JP5512200B2 - 高効率乾留炉およびガス化剤の調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高効率乾留炉およびガス化剤の調整方法に関し、具体的には、有機性の原料、廃棄物を乾留し、ガスと炭化物を得る高効率乾留炉およびガス化剤の調整方法に関する。
近年、地球温暖化が問題となり、化石燃料の消費量抑制が重大な課題となっており、化石燃料を削減するためには現在利用されていない、未利用資源の有効利用が重要である。
また、未利用資源の有効利用では発電だけでなく、従来化石燃料を用いることしかできなかった燃料代替としての利用技術の開発が重要であり、炭化炉の適用が検討されている。
流動床式の炭化炉では炭化物はガスに同伴されるチャー(可燃性ダスト)に限定されるため、炭化物の生成割合は5%程度と少なく、炭化物としての利用価値はあまりなかった。また、チャーの発生割合を調整することは難しかった。
また、ロータリーキルン式の炭化炉ではガスの発生と加熱用の燃焼排ガスの2系統が存在し、設備が複雑になると共に、維持管理に手間とコストがかかる。また、生成ガスを燃焼させて炭化の熱源とする場合には、キルンの温度が高くなるため、キルンの腐食が発生するという問題点があった。
また、シャフト式のガス化炉の場合、炉下部からの排出物は燃焼灰で、炭化物として有効利用することはできなかった。
さらに、シャフト式のガス化炉の場合、都市ごみ等の雑多な廃棄物を部分燃焼方式でガス化するとプラスチック等が高温燃焼し、付近に存在する灰分が溶融することでクリンカが発生するという問題点があった。
乾留炉に関しては従来から種々の提案がなされており、例えば特開2006−111645号公報(下記特許文献1)には、乾留炉にて原料を乾留して成形塊状物を製造する成形塊状物製造方法において、乾留後の成形塊状物を篩分けにより分級し、篩下の成形塊状物にバインダを添加し加圧成形した後前記乾留炉に戻して、前記原料と共に乾留することにより、従来のコークス製造方法と比較して幅広い原料を使用し、かつ簡便な設備にて成形塊状物を製造する方法及びその成形塊状物を利用した廃棄物処理方法が記載されているが、前述の灰分の溶融によるクリンカ発生の問題を解決することはできなかった。
特開2006−111645号公報
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、灰分の溶融によるクリンカ発生を防止することができる高効率乾留炉および乾留方法を提供することを課題とする。
本発明は、前述の課題を解決すべく鋭意検討の結果、バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、該乾留炉の炉底部に火格子を配置することにより、灰分の溶融によるクリンカ発生を防止することができる高効率乾留炉およびガス化剤の調整方法を見出したものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、該乾留炉の炉側部に羽口を配置し、該乾留炉の炉底部にストーカからなる火格子を配置し、乾留ガスはシャフト上部より排出し、前記火格子の稼働に伴い内部を撹拌して炭化物を排出し、前記羽口と前記火格子の両方からガス化剤を吹き込み、シャフト側面と火格子のガス化剤の吹込み量を個別に調整する前記ガス化剤の流量調整機構を有することを特徴とする高効率乾留炉。
(2)前記ガス化剤の酸素濃度調整機構を有することを特徴とする(1)に記載の高効率乾留炉。
(3)前記ガス化剤の火格子からの吹込み量が全ガス化剤の1/2以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の高効率乾留炉。
(4)前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生したガスを除塵処理した後の可燃性ガスを空気若しくは酸素で燃焼させた高温のガス若しくは高温ガスと蒸気の混合ガスであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
(5)前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生した生成ガスを後段の燃焼室で燃焼し、冷却した循環排ガスのいずれか若しくはそれらの混合ガスであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
(6)前記ガス化剤の火格子からの吹込み流速が1m/s以上10m/s 以下であることを特徴とする(1)乃至請求項5のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の高効率乾留炉のシャフト側面と火格子のガス化剤の調整方法であって、シャフト側面と火格子のガス化剤の吹込み量を個別に調整することで、炭化物と発生ガスの収率を調整することを特徴とするガス化剤の調整方法。
本発明により、バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、該乾留炉の炉底部に火格子を配置することにより、灰分の溶融によるクリンカ発生を防止することができる高効率乾留炉およびガス化剤の調整方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
(1)に記載した本発明の実施形態を例示する図である。 本発明の実施形態を例示する図である。 本発明の実施形態を例示する図である。 )に記載した本発明の実施形態を例示する図である。 本発明の実施形態を例示する図である。 本発明の実施形態を例示する図である。 )に記載した本発明の実施形態を例示する図である。 )に記載した本発明の実施形態を例示する図である。 本発明の好ましい実施形態を例示する図である。 本発明の好ましい実施形態を例示する図である。 本発明の好ましい実施形態を例示する図である。
本発明を実施するための形態について図1〜図11を用いて詳細に説明する。
図1は、(1)に記載した本発明の実施形態を例示する図である。
図1に示すように、本発明の高効率乾留炉は、バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、該乾留炉の炉底部に火格子を配置したことを特徴とする。
ここに、本発明において火格子とはストーカとも呼び、原料に接して燃焼を行わせる格子部分をいい、火格子が定期的に駆動することで炉内の炭化物が流動し、局部的な高温部分、灰分の蓄積を抑制でき、炉内で灰分が溶融するクリンカの発生を防止することができる。また、シャフト炉の断面形状は円形、矩形両方を用いることができる。下部に火格子を設置するため、矩形の方が火格子の負荷が均一になり好ましい。円形にすると炉内の耐火物の耐久性が向上する。
図2は、本発明の実施形態を例示する図である。
図2に示すように、前記乾留炉の炉底部に配置した火格子、もしくは、炉側面に配置した羽口と火格子の両方からガス化剤を吹き込むことが好ましい。
ガス化剤を火格子から吹き込むことで、乾留炉下部の炭化物の顕熱をガス化剤の顕熱として回収することができ、ガス化のために必要なエネルギーを削減することができる。ガス化剤を炉底部に配置した火格子から吹き込むことで炉内に均一にガス化剤が流入し、均質な乾留が行え、効率が高くなるとともに、得られる炭化物の性状が均質となる。また、炉を大型化する際にも壁面からの吹込みのみでは炉の中心部にガス化剤が到達せず、未炭化物発生の危惧があり、炉の寸法を制限する必要があったが、火格子からのガス化剤吹込みにより炉底面全面からガス化剤を供給することができ、炉の寸法、形状によらず均質なガス化、炭化が行える。
図3は、本発明の実施形態を例示する図である。
図3に示すように、前記ガス化剤の流量調整弁などの流量調整機構を有することが好ましい。
シャフト側面と火格子のガス化剤の吹込み量を個別に調整することで、炭化物と発生ガスの熱バランスを調整することができる。具体的には、火格子のガス化剤を相対的に増加すると炉下部で炭化物が燃え、炭化物の燃焼熱を熱源としてガス化が進み、ガスの収率が高くなる。逆にシャフト側面からのガス化剤の量を相対的に増大させると、炭化物の燃焼量が下がり、熱分解ガスの燃焼によって乾留熱源を得ることとなり、ガスの収率を下げ、炭化物の収率を上げることができる。炉低のストーカの長さを大きくとり、ガス化剤となる酸素分を多く入れることで炭化物を灰状にし、焼却灰として排出することができる。これらの炭化物の性状をコントロールできることがストーカを底部に設けることで可能となる。
図4は、()に記載した本発明の実施形態を例示する図である。
図4に示すように、前記ガス化剤に酸素を付加するラインなどの酸素濃度調整機構を有することが好ましい。
シャフト側面と火格子の各々で酸素濃度を調整することでシャフト炉内での乾留反応の位置を調整することができ、得られる炭化物とガスの熱量の割合調整、得られる炭化物の乾留度合いの調整、炭化物中の炭素含有率の調整等が可能となる。具体的には火格子の酸素濃度を上げることで、シャフト下部での反応を促進し、炭化物中の炭素分を燃焼させることでガス化の熱源を炭化物の燃焼熱とし、ガスの収率を上げることができる。また、水分が多い原料の場合、シャフト上部で乾燥を促進するために、シャフト側面のガス化剤の酸素濃度を上げ、シャフト中段での燃焼を促進することで、原料の揮発分を燃焼させ、水分を低減させることが可能となる。炭化物の収率を最大限に得るためには、火格子から吹き込む酸素濃度は0とし、火格子のガス化剤は炉内投入後炭化物の顕熱を回収し、温度が上昇した後にシャフト中部から吹き込まれたガス化剤と反応し、その熱で乾留反応を起こす。それにより炭化物の収率を最大にすることが可能となる。
)の発明によれば、火格子のガス化剤を全体の1/2以上とすることで、炭化物の顕熱の回収が十分に行え、炉内へのガス化剤の供給が十分に均質となり、炉の反応効率が高くなる。
本発明によれば、火格子のサイズ(火格子の駆動方向の長さ)を200mm以上にすることで、火格子の稼動に伴う内部の撹拌効果が得られ、内部でのクリンカの発生が防止できる。
図5は、本発明の実施形態を例示する図である。
図5に示すように、前記乾留炉の後段に1次除塵機を設け、該1次除塵機で乾留炉から飛散する可燃性ダストを回収し、回収された可燃性ダストを乾留炉下部から得られた炭化物と合流させることが好ましい。
得られたガスを処理する際には改質、燃焼等の高温処理が必要であるが、固体粒子がガス中に存在することで、顕熱上昇に伴う熱のロス、粒子表面における反応活性の低下、固体粒子燃焼反応の反応時間冗長化等が発生するため、炉を大きくする必要があるが、除塵機を設けることで後段へ流出する固体炭素粒子の数を低減させることができ、後段の反応炉で必要となる反応時間を短くすることができる。
ガスの温度が高く、タールを含んでいるため、1次除塵機はサイクロンであることが望ましい。フィルター式ではタールによる目詰まりが発生し、さらにバグフィルターではろ布が熱により劣化する。
図6は、本発明の実施形態を例示する図である。
図6に示すように、前記(1)乃至()のいずれか1項に記載の高効率乾留炉を用いた乾留方法であって、乾留炉の後段に改質炉を設け、乾留炉から発生したガスに含まれる炭化水素化合物を分解ガス化し、さらに無害化した後に燃料ガス若しくは原料ガスとして利用することが好ましい。
改質には炉内に酸素若しくは空気を必要に応じて蒸気とともに吹込み、炉内での可燃性ガスを燃焼し高温のガスとし、その熱でガスに含まれる炭化水素化合物を熱分解する。
改質ガスの無害化の方法としては1)冷却工程、2)除塵工程、3)塩素除去工程があり、1)冷却工程としてはa)ボイラによる熱回収、b)温水発生器による熱回収、水を噴霧することによる断熱冷却がある。ボイラで改質ガスの顕熱を水蒸気として回収した場合には得られた水蒸気をガス化の酸化剤として用いることができる。また、得られたガスをガスタービンで発電する場合には、ボイラで得られた水蒸気をタービンの排ガスで過熱、若しくはガスタービン廃熱を利用して得られた水蒸気と併せて過熱蒸気を生成し、蒸気を蒸気タービンで発電するコンバインド発電が可能となる。また、改質炉のガス化剤は酸素と水蒸気であることが望ましい。
2)除塵工程としては、a)ろ過式集じん機、b)電気集塵機による除塵が可能である。電気集塵機の場合は炉内に酸素が混入した場合にスパークにより異常燃焼の恐れがあるため、ろ過式集じん機が望ましい。除塵により得られた可燃性ダストは乾留炉下部から得られた炭化物とあわせて有効利用することが可能となる。3)塩素除去工程としては、a)湿式洗煙、b)乾式脱塩を用いることができる。湿式洗煙ではガスに水を噴霧し、水に塩化水素ガスを吸収させガスを清浄化できる。洗浄用の循環水はHClを吸収しpHが低下し機器を腐食するため、NaOH等を注入し中和させる必要がある。ガスの洗浄とともにガス中に含まれる水分が凝縮し、水分が増加する、また、中和により塩が生成するため、塩の濃度を管理値以下にするために水をブローすることが必要となる。乾式脱塩では2段目のバグフィルターを設置し、2段目のバグフィルターの上流側で消石灰や重曹等の脱塩剤を吹込み、ろ布表面に脱塩剤の層を生成し、ガス中の塩化水素と脱塩剤を反応させることでガスを処理することができる。
得られたガスの利用方法としては、a)製鉄所等の加熱炉に利用する燃料ガス代替、b)触媒により軽油を生成し、輸送機器の燃料、石油化学工業の原料として利用する石油代替が可能である。
図7は、()に記載した本発明の実施形態を例示する図である。
図7に示すように、前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生したガスを除塵処理した後の可燃性ガスを空気若しくは酸素で燃焼させた高温のガス若しくは高温ガスと蒸気の混合ガスであることが好ましい。
原料の灰分の融点が低い場合、炉内にガス化剤として酸素含有ガスを用いると炉内での燃焼反応によって乾留炉の内部で灰分が溶融しクリンカとなる可能性がある。ガス化剤として酸素を含まない高温ガスを用いることで局部的な高温部分の発生を防ぎ、クリンカの生成を抑制することができる。ガス化剤となる排ガスの温度は150℃以上、800℃以下が望ましい。150℃以下ではガス化剤の昇温にエネルギーを必要とし、800℃以下では吹き込み部の火格子での熱による劣化が発生する。
本発明によれば、前記乾留炉若しくは乾留炉の後段に燃焼室を設け、可燃性ガスを完全燃焼した後に熱回収し、得られた蒸気で発電して電力を得ると共に、熱回収後のガスを排ガス処理を経て大気に放散することにより、燃焼室に生成ガスと空気を吹き込むことで火炎を形成し、燃焼反応によって可燃性のガス、炭化水素、固定炭素分をCO2、H2Oに分解・無害化する。得られたガスは温度が高く、高い顕熱を持っているため、熱回収を行う。熱回収はボイラ等が好ましい。燃焼ガスはボイラに導入され、熱交換によって蒸気を発生し、ガスの温度を低下させる。ボイラより得られた蒸気は蒸気タービンで発電することでガスのエネルギーを電力として回収することができる。ボイラ排ガスはガス冷却塔に導入され、ガス冷却塔で水を噴霧し、ガス温度を低減させる。水の平均粒径は200μm以下が望ましい。温度の下がったガスは消石灰、重曹等の脱塩剤と共にバグフィルタに導入され、バグフィルタで除塵と脱塩を行う。除塵されたガスは誘引通風機で昇圧され、触媒反応塔を通過し、窒素酸化物を分解した後に大気に放散される。
燃焼室に吹き込む空気量は理論燃焼空気量に対し1.2倍以上、2.4倍以下が望ましい。空気量が少なすぎると不完全燃焼を引き起こし、COガスの漏洩やダイオキシンの発生を引き起こす。また、空気量が多すぎる場合には、排ガス量が多すぎ、熱効率が低下すると共に、燃焼温度の低下によるダイオキシンの発生等の危険性がある。
燃焼温度は850℃以上、1200℃以下が望ましい。850℃以下ではダイオキシンの生成の危険性があり、1200℃以上では燃焼室内にクリンカが発生し、運転継続に支障を及ぼす。
図8は、()に記載した本発明の実施形態を例示する図である。
図8に示すように、前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生した生成ガスを後段の燃焼室で燃焼し、冷却した循環排ガスのいずれか若しくはそれらの混合ガスであることが好ましい。
原料の灰分の融点が低い場合、炉内にガス化剤として酸素濃度の高いガスを用いると炉内での局部的な燃焼反応によって乾留炉の内部で灰分が溶融しクリンカとなる可能性がある。ガス化剤として酸素濃度が低いガスを用いることで吹込み部での酸素分圧を低減させ、局部的な高温部分の発生を防ぎ、クリンカの生成を抑制することができる。酸素濃度の低いガスとしては、燃焼排ガスを用いることが効果的で、ボイラ中部、出口やバグフィルタ出口のガスを循環利用することができる。ガス化剤となる排ガスの温度は150℃以上、400℃以下が望ましい。150℃以下ではガス化剤の昇温にエネルギーを必要とし、400℃以下ではダクト、送風機の腐食が発生する。
排ガス以外のガス化剤を利用する場合においても温度条件は上記が望ましい。その場合、蒸気等での予熱ができる。
)の発明に示すように、前記ガス化剤の火格子からの吹込み流速が1m/s以上10m/s以下であることが好ましい。吹込み流速が小さすぎると炉内にガス化剤が十分に入らないと共に、ストーカ部分からの落塵が多く、炭化物が風箱で堆積、閉塞する。吹込み流速が大きすぎる場合には炉内で流動化が発生し、炉内の炭化物と未炭化物が混合し、未炭化物が炉底から排出されるようになり炭化物の品質低下を引き起こす。また、炉内の炭化物の温度が均一になり、ガス化剤による熱回収が十分にできず、効率が低下する。
また、シャフト部の羽口からガス化剤を吹込む場合には、羽口からの吹込み流速は10m/s以上、50m/s以下が好ましい。流速が高いと内部が流動化し、炭化物の性状に影響を及ぼす。流速が小さい場合にはガス化剤が炉の中心に届かずに反応効率が低下する。
炭化物は炉から排出されたときには高温で、空気と接触すると発火する可能性がある。そこで、本発明によれば、前記乾留炉下部から得られた炭化物を間接的に冷却することで炭化物を安全に利用できるようになる。冷却装置が水冷のスクリューコンベアとすることで、炭化物の排出と冷却が同時に実施できる。また、異物が有った場合にも容易に排出が可能である。水冷はケーシング、水冷軸によって行われることで冷却効率を上げることができる。
炉底部の炭化物排出部分に空気が混入すると酸素によって炭化物が燃焼し、発熱するため炭化物を利用できなくなる恐れがある。そこで、本発明に示すように、前記乾留炉下部から得られた炭化物の排出装置が2重シール式の遮断弁で外気と遮断され、2重シール弁の1段目と2段目の弁体の間に窒素を供給することが好ましい。2重シール装置で外気と炭化物を遮断することで炭化物を安全に冷却・利用することが可能となる。必要に応じて2重シール装置の前で炭化物の温度を測定し、炭化物の温度が高い場合には2重シール弁の動作を停止し、緊急的に冷却する手段をもつこともできる。2重シール弁には弁の開閉位置を検出する検出端を持ち、各弁が同時に開とならないように制御することが望ましい。2重シール部は炭化物の冷却後に設置されることが好ましい。それにより炭化物の発火の可能性が大きく低減される。炭化物が大気に接触する温度は100℃以下とすることが望ましい。
図9および図10は、本発明の好ましい実施形態を例示する図である。
乾留炉下部から得られた炭化物を選別処理した後に有効利用することが好ましい。選別処理は磁力選別、比重分離が望ましい。磁力選別により金属分を除去し有効利用でき、比重分離により炭化物とガラ等に分離でき、炭化物を有効利用することができる。炭化物は必要に応じて破砕処理した後に有効利用する。
炭化物の有効利用方法としては、a)コークス炉の原料、b)微粉炭ボイラの燃料、c)セメントの原料、d)セメントの燃料、e)他の廃棄物処理施設の燃料 が可能である。
さらに、炭化物を破砕した後に有効利用することが好ましい。破砕することで気流搬送等が可能になり利用が容易になる。乾留炉と炭化物利用施設が大きく離れている場合にもジェットパック車の利用ができ、輸送が容易になる。
図11は、本発明の好ましい実施形態を例示する図である。
さらに、炭化物を造粒した後に有効利用することが好ましい。造粒することでさらに輸送・貯蔵が容易になる。また、造粒・成型した場合、コークスとしての利用も可能となる。
炉の断面積(m2)が原料の時間当たりの投入重量tonに対し、0.5以上、2以下であることが好ましい。原料の投入量に対し、炉の断面積が小さい場合には炉内での原料の移動が大きくなりすぎ、十分な滞留時間を得ることができずに十分な乾留が行われない。炉の断面積が大きすぎる場合には炉内でガス化剤、発生ガスの偏流が発生し、炉内での反応が均質に行われずに、炉の効率が低下すると共に、得られる炭化物の品質が低下する。炉の断面形状は円形、矩形等が採用可能である。矩形の場合、炉の寸法は3m以下が望ましい。3m以下にすることで羽口からのガス化剤の炉内への到達が十分に行われる。
火格子の断面積(m2)が原料の時間当たりの投入重量tonに対し、0.1以上、1以下であることが好ましい。原料の投入量に対し、火格子の断面積が小さい場合には火格子部での炭化物の移動速度が大きくなりすぎ、十分な滞留時間を得ることができずに十分な乾留が行われない。火格子の断面積が大きすぎる場合には火格子部で燃焼が進行しすぎるため、得られる炭化物の品質が低下する。

Claims (7)

  1. バイオマス、石炭、有機性廃棄物等の原料を投入して炭化物と可燃性のガスを得るシャフト式の乾留炉において、該乾留炉の炉側部に羽口を配置し、該乾留炉の炉底部にストーカからなる火格子を配置し、乾留ガスはシャフト上部より排出し、前記火格子の稼働に伴い内部を撹拌して炭化物を排出し、前記羽口と前記火格子の両方からガス化剤を吹き込み、シャフト側面と火格子のガス化剤の吹込み量を個別に調整する前記ガス化剤の流量調整機構を有することを特徴とする高効率乾留炉。
  2. 前記ガス化剤の酸素濃度調整機構を有することを特徴とする請求項1に記載の高効率乾留炉。
  3. 前記ガス化剤の火格子からの吹込み量が全ガス化剤の1/2以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高効率乾留炉。
  4. 前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生したガスを除塵処理した後の可燃性ガスを空気若しくは酸素で燃焼させた高温のガス若しくは高温ガスと蒸気の混合ガスであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
  5. 前記ガス化剤が空気、酸素、蒸気若しくは乾留炉で発生した生成ガスを後段の燃焼室で燃焼し、冷却した循環排ガスのいずれか若しくはそれらの混合ガスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
  6. 前記ガス化剤の火格子からの吹込み流速が1m/s以上10m/s 以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の高効率乾留炉。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高効率乾留炉のシャフト側面と火格子のガス化剤の調整方法であって、シャフト側面と火格子のガス化剤の吹込み量を個別に調整することで、炭化物と発生ガスの収率を調整することを特徴とするガス化剤の調整方法。
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