JP4005854B2 - 動圧軸受及びこれを備えたスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧軸受及びこの動圧軸受を備えたスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを用いて記録ディスクを回転するディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パーソナルコンピュータ等に用いられてきたハードディスク等の記録ディスク駆動装置について、通信技術の発達及びデータ量の増大等によって情報携帯端末等の情報機器への適用が開始されている。これらの情報機器は、小型・軽量化が促進され、記録ディスク駆動装置に許容される高さ方向の寸法も約2mm〜約5mm程度にまで制約されつつある。
【0003】
また、記録ディスク自体も小径化される傾向にあり、近年外径が1インチの超小径ハードディスクも実用化され、これを回転駆動する記録ディスク駆動用のスピンドルモータの小型・薄型化並びに回転精度の向上に対する要求はますます高まりつつある。
【0004】
更に、これら記録ディスク駆動装置が用いられる情報機器の低価格化の傾向から、記録ディスク駆動用のスピンドルモータに対する低コスト化の要求も一層高まっている。
【0005】
上記のような要求に応えるため、これまで記録ディスクが載置されるロータの回転を支持するために主に用いられてきたボールベアリングにかわり、例えば、特開2001−139971号に開示されるスピンドルモータのように、オイル等の流体に動圧を誘起して支持する動圧軸受が用いられるようになってきた。尚、この特開2001−139971号に開示される従来のスピンドルモータにおける動圧軸受は、シャフトに設けられたフランジ状のプレートの外周部にヘリングボーン状の動圧発生溝を形成してラジアル軸受部を構成し、プレートの上下両面側にもヘリングボーン状の動圧発生溝を形成して一対のスラスト軸受部を構成している。
【0006】
このような動圧軸受は、ロータを非接触状態で支持することができるため、振動や騒音が小さく、また高い回転精度を得やすい。更に、高い軸受剛性を得ようとすると大径のボールを使用せざるを得なかったボールベアリングとは逆に、動圧軸受では流体が保持される間隙が微小であるほど高い軸受剛性を得やすいことから、スピンドルモータを小型・薄型化しやすいというメリットを有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このよう従来の動圧軸受では、流体が保持される微小間隙を介して軸受面が相対回転することから、軸受面の接触を防止し、高い回転精度を得ようとすると、軸受を構成する部材表面を寸法並びに表面粗度の両面から高精度に加工しなければならず、前記従来のスピンドルモータのように、多くの軸受部を構成した場合、加工コストを抑制するのは困難であり、ボールベアリングを用いた場合に比べて部品点数が削減されているにも関わらず、かえってコスト増となる。また、スピンドルモータを小型・薄型化した場合、例えばシャフトの周面等軸受として機能する領域(動圧の発生に寄与する領域)の確保が困難になるので、軸受剛性の低下が懸念される。
【0008】
本発明は、小型・薄型で且つ高い回転精度を有すると共に、低コストで製造可能な動圧軸受及びこの動圧軸受を備えたスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを用いて記録ディスクを回転するディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、断面台形状の円錐部を有するシャフトと、該円錐部に対応した形状の円錐状凹部が形成されると共に、一方端が開放され且つ他方端が閉塞される円筒状スリーブと、オイルを作動流体として該シャフトと該スリーブとを相対回転自在に支持する動圧軸受において、前記シャフトの円錐部は、前記スリーブの閉塞端側に向かって外径が拡大するよう設けられており、前記オイルは前記円錐部と前記円錐状凹部との間に途切れることなく連続して保持され、前記円錐部の外周面と前記円錐状凹部の内周面とのいずれか一方には、前記オイルに対して前記スリーブの閉塞端側に作用する動圧を発生する動圧発生溝列が周方向に一列のみ形成されており、前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間には、前記スリーブの閉塞端側から前記スリーブの開放端側に向かうに従って漸次拡大する間隙が規定されている。
【0010】
すなわち、動圧軸受を対向する円錐状の傾斜面間に構成することで、高さ方向の寸法が同一のスピンドルモータと比較した場合、動圧軸受における軸受面(この場合は動圧の発生に寄与する面)の表面積が大となり、高い軸受剛性を維持することができる。更に、軸受部にオイルに対して前記スリーブの閉塞端側に作用する動圧を発生する動圧発生溝列を設けることで、円錐部の端面とこれと軸線方向に対向するスリーブの閉塞端側面との間でオイルが昇圧され、いわば静圧軸受として機能する。この静圧軸受による浮上力と動圧軸受部の動圧と回転する部材の自重とがバランスすることで、スラスト方向の荷重が支持される。
【0011】
このとき、動圧軸受に規定される間隙の隙間寸法が、スリーブの閉塞端側からスリーブの開放端側に向かうに従って漸次拡大するよう形成されている。
【0012】
従って、動圧軸受で発生する動圧の高まりに伴って円錐部の端面とスリーブの閉塞端側面との間に保持されるオイルも昇圧され、シャフトとスリーブとが相対的に浮上した場合に、この浮上量が所定量以上になろうとすると、動圧発生溝のスリーブ開放端側の部分が間隙のより拡大した部分に位置するようになり、オイルに対する押し込み圧が低下する。よって、シャフトとスリーブとが相対的に浮上しすぎることはない。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動圧軸受において、前記動圧発生溝列には、前記スリーブの開放端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法が、前記スリーブの閉塞端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法よりも長く形成された非対称形状のヘリングボーングルーブが設けられている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、断面台形状の円錐部を有するシャフトと、該円錐部に対応した形状の円錐状凹部が形成されると共に、一方端が開放され且つ他方端が閉塞される円筒状スリーブと、オイルを作動流体として該シャフトと該スリーブとを相対回転自在に支持する動圧軸受において、前記シャフトの円錐部は、前記スリーブの閉塞端側に向かって外径が拡大するよう設けられており、前記オイルは前記円錐部と前記円錐状凹部との間に途切れることなく連続して保持され、前記円錐部の外周面と前記円錐状凹部の内周面とのいずれか一方には、前記オイルに対して前記スリーブの閉塞端側に作用する動圧を発生する動圧発生溝列が周方向に一列のみ形成され、前記動圧発生溝列には前記スリーブの開放端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法が、前記スリーブの閉塞端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法よりも長く形成された非対称形状のヘリングボーングルーブが設けられており、前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間には、前記スリーブの開放端側が広く且つ前記スリーブの閉塞端側が狭く形成された間隙が規定され、前記間隙は前記ヘリングボーングルーブにおける前記スパイラル溝の連結部を境にして隙間寸法が変化している。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の動圧軸受において、前記シャフトは、前記円錐部の最小外径よりも小径な円柱部を有しており、また前記スリーブの開口側端部には、円錐状凹部の内周面から半径方向内方に突設され且つ中央部に前記シャフトの円柱部が挿通される開口を有する環状のフランジ部が設けられており、該フランジ部の下面と前記円錐部の上面との間には、半径方向内方に向かって拡開する間隙が規定されていると共に、前記オイルの気液界面は、前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間に規定される間隙と該フランジ部の下面と前記円錐部の上面との間に規定される間隙との間を行き来可能に保持されている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の動圧軸受において、前記円錐部の下面の略中央部には、前記オイル内に混入した異物を捕捉するための凹部が形成されている。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、スピンドルモータの軸受手段として請求項1乃至5のいずれかに記載の動圧軸受を備えている。
【0018】
更に、請求項7に記載の発明は、ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され記録ディスクを回転させるスピンドルモータと、該記録ディスクの所要の位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、前記スピンドルモータとして、請求項6に記載したスピンドルモータを備えている。
【0019】
尚、請求項1以外の請求項に記載する発明は、本発明の実施形態に即した構成に関するものであり、重複した記載を避けるために、各請求項に係る発明の構成による作用効果並びにその原理に関しては、下記発明の実施の形態及び発明の効果において詳述する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る動圧軸受及びこの動圧軸受を備えたスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを用いて記録ディスクを回転するディスク駆動装置について図1乃至図4を参照して説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。尚、本実施形態の説明では便宜上各図面の上下方向を「上下方向」とするが、実際の取付状態における方向を限定するものではない。
【0021】
まず、図1を参照して本発明に係る動圧軸受の実施形態について説明する。すなわち、本発明の実施形態に係るスピンドルモータは、ハードディスク等の記録ディスク(図4においてディスク板53として図示する)をディスク載置部2a上に保持するロータハブ2と、このロータハブ2とともに回転するシャフト4とを備えている。シャフト4には、円筒状の軸部4aと、この軸部4aに連続して且つ軸部4aよりも半径方向外方に突出する、断面形状が略台形状の円錐部4bが設けられている。この円錐部4bは、ブラケット6に取付けられる円筒状のスリーブ8に設けられた、円錐部4bの表面形状に対応する略台形状の断面形状を有する円錐状凹部8a内に挿入されている。円錐状凹部8aは、ロータハブ2側上端部が開放されており、この円錐状凹部8aの開放端は、軸部4aが挿通される円形状開口が略中央部に形成された環状のフランジ部8bによって閉塞されている。また、スリーブ8の底部は、キャップ部材10によって閉塞されている。
【0022】
ロータハブ2のディスク載置部2aの下部には、環状のロータマグネット12が装着されており、またブラケット6には、このロータマグネット12を外周側から取り囲むように複数の電機子極が突接設されたステータ14が取付けられている。ロータマグネット12とステータ14との間には、ステータに捲装されたコイル14aへの通電に応じて回転磁界が発生し、これによりロータハブ2が回転可能となる。
【0023】
円錐部4bと円錐状凹部8aとの間には間隙が形成されており、この間隙内にはオイルが途切れることなく連続して保持されている。円錐部4bの外周面、すなわち上部側から下部側に向かって順次拡径する傾斜面には、中心部が円錐部4bの下端側に偏倚した形状の軸線方向にアンバランスなヘリングボーン溝16が円錐部4bの外周面に沿って周方向に形成されており、このヘリングボーン溝16によって、ロータハブ2並びにシャフト4の回転時に、円錐部4bの外周面との対向面である、円錐状凹部8aの内周面との間に、円錐状凹部8aの底面側に作用するオイル動圧が誘起される。これにより、動圧軸受部18が構成されている。
【0024】
このとき、円錐部4bの外周面と円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙が、円錐部4bの下部側から上部側に向かうに従って漸次拡大するよう、円錐部4bの外周面の傾斜角と円錐状凹部8aの内周面の傾斜角とが、それぞれ異なる角度を有して傾斜している。また、フランジ部8bの下面は、円錐部4bの上面との間に形成される軸線方向の間隙が、半径方向外方側から内方側に向かって漸次拡大するよう傾斜面状に形成されている。
【0025】
円錐部4bと円錐状凹部8aとの間に形成された間隙内に、途切れることなく連続して保持されているオイルと空気との気液界面は、モータが停止状態にあるときには、円錐部4bの外周面と円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙の上端部付近に位置している。すなわち、円錐部4bの外周面と円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙の上端部が第1のテーパシール20として機能する。
【0026】
また、モータの回転時に、温度上昇等に起因してオイルが体積増加すると、オイルと空気との気液界面は、第1のテーパシール20を越えてフランジ部8bの下面と円錐部4bの上面との間の軸線方向の間隙内において半径方向内方を向く状態で形成されている。従って、フランジ部8bの下面と円錐部4bの上面との間の軸線方向の間隙が第2のテーパシール22として機能する。このように、オイルと空気との気液界面が第2のテーパシール22内で半径方向内方を向いた状態で形成されていることで、オイルは、回転時に遠心力の作用で半径方向外方、すなわち動圧軸受部18側に押圧されることとなる。このため、シール機能が強化され、オイルの軸受外部への飛散を可及的に防止することができる。
【0027】
円錐状凹部8aの底部の略中央部には、円錐部4bとの間の間隙が幾分拡大するよう円形凹部8bが形成されている。ロータハブ2並びにシャフト4の回転時に、ヘリングボーン溝16のポンピングによってオイルが円錐状凹部8aの底部側に押圧されると、オイル内に混入した円錐部4b又は円錐状凹部8b表面の摩耗粉等の異物もオイルとともに円錐状凹部8aの底部側に集められ、やがて円錐状凹部8aの中心部付近に集中する。これが凝集して円錐部4bの下面と円錐状凹部8aの底部との間の間隙の軸線方向寸法以上の大きさになると、両部材間に噛み込み、焼き付き等の原因となる。従って、この異物が集中する円錐部4bの軸心部に円形凹部4cを形成しておくことで、間隙が拡大し異物の噛み込みが防止されると同時に、異物が円形凹部4c内に捕捉されるので、モータの停止時に再びオイル内に拡散し、さらなる摩耗を誘発し軸受機能を劣化させるといった不具合の発生が防止される。
【0028】
次に、図2を参照して、動圧軸受部18の具体的動作について説明する。図2(a)は、図1に図示されるスピンドルモータの軸受部の構成を拡大して示す部分拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)に図示する軸受部の動作を説明するための概念図である。
【0029】
動圧軸受部18には、上記したとおり動圧発生溝として軸線方向にアンバランスなヘリングボーン溝16が設けられている。このヘリングボーン溝16は、回転方向に対して相互に対向する方向に傾斜する一対のスパイラル溝部s1,s2を連結して構成されるが、この場合、円錐部4bの上部側に位置するスパイラル溝部s1の軸線方向寸法が、円錐部4bの下部側に位置するスパイラル溝部s2の軸線方向寸法よりも大きくなるよう設定されている。これらスパイラル溝部s1,s2の寸法差に起因してオイルに作用するポンピング能力にも大小関係が発生し、発生する動圧の極大点が動圧軸受部18の中心部よりも下方側に偏倚して現れる。
【0030】
スパイラル溝部s1,s2のポンピング能力の差によって、オイルに対しては円錐部4bの下部側へと押圧され流動が促される。このオイルの流動により、円錐部4bの下面とキャップ部材10との間に保持されているオイルの内圧が昇圧され、ロータハブ2及びシャフト4に対して浮上力が付与される。すなわち、円錐部4bの下面とキャップ部材10との間に静圧軸受部24が形成されることとなる。この静圧軸受部24で得られる浮上力は、図2(b)において矢印Psで示す。
【0031】
動圧軸受部18で発生する動圧が高まるにしたがって、静圧軸受部24の浮上力Psも大きくなる。すなわち、ロータハブ2及びシャフト4はさらに浮上しようとするが、シャフト4が軸線方向上方に移動した分、円錐部4bも円錐状凹部8aに対して上方側に移動するが、上記したとおり、円錐部4bの外周面と円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙は、円錐部4bの上部側に向かって漸次拡大するよう形成されている。従って、動圧軸受部18に設けられたアンバランスなヘリングボーン溝16のうち、円錐部4bの上部側に位置するスパイラル溝部s1は間隙のより拡大した部分に移動し、これとは逆に、円錐部4bの下部側に位置するスパイラル溝部s2は、より円錐状凹部8aの内周面に近接するようになる。
【0032】
その結果、スパイラル溝部s2側ではポンピング圧が高まるが、スパイラル溝部s1側では、ポンピング圧が低下するので、ヘリングボーン溝16全体としてみればオイルに対する押し込み圧が低下するので、静圧軸受部24側に向かうオイルの流動も減少する。
【0033】
すなわち、図2(b)において、スパイラル溝部s1によって引き起こされる静圧軸受部24側に向かうオイル流動によって、静圧軸受部24に保持されるオイルが昇圧されると、シャフト4に浮上力が付与され、円錐部4bの下面とキャップ部材10との間に形成される軸線方向の間隙hが拡大する。このシャフト4の浮上に伴って円錐部4bも上昇し、円錐部4bの上部外周面と円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙の隙間寸法g1がより拡大し、スパイラル溝部s1によるオイルに対するポンピング能力が低下する。また、円錐部4bの下部外周面と円錐状凹部8aの内周面と間に形成される間隙の隙間寸法g2はより縮小し、スパイラル溝部s2によるオイルに対するポンピング能力が強化される。
【0034】
このような隙間寸法の大小によって、スパイラル溝部s1,s2の軸線方向の寸法の大小によるポンピング能力の差が相殺される。そして、回転軸心と並行な成分である、矢印F1で示す押圧力が強化され、シャフト4を押し下げる方向の力が作用するので隙間hが縮小する。
【0035】
また、矢印F1で示す力が大きくなると、シャフト4の浮上力が低下するので、円錐部4bと円錐状凹部8aとの関係は、当初の状態に戻り始める。そして、スパイラル溝部s1によるポンピング能力がスパイラル溝部s2によるポンピング力を再び上回るまでシャフト4が降下すると、円錐部4bの下部側に向かうオイルの流動が再開され、静圧軸受部24に保持されるオイルが昇圧され間隙hが拡大する。
【0036】
すなわち、モータの回転時には、ロータハブ2及びシャフト4に軸線方向に対向する力であるPsとF1とが常に作用することとなり、このため、両者が釣り合うバランス点でロータハブ2及びシャフト4は留まろうとする。
【0037】
このように、動圧軸受部18が傾斜した一対の対向面間に1つのみ構成される場合であっても、ロータハブ2の回転中の姿勢を安定させるための、例えば磁気背圧等の配慮が不要になり、モータの小型化や薄型化の要求に十分に応えつつも、安定性を損なうことなく構造を簡素化することができる。
【0038】
尚、上記実施形態に代えて、軸受部は、図3に図示されるよう構成することも可能である。
【0039】
この変形例では、シャフト4’は、円柱部4a’と円錐部4b’とからなる。円錐部4b’の外周面とスリーブ8の円錐状凹部8aの内周面との間に形成される間隙は、ヘリングボーン溝16における一対のスパイラル溝部の連結部を境にして隙間寸法が変化するよう構成される。この場合、円錐部4b’の外周面下端部からヘリングボーン溝16のスパイラル溝の連結部までは、円錐状凹部8aの内周面との間の間隙が実質上並行とし、また、ヘリングボーン溝16のスパイラル溝部の連結部から円錐部4b’の外周面上端部にかけては、円錐状凹部8aの内周面との間の間隙が、円錐部4b’の上端部側に向かって漸次拡大するように、円錐部4b’の外径形状が設定されている。この場合も、図2(a)に示す軸受部と同様の動作が行われる。
【0040】
次に、図4を参照して本発明の実施形態に係るディスク駆動装置について説明する。
【0041】
図4に、一般的なディスク駆動装置50の内部構成を模式図として示す。ケーシング51の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状のディスク板53が装着されたスピンドルモータ52が設置されている。加えてケーシング51の内部には、ディスク板53に対して情報を読み書きするヘッド移動機構57が配置され、このヘッド移動機構57は、ディスク板53上の情報を読み書きするヘッド56、このヘッドを支えるアーム55及びヘッド56及びアーム55をディスク板53上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部54により構成される。
【0042】
このようなディスク駆動装置50のスピンドルモータ52として上記実施形態のスピンドルモータを使用することで、ディスク板53を回転するためのスピンドルモータを小型・薄型化並びに低コスト化することができることから、ディスク駆動装置50の薄型化並びに低コスト化を可能にすると同時に、より小型且つ廉価な機器への適用も可能になる。
【0043】
以上、本発明に従う動圧軸受及びスピンドルモータ並びにこれを備えたディスク駆動装置の一実施形態について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0044】
例えば、動圧軸受部18における動圧発生用溝であるヘリングボーン溝16は、円錐部4b及び4b’の外周面と円錐状凹部8aの内周面との少なくともいずれか一方の面に形成されていればよく、いずれの面に形成するかあるいは両方の面に形成するかについては、部材等の加工の容易性あるいは支持する負荷等に応じて適宜選択可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1の動圧軸受では、回転精度を損なうことなく小型・薄型化することが可能となると同時に、加工コストが低減されるので低コスト化が可能となる。
【0046】
本発明の請求項2の動圧軸受では、低速回転時から高い動圧得ることができ、安定した軸支持が可能となる。
【0047】
本発明の請求項3の動圧軸受では、スリーブの円錐状凹部内周面の加工が容易になり、加工コストを低減することが可能となる。
【0048】
本発明の請求項4の動圧軸受では、作動流体であるオイルの飛散や漏れ出しを防止することができ、さらなる高速化への対応が可能になる。
【0049】
本発明の請求項5の動圧軸受では、オイル中に混入した異物に起因する軸受面の異常摩耗や損傷あるいは焼き付きを効果的に防止することが可能となる。
【0050】
本発明の請求項6のスピンドルモータでは、軸支持の安定性を損なうことなく動圧軸受を小型・薄型化すると共に、低コスト化することができるので、モータ自体の小型・薄型化並びに低コスト化が可能になる。
【0051】
本発明の請求項7のディスク駆動装置では、記録ディスクを回転するためのスピンドルモータを小型・薄型化並びに低コスト化することができることから、より小型且つ廉価な機器への適用も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るスピンドルモータの概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図2(a)は、図1において示すスピンドルモータの軸受部の詳細構成を示す部分拡大断面図であり、図2(b)は、この動圧軸受の動作原理を説明するための概念図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す動圧軸受の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明のディスク駆動装置の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
4、4’ シャフト
4b,4b’ 円錐部
8 スリーブ
8a 円錐状凹部
16 動圧軸受
18 ヘリングボーン溝(動圧発生溝)
Claims (7)
- 断面台形状の円錐部を有するシャフトと、該円錐部に対応した形状の円錐状凹部が形成されると共に、一方端が開放され且つ他方端が閉塞される円筒状スリーブと、オイルを作動流体として該シャフトと該スリーブとを相対回転自在に支持する動圧軸受において、
前記シャフトの円錐部は、前記スリーブの閉塞端側に向かって外径が拡大するよう設けられており、
前記オイルは前記円錐部と前記円錐状凹部との間に途切れることなく連続して保持され、
前記円錐部の外周面と前記円錐状凹部の内周面とのいずれか一方には、前記オイルに対して前記スリーブの閉塞端側に作用する動圧を発生する動圧発生溝列が周方向に一列のみ形成されており、
前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間には、前記スリーブの閉塞端側から前記スリーブの開放端側に向かうに従って漸次拡大する間隙が規定されていることを特徴とする動圧軸受。 - 前記動圧発生溝列には、前記スリーブの開放端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法が、前記スリーブの閉塞端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法よりも長く形成された非対称形状のヘリングボーングルーブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動圧軸受。
- 断面台形状の円錐部を有するシャフトと、該円錐部に対応した形状の円錐状凹部が形成されると共に、一方端が開放され且つ他方端が閉塞される円筒状スリーブと、オイルを作動流体として該シャフトと該スリーブとを相対回転自在に支持する動圧軸受において、
前記シャフトの円錐部は、前記スリーブの閉塞端側に向かって外径が拡大するよう設けられており、
前記オイルは前記円錐部と前記円錐状凹部との間に途切れることなく連続して保持され、
前記円錐部の外周面と前記円錐状凹部の内周面とのいずれか一方には、前記オイルに対して前記スリーブの閉塞端側に作用する動圧を発生する動圧発生溝列が周方向に一列のみ形成され、前記動圧発生溝列には前記スリーブの開放端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法が、前記スリーブの閉塞端側に位置するスパイラル溝部の軸線方向寸法よりも長く形成された非対称形状のヘリングボーングルーブが設けられており、
前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間には、前記スリーブの開放端側が広く且つ前記スリーブの閉塞端側が狭く形成された間隙が規定され、前記間隙は前記ヘリングボーングルーブにおける前記スパイラル溝の連結部を境にして隙間寸法が変化していることを特徴とする動圧軸受。 - 前記シャフトは、前記円錐部の最小外径よりも小径な円柱部を有しており、また前記スリーブの開口側端部には、円錐状凹部の内周面から半径方向内方に突設され且つ中央部に前記シャフトの円柱部が挿通される開口を有する環状のフランジ部が設けられており、該フランジ部の下面と前記円錐部の上面との間には、半径方向内方に向かって拡開する間隙が規定されていると共に、前記オイルの気液界面は、前記シャフトの円錐部の外周面と前記スリーブの円錐状凹部の内周面との間に規定される間隙と該フランジ部の下面と前記円錐部の上面との間に規定される間隙との間を行き来可能に保持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の動圧軸受。
- 前記円錐部の下面の略中央部には、前記オイル内に混入した異物を捕捉するための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の動圧軸受。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の動圧軸受を備えたことを特徴とするスピンドルモータ。
- ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され記録ディスクを回転させるスピンドルモータと、該記録ディスクの所要の位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、前記スピンドルモータは、請求項6に記載したスピンドルモータである、ことを特徴とするディスク駆動装置。
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