JP2004156670A - 動圧気体軸受、スピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナ - Google Patents
動圧気体軸受、スピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現する。
【解決手段】動圧気体軸受6は、中空円筒状のスリーブ31と、スリーブ31内に相対回転可能に配置されたシャフト21とを備えている。スリーブ31の壁面とシャフト21の壁面との間に確保された微少間隙35〜37と、そこに存在する気体とによって、スリーブ31とシャフト32との相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部41〜44が構成されている。シャフト21の一方は、軸線方向に延び外周面を有するインナーシャフト23と、インナーシャフト23の外周面に嵌合する内周面を有する筒状のアウターシャフト24とから構成されている。インナーシャフト23の外周面には、両端が微少間隙35〜37に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙35〜37とともに構成する溝55,56が形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】動圧気体軸受6は、中空円筒状のスリーブ31と、スリーブ31内に相対回転可能に配置されたシャフト21とを備えている。スリーブ31の壁面とシャフト21の壁面との間に確保された微少間隙35〜37と、そこに存在する気体とによって、スリーブ31とシャフト32との相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部41〜44が構成されている。シャフト21の一方は、軸線方向に延び外周面を有するインナーシャフト23と、インナーシャフト23の外周面に嵌合する内周面を有する筒状のアウターシャフト24とから構成されている。インナーシャフト23の外周面には、両端が微少間隙35〜37に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙35〜37とともに構成する溝55,56が形成されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧気体軸受に関する。本発明は、さらに、前記動圧気体軸受が採用されたスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録ディスク駆動装置や光ディスク装置などにおける記録情報へのアクセスの高速化の要求や、デジタル複写機やレーザプリンタなどにおける印字品質の向上及び高速化の要求などが高まっている。これらの要求を満たすために、それぞれの装置において使用されるスピンドルモータの高精度化及び高速回転化が進められている。
【0003】
スピンドルモータの高精度化及び高速回転化を実現するためには、スピンドルモータの軸受として動圧気体軸受を採用することが提案されている。動圧気体軸受とは、相対的に回転する部材間に形成される微少間隙に保持される気体の動圧により、回転する部材を非接触にて支持するものである。
ハードディスク装置のような記録ディスク駆動装置では、信頼性を維持するために、外部からのダストの侵入を防止している。ダストが記録ディスクに付着すると、再生エラーやヘッドクラッシュの発生原因となり、装置の信頼性を低下させるからである。
【0004】
しかし、動圧気体軸受においては、回転の開始時及び停止時に軸受部を構成する壁面同士が互いに接触するため、摩耗により粉塵が発生しやすい。この粉塵は気体の移動とともに移動し、やがて動圧気体軸受から外部に排出され、ハードディスク装置内で記録ディスクを汚染するおそれがある。
そこで、その問題を解決するために、動圧気体軸受の内部に動圧軸受部の微少間隙とともに気体の循環通路を構成し、さらに循環通路を外部から遮断するシール部を設けた構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−37144号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1記載された動圧気体軸受では、シャフトの内部に縦孔や横孔を形成して循環通路を形成している。これら縦孔や横孔は機械加工が必要であるため、製造コストが高くなる。
本発明の課題は、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。スリーブ及びシャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成されている。第1部材の周面と第2部材の周面の少なくとも一方には、両端が微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに構成する第1溝が形成されている。
【0008】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0009】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項2に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。動圧気体軸受部は、スリーブの内周面とシャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、スリーブの軸線方向端面とシャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有している。スリーブ及びシャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成されている。第1部材の周面と第2部材の周面の少なくとも一方には、両端がラジアル及びスラスト動圧軸受部の微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに形成する第1溝が形成されている。
【0010】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された第1溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0011】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項3に記載の動圧気体軸受では、請求項2において、スリーブ及びシャフトの一方は、スラスト動圧軸受部を構成する軸線方向端面を有する第3部材をさらに有している。第3部材には、第1溝に連通して循環通路を微少間隙及び第1溝とともに構成する第2溝が形成されている。
【0012】
この動圧気体軸受では、シャフト上の第1溝の端部が第3部材の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、第2溝によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
請求項4に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。動圧気体軸受部は、スリーブの内周面とシャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、スリーブの軸線方向端面とシャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有している。スリーブの内周面においてスラスト動圧軸受部の微少間隙の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部が形成されている、
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、スラスト動圧軸受部の微少間隙内の気体は、遠心力によって半径方向外方に移動し、スリーブのダスト捕捉用の凹部に向かう。そこで、気体に含まれていたダストは凹部に捕捉され、さらなる移動をしにくくなる。この結果、ダストが動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0013】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部にダスト捕捉用の凹部を設けてダストによる汚染を押さえているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項5に記載の動圧気体軸受では、請求項4において、凹部は環状に延びており、半径方向内側から半径方向に平行に凹部の開口を臨んだ場合、凹部の底部の少なくとも一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されて、直接は見ることができないように形成されている。
【0014】
この動圧気体軸受では、凹部の底部の一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されているため、いったん凹部内に入り込んだダストが凹部から外に出るのが困難になっている。
請求項6に記載の動圧気体軸受では、請求項2〜5のいずれかおいて、ラジアル動圧軸受部には、スラスト動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されている。さらにスラスト動圧軸受部には、ラジアル動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されている。なおかつ、空気はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れるように構成されている。
【0015】
この動圧気体軸受では、気体はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れ、さらにスラスト動圧軸受部では半径方向外側に気体が移動する。請求項7に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜6のいずれかにおいて、第1部材は円柱状部材であり、第2部材は第1部材の外周面に嵌合されている。
この動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の外周面又は第2部材の内周面の少なくとも一方に形成されている。
【0016】
請求項8に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜6のいずれかにおいて、第1部材は円筒状部材であり、第2部材は第1部材の内周面及び外周面の一方に嵌合されている。
この動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の内周面若しくは外周面又は第2部材の内周面若しくは外周面の少なくとも1つに形成されている。
【0017】
請求項9に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜8のいずれかにおいて、第1溝は軸線方向に螺旋状に延びている。
この動圧気体軸受では、第1溝が軸線方向に螺旋状に延びているため、軸線方向直線形状の溝より形成が容易である。また、第1溝は、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能も高い。
【0018】
請求項10に記載の動圧気体軸受では、請求項3において、第2溝は平面上に渦巻き状に延びている。
この動圧気体軸受では、第2溝は、平面上に渦巻き状に延びているため、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能が高い。
【0019】
請求項11に記載の動圧気体軸受は、請求項1〜10のいずれかにおいて、第1溝に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている。
この動圧気体軸受では、第1溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項12に記載の動圧気体軸受は、請求項3又は10において、第1及び第2溝の少なくとも一方に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている。
【0020】
この動圧気体軸受では、第1溝及び第2溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝及び第2溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項13に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。シャフトは、両端が微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに構成する多孔質体を有している。
【0021】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、スリーブの多孔質体とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0022】
この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項14に記載の動圧気体軸受では、請求項13において、シャフトは少なくとも外周部分に多孔質体からなる部位を有している。
【0023】
この動圧気体軸受では、多孔質体がシャフトの外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
請求項15に記載の動圧気体軸受は、請求項1〜14のいずれかにおいて、循環通路と動圧気体軸受を収納するハウジング内との空気流通を抑制するためのシール部さらに備えている。
【0024】
この動圧気体軸受では、シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が抑制されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
請求項16に記載の動圧気体軸受は、ハウジング内に収納されて外部と遮断された動圧気体軸受であって、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。スリーブ及びシャフトの少なくとも一方には、微少間隙とともに気体の循環通路を構成する気体連通部が形成されている。動圧気体軸受は、循環通路とハウジング内との空気流通を遮断する磁性流体シール部をさらに備えている。
【0025】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、気体連通部とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0026】
この動圧気体軸受では、磁性流体シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
請求項17に記載のスピンドルモータは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受と、スリーブ及びシャフトの一方に固定されたステータと、ステータに対向するようにスリーブ及びシャフトの他方に固定され、ステータとともに磁気回路部を構成するロータマグネットとを備えている。
【0027】
このスピンドルモータでは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受を備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項18に記載の記録ディスク駆動装置は、ハウジングと、ハウジングに固定された請求項17に記載のスピンドルモータと、スリーブ及びシャフトの一方に固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段とを備えている。
【0028】
この記録ディスク駆動装置では、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項19に記載のポリゴンスキャナは、ハウジングと、ハウジングに固定された請求項17に記載のスピンドルモータと、スリーブ及びシャフトの一方に固定されたポリゴンミラーとを備えている。
【0029】
このポリゴンスキャナでは、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
〈ハードディスク装置10の構成〉
図1に、本発明の第1実施形態にかかるスピンドルモータ1を備えるハードディスク装置10の内部構成を模式図として示す。ハウジング11の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状の記録ディスク18が装着されたスピンドルモータ1が設置されている。加えてハウジング11の内部には、記録ディスク18に対して情報を読み書きする磁気ヘッド移動機構17が配置され、この磁気ヘッド移動機構17は、記録ディスク上の情報を読み書きするヘッド16、このヘッドを支えるアーム15、及びヘッド及びアームをディスク上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部14により構成される。
【0031】
このようなハードディスク装置10では、スピンドルモータ1が回転することによって、記録ディスク18が所定方向に回転駆動される。アクチュエータ部14はアーム15を旋回し、それらに装着されたヘッド16は対応する記録ディスク18の略径方向に移動し、その結果ヘッド16の作用によって記録すべき記録情報が記録ディスク18に磁気的に書き込まれ、又は記録ディスク18に記録された記録情報がヘッド16によって読み取られる。
【0032】
〈スピンドルモータ1の構成〉
図2は、スピンドルモータ1の概略構成を示す縦断面図である。図2に示すO−Oがスピンドルモータ1の回転軸線である。なお、本実施形態の説明では、便宜上図2の上下方向にあわせて「上下方向」を規定するが、これはスピンドルモータ1の使用状態における方向を限定するものではない。
【0033】
スピンドルモータ1は、主に、ハウジング11の内部に固定される静止部材2と、回転部材3と、ステータ4と、ロータマグネット5とから構成される。静止部材2と回転部材3との間には、回転部材3を静止部材2に対して相対回転自在に支持するための動圧気体軸受6が形成されている。
静止部材2は、シャフト21と、それを支持するベース22とから構成されている。シャフト21は、インナーシャフト23と、その回りに嵌合されたアウターシャフト24と、上下両端に設けられた一対のスラストプレート25,26とから構成されている。インナーシャフト23は、頭部23aと、そこから下方に延びる胴部23bとから構成されている。胴部23bは頭部23aより径が小さく、アウターシャフト24は胴部23bの外周面に嵌合している。インナーシャフト23の下端は、ベース22の中心部に固定されている。ステータ4はベース22に固定されている。第1スラストプレート25は、図3に示すように、中心孔25cが胴部23bの外周面最上部に嵌合しており、内周部の両面が頭部23aの下端面とアウターシャフト24の上端面との間に挟まれている。第2スラストプレート26は、中心孔26cが胴部23bの外周面最下部に嵌合しており、内周部の両面がインナーシャフト23のフランジ部23cの上端面とアウターシャフト24の下端面との間に挟まれている。
【0034】
回転部材3は、スリーブ31と、スリーブ31の外周部に嵌合されるハブ32とから構成されている。スリーブ31は、円筒体であり、アウターシャフト24の外周側に回転自在に配置されている。より具体的には、スリーブ31の内周面31aは、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aに対して微少間隙35を介して対向している。また、スリーブ31の上端面31bは、微少間隙36を介して第1スラストプレート25の下端面25aの外周部と対向している。さらに、スリーブ31の下端面31cは、微少間隙37を介して第2スラストプレート26の上端面26aの外周部と対向している。
【0035】
ハブ32にはロータマグネット5が固定されている。ロータマグネット5はステータ4に近接して対向しており、両者により磁気回路部を構成している。
回転部材3は、ハブ32に固定的に保持される記録ディスク18と、複数枚の記録ディスク18の間隔を確保するスペーサ38とが、クランプ39によってスラスト方向に固定されている。
【0036】
〈動圧気体軸受6の構成〉
動圧気体軸受6の各動圧軸受部は、スリーブ31の壁面とシャフト21の壁面との間に形成された微少間隙と、そこに存在する気体とによって構成されている。具体的には、動圧気体軸受6は、第1スラスト動圧軸受部41、第2スラスト動圧軸受部42、第1ラジアル動圧軸受部43及び第2ラジアル動圧軸受部44を含んでいる。以下、図3を参照しながら、スリーブ31及びシャフト21の構造に触れつつ、動圧気体軸受6の構造を説明していく。
【0037】
前述の微少間隙36と、そこに保持される気体とから第1スラスト動圧軸受部41が形成されている。さらに、図5に示すように、第1スラストプレート25の下端面25aには、第1スラスト動圧発生溝46が形成されている。第1スラスト動圧発生溝46は、スパイラル形状であり、半径方向内側に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0038】
前述の微少間隙37と、そこに保持される気体とから第2スラスト動圧軸受部42が形成されている。さらに、図5に示すように、第2スラストプレート26の上端面26aには、第2スラスト動圧発生溝47が形成されている。第2スラスト動圧発生溝47は、スパイラル形状であり、半径方向内側に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0039】
微少間隙35の上半分と、そこに保持される気体とから第1ラジアル動圧軸受部43が形成されている。さらに、図5に示すように、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aの上半分には、第1ラジアル動圧発生溝48が形成されている。第1ラジアル動圧発生溝48は、スパイラル形状であり、第1スラストプレート25に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0040】
微少間隙35の下半分と、そこに保持される気体とから第2ラジアル動圧軸受部44が形成されている。さらに、図5に示すように、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aの下半分には、第2ラジアル動圧発生溝49が形成されている。第2ラジアル動圧発生溝49は、スパイラル形状であり、第2スラストプレート26に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0041】
なお、図5では各動圧発生用溝の形状は説明の便宜のために模式的に描かれている。
〈気体の循環通路の構成〉
次に、この動圧気体軸受6における気体の循環通路について説明する。
アウターシャフト24の外周面24aの軸線方向中間部には、環状溝51が形成されている。この環状溝51は、第1ラジアル動圧軸受部43と第2ラジアル動圧軸受部44とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。さらに、インナーシャフト23の胴部23bの軸線方向中間部には、環状溝53が形成されている。アウターシャフト24内には、環状溝51から半径方向内側に延び環状溝53とに開口する横孔52が形成されている。
【0042】
インナーシャフト23の胴部23bの外周面には、環状溝53から軸線方向上下に延びる溝55,56が形成されている。図6に示すように、溝55,56は軸線方向に螺旋状に延びており、軸線方向外側端は胴部23bの縁部まで延びている。なお、溝55,56は連続した1つの螺旋溝と見なすことができ(環状溝53によって軸線方向中間がカットされている)、旋回方向はそろっている。以上の構造により、溝55,56は旋盤によって一度に形成することができる。
【0043】
図7に示すように、第1スラストプレート25の上端面25bには、半径方向中間部から中心孔25cにまで延びる溝58が形成されている。溝58は渦巻き状であり、上端面25bの半径方向中間部から中心孔25cに向かって反時計回りに延びている。溝58の内周側端は中心孔25cに開口しており、さらにインナーシャフト23の胴部23bの上側の溝55の上側端に開口している。この溝58によって、第1スラストプレート25の上端面25bの内周部がインナーシャフト23の頭部23aの下端面に当接しているのにもかかわらず、溝55の上端部が第1スラストプレート25の軸線方向上側の空間に連通している。言い換えると、この動圧気体軸受6では、インナーシャフト23上の溝55の端部が第1スラストプレート25の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、溝58によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
【0044】
第2スラストプレート26の下端面26bには、半径方向中間部から中心孔26cにまで延びる溝59が形成されている。溝59は渦巻き状であり、下端面26bの半径方向中間部から中心孔26cに向かって反時計回りに延びている。溝59の内周側端は中心孔26cに開口しており、さらにインナーシャフト23の胴部23bの下側の溝56の下側端に開口している。この溝59によって、第2スラストプレート26の下端面26bの内周部がインナーシャフト23のフランジ部23cの上端面に当接しているのにもかかわらず、溝56の下端部が第2スラストプレート26の軸線方向下側の空間に連通している。
【0045】
ハブ32の上端部には、半径方向内側に延びる円板状部32aが形成されている。円板状部32aは第1スラストプレート25の上端面25bの軸線方向上方に配置され、その内周縁はインナーシャフト23の外周面(具体的には胴部23bの外周面)に近接して配置されている。この部分の半径方向隙間が、第1ラビリンスシール64として機能している。
【0046】
ハブ32の下端部はベース22の上端面に近接して配置されている。この部分の軸線方向隙間が、第2ラビリンスシール65として機能している。
以上に述べた動圧気体軸受6内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部41と第1ラジアル動圧軸受部43における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部43(微少間隙35の上半分)から第1スラスト動圧軸受部41(微少間隙36)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部41内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート25の外周面とハブ32の内周面32bの隙間、さらには第1スラストプレート25の上端面25bと円板状部32aの下側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、溝58,溝55内を回りながら流れ、環状溝53及び横孔52から第1ラジアル動圧軸受部43に戻る。
【0047】
次に、第2スラスト動圧軸受部42と第2ラジアル動圧軸受部44における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部44(微少間隙35の下側部分)から第2スラスト動圧軸受部42(微少間隙37)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部42内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート26の外周面とハブ32の内周面32bの隙間、さらには第2スラストプレート26の下端面26bとベース22の上側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、溝59,溝56内を回りながら流れ、環状溝53及び横孔52から第2ラジアル動圧軸受部44に戻る。
【0048】
次に、循環通路におけるフィルタ機能(ダストを捕捉して気体を清浄化する機能)について説明する。
溝55,56,58,59は気体が通過する通路であり、気体中のダストを捕捉し気体を清浄化する機能を有している。さらに、溝55,56は螺旋状になっており、溝58,59は渦巻き状になっており、それぞれの気体の移動距離が長くなっているため、ダスト捕捉機能が向上している。さらに、溝55,56,58,59には、粘着性の材料を塗布するなどしてダスト吸着性能を持たせてもよい。また、溝55,56は螺旋状になっているため、軸方向直線状の溝に比べてこれら溝の形成が容易である。
【0049】
さらに、ハブ32の内周面32bにおいて第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部61が形成されている。
凹部61は、図4に示すように、ハブ32の内周面32bの周方向全体に延びる環状の溝である。凹部61の底面は、軸線方向上側の第1テーパー面61aと、軸線方向下側の第2テーパー面61bとから構成されている。第1テーパー面61aは軸線方向上側に向かって溝深さが浅くなっていき、第2テーパー面61bは軸線方向下側に向かって溝深さが浅くなっていき、第1テーパー面61aと第2テーパー面61bの境界61cが凹部61の最深部となっている。
【0050】
凹部61の軸線方向上側端(具体的には、第1テーパー面61aの軸線方向上側端)は、第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向上側端(具体的には、第1スラストプレート25の下端面25a)より、軸線方向上側に位置している。したがって、凹部61は微少間隙36内のダストをより確実に捕捉する。
【0051】
凹部61は、その軸線方向上側のみが開口している。すなわち、凹部61の開口69は、凹部61の軸線方向上側端とスリーブ31の上端面31bとによって形成されている。この結果、凹部61の軸線方向下側部分はスリーブ31によって半径方向内側に閉ざされた空間になっている。言い換えると、半径方向内側から半径方向に平行に凹部61の開口69を臨んだ場合、凹部61の底部の一部はスリーブ31の上端面31bによって遮蔽されて、直接は見ることができないように形成されている。より具体的には、凹部61の軸線方向下側端(具体的には、第2テーパー面61bの軸線方向下側端)は、第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向下側端(具体的には、スリーブ31の上端面31b)より、軸線方向下側端に位置している。さらに、凹部61の最大径部(具体的には、第1テーパー面61aと第2テーパー面61bの境界61c)も第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向下側端(具体的には、スリーブ31の上端面31b)より、軸線方向下側端に位置している。以上の構造により、いったん凹部61内に入り込んだダストが凹部61から外に出るのが困難になっている。
【0052】
第1スラスト動圧軸受部41の外周部すなわちハブ32の内周面32b付近は、壁面と気体の軸線方向の相対速度がほとんどゼロになる領域であり、その領域ではダストは遠心力によってハブ32の内周面32bに向かって移動する。このダストは、凹部61の開口69から凹部61内に入り、次に第1テーパー面61aに沿って軸線方向下側に境界61cまで移動し、最後に第2テーパー面61bに沿ってスリーブ31の外周側まで移動する。このように循環通路を移動中のダストが凹部61に捕捉されて外に出るのが困難になっているため、気体中のダスト量を低減できる。以上の結果、まず第1スラスト動圧軸受部41の外周部で焼き付きが生じにくくなり、さらに循環する気体中のダストの量が減少するため第1ラジアル動圧軸受部43の焼き付きが生じにくくなる。
【0053】
凹部61の底面に、粘着性のある表面処理を施しておいてもよい。その場合は、付着したダストを確実に捕捉することができ、スピンドルモータ1を持ち運ぶときに向きを変えたり衝撃が加えられても、ダストが凹部61から飛び出さなくなる。
さらに、ハブ32の内周面32bにおいて第2スラスト動圧軸受部42の微少間隙37の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部62が形成されている。なお、凹部62の構造や第2スラスト動圧軸受部42との位置関係は凹部61の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0054】
以上の循環通路のフィルタ機能により、以下の2つの効果が得られる。
▲1▼動圧気体軸受6の外部に(ハードディスク装置10の内部に)に放出されるダストの量が少なくなる。この結果、ハードディスク装置10の記録ディスク18に対する汚染が防止される。すなわち、ハードディスク装置10のエラーが抑制され、信頼性が向上する。
【0055】
▲2▼動圧気体軸受6の各動圧軸受部41〜44の微少間隙内に入り込むダストの量が少なくなる。この結果、動圧気体軸受6の焼き付きが抑制され、信頼性が向上する。
〈スピンドルモータ1の作用〉
(1)回転動作
ステータ4のコイルへ通電されると、ステータ4及びロータマグネット5が協働してスリーブ31を回転駆動させる。この結果、回転部材3が静止部材2に対して回転する。この回転運動により、動圧気体軸受6が次の作用を奏する。
【0056】
(2)軸受の作用
回転運動中のスピンドルモータ1においては、微少間隙35と微少間隙36とが接続する付近(第1スラスト動圧軸受部41の内周部)、及び微少間隙35と微少間隙36とが接続する付近(第2スラスト動圧軸受部42の内周部)が高圧となる。これら高圧部分が、スラスト方向及びラジアル方向への荷重を支持する。
【0057】
〈スピンドルモータ1の効果〉
以上に述べた本発明のスピンドルモータ1及び動圧気体軸受6の作用効果をまとめると、以下のようになる。
(1)微少間隙35,36,37と溝55,56,58,59とによって気体の循環通路を構成しているため、気体が動圧気体軸受6内を循環し外部に排出されにくい。したがって、動圧気体軸受6内のダストがハードディスク装置10の記録ディスク18等を汚染しにくい。
【0058】
特に、動圧気体軸受6の循環通路の上下両端は第1及び第2ラビリンスシール64,65によってシールされているため、循環通路とハウジング11内での気体の流通が抑制されている。この結果、ダストが動圧気体軸受6の外部すなわちハウジング11内に出にくくなっている。なお、動圧気体軸受6の循環通路とハウジング11内との気体流通を抑制するシール構造としては、磁性流体シール部など他の構造を用いてもよい。
【0059】
(2)循環通路を構成する溝55,56がシャフト21のインナーシャフト23の外周面に形成されており、そのためスリーブ内に縦孔を形成する必要がない。
a)したがって、機械加工が不要になり、製造コストが低くなる。なお、本願発明の溝55,56は旋盤によって加工可能であるため、循環通路の形成が容易である。特に、溝55,56が螺旋状であるため、溝55,56の形成がさらに容易になっている。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0060】
b)したがって、シャフトに縦孔の一端を遮蔽するためのゴムボールが不要になる。その結果、製造コストが低くなる。
c)したがって、シャフトのインナーシャフト23が中実構造になり、高剛性になる。
d)したがって、循環通路とインナーシャフト23の上端固定用雌ねじ66との干渉が生じない。
【0061】
〈ハードディスク装置10の効果〉
ハードディスク装置10は、上記の効果を有するスピンドルモータ1を備えるため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少なく且つ安価な製品となっている。
〈第1実施形態の変形例〉
(1)ダスト捕捉用の凹部の形状は、前記実施形態の凹部61の形状に限定されない。
【0062】
a)図8に示す凹部72の底面は、第1テーパー面72aと第2テーパー面72bとの境界に、さらに半径方向外側に凹む溝部72cを有している。溝部72cは、軸線方向位置がスリーブ31の上端面31bより軸線方向内側に位置している。したがって、ダストは第1テーパー面72aに沿って移動し、溝部72c内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0063】
b)図9に示す凹部73の底面は、第1テーパー面73aと、その軸線方向下側端部から軸線方向下側にストレートに延びる側面73bと、その軸線方向下側端から内周面32bまで延びる軸線方向端面73cとを有している。軸線方向端面73cは、軸線方向上側を向いた平坦面である。そのため、側面73bとスリーブ31の外周面31dとの間には、筒状の空間73dが確保されている。したがって、ダストは第1テーパー面73aに沿って移動し、空間73d内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0064】
c)図10に示す凹部74は、テーパー面ではなく、半円形状の底面74aを有している。この場合もテーパー面と同等の効果が得られる。
d)図11に示す凹部75の底面は、テーパー面75aと、軸線方向端面75bとを有している。テーパー面75aはすでに述べた実施形態と同様であり、軸線方向端面75bは、テーパー面75aの軸線方向下側において軸線方向上側を向いた平坦面である。凹部75の底面は、さらに、テーパー面75aと下側面75bとの境界にさらに半径方向外側に凹む溝部75cを有している。溝部75cは、軸線方向位置がスリーブ31の上端面31bより軸線方向内側に位置している。以上の構造の結果、ダストはテーパー面75aに沿って移動し、溝部75c内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0065】
(2)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、必ずしも螺旋状である必要はない。例えば、斜め溝(スパイラル形状を含む)、縦溝、横溝の単独又は組み合わせであってもよい。
(3)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、アウターシャフトの内周面に形成されていてもよい。また、インナーシャフトの外周面とアウターシャフトの内周面の両方に形成されていてもよい。
【0066】
(4)シャフトの周面に循環通路用の溝を形成する技術と、ハブにダスト捕捉用の凹部を設ける技術とは必ずしも同一の製品に採用する必要はない。
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態にかかるスピンドルモータ1’の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ1’は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0067】
前記実施形態では、気体の循環通路を構成する溝が、インナーシャフト23とアウターシャフト24との間に形成されていたが、本実施形態ではスリーブ31とハブ32との間に形成されている。
ハブ32の内周面32bには、軸線方向上下両側にそれぞれ延びる溝85,86が形成されている。溝85は、内周面32bの軸線方向上側半分に形成されており、螺旋状に延びている。溝85は、軸線方向下側端が環状溝83に連通しており、軸線方向上側端が第1スラスト動圧軸受部41の外周側に連通している。溝85は、内周面32bの軸線方向下側半分に形成されており、螺旋状に延びている。溝85は、軸線方向上側端が環状溝83に連通しており、軸線方向下側端が第2スラスト動圧軸受部42の外周側に連通している。
【0068】
スリーブ31の内周面31aの軸線方向中間部には、環状溝81が形成されている。この環状溝81は、第1ラジアル動圧軸受部43と第2ラジアル動圧軸受部44とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。さらに、スリーブ31の外周面31dの軸線方向中間部には、環状溝83が形成されている。環状溝81と環状溝83との間には、スリーブ31内を半径方向に貫通する横孔82が形成されている。
【0069】
ハブ32とスリーブ31は焼き嵌めにより締結されている。従来であればハブ32の内周面32bとスリーブ31の外周面31dの形状誤差によって、焼き嵌め時に接触位置が不均一になり、片当たりやかじりが発生していた。しかし、本発明の実施形態ではハブ32とスリーブ31の少なくとも一方に溝が形成されているため、接触位置が均等に分布し、安定した締結状態が得られる。
【0070】
以上に述べた動圧気体軸受6内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部41と第1ラジアル動圧軸受部43における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部43(微少間隙35の上半分)から第1スラスト動圧軸受部41(微少間隙36)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部41内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、溝85内を回りながら移動し、環状溝83,横孔82及び環状溝81から第1ラジアル動圧軸受部43に戻る。
【0071】
次に、第2スラスト動圧軸受部42と第2ラジアル動圧軸受部44における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部44(微少間隙35の下半分)から第2スラスト動圧軸受部42(微少間隙37)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部42内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、溝85内を回りながら移動し、環状溝83,横孔82及び環状溝81を介して第2ラジアル動圧軸受部44に戻る。
【0072】
この実施形態では、気体の循環通路は第1スラストプレート25と第2スラストプレート26の軸線方向間に限定されている。言い換えると、第1スラストプレート25及び第2スラストプレート26の軸線方向外側は気体の循環通路とはなっておらず、さらには第1スラストプレート25及び第2スラストプレート26には気体循環のための溝が形成されていない。
【0073】
以上に述べた循環通路によって前記実施形態と同様の効果が得られる。
〈第2実施形態の変形例〉
(1)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、必ずしも螺旋状である必要はない。例えば、斜め溝(スパイラル形状を含む)、縦溝、横溝の単独又は組み合わせであってもよい。
【0074】
(2)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、スリーブの外周面に形成されていてもよい。また、ハブの内周面とスリーブの外周面の両方に形成されていてもよい。
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態にかかるスピンドルモータ101の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ101は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0075】
〈気体の循環通路の構成〉
図14を用いて、動圧気体軸受106における気体の循環通路について説明する。
アウターシャフト124の外周面124aの軸線方向中間部には、環状溝151が形成されている。この環状溝151は、第1ラジアル動圧軸受部143と第2ラジアル動圧軸受部144とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。インナーシャフト123の外周面の軸線方向中間部には、環状溝153が形成されている。アウターシャフト124内には、環状溝151から半径方向内側に延び、環状溝153に開口する横孔152が形成されている。
【0076】
インナーシャフト123内には、中心を軸線方向に貫通する縦孔155が形成されている。縦孔155の軸線方向上端は、上端固定用雌ねじ166まで延びている。縦孔155の軸線方向下端は、底面まで貫通しているが、ゴムボール156によってシールされている。
さらに、インナーシャフト123内には、半径方向に外周面と縦孔155を連通する第1〜第4横孔157〜160が形成されている。第1横孔157は、縦孔155の上端部から半径方向外側に延び、第1スラストプレート125とハブ132の円板状部132aとの間の空間に開口している。第2横孔158は、縦孔155の軸線方向中間部から半径方向外側に延び、環状溝153に開口している。第3横孔159は、縦孔155の軸線方向下端部から半径方向外側に延び、第4横孔160は、第3横孔159よりさらに下側で、縦孔155の軸線方向下端部から半径方向外側に延びている。
【0077】
図15に示すように、インナーシャフト123の軸線方向上側端の外周面とハブ132の円板状部132aの内周面との間には、第1磁性流体シール部171が形成されている。具体的には、インナーシャフト123には滑らかに湾曲した環状凸部172が形成され、それに対応して円板状部132aには滑らかに湾曲した環状凹部173が形成されており、両者の間に磁性流体174が保持されている。この第1磁性流体シール部171によって、第1スラストプレート125と円板状部132aとの間の空間が外側の空間(ハウジング内の空間)から遮断されている。
【0078】
第2スラストプレート126とベース122との軸線方向間には、円板状部材180が配置されている。円板状部材180の外周面はハブ132の軸線方向下端部の内周面132bに固定されており、内周面はインナーシャフト123の外周面に近接している。図16に示すように、インナーシャフト123の軸線方向下側端の外周面と円板状部材180の内周面との間には、第2磁性流体シール部181が形成されている。具体的には、インナーシャフト123には滑らかに湾曲した環状凸部182が形成され、それに対応して円板状部材180には滑らかに湾曲した環状凹部183が形成されており、両者の間に磁性流体184が保持されている。この第2磁性流体シール部181によって、円板状部材180の軸線方向両側の空間が互いに遮断されている。
【0079】
図16に示すように、第3横孔159は第2磁性流体シール部181の軸線方向上側の空間に開口しており、第4横孔160は第2磁性流体シール部181の軸線方向下側の空間に開口している。さらに、縦孔155において第3横孔159と第4横孔160との間にはフィルタ186が配置されている。フィルタ186は、気体を通過させる際にダストを捕捉し気体を清浄化するための部材である。フィルタ186は、空気の流れを妨げず、かつ動圧に影響を与えないものであることが好ましく、例えば繊維状や多孔質体が用いられる。
【0080】
以上に述べた動圧気体軸受106内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部141と第1ラジアル動圧軸受部143における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部143(微少間隙135の上半分)から第1スラスト動圧軸受部141(微少間隙136)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部141内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート125の外周面とハブ132の内周面の隙間、さらには第1スラストプレート125の上端面125bと円板状部132aの下側面との間の隙間に流れる。気体は、さらに、第1横孔157から縦孔155に入り、第2横孔158,環状溝153,横孔152,環状溝151から第1ラジアル動圧軸受部143に戻る。
【0081】
次に、第2スラスト動圧軸受部142と第2ラジアル動圧軸受部144における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部144(微少間隙135の下半分)から第2スラスト動圧軸受部142(微少間隙137)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部144内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート126の外周面とハブ132の内周面の隙間、さらには第2スラストプレート126の下端面126bとベース122の上側面との間の隙間に流れる。気体は、さらに、第3横孔159から縦孔155に入り、第2横孔158,環状溝153,横孔152,環状溝151から第2ラジアル動圧軸受部144に戻る。
【0082】
以上に述べた動圧気体軸受106の内部の気体の循環通路は、第1及び第2磁性流体シール部171,181によってハウジング11内の空間から遮断されている。また、この気体の循環通路は、縦孔155の軸線方向下端部からフィルタ186,第4横孔160を介して円板状部材180とベース122との隙間に連通し、さらにハブ132とベース122との間から軸受外部に連通している。したがって、モータ内外の圧力差が生じにくくなっており、その結果第1及び第2磁性流体シール部171,181での決壊が生じにくい。
【0083】
この動圧気体軸受106では、第1及び第2磁性流体シール部171,181によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環する気体が動圧気体軸受106の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。さらに、フィルタ186によって、動圧気体軸受106内を通過した空気は、摩耗粉を含んだままモータ外部に排出されることはない。
【0084】
さらに、第1及び第2磁性流体シール部171,181によって、回転部材103のアースをとることができる。これにより、記録ディスク118が帯電しにくい。従来であれば、記録ディスク118はヘッドとの接触で回転開始初期時には摩擦で帯電しやすく、さらに定常回転時には回転部材103が静止部材102と非接触であるために、記録ディスク118の帯電電荷を除去することが困難であった。
【0085】
〈第3実施形態の変形例〉
(1)気体の循環通路において縦孔155,第1〜第3横孔157〜159の部分は、前記第1実施形態のように、インナーシャフト123の外周面やアウターシャフト124の内周面に形成した溝に置き換えてもよい。
(2)上下両側の磁性流体シール部の一方をラビリンスシールに置き換えてもよい。
【0086】
(3)上下両側のスラスト動圧軸受部の一方をオイル動圧軸受部とする(ラジアルが動圧気体軸受で、スラストがオイル動圧軸受の複合軸受とする)ことで、上下両側の磁性流体シール部の一方をなくしてもよい。
[第4実施形態]
図17は、本発明の第4実施形態にかかるスピンドルモータ201の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ201は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0087】
インナーシャフト223は、全体が多孔質体から構成されている。多孔質体の一例としては、焼結性合金がある。焼結性合金とは、各種金属粉末や金属化合物粉末、非金属粉末を原料として成形型により加圧成形したものを焼結して得られたものであり、その内部には微細な連続空孔が形成されている。原料としては、銅系材料(例えば、Cu−Fe、Cu−Sn、Cu−Sn−Pb等)を主成分としたものが用いられる。
【0088】
なお、インナーシャフト223の上下両端面にはメッキ封孔処理が施されており、外部の気体がインナーシャフト223内に流入するのを抑えている。
本実施形態に係る動圧気体軸受206の気体の循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部241と第1ラジアル動圧軸受部243における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部243(微少間隙235の上半分)から第1スラスト動圧軸受部241(微少間隙236)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部241内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート225の外周面とハブ232の内周面232bの隙間、さらには第1スラストプレート225の上端面225bと円板状部232aの下側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、インナーシャフト223の多孔質体の内部を通って、横孔252,環状溝251から第1ラジアル動圧軸受部243に戻る。
【0089】
次に、第2スラスト動圧軸受部242と第2ラジアル動圧軸受部244における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部244(微少間隙235の下半分)から第2スラスト動圧軸受部242(微少間隙236)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部242内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート226の外周面とハブ232の内周面232bの隙間、さらには第2スラストプレート226の下端面226bと円板状部材280の上側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、インナーシャフト223の多孔質体の内部を通って、横孔252,環状溝251から第2ラジアル動圧軸受部244に戻る。
【0090】
この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
さらに、多孔質体はダスト捕捉用のフィルタとしても機能している。そのため、特別な集塵フィルタが不要になり、さらに安価になる。
【0091】
第4実施形態の変形例として、図18に示すように、インナーシャフト223’は、通常の金属製の円柱部223aと、その外周に嵌められた多孔質体の筒状部223bとから構成されていてもよい。筒状部223bは、上部が第1スラストプレート225とハブ232の円板状部232aとの間の空間に連通しており、下部が第2スラストプレート226と円板状部材280との間の空間に連通している。
【0092】
この動圧気体軸受では、多孔質体をシャフト本体の外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0093】
(1)第1実施形態においては、スピンドルモータ1への搭載物として記録ディスク18を採用したハードディスク装置10について説明した。
ここで、スピンドルモータ1の搭載物は、スピンドルモータの用途に応じて様々なものをあげることができる。例えば、レーザービームプリンタのポリゴンスキャナ用であれば、ポリゴンミラーであり、プロジェクターに搭載されるカラーホイール駆動装置であれば、カラーホイールである。
【0094】
ここで、図19にポリゴンスキャナ410の概略構成を示す縦断面図を示す。ポリゴンスキャナ410は、図示しないハウジングと、ハウジングに固定されたスピンドルモータ401と、ミラー430と、ミラー押さえ431と、カバー部440とを備えている。ポリゴンスキャナ410は、例えば、デジタル複写機等のレーザー書き込み系に用いられ、スピンドルモータ401によりミラー430を高速回転させて、レーザーダイオードから照射された光線を感光体上にスキャンする。
【0095】
スピンドルモータ401は、静止部材402と、回転部材403と、ステータ404と、ロータマグネット405とから構成される。スピンドルモータ401は、スピンドルモータ1とほぼ同様の構成であり、第1実施形態で説明したスピンドルモータ1の効果と同様の効果を奏する。スピンドルモータ401とスピンドルモータ1とは、静止部材402の備えるシャフト420の形状や回転部材403の備えるハブ460の形状において相違する。ハブ460は、外周面に顎部460aを有する円筒体である。
【0096】
ミラー430は、側面が多面の鏡で構成される板状の部材であり、スピンドルモータ401の回転部材403を構成するハブ460に固定的に保持される。
ミラー押さえ431は、ハブ460に固定され、さらにミラー430をスラスト方向に固定する。これにより、スピンドルモータ401の回転部材403と、ミラー430と、ミラー押さえ431とが一体的に回転運動する。また、ミラー押さえ431には、空気流通用スリット435が設けられ、動圧気体軸受406への空気の流通を確保する。
【0097】
カバー部440は、カバー441と、光線透過用スリット442と、ガラスカバー443とから構成される。カバー441は、スピンドルモータ401の動圧気体軸受406へのダスト侵入を防ぐため、動圧気体軸受406を密閉するよう静止部材402に固定される。光線透過用スリット442は、カバー441の側面部に設けられたスリットで、ガラスカバー443により覆われ、密閉性を確保しつつ光線を透過させる。
【0098】
このポリゴンスキャナ410には前記実施形態のいずれのスピンドルモータ及び動圧気体軸受を適用することで、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ないポリゴンスキャナを安価に実現できる。
(2)以上で説明した実施の形態は、本発明の実施形態をこれらに限定するものではない。例えば、動圧発生用溝は、図面においては、動圧気体軸受部を構成する一方の面にのみ描かれているが、動圧気体軸受部を構成する他の一方の面、あるいは両方の面にあってもよい。また、各実施の形態においては、各動圧発生用溝の形状を指定したが、それらは他の形状であっても本発明の効果が失われる訳ではない。
【0099】
(3)前記実施形態では、いずれのラジアル動圧軸受部においても気体介在部と反対側にすなわちスラスト動圧軸受部側に流対動圧が誘起されるような動圧発生用溝が形成されていたが、それ以外の構造にも本発明を適用できる。
【0100】
【発明の効果】
請求項1に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0101】
請求項2に記載の動圧気体軸受では、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された第1溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0102】
請求項3に記載の動圧気体軸受では、シャフト上の第1溝の端部が第3部材の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、第2溝によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
請求項4に記載の動圧気体軸受では、スラスト動圧軸受部の微少間隙内の気体は、遠心力によって半径方向外方に移動し、スリーブのダスト捕捉用の凹部に向かう。そこで、気体に含まれていたダストは凹部に捕捉され、さらなる移動をしにくくなる。この結果、ダストが動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部にダスト捕捉用の凹部を設けてダストによる汚染を押さえているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0103】
請求項5に記載の動圧気体軸受では、凹部の底部の一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されているため、いったん凹部内に入り込んだダストが凹部から外に出るのが困難になっている。
請求項6に記載の動圧気体軸受では、気体はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れ、さらにスラスト動圧軸受部では半径方向外側に気体が移動する。
【0104】
請求項7に記載の動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の外周面又は第2部材の内周面の少なくとも一方に形成されている。
請求項8に記載の動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の内周面若しくは外周面又は第2部材の内周面若しくは外周面の少なくとも1つに形成されている。請求項9に記載の動圧気体軸受では、第1溝が軸線方向に螺旋状に延びているため、軸線方向直線形状の溝より形成が容易である。また、第1溝は、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能も高い。
【0105】
請求項10に記載の動圧気体軸受では、第2溝は、平面上に渦巻き状に延びているため、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能が高い。
請求項11に記載の動圧気体軸受では、第1溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
【0106】
請求項12に記載の動圧気体軸受では、第1溝及び第2溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝及び第2溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項13に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、スリーブの多孔質体とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0107】
請求項14に記載の動圧気体軸受では、多孔質体がシャフトの外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
請求項15に記載の動圧気体軸受では、シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が抑制されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
【0108】
請求項16に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、気体連通部とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、磁性流体シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
【0109】
請求項17に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受を備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項18に記載の記録ディスク駆動装置では、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0110】
請求項19に記載のポリゴンスキャナでは、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのスピンドルモータを備えるハードディスク装置の模式図。
【図2】本発明の第1実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図3】図2の部分拡大図であり、本発明の第1実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図4】図3の部分拡大図であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図5】シャフトの平面を模式的に表した図。
【図6】シャフトの中心シャフトの外観図。
【図7】スラストプレートの外観図。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図12】本発明の第2実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図13】本発明の第3実施形態としてのスピンドルモータのの縦断面概略図。
【図14】図13の部分拡大図であり、本発明の第3実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図15】図14の部分拡大図であり、第1磁性流体シール部を説明するための図。
【図16】図14の部分拡大図であり、第2磁性流体シール部を説明するための図。
【図17】本発明の第4実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図18】本発明の第4実施形態の変形例としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図19】本発明のその他の実施形態としてのポリゴンスキャナの縦断面概略図。
【符号の説明】
1 スピンドルモータ
4 ステータ
5 ロータマグネット
6 動圧気体軸受
10 ハードディスク装置
11 ハウジング
18 記録ディスク
21 シャフト
23 インナーシャフト
24 アウターシャフト
25 第1スラストプレート
26 第2スラストプレート
31 スリーブ
32 ハブ
41 第1スラスト動圧軸受部
42 第2スラスト動圧軸受部
43 第1ラジアル動圧軸受部
44 第2ラジアル動圧軸受部
55,56 溝(第1溝)
58,59 溝(第2溝)
61 凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧気体軸受に関する。本発明は、さらに、前記動圧気体軸受が採用されたスピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録ディスク駆動装置や光ディスク装置などにおける記録情報へのアクセスの高速化の要求や、デジタル複写機やレーザプリンタなどにおける印字品質の向上及び高速化の要求などが高まっている。これらの要求を満たすために、それぞれの装置において使用されるスピンドルモータの高精度化及び高速回転化が進められている。
【0003】
スピンドルモータの高精度化及び高速回転化を実現するためには、スピンドルモータの軸受として動圧気体軸受を採用することが提案されている。動圧気体軸受とは、相対的に回転する部材間に形成される微少間隙に保持される気体の動圧により、回転する部材を非接触にて支持するものである。
ハードディスク装置のような記録ディスク駆動装置では、信頼性を維持するために、外部からのダストの侵入を防止している。ダストが記録ディスクに付着すると、再生エラーやヘッドクラッシュの発生原因となり、装置の信頼性を低下させるからである。
【0004】
しかし、動圧気体軸受においては、回転の開始時及び停止時に軸受部を構成する壁面同士が互いに接触するため、摩耗により粉塵が発生しやすい。この粉塵は気体の移動とともに移動し、やがて動圧気体軸受から外部に排出され、ハードディスク装置内で記録ディスクを汚染するおそれがある。
そこで、その問題を解決するために、動圧気体軸受の内部に動圧軸受部の微少間隙とともに気体の循環通路を構成し、さらに循環通路を外部から遮断するシール部を設けた構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−37144号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1記載された動圧気体軸受では、シャフトの内部に縦孔や横孔を形成して循環通路を形成している。これら縦孔や横孔は機械加工が必要であるため、製造コストが高くなる。
本発明の課題は、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。スリーブ及びシャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成されている。第1部材の周面と第2部材の周面の少なくとも一方には、両端が微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに構成する第1溝が形成されている。
【0008】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0009】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項2に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。動圧気体軸受部は、スリーブの内周面とシャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、スリーブの軸線方向端面とシャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有している。スリーブ及びシャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成されている。第1部材の周面と第2部材の周面の少なくとも一方には、両端がラジアル及びスラスト動圧軸受部の微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに形成する第1溝が形成されている。
【0010】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された第1溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0011】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項3に記載の動圧気体軸受では、請求項2において、スリーブ及びシャフトの一方は、スラスト動圧軸受部を構成する軸線方向端面を有する第3部材をさらに有している。第3部材には、第1溝に連通して循環通路を微少間隙及び第1溝とともに構成する第2溝が形成されている。
【0012】
この動圧気体軸受では、シャフト上の第1溝の端部が第3部材の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、第2溝によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
請求項4に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。動圧気体軸受部は、スリーブの内周面とシャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、スリーブの軸線方向端面とシャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有している。スリーブの内周面においてスラスト動圧軸受部の微少間隙の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部が形成されている、
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、スラスト動圧軸受部の微少間隙内の気体は、遠心力によって半径方向外方に移動し、スリーブのダスト捕捉用の凹部に向かう。そこで、気体に含まれていたダストは凹部に捕捉され、さらなる移動をしにくくなる。この結果、ダストが動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0013】
この動圧気体軸受では、循環通路の一部にダスト捕捉用の凹部を設けてダストによる汚染を押さえているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項5に記載の動圧気体軸受では、請求項4において、凹部は環状に延びており、半径方向内側から半径方向に平行に凹部の開口を臨んだ場合、凹部の底部の少なくとも一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されて、直接は見ることができないように形成されている。
【0014】
この動圧気体軸受では、凹部の底部の一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されているため、いったん凹部内に入り込んだダストが凹部から外に出るのが困難になっている。
請求項6に記載の動圧気体軸受では、請求項2〜5のいずれかおいて、ラジアル動圧軸受部には、スラスト動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されている。さらにスラスト動圧軸受部には、ラジアル動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されている。なおかつ、空気はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れるように構成されている。
【0015】
この動圧気体軸受では、気体はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れ、さらにスラスト動圧軸受部では半径方向外側に気体が移動する。請求項7に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜6のいずれかにおいて、第1部材は円柱状部材であり、第2部材は第1部材の外周面に嵌合されている。
この動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の外周面又は第2部材の内周面の少なくとも一方に形成されている。
【0016】
請求項8に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜6のいずれかにおいて、第1部材は円筒状部材であり、第2部材は第1部材の内周面及び外周面の一方に嵌合されている。
この動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の内周面若しくは外周面又は第2部材の内周面若しくは外周面の少なくとも1つに形成されている。
【0017】
請求項9に記載の動圧気体軸受では、請求項1〜8のいずれかにおいて、第1溝は軸線方向に螺旋状に延びている。
この動圧気体軸受では、第1溝が軸線方向に螺旋状に延びているため、軸線方向直線形状の溝より形成が容易である。また、第1溝は、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能も高い。
【0018】
請求項10に記載の動圧気体軸受では、請求項3において、第2溝は平面上に渦巻き状に延びている。
この動圧気体軸受では、第2溝は、平面上に渦巻き状に延びているため、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能が高い。
【0019】
請求項11に記載の動圧気体軸受は、請求項1〜10のいずれかにおいて、第1溝に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている。
この動圧気体軸受では、第1溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項12に記載の動圧気体軸受は、請求項3又は10において、第1及び第2溝の少なくとも一方に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている。
【0020】
この動圧気体軸受では、第1溝及び第2溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝及び第2溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項13に記載の動圧気体軸受は、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。シャフトは、両端が微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を微少間隙とともに構成する多孔質体を有している。
【0021】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、スリーブの多孔質体とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0022】
この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項14に記載の動圧気体軸受では、請求項13において、シャフトは少なくとも外周部分に多孔質体からなる部位を有している。
【0023】
この動圧気体軸受では、多孔質体がシャフトの外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
請求項15に記載の動圧気体軸受は、請求項1〜14のいずれかにおいて、循環通路と動圧気体軸受を収納するハウジング内との空気流通を抑制するためのシール部さらに備えている。
【0024】
この動圧気体軸受では、シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が抑制されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
請求項16に記載の動圧気体軸受は、ハウジング内に収納されて外部と遮断された動圧気体軸受であって、中空円筒状のスリーブと、スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備えている。スリーブの壁面とシャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、微少間隙に存在する気体とによって、スリーブとシャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成されている。スリーブ及びシャフトの少なくとも一方には、微少間隙とともに気体の循環通路を構成する気体連通部が形成されている。動圧気体軸受は、循環通路とハウジング内との空気流通を遮断する磁性流体シール部をさらに備えている。
【0025】
この動圧気体軸受では、スリーブとシャフトとの相対的な回転運動は、動圧軸受部に動圧を発生させ、この動圧により動圧気体軸受は軸受荷重を支持する。一方、動圧軸受部を構成する微少間隙は、気体連通部とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。
【0026】
この動圧気体軸受では、磁性流体シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
請求項17に記載のスピンドルモータは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受と、スリーブ及びシャフトの一方に固定されたステータと、ステータに対向するようにスリーブ及びシャフトの他方に固定され、ステータとともに磁気回路部を構成するロータマグネットとを備えている。
【0027】
このスピンドルモータでは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受を備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項18に記載の記録ディスク駆動装置は、ハウジングと、ハウジングに固定された請求項17に記載のスピンドルモータと、スリーブ及びシャフトの一方に固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段とを備えている。
【0028】
この記録ディスク駆動装置では、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項19に記載のポリゴンスキャナは、ハウジングと、ハウジングに固定された請求項17に記載のスピンドルモータと、スリーブ及びシャフトの一方に固定されたポリゴンミラーとを備えている。
【0029】
このポリゴンスキャナでは、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
〈ハードディスク装置10の構成〉
図1に、本発明の第1実施形態にかかるスピンドルモータ1を備えるハードディスク装置10の内部構成を模式図として示す。ハウジング11の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状の記録ディスク18が装着されたスピンドルモータ1が設置されている。加えてハウジング11の内部には、記録ディスク18に対して情報を読み書きする磁気ヘッド移動機構17が配置され、この磁気ヘッド移動機構17は、記録ディスク上の情報を読み書きするヘッド16、このヘッドを支えるアーム15、及びヘッド及びアームをディスク上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部14により構成される。
【0031】
このようなハードディスク装置10では、スピンドルモータ1が回転することによって、記録ディスク18が所定方向に回転駆動される。アクチュエータ部14はアーム15を旋回し、それらに装着されたヘッド16は対応する記録ディスク18の略径方向に移動し、その結果ヘッド16の作用によって記録すべき記録情報が記録ディスク18に磁気的に書き込まれ、又は記録ディスク18に記録された記録情報がヘッド16によって読み取られる。
【0032】
〈スピンドルモータ1の構成〉
図2は、スピンドルモータ1の概略構成を示す縦断面図である。図2に示すO−Oがスピンドルモータ1の回転軸線である。なお、本実施形態の説明では、便宜上図2の上下方向にあわせて「上下方向」を規定するが、これはスピンドルモータ1の使用状態における方向を限定するものではない。
【0033】
スピンドルモータ1は、主に、ハウジング11の内部に固定される静止部材2と、回転部材3と、ステータ4と、ロータマグネット5とから構成される。静止部材2と回転部材3との間には、回転部材3を静止部材2に対して相対回転自在に支持するための動圧気体軸受6が形成されている。
静止部材2は、シャフト21と、それを支持するベース22とから構成されている。シャフト21は、インナーシャフト23と、その回りに嵌合されたアウターシャフト24と、上下両端に設けられた一対のスラストプレート25,26とから構成されている。インナーシャフト23は、頭部23aと、そこから下方に延びる胴部23bとから構成されている。胴部23bは頭部23aより径が小さく、アウターシャフト24は胴部23bの外周面に嵌合している。インナーシャフト23の下端は、ベース22の中心部に固定されている。ステータ4はベース22に固定されている。第1スラストプレート25は、図3に示すように、中心孔25cが胴部23bの外周面最上部に嵌合しており、内周部の両面が頭部23aの下端面とアウターシャフト24の上端面との間に挟まれている。第2スラストプレート26は、中心孔26cが胴部23bの外周面最下部に嵌合しており、内周部の両面がインナーシャフト23のフランジ部23cの上端面とアウターシャフト24の下端面との間に挟まれている。
【0034】
回転部材3は、スリーブ31と、スリーブ31の外周部に嵌合されるハブ32とから構成されている。スリーブ31は、円筒体であり、アウターシャフト24の外周側に回転自在に配置されている。より具体的には、スリーブ31の内周面31aは、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aに対して微少間隙35を介して対向している。また、スリーブ31の上端面31bは、微少間隙36を介して第1スラストプレート25の下端面25aの外周部と対向している。さらに、スリーブ31の下端面31cは、微少間隙37を介して第2スラストプレート26の上端面26aの外周部と対向している。
【0035】
ハブ32にはロータマグネット5が固定されている。ロータマグネット5はステータ4に近接して対向しており、両者により磁気回路部を構成している。
回転部材3は、ハブ32に固定的に保持される記録ディスク18と、複数枚の記録ディスク18の間隔を確保するスペーサ38とが、クランプ39によってスラスト方向に固定されている。
【0036】
〈動圧気体軸受6の構成〉
動圧気体軸受6の各動圧軸受部は、スリーブ31の壁面とシャフト21の壁面との間に形成された微少間隙と、そこに存在する気体とによって構成されている。具体的には、動圧気体軸受6は、第1スラスト動圧軸受部41、第2スラスト動圧軸受部42、第1ラジアル動圧軸受部43及び第2ラジアル動圧軸受部44を含んでいる。以下、図3を参照しながら、スリーブ31及びシャフト21の構造に触れつつ、動圧気体軸受6の構造を説明していく。
【0037】
前述の微少間隙36と、そこに保持される気体とから第1スラスト動圧軸受部41が形成されている。さらに、図5に示すように、第1スラストプレート25の下端面25aには、第1スラスト動圧発生溝46が形成されている。第1スラスト動圧発生溝46は、スパイラル形状であり、半径方向内側に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0038】
前述の微少間隙37と、そこに保持される気体とから第2スラスト動圧軸受部42が形成されている。さらに、図5に示すように、第2スラストプレート26の上端面26aには、第2スラスト動圧発生溝47が形成されている。第2スラスト動圧発生溝47は、スパイラル形状であり、半径方向内側に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0039】
微少間隙35の上半分と、そこに保持される気体とから第1ラジアル動圧軸受部43が形成されている。さらに、図5に示すように、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aの上半分には、第1ラジアル動圧発生溝48が形成されている。第1ラジアル動圧発生溝48は、スパイラル形状であり、第1スラストプレート25に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0040】
微少間隙35の下半分と、そこに保持される気体とから第2ラジアル動圧軸受部44が形成されている。さらに、図5に示すように、シャフト21のアウターシャフト24の外周面24aの下半分には、第2ラジアル動圧発生溝49が形成されている。第2ラジアル動圧発生溝49は、スパイラル形状であり、第2スラストプレート26に向かって増大する圧力を発生させるように形成されている。
【0041】
なお、図5では各動圧発生用溝の形状は説明の便宜のために模式的に描かれている。
〈気体の循環通路の構成〉
次に、この動圧気体軸受6における気体の循環通路について説明する。
アウターシャフト24の外周面24aの軸線方向中間部には、環状溝51が形成されている。この環状溝51は、第1ラジアル動圧軸受部43と第2ラジアル動圧軸受部44とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。さらに、インナーシャフト23の胴部23bの軸線方向中間部には、環状溝53が形成されている。アウターシャフト24内には、環状溝51から半径方向内側に延び環状溝53とに開口する横孔52が形成されている。
【0042】
インナーシャフト23の胴部23bの外周面には、環状溝53から軸線方向上下に延びる溝55,56が形成されている。図6に示すように、溝55,56は軸線方向に螺旋状に延びており、軸線方向外側端は胴部23bの縁部まで延びている。なお、溝55,56は連続した1つの螺旋溝と見なすことができ(環状溝53によって軸線方向中間がカットされている)、旋回方向はそろっている。以上の構造により、溝55,56は旋盤によって一度に形成することができる。
【0043】
図7に示すように、第1スラストプレート25の上端面25bには、半径方向中間部から中心孔25cにまで延びる溝58が形成されている。溝58は渦巻き状であり、上端面25bの半径方向中間部から中心孔25cに向かって反時計回りに延びている。溝58の内周側端は中心孔25cに開口しており、さらにインナーシャフト23の胴部23bの上側の溝55の上側端に開口している。この溝58によって、第1スラストプレート25の上端面25bの内周部がインナーシャフト23の頭部23aの下端面に当接しているのにもかかわらず、溝55の上端部が第1スラストプレート25の軸線方向上側の空間に連通している。言い換えると、この動圧気体軸受6では、インナーシャフト23上の溝55の端部が第1スラストプレート25の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、溝58によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
【0044】
第2スラストプレート26の下端面26bには、半径方向中間部から中心孔26cにまで延びる溝59が形成されている。溝59は渦巻き状であり、下端面26bの半径方向中間部から中心孔26cに向かって反時計回りに延びている。溝59の内周側端は中心孔26cに開口しており、さらにインナーシャフト23の胴部23bの下側の溝56の下側端に開口している。この溝59によって、第2スラストプレート26の下端面26bの内周部がインナーシャフト23のフランジ部23cの上端面に当接しているのにもかかわらず、溝56の下端部が第2スラストプレート26の軸線方向下側の空間に連通している。
【0045】
ハブ32の上端部には、半径方向内側に延びる円板状部32aが形成されている。円板状部32aは第1スラストプレート25の上端面25bの軸線方向上方に配置され、その内周縁はインナーシャフト23の外周面(具体的には胴部23bの外周面)に近接して配置されている。この部分の半径方向隙間が、第1ラビリンスシール64として機能している。
【0046】
ハブ32の下端部はベース22の上端面に近接して配置されている。この部分の軸線方向隙間が、第2ラビリンスシール65として機能している。
以上に述べた動圧気体軸受6内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部41と第1ラジアル動圧軸受部43における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部43(微少間隙35の上半分)から第1スラスト動圧軸受部41(微少間隙36)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部41内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート25の外周面とハブ32の内周面32bの隙間、さらには第1スラストプレート25の上端面25bと円板状部32aの下側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、溝58,溝55内を回りながら流れ、環状溝53及び横孔52から第1ラジアル動圧軸受部43に戻る。
【0047】
次に、第2スラスト動圧軸受部42と第2ラジアル動圧軸受部44における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部44(微少間隙35の下側部分)から第2スラスト動圧軸受部42(微少間隙37)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部42内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート26の外周面とハブ32の内周面32bの隙間、さらには第2スラストプレート26の下端面26bとベース22の上側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、溝59,溝56内を回りながら流れ、環状溝53及び横孔52から第2ラジアル動圧軸受部44に戻る。
【0048】
次に、循環通路におけるフィルタ機能(ダストを捕捉して気体を清浄化する機能)について説明する。
溝55,56,58,59は気体が通過する通路であり、気体中のダストを捕捉し気体を清浄化する機能を有している。さらに、溝55,56は螺旋状になっており、溝58,59は渦巻き状になっており、それぞれの気体の移動距離が長くなっているため、ダスト捕捉機能が向上している。さらに、溝55,56,58,59には、粘着性の材料を塗布するなどしてダスト吸着性能を持たせてもよい。また、溝55,56は螺旋状になっているため、軸方向直線状の溝に比べてこれら溝の形成が容易である。
【0049】
さらに、ハブ32の内周面32bにおいて第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部61が形成されている。
凹部61は、図4に示すように、ハブ32の内周面32bの周方向全体に延びる環状の溝である。凹部61の底面は、軸線方向上側の第1テーパー面61aと、軸線方向下側の第2テーパー面61bとから構成されている。第1テーパー面61aは軸線方向上側に向かって溝深さが浅くなっていき、第2テーパー面61bは軸線方向下側に向かって溝深さが浅くなっていき、第1テーパー面61aと第2テーパー面61bの境界61cが凹部61の最深部となっている。
【0050】
凹部61の軸線方向上側端(具体的には、第1テーパー面61aの軸線方向上側端)は、第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向上側端(具体的には、第1スラストプレート25の下端面25a)より、軸線方向上側に位置している。したがって、凹部61は微少間隙36内のダストをより確実に捕捉する。
【0051】
凹部61は、その軸線方向上側のみが開口している。すなわち、凹部61の開口69は、凹部61の軸線方向上側端とスリーブ31の上端面31bとによって形成されている。この結果、凹部61の軸線方向下側部分はスリーブ31によって半径方向内側に閉ざされた空間になっている。言い換えると、半径方向内側から半径方向に平行に凹部61の開口69を臨んだ場合、凹部61の底部の一部はスリーブ31の上端面31bによって遮蔽されて、直接は見ることができないように形成されている。より具体的には、凹部61の軸線方向下側端(具体的には、第2テーパー面61bの軸線方向下側端)は、第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向下側端(具体的には、スリーブ31の上端面31b)より、軸線方向下側端に位置している。さらに、凹部61の最大径部(具体的には、第1テーパー面61aと第2テーパー面61bの境界61c)も第1スラスト動圧軸受部41の微少間隙36の軸線方向下側端(具体的には、スリーブ31の上端面31b)より、軸線方向下側端に位置している。以上の構造により、いったん凹部61内に入り込んだダストが凹部61から外に出るのが困難になっている。
【0052】
第1スラスト動圧軸受部41の外周部すなわちハブ32の内周面32b付近は、壁面と気体の軸線方向の相対速度がほとんどゼロになる領域であり、その領域ではダストは遠心力によってハブ32の内周面32bに向かって移動する。このダストは、凹部61の開口69から凹部61内に入り、次に第1テーパー面61aに沿って軸線方向下側に境界61cまで移動し、最後に第2テーパー面61bに沿ってスリーブ31の外周側まで移動する。このように循環通路を移動中のダストが凹部61に捕捉されて外に出るのが困難になっているため、気体中のダスト量を低減できる。以上の結果、まず第1スラスト動圧軸受部41の外周部で焼き付きが生じにくくなり、さらに循環する気体中のダストの量が減少するため第1ラジアル動圧軸受部43の焼き付きが生じにくくなる。
【0053】
凹部61の底面に、粘着性のある表面処理を施しておいてもよい。その場合は、付着したダストを確実に捕捉することができ、スピンドルモータ1を持ち運ぶときに向きを変えたり衝撃が加えられても、ダストが凹部61から飛び出さなくなる。
さらに、ハブ32の内周面32bにおいて第2スラスト動圧軸受部42の微少間隙37の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部62が形成されている。なお、凹部62の構造や第2スラスト動圧軸受部42との位置関係は凹部61の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0054】
以上の循環通路のフィルタ機能により、以下の2つの効果が得られる。
▲1▼動圧気体軸受6の外部に(ハードディスク装置10の内部に)に放出されるダストの量が少なくなる。この結果、ハードディスク装置10の記録ディスク18に対する汚染が防止される。すなわち、ハードディスク装置10のエラーが抑制され、信頼性が向上する。
【0055】
▲2▼動圧気体軸受6の各動圧軸受部41〜44の微少間隙内に入り込むダストの量が少なくなる。この結果、動圧気体軸受6の焼き付きが抑制され、信頼性が向上する。
〈スピンドルモータ1の作用〉
(1)回転動作
ステータ4のコイルへ通電されると、ステータ4及びロータマグネット5が協働してスリーブ31を回転駆動させる。この結果、回転部材3が静止部材2に対して回転する。この回転運動により、動圧気体軸受6が次の作用を奏する。
【0056】
(2)軸受の作用
回転運動中のスピンドルモータ1においては、微少間隙35と微少間隙36とが接続する付近(第1スラスト動圧軸受部41の内周部)、及び微少間隙35と微少間隙36とが接続する付近(第2スラスト動圧軸受部42の内周部)が高圧となる。これら高圧部分が、スラスト方向及びラジアル方向への荷重を支持する。
【0057】
〈スピンドルモータ1の効果〉
以上に述べた本発明のスピンドルモータ1及び動圧気体軸受6の作用効果をまとめると、以下のようになる。
(1)微少間隙35,36,37と溝55,56,58,59とによって気体の循環通路を構成しているため、気体が動圧気体軸受6内を循環し外部に排出されにくい。したがって、動圧気体軸受6内のダストがハードディスク装置10の記録ディスク18等を汚染しにくい。
【0058】
特に、動圧気体軸受6の循環通路の上下両端は第1及び第2ラビリンスシール64,65によってシールされているため、循環通路とハウジング11内での気体の流通が抑制されている。この結果、ダストが動圧気体軸受6の外部すなわちハウジング11内に出にくくなっている。なお、動圧気体軸受6の循環通路とハウジング11内との気体流通を抑制するシール構造としては、磁性流体シール部など他の構造を用いてもよい。
【0059】
(2)循環通路を構成する溝55,56がシャフト21のインナーシャフト23の外周面に形成されており、そのためスリーブ内に縦孔を形成する必要がない。
a)したがって、機械加工が不要になり、製造コストが低くなる。なお、本願発明の溝55,56は旋盤によって加工可能であるため、循環通路の形成が容易である。特に、溝55,56が螺旋状であるため、溝55,56の形成がさらに容易になっている。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0060】
b)したがって、シャフトに縦孔の一端を遮蔽するためのゴムボールが不要になる。その結果、製造コストが低くなる。
c)したがって、シャフトのインナーシャフト23が中実構造になり、高剛性になる。
d)したがって、循環通路とインナーシャフト23の上端固定用雌ねじ66との干渉が生じない。
【0061】
〈ハードディスク装置10の効果〉
ハードディスク装置10は、上記の効果を有するスピンドルモータ1を備えるため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少なく且つ安価な製品となっている。
〈第1実施形態の変形例〉
(1)ダスト捕捉用の凹部の形状は、前記実施形態の凹部61の形状に限定されない。
【0062】
a)図8に示す凹部72の底面は、第1テーパー面72aと第2テーパー面72bとの境界に、さらに半径方向外側に凹む溝部72cを有している。溝部72cは、軸線方向位置がスリーブ31の上端面31bより軸線方向内側に位置している。したがって、ダストは第1テーパー面72aに沿って移動し、溝部72c内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0063】
b)図9に示す凹部73の底面は、第1テーパー面73aと、その軸線方向下側端部から軸線方向下側にストレートに延びる側面73bと、その軸線方向下側端から内周面32bまで延びる軸線方向端面73cとを有している。軸線方向端面73cは、軸線方向上側を向いた平坦面である。そのため、側面73bとスリーブ31の外周面31dとの間には、筒状の空間73dが確保されている。したがって、ダストは第1テーパー面73aに沿って移動し、空間73d内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0064】
c)図10に示す凹部74は、テーパー面ではなく、半円形状の底面74aを有している。この場合もテーパー面と同等の効果が得られる。
d)図11に示す凹部75の底面は、テーパー面75aと、軸線方向端面75bとを有している。テーパー面75aはすでに述べた実施形態と同様であり、軸線方向端面75bは、テーパー面75aの軸線方向下側において軸線方向上側を向いた平坦面である。凹部75の底面は、さらに、テーパー面75aと下側面75bとの境界にさらに半径方向外側に凹む溝部75cを有している。溝部75cは、軸線方向位置がスリーブ31の上端面31bより軸線方向内側に位置している。以上の構造の結果、ダストはテーパー面75aに沿って移動し、溝部75c内に入り込み、そこから外部に排出されにくい。
【0065】
(2)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、必ずしも螺旋状である必要はない。例えば、斜め溝(スパイラル形状を含む)、縦溝、横溝の単独又は組み合わせであってもよい。
(3)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、アウターシャフトの内周面に形成されていてもよい。また、インナーシャフトの外周面とアウターシャフトの内周面の両方に形成されていてもよい。
【0066】
(4)シャフトの周面に循環通路用の溝を形成する技術と、ハブにダスト捕捉用の凹部を設ける技術とは必ずしも同一の製品に採用する必要はない。
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態にかかるスピンドルモータ1’の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ1’は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0067】
前記実施形態では、気体の循環通路を構成する溝が、インナーシャフト23とアウターシャフト24との間に形成されていたが、本実施形態ではスリーブ31とハブ32との間に形成されている。
ハブ32の内周面32bには、軸線方向上下両側にそれぞれ延びる溝85,86が形成されている。溝85は、内周面32bの軸線方向上側半分に形成されており、螺旋状に延びている。溝85は、軸線方向下側端が環状溝83に連通しており、軸線方向上側端が第1スラスト動圧軸受部41の外周側に連通している。溝85は、内周面32bの軸線方向下側半分に形成されており、螺旋状に延びている。溝85は、軸線方向上側端が環状溝83に連通しており、軸線方向下側端が第2スラスト動圧軸受部42の外周側に連通している。
【0068】
スリーブ31の内周面31aの軸線方向中間部には、環状溝81が形成されている。この環状溝81は、第1ラジアル動圧軸受部43と第2ラジアル動圧軸受部44とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。さらに、スリーブ31の外周面31dの軸線方向中間部には、環状溝83が形成されている。環状溝81と環状溝83との間には、スリーブ31内を半径方向に貫通する横孔82が形成されている。
【0069】
ハブ32とスリーブ31は焼き嵌めにより締結されている。従来であればハブ32の内周面32bとスリーブ31の外周面31dの形状誤差によって、焼き嵌め時に接触位置が不均一になり、片当たりやかじりが発生していた。しかし、本発明の実施形態ではハブ32とスリーブ31の少なくとも一方に溝が形成されているため、接触位置が均等に分布し、安定した締結状態が得られる。
【0070】
以上に述べた動圧気体軸受6内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部41と第1ラジアル動圧軸受部43における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部43(微少間隙35の上半分)から第1スラスト動圧軸受部41(微少間隙36)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部41内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、溝85内を回りながら移動し、環状溝83,横孔82及び環状溝81から第1ラジアル動圧軸受部43に戻る。
【0071】
次に、第2スラスト動圧軸受部42と第2ラジアル動圧軸受部44における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部44(微少間隙35の下半分)から第2スラスト動圧軸受部42(微少間隙37)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部42内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、溝85内を回りながら移動し、環状溝83,横孔82及び環状溝81を介して第2ラジアル動圧軸受部44に戻る。
【0072】
この実施形態では、気体の循環通路は第1スラストプレート25と第2スラストプレート26の軸線方向間に限定されている。言い換えると、第1スラストプレート25及び第2スラストプレート26の軸線方向外側は気体の循環通路とはなっておらず、さらには第1スラストプレート25及び第2スラストプレート26には気体循環のための溝が形成されていない。
【0073】
以上に述べた循環通路によって前記実施形態と同様の効果が得られる。
〈第2実施形態の変形例〉
(1)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、必ずしも螺旋状である必要はない。例えば、斜め溝(スパイラル形状を含む)、縦溝、横溝の単独又は組み合わせであってもよい。
【0074】
(2)循環通路を構成するために軸線方向に延びる溝は、スリーブの外周面に形成されていてもよい。また、ハブの内周面とスリーブの外周面の両方に形成されていてもよい。
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態にかかるスピンドルモータ101の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ101は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0075】
〈気体の循環通路の構成〉
図14を用いて、動圧気体軸受106における気体の循環通路について説明する。
アウターシャフト124の外周面124aの軸線方向中間部には、環状溝151が形成されている。この環状溝151は、第1ラジアル動圧軸受部143と第2ラジアル動圧軸受部144とを軸線方向に分割する気体介在部として機能している。インナーシャフト123の外周面の軸線方向中間部には、環状溝153が形成されている。アウターシャフト124内には、環状溝151から半径方向内側に延び、環状溝153に開口する横孔152が形成されている。
【0076】
インナーシャフト123内には、中心を軸線方向に貫通する縦孔155が形成されている。縦孔155の軸線方向上端は、上端固定用雌ねじ166まで延びている。縦孔155の軸線方向下端は、底面まで貫通しているが、ゴムボール156によってシールされている。
さらに、インナーシャフト123内には、半径方向に外周面と縦孔155を連通する第1〜第4横孔157〜160が形成されている。第1横孔157は、縦孔155の上端部から半径方向外側に延び、第1スラストプレート125とハブ132の円板状部132aとの間の空間に開口している。第2横孔158は、縦孔155の軸線方向中間部から半径方向外側に延び、環状溝153に開口している。第3横孔159は、縦孔155の軸線方向下端部から半径方向外側に延び、第4横孔160は、第3横孔159よりさらに下側で、縦孔155の軸線方向下端部から半径方向外側に延びている。
【0077】
図15に示すように、インナーシャフト123の軸線方向上側端の外周面とハブ132の円板状部132aの内周面との間には、第1磁性流体シール部171が形成されている。具体的には、インナーシャフト123には滑らかに湾曲した環状凸部172が形成され、それに対応して円板状部132aには滑らかに湾曲した環状凹部173が形成されており、両者の間に磁性流体174が保持されている。この第1磁性流体シール部171によって、第1スラストプレート125と円板状部132aとの間の空間が外側の空間(ハウジング内の空間)から遮断されている。
【0078】
第2スラストプレート126とベース122との軸線方向間には、円板状部材180が配置されている。円板状部材180の外周面はハブ132の軸線方向下端部の内周面132bに固定されており、内周面はインナーシャフト123の外周面に近接している。図16に示すように、インナーシャフト123の軸線方向下側端の外周面と円板状部材180の内周面との間には、第2磁性流体シール部181が形成されている。具体的には、インナーシャフト123には滑らかに湾曲した環状凸部182が形成され、それに対応して円板状部材180には滑らかに湾曲した環状凹部183が形成されており、両者の間に磁性流体184が保持されている。この第2磁性流体シール部181によって、円板状部材180の軸線方向両側の空間が互いに遮断されている。
【0079】
図16に示すように、第3横孔159は第2磁性流体シール部181の軸線方向上側の空間に開口しており、第4横孔160は第2磁性流体シール部181の軸線方向下側の空間に開口している。さらに、縦孔155において第3横孔159と第4横孔160との間にはフィルタ186が配置されている。フィルタ186は、気体を通過させる際にダストを捕捉し気体を清浄化するための部材である。フィルタ186は、空気の流れを妨げず、かつ動圧に影響を与えないものであることが好ましく、例えば繊維状や多孔質体が用いられる。
【0080】
以上に述べた動圧気体軸受106内の気体が循環する循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部141と第1ラジアル動圧軸受部143における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部143(微少間隙135の上半分)から第1スラスト動圧軸受部141(微少間隙136)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部141内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート125の外周面とハブ132の内周面の隙間、さらには第1スラストプレート125の上端面125bと円板状部132aの下側面との間の隙間に流れる。気体は、さらに、第1横孔157から縦孔155に入り、第2横孔158,環状溝153,横孔152,環状溝151から第1ラジアル動圧軸受部143に戻る。
【0081】
次に、第2スラスト動圧軸受部142と第2ラジアル動圧軸受部144における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部144(微少間隙135の下半分)から第2スラスト動圧軸受部142(微少間隙137)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部144内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート126の外周面とハブ132の内周面の隙間、さらには第2スラストプレート126の下端面126bとベース122の上側面との間の隙間に流れる。気体は、さらに、第3横孔159から縦孔155に入り、第2横孔158,環状溝153,横孔152,環状溝151から第2ラジアル動圧軸受部144に戻る。
【0082】
以上に述べた動圧気体軸受106の内部の気体の循環通路は、第1及び第2磁性流体シール部171,181によってハウジング11内の空間から遮断されている。また、この気体の循環通路は、縦孔155の軸線方向下端部からフィルタ186,第4横孔160を介して円板状部材180とベース122との隙間に連通し、さらにハブ132とベース122との間から軸受外部に連通している。したがって、モータ内外の圧力差が生じにくくなっており、その結果第1及び第2磁性流体シール部171,181での決壊が生じにくい。
【0083】
この動圧気体軸受106では、第1及び第2磁性流体シール部171,181によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環する気体が動圧気体軸受106の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。さらに、フィルタ186によって、動圧気体軸受106内を通過した空気は、摩耗粉を含んだままモータ外部に排出されることはない。
【0084】
さらに、第1及び第2磁性流体シール部171,181によって、回転部材103のアースをとることができる。これにより、記録ディスク118が帯電しにくい。従来であれば、記録ディスク118はヘッドとの接触で回転開始初期時には摩擦で帯電しやすく、さらに定常回転時には回転部材103が静止部材102と非接触であるために、記録ディスク118の帯電電荷を除去することが困難であった。
【0085】
〈第3実施形態の変形例〉
(1)気体の循環通路において縦孔155,第1〜第3横孔157〜159の部分は、前記第1実施形態のように、インナーシャフト123の外周面やアウターシャフト124の内周面に形成した溝に置き換えてもよい。
(2)上下両側の磁性流体シール部の一方をラビリンスシールに置き換えてもよい。
【0086】
(3)上下両側のスラスト動圧軸受部の一方をオイル動圧軸受部とする(ラジアルが動圧気体軸受で、スラストがオイル動圧軸受の複合軸受とする)ことで、上下両側の磁性流体シール部の一方をなくしてもよい。
[第4実施形態]
図17は、本発明の第4実施形態にかかるスピンドルモータ201の概略構成を示す縦断面図である。このスピンドルモータ201は、前記実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造であり、説明の便宜のため異なる点のみを以下に説明する。
【0087】
インナーシャフト223は、全体が多孔質体から構成されている。多孔質体の一例としては、焼結性合金がある。焼結性合金とは、各種金属粉末や金属化合物粉末、非金属粉末を原料として成形型により加圧成形したものを焼結して得られたものであり、その内部には微細な連続空孔が形成されている。原料としては、銅系材料(例えば、Cu−Fe、Cu−Sn、Cu−Sn−Pb等)を主成分としたものが用いられる。
【0088】
なお、インナーシャフト223の上下両端面にはメッキ封孔処理が施されており、外部の気体がインナーシャフト223内に流入するのを抑えている。
本実施形態に係る動圧気体軸受206の気体の循環通路における気体の流れについて説明する。
最初に、第1スラスト動圧軸受部241と第1ラジアル動圧軸受部243における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第1ラジアル動圧軸受部243(微少間隙235の上半分)から第1スラスト動圧軸受部241(微少間隙236)に向かって流れ、第1スラスト動圧軸受部241内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第1スラストプレート225の外周面とハブ232の内周面232bの隙間、さらには第1スラストプレート225の上端面225bと円板状部232aの下側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、インナーシャフト223の多孔質体の内部を通って、横孔252,環状溝251から第1ラジアル動圧軸受部243に戻る。
【0089】
次に、第2スラスト動圧軸受部242と第2ラジアル動圧軸受部244における循環通路での気体の流れについて説明する。気体は、第2ラジアル動圧軸受部244(微少間隙235の下半分)から第2スラスト動圧軸受部242(微少間隙236)に向かって流れ、第2スラスト動圧軸受部242内を半径方向外側に流れる。気体は、さらに、第2スラストプレート226の外周面とハブ232の内周面232bの隙間、さらには第2スラストプレート226の下端面226bと円板状部材280の上側面との間の空間に流れる。気体は、さらに、インナーシャフト223の多孔質体の内部を通って、横孔252,環状溝251から第2ラジアル動圧軸受部244に戻る。
【0090】
この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
さらに、多孔質体はダスト捕捉用のフィルタとしても機能している。そのため、特別な集塵フィルタが不要になり、さらに安価になる。
【0091】
第4実施形態の変形例として、図18に示すように、インナーシャフト223’は、通常の金属製の円柱部223aと、その外周に嵌められた多孔質体の筒状部223bとから構成されていてもよい。筒状部223bは、上部が第1スラストプレート225とハブ232の円板状部232aとの間の空間に連通しており、下部が第2スラストプレート226と円板状部材280との間の空間に連通している。
【0092】
この動圧気体軸受では、多孔質体をシャフト本体の外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0093】
(1)第1実施形態においては、スピンドルモータ1への搭載物として記録ディスク18を採用したハードディスク装置10について説明した。
ここで、スピンドルモータ1の搭載物は、スピンドルモータの用途に応じて様々なものをあげることができる。例えば、レーザービームプリンタのポリゴンスキャナ用であれば、ポリゴンミラーであり、プロジェクターに搭載されるカラーホイール駆動装置であれば、カラーホイールである。
【0094】
ここで、図19にポリゴンスキャナ410の概略構成を示す縦断面図を示す。ポリゴンスキャナ410は、図示しないハウジングと、ハウジングに固定されたスピンドルモータ401と、ミラー430と、ミラー押さえ431と、カバー部440とを備えている。ポリゴンスキャナ410は、例えば、デジタル複写機等のレーザー書き込み系に用いられ、スピンドルモータ401によりミラー430を高速回転させて、レーザーダイオードから照射された光線を感光体上にスキャンする。
【0095】
スピンドルモータ401は、静止部材402と、回転部材403と、ステータ404と、ロータマグネット405とから構成される。スピンドルモータ401は、スピンドルモータ1とほぼ同様の構成であり、第1実施形態で説明したスピンドルモータ1の効果と同様の効果を奏する。スピンドルモータ401とスピンドルモータ1とは、静止部材402の備えるシャフト420の形状や回転部材403の備えるハブ460の形状において相違する。ハブ460は、外周面に顎部460aを有する円筒体である。
【0096】
ミラー430は、側面が多面の鏡で構成される板状の部材であり、スピンドルモータ401の回転部材403を構成するハブ460に固定的に保持される。
ミラー押さえ431は、ハブ460に固定され、さらにミラー430をスラスト方向に固定する。これにより、スピンドルモータ401の回転部材403と、ミラー430と、ミラー押さえ431とが一体的に回転運動する。また、ミラー押さえ431には、空気流通用スリット435が設けられ、動圧気体軸受406への空気の流通を確保する。
【0097】
カバー部440は、カバー441と、光線透過用スリット442と、ガラスカバー443とから構成される。カバー441は、スピンドルモータ401の動圧気体軸受406へのダスト侵入を防ぐため、動圧気体軸受406を密閉するよう静止部材402に固定される。光線透過用スリット442は、カバー441の側面部に設けられたスリットで、ガラスカバー443により覆われ、密閉性を確保しつつ光線を透過させる。
【0098】
このポリゴンスキャナ410には前記実施形態のいずれのスピンドルモータ及び動圧気体軸受を適用することで、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ないポリゴンスキャナを安価に実現できる。
(2)以上で説明した実施の形態は、本発明の実施形態をこれらに限定するものではない。例えば、動圧発生用溝は、図面においては、動圧気体軸受部を構成する一方の面にのみ描かれているが、動圧気体軸受部を構成する他の一方の面、あるいは両方の面にあってもよい。また、各実施の形態においては、各動圧発生用溝の形状を指定したが、それらは他の形状であっても本発明の効果が失われる訳ではない。
【0099】
(3)前記実施形態では、いずれのラジアル動圧軸受部においても気体介在部と反対側にすなわちスラスト動圧軸受部側に流対動圧が誘起されるような動圧発生用溝が形成されていたが、それ以外の構造にも本発明を適用できる。
【0100】
【発明の効果】
請求項1に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0101】
請求項2に記載の動圧気体軸受では、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部を構成する微少間隙は、周面に形成された第1溝とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部を部材の周面の溝で形成しており、この溝は旋盤で容易に加工できる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0102】
請求項3に記載の動圧気体軸受では、シャフト上の第1溝の端部が第3部材の軸線方向外側の空間にまで直接連通していなくても、第2溝によって循環通路を構成することができる。つまり、より多くの軸受構造においてダスト対策を実現できる。
請求項4に記載の動圧気体軸受では、スラスト動圧軸受部の微少間隙内の気体は、遠心力によって半径方向外方に移動し、スリーブのダスト捕捉用の凹部に向かう。そこで、気体に含まれていたダストは凹部に捕捉され、さらなる移動をしにくくなる。この結果、ダストが動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、循環通路の一部にダスト捕捉用の凹部を設けてダストによる汚染を押さえているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0103】
請求項5に記載の動圧気体軸受では、凹部の底部の一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されているため、いったん凹部内に入り込んだダストが凹部から外に出るのが困難になっている。
請求項6に記載の動圧気体軸受では、気体はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れ、さらにスラスト動圧軸受部では半径方向外側に気体が移動する。
【0104】
請求項7に記載の動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の外周面又は第2部材の内周面の少なくとも一方に形成されている。
請求項8に記載の動圧気体軸受では、第1溝は、第1部材の内周面若しくは外周面又は第2部材の内周面若しくは外周面の少なくとも1つに形成されている。請求項9に記載の動圧気体軸受では、第1溝が軸線方向に螺旋状に延びているため、軸線方向直線形状の溝より形成が容易である。また、第1溝は、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能も高い。
【0105】
請求項10に記載の動圧気体軸受では、第2溝は、平面上に渦巻き状に延びているため、一定の距離を確保することで、気体中のダストを除去するフィルタとしての機能が高い。
請求項11に記載の動圧気体軸受では、第1溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
【0106】
請求項12に記載の動圧気体軸受では、第1溝及び第2溝にはダスト吸着剤が配置されているため、第1溝及び第2溝を通過する気体に含まれていたダストがダスト吸着剤によって吸着される。
請求項13に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、スリーブの多孔質体とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、多孔質体によって循環通路を構成しているため、溝の加工が不要になり、製造が簡単になる。この結果、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0107】
請求項14に記載の動圧気体軸受では、多孔質体がシャフトの外周部分にのみ設けることで、多孔質体の材料を節約できる。
請求項15に記載の動圧気体軸受では、シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が抑制されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
【0108】
請求項16に記載の動圧気体軸受では、動圧軸受部を構成する微少間隙は、気体連通部とともに循環通路を構成しているため、微少間隙内の気体は循環通路を循環する。この結果、気体が動圧気体軸受から外部に出にくくなり、軸受外部をダストで汚染しにくくなる。この動圧気体軸受では、磁性流体シール部によって循環通路とハウジング内との空気流通が遮断されているため、循環通路を循環するダストが軸受の外に出にくくなっており、ハウジング内をダストで汚染しにくい。
【0109】
請求項17に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受を備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
請求項18に記載の記録ディスク駆動装置では、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【0110】
請求項19に記載のポリゴンスキャナでは、請求項17に記載のスピンドルモータを備えているため、動圧気体軸受からのダストによる汚染が少ない構造を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのスピンドルモータを備えるハードディスク装置の模式図。
【図2】本発明の第1実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図3】図2の部分拡大図であり、本発明の第1実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図4】図3の部分拡大図であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図5】シャフトの平面を模式的に表した図。
【図6】シャフトの中心シャフトの外観図。
【図7】スラストプレートの外観図。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例であり、動圧気体軸受の上部の部分拡大図。
【図12】本発明の第2実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図13】本発明の第3実施形態としてのスピンドルモータのの縦断面概略図。
【図14】図13の部分拡大図であり、本発明の第3実施形態としての動圧気体軸受の縦断面概略図。
【図15】図14の部分拡大図であり、第1磁性流体シール部を説明するための図。
【図16】図14の部分拡大図であり、第2磁性流体シール部を説明するための図。
【図17】本発明の第4実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図18】本発明の第4実施形態の変形例としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図19】本発明のその他の実施形態としてのポリゴンスキャナの縦断面概略図。
【符号の説明】
1 スピンドルモータ
4 ステータ
5 ロータマグネット
6 動圧気体軸受
10 ハードディスク装置
11 ハウジング
18 記録ディスク
21 シャフト
23 インナーシャフト
24 アウターシャフト
25 第1スラストプレート
26 第2スラストプレート
31 スリーブ
32 ハブ
41 第1スラスト動圧軸受部
42 第2スラスト動圧軸受部
43 第1ラジアル動圧軸受部
44 第2ラジアル動圧軸受部
55,56 溝(第1溝)
58,59 溝(第2溝)
61 凹部
Claims (19)
- 中空円筒状のスリーブと、
前記スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備え、
前記スリーブの壁面と前記シャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、前記微少間隙に存在する気体とによって、前記スリーブと前記シャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成され、
前記スリーブ及び前記シャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、前記第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成され、
前記第1部材の周面と前記第2部材の周面の少なくとも一方には、両端が前記微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を前記微少間隙とともに構成する第1溝が形成されている、
動圧気体軸受。 - 中空円筒状のスリーブと、
前記スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備え、
前記スリーブの壁面と前記シャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、前記微少間隙に存在する気体とによって、前記スリーブと前記シャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成され、
前記動圧気体軸受部は、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、前記スリーブの軸線方向端面と前記シャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有し、
前記スリーブ及び前記シャフトの一方は、軸線方向に延び周面を有する第1部材と、前記第1部材の周面に嵌合する周面を有する筒状の第2部材とから構成され、
前記第1部材の周面と前記第2部材の周面の少なくとも一方には、両端が前記ラジアル及びスラスト動圧軸受部の前記微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を前記微少間隙とともに形成する第1溝が形成されている、
動圧気体軸受。 - 前記スリーブ及び前記シャフトの一方は、前記スラスト動圧軸受部を構成する軸線方向端面を有する第3部材をさらに有し、
前記第3部材には前記第1溝に連通して前記循環通路を前記微少間隙及び前記第1溝とともに構成する第2溝が形成されている、請求項2に記載の動圧気体軸受。 - 中空円筒状のスリーブと、
前記スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備え、
前記スリーブの壁面と前記シャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、前記微少間隙に存在する気体とによって、前記スリーブと前記シャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成され、
前記動圧気体軸受部は、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との微少間隙に形成されたラジアル動圧軸受部と、前記スリーブの軸線方向端面と前記シャフトの軸線方向端面との微少間隙に形成されたスラスト動圧軸受部とを有し、
前記スリーブの内周面において前記スラスト動圧軸受部の微少間隙の外周部に対応する部分には、半径方向外側に凹んだダスト捕捉用の凹部が形成されている、
動圧気体軸受。 - 前記凹部は環状に延びており、
半径方向内側から半径方向に平行に凹部の開口を臨んだ場合、凹部の底部の一部は凹部の側壁若しくは開口の縁によって遮蔽されて、直接は見ることができないように形成されている、請求項4に記載の動圧気体軸受。 - 前記ラジアル動圧軸受部には、前記スラスト動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されており、
さらに前記スラスト動圧軸受部には、前記ラジアル動圧軸受部に向かって空気の圧力を高める動圧発生用溝が形成されており、
なおかつ、空気はラジアル動圧軸受部からスラスト動圧軸受部に向かって流れるように構成された、
請求項2〜5のいずれかに記載の動圧気体軸受。 - 前記第1部材は円柱状部材であり、前記第2部材は前記第1部材の外周面に嵌合されている、請求項1〜6のいずれかに記載の動圧気体軸受。
- 前記第1部材は円筒状部材であり、前記第2部材は前記第1部材の内周面及び外周面の一方に嵌合されている、請求項1〜6のいずれかに記載の動圧気体軸受。
- 前記第1溝は軸線方向に螺旋状に延びている、請求項1〜8のいずれかに記載の動圧気体軸受。
- 前記第2溝は平面上に渦巻き状に延びている、請求項3に記載の動圧気体軸受。
- 前記第1溝に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている、請求項1〜10のいずれかに記載の動圧気体軸受。
- 前記第1溝及び前記第2溝の少なくとも一方に配置されたダスト吸着剤をさらに備えている、請求項3又は10に記載の動圧気体軸受。
- 中空円筒状のスリーブと、
前記スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備え、
前記スリーブの壁面と前記シャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、前記微少間隙に存在する気体とによって、前記スリーブと前記シャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成され、
前記シャフトは、両端が前記微少間隙に連通することで、気体を循環させる循環通路を前記微少間隙とともに構成する多孔質体を有している、
動圧気体軸受。 - 前記シャフトは少なくとも外周部分に、前記多孔質体からなる部位を有する、請求項13に記載の動圧気体軸受。
- 前記循環通路と前記動圧気体軸受を収納するハウジング内との空気流通を抑制するためのシール部さらに備えている、請求項1〜14のいずれかに記載の動圧気体軸受。
- ハウジング内に収納されて外部と遮断された動圧気体軸受であって、
中空円筒状のスリーブと、
前記スリーブ内に相対回転可能に配置されたシャフトとを備え、
前記スリーブの壁面と前記シャフトの壁面との間に確保された微少間隙と、前記微少間隙に存在する気体とによって、前記スリーブと前記シャフトとの相対回転により動圧を発生させる動圧気体軸受部が構成され、
前記スリーブ及び前記シャフトの少なくとも一方には、前記微少間隙とともに気体の循環通路を構成する気体連通部が形成され、
前記循環通路と前記ハウジング内との空気流通を遮断する磁性流体シール部をさらに備えている、
動圧気体軸受。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の動圧気体軸受と、
前記スリーブ及び前記シャフトの一方に固定されたステータと、
前記ステータに対向するように前記スリーブ及び前記シャフトの他方に固定され、前記ステータとともに磁気回路部を構成するロータマグネットと、
を備えたスピンドルモータ。 - ハウジングと、
前記ハウジングに固定された、請求項17に記載のスピンドルモータと、
前記スリーブ及び前記シャフトの一方に固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、
前記記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段と、
を備えた記録ディスク駆動装置。 - ハウジングと、
前記ハウジングに固定された、請求項17に記載のスピンドルモータと、
前記スリーブ及び前記シャフトの一方に固定されたポリゴンミラーと、
を備えたポリゴンスキャナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002321283A JP2004156670A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | 動圧気体軸受、スピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002321283A JP2004156670A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | 動圧気体軸受、スピンドルモータ、記録ディスク駆動装置及びポリゴンスキャナ |
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JP (1) | JP2004156670A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013002524A (ja) * | 2011-06-15 | 2013-01-07 | Ntn Corp | 流体動圧軸受装置 |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002321283A patent/JP2004156670A/ja not_active Withdrawn
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