JP2004088816A - スピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型の構造を有すると同時に、更なる高速回転に対応してシール強度を強化し、またテーパシール部内の容積を増大させ、十分な量のオイルを保持することを可能とすると共に、薄型化しても軸受の支持剛性を高く維持する。
【解決手段】スリーブの内周面とシャフトの外周面との間にラジアル軸受部を構成し、スリーブの上端面及びロータの底面との間にスラスト軸受部を構成する。ロータの円筒壁の内周面とスリーブの外周面との間に、回転軸心に対して半径方向外方側から内方側に向かって傾斜するテーパシール部を形成し、このテーパシール部内においオイルの界面を形成すると共に、スラスト軸受部とオイル界面との間にロータの抜止めを設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】スリーブの内周面とシャフトの外周面との間にラジアル軸受部を構成し、スリーブの上端面及びロータの底面との間にスラスト軸受部を構成する。ロータの円筒壁の内周面とスリーブの外周面との間に、回転軸心に対して半径方向外方側から内方側に向かって傾斜するテーパシール部を形成し、このテーパシール部内においオイルの界面を形成すると共に、スラスト軸受部とオイル界面との間にロータの抜止めを設ける。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧軸受を備えたスピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハードディスク等の記録ディスクを駆動するディスク駆動装置において使用されるスピンドルモータの軸受として、シャフトとスリーブとを相対回転自在に支持するために、両者の間に介在させたオイル等の潤滑流体の流体圧力を利用する動圧軸受が種々提案されている。
【0003】
このような動圧軸受を使用するスピンドルモータの一例を図1に示す。図1において図示するスピンドルモータは、ロータaの底面とスリーブbの上端面との間にロータaの浮上力を発生するためのスラスト軸受部cを構成し、またロータaに一体的に設けられたシャフトdの外周面とスリーブbの内周面との間に、ロータaの調心や倒れの防止に作用するためのラジアル軸受部e,eを構成している。また、スリーブbが固定されるベース部材fには、ステータgが装着されると共に、ロータaには、ステータgと対向するようにロータマグネットhが固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のスピンドルモータは、ロータaの底面とスリーブbの上端面との間にスラスト軸受部cを構成し、回転時にロータaの浮上力を得ると共に、ベース部材fに強磁性材製のリング状部材iをロータマグネットhと軸線方向に対向するよう配置することで、スラスト軸受部cの動圧による浮上力とロータマグネットhとリング状部材iとの間に作用する磁気吸引力とをバランスさせて、ロータaにかかる軸線方向荷重を支持している。つまり、一般的な動圧軸受にみられるような、スラスト軸受部を構成するためにシャフトの端部に取付けられるスラストプレートを採用していない。
【0005】
このため、軸受剛性を著しく低下させることなくモータの構造を簡略化し且つ低コスト化すると共に、薄型化することが可能になるといったメリットを有するが、このようなスピンドルモータが使用されるディスク駆動装置は、記録ディスクに記憶可能なデータ量が年々増加されており、ディスクの記録面に形成される記録トラックの高密度化及びこれにともなうシークタイム短縮のため、記録ディスクを駆動するスピンドルモータに対する高速回転化の要求が強まりつつある。
【0006】
上記図1に図示するスピンドルモータでは、スラスト軸受部cに保持されるオイルが軸受外部に漏れ出すことを防止する手段として、スリーブbの外周部とロータaの底面に設けた環状突起jの内周面との間で軸線方向のテーパシール部kを形成し、このテーパシール部kでオイルの内圧と大気圧等をバランスさせることで、メニスカス状の界面を形成し保持していた。
【0007】
テーパシール部kは、シール部内に形成される間隙の隙間寸法を軸受部から離間するにつれて漸次拡大させることで、オイル界面の形成位置によって毛細管力に格差を生じさせ、軸受部で保持するオイル量が減少した場合には、テーパシール部kから軸受部へとオイルを供給し、また温度上昇等によって、軸受部内で保持されるオイルの体積が増加した場合には、その増加分を収容する機能を有している。
【0008】
しかしながら、上記構成では、テーパシール部kが軸受部よりも外周側に位置しているため、例えばラジアル軸受部に軸線方向に隣接してテーパシール部を構成する場合に比べて、回転時にはテーパシール部k内に保持されるオイルに対する遠心力の影響がより強くなる。従って、遠心力によってテーパシール部k内のオイルは、シール部の外周側に押圧されるので、メニスカスの形状が歪になり界面強度が低下する。このため、比較的に微弱な振動や衝撃の印加によって、オイルの界面破壊が容易に引き起こされ、オイルの流出がより発生しやすい状況となる。また、スピンドルモータを更に高速化すると、回転速度の増加にともないモータの発熱量が増大してオイルの体積増加が顕著になる。熱膨張したオイルは、粘性が低下するので、遠心力の影響を更に強く受けることとなり、軸受部側から押し出されるオイル量が増大しテーパシール部k内へと流入するオイルの量が増大することとなる。このとき、スピンドルモータの薄型化という寸法上の制約から、テーパシール部kの軸線方向寸法が制限されて容積を十分に確保することができない場合、シール部内に流入するオイルを収容しきれずに、オイルが軸受外部に流出する懸念がある。
【0009】
特に、ハードディスク駆動装置のようなディスク駆動装置では、軸受部から流出したオイルが駆動装置内に飛散すると、ディスクの記録面やこれに近接配置されるヘッドに付着し、リード・ライトエラーを引き起こす原因となる。よって、ディスク駆動装置において使用されるスピンドルモータでは、薄型化を可能とする構成を維持しつつ回転速度の高速化に対する要求に応えるために、ラジアル軸受部の外周側にテーパシール部を配置する構成で、シール部として機能するテーパ状の空間をより大きく確保して高容量のテーパシール部とすると共に、シール強度を向上することが可能な構成とする必要がある。
【0010】
また、上記構成では、ラジアル軸受部e,eの外周部にテーパシール部kを配置することで、テーパシール部kがスラスト軸受部cやラジアル軸受部e,eといった軸受部と軸線方向に重なって構成されないので、スピンドルモータの薄型化に対して優位性を有する。
【0011】
しかしながら、シャフトdの先端部には、ロータaの抜止めを構成するための抜止めリングmが取付けられている。このため、スピンドルモータの更なる薄型化を実現しようとした場合、ラジアル軸受部e,e間の軸線方向の間隔を十分に確保することが困難になり支持剛性が低下するため、NRRO(非繰り返し性振れ成分)の悪化や衝撃や振動等の外乱に起因するロータaの歳差運動に対する姿勢の復元に時間を要することとなる。
【0012】
本発明は、薄型の構造を有すると同時に、更なる高速回転に対応してシール強度を強化し、またテーパシール部内の容積を増大させ、十分な量のオイルを保持することが可能であると共に、薄型化しても軸受の支持剛性を高く維持することが可能なスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを備えたディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シャフトと、該シャフトが回転自在に遊挿される貫通孔が形成されたスリーブと、回転軸心に該シャフトが一体的に構成された円形の天板と該天板から垂下される円筒壁とを有するロータとを備えてなるスピンドルモータであって、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間に、オイルが保持される微小間隙を形成すると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝を設けることによってラジアル軸受部を構成し、前記スリーブの上端面及び天板の底面との間に、オイルが保持される微小間隙を形成すると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝を設けることによってスラスト軸受部を構成しており、前記ロータの円筒壁の内周面と前記スリーブの外周面との間に、回転軸心に対して半径方向外方側から内方側に向かって傾斜し且つ前記ロータの天板から遠離るにつれて間隙の隙間寸法が漸次拡大するテーパシール部を形成し、該テーパシール部内において前記スラスト軸受部に保持される前記オイルの界面を形成し、更に前記スラスト軸受部と前記テーパシール部内のオイル界面との間には、前記ロータの抜止めが設けられている。
【0014】
この構成は、オイルを作動流体として利用する動圧軸受を用いたスピンドルモータにおいて、ラジアル軸受部の外周部にテーパシール部を配置することで、テーパシール部がスラスト軸受部やラジアル軸受部といった軸受部と軸線方向に重ならず、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、回転軸線と平行又は直交する方向にテーパシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の空間を長くしてテーパシール部内の容積を増大することができる。また、オイルの界面が回転軸心に対して傾斜する方向に向いた状態に形成される、すなわち、界面が半径方向内方を向いて形成されることとなるので、回転時には、遠心力がオイルの界面を押さえ込む方向に作用するようになり、シール強度も高く維持される。
【0015】
また、テーパシール部のみならずロータの抜止めもラジアル軸受部の外周部に配置することで、これら軸受部とテーパシール部及び抜止めとが軸線方向に重なって配置されことがないのでスピンドルモータの更なる薄型化が可能になる。また、スリーブとともにラジアル軸受部を構成するシャフトの軸線方向の軸線方向寸法を軸受部として有効に利用することが可能になるので、スピンドルモータを更に薄型化した場合でも、比較的に高い支持剛性を確保することが可能になり、NRROの悪化が防止されると共に、歳差運動が発生した場合も、ロータの姿勢の回復に時間を要しない。
【0016】
加えて、オイルで満たされた空間内にロータの抜止めを配置することで、例えば、スピンドルモータに外的な振動や衝撃等の外乱が加えられた場合も、オイルの持つダンピング特性によって外乱による衝撃が減衰され、抜止め部での接触の発生及び接触時の損傷を最小限にとどめることができる。また、万一接触が発生して摩耗粉等のパーティクルが生じたとしても、これらパーティクルが直ちに軸受外に飛散することがない。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブの外周面に、外径が前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面を形成し、また前記ロータの円筒壁の内周面に、内径が該スリーブ側の傾斜面とは異なる角度で前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面を有する円環状のリング状部材を固着することによって、前記テーパシール部を、該スリーブの傾斜面と該リング状部材の傾斜面との間に形成している。
【0018】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載のスピンドルモータにおいて、前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記ロータの天板と円筒壁の内周面との角部には半径方向内方に突出し且つ前記リング状部材よりも大内径を有する環状段部が設けられていると共に、前記天板と前記リング状部材の上面と該段部の内周面とによって環状溝が形成され、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される。
【0019】
請求項4に記載の発明は、上記請求項2に記載のスピンドルモータにおいて、前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記リング状部材の内周面には環状溝が設けられ、、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される。
【0020】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間に、外気に連通する環状の空気保持部を形成し、前記ラジアル軸受部を該空気保持部の軸線方向両側にそれぞれ隣接して一対構成すると共に、該空気保持部の軸線方向両端側で該一対のラジアル軸受部に保持されるオイルの界面を形成している。前記一対のラジアル軸受部のうち、前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部と前記スラスト軸受部との間に、前記オイルを途切れることなく連続して保持すると共に、前記スラスト軸受部に、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝を設け、また前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部には、前記オイルに対して前記スラスト軸受部側に作用する動圧を誘起する前記動圧発生溝を設けている。
【0021】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブに形成される貫通孔の一方の端部は閉塞部材によってを閉塞して、前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間にはオイルが保持される微小間隙を形成している。前記スラスト軸受部に形成される微小間隙と前記ラジアル軸受部に形成される微小間隙と前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間に形成される微小間隙を連続して形成し、また該連続する一連の微小間隙中に、前記テーパシール部に至るまで全体にわたって前記オイルを途切れることなく保持している。前記スラスト軸受部には、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝を設け、また前記ラジアル軸受部には、前記動圧発生溝として一対のスパイラルグルーブを連接してなるヘリングボーン溝を設けると共に、前記閉塞部材の内面及び前記シャフトの端面との間に、前記スラスト軸受部で発生する半径方向内方に向かう圧力と実質上均衡する圧力を有する軸受部を形成している。
【0022】
請求項7に記載の発明は、上記請求項6に記載のスピンドルモータにおいて、前記シャフトと前記ロータとを同一の部材から形成し、また前記シャフトの外周面に中空円筒状の外筒部材を装着すると共に、前記ラジアル軸受部を該外筒部材の外周面と前記スリーブの内周面との間に構成している。前記外筒部材の内周面と前記シャフトの外周面との間に、前記シャフトの外周面と前記外筒部材の内周面との間を軸線方向上端部から下端部にわたって連続し且つ前記スリーブの内周面と前記外筒部材の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上下端部に連通する螺旋状の連通孔を形成している。前記連続する一連の微小間隙に保持されるオイルは、該連通孔を通じて相互に流通可能となり内圧が均一化される。
【0023】
請求項8に記載の発明は、上記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記ロータを、前記スラスト軸受で発生する動圧の作用方向に対して軸線方向反対側に作用する磁気力によって付勢している。
【0024】
請求項9に記載の発明は、情報を記録できる記録ディスクが回転駆動されるディスク駆動装置において、ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され該記録ディスクを回転させるスピンドルモータと、該記録ディスクの所要の位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、前記スピンドルモータとして、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載したスピンドルモータを用いている。
【0025】
尚、請求項1以外の請求項に記載する発明は、本発明の実施形態に即した構成に関するものであり、重複した記載を避けるために、各請求項に係る発明の構成による作用効果並びにその原理に関しては、下記発明の実施の形態及び発明の効果において詳述する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置の各実施形態について図2乃至図9を参照して説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0027】
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係るスピンドルモータに関して、図2乃至図4を参照して説明する。
【0028】
▲1▼スピンドルモータの構造
図2に図示されるスピンドルモータは、略円板状の上壁部2a(天板)と、この上壁部2aの外周縁部から下方に垂下する円筒状周壁部2bとから構成されるロータハブ2と、このロータハブ2の上壁部2aの中央部に一方の端部が外嵌固定されるシャフト4とから構成されるロータ6と、このシャフト4を回転自在に支持する中空円筒状のスリーブ8と、このスリーブ8の下部を閉塞するカバー部材10と、スリーブ8を保持する円筒部12が一体的に形成されたブラケット14とを具備する。
【0029】
ブラケット14の円筒部12の外周側には、ステータ16が配設され、ロータハブ2の周壁部2bの内周面には、このステータ16と半径方向に間隙を介して対向して、ロータマグネット18が固着される。
【0030】
また、ロータハブ2の周壁部2bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスク(図9においてディスク板53として図示する)が載置されるフランジ状のディスク載置部2cが設けられている。
【0031】
シャフト4には、雌ねじ孔4aが回転軸心と同軸状に形成されている。この雌ねじ孔4aには、ロータハブ2のディスク載置部2c上に記録ディスクを保持するためのクランパ(不図示)を固定するための雄ねじが締結される。
【0032】
▲2▼軸受部の構成
スリーブ8の上端面は、ロータハブ2の上壁部2aの下面と軸線方向に微小間隙を介して対向し、この微小間隙中にはオイルが毛細管現象によって保持されている。この微小間隙に臨むスリーブ8の上端面の下面には、ロータ6の回転時にオイルに半径方向内方側(シャフト4側)への移動圧力を誘起するポンプイン型のスパイラル溝20aが形成され、スラスト軸受部20が構成される。
【0033】
シャフト4の外周面は、スリーブ8の内周面と半径方向に微小間隙を介して対向し、この微小間隙中にはオイルが毛細管現象によって保持されている。
【0034】
スリーブ8には、シャフト4の外周面とスリーブ8の内周面との間に形成される微小間隙の軸線方向略中央部において開口するよう、このスリーブ8を半径方向に貫通する第1の連通孔22が形成され、シャフト4とスリーブ8との間の微小間隙の半径方向の間隙寸法は、第1の連通孔22を通じて侵入した空気が介在する気体介在部23が形成される。尚、気体介在部23の具体的な構成については、後に詳述する。
【0035】
シャフト4の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定される微小間隙に保持されるオイルは、この気体介在部23によって軸線方向に分離される。
【0036】
気体介在部23の軸線方向上側(スラスト軸受部20側)において、微小間隙に臨むスリーブ8の内周面には、ロータ6の回転時に、オイルに軸線方向上側(シャフト4の上端部方向)に向かう移動圧力を誘起するよう、軸線方向にアンバランスな形状を有するポンプアップ型のヘリングボーン溝24aが形成されており、上部ラジアル軸受部24が構成される。また、気体介在部23の軸線方向下側(ブラケット14側)において、微小間隙に臨むスリーブ8の内周面には、ロータ6の回転時に、オイルにその軸線方向両端側から中央部側に向かう移動圧力を誘起するよう、軸線方向にバランスした形状を有するヘリングボーン溝26aが形成されており、下部ラジアル軸受部26が構成される。
【0037】
一対のラジアル軸受部24,26のうち、気体介在部23の上部側に構成される上部ラジアル軸受部28とこれに隣接するスラスト軸受部20との間には連続してオイルが保持されている。上述のとおり、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24とは、それぞれ隣接する相手方軸受部方向に作用する移動圧力をオイルに対して誘起するため、両軸受部の境界部、すなわち、スリーブ8の内周面の上端部付近において圧力ピークを発生する。
【0038】
つまり、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24とが協働することにより、ロータ6に対する半径方向に作用する軸支持力が得られると同時に、軸線方向上側(ブラケット14に対して浮上する方向)に作用する軸線方向の軸支持力が得られる。
【0039】
ブラケット14には、ロータマグネット18の下面と軸線方向に対向する位置に、強磁性材料から形成された円環状のスラストヨーク28が配置されており、ロータ6は、このスラストヨーク28とロータマグネット18との間に生じる磁気吸引力によって、軸線方向下側(ブラケット14側)に磁気的にバイアスされることとなる。このロータ6に作用する磁気力と、スラスト軸受部20及び上部ラジアル軸受部24とが協働することで発生するロータ6の浮上力とがバランスし、ロータ6に対して軸線方向両側への荷重が支持され、ロータ6の回転中の姿勢が安定して維持されることになる。尚、ブラケット14にスラストヨーク28を配置する構成に代えて、例えば、ロータマグネット18とステータ16の磁気的な中心を軸線方向に相互に変位するよう配置することで、ロータ6に対する磁気吸引力を発生することも可能である。
【0040】
▲3▼シール構造
シャフト4の外周面には、第1の連通孔22のスリーブ8の内周面側開口と半径方向に対向して環状凹部が設けられている。このシャフト4の環状凹部の軸線方向両端部側は、シャフト4の環状凹部の軸線方向中央部側から上部及び下部ラジアル軸受部24,26側に向かって外径が漸次拡大するよう傾斜面状に形成されており、スリーブ8の内周面との間で一対のテーパ状空間が規定される。上部及び下部ラジアル軸受部24,26に保持されるオイルの一方の端部は、第1の連通孔22を通じて気体介在部23内に取り込まれた空気と接触し、気体介在部23の各テーパ状の空間内でそれぞれ界面が形成されている。
【0041】
また、シャフト4の下端部の外周面は、外径がカバー部材10側に向かうにしたがって縮径するよう傾斜面状に形成されており、スリーブ8の内周面との間で、テーパ状の空間が形成されている。このシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間は、スリーブ8の下端面とカバー部材10との間並びにスリーブ8の外周面とブラケット14の円筒部12の内周面との間に規定された第2の連通孔25を通じて外気に連通している。
【0042】
下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルは、シャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内で空気と接触し、界面が形成されている。すなわち、下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルは、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内と、シャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内との間に保持されている。
【0043】
従って、下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルに対しては、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内側の界面とシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内側の界面に作用する圧力がバランスすることによって軸受部内に押し止めようとする力が生じる。よって、下部ラジアル軸受部26において、オイルの保持量が減少した場合には、毛細管力によって、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内とシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内に保持されていたオイルとが、下部ラジアル軸受部26側へと供給されることとなる。逆に、下部ラジアル軸受部26で保持されるオイルが温度上昇等によって体積膨張した場合、オイルの界面が、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内並びにシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内のより隙間寸法が拡大する方向に移動することで、この体積増加した分のオイルが収容されることとなる。
【0044】
次に、上部ラジアル軸受部24とスラスト軸受部20との間に保持されるオイルのスラスト軸受部20側の界面が位置するテーパシール部30について、図3を参照して説明する。図3は、テーパシール部30の概略構造を図示するために、図2の一部を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
【0045】
図3において、上部ラジアル軸受部24の外周側にあたるスリーブ8の外周面は、その外径がブラケット14側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部20を構成するスリーブ8の上端面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面8aが形成されている。また、スリーブ8の外周面には、この傾斜面8aに連続する垂直面8b1とこの垂直面8b1に直交し且つ連続する平坦面8b2とからなる円環状の段部8bが設けられており、第1の連通孔22は、この段部8b内においてスリーブ8の外周面側開口部が開口している。尚、スリーブ8の傾斜面8aと上端面との間に位置する環状突起8cについては、後に詳述する。
【0046】
また、ロータハブ2の上壁部2aの下面には、スリーブ8の上端面側の外径よりも僅かに大径な内周面を有する円筒壁2dが設けられており、スリーブ8の段部8bの内部に、ブラケット14の円筒部12の内周面並びに段部8bの平坦面8b2と非接触で収容されている。この円筒壁2dの内周面には、内周面がスリーブ8の傾斜面8aと非接触で半径方向に対向し且つ傾斜面8aとの間に形成される間隙の隙間寸法がブラケット14側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部20を構成するロータハブ2の上壁部2aの下面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面32aが形成されたリング状部材32が、例えば接着あるいは圧入等の手段によって固着されている。リング状部材32は、円筒壁2dと共に、スリーブ8の外周面に設けられた段部8bの内部に平坦面8b2と非接触で収容されている。
【0047】
スラスト軸受部20に保持されるオイルは、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成された、ブラケット14側に向かうにしたがって隙間寸法が漸次拡大するテーパ状の間隙内において、空気との界面を形成して保持されている。つまり、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成されたテーパ状の間隙によってテーパシール部30が構成されている。
【0048】
従って、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24との間で連続して保持されるオイルは、スラスト軸受部20側の端部がテーパシール部30内で、また上部ラジアル軸受部24側の端部が気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内で、各界面に作用する圧力がバランスする位置で保持されている。
【0049】
この場合、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aの傾斜角は、回転軸心に対して約20度乃至35度、好ましくは約26度乃至33度の範囲に設定され、またリング状部材32の傾斜面32aの傾斜角は、回転軸心に対して約15度乃至30度、好ましくは約20度乃至27度の範囲に設定されている。更に、これらスリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部32材の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成されるテーパシール部30のテーパ角は、約2度乃至15度、好ましくは約5度乃至10度の範囲に設定されている。
【0050】
上記のとおり、テーパシール部30を構成するスリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の傾斜面32aの傾斜角とが、回転軸心に対してそれぞれ異なる傾斜角を有することで、テーパシール部30自体も半径方向内方側に向かって傾斜した構成となる。
【0051】
このとき、テーパシール部30の最小の間隙寸法は、スラスト軸受部20で発生した動圧によってロータ6が浮上した際に生じるスラスト軸受部20における微小間隙の軸線方向の隙間寸法と同等かもしくはそれ以下に設定するのが好ましい。このような関係とすることによって、軸受部とシール部との間のオイルの流通が円滑に行われることとなる。
【0052】
すなわち、スラスト軸受部20から上部ラジアル軸受部24に保持されるオイルに対しては、テーパシール部30側の界面と気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間側の界面とに作用する圧力がバランスすることによって軸受部内に押し止めようとする力が生じる。従って、スラスト軸受部20又は上部ラジアル軸受部24において、オイルの保持量が減少した場合には、毛細管力によって、テーパシール部30内並びに気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内に保持されているオイルが、スラスト軸受部20側並びに上部ラジアル軸受部24側へと供給されることとなる。逆に、スラスト軸受部20又は上部ラジアル軸受部24で保持されるオイルが温度上昇等によって体積膨張した場合、オイルの界面が、テーパシール部30並びに気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内のより隙間寸法が拡大する方向に移動することで、この体積増加した分のオイルがテーパシール部内に収容されることとなる。
【0053】
また、テーパシール部30が回転軸心に対して傾斜して構成されるため、オイルの界面も、テーパシール部30の回転軸心に対する傾斜角に応じて半径方向内方を向いて形成される。従って、ロータ6の回転時には、遠心力によってオイルの界面がテーパシール部30の奥部側、すなわちスラスト軸受部20側に押圧されるので、シール強度が強化される。従って、高速回転するスピンドルモータにおいても、テーパシール部30からの潤滑油8の流出が阻止される。
【0054】
更に、テーパシール部30が回転軸心に対して傾斜するよう構成することで、例えば薄型のスピンドルモータにおいても、回転軸心と平行にシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の間隙を長くとることが可能となりテーパシール部30の容積が増大する。このため、スピンドルモータの高速回転化によってテーパシール部30内へのオイルの流入量が増加しても、これに追随してオイルを保持することが可能なる。
【0055】
すなわち、上記の構成によって、ラジアル軸受部24,26の外周部にテーパシール部30を配置することで、テーパシール部30がスラスト軸受部22やラジアル軸受部24,26といった軸受部と軸線方向に重ならず、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部30を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、回転軸線と平行又は直交する方向にテーパシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の空間を長くしてテーパシール部内の容積を増大することができる。また、オイルの界面が回転軸心に対して傾斜する方向に向いた状態に形成されることとなるので、回転時には、遠心力が潤滑油の界面を押さえ込む方向に作用するようになり、シール強度も高く維持される。
【0056】
▲4▼ロータの抜止め構造
図3に図示するとおり、上壁部2aの下面と円筒壁2dの内周面との角部に環状の段部2a1を設けておき、この段部2a1の下面を突当て面としてリング状部材32の上端部を当接させることで、リング状部材32を装着する際の軸線方向の位置決めが容易になる。
【0057】
このとき、段部2a1の内径をリング状部材32の内径よりも大とすることで、リング状部材32が段部2a1よりも半径方向内方側に突出した状態となる。これにより、上壁部2aの下面と段部2a1の内周面とリング状部材32の上面との間で環状溝34が形成される。また、スリーブ8の外周面には、この環状溝34に対応して傾斜面8aの上部に半径方向外方に突出する環状突起8bが設けられており、これら環状溝34と環状突起8bとが係合することで、ロータ6の抜止めが構成される。
【0058】
このように。テーパシール部30だけでなく、ロータハブ2の抜止めもラジアル軸受部24,26の外周部に設けることで、スピンドルモータの更なる薄型化を促進することが可能になるばかりでなく、スピンドルモータの薄型化が促進された場合であっても、ラジアル軸受部24,26間の軸線方向の間隔を長く設定することが可能になる。従って、シャフト4のうちスリーブ9内に位置する部位全体を軸受として利用可能となるので、十分な支持剛性を確保することが可能になり、モータを更に薄型化した場合もNRROの悪化を防止することができると共に、外乱に起因する歳差運動等ロータ6の振れ回りの回復を短時間で行うことができるようになる。
【0059】
加えて、オイルで満たされた空間内にロータ6の抜止めを配置することで、例えば、スピンドルモータに外的な振動や衝撃等の外乱が加えられた場合も、オイルの持つダンピング特性によって外乱による衝撃が減衰され、環状溝34と環状突起8bの接触時の損傷を最小限にとどめることができる。また、万一接触が発生して摩耗粉等のパーティクルが生じたとしても、これらパーティクルが直ちに軸受外に飛散することがない。
【0060】
尚、図4に図示するとおり、抜止め部は、リング状部材32’の内周面上端部に環状溝34’を設けておき、これに環状突起8bを係合させることで構成することも可能である。
【0061】
(2)第2の実施形態
▲1▼スピンドルモータの構成
本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータに関して、図5乃至図8を参照して説明する。
【0062】
図5に図示するスピンドルモータは、略円板状の上壁部102a(天板)と、この上壁部102aの外周縁部から下方に垂下する円筒状周壁部102b(円筒壁)とから構成されるロータハブ102と、このロータハブ102の上壁部102aの中央部に一方の端部が外嵌固定されるシャフト104とから構成されるロータ106と、このシャフト104を回転自在に支持する中空円筒状のスリーブ108と、このスリーブ108の下部を閉塞しシャフト104の自由端部側端面と対向するカバー部材110と、スリーブ108が内嵌される円筒部112が一体的に形成されたブラケット114とを具備する。
【0063】
ブラケット114には円筒部112を中心とした略椀状の形状を有しており、この椀状をなす周壁の内周面113には、半径方向内方に突設される複数のティースを有するステータ116が配設され、また、ロータハブ102の周壁部102bの外周面には、このステータ116と半径方向内方から間隙を介して対向するよう、ロータマグネット118が固着される。
【0064】
また、ロータハブ102の周壁部102bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスク(図9においてディスク板53として図示する)が載置されるフランジ状のディスク載置部102cが設けられている。
【0065】
シャフト104には、雌ねじ孔104aが回転軸心と同軸状に形成されている。この雌ねじ孔104aには、ロータハブ102のディスク載置部102c上に記録ディスクを保持するためのクランパ(不図示)を固定するための雄ねじ(不図示)が締結される。
【0066】
▲2▼軸受部の構成
スリーブ108の上端面とロータハブ102の上壁部102aの下面との間、ロータハブ102の上壁部102aに続くシャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するスリーブ108の大内径部とピン部材119のフランジ部119aとの間及びカバー部材110の内面とこれと軸線方向に対向するピン部材119の端面との間には、一連の微小間隙が形成されており、この微小間隙中にはオイルが途切れることなく連続して保持されている(このような構成を以下「フルフィル構造」と記載する)。
【0067】
スリーブ108の内周面には、スリーブ108の上端面側(ロータハブ102側)に、ロータ106の回転時にオイルに流体動圧を誘起する、回転方向に対して相反する方向に傾斜する一対のスパイラル溝を連結して構成される略「く」の字状のヘリングボーングルーブ122aが形成されており、シャフト104の外周面との間で上部ラジアル軸受部122が構成される。
【0068】
また、スリーブ108の内周面には、シャフト104の自由端部側(カバー部材110側)に、ロータ106の回転時にオイルに流体動圧を誘起する、回転方向に対して相反する方向に傾斜する一対のスパイラル溝を連結して構成される略「く」の字状のヘリングボーングルーブ124aが形成されており、シャフト104の外周面との間で下部ラジアル軸受部124が構成される。
【0069】
尚、上部及び下部ラジアル軸受部122,124に形成されるヘリングボーングルーブ122a,124aは、各スパイラルグルーブが実質的に同等のポンピング力を発生するよう、軸線方向の寸法、回転方向に対する傾斜角あるいは溝幅や深さといった溝諸元が同一となるよう設定される、つまり、各スパイラルグルーブが連結部に対して線対称になるよう設定されている。
【0070】
更に、スリーブ108の上端面(上壁部102aと軸線方向に対向する面)には、ロータ106の回転時にオイルに対して半径方向内方(シャフト104側)に向かう圧力を誘起するポンプインのスパイラルグルーブ126aが形成されており、ロータハブ102の上壁部102aの下面との間でスラスト軸受部126が構成される。
【0071】
また、カバー部材110の内面とこれと軸線方向に対向するシャフト104の自由端部側の端面との間には、後に詳述するとおり、スラスト軸受部126のスパイラルグルーブ126aによって高められたオイルの内圧を利用する、静圧軸受部128が構成される。
【0072】
上記のとおり構成された各軸受部による軸支持方法について詳述する。
【0073】
上部及び下部ラジアル動圧軸受122,124では、ロータ106の回転にともない、ヘリングボーングルーブ122a,124aによるポンピング力が高まり、流体動圧が生じる。上部及び下部ラジアル軸受部122,124における圧力分布は、ヘリングボーングルーブ122a,124aの両端側から急激に高まり、各スパイラルグルーブの連結部において極大となる。この上部及び下部ラジアル軸受部122,124で発生する流体動圧を用いて、シャフト104が軸線方向上下部から軸支持され、シャフト104の調心作用及び倒れに対する復元作用を担っている。
【0074】
スラスト軸受部126では、ロータ106の回転にともない、ポンプインのスパイラルグルーブ126aによって、オイルに半径方向内方に向かう圧力が誘起される。この半径方向内方に向かう圧力によって、オイルの流動が促され、オイルの内圧が高められ、ロータ106の浮上方向に作用する流体動圧が発生する。尚、スラスト軸受部126で誘起される流体動圧は、上部及び下部ラジアル軸受部122,124のように急激に高まることはなく、最大でも大気圧を幾分上回る程度である。
【0075】
スラスト軸受部126で発生する圧力によって、ロータハブ102の上壁部102aに続くシャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するシャフト104の端面とカバー部材110の内面との間に保持されているオイルは、圧力的に実質上密封された状態となり、また、上部及び下部ラジアル軸受部122,124に形成されるヘリングボーングルーブ122a,124aを軸線方向に対称な形状とし、発生する動圧を軸線方向にバランスした状態とすることで、上述のとおりオイルに軸線方向の流動が誘起されることがない。これにより、シャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するシャフト104の端面とカバー部材110の内面との間に保持されるオイルの内圧は、上部及び下部ラジアル軸受部122,124で発生する流体動圧の干渉を受けることなく、このスラスト軸受部126に保持されるオイルの内圧とバランスする。
【0076】
上記第1の実施形態では、軸受部に保持されるオイルの各端部が空気に露出する構成をとっていた(このような構成を以下「パーシャルフィル構造」と記載する)。このパーシャルフィル構造は、オイルの一方の端部から他方の端部までの間で圧力が極大となる領域を一箇所のみとし、両端部側に向かって漸次低圧となるよう各軸受部の動圧発生溝を形成並びに配置することで、オイル内に混入した気泡を自動的に排出可能とする構成であり、軸受部によるオイルの内圧や流動の制御が及びにくい領域にオイルを保持しないようにすることで、軸受部内から不安定要素を排除し、安定した軸受性能を得ることが可能になる。しかしなが、シール部として機能するテーパ状の間隙を形成するための傾斜面を数多く設けなければならず、また連通孔として機能する構成(例えば、上記第1の実施形態における第1及び第2の連通孔22,25の如き構成)が必要となるため、軸受を構成する部材の加工が煩雑になり軸受並びにこれを用いたスピンドルモータの製造コストの低減を阻害する懸念がある。
【0077】
これに対し第2の実施形態では、各軸受部を上記のとおり構成することで、軸受内に保持されるオイルのいずれの領域においても、スラスト軸受部126に保持されるオイルの内圧と同等となり、これら微小間隙中に保持されるオイルにおいて内圧が大気圧以下となる負圧が発生することはない。よって、負圧に起因する気泡の問題が解消される。従って、軸受軸受をフルフィル構造とすることが可能となり、構造を簡略化して製造コストを抑制することができる。
【0078】
尚、上記のとおり、スラスト軸受部126で発生する圧力は、大気圧を幾分上回る程度であり、これのみでロータ6を十分に浮上させるのは困難である。しかしながら、上述のとおりシャフト4の自由端部側端面とシールキャップ10の内面との間に構成される静圧軸受部28に保持されたオイルの内圧も、スラスト軸受部26で誘起される流体動圧によって高められたオイルの内圧と同等の圧力となるので、スラスト軸受部26と静圧軸受部28との協働によって、ロータ6を十分に浮上させることが可能となる。
【0079】
また、図5において図示されるように、ブラケット114のロータマグネット118との対向位置に強磁性材からなる環状のスラストヨーク129を配置し、ロータマグネット118とスラストヨーク129との間で軸線方向の磁気吸引力を発生させることで、スラスト軸受部126及び静圧軸受部128で発生するロータ106の浮上圧とバランスさせて、ロータ106のスラスト方向の支持を安定させ、ロータ106が必要以上に浮上する過浮上の発生を抑制している。このようなロータ106に対する磁気的な付勢は、例えば、ステータ116とロータマグネット118との磁気的中心を軸線方向に相違させることによっても作用させることが可能である。
【0080】
▲3▼シール部の構成
次にスラスト軸受部126で保持されるオイルの界面が位置するテーパシール部130について、図6を参照して説明する。図6は、テーパシール部130の概略構造を図示するために、図5の一部を部分的に拡大した部分拡大断面図であり、基本的な構成は、上記第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様であり、説明は省略する。
【0081】
図6において、ラジアル軸受部122,124の外周側にあたるスリーブ108の外周面は、その外径がブラケット114側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部126を構成するスリーブ108の上端面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面108aが形成されている。尚、第2の実施形態においては、スリーブ108の構成上、上記第1の実施形態における段部の如き構成は有していない。
【0082】
また、ロータハブ102の周壁部102bの内周面には、内周面がスリーブ108の傾斜面108aと非接触で半径方向に対向し且つ傾斜面108aとの間に形成される間隙の隙間寸法がブラケット114側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部126を構成するロータハブ102の上壁部102aの下面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面132aが形成されたリング状部材132が、例えば接着あるいは圧入等の手段によって固着されている。
【0083】
スラスト軸受部126に保持されるオイルは、スリーブ108の外周面に設けられた傾斜面108aとリング状部材132の内周面に設けられた傾斜面132aとの間に形成された、ブラケット114側に向かうにしたがって隙間寸法が漸次拡大するテーパ状の間隙内において、空気との界面を形成して保持されている。つまり、スリーブ108の外周面に設けられた傾斜面108aとリング状部材132の内周面に設けられた傾斜面132aとの間に形成されたテーパ状の間隙によってテーパシール部130が構成されている。
【0084】
上記のとおり構成される第2の実施形態におけるテーパシール部130によっても、第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様に、テーパシール部130を構成するスリーブ108側の傾斜面108aとリング状部材132側の傾斜面132aとがそれぞれ異なる傾斜角を有しており、テーパシール部130が回転軸心に対して傾斜して構成されていることから、第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0085】
尚、上記したとおり、この第2の実施形態におけるスピンドルモータの軸受部は、フルフィル構造であることから、軸受内に保持されるオイルは、このテーパシール部130内においてのみ外気に露出しており、テーパシール部130以外の軸受空間は全てオイルで満たされている。
【0086】
つまり、上記第1の実施形態におけるような必要箇所にのみオイルを保持するパーシャルフィル構造の動圧軸受に比べて、軸受内の全体にわたってオイルが保持されるフルフィル構造の動圧軸受は、当然にオイルの保持量が多くなるが、軸受内に保持されるオイルの量が多いということは、それだけ温度上昇等により体積増加するオイルの量が多くなる。
【0087】
しかしながら、テーパシール部を、軸受部よりも外径側に配置して大径とし、またシール部として機能するテーパ状の間隙を長くとることが可能な構成とすることで、このようにオイルの保持量が多いフルフィル構造の動圧軸受では、シール部内の容積が大きく且つシール強度の高いテーパシール部130の構成は特に有利である。
【0088】
従って、上記第2の実施形態の構成では、スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートを要しないという簡略且つ低コスト化可能な構造並びに所望の軸受剛性を維持しつつ、フルフィル構造化することで、更なる薄型化並びに低コスト化が可能となると共に、高速回転への対応も可能となる。
【0089】
▲4▼ロータの抜止め構造
図6において図示するとおり、上記第1の実施形態の場合と同様に、段部102a1の内径をリング状部材132の内径よりも大とすることで、上壁部102aの下面と段部102a1の内周面とリング状部材の上面との間で環状溝134が形成される。また、スリーブ108の外周面には、この環状溝134に対応して傾斜面108aの上部に半径方向外方に突出する環状突起108bが設けられており、これら環状溝134と環状突起108bとが係合することで、ロータハブ102の抜止めが構成される。
【0090】
上記構成にて抜止めが構成されることで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、フルフィル構造の動圧軸受の場合、一連の微小間隙内へのオイルの注入は、外部環境の気圧を真空環境に減圧して微小間隙内の空気とオイルとを入れ換え、その後常圧に戻す、いわゆる真空引きにて行われるが、このとき、例えば図1に図示する従来のスピンドルモータのように、シャフトの先端に抜止めを構成した場合、微小間隙が複雑な形状となり、真空引きのオイル注入では微小間隙内の空気とオイルとを完全に入れ換えることが困難となり、オイル注入工程を完了した後も、オイル内に気泡が残留する懸念がある。
【0091】
オイル内に気泡が残留したままでは、温度上昇等にともなって気泡が体積膨張して、オイルを軸受外部へと押し出し、オイルの早期の枯渇を招く等の問題が発生する。
【0092】
しかしながら、上述したとおり、テーパシール部130内のオイル界面近くに抜止めを設けることで、微小間隙の形状が比較的に単純な形状となり、空気とオイルとの入れ替えも円滑に行われるようになり、微小間隙内に気泡が残留する可能性が可及的に小さくなる。また、環状溝134と環状突起108bとが係合することで抜止め部では微小間隙が複雑な形状となるが、抜止め部よりも半径方向内方側、すなわち軸受部の奥部側にはスラスト軸受部126が位置していることから、オイルの圧力は抜止め部よりも高くなる。これにより、たとえ気泡が抜止め部に残留したとしても、これよりも軸受部の奥部側には侵入することができず、逆に、抜止め部よりも間隙が広くより低圧なテーパシール部130側へ移動し、オイルの界面から外気に解放されることとなる。
【0093】
尚、第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、図7に図示するとおり、抜止め部は、リング状部材132’の内周面上端部に環状溝134’を設けておき、これに環状突起108bを係合させることで構成することも可能である。
【0094】
(3)第2の実施形態の変形例
次に図8を参照して、図5に図示する第2の実施形態の変形例について説明する。尚、図8に図示するスピンドルモータは、ロータの構成以外は図5に図示するスピンドルモータと同様であり、同一の構成を有する部位については同じ番号を付し説明は省略する。
【0095】
スピンドルモータの薄型化のためにロータハブを薄肉化すると、シャフトとの接触面積が減少して締結強度が不足してしまう。このため、シャフトの倒れ(傾き)や脱落が発生し、信頼性を損なう懸念がある。このため、薄型のスピンドルモータの場合、シャフトとロータとは同一の部材から一体成形するのが望ましい。しかしながら、シャフトとロータとを一体成形することで、ラジアル軸受部を構成するシャフトの外周面の表面加工精度が低下する。
【0096】
これを改善するために、図8におけるスピンドルモータでは、ロータハブ102’の上壁部102a’の中央部にシャフト104’が一体に形成されロータ106’が構成されていると共に、このシャフト104’の外周面に円筒状の外筒部材105が装着されている。すなわち、ロータハブ102’とシャフト104’とを一体成形することで、ロータハブとシャフトとの締結強度の不足や組立不良に起因する問題を排除し、高精度な表面加工が可能な外筒部材105をシャフト104’に装着することで、この外筒部材105の外周面とスリーブ108の内周面との間にラジアル軸受部122,124が構成されている。
【0097】
また、シャフト104’の外周面と外筒部材105の内周面との間には、シャフト104’の外周面と外筒部材105の内周面との間を軸線方向上端部から下端部にわたって連続し且つ上部ラジアル軸受部122の軸線方向上端部(スラスト軸受部126側端部)と下部ラジアル軸受部124の軸線方向下端部(ピン部材119側端部)に連通する連通孔107が形成されている。尚、この連通孔107は、図8においてその一部を図示するとおり、シャフト104’の外周面に螺旋状の溝を設けておき、シャフト104’の外周面に外筒部材105を装着することによって形成される。また、連通孔107内には、軸受部に保持されるオイルに連続してオイルが保持されており、また、連通孔107内に保持されるオイルの内圧は、各軸受部に保持されるオイルの内圧とバランスしている。尚、連通孔107を構成する螺旋状の溝は、外筒部材105の内周面側に設けることも可能である。
【0098】
いずれにしても連通孔107を設けることで、スリーブ108の内周面又は外筒部材105の外周面の加工誤差によって、あるいはシャフト104’に設けられた雌ねじ孔104a’に雄ねじが締結される際に生じる締結応力の影響で、スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙が、その軸線方向上端部側と下端部側とで隙間寸法に変化が生じた場合、上部及び下部ラジアル軸受部122,124のいずれかで、本来軸線方向に対称な圧力勾配の流体動圧を発生するヘリングボーングルーブ122a,124aによるポンピングにアンバランスが生じ、その結果オイルに対して軸線方向の流動が誘起されることとなる。スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上端部側と下端部側、すなわちスラスト軸受部126と静圧軸受部128との間で、オイルの内圧に差異が生じることとなる。このオイルの内圧の差を放置しておくと、オイルが軸線方向下端部側から上端部側へ流動する場合は、静圧軸受部128で負圧が発生し、また、オイルが軸線方向上端部側から下端部側へと流動する場合は、静圧軸受部128でオイルの内圧が必要以上に高まり、ロータ106’の過浮上が発生する。
【0099】
これに対し、上部及び下部ラジアル軸受部122,124が構成されるスリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上下端部を連続し且つ軸受内に保持されるオイルに連続してオイルが流通可能に保持されるする連通孔107を設けることで、上記オイルに軸線方向の流動が誘起され、スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上端部側と下端部側とでオイルの内圧に差異が生じても、連通孔107を通じて、内圧の高い側から低い側へのオイルの流動が生じるため、各軸受部に保持されるオイルの内圧が均一化され、負圧や過浮上の発生が防止される。
【0100】
この場合、図8に図示するように、軸受内のオイルを流通可能に構成した場合には、上部ラジアル軸受部122’のヘリングボーングルーブ122a’は、オイルをシャフト104’の先端部側に押し込むよう、軸線方向にアンバランスな形状とすることが望ましい。このように、上部ラジアル軸受部122’のヘリングボーングルーブ122a’を軸線方向にアンバランスな形状とすることで、上部ラジアル軸受部122’と下部ラジアル軸受部124との間の領域の圧力が大気圧以上の正圧に保たれ、負圧の発生が防止されると共に、ヘリングボーングルーブ122a’の発生する押圧力によって、オイルは常にシャフト104’の先端部側へと流動することとなる。
【0101】
これにより、微小隙間内のオイルが常に一定方向に流動することとなり、圧力の均衡が図られるので、負圧や過浮上の発生が防止されると共に、加工誤差に対する許容範囲が格段に拡大するので、歩留まりが改善される。
【0102】
(4)ディスク駆動装置の構成
図9に、一般的なディスク駆動装置50の内部構成を模式図として示す。ハウジング51の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状のディスク板53が装着されたスピンドルモータ52が設置されている。加えてハウジング51の内部には、ディスク板53に対して情報を読み書きするヘッド移動機構57が配置され、このヘッド移動機構57は、ディスク板53上の情報を読み書きするヘッド56、このヘッドを支えるアーム55及びヘッド56及びアーム55をディスク板53上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部54により構成される。
【0103】
このようなディスク駆動装置50のスピンドルモータ52として上記各実施形態のスピンドルモータを使用することで、ディスク駆動装置50の薄型化並びに低コスト化を可能にすると同時に、スピンドルモータの高速化が可能になることで、さらなるディスクの高容量化並びにシークタイムの短縮に対応することができる。
【0104】
また、上記各実施形態におけるスピンドルモータは、構造を簡略化し、小型化並びに薄型化が可能であるので、外径が1.8インチ以下の記録ディスクを回転するディスク駆動装置50に好適に使用することが可能であるが、勿論、外径が2.5インチの記録ディスクを駆動するディスク駆動装置50にも適用可能である。
【0105】
以上、本発明に従うスピンドルモータ並びにディスク駆動装置の一実施形態について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0106】
例えば、スラスト軸受部に設けられる、オイルに対して半径方向内方に作用する圧力を発生する手段としては、上記実施形態において説明したポンプインタイプのスパイラルグルーブに代えて、半径方向にアンバランスな形状を有するヘリングボーングルーブとすることも可能である。
【0107】
スラスト軸受部に半径方向にアンバランスな形状のヘリングボーングルーブを設けた場合、ヘリングボーングルーブを構成する一対のスパイラルグルーブのうち、半径方向外方側に位置するスパイラルグルーブを半径方向内方側に位置するスパイラルグルーブよりも発生するポンピング力が大となるよう、半径方向の寸法、回転方向に対する傾斜角あるいは溝幅や深さといった溝諸元が設定される。この半径方向外方側に位置するスパイラルグルーブのポンピング力と半径方向内方側に位置するスパイラルグルーブのポンピング力とのアンバランス量がオイルに対して付与される半径方向内方に作用する圧力となり、上記ポンプインタイプのスパイラルグルーブの場合と同様に、スラスト軸受部に保持されるオイルの内圧が高められる。
【0108】
このように、スラスト軸受部に上記ヘリングボーングルーブを設けた場合、ロータに対して付与する浮上力がスパイラルグルーブで発生する浮上力よりも高くなるので、スラスト軸受部による荷重支持力が向上する反面、静圧軸受部で発生する浮上力と相俟って、ロータの過浮上が発生する懸念がある。従って、ロータに対して付与する磁気的な付勢力によって、これを制御する必要がある。
【0109】
尚、各軸受部に設けられる動圧発生溝は、必ずしもスリーブ側に設ける必要はない。
【0110】
【発明の効果】
本発明の請求項1のスピンドルモータでは、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、テーパシール部内の容積を増大することができ、またシール強度を強化することが可能になる。
【0111】
本発明の請求項2のスピンドルモータでは、複雑な形状を有するロータの加工が容易になり、モータを低コスト化することが可能になると共に、ロータとシャフトとを別部材から形成する場合には、ロータとシャフトとの組立不良に起因する回転精度の悪化を抑制することが可能になる。
【0112】
本発明の請求項3及び請求項4のスピンドルモータでは、スピンドルモータの更なる薄型化が可能になると共に、スピンドルモータを更に薄型化した場合でも、比較的に高い支持剛性を確保することが可能になる。
【0113】
本発明の請求項5のスピンドルモータでは、オイル内に混入した気泡に起因するオイルの流出や振動の発生及び回転精度の悪化を防止することが可能になる。
【0114】
本発明の請求項6のスピンドルモータでは、軸受部の構成を簡略化し、加工を容易化することで、製造コストを削減することが可能になる。
【0115】
本発明の請求項7のスピンドルモータでは、オイル内圧のアンバランスに起因するオイル内での負圧領域の発生や、ロータの過浮上を防止することが可能となる。
【0116】
本発明の請求項8のスピンドルモータでは、軸受での損失を低減し高効率化することが可能になると共に、ロータの回転を安定して支持することが可能となる。
【0117】
本発明の請求項9のディスク駆動装置では、薄型化並びに低コスト化を可能にすると同時に、スピンドルモータの高速化が可能になることで、さらなるディスクの高容量化並びにシークタイムの短縮に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に図示するスピンドルモータのテーパシール部を拡大して図示する、部分拡大断面図である。
【図4】図3に図示するテーパシール部の変形例を図示する、部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図6】図5に図示するスピンドルモータのテーパシール部を拡大して図示する、部分拡大断面図である。
【図7】図6に図示するテーパシール部の変形例を図示する、部分拡大断面図である。
【図8】図5に図示する本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータの変形例の概略構成を示す断面図である。
【図9】ディスク駆動装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
2a,102a,102a’ 上壁部(天板)
2d 円筒壁
4,104,104’ シャフト
6,106、106’ ロータ
8,108 スリーブ
20,126 スラスト軸受部
24,26,122,122’,124 ラジアル軸受部
30,130 テーパシール部
102b 周壁部(円筒壁)
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧軸受を備えたスピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハードディスク等の記録ディスクを駆動するディスク駆動装置において使用されるスピンドルモータの軸受として、シャフトとスリーブとを相対回転自在に支持するために、両者の間に介在させたオイル等の潤滑流体の流体圧力を利用する動圧軸受が種々提案されている。
【0003】
このような動圧軸受を使用するスピンドルモータの一例を図1に示す。図1において図示するスピンドルモータは、ロータaの底面とスリーブbの上端面との間にロータaの浮上力を発生するためのスラスト軸受部cを構成し、またロータaに一体的に設けられたシャフトdの外周面とスリーブbの内周面との間に、ロータaの調心や倒れの防止に作用するためのラジアル軸受部e,eを構成している。また、スリーブbが固定されるベース部材fには、ステータgが装着されると共に、ロータaには、ステータgと対向するようにロータマグネットhが固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のスピンドルモータは、ロータaの底面とスリーブbの上端面との間にスラスト軸受部cを構成し、回転時にロータaの浮上力を得ると共に、ベース部材fに強磁性材製のリング状部材iをロータマグネットhと軸線方向に対向するよう配置することで、スラスト軸受部cの動圧による浮上力とロータマグネットhとリング状部材iとの間に作用する磁気吸引力とをバランスさせて、ロータaにかかる軸線方向荷重を支持している。つまり、一般的な動圧軸受にみられるような、スラスト軸受部を構成するためにシャフトの端部に取付けられるスラストプレートを採用していない。
【0005】
このため、軸受剛性を著しく低下させることなくモータの構造を簡略化し且つ低コスト化すると共に、薄型化することが可能になるといったメリットを有するが、このようなスピンドルモータが使用されるディスク駆動装置は、記録ディスクに記憶可能なデータ量が年々増加されており、ディスクの記録面に形成される記録トラックの高密度化及びこれにともなうシークタイム短縮のため、記録ディスクを駆動するスピンドルモータに対する高速回転化の要求が強まりつつある。
【0006】
上記図1に図示するスピンドルモータでは、スラスト軸受部cに保持されるオイルが軸受外部に漏れ出すことを防止する手段として、スリーブbの外周部とロータaの底面に設けた環状突起jの内周面との間で軸線方向のテーパシール部kを形成し、このテーパシール部kでオイルの内圧と大気圧等をバランスさせることで、メニスカス状の界面を形成し保持していた。
【0007】
テーパシール部kは、シール部内に形成される間隙の隙間寸法を軸受部から離間するにつれて漸次拡大させることで、オイル界面の形成位置によって毛細管力に格差を生じさせ、軸受部で保持するオイル量が減少した場合には、テーパシール部kから軸受部へとオイルを供給し、また温度上昇等によって、軸受部内で保持されるオイルの体積が増加した場合には、その増加分を収容する機能を有している。
【0008】
しかしながら、上記構成では、テーパシール部kが軸受部よりも外周側に位置しているため、例えばラジアル軸受部に軸線方向に隣接してテーパシール部を構成する場合に比べて、回転時にはテーパシール部k内に保持されるオイルに対する遠心力の影響がより強くなる。従って、遠心力によってテーパシール部k内のオイルは、シール部の外周側に押圧されるので、メニスカスの形状が歪になり界面強度が低下する。このため、比較的に微弱な振動や衝撃の印加によって、オイルの界面破壊が容易に引き起こされ、オイルの流出がより発生しやすい状況となる。また、スピンドルモータを更に高速化すると、回転速度の増加にともないモータの発熱量が増大してオイルの体積増加が顕著になる。熱膨張したオイルは、粘性が低下するので、遠心力の影響を更に強く受けることとなり、軸受部側から押し出されるオイル量が増大しテーパシール部k内へと流入するオイルの量が増大することとなる。このとき、スピンドルモータの薄型化という寸法上の制約から、テーパシール部kの軸線方向寸法が制限されて容積を十分に確保することができない場合、シール部内に流入するオイルを収容しきれずに、オイルが軸受外部に流出する懸念がある。
【0009】
特に、ハードディスク駆動装置のようなディスク駆動装置では、軸受部から流出したオイルが駆動装置内に飛散すると、ディスクの記録面やこれに近接配置されるヘッドに付着し、リード・ライトエラーを引き起こす原因となる。よって、ディスク駆動装置において使用されるスピンドルモータでは、薄型化を可能とする構成を維持しつつ回転速度の高速化に対する要求に応えるために、ラジアル軸受部の外周側にテーパシール部を配置する構成で、シール部として機能するテーパ状の空間をより大きく確保して高容量のテーパシール部とすると共に、シール強度を向上することが可能な構成とする必要がある。
【0010】
また、上記構成では、ラジアル軸受部e,eの外周部にテーパシール部kを配置することで、テーパシール部kがスラスト軸受部cやラジアル軸受部e,eといった軸受部と軸線方向に重なって構成されないので、スピンドルモータの薄型化に対して優位性を有する。
【0011】
しかしながら、シャフトdの先端部には、ロータaの抜止めを構成するための抜止めリングmが取付けられている。このため、スピンドルモータの更なる薄型化を実現しようとした場合、ラジアル軸受部e,e間の軸線方向の間隔を十分に確保することが困難になり支持剛性が低下するため、NRRO(非繰り返し性振れ成分)の悪化や衝撃や振動等の外乱に起因するロータaの歳差運動に対する姿勢の復元に時間を要することとなる。
【0012】
本発明は、薄型の構造を有すると同時に、更なる高速回転に対応してシール強度を強化し、またテーパシール部内の容積を増大させ、十分な量のオイルを保持することが可能であると共に、薄型化しても軸受の支持剛性を高く維持することが可能なスピンドルモータ並びにこのスピンドルモータを備えたディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シャフトと、該シャフトが回転自在に遊挿される貫通孔が形成されたスリーブと、回転軸心に該シャフトが一体的に構成された円形の天板と該天板から垂下される円筒壁とを有するロータとを備えてなるスピンドルモータであって、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間に、オイルが保持される微小間隙を形成すると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝を設けることによってラジアル軸受部を構成し、前記スリーブの上端面及び天板の底面との間に、オイルが保持される微小間隙を形成すると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝を設けることによってスラスト軸受部を構成しており、前記ロータの円筒壁の内周面と前記スリーブの外周面との間に、回転軸心に対して半径方向外方側から内方側に向かって傾斜し且つ前記ロータの天板から遠離るにつれて間隙の隙間寸法が漸次拡大するテーパシール部を形成し、該テーパシール部内において前記スラスト軸受部に保持される前記オイルの界面を形成し、更に前記スラスト軸受部と前記テーパシール部内のオイル界面との間には、前記ロータの抜止めが設けられている。
【0014】
この構成は、オイルを作動流体として利用する動圧軸受を用いたスピンドルモータにおいて、ラジアル軸受部の外周部にテーパシール部を配置することで、テーパシール部がスラスト軸受部やラジアル軸受部といった軸受部と軸線方向に重ならず、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、回転軸線と平行又は直交する方向にテーパシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の空間を長くしてテーパシール部内の容積を増大することができる。また、オイルの界面が回転軸心に対して傾斜する方向に向いた状態に形成される、すなわち、界面が半径方向内方を向いて形成されることとなるので、回転時には、遠心力がオイルの界面を押さえ込む方向に作用するようになり、シール強度も高く維持される。
【0015】
また、テーパシール部のみならずロータの抜止めもラジアル軸受部の外周部に配置することで、これら軸受部とテーパシール部及び抜止めとが軸線方向に重なって配置されことがないのでスピンドルモータの更なる薄型化が可能になる。また、スリーブとともにラジアル軸受部を構成するシャフトの軸線方向の軸線方向寸法を軸受部として有効に利用することが可能になるので、スピンドルモータを更に薄型化した場合でも、比較的に高い支持剛性を確保することが可能になり、NRROの悪化が防止されると共に、歳差運動が発生した場合も、ロータの姿勢の回復に時間を要しない。
【0016】
加えて、オイルで満たされた空間内にロータの抜止めを配置することで、例えば、スピンドルモータに外的な振動や衝撃等の外乱が加えられた場合も、オイルの持つダンピング特性によって外乱による衝撃が減衰され、抜止め部での接触の発生及び接触時の損傷を最小限にとどめることができる。また、万一接触が発生して摩耗粉等のパーティクルが生じたとしても、これらパーティクルが直ちに軸受外に飛散することがない。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブの外周面に、外径が前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面を形成し、また前記ロータの円筒壁の内周面に、内径が該スリーブ側の傾斜面とは異なる角度で前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面を有する円環状のリング状部材を固着することによって、前記テーパシール部を、該スリーブの傾斜面と該リング状部材の傾斜面との間に形成している。
【0018】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載のスピンドルモータにおいて、前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記ロータの天板と円筒壁の内周面との角部には半径方向内方に突出し且つ前記リング状部材よりも大内径を有する環状段部が設けられていると共に、前記天板と前記リング状部材の上面と該段部の内周面とによって環状溝が形成され、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される。
【0019】
請求項4に記載の発明は、上記請求項2に記載のスピンドルモータにおいて、前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記リング状部材の内周面には環状溝が設けられ、、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される。
【0020】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間に、外気に連通する環状の空気保持部を形成し、前記ラジアル軸受部を該空気保持部の軸線方向両側にそれぞれ隣接して一対構成すると共に、該空気保持部の軸線方向両端側で該一対のラジアル軸受部に保持されるオイルの界面を形成している。前記一対のラジアル軸受部のうち、前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部と前記スラスト軸受部との間に、前記オイルを途切れることなく連続して保持すると共に、前記スラスト軸受部に、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝を設け、また前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部には、前記オイルに対して前記スラスト軸受部側に作用する動圧を誘起する前記動圧発生溝を設けている。
【0021】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記スリーブに形成される貫通孔の一方の端部は閉塞部材によってを閉塞して、前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間にはオイルが保持される微小間隙を形成している。前記スラスト軸受部に形成される微小間隙と前記ラジアル軸受部に形成される微小間隙と前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間に形成される微小間隙を連続して形成し、また該連続する一連の微小間隙中に、前記テーパシール部に至るまで全体にわたって前記オイルを途切れることなく保持している。前記スラスト軸受部には、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝を設け、また前記ラジアル軸受部には、前記動圧発生溝として一対のスパイラルグルーブを連接してなるヘリングボーン溝を設けると共に、前記閉塞部材の内面及び前記シャフトの端面との間に、前記スラスト軸受部で発生する半径方向内方に向かう圧力と実質上均衡する圧力を有する軸受部を形成している。
【0022】
請求項7に記載の発明は、上記請求項6に記載のスピンドルモータにおいて、前記シャフトと前記ロータとを同一の部材から形成し、また前記シャフトの外周面に中空円筒状の外筒部材を装着すると共に、前記ラジアル軸受部を該外筒部材の外周面と前記スリーブの内周面との間に構成している。前記外筒部材の内周面と前記シャフトの外周面との間に、前記シャフトの外周面と前記外筒部材の内周面との間を軸線方向上端部から下端部にわたって連続し且つ前記スリーブの内周面と前記外筒部材の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上下端部に連通する螺旋状の連通孔を形成している。前記連続する一連の微小間隙に保持されるオイルは、該連通孔を通じて相互に流通可能となり内圧が均一化される。
【0023】
請求項8に記載の発明は、上記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、前記ロータを、前記スラスト軸受で発生する動圧の作用方向に対して軸線方向反対側に作用する磁気力によって付勢している。
【0024】
請求項9に記載の発明は、情報を記録できる記録ディスクが回転駆動されるディスク駆動装置において、ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され該記録ディスクを回転させるスピンドルモータと、該記録ディスクの所要の位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、前記スピンドルモータとして、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載したスピンドルモータを用いている。
【0025】
尚、請求項1以外の請求項に記載する発明は、本発明の実施形態に即した構成に関するものであり、重複した記載を避けるために、各請求項に係る発明の構成による作用効果並びにその原理に関しては、下記発明の実施の形態及び発明の効果において詳述する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスピンドルモータ及びこのスピンドルモータを用いたディスク駆動装置の各実施形態について図2乃至図9を参照して説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0027】
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係るスピンドルモータに関して、図2乃至図4を参照して説明する。
【0028】
▲1▼スピンドルモータの構造
図2に図示されるスピンドルモータは、略円板状の上壁部2a(天板)と、この上壁部2aの外周縁部から下方に垂下する円筒状周壁部2bとから構成されるロータハブ2と、このロータハブ2の上壁部2aの中央部に一方の端部が外嵌固定されるシャフト4とから構成されるロータ6と、このシャフト4を回転自在に支持する中空円筒状のスリーブ8と、このスリーブ8の下部を閉塞するカバー部材10と、スリーブ8を保持する円筒部12が一体的に形成されたブラケット14とを具備する。
【0029】
ブラケット14の円筒部12の外周側には、ステータ16が配設され、ロータハブ2の周壁部2bの内周面には、このステータ16と半径方向に間隙を介して対向して、ロータマグネット18が固着される。
【0030】
また、ロータハブ2の周壁部2bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスク(図9においてディスク板53として図示する)が載置されるフランジ状のディスク載置部2cが設けられている。
【0031】
シャフト4には、雌ねじ孔4aが回転軸心と同軸状に形成されている。この雌ねじ孔4aには、ロータハブ2のディスク載置部2c上に記録ディスクを保持するためのクランパ(不図示)を固定するための雄ねじが締結される。
【0032】
▲2▼軸受部の構成
スリーブ8の上端面は、ロータハブ2の上壁部2aの下面と軸線方向に微小間隙を介して対向し、この微小間隙中にはオイルが毛細管現象によって保持されている。この微小間隙に臨むスリーブ8の上端面の下面には、ロータ6の回転時にオイルに半径方向内方側(シャフト4側)への移動圧力を誘起するポンプイン型のスパイラル溝20aが形成され、スラスト軸受部20が構成される。
【0033】
シャフト4の外周面は、スリーブ8の内周面と半径方向に微小間隙を介して対向し、この微小間隙中にはオイルが毛細管現象によって保持されている。
【0034】
スリーブ8には、シャフト4の外周面とスリーブ8の内周面との間に形成される微小間隙の軸線方向略中央部において開口するよう、このスリーブ8を半径方向に貫通する第1の連通孔22が形成され、シャフト4とスリーブ8との間の微小間隙の半径方向の間隙寸法は、第1の連通孔22を通じて侵入した空気が介在する気体介在部23が形成される。尚、気体介在部23の具体的な構成については、後に詳述する。
【0035】
シャフト4の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定される微小間隙に保持されるオイルは、この気体介在部23によって軸線方向に分離される。
【0036】
気体介在部23の軸線方向上側(スラスト軸受部20側)において、微小間隙に臨むスリーブ8の内周面には、ロータ6の回転時に、オイルに軸線方向上側(シャフト4の上端部方向)に向かう移動圧力を誘起するよう、軸線方向にアンバランスな形状を有するポンプアップ型のヘリングボーン溝24aが形成されており、上部ラジアル軸受部24が構成される。また、気体介在部23の軸線方向下側(ブラケット14側)において、微小間隙に臨むスリーブ8の内周面には、ロータ6の回転時に、オイルにその軸線方向両端側から中央部側に向かう移動圧力を誘起するよう、軸線方向にバランスした形状を有するヘリングボーン溝26aが形成されており、下部ラジアル軸受部26が構成される。
【0037】
一対のラジアル軸受部24,26のうち、気体介在部23の上部側に構成される上部ラジアル軸受部28とこれに隣接するスラスト軸受部20との間には連続してオイルが保持されている。上述のとおり、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24とは、それぞれ隣接する相手方軸受部方向に作用する移動圧力をオイルに対して誘起するため、両軸受部の境界部、すなわち、スリーブ8の内周面の上端部付近において圧力ピークを発生する。
【0038】
つまり、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24とが協働することにより、ロータ6に対する半径方向に作用する軸支持力が得られると同時に、軸線方向上側(ブラケット14に対して浮上する方向)に作用する軸線方向の軸支持力が得られる。
【0039】
ブラケット14には、ロータマグネット18の下面と軸線方向に対向する位置に、強磁性材料から形成された円環状のスラストヨーク28が配置されており、ロータ6は、このスラストヨーク28とロータマグネット18との間に生じる磁気吸引力によって、軸線方向下側(ブラケット14側)に磁気的にバイアスされることとなる。このロータ6に作用する磁気力と、スラスト軸受部20及び上部ラジアル軸受部24とが協働することで発生するロータ6の浮上力とがバランスし、ロータ6に対して軸線方向両側への荷重が支持され、ロータ6の回転中の姿勢が安定して維持されることになる。尚、ブラケット14にスラストヨーク28を配置する構成に代えて、例えば、ロータマグネット18とステータ16の磁気的な中心を軸線方向に相互に変位するよう配置することで、ロータ6に対する磁気吸引力を発生することも可能である。
【0040】
▲3▼シール構造
シャフト4の外周面には、第1の連通孔22のスリーブ8の内周面側開口と半径方向に対向して環状凹部が設けられている。このシャフト4の環状凹部の軸線方向両端部側は、シャフト4の環状凹部の軸線方向中央部側から上部及び下部ラジアル軸受部24,26側に向かって外径が漸次拡大するよう傾斜面状に形成されており、スリーブ8の内周面との間で一対のテーパ状空間が規定される。上部及び下部ラジアル軸受部24,26に保持されるオイルの一方の端部は、第1の連通孔22を通じて気体介在部23内に取り込まれた空気と接触し、気体介在部23の各テーパ状の空間内でそれぞれ界面が形成されている。
【0041】
また、シャフト4の下端部の外周面は、外径がカバー部材10側に向かうにしたがって縮径するよう傾斜面状に形成されており、スリーブ8の内周面との間で、テーパ状の空間が形成されている。このシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間は、スリーブ8の下端面とカバー部材10との間並びにスリーブ8の外周面とブラケット14の円筒部12の内周面との間に規定された第2の連通孔25を通じて外気に連通している。
【0042】
下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルは、シャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内で空気と接触し、界面が形成されている。すなわち、下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルは、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内と、シャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内との間に保持されている。
【0043】
従って、下部ラジアル軸受部26に保持されるオイルに対しては、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内側の界面とシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内側の界面に作用する圧力がバランスすることによって軸受部内に押し止めようとする力が生じる。よって、下部ラジアル軸受部26において、オイルの保持量が減少した場合には、毛細管力によって、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内とシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内に保持されていたオイルとが、下部ラジアル軸受部26側へと供給されることとなる。逆に、下部ラジアル軸受部26で保持されるオイルが温度上昇等によって体積膨張した場合、オイルの界面が、気体介在部23の下部ラジアル軸受部26側に規定されるテーパ状の空間内並びにシャフト4の下端部の傾斜面状の外周面とスリーブ8の内周面との間に規定されるテーパ状の空間内のより隙間寸法が拡大する方向に移動することで、この体積増加した分のオイルが収容されることとなる。
【0044】
次に、上部ラジアル軸受部24とスラスト軸受部20との間に保持されるオイルのスラスト軸受部20側の界面が位置するテーパシール部30について、図3を参照して説明する。図3は、テーパシール部30の概略構造を図示するために、図2の一部を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
【0045】
図3において、上部ラジアル軸受部24の外周側にあたるスリーブ8の外周面は、その外径がブラケット14側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部20を構成するスリーブ8の上端面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面8aが形成されている。また、スリーブ8の外周面には、この傾斜面8aに連続する垂直面8b1とこの垂直面8b1に直交し且つ連続する平坦面8b2とからなる円環状の段部8bが設けられており、第1の連通孔22は、この段部8b内においてスリーブ8の外周面側開口部が開口している。尚、スリーブ8の傾斜面8aと上端面との間に位置する環状突起8cについては、後に詳述する。
【0046】
また、ロータハブ2の上壁部2aの下面には、スリーブ8の上端面側の外径よりも僅かに大径な内周面を有する円筒壁2dが設けられており、スリーブ8の段部8bの内部に、ブラケット14の円筒部12の内周面並びに段部8bの平坦面8b2と非接触で収容されている。この円筒壁2dの内周面には、内周面がスリーブ8の傾斜面8aと非接触で半径方向に対向し且つ傾斜面8aとの間に形成される間隙の隙間寸法がブラケット14側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部20を構成するロータハブ2の上壁部2aの下面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面32aが形成されたリング状部材32が、例えば接着あるいは圧入等の手段によって固着されている。リング状部材32は、円筒壁2dと共に、スリーブ8の外周面に設けられた段部8bの内部に平坦面8b2と非接触で収容されている。
【0047】
スラスト軸受部20に保持されるオイルは、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成された、ブラケット14側に向かうにしたがって隙間寸法が漸次拡大するテーパ状の間隙内において、空気との界面を形成して保持されている。つまり、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成されたテーパ状の間隙によってテーパシール部30が構成されている。
【0048】
従って、スラスト軸受部20と上部ラジアル軸受部24との間で連続して保持されるオイルは、スラスト軸受部20側の端部がテーパシール部30内で、また上部ラジアル軸受部24側の端部が気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内で、各界面に作用する圧力がバランスする位置で保持されている。
【0049】
この場合、スリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aの傾斜角は、回転軸心に対して約20度乃至35度、好ましくは約26度乃至33度の範囲に設定され、またリング状部材32の傾斜面32aの傾斜角は、回転軸心に対して約15度乃至30度、好ましくは約20度乃至27度の範囲に設定されている。更に、これらスリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部32材の内周面に設けられた傾斜面32aとの間に形成されるテーパシール部30のテーパ角は、約2度乃至15度、好ましくは約5度乃至10度の範囲に設定されている。
【0050】
上記のとおり、テーパシール部30を構成するスリーブ8の外周面に設けられた傾斜面8aとリング状部材32の傾斜面32aの傾斜角とが、回転軸心に対してそれぞれ異なる傾斜角を有することで、テーパシール部30自体も半径方向内方側に向かって傾斜した構成となる。
【0051】
このとき、テーパシール部30の最小の間隙寸法は、スラスト軸受部20で発生した動圧によってロータ6が浮上した際に生じるスラスト軸受部20における微小間隙の軸線方向の隙間寸法と同等かもしくはそれ以下に設定するのが好ましい。このような関係とすることによって、軸受部とシール部との間のオイルの流通が円滑に行われることとなる。
【0052】
すなわち、スラスト軸受部20から上部ラジアル軸受部24に保持されるオイルに対しては、テーパシール部30側の界面と気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間側の界面とに作用する圧力がバランスすることによって軸受部内に押し止めようとする力が生じる。従って、スラスト軸受部20又は上部ラジアル軸受部24において、オイルの保持量が減少した場合には、毛細管力によって、テーパシール部30内並びに気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内に保持されているオイルが、スラスト軸受部20側並びに上部ラジアル軸受部24側へと供給されることとなる。逆に、スラスト軸受部20又は上部ラジアル軸受部24で保持されるオイルが温度上昇等によって体積膨張した場合、オイルの界面が、テーパシール部30並びに気体介在部23の上部ラジアル軸受部24側の端部に形成されたテーパ状の空間内のより隙間寸法が拡大する方向に移動することで、この体積増加した分のオイルがテーパシール部内に収容されることとなる。
【0053】
また、テーパシール部30が回転軸心に対して傾斜して構成されるため、オイルの界面も、テーパシール部30の回転軸心に対する傾斜角に応じて半径方向内方を向いて形成される。従って、ロータ6の回転時には、遠心力によってオイルの界面がテーパシール部30の奥部側、すなわちスラスト軸受部20側に押圧されるので、シール強度が強化される。従って、高速回転するスピンドルモータにおいても、テーパシール部30からの潤滑油8の流出が阻止される。
【0054】
更に、テーパシール部30が回転軸心に対して傾斜するよう構成することで、例えば薄型のスピンドルモータにおいても、回転軸心と平行にシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の間隙を長くとることが可能となりテーパシール部30の容積が増大する。このため、スピンドルモータの高速回転化によってテーパシール部30内へのオイルの流入量が増加しても、これに追随してオイルを保持することが可能なる。
【0055】
すなわち、上記の構成によって、ラジアル軸受部24,26の外周部にテーパシール部30を配置することで、テーパシール部30がスラスト軸受部22やラジアル軸受部24,26といった軸受部と軸線方向に重ならず、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部30を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、回転軸線と平行又は直交する方向にテーパシール部を構成する場合に比べて、シール部として機能するテーパ状の空間を長くしてテーパシール部内の容積を増大することができる。また、オイルの界面が回転軸心に対して傾斜する方向に向いた状態に形成されることとなるので、回転時には、遠心力が潤滑油の界面を押さえ込む方向に作用するようになり、シール強度も高く維持される。
【0056】
▲4▼ロータの抜止め構造
図3に図示するとおり、上壁部2aの下面と円筒壁2dの内周面との角部に環状の段部2a1を設けておき、この段部2a1の下面を突当て面としてリング状部材32の上端部を当接させることで、リング状部材32を装着する際の軸線方向の位置決めが容易になる。
【0057】
このとき、段部2a1の内径をリング状部材32の内径よりも大とすることで、リング状部材32が段部2a1よりも半径方向内方側に突出した状態となる。これにより、上壁部2aの下面と段部2a1の内周面とリング状部材32の上面との間で環状溝34が形成される。また、スリーブ8の外周面には、この環状溝34に対応して傾斜面8aの上部に半径方向外方に突出する環状突起8bが設けられており、これら環状溝34と環状突起8bとが係合することで、ロータ6の抜止めが構成される。
【0058】
このように。テーパシール部30だけでなく、ロータハブ2の抜止めもラジアル軸受部24,26の外周部に設けることで、スピンドルモータの更なる薄型化を促進することが可能になるばかりでなく、スピンドルモータの薄型化が促進された場合であっても、ラジアル軸受部24,26間の軸線方向の間隔を長く設定することが可能になる。従って、シャフト4のうちスリーブ9内に位置する部位全体を軸受として利用可能となるので、十分な支持剛性を確保することが可能になり、モータを更に薄型化した場合もNRROの悪化を防止することができると共に、外乱に起因する歳差運動等ロータ6の振れ回りの回復を短時間で行うことができるようになる。
【0059】
加えて、オイルで満たされた空間内にロータ6の抜止めを配置することで、例えば、スピンドルモータに外的な振動や衝撃等の外乱が加えられた場合も、オイルの持つダンピング特性によって外乱による衝撃が減衰され、環状溝34と環状突起8bの接触時の損傷を最小限にとどめることができる。また、万一接触が発生して摩耗粉等のパーティクルが生じたとしても、これらパーティクルが直ちに軸受外に飛散することがない。
【0060】
尚、図4に図示するとおり、抜止め部は、リング状部材32’の内周面上端部に環状溝34’を設けておき、これに環状突起8bを係合させることで構成することも可能である。
【0061】
(2)第2の実施形態
▲1▼スピンドルモータの構成
本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータに関して、図5乃至図8を参照して説明する。
【0062】
図5に図示するスピンドルモータは、略円板状の上壁部102a(天板)と、この上壁部102aの外周縁部から下方に垂下する円筒状周壁部102b(円筒壁)とから構成されるロータハブ102と、このロータハブ102の上壁部102aの中央部に一方の端部が外嵌固定されるシャフト104とから構成されるロータ106と、このシャフト104を回転自在に支持する中空円筒状のスリーブ108と、このスリーブ108の下部を閉塞しシャフト104の自由端部側端面と対向するカバー部材110と、スリーブ108が内嵌される円筒部112が一体的に形成されたブラケット114とを具備する。
【0063】
ブラケット114には円筒部112を中心とした略椀状の形状を有しており、この椀状をなす周壁の内周面113には、半径方向内方に突設される複数のティースを有するステータ116が配設され、また、ロータハブ102の周壁部102bの外周面には、このステータ116と半径方向内方から間隙を介して対向するよう、ロータマグネット118が固着される。
【0064】
また、ロータハブ102の周壁部102bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスク(図9においてディスク板53として図示する)が載置されるフランジ状のディスク載置部102cが設けられている。
【0065】
シャフト104には、雌ねじ孔104aが回転軸心と同軸状に形成されている。この雌ねじ孔104aには、ロータハブ102のディスク載置部102c上に記録ディスクを保持するためのクランパ(不図示)を固定するための雄ねじ(不図示)が締結される。
【0066】
▲2▼軸受部の構成
スリーブ108の上端面とロータハブ102の上壁部102aの下面との間、ロータハブ102の上壁部102aに続くシャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するスリーブ108の大内径部とピン部材119のフランジ部119aとの間及びカバー部材110の内面とこれと軸線方向に対向するピン部材119の端面との間には、一連の微小間隙が形成されており、この微小間隙中にはオイルが途切れることなく連続して保持されている(このような構成を以下「フルフィル構造」と記載する)。
【0067】
スリーブ108の内周面には、スリーブ108の上端面側(ロータハブ102側)に、ロータ106の回転時にオイルに流体動圧を誘起する、回転方向に対して相反する方向に傾斜する一対のスパイラル溝を連結して構成される略「く」の字状のヘリングボーングルーブ122aが形成されており、シャフト104の外周面との間で上部ラジアル軸受部122が構成される。
【0068】
また、スリーブ108の内周面には、シャフト104の自由端部側(カバー部材110側)に、ロータ106の回転時にオイルに流体動圧を誘起する、回転方向に対して相反する方向に傾斜する一対のスパイラル溝を連結して構成される略「く」の字状のヘリングボーングルーブ124aが形成されており、シャフト104の外周面との間で下部ラジアル軸受部124が構成される。
【0069】
尚、上部及び下部ラジアル軸受部122,124に形成されるヘリングボーングルーブ122a,124aは、各スパイラルグルーブが実質的に同等のポンピング力を発生するよう、軸線方向の寸法、回転方向に対する傾斜角あるいは溝幅や深さといった溝諸元が同一となるよう設定される、つまり、各スパイラルグルーブが連結部に対して線対称になるよう設定されている。
【0070】
更に、スリーブ108の上端面(上壁部102aと軸線方向に対向する面)には、ロータ106の回転時にオイルに対して半径方向内方(シャフト104側)に向かう圧力を誘起するポンプインのスパイラルグルーブ126aが形成されており、ロータハブ102の上壁部102aの下面との間でスラスト軸受部126が構成される。
【0071】
また、カバー部材110の内面とこれと軸線方向に対向するシャフト104の自由端部側の端面との間には、後に詳述するとおり、スラスト軸受部126のスパイラルグルーブ126aによって高められたオイルの内圧を利用する、静圧軸受部128が構成される。
【0072】
上記のとおり構成された各軸受部による軸支持方法について詳述する。
【0073】
上部及び下部ラジアル動圧軸受122,124では、ロータ106の回転にともない、ヘリングボーングルーブ122a,124aによるポンピング力が高まり、流体動圧が生じる。上部及び下部ラジアル軸受部122,124における圧力分布は、ヘリングボーングルーブ122a,124aの両端側から急激に高まり、各スパイラルグルーブの連結部において極大となる。この上部及び下部ラジアル軸受部122,124で発生する流体動圧を用いて、シャフト104が軸線方向上下部から軸支持され、シャフト104の調心作用及び倒れに対する復元作用を担っている。
【0074】
スラスト軸受部126では、ロータ106の回転にともない、ポンプインのスパイラルグルーブ126aによって、オイルに半径方向内方に向かう圧力が誘起される。この半径方向内方に向かう圧力によって、オイルの流動が促され、オイルの内圧が高められ、ロータ106の浮上方向に作用する流体動圧が発生する。尚、スラスト軸受部126で誘起される流体動圧は、上部及び下部ラジアル軸受部122,124のように急激に高まることはなく、最大でも大気圧を幾分上回る程度である。
【0075】
スラスト軸受部126で発生する圧力によって、ロータハブ102の上壁部102aに続くシャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するシャフト104の端面とカバー部材110の内面との間に保持されているオイルは、圧力的に実質上密封された状態となり、また、上部及び下部ラジアル軸受部122,124に形成されるヘリングボーングルーブ122a,124aを軸線方向に対称な形状とし、発生する動圧を軸線方向にバランスした状態とすることで、上述のとおりオイルに軸線方向の流動が誘起されることがない。これにより、シャフト104の外周面とスリーブ108の内周面との間及びこれに連続するシャフト104の端面とカバー部材110の内面との間に保持されるオイルの内圧は、上部及び下部ラジアル軸受部122,124で発生する流体動圧の干渉を受けることなく、このスラスト軸受部126に保持されるオイルの内圧とバランスする。
【0076】
上記第1の実施形態では、軸受部に保持されるオイルの各端部が空気に露出する構成をとっていた(このような構成を以下「パーシャルフィル構造」と記載する)。このパーシャルフィル構造は、オイルの一方の端部から他方の端部までの間で圧力が極大となる領域を一箇所のみとし、両端部側に向かって漸次低圧となるよう各軸受部の動圧発生溝を形成並びに配置することで、オイル内に混入した気泡を自動的に排出可能とする構成であり、軸受部によるオイルの内圧や流動の制御が及びにくい領域にオイルを保持しないようにすることで、軸受部内から不安定要素を排除し、安定した軸受性能を得ることが可能になる。しかしなが、シール部として機能するテーパ状の間隙を形成するための傾斜面を数多く設けなければならず、また連通孔として機能する構成(例えば、上記第1の実施形態における第1及び第2の連通孔22,25の如き構成)が必要となるため、軸受を構成する部材の加工が煩雑になり軸受並びにこれを用いたスピンドルモータの製造コストの低減を阻害する懸念がある。
【0077】
これに対し第2の実施形態では、各軸受部を上記のとおり構成することで、軸受内に保持されるオイルのいずれの領域においても、スラスト軸受部126に保持されるオイルの内圧と同等となり、これら微小間隙中に保持されるオイルにおいて内圧が大気圧以下となる負圧が発生することはない。よって、負圧に起因する気泡の問題が解消される。従って、軸受軸受をフルフィル構造とすることが可能となり、構造を簡略化して製造コストを抑制することができる。
【0078】
尚、上記のとおり、スラスト軸受部126で発生する圧力は、大気圧を幾分上回る程度であり、これのみでロータ6を十分に浮上させるのは困難である。しかしながら、上述のとおりシャフト4の自由端部側端面とシールキャップ10の内面との間に構成される静圧軸受部28に保持されたオイルの内圧も、スラスト軸受部26で誘起される流体動圧によって高められたオイルの内圧と同等の圧力となるので、スラスト軸受部26と静圧軸受部28との協働によって、ロータ6を十分に浮上させることが可能となる。
【0079】
また、図5において図示されるように、ブラケット114のロータマグネット118との対向位置に強磁性材からなる環状のスラストヨーク129を配置し、ロータマグネット118とスラストヨーク129との間で軸線方向の磁気吸引力を発生させることで、スラスト軸受部126及び静圧軸受部128で発生するロータ106の浮上圧とバランスさせて、ロータ106のスラスト方向の支持を安定させ、ロータ106が必要以上に浮上する過浮上の発生を抑制している。このようなロータ106に対する磁気的な付勢は、例えば、ステータ116とロータマグネット118との磁気的中心を軸線方向に相違させることによっても作用させることが可能である。
【0080】
▲3▼シール部の構成
次にスラスト軸受部126で保持されるオイルの界面が位置するテーパシール部130について、図6を参照して説明する。図6は、テーパシール部130の概略構造を図示するために、図5の一部を部分的に拡大した部分拡大断面図であり、基本的な構成は、上記第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様であり、説明は省略する。
【0081】
図6において、ラジアル軸受部122,124の外周側にあたるスリーブ108の外周面は、その外径がブラケット114側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部126を構成するスリーブ108の上端面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面108aが形成されている。尚、第2の実施形態においては、スリーブ108の構成上、上記第1の実施形態における段部の如き構成は有していない。
【0082】
また、ロータハブ102の周壁部102bの内周面には、内周面がスリーブ108の傾斜面108aと非接触で半径方向に対向し且つ傾斜面108aとの間に形成される間隙の隙間寸法がブラケット114側に向かうにしたがって、つまりスラスト軸受部126を構成するロータハブ102の上壁部102aの下面から遠離るにつれて縮径するよう、傾斜面132aが形成されたリング状部材132が、例えば接着あるいは圧入等の手段によって固着されている。
【0083】
スラスト軸受部126に保持されるオイルは、スリーブ108の外周面に設けられた傾斜面108aとリング状部材132の内周面に設けられた傾斜面132aとの間に形成された、ブラケット114側に向かうにしたがって隙間寸法が漸次拡大するテーパ状の間隙内において、空気との界面を形成して保持されている。つまり、スリーブ108の外周面に設けられた傾斜面108aとリング状部材132の内周面に設けられた傾斜面132aとの間に形成されたテーパ状の間隙によってテーパシール部130が構成されている。
【0084】
上記のとおり構成される第2の実施形態におけるテーパシール部130によっても、第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様に、テーパシール部130を構成するスリーブ108側の傾斜面108aとリング状部材132側の傾斜面132aとがそれぞれ異なる傾斜角を有しており、テーパシール部130が回転軸心に対して傾斜して構成されていることから、第1の実施形態におけるテーパシール部30と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0085】
尚、上記したとおり、この第2の実施形態におけるスピンドルモータの軸受部は、フルフィル構造であることから、軸受内に保持されるオイルは、このテーパシール部130内においてのみ外気に露出しており、テーパシール部130以外の軸受空間は全てオイルで満たされている。
【0086】
つまり、上記第1の実施形態におけるような必要箇所にのみオイルを保持するパーシャルフィル構造の動圧軸受に比べて、軸受内の全体にわたってオイルが保持されるフルフィル構造の動圧軸受は、当然にオイルの保持量が多くなるが、軸受内に保持されるオイルの量が多いということは、それだけ温度上昇等により体積増加するオイルの量が多くなる。
【0087】
しかしながら、テーパシール部を、軸受部よりも外径側に配置して大径とし、またシール部として機能するテーパ状の間隙を長くとることが可能な構成とすることで、このようにオイルの保持量が多いフルフィル構造の動圧軸受では、シール部内の容積が大きく且つシール強度の高いテーパシール部130の構成は特に有利である。
【0088】
従って、上記第2の実施形態の構成では、スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートを要しないという簡略且つ低コスト化可能な構造並びに所望の軸受剛性を維持しつつ、フルフィル構造化することで、更なる薄型化並びに低コスト化が可能となると共に、高速回転への対応も可能となる。
【0089】
▲4▼ロータの抜止め構造
図6において図示するとおり、上記第1の実施形態の場合と同様に、段部102a1の内径をリング状部材132の内径よりも大とすることで、上壁部102aの下面と段部102a1の内周面とリング状部材の上面との間で環状溝134が形成される。また、スリーブ108の外周面には、この環状溝134に対応して傾斜面108aの上部に半径方向外方に突出する環状突起108bが設けられており、これら環状溝134と環状突起108bとが係合することで、ロータハブ102の抜止めが構成される。
【0090】
上記構成にて抜止めが構成されることで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、フルフィル構造の動圧軸受の場合、一連の微小間隙内へのオイルの注入は、外部環境の気圧を真空環境に減圧して微小間隙内の空気とオイルとを入れ換え、その後常圧に戻す、いわゆる真空引きにて行われるが、このとき、例えば図1に図示する従来のスピンドルモータのように、シャフトの先端に抜止めを構成した場合、微小間隙が複雑な形状となり、真空引きのオイル注入では微小間隙内の空気とオイルとを完全に入れ換えることが困難となり、オイル注入工程を完了した後も、オイル内に気泡が残留する懸念がある。
【0091】
オイル内に気泡が残留したままでは、温度上昇等にともなって気泡が体積膨張して、オイルを軸受外部へと押し出し、オイルの早期の枯渇を招く等の問題が発生する。
【0092】
しかしながら、上述したとおり、テーパシール部130内のオイル界面近くに抜止めを設けることで、微小間隙の形状が比較的に単純な形状となり、空気とオイルとの入れ替えも円滑に行われるようになり、微小間隙内に気泡が残留する可能性が可及的に小さくなる。また、環状溝134と環状突起108bとが係合することで抜止め部では微小間隙が複雑な形状となるが、抜止め部よりも半径方向内方側、すなわち軸受部の奥部側にはスラスト軸受部126が位置していることから、オイルの圧力は抜止め部よりも高くなる。これにより、たとえ気泡が抜止め部に残留したとしても、これよりも軸受部の奥部側には侵入することができず、逆に、抜止め部よりも間隙が広くより低圧なテーパシール部130側へ移動し、オイルの界面から外気に解放されることとなる。
【0093】
尚、第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、図7に図示するとおり、抜止め部は、リング状部材132’の内周面上端部に環状溝134’を設けておき、これに環状突起108bを係合させることで構成することも可能である。
【0094】
(3)第2の実施形態の変形例
次に図8を参照して、図5に図示する第2の実施形態の変形例について説明する。尚、図8に図示するスピンドルモータは、ロータの構成以外は図5に図示するスピンドルモータと同様であり、同一の構成を有する部位については同じ番号を付し説明は省略する。
【0095】
スピンドルモータの薄型化のためにロータハブを薄肉化すると、シャフトとの接触面積が減少して締結強度が不足してしまう。このため、シャフトの倒れ(傾き)や脱落が発生し、信頼性を損なう懸念がある。このため、薄型のスピンドルモータの場合、シャフトとロータとは同一の部材から一体成形するのが望ましい。しかしながら、シャフトとロータとを一体成形することで、ラジアル軸受部を構成するシャフトの外周面の表面加工精度が低下する。
【0096】
これを改善するために、図8におけるスピンドルモータでは、ロータハブ102’の上壁部102a’の中央部にシャフト104’が一体に形成されロータ106’が構成されていると共に、このシャフト104’の外周面に円筒状の外筒部材105が装着されている。すなわち、ロータハブ102’とシャフト104’とを一体成形することで、ロータハブとシャフトとの締結強度の不足や組立不良に起因する問題を排除し、高精度な表面加工が可能な外筒部材105をシャフト104’に装着することで、この外筒部材105の外周面とスリーブ108の内周面との間にラジアル軸受部122,124が構成されている。
【0097】
また、シャフト104’の外周面と外筒部材105の内周面との間には、シャフト104’の外周面と外筒部材105の内周面との間を軸線方向上端部から下端部にわたって連続し且つ上部ラジアル軸受部122の軸線方向上端部(スラスト軸受部126側端部)と下部ラジアル軸受部124の軸線方向下端部(ピン部材119側端部)に連通する連通孔107が形成されている。尚、この連通孔107は、図8においてその一部を図示するとおり、シャフト104’の外周面に螺旋状の溝を設けておき、シャフト104’の外周面に外筒部材105を装着することによって形成される。また、連通孔107内には、軸受部に保持されるオイルに連続してオイルが保持されており、また、連通孔107内に保持されるオイルの内圧は、各軸受部に保持されるオイルの内圧とバランスしている。尚、連通孔107を構成する螺旋状の溝は、外筒部材105の内周面側に設けることも可能である。
【0098】
いずれにしても連通孔107を設けることで、スリーブ108の内周面又は外筒部材105の外周面の加工誤差によって、あるいはシャフト104’に設けられた雌ねじ孔104a’に雄ねじが締結される際に生じる締結応力の影響で、スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙が、その軸線方向上端部側と下端部側とで隙間寸法に変化が生じた場合、上部及び下部ラジアル軸受部122,124のいずれかで、本来軸線方向に対称な圧力勾配の流体動圧を発生するヘリングボーングルーブ122a,124aによるポンピングにアンバランスが生じ、その結果オイルに対して軸線方向の流動が誘起されることとなる。スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上端部側と下端部側、すなわちスラスト軸受部126と静圧軸受部128との間で、オイルの内圧に差異が生じることとなる。このオイルの内圧の差を放置しておくと、オイルが軸線方向下端部側から上端部側へ流動する場合は、静圧軸受部128で負圧が発生し、また、オイルが軸線方向上端部側から下端部側へと流動する場合は、静圧軸受部128でオイルの内圧が必要以上に高まり、ロータ106’の過浮上が発生する。
【0099】
これに対し、上部及び下部ラジアル軸受部122,124が構成されるスリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上下端部を連続し且つ軸受内に保持されるオイルに連続してオイルが流通可能に保持されるする連通孔107を設けることで、上記オイルに軸線方向の流動が誘起され、スリーブ108の内周面と外筒部材105の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上端部側と下端部側とでオイルの内圧に差異が生じても、連通孔107を通じて、内圧の高い側から低い側へのオイルの流動が生じるため、各軸受部に保持されるオイルの内圧が均一化され、負圧や過浮上の発生が防止される。
【0100】
この場合、図8に図示するように、軸受内のオイルを流通可能に構成した場合には、上部ラジアル軸受部122’のヘリングボーングルーブ122a’は、オイルをシャフト104’の先端部側に押し込むよう、軸線方向にアンバランスな形状とすることが望ましい。このように、上部ラジアル軸受部122’のヘリングボーングルーブ122a’を軸線方向にアンバランスな形状とすることで、上部ラジアル軸受部122’と下部ラジアル軸受部124との間の領域の圧力が大気圧以上の正圧に保たれ、負圧の発生が防止されると共に、ヘリングボーングルーブ122a’の発生する押圧力によって、オイルは常にシャフト104’の先端部側へと流動することとなる。
【0101】
これにより、微小隙間内のオイルが常に一定方向に流動することとなり、圧力の均衡が図られるので、負圧や過浮上の発生が防止されると共に、加工誤差に対する許容範囲が格段に拡大するので、歩留まりが改善される。
【0102】
(4)ディスク駆動装置の構成
図9に、一般的なディスク駆動装置50の内部構成を模式図として示す。ハウジング51の内部は塵・埃等が極度に少ないクリーンな空間を形成しており、その内部に情報を記憶する円板状のディスク板53が装着されたスピンドルモータ52が設置されている。加えてハウジング51の内部には、ディスク板53に対して情報を読み書きするヘッド移動機構57が配置され、このヘッド移動機構57は、ディスク板53上の情報を読み書きするヘッド56、このヘッドを支えるアーム55及びヘッド56及びアーム55をディスク板53上の所要の位置に移動させるアクチュエータ部54により構成される。
【0103】
このようなディスク駆動装置50のスピンドルモータ52として上記各実施形態のスピンドルモータを使用することで、ディスク駆動装置50の薄型化並びに低コスト化を可能にすると同時に、スピンドルモータの高速化が可能になることで、さらなるディスクの高容量化並びにシークタイムの短縮に対応することができる。
【0104】
また、上記各実施形態におけるスピンドルモータは、構造を簡略化し、小型化並びに薄型化が可能であるので、外径が1.8インチ以下の記録ディスクを回転するディスク駆動装置50に好適に使用することが可能であるが、勿論、外径が2.5インチの記録ディスクを駆動するディスク駆動装置50にも適用可能である。
【0105】
以上、本発明に従うスピンドルモータ並びにディスク駆動装置の一実施形態について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0106】
例えば、スラスト軸受部に設けられる、オイルに対して半径方向内方に作用する圧力を発生する手段としては、上記実施形態において説明したポンプインタイプのスパイラルグルーブに代えて、半径方向にアンバランスな形状を有するヘリングボーングルーブとすることも可能である。
【0107】
スラスト軸受部に半径方向にアンバランスな形状のヘリングボーングルーブを設けた場合、ヘリングボーングルーブを構成する一対のスパイラルグルーブのうち、半径方向外方側に位置するスパイラルグルーブを半径方向内方側に位置するスパイラルグルーブよりも発生するポンピング力が大となるよう、半径方向の寸法、回転方向に対する傾斜角あるいは溝幅や深さといった溝諸元が設定される。この半径方向外方側に位置するスパイラルグルーブのポンピング力と半径方向内方側に位置するスパイラルグルーブのポンピング力とのアンバランス量がオイルに対して付与される半径方向内方に作用する圧力となり、上記ポンプインタイプのスパイラルグルーブの場合と同様に、スラスト軸受部に保持されるオイルの内圧が高められる。
【0108】
このように、スラスト軸受部に上記ヘリングボーングルーブを設けた場合、ロータに対して付与する浮上力がスパイラルグルーブで発生する浮上力よりも高くなるので、スラスト軸受部による荷重支持力が向上する反面、静圧軸受部で発生する浮上力と相俟って、ロータの過浮上が発生する懸念がある。従って、ロータに対して付与する磁気的な付勢力によって、これを制御する必要がある。
【0109】
尚、各軸受部に設けられる動圧発生溝は、必ずしもスリーブ側に設ける必要はない。
【0110】
【発明の効果】
本発明の請求項1のスピンドルモータでは、スピンドルモータの薄型化を可能にする構成を維持しつつも、テーパシール部を回転軸心に対して傾斜した形状とすることで、テーパシール部内の容積を増大することができ、またシール強度を強化することが可能になる。
【0111】
本発明の請求項2のスピンドルモータでは、複雑な形状を有するロータの加工が容易になり、モータを低コスト化することが可能になると共に、ロータとシャフトとを別部材から形成する場合には、ロータとシャフトとの組立不良に起因する回転精度の悪化を抑制することが可能になる。
【0112】
本発明の請求項3及び請求項4のスピンドルモータでは、スピンドルモータの更なる薄型化が可能になると共に、スピンドルモータを更に薄型化した場合でも、比較的に高い支持剛性を確保することが可能になる。
【0113】
本発明の請求項5のスピンドルモータでは、オイル内に混入した気泡に起因するオイルの流出や振動の発生及び回転精度の悪化を防止することが可能になる。
【0114】
本発明の請求項6のスピンドルモータでは、軸受部の構成を簡略化し、加工を容易化することで、製造コストを削減することが可能になる。
【0115】
本発明の請求項7のスピンドルモータでは、オイル内圧のアンバランスに起因するオイル内での負圧領域の発生や、ロータの過浮上を防止することが可能となる。
【0116】
本発明の請求項8のスピンドルモータでは、軸受での損失を低減し高効率化することが可能になると共に、ロータの回転を安定して支持することが可能となる。
【0117】
本発明の請求項9のディスク駆動装置では、薄型化並びに低コスト化を可能にすると同時に、スピンドルモータの高速化が可能になることで、さらなるディスクの高容量化並びにシークタイムの短縮に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に図示するスピンドルモータのテーパシール部を拡大して図示する、部分拡大断面図である。
【図4】図3に図示するテーパシール部の変形例を図示する、部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータの概略構成を示す断面図である。
【図6】図5に図示するスピンドルモータのテーパシール部を拡大して図示する、部分拡大断面図である。
【図7】図6に図示するテーパシール部の変形例を図示する、部分拡大断面図である。
【図8】図5に図示する本発明の第2の実施形態に係るスピンドルモータの変形例の概略構成を示す断面図である。
【図9】ディスク駆動装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
2a,102a,102a’ 上壁部(天板)
2d 円筒壁
4,104,104’ シャフト
6,106、106’ ロータ
8,108 スリーブ
20,126 スラスト軸受部
24,26,122,122’,124 ラジアル軸受部
30,130 テーパシール部
102b 周壁部(円筒壁)
Claims (9)
- シャフトと、該シャフトが回転自在に遊挿される貫通孔が形成されたスリーブと、回転軸心に該シャフトが一体的に構成された円形の天板と該天板から垂下される円筒壁とを有するロータとを備えてなるスピンドルモータであって、
前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間には、オイルが保持される微小間隙が形成されると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝が設けられることによってラジアル軸受部が構成され、
前記スリーブの上端面及び天板の底面との間には、オイルが保持される微小間隙が形成されると共に、前記ロータの回転に応じて該微小間隙に保持されるオイルに流体動圧を誘起する動圧発生溝が設けられることによってスラスト軸受部が構成され、
前記ロータの円筒壁の内周面と前記スリーブの外周面との間には、回転軸心に対して半径方向外方側から内方側に向かって傾斜し且つ前記ロータの天板から遠離るにつれて間隙の隙間寸法が漸次拡大するテーパシール部が形成され、該テーパシール部内において前記スラスト軸受部に保持される前記オイルの界面が形成されており、
前記スラスト軸受部と前記テーパシール部内のオイル界面との間には、前記ロータの抜止めが設けられている、ことを特徴とするスピンドルモータ。 - 前記スリーブの外周面には、外径が前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面が形成され、また前記ロータの円筒壁の内周面には、内径が該スリーブ側の傾斜面とは異なる角度で前記ロータの天板から遠離るにつれて縮径するよう傾斜した傾斜面を有する円環状のリング状部材が固着されており、該スリーブの傾斜面と該リング状部材の傾斜面との間で前記テーパシール部が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
- 前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記ロータの天板と円筒壁の内周面との角部には半径方向内方に突出し且つ前記リング状部材よりも大内径を有する環状段部が設けられていると共に、前記天板と前記リング状部材の上面と該段部の内周面とによって環状溝が形成され、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される、ことを特徴とする請求項2に記載のスピンドルモータ。
- 前記テーパシール部に連続する前記スリーブの外周面には半径方向外方に突出する環状突起が設けられており、また前記リング状部材の内周面には環状溝が設けられ、、該環状溝に該環状突起が係合することで前記抜止めが形成される、ことを特徴とする請求項2に記載のスピンドルモータ。
- 前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間には、外気に連通する環状の空気保持部が形成され、前記ラジアル軸受部は該空気保持部の軸線方向両側にそれぞれ隣接して一対構成されると共に、該空気保持部の軸線方向両端側で該一対のラジアル軸受部に保持されるオイルの界面が形成されており、
前記一対のラジアル軸受部のうち、前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部と前記スラスト軸受部との間には、前記オイルが途切れることなく連続して保持されていると共に、
前記スラスト軸受部には、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝が設けられると共に、前記ロータの天板側に位置するラジアル軸受部には、前記オイルに対して前記スラスト軸受部側に作用する動圧を誘起する前記動圧発生溝が設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータ。 - 前記スリーブに形成される貫通孔の一方の端部は閉塞部材によってを閉塞され、また前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間にはオイルが保持される微小間隙が形成されており、
前記スラスト軸受部に形成される微小間隙と前記ラジアル軸受部に形成される微小間隙と前記閉塞部材の内面と前記シャフトの端面との間に形成される微小間隙は連続して形成されており、また該連続する一連の微小間隙中には、前記テーパシール部に至るまで全体にわたって前記オイルが途切れることなく保持されており、
前記スラスト軸受部には、前記オイルに対して半径方向内方に作用する動圧を誘起するポンプイン形状の前記動圧発生溝が設けられ、また前記ラジアル軸受部には、前記動圧発生溝として一対のスパイラルグルーブを連接してなるヘリングボーン溝が設けられると共に、前記閉塞部材の内面及び前記シャフトの端面との間には、前記スラスト軸受部で発生する半径方向内方に向かう圧力と実質上均衡する圧力を有する軸受部が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータ。 - 前記シャフトと前記ロータとは同一の部材から形成され、また前記シャフトの外周面には中空円筒状の外筒部材が装着されており、前記ラジアル軸受部は該外筒部材の外周面と前記スリーブの内周面との間に構成され、
前記外筒部材の内周面と前記シャフトの外周面との間には、前記シャフトの外周面と前記外筒部材の内周面との間を軸線方向上端部から下端部にわたって連続し且つ前記スリーブの内周面と前記外筒部材の外周面との間に形成される微小間隙の軸線方向上下端部に連通する螺旋状の連通孔が形成されており、前記連続する一連の微小間隙に保持されるオイルは、該連通孔を通じて相互に流通可能となり内圧が均一化される、ことを特徴とする請求項6に記載のスピンドルモータ。 - 前記ロータは、前記スラスト軸受で発生する動圧の作用方向に対して軸線方向反対側に作用する磁気力によって付勢されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスピンドルモータ。
- 情報を記録できる記録ディスクが回転駆動されるディスク駆動装置において、ハウジングと、該ハウジングの内部に固定され該記録ディスクを回転させるスピンドルモータと、該記録ディスクの所要の位置に情報を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディスク駆動装置であって、
前記スピンドルモータは、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載したスピンドルモータである、ことを特徴とするディスク駆動装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051101 |