集塵装置を通してHCl、H2Sを含まないクリ−ンガスと固形分に分け、得られたクリ−ンガスは発電ボイラに導いて30%以上の効率で発電を行う一方、固形物は水洗等でアルカリ塩を除去した後、セメントや高炉の原材料とし、酸化されていない金属類は資源として回収する有害物質ゼロエミッションの画期的なごみ処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体的に説明するブロック図である。
【図2】分解部と熱回収部の一体型構造の図である。
【図3】分解部と多段(2段)熱回収部の一体型構造の図である。
【符号の説明】
A:ごみ調整槽
B:流動床式熱分解炉
C:流動床付き熱回収器
D:FCC触媒の再生塔
E:サイクロン
F:触媒ストリッパ
G :集塵機
H :分解ガス燃焼ボイラ
I :飛灰ホッパ
J:消石灰ホッパ
K:FCC触媒ホッパ
L:粗大不燃物とFCC触媒(微細灰を含む)の分離器
▲1▼:ごみ
▲2▼:部分燃焼用空気
▲3▼:分解ガス
▲4▼:燃焼用空気
▲5▼:排ガス
▲6▼:固形分
▲7▼:消石灰
▲8▼:FCC触媒
Claims (7)
- ごみを400〜650℃の還元雰囲気下の熱分解炉で分解するに際して、発生する高沸点成分・タ−ル状物質をFCC(流動接触分解)触媒の存在下に低沸点成分とチャ−に転化し、高沸点成分・タ−ル状物質が少ない分解ガスを発生させ、該分解ガスを熱交換器に導いて熱エネルギ−を回収しながら70〜500℃に温度を下げると共にアルカリ性物質を添加して、分解ガス中に含まれる塩化水素をアルカリ塩として固定し、次いで固形分を集塵機を用いて除去して得られたクリ−ンガス成分を発電用ボイラに供給してダイオキシンの発生を伴うことなく高効率発電を行い、当該除去された固形分は未反応アルカリおよびアルカリ塩を除いた後工業用原料として利用することを特徴とするごみの資源化方法。
- 熱分解炉が流動床式熱分解炉であって流動媒体にFCC触媒を用いる事を特徴とする請求項1記載のごみの資源化方法。
- FCC触媒が、合成ゼオライトを主体とする組成物、天然のゼオライト、白土(酸性白土、活性白土)、ベントナイト、石油精製用のFCC廃触媒からなる群より選ばれた少なくとも一種のFCC触媒であることを特徴とする請求項1又は2記載のごみの資源化方法。
- チャ−の析出によって活性の低下したFCC触媒および/または高沸点成分・タ−ル状物質で汚染されたFCC触媒を、600〜700℃の空気で燃焼させて再生し、発生した高温の燃焼排ガスを熱分解炉の熱源とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載のごみの資源化方法。
- 熱交換器が流動床付きの伝熱管であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のごみの資源化方法。
- 熱分解炉が部分燃焼法式であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のごみの資源化方法。
- アルカリ性物質が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ドロマイト、及び天然ソーダからなる群より選ばれた少なくとも一種のアルカリ性物質であることを特徴とする請求項1、2,3,4、5又は6記載のごみの資源化方法。
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- 2002-11-14 JP JP2002330808A patent/JP2004160398A/ja active Pending
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