JP2004158115A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノイズを低減することができる光ディスクを提供すること。
【解決手段】光ディスク1は、第1基板5、反射層7、ホログラム記録用の記録層9、第2基板11が積層された積層体13の側面(外側面15、内側面17)に側面膜19を配置した構造をしている。再生時にレーザ光Lが光ディスク1に照射された際に生じる散乱光のうち、外側面15や内側面17に到達した成分は側面膜19により吸収される。
【選択図】 図1
【解決手段】光ディスク1は、第1基板5、反射層7、ホログラム記録用の記録層9、第2基板11が積層された積層体13の側面(外側面15、内側面17)に側面膜19を配置した構造をしている。再生時にレーザ光Lが光ディスク1に照射された際に生じる散乱光のうち、外側面15や内側面17に到達した成分は側面膜19により吸収される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ホログラフィによって情報をイメージ情報の形で光ディスクのような光情報記録媒体に高密度で記録する方式が知られている。このような光ディスクは、反射層、第1透明基板、ホログラム記録材料を含む記録層、第2透明基板を積層した構造をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第WO99/44195号パンフレット(第39図、第40図)
【0004】
上記方式におけるイメージ情報の記録は、イメージ情報を担持する情報光と記録用参照光をレーザ光により生成し、これらの光を第2透明基板側から光ディスクに照射し、記録用参照光と反射層で反射された情報光とを記録層において重ね合わせ、これらの光の干渉により生じる干渉縞パターンを記録層に書込むことにより実現される。一方、再生照明光を干渉縞パターンが書込まれた記録層に照射すると、照射された光が干渉縞パターンによって回折されて生成される再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記レーザ光は、記録層と第2透明基板との境界面、空気と第2透明基板との境界面や反射層の表面の僅かな乱れによっても散乱する。このうち一部は光ディスクの外周部(例えば、記録層と空気との界面や、記録層を空気から遮断する壁材)で反射して散乱する。これが情報光等に干渉すると、所望でない干渉縞パターンが形成され、記録層に書込まれる。これが再生時においてノイズの原因となる。また、光ディスクの外周部で反射せずにこの外周部から漏れた光が、光ディスク記録・再生装置のような光ディスクの外部に位置する物体で反射されて、上記装置の光ヘッドに入り込むことも、ノイズの原因となる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、ノイズを低減できる光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光情報記録媒体は、レーザ光を利用して情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体であって、ホログラム記録材料を含む記録層および記録層を保持する基板を構成要素として有する積層体と、積層体の側面に配置され、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち側面に到達した成分を吸収する側面膜と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光情報記録媒体によれば、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち、光情報記録媒体の側面に到達した成分は側面膜により吸収される。したがって、上記成分が側面で反射することによるレーザ光(情報光、記録用参照光、再生照明光、再生光)への干渉を少なくする(又はなくす)ことができる。また、上記成分が側面から光情報記録媒体の外部に漏れるのを少なくする(又はなくす)こともできる。
【0009】
本発明に係る光情報記録媒体において、側面膜は、光情報記録媒体の外部から水分や酸素が側面を介して記録層に入るのを防止する機能を有するようにしてもよい。これによれば、記録層の寿命を長くすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る光ディスク(光情報記録媒体の一例)について説明する。図1はこの実施形態に係る光ディスク1を模式的に表した断面図である。光ディスク1には、ホログラフィによりデジタル情報が記録される。光ディスク1は円盤状をしており、その中心部に光ディスク用ドライブ装置のスピンドルが固定される中心穴3が形成されている。
【0011】
光ディスク1は、第1基板5、反射層7、記録層9および第2基板11で構成される積層体13の側面(外側面15、内側面17)に側面膜19が配置された構造を有する。光ディスク1の表面となる第2基板11の上面が光透過面21として機能する。つまり、光透過面21は、光ディスク1に照射されたレーザ光Lが入射する領域になると共に光ディスク1で生成された再生光が取り出される領域となる。
【0012】
第1基板5および第2基板11の厚みは例えば5〜1200μmである。基板5,11の材料は、例えば、ガラス、水晶、ダイヤモンド、樹脂(ポリカーボネートなど)である。レーザ光Lは第2基板11側から光ディスク1に照射されるので、第2基板11はレーザ光Lの波長に対して透過性のある材料でなければならないが、第1基板5はこれに限定されない。但し、第1基板5および第2基板11の両側からレーザ光Lを光ディスク1に照射する方式の場合、第1基板5もレーザ光Lに対して実質的に透過性を有さなければならない。基板5,11は板状でもよいし、フィルム状や透明コート膜状でもよい。第1基板5の表面には、ピット23が形成されている。ピット23を覆うように第1基板5上には反射層7が配置されている。反射層7はレーザ光Lを反射する性質を有する金属から構成されており、具体的には、アルミニウムや銀などである。反射層7の厚みは、例えば30〜500nmである。
【0013】
反射層7が配置された第1基板5は、ピット23により物理的なプリフォーマットが施されたプリフォーマット領域や、プリフォーマットが施されていないミラー領域を有する。これらの領域について詳細に説明する。図2は反射層7が配置された第1基板5の平面図である。この構造には、その内周から外周にかけて連続する螺旋状のトラック25が形成されている。トラック25は、一周分を一つの単位とし、プリフォーマット領域とミラー領域とが交互に並んで構成されている。プリフォーマット領域では、ピット23を用いて、サーボ情報、セクターマークやトラックのアドレス情報などが光ディスク1の製造時に予め記録される。一方、記録層9のうちミラー領域と対向する部分(図1では記録層9のうちミラー領域の上に位置する部分)に情報がホログラフィにより記録される。なお、第1基板5上にピットを直接配置するのではなく、ピットを有するプリフォーマット層を樹脂などにより第1基板5上に配置してもよい。
【0014】
図1に示すように、記録層9は反射層7を覆うように配置されている。光ディスク1に照射されたレーザ光は光透過面21を介して記録層9に当たる。記録層9の材料は、情報光や参照光となるレーザ光Lが記録層9に所定時間照射されたとき、レーザ光Lの強度に応じて照射箇所の光学特性(屈折率、吸収率、透過度、蛍光発光性、反射率など)が変化するホログラム記録材料であり、感光材を含む。この材料は、例えば、レーザ光Lに感光して重合する光重合性有機物である。具体的には、例えば、デュポン(Dupont)社製のフォトポリマ(Photopolymers)HRF−600(製品名)である。記録層9の厚みは、例えば4〜1000μmである。第2基板11は記録層9上に配置され、第1基板5と共に記録層9を保持する。なお、記録層9を保持する基板は、第1基板5および第2基板11のいずれか一方だけでもよい。
【0015】
側面膜19は、記録層9および光透過面21の側方に位置する側面、詳しくは、光ディスク1の外周に沿った外側面15や中心穴3を規定する内側面17に配置されている。別の表現を用いれば、側面膜19は光ディスク1の外周部の端面と内周部の端面に形成されている。側面膜19の厚みは、例えば、2〜500μmである。側面膜19は、レーザ光Lのうち光ディスク1中で散乱して外側面15や内側面17に到達した成分を吸収する。側面膜19については後でさらに詳細に説明する。以上が光ディスク1の構成である。
【0016】
さて、ホログラフィの一つの態様であるボリュームホログラフィを利用して、光ディスク1に情報を記録再生する方式として、例えば、以下の三方式がある。図3は第1方式、図4は第2方式、図5は第3方式を説明するための図である。図3〜図5は光ディスク1の一部を拡大した図である。図3〜図5において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。上記記録によれば、光ディスク1の記録層9に干渉縞パターンを三次元的に書込むことができ、記録密度を増加させることができる。
【0017】
第1方式はいわゆる反射型と呼ばれる方式である。図3に示すように、光ヘッドのレンズ27で集束されたレーザ光Lには情報光と記録用参照光が含まれ、記録用参照光LRと反射層7で反射された情報光LIとを記録層9内において干渉させ、これにより発生する干渉縞パターン29を記録層9に記録する。記録層9のうち干渉縞パターンが記録された箇所をスポットSという。図6はスポット群の一部の平面図である。光ディスク1を僅かに回転させて、先ほど形成されたスポットS(例えばスポットS1とする)と平面的に一部が重なる新たなスポットS(この場合はスポットS2となる)を記録層9に形成する。これを繰り返すことにより、記録層9に干渉縞パターンを多重記録する。
【0018】
一方、レンズ27を介して再生照明光であるレーザ光Lを干渉縞パターン29に照射すると、この光は干渉縞パターン29により回折され、再生光が生成される。レンズ27を介して光ヘッドで検出された再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0019】
第2方式はいわゆる透過型と呼ばれる方式である。図4に示すように、光ヘッドのレンズ27Aおよびレンズ27Bは第2基板11側に配置されている。レンズ27Aで集束された情報光LIと、レンズ27Bで集束された記録用参照光LRと、を記録層9で交差させ、この部分に形成された干渉縞パターン29を記録層9に書込む。この方式において、反射層7は干渉縞パターン29の形成に利用されない。反射層7は、フォーカシング、トラッキング、アドレッシングなどに利用される。レンズ27Bを介して再生照明光を干渉縞パターン29に照射することにより、再生光が生成される。
【0020】
第3方式もいわゆる透過型と呼ばれる方式である。この方式では、図4のレンズ27Bを設けずに、図5に示すように、第1基板5側に配置された図示しないレンズ系により形成された平行光束が記録層9に照射されるようにしている。レンズ27Aで集束された情報光LIと、上記レンズ系で平行光束された記録用参照光LRと、を記録層9で交差させ、この部分に形成された干渉縞パターン29を記録層9に書込む。そして、上記レンズ系で形成された平行光束の再生照明光を干渉縞パターン29に照射することにより、再生光が生成される。この方式では、反射層7を記録用参照光LRや再生照明光が通過しなければならないので、反射層7は例えば、金やシリコンから構成され、光反射率が約15パーセントにされている。この方式においても、反射層7は干渉縞パターン29の形成に利用されず、フォーカシング、トラッキング、アドレッシングなどに利用される。なお、情報光LIを第1基板5側から照射し、記録用参照光LRや再生照明光を第2基板11側から照射してもよい。また、図4に示す第2方式においても第3方式と同様に、記録用参照光LRや再生照明光を平行光束にすることができる。
【0021】
次に、側面膜19の機能について、図3および図7を用いて説明する。図7は本実施形態に係る光ディスク1を模式的に表した断面図であり、図1と対応している。図7において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。
【0022】
光ディスク1に照射されたレーザ光Lのうち散乱した成分(例えば図3の散乱光L1)は、図7に示すように光ディスク1内で迷光となる。散乱光L1が外側面15や内側面17で反射されると散乱光L1がレーザ光Lの照射箇所に戻る可能性がある。これが情報光や記録用参照光と干渉すると、所望でない干渉縞パターンが形成され、記録層9に書込まれる。これが再生時におけるノイズの原因となる。また、側面15,17に到達した散乱光L1が側面15,17から光ディスク1の外部に漏れて、光ディスク1の外部に位置する物体に反射され、光ヘッドで検出されることによっても、ノイズが発生する。
【0023】
本実施形態では外側面15や内側面17に側面膜19を配置しているので、これらの側面に到達した散乱光L1は反射や透過されずに吸収される。したがって、散乱光L1によるレーザ光(情報光、記録用参照光、再生照明光、再生光)への干渉をなくすことが可能となる。よって、再生時におけるノイズの低減(つまりSN比の向上)を図ることができる。また、側面15,17に到達した散乱光L1が側面15,17から漏れるのをなくすことが可能となるので、この点からもノイズを低減することができる。
【0024】
側面膜19は、例えば、レーザ光Lの波長に対して吸収域を有する色の顔料が入った材料(例えば、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂、ラバー系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂)により構成することができる。ここにおける色は、レーザ光の吸収性がよいという点から、黒色やレーザ光Lの波長に対して補色の関係にある色を例示できる。上記材料として例えばフッ素系樹脂やポリエチレンポリビニルアルコール共重合体を用いると、光ディスク1の外部から水分や酸素が外側面15や内側面17を介して記録層9に入るのを防止できる。この水分浸入防止効果により、記録層9の長寿命化を図ることができる。また、酸素侵入防止効果は記録層9の材料がラジカル重合型(例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸エステル等のアクリル基(CH2=CH−CO−)を持つモノマーの光重合開始剤により開始される重合)の場合に有効となる。詳しくは、ラジカル重合型材料は酸素と反応しやすく、この反応により光感度が低下する。したがって、記録層9をレーザ光Lで露光(つまり、光ディスク1にレーザ光Lを照射)して情報の記録をするのに、酸素は記録層9の露光を阻害する物質となる。上記酸素侵入防止効果により、記録層9の光感度が低下するのを抑制できるので、記録層9の寿命を長くできる。
【0025】
なお、本実施形態では外側面15や内側面17の全面に側面膜19を配置しているが、記録層9および第2基板11の側面15,17にのみ側面膜19を配置した態様でもよい。
【0026】
次に、光ディスク1の製造方法の一例を図8から図10を用いて詳細に説明する。図8から図10はこの製造方法の各工程を示し、図1の断面と対応する模式的断面図である。まず、図8に示すように、ポリカーボネートなどの樹脂を用いて射出成形することにより、光ディスク1の中心穴3となる中心穴3Aを有すると共にピット23付きの第1基板5を作製する。次に、第1基板5のピット23が形成された面に、蒸着やスパッタリングなどによってアルミニウムからなる反射層7を形成する。
【0027】
次に、図9に示すように、光ディスク1の中心穴3となる中心穴3Bを有する第2基板11を用意する。ホログラム記録材料31を第1基板5の所定の半径位置にリング状に塗布する。この上から第2基板11を第1基板5に向けて押し付けて、第1基板5と第2基板11の間の隙間にホログラム記録材料31を薄く伸ばして充填する。
【0028】
これにより、図10に示すようにホログラム記録材料31からなる記録層9が形成され、積層体13が出来上がる。次に、積層体13の外側面15および内側面17を除く表面、つまり、光透過面21およびこれの反対側にある裏面33に、容易に剥離可能な皮膜(例えば、粘着性ポリ塩化ビニルフィルム)を形成する(図示せず)。これにより、次に説明する塗料が光透過面21や裏面33に付着するのを防止する。そして、顔料が入った塗料(エポキシ樹脂、フッ素系樹脂またはポリエチレンポリビニルアルコール共重合体)を外側面15および内側面17に塗布して乾燥させることにより、図1に示す側面膜19を形成する。上記皮膜を、光透過面21および裏面33から剥離することにより、光ディスク1が完成する。
【0029】
なお、本実施形態に係る光ディスクは記憶領域が円盤状であればよく、光ディスクの外形には無関係である。例えば、三角形、四角形や六角形等であり、大きさが名刺程度のカード形状に円盤状の記録領域を有する光ディスクについても本実施形態を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光情報記録媒体によれば、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち、光情報記録媒体の側面に到達した成分が原因となるノイズを低減する(又はなくす)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光ディスクを模式的に表した断面図である。
【図2】図1の光ディスクを構成するものであり、反射層が配置された第1基板の平面図である。
【図3】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第1方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図4】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第2方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図5】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第3方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図6】図1の光ディスクの記録層に形成されたスポット群の一部の平面図である。
【図7】本実施形態に係る光ディスクの側面膜の機能を説明するための光ディスクを模式的に表した断面図である。
【図8】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第1工程図である。
【図9】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第2工程図である。
【図10】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第3工程図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、3,3A,3B・・・中心穴、5・・・第1基板、7・・・反射層、9・・・記録層、11・・・第2基板、13・・・積層体、15・・・外側面、17・・・内側面、19・・・側面膜、21・・・光透過面、23・・・ピット、25・・・トラック、27,27A,27B・・・レンズ、29・・・干渉縞パターン、31・・・ホログラム記録材料、33・・・裏面
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ホログラフィによって情報をイメージ情報の形で光ディスクのような光情報記録媒体に高密度で記録する方式が知られている。このような光ディスクは、反射層、第1透明基板、ホログラム記録材料を含む記録層、第2透明基板を積層した構造をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第WO99/44195号パンフレット(第39図、第40図)
【0004】
上記方式におけるイメージ情報の記録は、イメージ情報を担持する情報光と記録用参照光をレーザ光により生成し、これらの光を第2透明基板側から光ディスクに照射し、記録用参照光と反射層で反射された情報光とを記録層において重ね合わせ、これらの光の干渉により生じる干渉縞パターンを記録層に書込むことにより実現される。一方、再生照明光を干渉縞パターンが書込まれた記録層に照射すると、照射された光が干渉縞パターンによって回折されて生成される再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記レーザ光は、記録層と第2透明基板との境界面、空気と第2透明基板との境界面や反射層の表面の僅かな乱れによっても散乱する。このうち一部は光ディスクの外周部(例えば、記録層と空気との界面や、記録層を空気から遮断する壁材)で反射して散乱する。これが情報光等に干渉すると、所望でない干渉縞パターンが形成され、記録層に書込まれる。これが再生時においてノイズの原因となる。また、光ディスクの外周部で反射せずにこの外周部から漏れた光が、光ディスク記録・再生装置のような光ディスクの外部に位置する物体で反射されて、上記装置の光ヘッドに入り込むことも、ノイズの原因となる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、ノイズを低減できる光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光情報記録媒体は、レーザ光を利用して情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体であって、ホログラム記録材料を含む記録層および記録層を保持する基板を構成要素として有する積層体と、積層体の側面に配置され、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち側面に到達した成分を吸収する側面膜と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光情報記録媒体によれば、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち、光情報記録媒体の側面に到達した成分は側面膜により吸収される。したがって、上記成分が側面で反射することによるレーザ光(情報光、記録用参照光、再生照明光、再生光)への干渉を少なくする(又はなくす)ことができる。また、上記成分が側面から光情報記録媒体の外部に漏れるのを少なくする(又はなくす)こともできる。
【0009】
本発明に係る光情報記録媒体において、側面膜は、光情報記録媒体の外部から水分や酸素が側面を介して記録層に入るのを防止する機能を有するようにしてもよい。これによれば、記録層の寿命を長くすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る光ディスク(光情報記録媒体の一例)について説明する。図1はこの実施形態に係る光ディスク1を模式的に表した断面図である。光ディスク1には、ホログラフィによりデジタル情報が記録される。光ディスク1は円盤状をしており、その中心部に光ディスク用ドライブ装置のスピンドルが固定される中心穴3が形成されている。
【0011】
光ディスク1は、第1基板5、反射層7、記録層9および第2基板11で構成される積層体13の側面(外側面15、内側面17)に側面膜19が配置された構造を有する。光ディスク1の表面となる第2基板11の上面が光透過面21として機能する。つまり、光透過面21は、光ディスク1に照射されたレーザ光Lが入射する領域になると共に光ディスク1で生成された再生光が取り出される領域となる。
【0012】
第1基板5および第2基板11の厚みは例えば5〜1200μmである。基板5,11の材料は、例えば、ガラス、水晶、ダイヤモンド、樹脂(ポリカーボネートなど)である。レーザ光Lは第2基板11側から光ディスク1に照射されるので、第2基板11はレーザ光Lの波長に対して透過性のある材料でなければならないが、第1基板5はこれに限定されない。但し、第1基板5および第2基板11の両側からレーザ光Lを光ディスク1に照射する方式の場合、第1基板5もレーザ光Lに対して実質的に透過性を有さなければならない。基板5,11は板状でもよいし、フィルム状や透明コート膜状でもよい。第1基板5の表面には、ピット23が形成されている。ピット23を覆うように第1基板5上には反射層7が配置されている。反射層7はレーザ光Lを反射する性質を有する金属から構成されており、具体的には、アルミニウムや銀などである。反射層7の厚みは、例えば30〜500nmである。
【0013】
反射層7が配置された第1基板5は、ピット23により物理的なプリフォーマットが施されたプリフォーマット領域や、プリフォーマットが施されていないミラー領域を有する。これらの領域について詳細に説明する。図2は反射層7が配置された第1基板5の平面図である。この構造には、その内周から外周にかけて連続する螺旋状のトラック25が形成されている。トラック25は、一周分を一つの単位とし、プリフォーマット領域とミラー領域とが交互に並んで構成されている。プリフォーマット領域では、ピット23を用いて、サーボ情報、セクターマークやトラックのアドレス情報などが光ディスク1の製造時に予め記録される。一方、記録層9のうちミラー領域と対向する部分(図1では記録層9のうちミラー領域の上に位置する部分)に情報がホログラフィにより記録される。なお、第1基板5上にピットを直接配置するのではなく、ピットを有するプリフォーマット層を樹脂などにより第1基板5上に配置してもよい。
【0014】
図1に示すように、記録層9は反射層7を覆うように配置されている。光ディスク1に照射されたレーザ光は光透過面21を介して記録層9に当たる。記録層9の材料は、情報光や参照光となるレーザ光Lが記録層9に所定時間照射されたとき、レーザ光Lの強度に応じて照射箇所の光学特性(屈折率、吸収率、透過度、蛍光発光性、反射率など)が変化するホログラム記録材料であり、感光材を含む。この材料は、例えば、レーザ光Lに感光して重合する光重合性有機物である。具体的には、例えば、デュポン(Dupont)社製のフォトポリマ(Photopolymers)HRF−600(製品名)である。記録層9の厚みは、例えば4〜1000μmである。第2基板11は記録層9上に配置され、第1基板5と共に記録層9を保持する。なお、記録層9を保持する基板は、第1基板5および第2基板11のいずれか一方だけでもよい。
【0015】
側面膜19は、記録層9および光透過面21の側方に位置する側面、詳しくは、光ディスク1の外周に沿った外側面15や中心穴3を規定する内側面17に配置されている。別の表現を用いれば、側面膜19は光ディスク1の外周部の端面と内周部の端面に形成されている。側面膜19の厚みは、例えば、2〜500μmである。側面膜19は、レーザ光Lのうち光ディスク1中で散乱して外側面15や内側面17に到達した成分を吸収する。側面膜19については後でさらに詳細に説明する。以上が光ディスク1の構成である。
【0016】
さて、ホログラフィの一つの態様であるボリュームホログラフィを利用して、光ディスク1に情報を記録再生する方式として、例えば、以下の三方式がある。図3は第1方式、図4は第2方式、図5は第3方式を説明するための図である。図3〜図5は光ディスク1の一部を拡大した図である。図3〜図5において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。上記記録によれば、光ディスク1の記録層9に干渉縞パターンを三次元的に書込むことができ、記録密度を増加させることができる。
【0017】
第1方式はいわゆる反射型と呼ばれる方式である。図3に示すように、光ヘッドのレンズ27で集束されたレーザ光Lには情報光と記録用参照光が含まれ、記録用参照光LRと反射層7で反射された情報光LIとを記録層9内において干渉させ、これにより発生する干渉縞パターン29を記録層9に記録する。記録層9のうち干渉縞パターンが記録された箇所をスポットSという。図6はスポット群の一部の平面図である。光ディスク1を僅かに回転させて、先ほど形成されたスポットS(例えばスポットS1とする)と平面的に一部が重なる新たなスポットS(この場合はスポットS2となる)を記録層9に形成する。これを繰り返すことにより、記録層9に干渉縞パターンを多重記録する。
【0018】
一方、レンズ27を介して再生照明光であるレーザ光Lを干渉縞パターン29に照射すると、この光は干渉縞パターン29により回折され、再生光が生成される。レンズ27を介して光ヘッドで検出された再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0019】
第2方式はいわゆる透過型と呼ばれる方式である。図4に示すように、光ヘッドのレンズ27Aおよびレンズ27Bは第2基板11側に配置されている。レンズ27Aで集束された情報光LIと、レンズ27Bで集束された記録用参照光LRと、を記録層9で交差させ、この部分に形成された干渉縞パターン29を記録層9に書込む。この方式において、反射層7は干渉縞パターン29の形成に利用されない。反射層7は、フォーカシング、トラッキング、アドレッシングなどに利用される。レンズ27Bを介して再生照明光を干渉縞パターン29に照射することにより、再生光が生成される。
【0020】
第3方式もいわゆる透過型と呼ばれる方式である。この方式では、図4のレンズ27Bを設けずに、図5に示すように、第1基板5側に配置された図示しないレンズ系により形成された平行光束が記録層9に照射されるようにしている。レンズ27Aで集束された情報光LIと、上記レンズ系で平行光束された記録用参照光LRと、を記録層9で交差させ、この部分に形成された干渉縞パターン29を記録層9に書込む。そして、上記レンズ系で形成された平行光束の再生照明光を干渉縞パターン29に照射することにより、再生光が生成される。この方式では、反射層7を記録用参照光LRや再生照明光が通過しなければならないので、反射層7は例えば、金やシリコンから構成され、光反射率が約15パーセントにされている。この方式においても、反射層7は干渉縞パターン29の形成に利用されず、フォーカシング、トラッキング、アドレッシングなどに利用される。なお、情報光LIを第1基板5側から照射し、記録用参照光LRや再生照明光を第2基板11側から照射してもよい。また、図4に示す第2方式においても第3方式と同様に、記録用参照光LRや再生照明光を平行光束にすることができる。
【0021】
次に、側面膜19の機能について、図3および図7を用いて説明する。図7は本実施形態に係る光ディスク1を模式的に表した断面図であり、図1と対応している。図7において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。
【0022】
光ディスク1に照射されたレーザ光Lのうち散乱した成分(例えば図3の散乱光L1)は、図7に示すように光ディスク1内で迷光となる。散乱光L1が外側面15や内側面17で反射されると散乱光L1がレーザ光Lの照射箇所に戻る可能性がある。これが情報光や記録用参照光と干渉すると、所望でない干渉縞パターンが形成され、記録層9に書込まれる。これが再生時におけるノイズの原因となる。また、側面15,17に到達した散乱光L1が側面15,17から光ディスク1の外部に漏れて、光ディスク1の外部に位置する物体に反射され、光ヘッドで検出されることによっても、ノイズが発生する。
【0023】
本実施形態では外側面15や内側面17に側面膜19を配置しているので、これらの側面に到達した散乱光L1は反射や透過されずに吸収される。したがって、散乱光L1によるレーザ光(情報光、記録用参照光、再生照明光、再生光)への干渉をなくすことが可能となる。よって、再生時におけるノイズの低減(つまりSN比の向上)を図ることができる。また、側面15,17に到達した散乱光L1が側面15,17から漏れるのをなくすことが可能となるので、この点からもノイズを低減することができる。
【0024】
側面膜19は、例えば、レーザ光Lの波長に対して吸収域を有する色の顔料が入った材料(例えば、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂、ラバー系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂)により構成することができる。ここにおける色は、レーザ光の吸収性がよいという点から、黒色やレーザ光Lの波長に対して補色の関係にある色を例示できる。上記材料として例えばフッ素系樹脂やポリエチレンポリビニルアルコール共重合体を用いると、光ディスク1の外部から水分や酸素が外側面15や内側面17を介して記録層9に入るのを防止できる。この水分浸入防止効果により、記録層9の長寿命化を図ることができる。また、酸素侵入防止効果は記録層9の材料がラジカル重合型(例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸エステル等のアクリル基(CH2=CH−CO−)を持つモノマーの光重合開始剤により開始される重合)の場合に有効となる。詳しくは、ラジカル重合型材料は酸素と反応しやすく、この反応により光感度が低下する。したがって、記録層9をレーザ光Lで露光(つまり、光ディスク1にレーザ光Lを照射)して情報の記録をするのに、酸素は記録層9の露光を阻害する物質となる。上記酸素侵入防止効果により、記録層9の光感度が低下するのを抑制できるので、記録層9の寿命を長くできる。
【0025】
なお、本実施形態では外側面15や内側面17の全面に側面膜19を配置しているが、記録層9および第2基板11の側面15,17にのみ側面膜19を配置した態様でもよい。
【0026】
次に、光ディスク1の製造方法の一例を図8から図10を用いて詳細に説明する。図8から図10はこの製造方法の各工程を示し、図1の断面と対応する模式的断面図である。まず、図8に示すように、ポリカーボネートなどの樹脂を用いて射出成形することにより、光ディスク1の中心穴3となる中心穴3Aを有すると共にピット23付きの第1基板5を作製する。次に、第1基板5のピット23が形成された面に、蒸着やスパッタリングなどによってアルミニウムからなる反射層7を形成する。
【0027】
次に、図9に示すように、光ディスク1の中心穴3となる中心穴3Bを有する第2基板11を用意する。ホログラム記録材料31を第1基板5の所定の半径位置にリング状に塗布する。この上から第2基板11を第1基板5に向けて押し付けて、第1基板5と第2基板11の間の隙間にホログラム記録材料31を薄く伸ばして充填する。
【0028】
これにより、図10に示すようにホログラム記録材料31からなる記録層9が形成され、積層体13が出来上がる。次に、積層体13の外側面15および内側面17を除く表面、つまり、光透過面21およびこれの反対側にある裏面33に、容易に剥離可能な皮膜(例えば、粘着性ポリ塩化ビニルフィルム)を形成する(図示せず)。これにより、次に説明する塗料が光透過面21や裏面33に付着するのを防止する。そして、顔料が入った塗料(エポキシ樹脂、フッ素系樹脂またはポリエチレンポリビニルアルコール共重合体)を外側面15および内側面17に塗布して乾燥させることにより、図1に示す側面膜19を形成する。上記皮膜を、光透過面21および裏面33から剥離することにより、光ディスク1が完成する。
【0029】
なお、本実施形態に係る光ディスクは記憶領域が円盤状であればよく、光ディスクの外形には無関係である。例えば、三角形、四角形や六角形等であり、大きさが名刺程度のカード形状に円盤状の記録領域を有する光ディスクについても本実施形態を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光情報記録媒体によれば、光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち、光情報記録媒体の側面に到達した成分が原因となるノイズを低減する(又はなくす)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光ディスクを模式的に表した断面図である。
【図2】図1の光ディスクを構成するものであり、反射層が配置された第1基板の平面図である。
【図3】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第1方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図4】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第2方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図5】本実施形態に係る光ディスクを記録再生する第3方式を説明するものであり、図1の光ディスクの一部分を拡大した模式的断面図である。
【図6】図1の光ディスクの記録層に形成されたスポット群の一部の平面図である。
【図7】本実施形態に係る光ディスクの側面膜の機能を説明するための光ディスクを模式的に表した断面図である。
【図8】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第1工程図である。
【図9】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第2工程図である。
【図10】本実施形態に係る光ディスクを製造する方法の一例の第3工程図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、3,3A,3B・・・中心穴、5・・・第1基板、7・・・反射層、9・・・記録層、11・・・第2基板、13・・・積層体、15・・・外側面、17・・・内側面、19・・・側面膜、21・・・光透過面、23・・・ピット、25・・・トラック、27,27A,27B・・・レンズ、29・・・干渉縞パターン、31・・・ホログラム記録材料、33・・・裏面
Claims (2)
- レーザ光を利用して情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体であって、
ホログラム記録材料を含む記録層および前記記録層を保持する基板を構成要素として有する積層体と、
前記積層体の側面に配置され、前記光情報記録媒体内で散乱したレーザ光のうち前記側面に到達した成分を吸収する側面膜と、
を備えたことを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記側面膜は、前記光情報記録媒体の外部から水分や酸素が前記側面を介して前記記録層に入るのを防止する機能を有する請求項1記載の光情報記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002322977A JP2004158115A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 光情報記録媒体 |
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JP2002322977A JP2004158115A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 光情報記録媒体 |
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ID=32803009
Family Applications (1)
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JP2002322977A Pending JP2004158115A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 光情報記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004158115A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006093054A1 (ja) * | 2005-03-01 | 2006-09-08 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | ホログラム記録媒体及びホログラム記録再生装置 |
JP2009004036A (ja) * | 2007-06-22 | 2009-01-08 | Konica Minolta Opto Inc | 光ピックアップ装置 |
JP2010500696A (ja) * | 2006-08-11 | 2010-01-07 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | 情報担体及びそのような情報担体を読み取るためのシステム |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322977A patent/JP2004158115A/ja active Pending
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