JP4043838B2 - スピンドルモータ及び記録ディスク駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドルモータ、特に、回転部材がスリーブとその外周面に嵌合されたハブとからなるスピンドルモータに関する。本発明は、さらに、そのスピンドルモータが採用された記録ディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ディスク駆動装置としての例えばハードディスク駆動装置は、収容室を規定する装置ハウジングと、装置ハウジングに装着されたスピンドルモータと、スピンドルモータに搭載された磁気記録ディスクと、記録ディスクに記録情報を書き込む及び/又は記録情報を読み取る磁気ヘッドと、それら各機構を制御する制御回路等を備えている。近年、このハードディスク駆動装置によって取り扱われるプログラム量、データ量等が増大し、ハードディスク駆動装置の記憶容量のアップ、記録情報の書き込み・読み出し速度の高速化がますます要求され、この対応手段の一つとして、スピンドルモータの高精度化が進んでいる。そして、この高精度化に伴い、スピンドルモータを回転自在に支持するための軸受手段も玉軸受から動圧軸受に換わろうとしている。動圧軸受は、相対的に回転する部材間に微少間隙が形成され、この間隙に保持される潤滑流体が、その部材が相対回転することによりその間隙を形成する対向面に設けられたヘリングボーン状やスパイラル状の溝によってポンピングされることで動圧を発生して一方の部材(静止部材)に対して他方の部材(回転部材)を非接触にて回転自在に支持するもので、一般的に、潤滑流体として液体または気体が用いられ、回転部材のラジアル方向を支持するラジアル動圧軸受部と回転部材のスラスト方向を支持するスラスト動圧軸受部から構成される。このような動圧軸受を採用したスピンドルモータは、玉軸受に比してより低騒音かつ高精度にて回転することができる。
【0003】
具体的には、例えば、特開2000−92773号公報、特許第2500731号、特開平10−318253号公報に示された動圧軸受では、回転部材は、ハブと、その内周面に嵌合固定されたスリーブとから構成されている。ハブの外周面には記録ディスクが搭載され、スリーブの内周面は、固定側の軸の外周面と微少間隙を介して半径方向に対向している。微少間隙内には流体が充填され、それによりラジアル動圧軸受部が構成されている。
【0004】
このように回転部材をハブとスリーブとに分割するのは、分割しないで単品で構成する場合に比して部品の加工コストが抑えられること、更には、回転部材には搭載物を搭載する機能とラジアル軸受面を構成する機能とが求められており、各機能に適した材料選択が可能となるからである。具体的には、ラジアル軸受面には摺動性や耐摩耗性が求められるため、これに好適な材料としてスリーブには銅合金が使用される。一方、搭載物が搭載される部分には位置決め等を高精度にする必要があり、これに好適な材料として切削加工の面からハブにはアルミニウム等の金属が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように回転部材がハブとスリーブとから構成される構造においては、軸受面となるスリーブの内周面の精度について以下の問題が従来指摘されている。
ハブとスリーブの締結方法としては、圧入、焼きばめ、接着など密着による嵌合が用いられるが、嵌合によって応力がその嵌合部を中心に発生する。また、ハブの材料とスリーブの材料の線膨張係数が異なることにより、ハブ及びスリーブはモータ回転中に熱膨張して、一層密着度が高まり嵌合部にさらに大きな応力が作用することもある。そしてこの嵌合部の応力がスリーブの内周面に悪影響を与えることがある。具体的には、スリーブの内周面が変形してしまい、微小間隙が変化してしまう。微小間隙幅が変化すると、その動圧の大きさや圧力分布が所望の通り作用しなかったり、或いは部材間が接触するといったこととなり、この結果、ラジアル動圧軸受部は、所望の軸受能力を発揮できず、回転部材を安定保持することができなくなる(つまり、高精度化に対応できない)。微小間隙は、例えば、数μmで僅かな変形量でもその影響は無視することができない。このような応力による影響は、ラジアル動圧軸受部のみならずこれに近接してスラスト動圧軸受部があるとこれにも生じることがある。
【0006】
また、このような動圧軸受を採用したスピンドルモータがハードディスク等の記録ディスク駆動装置に用いられると、記録ディスクの記録密度を上げることができず、高容量化が不可能になり、種々の要請に対応することができない
そこで、本出願人は、特開2001−248634号公報において、以上に述べた問題の一解決方法を提示した。この解決方法が適用されるスピンドルモータは、軸線方向両側に分かれた一対のラジアル動圧軸受部と、それぞれに近接して設けられた一対のスラスト動圧軸受部とを有している。この発明における第一の特徴は、ハブとスリーブとの嵌合部分の半径方向外側に応力吸収用の環状溝を設けていることであり、これによりスリーブの内周面に変形が生じにくいことがある。この発明の第二の特徴は、嵌合部の軸線方向区間を一対のラジアル動圧軸受部の間(非軸受部)に対応するように配置したことであり、仮に上述の応力がスリーブの内周面に影響を及ぼした場合であっても、ラジアル動圧軸受部さらにはスラスト動圧軸受部に変形が生じにくい。
【0007】
しかし、以上に述べたスピンドルモータのハブとスリーブとの嵌合に起因する応力の解決方法は、近年のモータの小型化及び薄型化の要請に対応することが困難である
本発明の課題は、小型化および薄型化スピンドルモータにおいて、回転部材を安定保持して低騒音かつ高精度にて回転することを可能にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のスピンドルモータは、静止部材と、回転部材と、ステータと、ロータマグネットとを備えている。静止部材はシャフト部と、当該シャフト部から半径方向外方に突出する第1スラストプレート部を有する。回転部材は、シャフト部が回転自在に挿通される貫通孔が形成されたスリーブと、内周面にスリーブの外周面が密着して嵌合され外周面に搭載物が搭載される筒状のハブとを有している。スリーブの外周面とハブの内周面との間には、所定の軸線方向区間を有する嵌合部が形成されている。ステータは静止部材に固定されている。ロータマグネットは、ステータに対向するようにハブに固定され、ステータとともに磁気回路部を構成する。シャフト部の外周面とスリーブの内周面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第1ラジアル動圧軸受部が形成されている。スラストプレート部の軸線方向面とスリーブの軸線方向面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第1スラスト動圧軸受部が形成されている。第1スラスト動圧軸受部は第1ラジアル動圧軸受部に近接して配置され、さらに、第1スラスト動圧軸受部は嵌合部の軸線方向区間に対して半径方向において重なるか又は近接している。ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する半径方向位置に、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収するための応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、軸線方向に開口する凹溝を備えており、該凹溝は、嵌合部及び凹溝の側壁を構成し軸線方向に伸びる筒状部と、筒状部に連結し、軸線方向区間とは異なる軸線方向部位において半径方向に伸びて、凹溝の底部を構成する平板状部とを備えることを特徴としている。
【0009】
このスピンドルモータの動作を説明する。ステータに電流が供給されると、ロータマグネットとからなる磁気回路部によって、回転部材にトルクが作用する。すると、第1ラジアル動圧軸受部と第1スラスト動圧軸受部において動圧が発生し、回転部材は静止部材に支持された状態で回転を続ける。搭載物とは、情報を記録できる円板状記録媒体、複写機等の画像形成に使用されるポリゴンミラー、プロジェクタの画像形成に使用されるカラーホイール等を挙げることができる。
【0010】
このスピンドルモータでは、第1スラスト動圧軸受部は第1ラジアル動圧軸受部に近接して配置され、さらに、第1スラスト動圧軸受部は嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接している。
第1スラスト動圧軸受部が第1ラジアル動圧軸受部に近接するとは、各々の微小間隙が連続して形成されるような関係をいい、各々の流体が連続する場合と連続せずに空気層が介在する場合とを含む。第1スラスト動圧軸受部が嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接するとは、少なくともその微小間隙が嵌合部の軸線方向区間に含まれる場合をいう。換言すると、応力吸収部がない場合に嵌合部の応力が第1スラスト動圧軸受部及び第1ラジアル動圧軸受部の微小間隙幅を変動させる位置関係にある場合をいう。
【0011】
スピンドルモータ全体が軸線方向に低くなる薄型化やスピンドルモータ外径が縮径する小型化が進んでいる。一方このようにして小型化及び薄型化を実現することによって、第1スラスト動圧軸受部及び第1ラジアル動圧軸受部に対してスリーブとハブの嵌合部が接近し、この嵌合部における応力が悪影響しない構成をとれずに第1スラスト動圧軸受部及び第1ラジアル動圧軸受部に対して応力が作用し、各軸受部を構成する壁面に変形が生じやすくなっており、その場合は、各動圧軸受部において所望の軸受能力を実現することが困難になるおそれがある。
【0012】
そこで、このスピンドルモータでは、ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する軸線方向位置に応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収して嵌合部に隣接する部材に伝わらないようにする。このため、各動圧軸受部の軸受面が変形しにくく、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材を安定保持することができる。
【0013】
なお、ここでの密着嵌合とは、部材間に作用する応力が嵌合部に隣接する部材に変形を生じさせる程度の接触関係にある場合をいい、具体的には、焼きばめ、圧入、接着を含む
【0014】
このスピンドルモータでは、応力吸収部が軸線方向に開口する凹溝を有するため、ハブ及びスリーブの部材加工と同時に形成することができ、簡単に構造が形成できる
【0015】
このスピンドルモータでは、嵌合部の応力が、第1筒状部、平板状部及び第2筒状部とが弾性変形して効果的に吸収される。請求項2に記載のスピンドルモータは、請求項1に記載の凹溝に収容され、凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えている。このスピンドルモータでは、緩衝体が凹溝に収容されているため、凹溝のダンピング効果が高くなっている。すなわち、緩衝体によって凹溝における振動減衰効果が高くなっている。
【0016】
請求項3に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜2のいずれかにおいて、シャフト部の外周面とスリーブの内周面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第2ラジアル動圧軸受部が形成されている。シャフト部には、半径方向外方に突出する第2スラストプレート部が形成され、当該第2スラストプレート部の軸線方向面とスリーブの軸線方向面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第2スラスト動圧軸受部が形成されている。
【0017】
このスピンドルモータでは、二組の動圧軸受部が軸線方向に並んで形成されているため、種々の動圧軸受の中で回転部材に対する姿勢保持能力が高い特徴があり、例えば搭載物が軸線方向に長くなって、高い姿勢保持能力が要求される場合に好適である。従来はそのような構造では、モータの軸線方向の高さが高くなり、薄型化の要請に応えにくかったり、或いはモータの外径の縮径が困難であるために小型化の要請に応えにくかった。しかし、このスピンドルモータでは、軸線方向寸法を大きくすること、かつ外径の拡大を伴うことなく、スリーブの内周面の精度を高め、回転部材を安定保持することができる。
【0018】
請求項4に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜3のいずれかにおいて、磁気回路部は第1ラジアル動圧軸受部の外周側に配置され、第1ラジアル動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっている。第1ラジアル動圧軸受部と磁気回路部が軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なるとは、磁気回路部を形成するステータ及びロータマグネットの何れか大きい方の上限及び下限にて規定される軸線方向区間に第1ラジアル動圧軸受部の軸線方向区間の一部が含まれる関係にある場合をいう。
【0019】
このスピンドルモータでは、磁気回路部は第1ラジアル動圧軸受部の外周側に配置され、第1ラジアル動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。請求項5に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜4のいずれかにおいて、ハブは、搭載物の荷重を軸線方向に受けるための載置部を外周面に有している。磁気回路部は、嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されている。
【0020】
磁気回路部が嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されるとは、磁気回路部を形成するステータ及びロータマグネットの最大の軸線方向区間と、嵌合部と載置部の最大の軸線方向区間とが、軸線方向に互いに重なる区間が重ならない区間よりも同一かまたは大きい場合をいう。このスピンドルモータでは、磁気回路部は嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
【0021】
請求項6に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜5のいずれかにおいて、搭載物はハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、外周面の外径は20mm以下である。このスピンドルモータでは、軸線方向のみならず径方向の小型化も実現され、従来では困難であった小径の円盤状記録媒体を搭載することができる。
【0022】
請求項7に記載の記録ディスク駆動装置は、ハウジングと、ハウジングの天面側及び底面側のそれぞれに固定された請求項1〜6のいずれかに記載のスピンドルモータと、ハブの外周面に固定された情報を記録できる円板状記録媒体と、記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段とを備えている。
【0023】
この記録ディスク駆動装置では、前記スピンドルモータを採用しているため、小型化又は薄型化を実現するとともに、回転部材は安定保持され、したがって記録媒体の記録密度を高くし、高容量化が可能になる。請求項8に記載のスピンドルモータは、静止部材と、回転部材と、ステータと、ロータマグネットとを備えている。静止部材はシャフト部を有する。回転部材は、シャフト部が回転自在に挿通される貫通孔が形成されたスリーブと、内周面にスリーブの外周面が密着して嵌合され外周面に搭載物が搭載される筒状のハブとを有している。スリーブの外周面とハブの内周面との間には、所定の軸線方向区間を有する嵌合部が形成されている。ステータは静止部材に固定されている。ロータマグネットは、ステータに対向するようにハブに固定され、ステータとともに磁気回路部を構成する。シャフト部の外周面とスリーブの内周面とが軸線方向一方側へ径が増大する略円錐状面を有し、円錐状面同士間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第1動圧軸受部が形成されている。第1動圧軸受部は、嵌合部の軸線方向区間に対して半径方向において重なるか又は近接している。ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する半径方向位置に、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収するための応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、軸線方向に開口する凹溝を備えており、該凹溝は、嵌合部及び凹溝の側壁を構成し軸線方向に伸びる筒状部と、筒状部に連結し、軸線方向区間とは異なる軸線方向部位において半径方向に伸びて、凹溝の底部を構成する平板状部とを備えることを特徴としている。
【0024】
このスピンドルモータの動作を説明する。ステータに電流が供給されると、ロータマグネットとからなる磁気回路部によって、回転部材にトルクが作用する。すると、略円錐状の第1動圧軸受部において動圧が発生し、回転部材は静止部材に支持された状態で回転を続ける。搭載物とは、情報を記録できる円板状記録媒体、複写機等の画像形成に使用されるポリゴンミラー、プロジェクタの画像形成に使用されるカラーホイール等を挙げることができる。
【0025】
このスピンドルモータでは、第1動圧軸受部は嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接している。
第1動圧軸受部が嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接するとは、その微小間隙の軸線方向区間に嵌合部の軸線方向区間が重なる場合をいう。換言すると、応力吸収部がない場合に嵌合部の応力が第1動圧軸受部の微小間隙幅を変動させる位置関係にある場合をいう。
【0026】
スピンドルモータ全体が軸線方向に低くなる薄型化やスピンドルモータ外径が縮径する小型化が進んでいる。一方このようにして小型化及び薄型化を実現することによって、第1動圧軸受部に対してスリーブとハブの嵌合部が接近し、この嵌合部における応力が悪影響しない構成をとれずに第1動圧軸受部に対して応力が作用し、第1動圧軸受部を構成する円錐状面に変形が生じやすくなっており、その場合は、第1動圧軸受部において所望の軸受能力を実現することが困難になるおそれがある。
【0027】
そこで、このスピンドルモータでは、ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する軸線方向位置に応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収して嵌合部に隣接する部材に伝わらないようにする。このため、動圧軸受部の円錐状面が変形しにくく、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材を安定保持することができる。
【0028】
なお、ここでの密着嵌合とは、部材間に作用する応力が嵌合部に隣接する部材に変形を生じさせる程度の接触関係にある場合をいい、具体的には、焼きばめ、圧入、接着を含む
【0029】
このスピンドルモータでは、応力吸収部は軸線方向に開口する凹溝であるため、ハブ及びスリーブの部材加工と同時に形成することができ、簡単に構造が形成できる
【0030】
このスピンドルモータでは、嵌合部の応力が、第1筒状部、平板状部及び第2筒状部が弾性変形して効果的に吸収される。請求項9に記載のスピンドルモータは、請求項8に記載の凹溝に収容され、凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えている。このスピンドルモータでは、緩衝体が凹溝に収容されているため、凹溝のダンピング効果が高くなっている。すなわち、緩衝体によって凹溝における振動減衰効果が高くなっている。
【0031】
請求項10に記載のスピンドルモータでは、請求項8〜9のいずれかにおいて、シャフト部の外周面とスリーブの内周面とが軸線方向他方側へ径が増大する略円錐状面を有し、円錐状面同士間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、回転部材を静止部材に対して回転自在に支持する第2動圧軸受部が形成されている。
【0032】
このスピンドルモータでは、二組の動圧軸受部が軸線方向に並んで形成されているため、種々の動圧軸受の中で回転部材に対する姿勢保持能力が高い特徴があり、例えば搭載物が軸線方向に長くなって、高い姿勢保持能力が要求される場合に好適である。従来はそのような構造では、モータの軸線方向の高さが高くなり、薄型化の要請に応えにくかったり、或いはモータの外径の縮径にが困難であるために小型化の要請に応えにくかった。しかし、このスピンドルモータでは、軸線方向寸法を大きくすること、かつ外径の拡大を伴うことなく、スリーブの内周面の精度を高め、回転部材を安定保持することができる。
【0033】
請求項11に記載のスピンドルモータでは、請求項8〜10のいずれかにおいて、前記磁気回路部は前記第1動圧軸受部の外周側に配置され、前記第1動圧軸受部と前記磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっている。第1動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なるとは、磁気回路部を形成するステータ及びロータマグネットの最大の軸線方向区間に第1動圧軸受部の軸線方向区間の一部が含まれるような関係にある場合をいう。
【0034】
このスピンドルモータでは、磁気回路部は第1動圧軸受部の外周側に配置され、第1動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。請求項12に記載のスピンドルモータでは、請求項8〜11のいずれかにおいて、ハブは、搭載物の荷重を軸線方向に受けるための載置部を外周面に有している。磁気回路部は、嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されている。
【0035】
磁気回路部が嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されるとは、磁気回路部を形成するステータ及びロータマグネットの最大の軸線方向区間と、嵌合部と載置部の最大の軸線方向区間とが、軸線方向に互いに重なる区間が重ならない区間よりも同一かまたは大きい場合をいう。
このスピンドルモータでは、磁気回路部は嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
【0036】
請求項13に記載のスピンドルモータでは、請求項8〜12のいずれかにおいて、搭載物はハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、外周面の外径は20mm以下である。このスピンドルモータでは、軸線方向のみならず径方向の小型化も実現され、従来では困難であった小径の円板状記録媒体を搭載することができる。
【0037】
請求項14に記載の記録ディスク駆動装置は、ハウジングと、ハウジングの天面側及び底面側のそれぞれに固定された請求項8〜13のいずれかに記載のスピンドルモータと、ハブの外周面に固定された情報を記録できる円板状記録媒体と、記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段とを備えている。
【0038】
この記録ディスク駆動装置では、前記スピンドルモータを採用しているため、小型化又は薄型化を実現するとともに、回転部材は安定保持され、したがって記録媒体の記録密度を高くし、高容量化が可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
1.第1実施形態
(1)モータ全体の構造
図1は本発明の一実施形態としてのスピンドルモータ1の概略構成を模式的に示す縦断面図である。このスピンドルモータ1は記録ディスク駆動用スピンドルモータであり、ハードディスク等の記録ディスク駆動装置の一部を構成している。
【0040】
なお、図1に示すO−Oがスピンドルモータ1の回転軸線である。また、本実施形態の説明では便宜上図1の上下を「軸線方向上下」とするが、スピンドルモータ1の実際の取り付け状態における方向を限定するものではない。
図1において、このスピンドルモータ1は、主に、静止部材2と、回転部材3と、回転部材3を静止部材2に回転自在に支持するための軸受手段4とを備えている。
【0041】
静止部材2は、主に、シャフト8と、シャフト8の下端に固定されたブラケット9とから構成されている。
回転部材3は、主に、記録ディスク83(後述)を固定的に保持するハブ13と、ハブ13の内周面に嵌合されたスリーブ14とから構成されている。
軸受手段4は、動圧軸受であり、さらに詳細には、軸線方向上下にそれぞれ設けられた上側及び下側動圧軸受部24,25からなる。上側動圧軸受部24は、第1ラジアル動圧軸受部26と第1スラスト動圧軸受部27とから構成されている。下側動圧軸受部25は、第2ラジアル動圧軸受部28と第2スラスト動圧軸受部29とから構成されている。上側動圧軸受部24と下側動圧軸受部25は軸線方向方向に並んでおり、概ね対称に形成されている。
【0042】
スピンドルモータ1は、さらに、静止部材2に固定されたステータコア及びコイルからなるステータ6と、回転部材3に固定されたロータマグネット7を備えており、両部材によって、回転部材3に対して回転力を与えるための磁気回路部30が構成されている。
(2)静止部材
シャフト8は、ステンレス鋼からなり軸線方向に延びる円柱状の部材である。シャフト8の下端はブラケット9の中央孔9aに圧入や接着によって固定されており、シャフト8の上端は当該スピンドルモータ1が搭載される装置ハウジングの天面側(図10を参照)にネジにて固定されている。ブラケット9は、アルミニウム合金からなりおおむね円板状の部材であり、内周部には、外周面にステータ6が装着された筒状部9bが設けられ、装置ハウジングの底面側(図10を参照)に固定されている。
【0043】
上側及び下側スラストプレート11,12は、シャフト8の外周面に嵌合する環状の部材である。上側及び下側スラストプレート11,12は、第1及び第2スラスト動圧軸受部27,29の軸受面をそれぞれ構成するための部材であり、互いに対向する側にスラスト面11a,12aをそれぞれ有している。また、各上側及び下側スラストプレート11,12は、軸線方向片側にいくにしたがって半径方向寸法が変化するテーパ面11b、12bを外周側に有している。上側スラストプレート11のテーパ面11bは、軸線方向上側にいくにしたがって径が小さくなっていく。また、下側スラストプレート12のテーパ面12bは、軸線方向下側にいくに従って径が小さくなっていく。
(3)回転部材
回転部材3は、互いに固定された複数の筒状部材からなり、主に、ハブ13と、スリーブ14とから構成されている。
【0044】
ハブ13は、複数の記録ディスク83を搭載するための部材であり、軸線方向に長く延びる筒状の部材である。ハブ13は、上端部13aと、筒状部13bとから構成されている。ハブ13の上端部13aは、比較的半径方向の厚みが大きく、後述するスリーブとディスク用クランプ(図示略)が取り付けられる部分である。上端部13aには、内周側に回転軸線を中心に開口する中心孔が形成され、クランプねじが螺合する複数のねじ孔13eが周方向に所定の間隔をあけて形成されている。筒状部13bは上端部13aの外周側から軸線方向下方に延びる肉厚の薄い筒状部分である。ハブ13の外周面13cには、複数枚(例えば4枚)の記録ディスク83及び記録ディスク83間に介在するスペーサ(図示略)の内周縁が嵌められる。鍔部13dは、ハブ13の下端部外周面において、半径方向外方に突出した環状の突起であり、記録ディスク83やスペーサからの軸線方向の荷重を支持するための載置部であり、ディスク用クランプと鍔部13dとの間に記録ディスク83及びスペーサが挟持されて固定的に保持される。なお、ハブ13は、記録ディスク83やスペーサが搭載される外周面13cや鍔部13dには位置決め等を高精度にする必要があり、切削加工の面からアルミニウムが使用されている。
【0045】
ハブ13の内周面には、磁性を有するステンレス鋼からなる筒状のヨーク15を介して筒状のロータマグネット7が固定されている。ヨーク15は、接着剤によってハブ13に固定されているが、接着剤が互いの嵌合面に均一に広がって精度良くヨーク15が固定されるようにハブ13の内周面には環状溝13b1が軸線方向に間隔をあけて4つ形成されている。ロータマグネット7は、ステータ6の外周側に近接して配置されている。ヨーク15とハブ13とは高い同心度を達成できているため、ロータマグネット7とステータ6とも高い同心度を達成できる。また、ヨーク15は、ハブ13のねじ孔13eを閉塞するためにハブ13の上端部13aとの間に環状の薄板を固定している。
【0046】
スリーブ14は、主として、軸受手段を構成する肉厚が均一な筒状の部位と、ハブ13と締結して嵌合部を構成する部位とからなり、シャフト8の外周側に配置されている。スリーブ14はシャフト8が回転自在に挿入された貫通孔を有し、その内周面14bは、シャフト8の外周面8aとの間に半径方向に微少間隙を形成している。スリーブ14の上端面14cは、上側スラストプレート11の下側スラスト面11aに対して、微少間隙を介して軸線方向に対向している。スリーブ14の下端面14dは、下側スラストプレート12の上側スラスト面12aに対して、微少間隙を介して軸線方向に対向している。なお、スリーブ14は、動圧軸受部の一部を構成する各面に摺動性や耐摩耗性が必要であるため、銅合金が使用されている。
【0047】
次に、図2を用いて、スリーブ14とハブ13の嵌合部について説明する。
スリーブ14の外周側部の軸線方向上側端部には軸線方向上側に延びる第1筒状部18が形成され、その軸線方向上側端部には半径方向外側に延びる円板状部19が形成され、その外周縁には軸線方向下側に延びる第2筒状部20が形成されている。その結果、第2筒状部20は、第1筒状部18の外周側に半径方向に隙間をあけて配置されている。第2筒状部20の外周縁には半径方向外側にわずかに延びる環状突出部21が形成されている。スリーブ14の外周面14a(具体的には第2筒状部20の外周面であり、さらに具体的には突出部21の外周面)は、ハブ13の内周面13f(より具体的には上端部13aの中心孔の内周面)に密着嵌合している。なお、ここでの密着嵌合とは、部材間に作用する応力が部材変形を生じさせる程度の接触関係にある場合をいい、具体的には、焼きばめ、圧入、接着を含む。ハブ13とスリーブ14が密着嵌合されるのは、両部材が一体的に回転することで回転部材全体に大きな荷重が作用するため互いの締結力を強固にする必要があるためである。さらに、ハブ13の中心孔内周面の軸線方向上側部分には半径方向内側に突出する環状突出部22が形成されている。スリーブ14の突出部21とハブ13の突出部22は軸線方向端面同士が当接しており、それにより両部材の軸線方向位置決めがなされ部材外れを防止している。
【0048】
なお、以上に述べたハブ13とスリーブ14との密着嵌合部分を以後、嵌合部10ということにする。嵌合部10は、締結強度を維持するため所定の軸線方向長さを有しており、その長さは円板状部19の厚みより大きく、上端部13aの厚みの半分より大きい。以下の説明では、嵌合部10の軸線方向における範囲(位置・長さ)を軸線方向区間Kという。
【0049】
第1筒状部18の外周面18aと、円板状部19の軸線方向下側面19aと、第2筒状部20の内周面20aとによって、凹溝23が形成されている。凹溝23は、軸線方向下側に開口しており、環状に形成されている。凹溝23の軸線方向深さLは、嵌合部10の軸線方向区間Kより長く、そのため凹溝23は嵌合部10の軸線方向区間Kの軸線方向上端よりさらに軸線方向上側に延びている。なお、凹溝23の機能については後述する。
【0050】
(4)磁気回路部
磁気回路部30は、前述のように、ステータ6とロータマグネット7とから構成され、スリーブ14とハブ13との間の環状収容空間内に配置されている。磁気回路部30は、ステータ6のコイルが通電されると電磁作用を及ぼしロータマグネット7との相互作用によりトルクを発生する。なお、磁気回路部30の軸線方向区間は、ステータ6とロータマグネット7とからなるため、ステータ6またはロータマグネット7の何れか大きい方の上限及び下限にて規定される範囲をいう。
【0051】
(5)軸受手段
軸受手段4は、回転部材3を静止部材2に対して、回転自在に支持する動圧軸受であり、上側動圧軸受部24と、下側動圧軸受部25とから構成されている。上側動圧軸受部24は、第1ラジアル動圧軸受部26と、第1スラスト動圧軸受部27とから構成されている。第1ラジアル動圧軸受部26は、シャフト8の外周面8aと、スリーブ14の内周面14bと、その微少間隙に存在するオイル等の潤滑流体とから構成されている。内周面14bの対応部分には、アンバランスのヘリングボーン状の動圧発生用溝31が形成され、この動圧発生用溝31は軸線方向上方に潤滑流体をポンピングすると共に潤滑流体中に気泡が内在する場合にこれを軸線方向下方に流動する。第1ラジアル動圧軸受部26の軸線方向下端の間隙は、軸線方向下側にいくにしたがって広くなっていてこの部位で潤滑流体のメニスカスを形成している。これは、シャフト8の外周面が下側に縮径し、この縮径面の途中に、後述する連通孔にて外気に通じているためである。
【0052】
なお、図1及び図2では、動圧発生用溝31を断面内に便宜上くの字の形で象徴的に示しているが、実際には、上述したように内周面14bの表面に形成されている。以下、他の動圧発生用溝についても同様である。
第1スラスト動圧軸受部27は、上側スラストプレート11の下側スラスト面11aと、スリーブ14の上端面14cと、その微少間隙に保持された潤滑流体とから構成されている。上端面14cには、スパイラル状の動圧発生用溝32が形成され、この動圧発生用溝32は半径方向内方に潤滑流体をポンピングすると共に潤滑流体中に気泡が内在する場合にこれを半径方向外方に流動する。
【0053】
スリーブ14の第1筒状部18の内周面18bには、シール用部材34と、キャップ35が固定されている。シール用部材34は、環状の部材であり、上側スラストプレート11のテーパ面11bに対向するテーパ面34aを有している。テーパ面11bとテーパ面34aとの間の隙間は、軸線方向外側にいくにしたがって広くなっている。この間隙は、第1スラスト動圧軸受部27の微小間隙と上側スラストプレート11のストレート外周面が形成する微小間隙を介して連続し、潤滑流体のメニスカスを形成している。キャップ35は、外周縁が第1筒状部18に固定され、内周縁がシャフト8の外周面8aに近接して配置されて、外部からの異物の混入や潤滑流体の外部への流出を防止する。
【0054】
第1ラジアル動圧軸受部26及び第2スラスト動圧軸受部27のメニスカスは、軸受部に保持された潤滑流体の表面張力と外気の空気圧等とがバランスして位置している。この結果、潤滑流体がさらに外方に移動しようとすると液面の曲率が大きくなろうとし、それが抵抗となって潤滑流体が軸受外部に移動するのが抑制される。また、潤滑流体内に気泡が混入しているときは、潤滑流体と反対に流動して軸受部から離れる方向へ移動して各々のメニスカスから外部に放出される。
【0055】
このように第1ラジアル動圧軸受部26と第1スラスト動圧軸受部27とは、互いに近接して配置されていて、微小間隙は連続し潤滑流体も連続して保持されている。
次に、下側動圧軸受部25は、第2ラジアル動圧軸受部28と、第2スラスト動圧軸受部29とから構成されているが、図1の線Cを境界にして上側動圧軸受部24と対称に構成されるため各部位の作用は実質的に同一である。第2ラジアル動圧軸受部28は、シャフト8の外周面8aと、スリーブ14の内周面14bと、その微少間隙に保持されたオイル等の潤滑流体とから構成されている。内周面14bの対応部分には、アンバランスのヘリングボーン状の動圧発生用溝37が形成され、この動圧発生用溝37は軸線方向下方に潤滑流体をポンピングすると共に潤滑流体中に気泡が混入している場合にこれを軸線方向上方に流動する。第2ラジアル動圧軸受部28の軸線方向上端の間隙は、軸線方向上側にいくにしたがって広くなっていてこの部位で潤滑流体のメニスカスを形成している。これは、シャフト8の外周面が上側に縮径し、このシャフト8の縮径面の途中には、後述する連通孔にて外気に通じているためで、前述と同様にこの部位で潤滑流体は保持されている。これにより第1ラジアル動圧軸受部26と第2ラジアル動圧軸受部28とは、微小間隙は連続するが空気層が介在するため潤滑流体は連続しない。
【0056】
第2スラスト動圧軸受部29は、下側スラストプレート12の上側スラスト面12aと、スリーブ14の下端面14dと、その微少間隙に保持されたオイル等の潤滑流体とから構成されている。下端面14dには、スパイラル状の動圧発生用溝38が形成され、この動圧発生用溝38は半径方向内方に潤滑流体をポンピングすると共に潤滑流体中に気泡が混入している場合にこれを半径方向外方に流動する。
【0057】
スリーブ14の第1筒状部18の内周面18bには、シール用部材40と、キャップ41が固定されている。シール用部材40は、環状の部材であり、下側スラストプレート12のテーパ面12bに対向するテーパ面40aを有している。テーパ面12bとテーパ面40aとの間の隙間は、軸線方向外側にいくにしたがって広くなっている。テーパ面12bとテーパ面40aとの間の隙間は、軸線方向外側にいくにしたがって広くなっている。この間隙は、第2スラスト動圧軸受部29の微小間隙と下側スラストプレート12のストレート外周面が形成する微小間隙を介して連続し、潤滑流体のメニスカスを形成している。キャップ41は、外周縁が筒状部43に固定され、内周縁がシャフト8の外周面8aに近接して配置されて、外部からの異物の混入や潤滑流体の外部への流出を防止する。
【0058】
第2ラジアル動圧軸受部28及び第2スラスト動圧軸受部29のメニスカスは、軸受部に保持された潤滑流体の表面張力と外気の空気圧等とがバランスして位置している。この結果、潤滑流体がさらに外方に移動しようとすると液面の曲率が大きくなろうとし、それが抵抗となって潤滑流体が軸受外部に移動するのが抑制される。また、潤滑流体内に内在している気泡は、潤滑流体と反対に流動して軸受部から離れる方向へ移動して各々のメニスカスから外部に放出される。
【0059】
このように第2ラジアル動圧軸受部28と第2スラスト動圧軸受部29とは、互いに近接して配置されていて、微小間隙は連続し潤滑流体も連続して保持されている。
一対のラジアル動圧軸受部26,28の中間に対応するシャフト8の外周面には、環状凹部8bが形成されている。環状凹部8bは、前述した上下の縮径面にて形成されている。この環状凹部8bとスリーブ14の内周面14bとの間に気体介在部52が形成されており、両ラジアル動圧軸受部26,28の潤滑流体はこの気体介在部52で分断されている。シャフト8内には、下端部から気体介在部52の位置まで延びる通気孔53が回転軸線に沿って設けられている。通気孔53の上端は、連通孔54を介して気体介在部52に連通している。通気孔53の下端は、連通孔55を介して下側スラストプレート12とキャップ41との間のシャフト8の外周面に開口されている。通気孔53の両端は、プラグ56,57によって閉塞されている。以上に述べたように、両ラジアル動圧軸受部26,28における潤滑流体の気体介在部52側のメニスカスは、連通孔54,通気孔53,連通孔55を介して、シャフト8の外周面に開放され、さらにキャップ41とシャフト8との間の隙間を介してモータ内部に開放されている。以上に述べた構造によって、第1及び第2ラジアル動圧軸受部26,28の潤滑流体内に気泡が混入していたとしても外部に放出される。
【0060】
(6)回転動作
ステータ6のコイルへ通電されると、ステータ6及びロータマグネット7の磁気回路部30によって、回転部材3が記録ディスク83とともに、上側及び下側動圧軸受部24,25を介して非接触に支持された状態で、静止部材2に対して回転する。このとき、第1及び第2ラジアル動圧軸受部26,28では、シャフト8の外周面8aとスリーブ14の内周面14bとの微少間隙内の潤滑流体によって、ラジアル荷重支持圧が発生している。つまり、動圧発生用溝31,37の屈曲部の支持圧が大になることで、第1及び第2ラジアル動圧軸受部26,28には、軸線方向に一対の大支持圧部が形成されると共に、潤滑流体が軸線方向外側にポンピングされる。また、第1及び第2スラスト動圧軸受部27,29では、スラストプレート11,12とスリーブ14の上端面及び下端面14c、14dとの隙間の潤滑流体によってスラスト荷重支持圧が発生している。つまり、動圧発生用溝32,38の半径方向内方に次第に支持圧が大になることで、第1及び第2スラスト動圧軸受部27,29には、軸線方向両側に一対の大支持圧部が形成される。さらに、両ラジアル動圧軸受部26,28は、両スラスト動圧軸受部27,29と相互作用して、上側及び下側スラストプレート11,12の下側及び上側スラスト面11a、12aの内周縁にて圧力が最大となる支持圧部を形成する。このように当該軸受手段は、ラジアル及びスラストの両軸受部が上下に二組位置することで、回転部材に対する姿勢保持能力が極めて高いものとなっている。
【0061】
(7)各部材の大きさ・位置関係による効果
▲1▼磁気回路部
a)薄型化
磁気回路部30は、スリーブ14の外周側に配置され、つまり、第1及び第2ラジアル動圧軸受部26,28の外周側に対応して配置されている。さらに、磁気回路部30は、ハブ13の内周側に配置され、つまり、筒状部13bや鍔部13dの内周側に対応して配置されている。磁気回路部30の軸線方向中心は、鍔部13dより軸線方向上側(つまり嵌合部10側)に位置している。このように、磁気回路部30がスリーブ14とハブ13との間の空間に包み込まれるように配置されているため、このスピンドルモータ1は軸線方向寸法が短くなり、薄型化を実現できている。
【0062】
詳細には、磁気回路部30は第1及び第2ラジアル動圧軸受部26、28の外周側に配置され、第1及び第2ラジアル動圧軸受部26、28のほぼ全てと磁気回路部30は軸線方向区間が重なっている。さらには、磁気回路部30は、嵌合部10と鍔部13dとの間の軸線方向区間に対応して配置されている。
b)径方向の小型化
磁気回路部30の半径方向両側には、スリーブ14の筒状部分とハブ13の筒状部13bやヨーク15以外の特別の部材や機構は配置されていない。具体的には、本実施形態では、嵌合部10、凹溝23及び上端部13aは、磁気回路部30に対して軸線方向に並んでおり、半径方向には並んでいない。そのため、ハブ13を半径方向に小型化でき、外周面13cの外径Dを20mm以下にすることができる。この実施形態では、外周面13cの外径Dは18mmであるが、15〜20mmの範囲とすることができる。この結果、記録ディスク83の内径を外周面13cに対応させて小さくでき、これまで搭載することができなかった、例えばディスク半径が2.5インチの記録ディスクを搭載することが可能となる。
【0063】
▲2▼動圧軸受部と嵌合部
第1スラスト動圧軸受部27は、第1ラジアル動圧軸受部26に近接して配置され、さらに、嵌合部10の軸線方向区間Kに対して重なるか又は近接している。この実施形態では、第1スラスト動圧軸受部27は、嵌合部10の軸線方向区間K内に入っており、さらに第1ラジアル動圧軸受部26の一部も区間Kに重なっている。
【0064】
このように、嵌合部10の軸線方向区間Kに対して第1スラスト動圧軸受部27が重なるか近接しているということは、嵌合部10が第1ラジアル動圧軸受部26に対して軸線方向に遠く離れた位置にないことを意味している。そのため、このスピンドルモータ1は軸線方向寸法が短くなり、薄型化を実現できている。
▲3▼嵌合部と凹溝
スリーブ14には、嵌合部10の軸線方向区間Kに対応する軸線方向位置に凹溝23が形成されている。第2筒状部20は、凹溝23を形成し、かつ嵌合部10を形成しているため、スリーブ14とハブ13との嵌合によって発生する応力が凹溝23によって吸収される。つまり、嵌合部10よりスリーブ14側に作用する応力は、スリーブ14の基部に対して第2筒状部20が半径方向に弾性的に幾分変形し、これにつられて円板状部19も弾性的に幾分下方に変形することによって、十分に小さくなる。また、場合によっては第1筒状部18も弾性的に変形するが、ここが変形するときは十分に応力が小さくなっている。このため、第1スラスト動圧軸受部27や第1ラジアル動圧軸受部26の壁面が変形しにくく(つまり、微小間隙の幅が変動することはない)、各動圧軸受部26,27は、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材3を安定保持することができる。
【0065】
また、凹溝23は、嵌合部10よりさらに軸線方向上側に(延びている。つまり、凹溝23は、軸線方向において第1スラスト動圧軸受部27から離れる側であり、第1スラスト動圧軸受部27から第1ラジアル動圧軸受部26に向かう側に開口している。このため、凹溝23が反対側に開口する場合に比べて、嵌合部10により発生する応力が第1スラスト動圧軸受部27や第1ラジアル動圧軸受部26に影響を与えにくい。特に、凹溝23は、第1ラジアル動圧軸受部26の軸線方向上端よりさらに軸線方向上側に延びているため、第1ラジアル動圧軸受部26に変形が生じにくい。
【0066】
なお、第1筒状部18は、凹溝23を構成するとともに、シール用部材34やキャップ35を支持する機能も有している。前述の応力が第1筒状部18にまで及んだとしても、それらの部材は軸受部に要求される精度に比べて緩いため機能上致命的なものとなることはない。
▲4▼従来技術に対する優位性
この実施形態で説明したスピンドルモータ1は、軸線方向両側にスラスト動圧軸受部が設けられた構造であり、回転時の安定性が向上している。そのため、軸線方向の寸法を比較的長くすることで複数枚の記録ディスクを搭載するのに適している。その一方で、このような構造を有するスピンドルモータにおいては、単にハードディスク駆動装置のコンパクト化のためだけではなく、高速回転に伴うディスクの風損やフラッターを低減又は防止するため、小型の記録ディスクを搭載する要請がある。
【0067】
そこで、従来の技術としての特開2001−248634号公報に示すスピンドルモータの構造について検討する。そこでは、嵌合固定部(52)に対応してハブ(8)には環状溝(46)が形成されている。このスピンドルモータは、ディスク径が3.5インチような比較的ディスク径が大きく且つ多数枚のものを搭載することを想定した構造であるためロータ(6)の外径は比較的大きく、しかも薄型化されていない構造であるためロータ(6)のボス部(嵌合固定部(52)等がある部位)の軸線方向寸法は大きく設定されている。これにより、ハブ(8)に環状溝(46)を設ける上での制約は実質的になく、嵌合固定部(52)における応力を吸収するのに十分な環状溝(46)にすることができる。
【0068】
つまり、ハブ(8)に寸法上の制約がないため、環状溝(46)を深くすることができる。これにより環状溝(46)を形成する環状壁(48)の軸線方向長さが大きくなり、嵌合固定部(52)のハブ(8)側に作用する応力に対して環状壁(48)が変形して十分に応力を吸収することができる。
ところが、特開2001−248634号のスピンドルモータを小型化及び薄型化する場合(例えば、搭載されるディスク径が3.5インチから2.5インチに変更する)は、ロータ(6)を含む全体の寸法が小さくなる。ロータ(6)の寸法が小さくなると、上述の環状溝(46)を形成することが困難となる。
【0069】
つまり、ハブ(8)のボス部の軸線方向寸法が小さくなると、ハブ(8)とスリーブ(10)との締結状態を阻害することなく、応力吸収に十分な長さの環状溝(46)の環状壁(48)を確保することが困難となる。このことは、環状溝(46)をスリーブ(10)側に形成する場合についても同様である。
それに対して、このスピンドルモータ1では、特開2001−248634号のハブ及びスリーブにおけるボス部に相当する部位を大幅に削減して軸線方向寸法を小さくし、これに伴い凹溝23を構成する第2筒状部20が嵌合部10の応力を弾性変形して吸収するだけの軸線方向寸法となっていないが、その不足分を円板状部19及び第1筒状部18が弾性変形することで補足する構成となっている。このようにして、軸線方向寸法を小さくしつつ第1スラスト動圧軸受部27及び第2ラジアル動圧軸受部26には応力が伝わらないような構成となっている。
【0070】
(7)ハードディスク装置の構成
以上、本発明に従う記録ディスク駆動用スピンドルモータ1の一実施形態について説明したが、本発明に従うこのスピンドルモータ1を備えた記録ディスク駆動装置としてのハードディスク装置を例に説明する。
図10に、一般的なハードディスク装置80の内部構成を模式図として示す。ハウジング81の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状の記録ディスク83が装着された前述のスピンドルモータ1が設置されている。加えてハウジング81の内部には、記録ディスク83に対して情報を読み書きする磁気ヘッド移動機構87が配置され、この磁気ヘッド移動機構87は、記録ディスク上の情報を読み書きするヘッド86、このヘッドを支えるアーム85、およびヘッドおよびアームをディスク上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部84により構成される。
【0071】
このようなハードディスク装置80では、スピンドルモータ1が回転することによって、記録ディスク83が所定方向に回転駆動される。アクチュエータ部84はアーム85を旋回し、それらに装着されたヘッド86は対応する記録ディスク83の略径方向に移動し、その結果ヘッド86の作用によって記録すべき記録情報が記録ディスク83に磁気的に記録され、又は記録ディスク83に記録された記録情報がヘッド86によって読み取られる。
【0072】
このハードディスク装置80では、前記スピンドルモータ1を採用しているため、静止部材の一部をなすシャフト8の上端部をハウジング81の天面側に固定され、静止部材の一部をなすブラケット9をハウジング81の底面側に固定されている。このためにスピンドルモータ1はその中心軸の両側が支持されるため、片側のみの場合に比較して極めて強固にハウジング81に固定されて、高速回転しても回転部材3は安定保持され、したがって記録ディスク83の記録密度を高くし、高容量化することが可能になる。また、スピンドルモータ1がそのようにしてハウジング81に固定されるため、ハウジング81の剛性が向上する。
【0073】
2.第2実施形態
第2実施形態として図3に示すように、第1実施形態の凹溝23内に緩衝体50を収容してもよい。緩衝体50は、凹溝23のダンピング効果を高めるための部材であり、ゴム、樹脂、バネ等からなる。緩衝体50によって凹溝23における振動減衰効果が高くなっている。
【0074】
緩衝体50は、さらに、凹溝23の剛性調整部材としても機能している。すなわち、凹溝23を設けることでその部分の剛性低下が生じる場合には、緩衝体50によって剛性低下を補償できる。特に、小型のモータであるため剛性低下を招かない程度の微少の凹溝を形成することが困難な場合は、一端は凹溝を作成しその後に緩衝体によって適切な剛性を実現することができる。
【0075】
3.第3実施形態
第3実施形態として、図4及び図5を用いて、シャフトの一端のみにスラストプレートが設けられ、そのスラストプレートの軸線方向両側にスラスト動圧軸受部が設けられたスピンドルモータの構造を説明する。
図4に示すスピンドルモータ101は、基本的な構造は前記実施形態と同様であるので、ここでは異なる点(ラジアル動圧軸受部は上下にあるが、スラスト動圧軸受部は1個のスラストプレートの両側に形成されていること)のみを説明をする。
【0076】
シャフト108の上端部にスラストプレート111が固定されている。図5に示すように、スラストプレート111は、環状且つ円板状のプレートであり、上側スラスト面111aと下側スラスト面111bとを有している。さらに、スラストプレート111の外周面は、上側テーパ面111cと下側テーパ面111dとから構成されている。上側テーパ面111cは、軸線方向上側にいくに従って径が大きくなっていくテーパ面である。下側テーパ面111dは、軸線方向下側にいくに従って径が大きくなっていくテーパ面である。スラストプレート111の内周縁(シャフト8の外周面8aに接する部分)には、円周方向に並んだ複数の通気溝111eが形成されている。スラストプレート111には、さらに、通気溝111eに対応して半径方向に貫通する通気孔111fが形成されている。通気溝111eの一端は、外気に通じているため、他端及び通気孔111fも外気に通じていることになる。
【0077】
スリーブ114の外周側部の軸線方向上側端部には軸線方向上側に延びる第1筒状部118が形成され、その軸線方向上側端部から半径方向外側に延びる円板状部119が形成され、その外周縁から軸線方向下側に延びる第2筒状部120が形成されている。スリーブ114の外周面114a(より具体的には第2筒状部120の外周面)は、ハブ113の内周面113f(より具体的には上側端部113aの内周面)に密着嵌合している。
【0078】
第1筒状部118の外周面118aと、円板状部119の軸線方向下側面119aと、第2筒状部120の内周面120aとによって、凹溝123が形成されている。凹溝123は、軸線方向下側に開口しており、環状に形成されている。円板状部119の外周側からは軸線方向上方に第3筒状部133が延びている。第3筒状部133の内周側には、第2スラストプレート134と、キャップ135とが固定されている。第2スラストプレート134は、円板状のプレート部材であり、下側面の外周側が円板状部119の上側面に当接し、下側面の内周側がスラストプレート111の上側スラスト面111aに対向するスラスト面134aとなっている。
【0079】
スラストプレート111の上側スラスト面111aと、第2スラストプレート134のスラスト面134aと、その微少間隙に保持された潤滑流体とによって、第1スラスト動圧軸受部127が形成されている。上側スラスト面111aには、ヘリングボーン状の動圧発生用溝132が形成されている。スラストプレート111の下側スラスト面111bと、スリーブ114の上端面114cと、その微少間隙に保持された潤滑流体とによって、第2スラスト動圧軸受部129が形成されている。下側スラスト面111bには、ヘリングボーン状の動圧発生用溝138が形成されている。このスピンドルモータ101の回転動作においては、第1スラスト動圧軸受部127の動圧発生用溝132と、第2スラスト動圧軸受部129の動圧発生用溝138の中心点がそれぞれ最大圧となり、両スラスト動圧軸受部127,129がバランスして軸線方向の荷重を支持する。
【0080】
第1スラスト動圧軸受部127において、第2スラストプレート134の軸線方向下側の内周縁は、半径方向内側にいくにしたがって上側スラスト面111aとの間の隙間が大きくなっていくテーパ面134bとなっていて、潤滑流体のメニスカスが位置し、スラストプレート111の上側外周面は通気孔111fにいくにしたがって第1筒状部118の内周面との間の隙間が大きくなるテーパ面111cとなっていて、潤滑流体のメニスカスが位置している。
【0081】
第2スラスト動圧軸受部129において、スリーブ114の上端面114cの角部は、下側スラスト面111bとの間の隙間が下側スラスト面111bの内周縁にいくにしたがって大きくなるテーパ面114dになっていて、潤滑流体のメニスカスが位置し、スラストプレート111の下側外周面は通気孔11fにいくにしたがって第1筒状部118の内周面との間の隙間が大きくなるテーパ面111dとなっていて、潤滑流体のメニスカスが位置している。
【0082】
ラジアル動圧軸受部は、第1実施形態と同様に第1ラジアル動圧軸受部126がスラスト動圧軸受部に近接して配置されていて、軸線方向上下に第1及び第2ラジアル動圧軸受部126、128が位置している。第1及び第2ラジアル動圧軸受部126,128の中間は気体介在部152が設けられ、それぞれに潤滑流体のメニスカスが位置し、気体介在部152は、シャフト108に形成された連通孔154、155及び通気孔153により外気に通じている。ところが、第1ラジアル動圧軸受部126は、スリーブ114のテーパ面114dに通気溝111eにより、軸受部の軸線方向上側にメニスカスが位置しており、潤滑流体は第2スラスト動圧軸受部129と連続していない。また、第2ラジアル動圧軸受部128は、スリーブ114の下端内周面にシャフト108の外周面との間の隙間が下側にいくにしたがって大きくなるテーパ面114eにより、軸受部の軸線方向下側にメニスカスが位置している(第1実施形態の第2スラスト動圧軸受部29のような軸受部がなく、潤滑流体が連続していない)。
【0083】
つまり、第1及び第2スラスト動圧軸受部127,129、及び第1及び第2ラジアル動圧軸受部126,128は、全て独立して軸受部端部にメニスカスを形成している。なお、潤滑流体のメニスカスは、上述したように流体の表面張力と外気の空気圧等がバランス形成され、外気側へ移動しようとすると液面の曲率が大きくなろうとして、それが抵抗となり移動を抑制する。
【0084】
第2スラスト動圧軸受部129は、第1ラジアル動圧軸受部126に近接して配置され、さらに、嵌合部110の軸線方向区間Kに対して重なるか又は近接している。この実施形態では、第2スラスト動圧軸受部129は、嵌合部110の軸線方向区間K内に入っており、さらにさらに第1ラジアル動圧軸受部126の一部も区間Kに重なっている。
【0085】
このように、嵌合部110の軸線方向区間Kに対して第2スラスト動圧軸受部129が重なるか近接しているということは、嵌合部110が第1ラジアル動圧軸受部126に対して軸線方向に遠く離れた位置にないことを意味している。そのため、このスピンドルモータ101は軸線方向寸法が短くなり、薄型化を実現できている。
【0086】
スリーブ114には、嵌合部110の軸線方向区間Kに対応する軸線方向位置に凹溝123が形成されている。凹溝123が形成され、つまり半径方向の板厚が薄い第2筒状部120が嵌合部110を形成しているため、スリーブ114とハブ113との嵌合によって発生する応力が吸収される。このため、第1及び第2スラスト動圧軸受部127,129や第1ラジアル動圧軸受部126の壁面が変形しにくく、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材103を安定保持することができる。
【0087】
また、凹溝123は、第2スラスト動圧軸受部129よりさらに軸線方向上側に(つまり第1ラジアル動圧軸受部126から離れる側に)延びている。このため、嵌合部110により発生する応力が第1及び第2スラスト動圧軸受部126,129に影響を与えにくい。
4.第4実施形態
第4実施形態として、図6及び図7を用いて、微少間隙が円錘状面にて形成された動圧軸受(以下、コーン型動圧軸受という)を有するスピンドルモータ201について説明する。このスピンドルモータ201は、軸受手段204以外の部分に関しては前記第1実施形態と同様である。
【0088】
軸受手段204は、軸線方向上下に配置された第1コーン動圧軸受部224と第2コーン動圧軸受部225とから構成されている。第1コーン動圧軸受部224と第2コーン動圧軸受部225は概ね対称に形成されている。第1及び第2コーン動圧軸受部224,225は、ラジアル動圧成分とスラスト動圧成分が合成された動圧を発生することができる。つまり、各コーン動圧軸受部224,225は、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部とを1つにした構造であるため、スピンドルモータの薄型化に適している。
【0089】
第1円錐プレート211は、シャフト208の上端に固定された環状の部材である。第1円錐プレート211の外周面は、下側テーパ面211aと、上側テーパ面211bとから構成されている。第1円錐プレート211は、下側テーパ面211aによって、軸線方向内側に向かって径が小さくなるテーパ形状となっている。スリーブ214の内周面には、下側テーパ面211aに沿って対向するようにテーパ面214eが形成されている。テーパ面211a,214eの間の微少間隙と、そこに保持された潤滑流体とによって、第1コーン動圧軸受部224が形成されている。なお、テーパ面214eには、ヘリングボーン状の動圧発生用溝231が形成されている。この溝231は、軸線方向上側の部分が下側の部分より長くなっているため、軸線方向外側から内側に向かって潤滑流体を移動させるポンピング作用を得ることができる。
【0090】
シール用部材234は、円板状の部材であり、外周縁がスリーブ214に固定されている。シール用部材234は、円錐プレート211の上側テーパ面211bに沿って対向するテーパ面234aを有している。テーパ面234aとテーパ面211bとの間の隙間は、半径方向内方に開口するとともに軸線方向外側にいくにしたがって広くなっている。第1コーン動圧軸受部224に保持された潤滑流体の表面張力と外気の空気圧等とがバランスされ、潤滑流体のメニスカスはテーパ面234a,211bに位置している。この結果、潤滑流体がさらに外方に移動しようとすると液面の曲率が大きくなろうとし、それが抵抗となって潤滑流体が第1コーン動圧軸受部224の外に移動するのが抑制される。
【0091】
第2円錐プレート212は、シャフト208の下端に固定された環状の部材である。第2円錐プレート212の外周面は、上側テーパ面212aと、下側テーパ面212bとから構成されている。第2円錐プレート212は、上側テーパ面212aによって、軸線方向内側に向かって径が小さくなるテーパ形状となっている。スリーブ214の内周面には、上側テーパ面212aに沿って対向するようにテーパ面214fが形成されている。テーパ面211a,214fの間の微少間隙と、そこに保持された潤滑流体とによって、第2コーン動圧軸受部225が形成されている。なお、テーパ面214fには、ヘリングボーン状の動圧発生用溝238が形成されている。この溝238は、軸線方向下側の部分が上側の部分より長くなっているため、軸線方向外側から内側に向かって潤滑流体を移動させるポンピング作用を得ることができる。
【0092】
シール用部材240は、円板状の部材であり、外周縁がスリーブ214に固定されている。シール用部材240は、円錐プレート212の下側テーパ面212bに沿って対向するテーパ面240aを有している。テーパ面240aとテーパ面212bとの間の隙間は、半径方向内方に開口するとともに軸線方向外側にいくにしたがって広くなっている。第2コーン動圧軸受部225に保持された潤滑流体の表面張力と外気の空気圧等とがバランスされ、潤滑流体のメニスカスはテーパ面240a,212bに位置している。この結果、潤滑流体がさらに外方に移動しようとすると液面の曲率が大きくなろうとし、それが抵抗となって潤滑流体が第2コーン動圧軸受部225の外に移動するのが抑制される。
【0093】
第1及び第2コーン動圧軸受部223,224の微小間隙は、スリーブ214の筒状部の内周面とシャフト208の外周面との間の微小隙間にて連続し、両軸受部の潤滑流体は連続して保持され、互いにバランスしている。
第1コーン動圧軸受部224は、嵌合部210の軸線方向区間Kにほぼ対応する軸線方向位置に配置されている。このように、両者が半径方向にほぼ重なって配置されているため、スピンドルモータ201の薄型化が実現されている。
【0094】
スリーブ214の第1筒状部218の外周面214gと、円板状部219の軸線方向下側面119aと、第2筒状部220の内周面220aとによって、凹溝223が形成されている。凹溝223は、軸線方向下側に開口しており、環状に形成されている。凹溝223の軸線方向深さLは、嵌合部210の軸線方向区間Kより長く、そのため凹溝223は嵌合部210の軸線方向区間Kの軸線方向上端よりさらに軸線方向上側に延びている。
【0095】
スリーブ214には、嵌合部210の軸線方向区間Kに対応する軸線方向位置に凹溝223が形成されている。凹溝223は、スリーブ214とハブ213との嵌合によって発生する応力を吸収する。つまり、嵌合部210よりスリーブ214側に作用する応力は、スリーブ214の基部に対して第2筒状部220が半径方向に弾性的に幾分変形し、これにつられて円板状部219が弾性的に幾分下方に変形することで、十分に小さくなる。また、場合によっては第1筒状部218も弾性的に変形するが、ここが変形するときは十分に応力が小さくなっている。このため、第1コーン動圧軸受部224を構成するスリーブ214のテーパ面214eが変形しにくく、第1コーン動圧軸受部224は、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材203を安定保持することができる。
【0096】
また、凹溝223は、嵌合部210よりさらに軸線方向上側に延びている。このため、嵌合部210により発生する応力が第1コーン動圧軸受部224に影響を与えにくい。
5.第5実施形態
図8に示すように、凹溝223内に緩衝体250を収容してもよい。緩衝体250は、凹溝223のダンピング効果を高めるための部材であり、ゴム、樹脂、バネ等からなる。緩衝体250によって凹溝223における振動減衰効果が高くなっている。その他、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
6.第6実施形態
図9を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。このスピンドルモータ301は、前記第1実施形態のスピンドルモータ1とほぼ同様の構造を有している。
第2筒状部320は、円板状部319の外周縁から、軸線方向下側でなく軸線方向上側に延びている。そして、スリーブ314の外周面314a(具体的には第2筒状部320の外周面)は、ハブ313の内周面313f(より具体的には上端部313aの内周面)に密着嵌合している。さらに、ハブ313の内周面の軸線方向上側部分には半径方向内側に突出する突出部322が形成されている。突出部322は、第2筒状部320の軸線方向上端面に当接しており、それにより両部材の軸線方向位置決めがなされ部材外れを防止している。
【0098】
第1スラスト動圧軸受部327は、嵌合部310の軸線方向区間Kに対して、軸線方向下方にずれているが、近接した位置に形成されている。このように、両者が軸線方向に近接して配置されているため、スピンドルモータ301の薄型化が実現されている。
第2筒状部320が軸線方向上側に突出してさらにハブ313に嵌合しているため、第2筒状部320の内周側の空間321が応力吸収部となっている。つまり半径方向の板厚が薄い第2筒状部320が嵌合部310を形成しているため、スリーブ314とハブ313との嵌合によって発生する応力は、スリーブ314の基部に対して第2筒状部320が半径方向に弾性的に幾分変形し、これにつられて円板状部319も弾性的に幾分下方に変形することによって、十分に小さくなる。また、場合によっては第1筒状部318も弾性的に変形する、ここが変形するときは十分に応力が小さくなっている。このため、第1スラスト動圧軸受部327や第1ラジアル動圧軸受部326を構成する壁面が変形しにくく、各動圧軸受部327,326は、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材303を安定保持することができる。
【0099】
7.他の実施形態
本発明はかかる上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
応力吸収部としての凹溝は、前記実施形態ではスリーブ側に形成されていたが、ハブにねじ孔が形成されていない構造(或いはねじ孔が邪魔にならない構造)ではハブに形成されてもよい。また、凹溝は、ハブとスリーブの両方に設けられていてもよい。
【0100】
各動圧軸受部における動圧発生用溝の有無、溝がある場合の溝の種類、形成された部材については、前記実施形態に限定されない。たとえば、動圧発生用溝は、ヘリングボーン溝、スパイラル溝、ステップ溝などのいずれの形状であってもよい。また、材質は通常の金属以外の多孔質性のものでもよい。
本発明に係るスピンドルモータは、ハードディスク記録装置以外にも、他の記録ディスク駆動装置、レーザービームプリンタのポリゴンミラー駆動装置、及びプロジェクターに使用されるカラーホイール駆動装置などにも採用され得る。
【0101】
【発明の効果】
請求項1に記載のスピンドルモータでは、スラスト動圧軸受部はラジアル動圧軸受部に近接して配置され、さらに、スラスト動圧軸受部は嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接している。すなわち、スピンドルモータ全体が軸線方向に低くなっており薄型化及び小型化が進んでいる。一方このようにして薄型化及び小型化を実現することによって、スリーブとハブの嵌合部からスラスト動圧軸受部及びラジアル動圧軸受部に対して応力が作用し、各軸受部を構成する壁面に変形が生じやすくなっており、その場合は、各動圧軸受部において所望の軸受剛性を実現することが困難になるおそれがある。
【0102】
そこで、このスピンドルモータでは、ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する軸線方向位置に応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収する。このため、各動圧軸受部の壁面が変形しにくく、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材を安定保持することができる。特に、スピンドルモータ全体の小型化により回転部材が小径化することで、より高速回転に好適となる。
【0103】
請求項2に記載のスピンドルモータでは、請求項1において、応力吸収部は軸線方向に開口する凹溝であるため、構造が簡単になる。
請求項3に記載のスピンドルモータでは、請求項2において、凹溝を形成する各部位が弾性変形するため、嵌合部により発生する応力がスラスト動圧軸受部に影響を与えにくい。
【0104】
請求項4に記載のスピンドルモータは、請求項2又は3において、凹溝に収容され、凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えているため、凹溝のダンピング効果が高くなっている。すなわち、緩衝体によって凹溝における振動減衰効果が高くなっている。
請求項5に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜4のいずれかにおいて、二組の動圧軸受部が軸線方向に並んで形成されているため、回転部材に対する姿勢保持能力が一層高く、より高速回転する場合等に好適である。
【0105】
請求項6に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜5のいずれかにおいて、磁気回路部はラジアル動圧軸受部の外周側に配置され、ラジアル動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
請求項7に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜6のいずれかにおいて、磁気回路部は嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
【0106】
請求項8に記載のスピンドルモータでは、請求項1〜7のいずれかにおいて、搭載物はハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、外周面の外径は20mm以下であるため、内径が20mm以下であるような小型の円盤状記録媒体を搭載することができる。
請求項9に記載の記録ディスク駆動装置では、前記スピンドルモータを採用しているため、小型化及び薄型化を実現するとともに、回転部材は安定保持され、したがって記録媒体の記録密度を高くし、高容量化が可能になる。
【0107】
請求項10に記載のスピンドルモータでは、動圧軸受部は嵌合部の軸線方向区間に対して重なるか又は近接している。すなわち、スピンドルモータ全体が軸線方向に低くなっており薄型化及び小型化が進んでいる。一方このようにして薄型化を実現することによって、スリーブとハブの嵌合部から動圧軸受部に対して応力が作用し、動圧軸受部を構成する円錐状面に変形が生じやすくなっており、その場合は、動圧軸受部において所望の軸受剛性を実現することが困難になるおそれがある。
【0108】
そこで、このスピンドルモータでは、ハブ及びスリーブの少なくとも一方には、嵌合部の軸線方向区間に対応する軸線方向位置に応力吸収部が形成されている。応力吸収部は、スリーブとハブとの嵌合によって発生する応力を吸収する。このため、動圧軸受部の円錐状面が変形しにくく、所望の軸受能力を発揮することができ、回転部材を安定保持することができる。特に、スピンドルモータ全体の小型化により回転部材が小径化することで、より高速回転に好適となる。
【0109】
請求項11に記載のスピンドルモータでは、請求項10において、応力吸収部は軸線方向に開口する凹溝であるため、構造が簡単になる。
請求項12に記載のスピンドルモータでは、請求項11において、凹溝を形成する各部位が弾性変形するため、嵌合部により発生する応力が動圧軸受部に影響を与えにくい。
【0110】
請求項13に記載のスピンドルモータは、請求項11又は12において、凹溝に収容され、凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えているため、凹溝のダンピング効果が高くなっている。すなわち、緩衝体によって凹溝における振動減衰効果が高くなっている。
請求項14に記載のスピンドルモータでは、請求項10〜13のいずれかにおいて、一対の動圧軸受部が軸線方向に並んで形成されているため、回転部材に対する姿勢保持能力が一層高く、より高速回転する場合等に好適である。
【0111】
請求項15に記載のスピンドルモータでは、請求項10〜14のいずれかにおいて磁気回路部は動圧軸受部の外周側に配置され、動圧軸受部と磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
請求項16に記載のスピンドルモータでは、請求項11〜15のいずれかにおいて、磁気回路部は嵌合部と載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されているため、モータ全体の軸線方向高さが従来に比べて大幅に低くなっている。
【0112】
請求項17に記載のスピンドルモータでは、請求項11〜16のいずれかにおいて、搭載物はハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、外周面の外径は20mm以下であるため、内径が20mm以下であるような小型の円盤状記録媒体を搭載することができる。
請求項18に記載の記録ディスク駆動装置では、前記スピンドルモータを採用しているため、小型化及び薄型化を実現するとともに、回転部材は安定保持され、したがって記録媒体の記録密度を高くし、高容量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図2】嵌合部、動圧軸受部、及び凹溝の関係を説明するための図面であり、図1の部分拡大図。
【図3】第2実施形態における、図2に対応する図。
【図4】第3実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図5】嵌合部、動圧軸受部、及び凹溝の関係を説明するための図面であり、図4の部分拡大図。
【図6】第4実施形態としてのスピンドルモータの縦断面概略図。
【図7】嵌合部、動圧軸受部、及び凹溝の関係を説明するための図面であり、図6の部分拡大図。
【図8】第5実施形態における、図7に対応する図。
【図9】第6実施形態における、図7に対応する図。
【図10】一般的なハードディスク装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 スピンドルモータ
2 静止部材
3 回転部材
4 軸受手段
6 ステータ
8 シャフト
7 マグネットロータ
10 嵌合部
13 ハブ
14 スリーブ
23 凹溝
26 第1ラジアル動圧軸受部
27 第1スラスト動圧軸受部

Claims (14)

  1. シャフト部と、当該シャフト部から半径方向外方に突出する第1スラストプレート部を有する静止部材と、
    前記シャフトが回転自在に挿通される貫通孔が形成されたスリーブと、内周面に前記スリーブの外周面が密着して嵌合され外周面に搭載物が搭載される筒状のハブとを有し、前記スリーブの外周面と前記ハブの内周面との間には所定の軸線方向区間を有する嵌合部が形成されている、回転部材と、
    前記静止部材に固定されたステータと、
    前記ステータに対向するように前記ハブに固定され、前記ステータとともに磁気回路部を構成するロータマグネットとを備え、
    前記シャフト部の外周面と前記スリーブの内周面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第1ラジアル動圧軸受部が形成され、前記第1スラストプレート部の軸線方向面と前記スリーブの軸線方向面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第1スラスト動圧軸受部が形成され、
    前記第1スラスト動圧軸受部は第1ラジアル動圧軸受部に近接して配置され、さらに、前記第1スラスト動圧軸受部は前記嵌合部の軸線方向区間に対して半径方向において重なるか又は近接しており、
    前記ハブ及び前記スリーブの少なくとも一方には、前記嵌合部の軸線方向区間に対応する半径方向位置に、前記スリーブと前記ハブとの嵌合によって発生する応力を吸収するための応力吸収部が形成され、
    前記応力吸収部は、軸線方向に開口する凹溝を備え、
    前記凹溝は、前記嵌合部及び前記凹溝の側壁を構成し軸線方向に伸びる筒状部と、前記筒状部に連結し、前記軸線方向区間とは異なる軸線方向部位において半径方向に伸び、前記凹溝の底部を構成する平板状部と、を備えること
    特徴とするスピンドルモータ。
  2. 前記凹溝に収容され、前記凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えている、請求項1に記載のスピンドルモータ。
  3. 前記シャフト部の外周面と前記スリーブの内周面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第2ラジアル動圧軸受部が形成され、前記シャフト部に半径方向外方に突出する第2スラストプレート部が形成され、当該第2スラストプレート部の軸線方向面と前記スリーブの軸線方向面との間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第2スラスト動圧軸受部が形成されている、請求項1〜2のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  4. 前記磁気回路部は前記第1ラジアル動圧軸受部の外周側に配置され、前記第1ラジアル動圧軸受部と前記磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっている、請求項1〜3のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  5. 前記ハブは、前記搭載物の荷重を軸線方向に受けるための載置部を外周面に有し、前記磁気回路部は、前記嵌合部と前記載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されている、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  6. 前記搭載物は前記ハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、前記外周面の外径は20mm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  7. ハウジングと、
    前記ハウジングの天面側及び底面側のそれぞれに固定された、請求項1〜6のいずれかに記載の前記スピンドルモータと、
    前記ハブの外周面に固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、
    前記記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段と、を備えた記録ディスク駆動装置。
  8. シャフト部を有する静止部材と、前記シャフト部が回転自在に挿通される貫通孔が形成されたスリーブと、内周面に前記スリーブの外周面が密着して嵌合され外周面に搭載物が搭載される筒状のハブとを有し、前記スリーブの外周面と前記ハブの内周面との間には所定の軸線方向区間を有する嵌合部が形成されている、回転部材と、
    前記静止部材に固定されたステータと、
    前記ステータに対向するように前記ハブに固定され、前記ステータとともに磁気回路部を構成するロータマグネットとを備え、
    前記シャフト部の外周面と前記スリーブの内周面とが軸線方向一方側へ径が増大する略円錐状面を有し、前記円錐状面同士間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第1動圧軸受部が形成され、
    前記第1動圧軸受部は、前記嵌合部の軸線方向区間に対して半径方向において重なるか又は近接しており、
    前記ハブ及び前記スリーブの少なくとも一方には、前記嵌合部の軸線方向区間に対応する半径方向位置に、前記スリーブと前記ハブとの嵌合によって発生する応力を吸収するための応力吸収部が形成され、
    前記応力吸収部は、軸線方向に開口する凹溝を備え、
    前記凹溝は、前記嵌合部及び前記凹溝の側壁を構成し軸線方向に伸びる筒状部と、前記筒状部に連結し、前記軸線方向区間とは異なる軸線方向部位において半径方向に伸び、前記凹溝の底部を構成する平板状部と、を備えること
    特徴とするスピンドルモータ。
  9. 前記凹溝に収容され、前記凹溝のダンピング効果を高めるための緩衝体をさらに備えている、請求項8に記載のスピンドルモータ。
  10. 前記シャフト部の外周面と前記スリーブの内周面とが軸線方向他方側へ径が増大する略円錐状面を有し、前記円錐状面同士間の微少間隙と、当該微少間隙に保持された流体とによって、前記回転部材を前記静止部材に対して回転自在に支持する第2動圧軸受部が形成されている、請求項8〜9のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  11. 前記磁気回路部は前記第1動圧軸受部の外周側に配置され、前記第1動圧軸受部と前記磁気回路部は軸線方向区間の少なくとも一部同士が重なっている、請求項8〜10のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  12. 前記ハブは、前記搭載物の荷重を軸線方向に受けるための載置部を外周面に有し、前記磁気回路部は、前記嵌合部と前記載置部との間の軸線方向区間に対応して配置されている、請求項8〜11のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  13. 前記搭載物は前記ハブの外周面に嵌められる円盤状記録媒体であり、前記外周面の外径は20mm以下である、請求項8〜12のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  14. ハウジングと、前記ハウジングの天面側及び底面側のそれぞれに固定された、請求項8〜 13のいずれかに記載の前記スピンドルモータと、前記ハブの外周面に固定された、情報を記録できる円板状記録媒体と、前記記録媒体の所要の位置に情報を書込又は読み出すための情報アクセス手段と、を備えた記録ディスク駆動装置。
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