JP2005274641A - 液晶パネルの製造方法および液晶パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】煩雑な製造工程を経ることなく、液晶分子において80度以上88度未満のプレチルト角を安定に再現性よく得ることが可能な配向膜を形成する液晶パネルの製造方法および液晶パネルを提供する。
【解決手段】本発明は、表面に配向膜15が形成された一対の基板S間に液晶層17を封止してなる液晶パネルの製造方法であって、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の蒸着角度θ1から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜15を形成することを特徴とする液晶パネルの製造方法および液晶パネルである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、表面に配向膜15が形成された一対の基板S間に液晶層17を封止してなる液晶パネルの製造方法であって、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の蒸着角度θ1から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜15を形成することを特徴とする液晶パネルの製造方法および液晶パネルである。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶パネルの製造方法および液晶パネルに関するものであって、特に、斜方蒸着により配向膜を形成する液晶パネルの製造方法およびこれによって得られる液晶パネルに関する。
近年、液晶パネルは、直視型のみではなく、プロジェクションテレビ等の投射型表示素子としても需要が高まってきている。そして、AV機器としての需要の高まりとともに、長寿命、高信頼性に対する要求も強まってきている。
このような液晶パネルにおいて、液晶分子を基板に対して略垂直に配向させる垂直配向(Vertically Aligned(VA))モードは、広視野角、高速応答の動作モードとして、注目されている。
このようなVAモードを実現するための方法としては、有機材料により配向膜を形成し、ODS、DMOAP等に代表される長鎖アルキルを有するシランカップリング剤で配向膜の表面を処理する方法や、アルキル側鎖を有するポリイミド、またはポリアミド等の有機材料により配向膜を形成する方法がある。
上述した方法では、配向膜を形成する有機材料の溶液を、印刷法またはスピンコート法等により基板の表面に塗布した後、焼成等の工程を経て、バフ材等を用いたラビング処理を行うことで、配向性を付与している。しかし、ラビング処理に用いるバフ材からは不純物の発生が多く見られるため、液晶パネルとしての信頼性や寿命が低下し易く、歩留まりも低くなり易い。また、強い光を照射するプロジェクター等の投射型液晶表示装置に用いる液晶パネルにおいては、有機材料からなる配向膜では耐光性が低いことが知られている。
これに対し、無機材料により配向膜を形成することで、耐光性に優れた液晶パネルが開発検討されている。この場合には、斜方蒸着等により基板上に無機材料を成膜することで配向膜を形成した後、ラビング処理を行わなくても、配向性を付与することができる。このような方法としては、(1)酸化物を斜方から、または基板を移動しながらスパッタリングする方法(例えば、特許文献1参照)、(2)一酸化珪素などを基板に対して平行方向からみた入射角を45度以上70度以下、すなわち、基板の一主面の法線に対して入射角20度以上45度以下で、斜方蒸着する方法(例えば、特許文献2参照)等が報告されている。
しかし、上述した(1)の方法では、スパッタリングを行うための諸条件の設定が煩雑であるため、製造工程に時間を要し、生産管理が困難である等、生産性に問題があった。また、(2)の方法では、液晶分子のプレチルト角が基板の一主面に対してほぼ垂直に、具体的には、この面に対して88度以上に設けられる。このため、液晶パネルを駆動した場合の液晶分子の倒れる方向が揃い難く、リバースチルトドメイン等の配向の乱れた領域が生じることで、画像表示が悪化したり、画面が暗くなる等の問題があった。また、液晶パネルを駆動した場合に液晶分子が倒れるまでの時間が長く、応答速度が遅い傾向があった。
また、液晶分子のプレチルト角が基板の一主面に対して80度未満である場合には、液晶分子が倒れることによる垂直方向からの光抜けにより、黒が灰色のように浮いて見える「黒浮き」が生じ、画像表示におけるコントラストが悪化する傾向があった。
したがって、煩雑な製造工程を経ることなく、液晶分子において80度以上88度未満のプレチルト角を安定に再現性よく得ることが可能な配向膜を形成する液晶パネルの製造方法および液晶パネルが望まれていた。
上述したような課題を解決するために、本発明における液晶パネルの製造方法は、表面に配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルの製造方法であって、基板の一主面の法線に対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜を形成することを特徴としている。
このような液晶パネルの製造方法およびこれによって得られる液晶パネルによれば、斜方蒸着法による蒸着角度を45度を超える60度以下に制御して配向膜を形成する。これにより、配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封入した液晶パネルにおいて、液晶層に含まれる液晶分子のプレチルト角を、80度以上88度未満の範囲に確実に傾斜させることができる。
このため、VAモードの液晶パネルにおいて、プレチルト角が88度未満であることで、プレチルト角が88度以上である場合と比較して、液晶パネルを駆動した場合の液晶分子の倒れる方向が揃い易くなるため、液晶分子の配向乱れによる画像表示の悪化が防止されるとともに画面の明るさも向上する。また、液晶分子が倒れ易くなることで、応答速度も速くなる。さらに、プレチルト角が80度以上であることで、プレチルト角が80度未満である場合と比較して、液晶分子が倒れることによる垂直方向からの光抜けを抑制するため、画像表示における黒浮きを抑制し、コントラストを向上させることができる。
本発明における液晶パネルの製造方法およびこれによって得られる液晶パネルによれば、煩雑な製造工程を経ることなく、液晶分子のプレチルト角を80度以上88度未満の範囲に、確実に傾斜させることができる。これにより、VAモードの液晶パネルにおいて、画像表示の悪化を防止するとともに、画面の明るさや応答速度を向上させることができる。さらに、画像表示のコントラストを向上させることができる。
したがって、液晶パネルの製造方法における生産性を向上させることができるとともに、画像表示の悪化を防止することで歩留まりを向上させることができる。さらに、応答速度や画面の明るさ、画像表示のコントラストを向上させることで、液晶パネルとしての長期信頼性や表示品質を向上させることが可能である。
(第1実施形態)
以下、本発明の液晶パネルの製造方法および液晶パネルに係わる実施の形態の一例を、詳細に説明する。ここでは、負の誘電異方性を有するとともに、常温下でネマティック層を呈するVAモードの透過型の液晶パネルを形成する場合を例示し、液晶パネルの構成を製造工程順に説明する。
以下、本発明の液晶パネルの製造方法および液晶パネルに係わる実施の形態の一例を、詳細に説明する。ここでは、負の誘電異方性を有するとともに、常温下でネマティック層を呈するVAモードの透過型の液晶パネルを形成する場合を例示し、液晶パネルの構成を製造工程順に説明する。
まず、図1(a)に示すように、一対のガラスからなる基板を用意する。そして、一方の基板の一主面側に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor(TFT))11およびこれに接続された配線12および画素電極13を形成し、これをTFT基板S1とする。また、他方の基板の一主面側には、共通電極14を形成し、これを対向基板S2とする。なお、画素電極13および共通電極14は、透明電極であることとする。ここで、TFT基板S1および対向基板S2を基板Sとする。
次に、これらの基板Sの一主面側、すなわち、TFT基板S1および対向基板S2における電極形成面側に、斜方蒸着法により疎水性の無機材料からなる配向膜15を形成する。ここでは、例えば疎水性の無機材料として、フッ化マグネシウム(MgF2)を用いることとする。
なお、ここでは、疎水性の無機材料で配向膜15を形成することとしたが、本発明は、これに限定されず、親水性の無機材料を用いてもよい。ただし、疎水性の無機材料により配向膜15を形成することで、水分が配向膜15に吸着することがなく、水分による液晶分子の配向異常が防止されるため好ましい。
このような配向膜15に用いられる疎水性の無機材料としては、本実施形態で用いるMgF2の他に、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ネオジウム(NdF3)、フッ化ナトリウム(NaF)等がある。
また、配向膜15に用いられる親水性の無機材料としては、二酸化珪素(SiO2)、一酸化珪素(SiO)を含む酸化珪素や、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)等の金属酸化物がある。これらの親水性の無機材料および上述した疎水性の無機材料は、いずれも従来の方法により蒸着が可能である。
ここで、本実施形態における斜方蒸着法による配向膜15の形成方法について、図2を用いて詳細に説明する。本発明においては、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の角度(蒸着角度θ1)から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜15を形成することがポイントとなる。
図2に示す真空蒸着装置20は、装置内の底部に設けられるとともに加熱可能に構成された蒸着源21と、蒸着源21の上方に配置され、基板Sを保持する基板保持部材22とを備えている。この基板保持部材22は、蒸着源21に対する基板装着面22aの傾きを変更可能に設けられている。また、真空蒸着装置20内の蒸着源21と基板保持部材22との間には、蒸着源21を覆う位置と、蒸着源21からの蒸着方向から外れる位置とに移動自在なシャッター23が設けられている。さらに、真空蒸着装置20には、基板Sを搬入、搬出するための開閉扉24が設けられており、装置内を脱気することで真空度を調整するための排気口25が設けられている。
このような真空蒸着装置20を用いて、基板Sの電極形成面側に斜方蒸着法により配向膜15(図1(a)参照)を形成するには、まず、装置内に基板Sを搬入し、基板保持部材22に電極形成面を下方に向けた状態で基板Sを装着する。そして、基板S表面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の蒸着角度θ1で、蒸着源21から蒸着分子が供給されるように、基板装着面22aを傾ける。
次に、蒸着源21となる「るつぼ」内に、疎水性の無機材料Gとして、上述したフッ化マグネシウム(MgF2)の粉末を投入する。この粉末の平均粒径0.1〜5.0mmが好ましく、1.0〜5.0mmであることがさらに好ましい。粒径が5.0mmより大きいと、十分に溶解するまでに時間がかかる。また、0.1mm未満のものはコストがかかり実用的でない。粒形にはとくに制限はなく、不定形、球状などのものを用いることができる。また、この粉末の平均粒径差は、±2.0mm以内程度が好ましい。粒径差が2.0mmより大きいと溶解速度が不均一となり、基板S表面に形成する配向膜15の膜厚に差が生じるなど、膜の均一性が低下する。
次いで、真空蒸着装置20の開閉扉24を閉じ、密閉状態とした後、所定の真空度に達するまで排気口25から真空脱気装置(図示省略)により十分な真空度になるまで脱気する。真空脱気装置としては、特に制限はないが、クライオポンプ、ドライポンプ、油回転ポンプ、水封式ポンプ等を使用することができる。
次に、シャッター23により蒸着源21を覆った状態で、イオンビーム(EB)源26などにより蒸着源21を加熱し、シャッター23を蒸着方向から外れた位置に移動させた状態で斜方蒸着を開始する。この蒸着源21の加熱方式としては特に制限はなく、上述したイオンビームによる加熱の他に、高周波誘導加熱、抵抗加熱、電子線加熱などの従来公知の加熱方法を用いることができる。なお、ここでは、基板装着面22aを予め傾けた状態で、真空蒸着装置20内の減圧および蒸着源21の加熱を行ったが、真空蒸着装置20内の減圧および蒸着源21の加熱を行った後、蒸着する直前に基板装着面22aを傾斜させてもよい。
この斜方蒸着においては、上述したように、基板Sが保持された基板保持部材22の基板装着面22aを傾けることで、蒸着源22から蒸発させた無機材料の蒸気の蒸着角度θ1を、基板S表面の法線Lvに対して45度を超える60度以下に制御する。この際、この蒸着角度θ1は、基板S表面の法線Lvに対して一定の方向からの角度であることとする。
これにより、図1(a)に示すように、後工程で配向膜15が形成されたTFT基板S1と対向基板S2とを対向配置した状態で、液晶層17を封入し、液晶パネルを形成した場合に、図1(b)の拡大模式図に示すように、液晶層17(図1(a)参照)に含まれる液晶分子18のプレチルト角θ2が80度以上88度未満に制御される。また、蒸着角度θ1を48度以上57度以下に制御することがより好ましく、液晶分子18のプレチルト角θ2の制御性が向上し、パネル面内での均一性を向上させることができるため、表示品質の高い液晶パネルの作成が容易になる。
また、この液晶分子18と、基板Sの表面に蒸着された配向膜15を形成する蒸着分子15’とは、基板S表面に対して略同一方向に傾斜される。これにより、液晶分子18が蒸着分子15’とは逆方向に傾斜された場合と比較して、配向規制力が増大するため、表示ムラが発生し難くなり、表示品質を向上させるとともに長期信頼性が得られる。
ここで、蒸着角度θ1(図2参照)が45度以下である場合には、得られる液晶分子18のプレチルト角θ2は88度以上となり、80度以上88度未満のプレチルト角θ2を安定して得ることができない。また、蒸着角度θ1が60度より大きい場合には、配向膜15における基板S表面に蒸着された蒸着分子15’の傾斜方向に対して、液晶分子18の配向方向が逆転する現象がみられ、配向異常が発生し易い。
ここでの斜方蒸着における蒸着時の温度に関しては本発明において規定するものではないが、20℃以上200℃未満であって、25℃以上150℃以下であることが好ましい。20℃未満に蒸着時の温度を設定する場合には、冷却装置など、装置に多くの費用がかかるうえに、生産において毎回常温以下に蒸着装置を冷却することは効率的ではない。また、一般に蒸着時の温度をあげることは、蒸着機内の真空度や水分などを制御する面で効果があるが、150℃程度まででその効果は十分であり、200℃以上とすることに配向膜の特性および生産性の利点はみられない。
また、この斜方蒸着により形成する配向膜15の膜厚は、20nm以上150nm以下であることが好ましい。このような膜厚に形成することで、後工程でTFT基板S1と対向基板S2との間に封入する液晶層17(図1(a)参照)における液晶分子18のプレチルト角θ2を所望のプレチルト角に対して±1度を上回る精度で制御することが可能となる。また、配向膜15の膜厚が20nm以上であることで、液晶分子18を安定に配向させることができるとともに、リーク電流の発生も抑えられるため、画像表示の悪化が防止される。さらに、配向膜15の膜厚が150nm以下であることで、電圧降下が防止されるため、電圧保持率の低下が抑制され、焼きつきの発生、すなわち、画像表示において液晶分子18の応答速度が遅くなることによる画像表示の悪化が防止される。
また、配向膜15の膜厚は30nm以上100nm以下であることがさらに好ましく、30nm以上であれば、量産におけるマージンをとり、より確実な配向特性を得ることができる。また、より高い電圧保持率と焼きつき特性を加味すると膜厚は100nm程度までが最適となる。
以上のようにして、2枚の基板S上に配向膜15を形成する。なお、ここでは、るつぼ方式の真空蒸着装置20を用いて吸着層31と配向膜15を形成することとしたが、原料連続供給機構を有するフラッシュ蒸着装置を用いてもよい。
その後、図1(a)に示すように、これらの基板S、すなわち、TFT基板S1と対向基板S2とを用いて、透過型の液晶パネルを組み立てる。
この際、まず、TFT基板S1における画素電極13および上述の配向膜15の形成面側、または対向基板S2における共通電極14および上述の配向膜15の形成面側にスペーサ(図示省略)を散布するとともに、その周囲にシール剤16を土手状に形成する。その後、これらのTFT基板S1と対向基板S2とを配向膜15を対向させた状態で配置する。この際、TFT基板S1と対向基板S2における配向膜15の配向方向がアンチパラレルとなるようにする。
このような状態で、シール剤16に設けられた液晶層17を注入するための注入口(図示省略)から、TFT基板S1と対向基板S2との間に液晶分子18を含む液晶層17を充填する。その後、シール剤17の注入口を塞ぎ、透過型の液晶パネルを完成させる。この液晶パネルは、負の誘電異方性を有するとともに、常温下でネマティック層を呈するVAモードの液晶パネルである。
以上の液晶パネルの製造方法およびこれによって得られる液晶パネルによれば、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の蒸着角度θ1から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜15を形成する。これにより、TFT基板S1と対向基板S2との間に封入する液晶層17に含まれる液晶分子18のプレチルト角θ2を、80度以上88度未満の範囲に確実に傾斜させることができる。したがって、配向膜15を形成した後の表面処理等、煩雑な製造工程を行わなくてもよく、斜方蒸着法による蒸着角度θ1を制御することで、液晶分子18のプレチルト角θ2を制御することができる。これにより、液晶パネルの製造方法における生産性を向上させることができる。
また、液晶分子18のプレチルト角θ2が88度未満であることで、プレチルト角が88度以上である場合と比較して、液晶パネルを駆動した場合の液晶分子18の倒れる方向が揃い易くなるため、液晶分子18の配向乱れによる画像表示の悪化が防止され、光の透過率も向上するため、画面も明るくなる。また、液晶分子18が倒れ易くなることで、応答速度も速くなり、残像のない高画質が可能となる。さらに、プレチルト角θ2が80度以上であることで、プレチルト角θ2が80度未満である場合と比較して、液晶分子18が倒れることによる垂直方向からの光抜けを抑制するため、画像表示における黒浮きを抑制し、コントラストを向上させることができる。
したがって、液晶パネルの画像表示の悪化を防止することで歩留まりを向上させることができる。さらに、応答速度や画面の明るさ、画像表示のコントラストを向上させることで、液晶パネルとしての長期信頼性や表示品質を向上させることが可能である。
また、本実施形態の液晶パネルの製造方法によれば、配向膜15に疎水性の無機材料を用いることで、配向膜15に水分が吸着することを防ぐため、水分による液晶分子18の配向乱れを防止することができる。これにより、高湿度下に本実施形態の液晶パネルを保存した場合であっても、配向膜15に親水性の無機材料を用いた場合と比較して、水分による液晶分子18の配向異常が防止され、液晶パネルとしての長期信頼性や表示品質を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、図1(a)に示すような各画素電極にそれぞれTFTを接続させたアクティブ型の液晶表示素子について述べたが、これに限らず、単純マトリクス型の液晶パネルにも適用することができ、斜方蒸着法により形成する配向膜15により液晶分子18を配向規制する種々の液晶パネルに広く適用することができる。
また、本実施形態ではTFT基板S1に形成される画素電極13と、対向基板S2に形成される共通電極14を透明電極とすることで、透過型の液晶パネルの例について説明したが、画素電極13または共通電極14に反射性の材料を用いた、反射型の液晶パネルであっても、本発明は適用可能である。
さらに、本実施形態の液晶パネルは、この液晶パネルを挟む状態で配置された入射側偏光板と出射側偏光板を備えるとともに、入射側偏光板に光を入射する光源と、出射側偏光板から出射した光を投射させる投射レンズとを備えた、プロジェクター等の投射型液晶表示装置にも適用可能である。
また、この投射型液晶表示装置には、光源と入射側偏光板との間の光路中に、光源からの光を、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光に分解する色分解部と、出射側偏光板と投射レンズとの光路中に各色の光を1つの光軸に合成する色合成部とを有していてもよい。
上述したような投射型液晶表示装置に、本実施形態の液晶パネルを用いる場合には、配向膜15に疎水性の無機材料を用いていることから、ポリイミド等の有機材料を配向膜に用いる場合と比較して、プロジェクターに用いる強い光に対する耐光性に優れ、配向膜の破壊や液晶分子18の配向異常が防止される。また、高湿度下での放置または駆動に対しても水分による液晶分子18の配向異常が防止されるため、長期信頼性や表示品質を向上させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態の液晶パネルの製造方法について、図3(a)の模式図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の方法により、TFT基板S1および対向基板S2を形成することとし、これらの基板を基板Sとする。
本実施形態の液晶パネルの製造方法について、図3(a)の模式図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の方法により、TFT基板S1および対向基板S2を形成することとし、これらの基板を基板Sとする。
そして、基板Sの一主面側、すなわちTFT基板S1および対向基板S2における電極形成面側に、真空蒸着法によって、例えば二酸化珪素(SiO2)からなる親水性の無機材料により吸着層31を形成する。このような吸着層31を形成することで、水分が吸着層31に吸着され、水分による液晶分子18の配向異常が抑制される。
なお、ここでは、SiO2により吸着層31を形成することとしたが、吸着層31は、親水性の無機材料であればよく、一酸化珪素(SiO)であってもよく、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)等の金属酸化物であってもよい。
その後、この吸着層31上に、第1実施形態と同様に、基板S表面の法線Lv(図2参照)に対して無機材料の蒸気の蒸着角度θ1(図2参照)を45度を超える60度以下に制御した状態で、例えばMgF2からなる疎水性の無機材料により配向膜15を形成する。これにより、この後の工程において、対向配置された状態のTFT基板S1および対向基板S2の間に封入する液晶層17(図1(a)参照)に含まれる液晶分子18のプレチルト角θ2が80度以上88度未満に制御される。また、吸着層31を形成するとともに、疎水性の無機材料により配向膜15を形成することで、水分による液晶分子18の配向異常がより確実に防止されるため、好ましい。
ここで、上述した吸着層31と配向膜15の合計膜厚は、150nm以下であることが好ましく、150nm以下とすることで、電圧降下が防止されるため、電圧保持率の低下が抑制され、画像表示における焼きつきの発生が防止される。また、より高い電圧保持率と焼きつき特性を加味すると、100nm程度までが最適となる。これにより、吸着層31と配向膜15の各膜厚の上限が決定される。
そして、吸着層31の膜厚は、20nm以上130nm以下であることが好ましく、20nm以上であれば、吸着層31を均一な膜厚で形成することが可能であり、液晶パネル内に侵入した水分を十分に吸着することができる。また、30nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以上であれば、量産におけるマージンをとり、より確実に均一な膜厚で形成することができる。
また、この場合の配向膜15の膜厚は、20nm以上130nm以下であることが好ましい。配向膜15の膜厚が20nm以上であることで、図1(a)に示すTFT基板S1と対向基板S2との間に封入される液晶層17の液晶分子34を安定に配向させることができるとともに、リーク電流の発生も防止されるため、画像表示の悪化が防止される。また、30nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以上であれば、量産におけるマージンをとり、より確実な配向特性を得ることができる。
この後の工程は第1実施形態と同様に行うこととし、図1(a)に示すように、吸着層31と配向膜15が設けられた基板S、すなわち、TFT基板S1と対向基板S2とを用いて液晶パネルを組み立てる。なお、ここでは、吸着層31をTFT基板S1と対向基板S2にそれぞれ形成する例について説明したが、どちらか一方の基板Sのみに吸着層31が形成されていてもよい。ただし、TFT基板S1と対向基板S2の両方に吸着層31を形成する方が、吸着層31への水分の吸着が促進され、水分による液晶分子18の配向乱れを防止できるため、好ましい。
このような液晶パネルの製造方法およびこれによって得られる液晶パネルによっても、第1実施形態と同様に、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の蒸着角度θ1から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、配向膜15を形成することで、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態では、疎水性の無機材料からなる配向膜15と基板Sとの間に、親水性の無機材料からなる吸着層31を形成することから、吸着層31に水分が吸着されるため、水分による液晶分子18の配向異常を確実に防止することができ、液晶パネルとしての長期信頼性や表示品質を向上させることができる。
なお、本実施形態では、吸着層31を単なる蒸着法により形成することとしたが、配向膜15と同様に、基板Sの一主面の法線Lvに対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、吸着層31を形成してもよい。これにより、図3(b)に示すように、基板S表面に対して、吸着層31の蒸着分子31’を配向膜15の蒸着分子15’と同一の方向に傾斜させることができ、さらに、液晶分子18も同一方向に傾斜させることができる。したがって、吸着層31によっても、液晶分子18に配向性を付与することが可能となり、液晶分子18への配向力を強化することが可能である。これにより、吸着層31と配向膜15の合計膜厚を薄膜化することが可能となるため、電圧保持率を向上させることができ、画像の焼き付きをより確実に防止することができる。
さらに、吸着層31とその上層に形成する配向膜15を、蒸着角度θ1を変えずに斜方蒸着した場合には、吸着層31を形成した後、図2に示す真空蒸着装置20における基板保持部材22の基板装着面22aの角度は維持した状態で、蒸着源21のみを変更すればよく、配向膜15と吸着層31の形成工程が容易である。
ここで、第1実施形態で説明した製造方法と同様の方法により、液晶パネルを製造した実施例について、図1(a)および図1(b)を用いて説明する。ここでは、図1(a)に示すように、配向膜15を形成する際の蒸着角度θ1(図2参照)を基板Sの一主面の法線Lv(図2参照)に対して50度、55度、60度と5度間隔で変化させて、基板S上に配向膜15をそれぞれ形成した。その後、蒸着角度θ1を変えて配向膜15を形成したTFT基板S1および対向基板S2の間に、それぞれ液晶層17を封入し、3種類の液晶パネルを形成した。そして、図1(b)に示すように、各液晶パネルにおける液晶層17に含まれる液晶分子18のプレチルト角θ2を測定した。ここでの蒸着温度は25℃であり、配向モードをVAモードとして、各条件につき8つの液晶パネルを作成した。各液晶パネルにおける液晶分子18のプレチルト角θ2についての平均値を表1に示す。
また、上記の比較例として、蒸着時の蒸着角度θ1を基板Sの一主面の法線Lvに対して40度、45度、65度にして、上記と同様の条件で基板S上に配向膜15をそれぞれ形成した場合の液晶パネルにおける液晶分子18のプレチルト角θ2を測定した。この場合においても、各条件につき8つの液晶パネルを作成した。各液晶パネルにおける液晶分子18のプレチルト角θ2についての平均値を表1に示す。
表1に示すように、蒸着時の基板Sの一主面の法線Lvに対する蒸着角度θ1を50度、55度、60度として配向膜15を形成した場合には、TFT基板S1と対向基板S2との間に封入する液晶層17に含まれる液晶分子18のプレチルト角θ2が80度以上88度未満に制御されることが確認された。さらに、液晶分子18の配向方向は、配向膜15における蒸着分子15’の蒸着方向と略同一であることが認められた。また、蒸着角度θ1を40度、45度とした場合には、プレチルト角θ2は88度以上となり、80度以上88度未満のプレチルト角θ2を安定して得ることができなかった。また蒸着角度θ1を65度とした場合には、配向方向が蒸着方向に対して逆転する現象がみられ、配向異常が発生することが確認された。
S…基板、S1…TFT基板、S2…対向基板、θ1…蒸着角度、θ2…プレチルト角、15…配向膜、15’…蒸着分子、17…液晶層、18…液晶分子、31…吸着層
Claims (12)
- 表面に配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルの製造方法であって、
前記基板の一主面の法線に対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、前記配向膜を形成する
ことを特徴とする液晶パネルの製造方法。 - 前記配向膜の膜厚を20nm以上150nm以下に形成する
ことを特徴とする請求項1記載の液晶パネルの製造方法。 - 前記配向膜を疎水性の無機材料により形成する
ことを特徴とする請求項1記載の液晶パネルの製造方法。 - 前記配向膜と少なくとも一方の前記基板との間に親水性の無機材料からなる吸着層を形成する
ことを特徴とする請求項3記載の液晶パネルの製造方法。 - 前記基板の一主面の法線に対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着法により、前記吸着層を形成する
ことを特徴とする請求項4記載の液晶パネルの製造方法。 - 表面に配向膜が形成された一対の基板間に液晶層を封止してなる液晶パネルであって、
前記配向膜は、前記基板の一主面の法線方向に対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着により得られた
ことを特徴とする液晶パネル。 - 前記配向膜の膜厚は20nm以上150nm以下である
ことを特徴とする請求項6記載の液晶パネル。 - 前記液晶層に含まれる液晶分子と、前記基板の表面に蒸着された前記配向膜を形成する蒸着分子とが、前記基板の一主面に対して略同一方向に傾斜している
ことを特徴とする請求項6記載の液晶パネル。 - 前記液晶層に含まれる液晶分子が、前記基板の一主面に対して80度以上88度未満に傾斜している
ことを特徴とする請求項8記載の液晶パネル。 - 前記配向膜が疎水性の無機材料で形成されている
ことを特徴とする請求項6記載の液晶パネル。 - 前記配向膜と少なくとも一方の前記基板との間に、親水性の無機材料からなる吸着層が設けられている
ことを特徴とする請求項10記載の液晶パネル。 - 前記吸着層は、前記基板の一主面の法線に対して45度を超える60度以下の角度から蒸着分子を供給する斜方蒸着により得られた
ことを特徴とする請求項11記載の液晶パネル。
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2004
- 2004-03-23 JP JP2004083945A patent/JP2005274641A/ja not_active Abandoned
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