JP2004157155A - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に段差のある部分、すなわち配向膜の配向規制力が弱い部分やラビング布の毛が乱れた部分では、液晶がラビング方向に配列せず、コントラストが低下する問題があった。
【解決手段】これを解決するためには、液晶が最初に配向膜との界面に接するときにラビング方向に沿わせることが必要であり、液晶が配向膜に接触する際に基板を加熱して液晶分子の運動を容易にする方法、または、液晶蒸気をあらかじめ基板に吸着させる方法を用いて、ラビング方向に沿った界面液晶第一層を形成し、その後バルク液晶を均一に配向させる。
【選択図】 図1
【解決手段】これを解決するためには、液晶が最初に配向膜との界面に接するときにラビング方向に沿わせることが必要であり、液晶が配向膜に接触する際に基板を加熱して液晶分子の運動を容易にする方法、または、液晶蒸気をあらかじめ基板に吸着させる方法を用いて、ラビング方向に沿った界面液晶第一層を形成し、その後バルク液晶を均一に配向させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の液晶注入もしくは滴下による配向膜−液晶界面形成工程に係り、特に、面内に段差のある基板において均一に液晶を配向させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の製造工程では、駆動回路やカラーフィルタを作り込んだ2枚の基板に、液晶を一定の方向に並べる目的で配向膜を形成する。配向膜は製膜しただけでは液晶を一方向に並べる力(配向規制力)はないので、製膜後、ラビングによって極表面を一方向に延伸させる。ラビングはロールに起毛した布を巻きつけたものを500rpm以上の高速で回転させて配向膜の表面に接触させる工程である。これにより配向膜表面はラビングロールの回転方向に液晶を並ばせる力を得る。起毛した布を配向膜の表面に接触させる強さは、起毛した繊維のつぶれ具合で表し、通常は起毛した繊維が立っている状態から0.2〜0.7mmつぶれるところまで布を配向膜に押し付ける。このようにしてラビングされた配向膜を有する2枚の基板は配向膜面を相対した状態で重ね合わされ、その間に液晶を狭持して液晶表示素子となる。
【0003】
液晶を2枚の基板間に狭持する方法はおもに2通りある。
一つは、配向膜面が相対するように配置された2枚の基板の一部に開口部を設け、他を樹脂で囲ったものを製作し、その後、この開口部から2枚の基板の間に液晶を注入する方法である。この方法を、図1を用いて説明する。
図1は従来の液晶注入装置の一部断面平面図である。図1に示すように、真空引きできるチャンバ9内に重ね合わせた2枚の基板(セルと呼ぶ)3を設置し、真空引き用口11から空気を吸引して、チャンバ全体を真空引きしてセル内の空気を引き出した後、モータ12を回転させ、上下駆動機構13によって液晶4を入れた皿7を上昇させて、開口部21に接触させてから、エア導入口10を開けてチャンバ内を大気に徐々に戻すことで毛細管現象と圧力差で液晶4をセル内に満たす方法である。この方法をここでは液晶注入方式と呼ぶ。
もう一つの方法を、図2を用いて説明する。
図2は従来の液晶滴下方式を説明するための基板の断面図である。図2に示すように、一枚の基板1に配向膜17を成膜し、液晶4を堰き止める突起6を表示領域の周囲に作り、ディスペンサ8によって液晶4を必要量滴下して、その後に他方の基板2を重ね合わせる方法でこの方法をここでは液晶滴下方式と呼ぶ。
【0004】
いずれの場合も、液晶はラビングされた配向膜の配向規制力と液晶のもつ自己配列の性質から、理想的にはセル内で均一な方向に並ぶ。しかしながら、液晶表示素子の基板は液晶駆動のための配線やカラーフィルタが作りこまれているために平坦ではなく、大きいところでは0.2〜2μmの段差がある。ラビングにもちいる布の繊維の先端は10〜30μm程度であり、段差の部分では十分にラビングの布が配向膜表面に接しない場合がある。また、押し付けられた繊維が段差によって方向を曲げられることで、ラビングロールの回転方向と布繊維が接触する方向がずれたり、ばらついたりする。これは段差付近での局部的な配向規制力の低下と配向方向の不均一の原因となる。
【0005】
局部的な配向乱れは段差近傍でのラビング不足や布の繊維の乱れが原因なので、1)段差をなくす、2)ラビングの方法の改善により配向膜を面内均一に配向させる、という二つの方法が根本的な解決方法である。
段差をなくす方法としては平坦化膜を用いる方法があるが(例えば、特許文献1参照)、平坦化膜は絶縁物であり、液晶表示素子の電気特性、とくに残像問題などを生じる可能性がある。これを避けるために平坦化膜の上に配線を形成すると、段差をなくすことはできない。つまり、平坦化膜によって段差は縮小できるが完全になくすことはできず、配向乱れを防止するには不十分である。
ラビングの改善については、2回ラビングを行って、配向乱れを軽減する方法がある(特許文献2参照)が、段差があれば配向乱れは生じるのでラビングによる解決には限界がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−264810号公報
【特許文献2】
特開平11−174455号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
局部的に配向規制力が低下したり、配向方向が不均一な部分があったりする基板を用いて液晶表示素子を作ると、局部的に液晶の配列が乱れ、素子全体の特性、とくにコントラストに影響を与える。これは、液晶がシャッターの役割を果たしているためで、液晶の配列の乱れは、シャッターが閉じている状態でも光が微少量通過してしまか、または、シャッターが開いている状態でも光の透過を阻害してしまうことによる。
【0008】
図3は通常黒表示となる状態の液晶が配列乱れにより段差の近傍で光が漏れて白くなってしまう現象の顕微鏡写真図である。図3のように明らかに光が漏れてしまう現象は局部的な液晶配列の乱れが著しく悪い状態であるが、ここまではっきりしていなくても、図4に示すように配向がばらつく。
図4は段差からの距離に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に段差からの距離(μm)を示し、縦軸に配向ばらつきを示す。図の特性線22に示すように、段差近傍では液晶配列方向のばらつきが大きくなっており、これがコントラスト低下の原因となる。
【0009】
本発明の目的は、基板の段差部分での局部的な液晶の配列(配向)の乱れを改善し、高コントラストの液晶表示素子の製造技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、本発明では液晶が配向膜に接触する工程に新しい方法を用い、段差の部分で局部的に、配向膜の配向規制力が弱い場合や、配向膜表面の配向方向が乱れた場合でも、液晶を面内で均一に配列させ、高コントラストの液晶表示素子を得る。
配向膜表面に液晶が接触するときにはいくつかの段階がある。まず、液晶の蒸気が配向膜表面に接する。次にバルク液晶が配向膜表面に流動しながら接する。
流動状態の液晶は流れの方向に並びやすい。このため、配向膜表面とバルク液晶が最初に接するときは配向膜表面の配向規制力の方向と液晶分子の方向は一致しない場合が多い。このときに配向規制力が弱い、または配向方向が他の部分と異なっている配向膜表面に液晶が接すると、ラビング方向と一致しない方向で界面の液晶分子が配向膜に吸着する。全体に液晶が満たされたとき、バルクの液晶は自己配列しようとするが、液晶と配向膜の界面の分子どうしは非常に強い相互作用を持つ(液晶、第2巻、1号、p.36(1998))ため、一度形成した界面は大きいエネルギーを与えないと変化せず、液晶配向の乱れが界面部分に残る。
【0011】
これを解決するためには、液晶が最初に配向膜との界面に接するときにラビング方向に沿わせることが必要である。液晶を加熱すると分子運動がしやすくなるため、液晶を加熱、または基板を加熱した状態では液晶が流動方向に並ぶ力は小さく、配向膜表面と液晶の界面では分子が運動しやすくなる。配向規制力が局部的に弱いところに接触した液晶は流動方向に並ぶ力が弱いので、少しでも配向方向が決まっていればその方向に並ぶ。また、加熱している間は、分子の運動が容易なので、界面では液晶分子が配向膜分子から脱着している。バルク液晶で周囲が満たされたのちに冷却すると、ラビング方向に沿ってバルク液晶が並び、界面の液晶分子も面内で均一な方向にそろって配向膜に吸着する。このとき、配向膜ともっとも相互作用の強い液晶が選択的に配向膜界面に存在すると考えられる。
これにより、配向方向が均一な液晶表示素子を得ることができる。
【0012】
加熱は液晶蒸気の発生を増加する効果もある。バルク液晶が接する前に液晶蒸気が配向膜表面に吸着する。蒸発した液晶分子は周囲の配向膜表面に吸着し、数分子層の液晶層を形成する。蒸発した液晶分子が吸着するとき、単分子では配列する力を持たない液晶分子は配向膜の力に沿ってラビング方向に並ぶ。また、多少ラビング方向と異なる方向に並んでも、配向膜面を液晶が覆って第一層が形成されると液晶の自己配列機能が働き、大部分を占める配向規制力が十分に強い部分の液晶にならって均一な方向に配向する。その上にバルク液晶が接触すると、均一な方向に並んだ第一層の液晶の方向に液晶が配向して、均一な液晶表示素子を得ることができる。
【0013】
加熱の温度は、液晶の等方相温度まであげる必要はなく、室温より20度以上上げれば十分な効果が得られる。
図5は温度を変えたときの液晶の粘度変化を示す特性図であり、横軸に温度(℃)を、縦軸に粘度(cP)を示す。特性線23に示すように、加熱により、粘度が低下していることは分子が運動しやすくなっていることをあらわしている。
一方、加熱によって、配向膜表面分子の運動も大きくなり、ラビングの効果が低下することが懸念される。
図6はラビング処理後、基板を加熱したときのプレチルト角の変化を示す特性図であり、横軸にラビング処理後の加熱温度(℃)を示し、縦軸にプレチルト角(度)を示す。特性線24に示すように、基板を加熱するとプレチルト角が低下し、ラビング処理の効果が減少している。したがって、液晶や基板を加熱する温度は40度〜90度が望ましい。
【0014】
工業的に用いられる液晶材料は混合物である。加熱によって、揮発しやすい成分が蒸発すると、液晶材料の組成が変化し、配向均一性は向上しても電気特性が設計どおりに得られない可能性がある。このため、従来の液晶封入方式、液晶滴下方式では、液晶蒸気がセル外に拡散しないような工夫が必要である。液晶封入方式では、チャンバ全体を加熱しながら、液晶皿は冷却水を流すなどして蒸発を抑えたりする。
また、枚葉式にして液晶封入の開口部を挟み込む形の液晶供給方法を用いたりすることが望ましい。また液晶滴下方式では対向基板をできるだけ近づけた状態で液晶を滴下する、または、あらかじめ揮発しやすい成分を追加しておくことが望ましい。
【0015】
蒸気を積極的に利用し、蒸発による混合した液晶の組成が変化するのを押さえるために、液晶を配向膜表面に接触する工程を二つに分ける方法もある。すなわち、第一の工程では、基板に液晶蒸気を蒸着させ、第二の工程で従来の液晶注入方式または液晶滴下方式で室温においてバルク液晶を配向膜表面に接触させる方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例を用い、図を参照して説明する。
本発明による第1の実施例では、透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃で1分、230℃で3分の順に加熱して製膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に製膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置し、段差付の基板側にシールを塗布してから、配向膜面を内側にして2枚の基板を重ね合わせてセルを作った。2枚の基板のラビング方向は逆平行とした。
【0017】
図7は本発明による液晶注入装置の第1の実施例を示す一部断面平面図である。まず、セル3を図7に示す真空チャンバ9内に設置し、液晶を液晶皿7に入れてセル3の下部に設置した。真空チャンバ9は全体がヒータ14で加熱されるようになっており、あらかじめ、所望の温度まで加熱して定常状態としている。真空チャンバ9を閉めた後、セルと液晶の温度が上昇するのをしばらく待ってから、真空引きし、セル3内の空気を抜いた。一定時間後、液晶が満たされた液晶皿7を上昇させてセル3の開口部21と液晶を接触させた。真空のまま、毛細管現象を利用して液晶をセル内に入れた。その後、チャンバ9内を大気に戻して気圧差を利用して液晶をセル内に入れた。チャンバの温度は室温(25℃)、50℃、70℃、90℃で実験を行った。
【0018】
このようにして得られた液晶セルの配向均一性について検討した。まず、液晶のねじれ角ばらつきを測定した。基板の重ね合わせは手であわせており、ねじれ角の絶対値はセル毎に異なるが、配向が均一であれば、面内のねじれ角のばらつきは小さくなり、配向が不均一な部分があると、ねじれ角がばらつく。そこで、面内25点でねじれ角を測定し、その標準偏差を配向ばらつきと定義して配向均一性を評価することとした。結果を図8に示す。
図8はチャンバ温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸にチャンバ温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示した。図の特性線25ように、チャンバ温度が25℃ではばらつきが大きいが、50℃、70℃、90℃ではばらつきが小さく配向均一性が向上した。また、このときに段差近傍で配向乱れによる光漏れがないか顕微鏡観察し、光漏れ発生量を算出した。この結果を図9に示す。
図9はチャンバ温度に対する光漏れ発生量の特性図であり、横軸にチャンバ温度(℃)を、縦軸に光漏れ発生量を示す。図9に示すように25℃では多く発生していた光漏れが50℃では激減し、70℃、90℃では発生がなかった。この液晶の等方相温度は80℃だが、等方相温度まで加熱しなくても十分な効果が得られることがわかった。
【0019】
次に、第2の実施例について説明する。
工業的に用いられる液晶材料は混合物である。加熱によって、揮発しやすい成分が蒸発すると、液晶材料の組成が変化し、配向均一性は向上しても電気特性が設計どおりに得られない可能性がある。このため、従来の液晶封入方式、液晶滴下方式では、液晶蒸気がセル外に拡散しないような工夫が必要である。
【0020】
図10は本発明による液晶注入装置の第2の実施例を示す一部断面平面図である。図に示すように、セル3を真空チャンバ9内に設置し、液晶4を液晶皿7に入れてセル3の下部に設置した。真空チャンバ9は全体がヒータ14で加熱されるようになっており、あらかじめ、所望の温度まで加熱して定常状態としている。真空チャンバ9を閉めた後、セル3と液晶4の温度が上昇するのをしばらく待ってから、真空引きし、セル3内の空気を抜いた。一方、チャンバ9全体を加熱しながら、液晶皿7の下部にパイプ15を配置し、このパイプ15に冷水をポンプ(図示せず)から送り込み、液晶4の蒸発を抑えている。一定時間後、液晶が満たされた液晶皿7を上昇させてセル3の開口部21と液晶を接触させた。真空のまま、毛細管現象を利用して液晶をセル内に入れた。その後、チャンバ9内を大気に戻して気圧差を利用して液晶をセル内に入れた。
【0021】
液晶封入方式では、たとえば、図11に示すように構成する。
図11は本発明による液晶注入装置の第3の実施例を示す一部断面図であり、図11(a)は一部断面側面図、図11(b)は一部断面平面図である。図11では、各セル3毎にヒータを設けてセル3の温度を上げている。チャンバ内の温度を上げることによって液晶4が蒸発することを防ぐために、液晶皿7の開口部をセル3の開口部21にあわせて小さくしている。この様に、第3の実施例では、枚葉式にして液晶封入の開口部を挟み込む形の液晶供給方法を用いて、液晶4が蒸発し難いようにしている。
また液晶滴下方式では対向基板をできるだけ近づけた状態で液晶を滴下する、または、あらかじめ揮発しやすい成分を追加しておくことが望ましい。
【0022】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃で1分、230℃で3分の順に加熱して成膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に成膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置した後、段差付の基板と平坦な基板をあらかじめ所定の温度に加熱したホットプレート上に配向膜面側を上にして載せて加熱する。ホットプレートの温度は50、70℃である。基板がホットプレート温度加熱されるまで30秒間保持した後に、段差付の基板に液晶を滴下し、さらに1分間保持した。その後、平坦な基板を重ね合わせて周囲をテープで止めて液晶セルを作った。第1の実施例と同様にねじれ角ばらつきを測定したところ、図12に示すように加熱により、配向均一性が向上した。
図12は基板の加熱温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に基板の加熱温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示した。特性線26に示すように、配向ばらつきは室温から80℃の間で殆ど変化しない。
【0023】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃1分、230℃3分の順に加熱して成膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に製膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置した後、2枚の基板の配向膜面に液晶を吸着した。吸着は、以下の方法で行った。
処理の概略図を図13に示す。
図13は基板の成膜面に液晶を吸着する方法を説明するための模式図である。
図13(a)では、基板1上に配向膜17を成膜したものを、成膜面を下にして配置し、液晶4を1ml入れた30mlのビーカ16を対向して配置する。この状態で、所定の温度に加熱したホットプレート14上にビーカを載せ10分間保持すると、配向膜面に液晶分子が吸着する。ホットプレート14は50℃と80℃に加熱した。この後、図13(b)に示すように、室温で段差付の基板上にディスペンサ8から液晶4を滴下し、平坦な対向基板2を重ね合わせて、図13(c)に示す液晶セルを作った。第1の実施例と同様にねじれ角ばらつきを測定したところ、図14に示す特性を得た。
図14は蒸気発生温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に蒸気発生温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示す。特性線27に示すように、基板の配向膜上に液晶の蒸気を吸着してから液晶を接触させると、ばらつきが小さくなり、配向均一性が向上することが分かる。また、顕微鏡観察をすると、蒸気を吸着した部分では光漏れの発生量が抑えられたが、蒸気を吸着しなかった部分には光漏れの発生が確認された。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、配向膜と液晶の界面の液晶分子をラビングの方向にならって配列できるので、基板の段差部分での局部的な液晶の配列(配向)の乱れを改善し、配向の均一性向上と高コントラストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶注入装置の一部断面平面図である。
【図2】従来の液晶滴下方式を説明するための基板の断面図である。
【図3】通常黒表示となる状態の液晶が配列乱れにより段差の近傍で光が漏れて白くなってしまう現象の顕微鏡写真図である。
【図4】段差からの距離に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図5】温度を変えたときの液晶の粘度変化を示す特性図である。
【図6】ラビング処理後、基板を加熱したときのプレチルト角の変化を示す特性図である。
【図7】本発明による液晶注入装置の第1の実施例を示す一部断面平面図である。
【図8】チャンバ温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図9】チャンバ温度に対する光漏れ発生量の特性図である。
【図10】本発明による液晶注入装置の第2の実施例を示す一部断面平面図である。
【図11】本発明による液晶注入装置の第3の実施例を示す一部断面図である。
【図12】基板の加熱温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図13】基板の成膜面に液晶を吸着する方法を説明するための模式図である。
【図14】蒸気発生温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【符号の説明】
1…基板、2…対向基板、3…セル、4…液晶、6…液晶をせき止める突起、7…液晶皿、8…ディスペンサ、9…真空チャンバ、10…エア導入口、11…真空引き用口、12…モータ、13…上下駆動機構、14…ヒータ、15…パイプ、16…ビーカ。
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の液晶注入もしくは滴下による配向膜−液晶界面形成工程に係り、特に、面内に段差のある基板において均一に液晶を配向させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の製造工程では、駆動回路やカラーフィルタを作り込んだ2枚の基板に、液晶を一定の方向に並べる目的で配向膜を形成する。配向膜は製膜しただけでは液晶を一方向に並べる力(配向規制力)はないので、製膜後、ラビングによって極表面を一方向に延伸させる。ラビングはロールに起毛した布を巻きつけたものを500rpm以上の高速で回転させて配向膜の表面に接触させる工程である。これにより配向膜表面はラビングロールの回転方向に液晶を並ばせる力を得る。起毛した布を配向膜の表面に接触させる強さは、起毛した繊維のつぶれ具合で表し、通常は起毛した繊維が立っている状態から0.2〜0.7mmつぶれるところまで布を配向膜に押し付ける。このようにしてラビングされた配向膜を有する2枚の基板は配向膜面を相対した状態で重ね合わされ、その間に液晶を狭持して液晶表示素子となる。
【0003】
液晶を2枚の基板間に狭持する方法はおもに2通りある。
一つは、配向膜面が相対するように配置された2枚の基板の一部に開口部を設け、他を樹脂で囲ったものを製作し、その後、この開口部から2枚の基板の間に液晶を注入する方法である。この方法を、図1を用いて説明する。
図1は従来の液晶注入装置の一部断面平面図である。図1に示すように、真空引きできるチャンバ9内に重ね合わせた2枚の基板(セルと呼ぶ)3を設置し、真空引き用口11から空気を吸引して、チャンバ全体を真空引きしてセル内の空気を引き出した後、モータ12を回転させ、上下駆動機構13によって液晶4を入れた皿7を上昇させて、開口部21に接触させてから、エア導入口10を開けてチャンバ内を大気に徐々に戻すことで毛細管現象と圧力差で液晶4をセル内に満たす方法である。この方法をここでは液晶注入方式と呼ぶ。
もう一つの方法を、図2を用いて説明する。
図2は従来の液晶滴下方式を説明するための基板の断面図である。図2に示すように、一枚の基板1に配向膜17を成膜し、液晶4を堰き止める突起6を表示領域の周囲に作り、ディスペンサ8によって液晶4を必要量滴下して、その後に他方の基板2を重ね合わせる方法でこの方法をここでは液晶滴下方式と呼ぶ。
【0004】
いずれの場合も、液晶はラビングされた配向膜の配向規制力と液晶のもつ自己配列の性質から、理想的にはセル内で均一な方向に並ぶ。しかしながら、液晶表示素子の基板は液晶駆動のための配線やカラーフィルタが作りこまれているために平坦ではなく、大きいところでは0.2〜2μmの段差がある。ラビングにもちいる布の繊維の先端は10〜30μm程度であり、段差の部分では十分にラビングの布が配向膜表面に接しない場合がある。また、押し付けられた繊維が段差によって方向を曲げられることで、ラビングロールの回転方向と布繊維が接触する方向がずれたり、ばらついたりする。これは段差付近での局部的な配向規制力の低下と配向方向の不均一の原因となる。
【0005】
局部的な配向乱れは段差近傍でのラビング不足や布の繊維の乱れが原因なので、1)段差をなくす、2)ラビングの方法の改善により配向膜を面内均一に配向させる、という二つの方法が根本的な解決方法である。
段差をなくす方法としては平坦化膜を用いる方法があるが(例えば、特許文献1参照)、平坦化膜は絶縁物であり、液晶表示素子の電気特性、とくに残像問題などを生じる可能性がある。これを避けるために平坦化膜の上に配線を形成すると、段差をなくすことはできない。つまり、平坦化膜によって段差は縮小できるが完全になくすことはできず、配向乱れを防止するには不十分である。
ラビングの改善については、2回ラビングを行って、配向乱れを軽減する方法がある(特許文献2参照)が、段差があれば配向乱れは生じるのでラビングによる解決には限界がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−264810号公報
【特許文献2】
特開平11−174455号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
局部的に配向規制力が低下したり、配向方向が不均一な部分があったりする基板を用いて液晶表示素子を作ると、局部的に液晶の配列が乱れ、素子全体の特性、とくにコントラストに影響を与える。これは、液晶がシャッターの役割を果たしているためで、液晶の配列の乱れは、シャッターが閉じている状態でも光が微少量通過してしまか、または、シャッターが開いている状態でも光の透過を阻害してしまうことによる。
【0008】
図3は通常黒表示となる状態の液晶が配列乱れにより段差の近傍で光が漏れて白くなってしまう現象の顕微鏡写真図である。図3のように明らかに光が漏れてしまう現象は局部的な液晶配列の乱れが著しく悪い状態であるが、ここまではっきりしていなくても、図4に示すように配向がばらつく。
図4は段差からの距離に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に段差からの距離(μm)を示し、縦軸に配向ばらつきを示す。図の特性線22に示すように、段差近傍では液晶配列方向のばらつきが大きくなっており、これがコントラスト低下の原因となる。
【0009】
本発明の目的は、基板の段差部分での局部的な液晶の配列(配向)の乱れを改善し、高コントラストの液晶表示素子の製造技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、本発明では液晶が配向膜に接触する工程に新しい方法を用い、段差の部分で局部的に、配向膜の配向規制力が弱い場合や、配向膜表面の配向方向が乱れた場合でも、液晶を面内で均一に配列させ、高コントラストの液晶表示素子を得る。
配向膜表面に液晶が接触するときにはいくつかの段階がある。まず、液晶の蒸気が配向膜表面に接する。次にバルク液晶が配向膜表面に流動しながら接する。
流動状態の液晶は流れの方向に並びやすい。このため、配向膜表面とバルク液晶が最初に接するときは配向膜表面の配向規制力の方向と液晶分子の方向は一致しない場合が多い。このときに配向規制力が弱い、または配向方向が他の部分と異なっている配向膜表面に液晶が接すると、ラビング方向と一致しない方向で界面の液晶分子が配向膜に吸着する。全体に液晶が満たされたとき、バルクの液晶は自己配列しようとするが、液晶と配向膜の界面の分子どうしは非常に強い相互作用を持つ(液晶、第2巻、1号、p.36(1998))ため、一度形成した界面は大きいエネルギーを与えないと変化せず、液晶配向の乱れが界面部分に残る。
【0011】
これを解決するためには、液晶が最初に配向膜との界面に接するときにラビング方向に沿わせることが必要である。液晶を加熱すると分子運動がしやすくなるため、液晶を加熱、または基板を加熱した状態では液晶が流動方向に並ぶ力は小さく、配向膜表面と液晶の界面では分子が運動しやすくなる。配向規制力が局部的に弱いところに接触した液晶は流動方向に並ぶ力が弱いので、少しでも配向方向が決まっていればその方向に並ぶ。また、加熱している間は、分子の運動が容易なので、界面では液晶分子が配向膜分子から脱着している。バルク液晶で周囲が満たされたのちに冷却すると、ラビング方向に沿ってバルク液晶が並び、界面の液晶分子も面内で均一な方向にそろって配向膜に吸着する。このとき、配向膜ともっとも相互作用の強い液晶が選択的に配向膜界面に存在すると考えられる。
これにより、配向方向が均一な液晶表示素子を得ることができる。
【0012】
加熱は液晶蒸気の発生を増加する効果もある。バルク液晶が接する前に液晶蒸気が配向膜表面に吸着する。蒸発した液晶分子は周囲の配向膜表面に吸着し、数分子層の液晶層を形成する。蒸発した液晶分子が吸着するとき、単分子では配列する力を持たない液晶分子は配向膜の力に沿ってラビング方向に並ぶ。また、多少ラビング方向と異なる方向に並んでも、配向膜面を液晶が覆って第一層が形成されると液晶の自己配列機能が働き、大部分を占める配向規制力が十分に強い部分の液晶にならって均一な方向に配向する。その上にバルク液晶が接触すると、均一な方向に並んだ第一層の液晶の方向に液晶が配向して、均一な液晶表示素子を得ることができる。
【0013】
加熱の温度は、液晶の等方相温度まであげる必要はなく、室温より20度以上上げれば十分な効果が得られる。
図5は温度を変えたときの液晶の粘度変化を示す特性図であり、横軸に温度(℃)を、縦軸に粘度(cP)を示す。特性線23に示すように、加熱により、粘度が低下していることは分子が運動しやすくなっていることをあらわしている。
一方、加熱によって、配向膜表面分子の運動も大きくなり、ラビングの効果が低下することが懸念される。
図6はラビング処理後、基板を加熱したときのプレチルト角の変化を示す特性図であり、横軸にラビング処理後の加熱温度(℃)を示し、縦軸にプレチルト角(度)を示す。特性線24に示すように、基板を加熱するとプレチルト角が低下し、ラビング処理の効果が減少している。したがって、液晶や基板を加熱する温度は40度〜90度が望ましい。
【0014】
工業的に用いられる液晶材料は混合物である。加熱によって、揮発しやすい成分が蒸発すると、液晶材料の組成が変化し、配向均一性は向上しても電気特性が設計どおりに得られない可能性がある。このため、従来の液晶封入方式、液晶滴下方式では、液晶蒸気がセル外に拡散しないような工夫が必要である。液晶封入方式では、チャンバ全体を加熱しながら、液晶皿は冷却水を流すなどして蒸発を抑えたりする。
また、枚葉式にして液晶封入の開口部を挟み込む形の液晶供給方法を用いたりすることが望ましい。また液晶滴下方式では対向基板をできるだけ近づけた状態で液晶を滴下する、または、あらかじめ揮発しやすい成分を追加しておくことが望ましい。
【0015】
蒸気を積極的に利用し、蒸発による混合した液晶の組成が変化するのを押さえるために、液晶を配向膜表面に接触する工程を二つに分ける方法もある。すなわち、第一の工程では、基板に液晶蒸気を蒸着させ、第二の工程で従来の液晶注入方式または液晶滴下方式で室温においてバルク液晶を配向膜表面に接触させる方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例を用い、図を参照して説明する。
本発明による第1の実施例では、透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃で1分、230℃で3分の順に加熱して製膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に製膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置し、段差付の基板側にシールを塗布してから、配向膜面を内側にして2枚の基板を重ね合わせてセルを作った。2枚の基板のラビング方向は逆平行とした。
【0017】
図7は本発明による液晶注入装置の第1の実施例を示す一部断面平面図である。まず、セル3を図7に示す真空チャンバ9内に設置し、液晶を液晶皿7に入れてセル3の下部に設置した。真空チャンバ9は全体がヒータ14で加熱されるようになっており、あらかじめ、所望の温度まで加熱して定常状態としている。真空チャンバ9を閉めた後、セルと液晶の温度が上昇するのをしばらく待ってから、真空引きし、セル3内の空気を抜いた。一定時間後、液晶が満たされた液晶皿7を上昇させてセル3の開口部21と液晶を接触させた。真空のまま、毛細管現象を利用して液晶をセル内に入れた。その後、チャンバ9内を大気に戻して気圧差を利用して液晶をセル内に入れた。チャンバの温度は室温(25℃)、50℃、70℃、90℃で実験を行った。
【0018】
このようにして得られた液晶セルの配向均一性について検討した。まず、液晶のねじれ角ばらつきを測定した。基板の重ね合わせは手であわせており、ねじれ角の絶対値はセル毎に異なるが、配向が均一であれば、面内のねじれ角のばらつきは小さくなり、配向が不均一な部分があると、ねじれ角がばらつく。そこで、面内25点でねじれ角を測定し、その標準偏差を配向ばらつきと定義して配向均一性を評価することとした。結果を図8に示す。
図8はチャンバ温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸にチャンバ温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示した。図の特性線25ように、チャンバ温度が25℃ではばらつきが大きいが、50℃、70℃、90℃ではばらつきが小さく配向均一性が向上した。また、このときに段差近傍で配向乱れによる光漏れがないか顕微鏡観察し、光漏れ発生量を算出した。この結果を図9に示す。
図9はチャンバ温度に対する光漏れ発生量の特性図であり、横軸にチャンバ温度(℃)を、縦軸に光漏れ発生量を示す。図9に示すように25℃では多く発生していた光漏れが50℃では激減し、70℃、90℃では発生がなかった。この液晶の等方相温度は80℃だが、等方相温度まで加熱しなくても十分な効果が得られることがわかった。
【0019】
次に、第2の実施例について説明する。
工業的に用いられる液晶材料は混合物である。加熱によって、揮発しやすい成分が蒸発すると、液晶材料の組成が変化し、配向均一性は向上しても電気特性が設計どおりに得られない可能性がある。このため、従来の液晶封入方式、液晶滴下方式では、液晶蒸気がセル外に拡散しないような工夫が必要である。
【0020】
図10は本発明による液晶注入装置の第2の実施例を示す一部断面平面図である。図に示すように、セル3を真空チャンバ9内に設置し、液晶4を液晶皿7に入れてセル3の下部に設置した。真空チャンバ9は全体がヒータ14で加熱されるようになっており、あらかじめ、所望の温度まで加熱して定常状態としている。真空チャンバ9を閉めた後、セル3と液晶4の温度が上昇するのをしばらく待ってから、真空引きし、セル3内の空気を抜いた。一方、チャンバ9全体を加熱しながら、液晶皿7の下部にパイプ15を配置し、このパイプ15に冷水をポンプ(図示せず)から送り込み、液晶4の蒸発を抑えている。一定時間後、液晶が満たされた液晶皿7を上昇させてセル3の開口部21と液晶を接触させた。真空のまま、毛細管現象を利用して液晶をセル内に入れた。その後、チャンバ9内を大気に戻して気圧差を利用して液晶をセル内に入れた。
【0021】
液晶封入方式では、たとえば、図11に示すように構成する。
図11は本発明による液晶注入装置の第3の実施例を示す一部断面図であり、図11(a)は一部断面側面図、図11(b)は一部断面平面図である。図11では、各セル3毎にヒータを設けてセル3の温度を上げている。チャンバ内の温度を上げることによって液晶4が蒸発することを防ぐために、液晶皿7の開口部をセル3の開口部21にあわせて小さくしている。この様に、第3の実施例では、枚葉式にして液晶封入の開口部を挟み込む形の液晶供給方法を用いて、液晶4が蒸発し難いようにしている。
また液晶滴下方式では対向基板をできるだけ近づけた状態で液晶を滴下する、または、あらかじめ揮発しやすい成分を追加しておくことが望ましい。
【0022】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃で1分、230℃で3分の順に加熱して成膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に成膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置した後、段差付の基板と平坦な基板をあらかじめ所定の温度に加熱したホットプレート上に配向膜面側を上にして載せて加熱する。ホットプレートの温度は50、70℃である。基板がホットプレート温度加熱されるまで30秒間保持した後に、段差付の基板に液晶を滴下し、さらに1分間保持した。その後、平坦な基板を重ね合わせて周囲をテープで止めて液晶セルを作った。第1の実施例と同様にねじれ角ばらつきを測定したところ、図12に示すように加熱により、配向均一性が向上した。
図12は基板の加熱温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に基板の加熱温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示した。特性線26に示すように、配向ばらつきは室温から80℃の間で殆ど変化しない。
【0023】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
透明な段差を形成した100mm角のガラス基板上に配向膜を印刷で形成し、70℃1分、230℃3分の順に加熱して成膜した。この段差付の基板と、平坦なガラス基板に配向膜を同様に製膜した基板をラビングした。平坦なガラス基板側にギャップを規定するスペーサを分散配置した後、2枚の基板の配向膜面に液晶を吸着した。吸着は、以下の方法で行った。
処理の概略図を図13に示す。
図13は基板の成膜面に液晶を吸着する方法を説明するための模式図である。
図13(a)では、基板1上に配向膜17を成膜したものを、成膜面を下にして配置し、液晶4を1ml入れた30mlのビーカ16を対向して配置する。この状態で、所定の温度に加熱したホットプレート14上にビーカを載せ10分間保持すると、配向膜面に液晶分子が吸着する。ホットプレート14は50℃と80℃に加熱した。この後、図13(b)に示すように、室温で段差付の基板上にディスペンサ8から液晶4を滴下し、平坦な対向基板2を重ね合わせて、図13(c)に示す液晶セルを作った。第1の実施例と同様にねじれ角ばらつきを測定したところ、図14に示す特性を得た。
図14は蒸気発生温度に対する配向ばらつきを示す特性図であり、横軸に蒸気発生温度(℃)を、縦軸に配向ばらつきを示す。特性線27に示すように、基板の配向膜上に液晶の蒸気を吸着してから液晶を接触させると、ばらつきが小さくなり、配向均一性が向上することが分かる。また、顕微鏡観察をすると、蒸気を吸着した部分では光漏れの発生量が抑えられたが、蒸気を吸着しなかった部分には光漏れの発生が確認された。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、配向膜と液晶の界面の液晶分子をラビングの方向にならって配列できるので、基板の段差部分での局部的な液晶の配列(配向)の乱れを改善し、配向の均一性向上と高コントラストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶注入装置の一部断面平面図である。
【図2】従来の液晶滴下方式を説明するための基板の断面図である。
【図3】通常黒表示となる状態の液晶が配列乱れにより段差の近傍で光が漏れて白くなってしまう現象の顕微鏡写真図である。
【図4】段差からの距離に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図5】温度を変えたときの液晶の粘度変化を示す特性図である。
【図6】ラビング処理後、基板を加熱したときのプレチルト角の変化を示す特性図である。
【図7】本発明による液晶注入装置の第1の実施例を示す一部断面平面図である。
【図8】チャンバ温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図9】チャンバ温度に対する光漏れ発生量の特性図である。
【図10】本発明による液晶注入装置の第2の実施例を示す一部断面平面図である。
【図11】本発明による液晶注入装置の第3の実施例を示す一部断面図である。
【図12】基板の加熱温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【図13】基板の成膜面に液晶を吸着する方法を説明するための模式図である。
【図14】蒸気発生温度に対する配向ばらつきを示す特性図である。
【符号の説明】
1…基板、2…対向基板、3…セル、4…液晶、6…液晶をせき止める突起、7…液晶皿、8…ディスペンサ、9…真空チャンバ、10…エア導入口、11…真空引き用口、12…モータ、13…上下駆動機構、14…ヒータ、15…パイプ、16…ビーカ。
Claims (10)
- 第1の基板に第1の配向膜を形成するステップと、第2の基板に第2の配向膜を形成するステップと、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜が対向するように前記第1の基板と第2の基板を配置するステップと、前記第1の基板及び前記第2の基板を加熱して前記第1の基板及び前記第2の基板間に液晶を注入するステップとを備えることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 第1の基板に第1の配向膜を形成するステップと、第2の基板に第2の配向膜を形成するステップと、前記第1及び前記第2の基板の配向膜上に液晶の分子を吸着させるステップと、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜の間に液晶を充填するステップとを備えることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項1記載の液晶表示素子の製造方法において、液晶を前記第1の基板と前記第2の基板に注入する際に、前記第1及び前記第2の基板を40℃〜90℃に加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項1記載の液晶表示素子の製造方法において、前記第1の基板に液晶を封じ込めるシール材を周囲に塗布した後に前記第2の基板と重ね合せた後、真空引き、液晶注入を行なって、第1の基板と第2の基板間に液晶を注入する際に、前記第1及び前記第2の基板を40℃〜90℃に加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項2記載の液晶表示素子の製造方法において、前記第1の基板の配向膜上に液晶を滴下した後、前記第2の基板を貼り合わせて2枚の基板の間に液晶を広げて液晶を基板に充填させるステップを設け、前記液晶滴下の際に基板を40℃〜90℃に加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 第1の基板に第1の配向膜を形成するステップと、第2の基板に第2の配向膜を形成するステップと、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜が対向するように前記第1の基板と第2の基板を配置するステップと、液晶を加熱または真空引きして得られる蒸気を前記第1および前記第2の基板に吸着させるステップと、前記第1の基板及び前記第2の基板間に液晶を注入するステップとを備えることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 第1の基板に第1の配向膜を形成するステップと、第2の基板に第2の配向膜を形成するステップと、前記第1の基板に液晶を封じ込めるシール材を周囲に塗布するステップと、液晶を加熱または真空引きして得られる蒸気を前記第1及び前記第2の基板の配向膜上に吸着させるステップと、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜の間に液晶を充填するステップとを備えること特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項6記載の液晶表示素子の製造方法において、前記第1の基板に液晶を封じ込めるシール材を周囲に塗布した後に前記第1及び前記第2の基板を重ね合せ、前記第1の基板と前記第2の基板への液晶の注入は真空引きで行なうことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項7記載の液晶表示素子の製造方法において、前記第1及び前記第2の基板に液晶蒸気を吸着させ、前記第1の基板に液晶を滴下した後、前記第1及び前記第2の基板を貼り合わせて2枚の基板の間に液晶を広げて液晶を基板に充填接触させることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
- 請求項1乃至9の何れかに記載の方法で製造されたことを特徴とする液晶表示素子。
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CN101535882B (zh) * | 2006-11-15 | 2011-02-09 | 大日本印刷株式会社 | 液晶显示元件的制造方法 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319864A patent/JP2004157155A/ja active Pending
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