JP5070983B2 - 液晶装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、配向膜が無機材料を用いて形成された液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器の技術分野に関する。
電気光学装置である液晶装置は、ガラス基板、石英基板等からなる一対の基板間に液晶が挟持されて構成されている。液晶装置は、例えば一方の基板に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、TFTと称す)等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両電極間に介在する液晶の配向を画像信号に応じて変化させることで、透過する光を変調し、画像表示を可能としている。
このような液晶装置において、一対の基板の液晶に接する表面には、液晶の配向を規制する配向膜が形成されている。一般に配向膜としては、SiO等の無機材料を基板表面に対し所定の角度をもって蒸着することにより形成される無機配向膜や、ポリイミド等の有機材料によって構成される薄膜にラビング処理を施すことによって形成される有機配向膜が知られている。
無機配向膜は斜方蒸着法により形成されることから、無機配向膜の表面(界面)には、Si原子の未結合手、すなわちダングリングボンドや、Si原子同士が結合したダイマー構造(Si−Si結合)が形成されている。このSi原子の未結合手は、液晶中や雰囲気中の水分等との反応によって、シラノール基(−Si−OH)により終端されやすい。
シラノール基は、反応性が高く、例えば液晶装置をプロジェクタ装置等のライトバルブとして使用する場合、液晶装置には強い光が照射されるため、シラノール基と液晶との間で光化学反応が発生し易い。そして、このような光化学反応が繰り返されると、無機配向膜による液晶分子の配向規制力が低下し、液晶装置の表示性能が除々に低下する。これにより、結果的に液晶装置の寿命、すなわち高品質な画像表示が可能な期間が短縮されてしまう。
これに対し、例えば特開2005−200500号公報には、無機配向膜を用いた液晶装置において、液晶組成物に末端に水素結合が可能な極性基を有する化合物からなる添加物を添加することにより、液晶装置の経時安定性を向上させる技術が開示されている。また、特開2005−200501号公報には、無機配向膜を用いた液晶装置において、末端にアルコキシ基を有する液晶化合物を所定濃度以上含有する液晶組成物を用いることにより、液晶装置の経時安定性を向上させる技術が開示されている。
また、例えば、無機配向膜の表面を、高級アルコールを用いて処理し、配向膜界面のシラノール基を高級アルコールで置換することにより、配向膜表面での光化学反応等を抑制し液晶装置の経時安定性を向上させる技術も知られている。
特開2005−200500号公報 特開2005−200501号公報
しかしながら、特開2005−200500号公報や特開2005−200501号公報に開示されているように、液晶中に新たな添加物を添加する技術や、新たな組成を有する液晶により液晶装置を構成する技術においては、新たな材料を必要とするため、液晶装置の製造のコストが上昇してしまうという問題がある。
また、無機配向膜の表面を、高級アルコールを用いて処理する技術においても、新たに工程を追加する必要があり、やはり液晶装置の製造のコストが上昇してしまうという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無機配向膜の表面と液晶分子との反応を抑制して、長期間に亘って高画質の画像表示を行うことができる液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶を挟持し、該液晶を配向規制する無機配向膜を具備してなる液晶装置の製造方法であって、前記液晶におけるアルコキシ基を含有する組成物の構成比率に対応した前記無機配向膜の表面の水の接触角を算出する工程と、前記基板の少なくとも一方に、前記算出された水の接触角を有する前記無機配向膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明のこのような構成によれば、液晶に含まれる水素結合成分の密度と、無機配向膜の表面のシラノール基の密度とが過不足なく釣り合う関係とすることができ、無機配向膜の表面と液晶分子との反応を抑制して、長期間に亘って高画質の画像表示を行うことが可能な液晶装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態に係る液晶装置は、負の誘電率異方性を有する液晶を、電圧無印加時に略垂直に配向するように制御する傾斜垂直配向型の液晶表示装置、いわゆるVAモードの液晶表示装置である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせてある。
まず、本実施形態の液晶装置100の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1はTFTアレイ基板を、その上に構成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図である。図2は、図1のH−H’断面図である。本実施形態では、液晶装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶表示装置を例にとる。
液晶装置100は、ガラスや石英等からなるTFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶50を挟持してなり、液晶50の配向状態を変化させることにより、画像表示領域10aに対向基板20側から入射する光を変調しTFTアレイ基板10側から出射することで、画像表示領域10aにおいて画像を表示するものである。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されており、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶50が挟持されている。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔を所定値とするためのグラスファイバやガラスビーズ等のギャップ材が散在している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。なお、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
また、画像表示領域10aの周辺に位置する非表示領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。図示しないが、TFTアレイ基板10の表面に露出して設けられた実装端子102にフレキシブルプリント基板等を接続することにより、液晶装置100と例えば電子機器の制御装置等の外部との電気的接続が行われる。
また、走査線駆動回路104は、データ線駆動回路101及び実装端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、かつ額縁遮光膜53に覆われるように設けられている。また、TFTアレイ基板10の残る一辺、すなわちデータ線駆動回路101及び実装端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に対向する辺に沿って設けられ、額縁遮光膜53に覆われるように設けられた複数の配線105によって、二つの走査線駆動回路104は互いに電気的に接続されている。
また、対向基板20のコーナー部の少なくとも一箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との電気的接続を行う上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらの上下導通材106に対応する領域において上下導通端子が設けられている。上下導通材106と上下導通端子を介して、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な接続が行われる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、無機配向膜16が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に無機配向膜22が形成されている。TFTアレイ基板10及び対向基板20のそれぞれ液晶50と接する面に形成された無機配向膜16及び22は、詳しくは後述するが、SiOからなる透光性を有する無機材料によって構成された薄膜である。無機配向膜16及び22は、液晶50の配向を規制するための膜であり、液晶50は一対の無機配向膜16及び22の間で、所定の配向状態をとる。
本実施形態の液晶装置100は、負の誘電率異方性を有する液晶を用いた傾斜垂直配向モード、いわゆるVAモードを採用している。また、対向基板20の入射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが配置される。
SiO等の無機材料によって構成される無機配向膜は、例えばポリイミド等の有機材料によって構成される配向膜に対して耐光性や耐熱性に優れるため、経年劣化がなく表示品位が低下することのない液晶装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、対向基板20に形成される無機配向膜22も同様の構成を有するものであるが、液晶装置の構成によっては、本実施形態の無機配向膜は、TFTアレイ基板及び対向基板のいずれか一方にのみ形成されてもよい。
次に、図3から図5を参照して、上述した液晶装置の製造方法について、具体的には、液晶装置1における配向膜16、22の洗浄方法を主に説明する。図3は、本実施の形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。
なお、無機配向膜16、22よりも下層側の積層構造の製造方法については、周知であるため、その説明は省略するか、簡単に説明する。
まず、TFTアレイ基板10上に、例えばCVD法やスパッタリング等による成膜、フォトグラフィ等によるパターニング、熱処理などによって、データ線や走査線、TFT等を形成し、さらにその最上層に、ITOからなる画素電極9aを形成する(ステップS11)。
次に、無機配向膜形成工程によって、斜方蒸着法を用い、画素電極9a上にSiOからなる無機配向膜16を所定の条件において形成する(ステップS12)。具体的には、TFTアレイ基板10の表面の法線に対して所定の角度(蒸着角度)をなす位置にSiOからなる蒸着源を配して蒸着を行うことにより、無機配向膜16を形成する。このように形成された無機配向膜16は、所定の角度に傾斜したSiOからなる柱状構造物が、所定の密度で多数形成されて構成されている。この柱状構造物は、カラム構造とも称されるナノメートルオーダの構造である。
ここで、無機配向膜16を構成する柱状構造物は蒸着によりSiOが堆積されて形成されることから、該柱状構造物の表面(界面)には、Si原子の未結合手(欠陥構造)が無数に形成されている。このSi原子の未結合手は、雰囲気中の水分等との反応によって、OH基により終端されやすい。すなわち、無機配向膜16の表面には、Si原子がOH基により終端されたシラノール基(−Si−OH)が所定の密度で存在する。
詳しくは後述するが、本実施形態においては、複数の液晶組成物から構成される液晶50における、水素結合性成分であるアルコキシ基を含有する液晶組成物の構成比率に応じて、最適な無機配向膜16の特性が算出される。そして、この算出された無機配向膜16の特性に応じた条件下において斜方蒸着が実行され無機配向膜16が形成される。
次に、洗浄工程において、TFTアレイ基板10上に形成された無機配向膜16の表面を洗浄する(ステップS13)。
一方、対向基板20に、例えばCVD法やスパッタリング等による成膜、フォトグラフィ等によるパターニング等によって、遮光膜23及び対向電極21を形成する(ステップS21)。
次に、対向基板20に対して、上述したステップS12からステップS14の工程を実施する。すなわち、対向電極21上に、斜方蒸着法によりSiOからなる無機配向膜22を形成する(ステップS22)。そして次に無機配向膜22の表面を洗浄する(ステップS23)。
そして、TFTアレイ基板10及び対向基板20の前工程が終了した後、貼り合せ工程において、TFTアレイ基板10と対向基板20とをシール材52を介し、所定にアライメントを調整した状態で貼り合わせる(ステップS31)。続いて、液晶注入工程において、シール材52を介して貼り合わされたTFTアレイ基板10と対向基板20とで形成された領域に液晶50を注入し封止する(ステップS32)。
なお、本実施形態では、セル注入方式により液晶を注入しているが、液晶滴下方式によりTFTアレイ基板10及び対向基板20の間に液晶50を介装させる方法であってもよい。液晶滴下方式は、TFTアレイ基板10と対向基板20を貼り合わせる前に、一方の基板上に液晶50を滴下し、シール材52を介してTFTアレイ基板10と対向基板20を貼り合わせることで液晶を封止するものであるので、この場合、ステップS31(貼り合わせ工程)とステップS32(液晶注入工程)とは逆となる。
以上により、本実施形態の液晶装置100が完成する。
以下に、上述した液晶装置100の製造工程における、ステップS12及びステップS22の無機配向膜形成工程について、詳細に説明する。
本実施形態においては、上述したように、液晶50を構成する液晶組成物の構成比率に応じた条件において、無機配向膜16及び22が形成されるものである。まず、この無機配向膜16及び22の成膜条件を算出する方法を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS41において、液晶50を構成する液晶組成物の組成と、その構成比率からなる組成情報を取得する。もし、液晶50の組成情報が既知のものであるならばその情報を取得し、もし液晶50の組成が未知のものであるのならば、ガスクロマトグラフィ法等の分析により液晶50の組成情報を取得する。
次に、ステップS42において、液晶50の組成情報から、水素結合性成分を含有する液晶組成物を抽出し、該水素結合性成分を含有する液晶組成物全ての液晶50に対する構成比率を算出する。
具体的には、本実施形態においては、液晶50の組成情報から、水素結合性成分であるアルコキシ基を含有する液晶組成物を全て抽出し、この全てのアルコキシ基を含有する液晶組成物の、液晶50における重量パーセント(wt%)を算出する。以下において、この液晶50における全てのアルコキシ基を含有する液晶組成物の重量パーセントの値を、アルコキシ成分含有比率と称するものとする。
次に、ステップS43において、水素結合性成分を含有する液晶組成物全ての液晶50における構成比率に基づいて、無機配向膜16及び22の表面の最適な特性値を算出する。
具体的には、ステップS43で算出される無機配向膜16及び22の表面の最適な特性値とは、アルコキシ基を含有する液晶組成物の重量パーセントの値に応じて決定される、無機配向膜16及び22の表面の水の接触角である。以下において、ステップS43で算出される無機配向膜16及び22の表面の最適な水の接触角を、最適接触角と称するものとする。
この最適接触角は、アルコキシ成分含有比率を、図5に示す予め求められたアルコキシ成分含有比率と最適接触角との関係のグラフに当てはめることにより算出される。図5のグラフにおいて、横軸はアルコキシ成分含有比率を示し、縦軸は最適接触角を示す。
そして、図5のグラフにおける、曲線C1が、本実施形態におけるアルコキシ成分含有比率と最適接触角との関係を定めたものである。この曲線C1は、後述する実験に基づいて定められたものであり、アルコキシ成分含有比率の値をx、最適接触角の値をyとした場合に、以下の式(1)で表される。
y=−0.0631x^2+6.50x−79.8 ・・・式(1)
なお、上式(1)によるアルコキシ成分含有比率と最適接触角との関係は、無機配向膜16及び22がSiOにより構成されている本実施形態において、最適接触角(y)の値がおよそ30度から80度となる範囲で適用可能である。この範囲内においては、図5に示すように、アルコキシ成分含有比率の値が大きいほど、最適接触角の値は小さくなる。
例えば、ステップS42において、アルコキシ成分含有比率が70%と算出された場合には、式(1)から最適接触角は65.7度と算出される。
次に、ステップS44において、無機配向膜16及び22の表面の水の接触角を、ステップS43で算出した最適接触角に一致させるための、無機配向膜16及び22の成膜条件を算出する。
具体的には、ステップS44では、斜方蒸着法により形成されるSiOからなる無機配向膜16及び22を複数の層で構成するか否かと、斜方蒸着時の条件とを、実験やシミュレーションにより予め求めておいた参照テーブルに基づいて決定する。ここで、斜方蒸着時の条件とは、基板上において基板の法線と蒸着源とがなす角度である蒸着角度、膜厚及び真空チャンバ内の圧力である。
ここで、上記成膜条件によって無機配向膜16及び22を構成するSiOからなる柱状構造物の高さ、傾斜角度、分布密度等が決定されるのであり、したがって、この複数の柱状構造物からなる無機配向膜16及び22の表面積が決定されることは周知である。
一方、SiOからなる無機配向膜16及び22の表面の水の接触角は、無機配向膜16及び22の表面を平面視した場合の単位面積におけるシラノール基の量に依存するものであり、単位面積当たりのシラノール基が多いほど水の接触角は小さくなる(親水性になる)ことも周知である。言い換えれば、SiOからなる無機配向膜16及び22の表面の水の接触角は、無機配向膜16及び22の表面を平面視した場合の単位面積におけるシラノール基の量を示す指標とされる。
したがって、ステップS44に用いられる、無機配向膜16及び22の表面の水の接触角を所定の値にするための成膜条件を算出するための参照テーブルを実験やシミュレーションにより予め求めることは、周知の技術によって可能である。
以上により、無機配向膜16及び22の成膜条件を算出する成膜条件算出工程が終了する。
本実施形態では、上記成膜条件算出工程により算出された成膜条件に基づいて、ステップS12及びステップS22の無機配向膜形成工程が実施される。ステップS12及びステップS22の無機配向膜形成工程は、図6に示すような蒸着装置300により行われる。
すなわち、TFTアレイ基板10(又は対向基板20)を、蒸着室308内においてSiOである蒸着源302上に所定の角度で設置する。このとき、TFTアレイ基板10の表面においてTFTアレイ基板10の法線と、蒸着源302とがなす角度θpが蒸着角度である。そして、真空ポンプ310を作動させて蒸着室308内を減圧し、蒸着源302を図示しない電子銃等の加熱装置により加熱して蒸着源302を蒸発させる。これにより、SiOの蒸気がTFTアレイ基板10の表面上に、法線に対して角度θpをなして到達し、斜方蒸着が行われるのである。なお、この斜方蒸着時において、ガス導入口309から所定の流量の酸素を蒸着室308内に導入することにより、蒸着室308内の圧力が調整される。
以上に説明した無機配向膜形成工程によって、本実施形態の液晶装置の無機配向膜は形成されるのである。
上述したステップS43において用いるアルコキシ成分含有比率と最適接触角との関係(図5のグラフ)は、以下に示す本願出願人による実験を根拠として導き出されたものである。
まず、以下の実験は、図7の表に示す、試料A、試料B、試料C及び試料Dの4種類の異なる組成を有する液晶を用いて行われたものである。試料A〜試料Dの液晶は、イ〜リの化学式で表される9種類の液晶組成物のうちの少なくとも8種類の液晶組成物を表中に示す重量パーセントだけ含有して構成されている。
図7に示す液晶組成物のうち、アルコキシ基(−OR)を含有する液晶組成物は、イ、ロ、ホ、ヘ、ト及びチの6種類の液晶組成物であり、これらアルコキシ基を含有する液晶組成物の重量パーセントを合計した値を、アルコキシ成分含有比率として表の下欄に示している。すなわち、本実験に用いられる4種類の液晶間における、アルコキシ成分含有比率の値の大小関係は、試料A<試料B<試料C<試料Dである。
図7の表に示した試料A〜試料Dの4種類の液晶を用いて行った実験の条件と、結果の一覧を図8に表として示す。本実験は、概略的に説明すると、試料A〜試料Dの4種類の組成の異なる液晶50を用いて作成した液晶装置100において、無機配向膜16及び22の表面の水の接触角をおよそ30度から80度の範囲で異ならせた場合の、液晶装置の寿命の変化を調べたものである。
まず、図7の表において、「下地層」、「配向層」及び「圧力」の項目は、無機配向膜16及び22を形成する際の成膜条件を示すものである。例えば、データの上から1番目から4番目までの実験に用いられた無機配向膜16及び22は、下地層と配向層を積層することにより構成されたものであることを示している。ここで、下地層及び配向層はともにSiOを蒸着することにより形成されるものであって、配向層は、斜方蒸着法により形成される液晶50に接触する側の層である。一方、下地層は配向層の下層側に通常の蒸着法又は斜方蒸着法により形成される層である。また、データの上から5番目から10番目までの実験に用いられた無機配向膜16及び22は、斜方蒸着法により形成された1層の配向層により構成されたものである。また、圧力は、無機配向膜16及び22を形成する際の蒸着室内の圧力の値を示している。
すなわち、本実験においては、「下地層」、「配向層」及び「圧力」の項目に示される成膜条件によって、「接触角」の項目に示すように、表面の水の接触角をおよそ30度から80度の範囲で変化させた10種類の無機配向膜16及び22を試料として得たのである。
そして、この10種類の接触角が異なる無機配向角16及び22と、試料A〜試料Dの4種類の組成の異なる液晶50とにより液晶装置100を構成し、所定の劣化状態となるまで該液晶装置100に照射された光の照射時間の測定結果を、図8の「性能劣化時間」の項目と、図9のグラフに示す。ここで、性能劣化時間の値は、各試料A〜試料Dのそれぞれにおいて所定の劣化状態となるまでの時間が最も長い条件であるものを100とした無次元数である。すなわち、この「性能劣化時間」の値が大きいほど、その条件における液晶装置100の実質的な寿命が長いものであることを示している。
図9は、横軸を無機配向膜16及び22の表面の水の接触角とし、縦軸を性能劣化時間として、各試料A〜試料D毎に両者の関係を示したものである。なお、図中の曲線は、各試料A〜試料D毎のデータの分布を2次曲線により近似した近似曲線である。
図9に示すように、各試料A〜試料Dのそれぞれの実験結果に着目した場合、4つの試料A〜試料Dの全てにおいて、近似曲線は上に凸の傾向を有するものであり、かつそれぞれの近似曲線上の値が最大となる、すなわち性能劣化時間が最大となる接触角は、4つの試料A〜試料Dにおいてそれぞれ異なる値となることがわかる。
そして、図9における各試料A〜試料Dの上記近似曲線のピークの横軸方向の位置と、図7における各試料A〜試料Dのアルコキシ成分含有比率の値とに着目すると、液晶50のアルコキシ成分含有比率が大きいほど、上記近似曲線がピークを示す接触角は小さくなることは明確である。このアルコキシ成分含有比率の値と、近似曲線がピークを示す接触角の値とをグラフにプロットしたものが、図5のグラフの白丸印である。
すなわち、図9のグラフにおいて性能劣化時間が最大となる接触角の値において、そのアルコキシ成分含有比率を有する液晶50を具備して構成される液晶装置100は、実質的な寿命が最も長くなることを、出願人は本実験により確認したのである。
これは、液晶50に含まれる水素結合性成分であるアルコキシ基が、無機配向膜16及び22の表面のシラノール基と水素結合することにより、シラノール基と液晶との光化学反応が抑えられることによるものと考えられる。
そして、この液晶50のアルコキシ成分含有比率の値と、性能劣化時間が最大となる接触角の値との関係から、上述した最適接触角を求める式(1)が算出される。なお、式(1)は、実験結果を2次式により近似したものであるが、アルコキシ成分含有比率の増加に対して近似曲線がピークを示す接触角は漸減傾向であることから、この実験結果を1次式により近似し、ステップS43における最適接触角の算出をより容易なものとしてもよい。
このように、液晶50のアルコキシ成分含有比率の値と無機配向膜16及び22の表面の値との間に明確な傾向が現れるのは、液晶50に含まれるアルコキシ基の密度と、無機配向膜16及び22の表面のシラノール基の密度との関係には釣り合いが存在することを示している。すなわち、この液晶50に含まれるアルコキシ基の密度と、無機配向膜16及び22の表面のシラノール基の密度との関係に過不足が生じた場合、液晶装置100の寿命が短くなることがわかる。
そして、本実施形態の液晶装置100は、この液晶50に含まれるアルコキシ基の密度と、無機配向膜16及び22の表面のシラノール基の密度とが最適に過不足なく釣り合う関係とすることにより、無機配向膜の表面と液晶分子との反応を抑制して、長期間に亘って高画質の画像表示を行うことが可能となるのである。
また、このような効果を有する本実施形態の液晶装置100の製造においては、配向膜の表面と液晶分子との反応を抑制するために、従来のように特別な組成の液晶を用いたり、添加物を添加したり、新たな洗浄工程を追加する必要がない。
具体的には、本実施形態の液晶装置100の製造は、使用する液晶50のアルコキシ成分含有比率に応じて、無機配向膜16及び22の表面の水の接触角を変更するのみである。そして、この無機配向膜16及び22の表面の水の接触角の変更は、無機配向膜16及び22の成膜条件を変更するのみで可能であることから、従来の液晶装置と同一の材料、製造装置及び製造工程だけを用いて本実施形態の液晶装置を製造することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、より長寿命の液晶装置をコストを上昇させることなく製造することが可能なのである。
次に、以上詳細に説明した液晶装置100をライトバルブとして用いた電子機器である投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。図10は、投射型カラー表示装置の構成例を示す断面図である。図10において、本実施形態における電子機器の一例である液晶プロジェクタ1100は、液晶装置100を、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
なお、本実施形態に係る電子機器は、図10を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型コンピュータ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末又はタッチパネル等の各種電子機器に適用可能である。
なお、上述の実施形態では、TFTを用いたアクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶パネルを液晶装置として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、無機配向膜を用いた他の形式の液晶装置にも本発明を適用可能である。
また、液晶装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置、液晶装置の製造方法及び電子機器の技術的範囲に含まれるものである。
TFTアレイ基板を、その上に構成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図である。 図1のH−H’断面図である。 液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。 成膜条件算出工程のフローチャートである。 アルコキシ成分含有比率と最適接触角との関係を示すグラフである。 蒸着装置の概略的な構成を説明する図である。 実験に使用した液晶の組成を示す表である。 無機配向膜の成膜条件と水の接触角との関係、及び水の接触角と液晶装置の劣化時間との関係を示す表である。 無機配向膜表面の水の接触角と性能劣化時間との関係を示すグラフである。 投射型カラー表示装置の構成例を示す図である。
符号の説明
9a 画素電極、 10 TFTアレイ基板、 16 無機配向膜 、20 対向基板、 21 対向電極、 22 無機配向膜、 50 液晶、 100 液晶装置

Claims (3)

  1. 一対の基板間に液晶を挟持し、該液晶を配向規制する無機配向膜を具備してなる液晶装置の製造方法であって、
    前記液晶におけるアルコキシ基を含有する組成物の構成比率に対応した前記無機配向膜の表面の水の接触角を算出する工程と、
    前記基板の少なくとも一方に、前記算出された水の接触角を有する前記無機配向膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  2. 前記無機配向膜の表面の水の接触角は、前記液晶における前記アルコキシ基を含有した組成物の構成比率が大きくなるほど小さい値とされることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
  3. 前記無機配向膜を形成する工程において、前記無機配向膜を酸化シリコンを2層に積層して蒸着することを特徴とする請求項に記載の液晶装置の製造方法。
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