JP2004155944A - 塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性および密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有する塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含有するイソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物であり、塗装、印刷が可能であり、塗装用、印刷用に使用される。
【解決手段】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含有するイソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物であり、塗装、印刷が可能であり、塗装用、印刷用に使用される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性および密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有する塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来フェンダー、バンパー、スポイラー等の外装やインストルメントパネル等の内装の自動車部品用や、テレビケース、VTRケース、洗濯機カバー等の家電製品用等には、その優れた柔軟性、成形加工性、及び機械的強度からプロピレン系樹脂をはじめとするポリオレフィン樹脂が広く使用されている。これらの材料は、多くの場合、全体又は一部分に塗装や印刷の仕上げがされてから実用化されている。しかし、これらのプロピレン系樹脂をはじめとするポリオレフィン樹脂は、その分子構造に極性基を有していないことから、直接塗料を塗布したり、外装用に印刷を施したりした場合に実用レベルの塗料・インクの付着性を得ることが困難であった。従って、このようなプロピレン系樹脂材料を用いるときは、殆どの場合、成形した材料の表面を、予めトリクロロエタンで脱脂処理し、プライマーを塗布したり、プラズマ処理を施す等によってインクや塗料の付着性能を向上させていた。
【0003】
しかしながら、この様なインクや塗料の塗装方法においては、従来から下記に示す様な問題点があった。先ずトリクロロエタン処理については、地球環境保全の問題から、モントリオール議定書により1995年以降使用禁止であり、また、プライマー塗布方法については、プライマー自体が非常に高価であることや、塗装工数が多くなることから塗装コストが高くなるという欠点があるが、それ以外にもプライマー中の溶媒を揮発させる必要があることから火災の危険性を伴い安全性にも問題があった。
一方、プラズマ処理法においては、高度の真空状態が必要であるために、高価な装置を設計しなければならず、しかも、バッチ式のためにコストの上昇を避けることができなかった。更に、最近では複雑な形状をした成形品が要求される様になったが、この様な複雑な形状の成形品には均一なプラズマ処理が施し難く、また、異物に接触すると塗料やインクの付着性が低下するために、塗装性及び表面印刷性にばらつきを生じることもあり、取り扱いが非常に不便であった。
【0004】
従って、ポリオレフィン樹脂製成形品の塗装におけるトリクロロエタン処理、プライマー塗布、プラズマ処理の工程を省略することができれば、印刷・塗装工程の簡略化、作業環境の改善、コストの低減化を図ることが可能となることから、これまでにもこれらの工程を省略しようと多くの研究がなされてきた。例えば、水酸基変成されたポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献1)、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献2)、エチレン系エラストマー及び帯電剤を付加したポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献3)等が提案されている。しかしながら、これらの組成物の成形品は、トリクロロエタン処理やプライマー塗布を省いて、塗料やインクを直接塗布した場合、塗料やインクの付着強度が必ずしも十分ではなかった。
【0005】
また、これらの組成物の成形品の塗料やインクを直接塗布した場合の塗料及びインクの付着強度は、塗料及びインクの種類によっては著しく低下し、近年、各種自動車部品用分野等にて求められている実用レベルの塗料付着強度を達成させることは困難なことであった。
【0006】
【特許文献1】
特公平5−64660号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−59231号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平6−9835号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性および密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有するポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて成形した成形品が優れた塗装性及びインク印刷性を有していることを見出して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含有するイソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリプロピレン系重合体であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系ブロック共重合体(B)が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)95〜20重量%と、芳香族ビニル系化合物を主体する重合体ブロック(b)5〜80重量%からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0013】
さらに本発明は、表面を塗装することを特徴とする塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0014】
さらに本発明は、表面を印刷することを特徴とする印刷用ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0015】
さらに本発明は、フェンダー、バンパー、スポイラー、インストルメントパネル、テレビケース、VTRケース、及び洗濯機カバーに使用されることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂(A)は、エチレンまたは、α−オレフィンの単独重合体、またはこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物、またはエチレンやα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの重合体の変性物を1種又は2種以上組み合わせて使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体、塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンの(共)重合体、酸化、カルボン酸(誘導体)化、グリシジル化、オキサゾリル化、ハロゲン化、スルホン化、(メタ)アクリル化した各種ポリオレフィン等が例示できる。これらの中で、コスト、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の物性バランスの点からポリプロピレン及びプロピレン単位を主成分として含むポリプロピレン系重合体が好ましく使用できる。
【0017】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(B)のイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。イソブチレンを主体とする重合体ブロック中のイソブチレン以外の単量体は、カチオンリビング重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
【0018】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)とは、芳香族ビニル系化合物が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物以外の単量体としては、カチオン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。
【0019】
重合体ブロック(b)の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種類以上選んでもよい。
【0020】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)中のイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が95〜20重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が90〜60重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が10〜40重量%であることが特に望ましい。
【0021】
また、本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(B)の好ましい構造としては、得られる組成物の物性および加工性の点から、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも1つと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも2つとからなる構造が好ましい。
【0022】
上記構造としては、特に制限は無いが、例えば、(b)−(a)‐(b)から形成されるトリブロック共重合体、{(b)−(a)}単位の繰り返しを持つマルチブロック共重合体、及び、(b)−(a)からなるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーなどから選ばれる少なくとも1種類を使用することができる。さらに、イソブチレン系ブロック共重合体の少なくとも1種類が含まれても良い。しかし、物性および加工性の点から、イソブチレン系ブロック共重合体(B)中に含まれるイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも1つと、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも2つとからなる構造のものが50重量%以下になってはならない。
【0023】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の数平均分子量にも特に制限は無いが、30000から500000が好ましく、40000から400000が特に好ましい。数平均分子量が30000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0024】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有する。さらに好ましくは、イソブチレン系ブロック共重合体(B)0.5〜10重量部を含有する。一般にポリオレフィン樹脂の成形体表面は、表面エネルギーが低いために塗料、インク等がのりにくいことが知られている。塗料、インク等の付着性を示す指標として、接触角が知られており、水性塗料及びインクに対しては水が、油性塗料及びインクに対してはジヨードメタン等の有機溶媒が使用でき、接触角が低いほど成形体表面の付着性が良い。
【0025】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の成形体表面は、水との接触角が90度以下であり、かつジヨードメタンとの接触角が55度以下であることが好ましい。水との接触角が90度を超えると、水性の塗料及びインクに対して付着性が悪くなり、はじき等の問題が生じる。またジヨードメタンとの接触角が55度を超えると、油性の塗料及びインクに対する付着性が悪くなり、はじき等の問題が生じる。
【0026】
従来のポリオレフィン樹脂の成形体は、一般に水との接触角は90度を超え、ジヨードメタンとの接触角も55度を超えることが多い。すなわち水性及び油性の両方の塗料やインクに対して、付着性が悪いことを意味する。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂の優れた特性である柔軟性、成形加工性、機械的強度等をそこなうことなく、イソブチレン系ブロック共重合体の特性を付与、特に表面の塗料及びインクに対する付着性を改良できる。ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、イソブチレン系ブロック共重合体(B)が0.1重量部に満たないと、付着性の改良が不充分になり、また20重量部を超えると、ポリオレフィン樹脂の特性バランスを崩してしまう。
【0027】
さらに本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、物性改良あるいは経済上のメリットから充填剤を配合することができる。好適な充填材としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリュウム、炭酸カルシュウム、炭酸マグネシュウム、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシュウム、天然珪素、合成けい酸(ホワイトカーボン)、金属酸化物(酸化チタン、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛)等の無機充填材が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシュウム、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛)等の無機充填材が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシュウム、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛、マイカが特に好ましい。また熱伝導性付与材として用いられる、鉄、酸化鉄といった各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミック粉、カーボンブラック、粒状ないし、粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等も充填剤として配合することができる。更に軽量化、衝撃吸収性等の各種物性の改善の為に、各種発泡剤を混入させることも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。熱膨張性マイクロカプセルを混合してもよい。
【0028】
この、ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲、即ち、ブリードアウトしない範囲で少量の軟化剤を用いてもよい。通常、室温で液体又は液状の材料が好適に用いられる。また親水性及び疎水性のいずれかの軟化剤も使用できる。このような軟化剤としては鉱物油系としては、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系、合成系等の各種ゴム用又は樹脂用軟化剤が挙げられる。鉱物油系としては、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、合成系としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これら軟化剤は、粘度、成形性及び物性、外観等の改良効果を得る為に1種あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0029】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して一般に採用される
成形方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、成形性、ガスバリヤー性、圧縮永久歪特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、などの密封用材として有効に使用することができる。これらの成形方法により得られる成形体の内、特に、塗装用、印刷用として適したものとして、フェンダー、バンパー、スポイラ−等の外装や、インストルメントパネル等の内装の自動車部品やテレビケース、VTRケース、洗濯機カバー等の家電製品、食品やその他各種包装用フィルム等を例として、広く一般的に用いられている製品群がある。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
(製造例1)
スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体(SIBS)の製造2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.1mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付き耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p‐ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N‐ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。
【0031】
次にさらに、四塩化チタン8.67mL(79.1mol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間同じ温度で攪拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン23.9mL及び塩化ブチル34.3mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。スチレン添加前のイソブチレン重合体Mnが50000、Mw/Mnは40であり、スチレン重合後のブロック共重合体のMnが67000、Mw/Mnが1.50であるブロック共重合体が得られた。
(実施例1〜3)
製造例1で製造したSIBSを表1に示した割合で其々ポリプロピレンとブレンドし、180℃に設定したラボプラストミル(東洋製機社製)を用いて其々15分間溶融混練した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を加圧プレス機を用いて、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得られたシートを用い、水、及びジヨードメタンの2種類の溶媒を用いて接触角の測定を行った。
(比較例1)
ポリプロピレンを、表1に示した配合で、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間溶融混練し、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得られたシートを用い、同様に接触角の測定を行った。(比較例2〜7)
ポリプロピレンと、スチレン系熱可塑性エラストマーを、表1に示した配合で、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間溶融混練りし、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得れらたシートを用い、同様に接触角の測定を行った。
【0032】
【表1】
比較例1に比べ、実施例1〜3においては、水との接触角が90度以下であり、かつジヨードメタンとの接触角が55度以下と、いずれも低くなっており、表面が改良されていることがわかる。さらに実施例1〜3のシートに水性ペン及び油性マジックにて塗布した場合には、はじきはみられなかったものの、比較例1〜7のシートでは、はじきが見られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性、及び密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有する塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものであり、従来の方法であるポリオレフィンの表面をトリクロロエタンで表面処理する方法や、プラズマ表面処理をする方法に比べて、安価で、しかも作業性が良い方法を示すものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性および密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有する塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来フェンダー、バンパー、スポイラー等の外装やインストルメントパネル等の内装の自動車部品用や、テレビケース、VTRケース、洗濯機カバー等の家電製品用等には、その優れた柔軟性、成形加工性、及び機械的強度からプロピレン系樹脂をはじめとするポリオレフィン樹脂が広く使用されている。これらの材料は、多くの場合、全体又は一部分に塗装や印刷の仕上げがされてから実用化されている。しかし、これらのプロピレン系樹脂をはじめとするポリオレフィン樹脂は、その分子構造に極性基を有していないことから、直接塗料を塗布したり、外装用に印刷を施したりした場合に実用レベルの塗料・インクの付着性を得ることが困難であった。従って、このようなプロピレン系樹脂材料を用いるときは、殆どの場合、成形した材料の表面を、予めトリクロロエタンで脱脂処理し、プライマーを塗布したり、プラズマ処理を施す等によってインクや塗料の付着性能を向上させていた。
【0003】
しかしながら、この様なインクや塗料の塗装方法においては、従来から下記に示す様な問題点があった。先ずトリクロロエタン処理については、地球環境保全の問題から、モントリオール議定書により1995年以降使用禁止であり、また、プライマー塗布方法については、プライマー自体が非常に高価であることや、塗装工数が多くなることから塗装コストが高くなるという欠点があるが、それ以外にもプライマー中の溶媒を揮発させる必要があることから火災の危険性を伴い安全性にも問題があった。
一方、プラズマ処理法においては、高度の真空状態が必要であるために、高価な装置を設計しなければならず、しかも、バッチ式のためにコストの上昇を避けることができなかった。更に、最近では複雑な形状をした成形品が要求される様になったが、この様な複雑な形状の成形品には均一なプラズマ処理が施し難く、また、異物に接触すると塗料やインクの付着性が低下するために、塗装性及び表面印刷性にばらつきを生じることもあり、取り扱いが非常に不便であった。
【0004】
従って、ポリオレフィン樹脂製成形品の塗装におけるトリクロロエタン処理、プライマー塗布、プラズマ処理の工程を省略することができれば、印刷・塗装工程の簡略化、作業環境の改善、コストの低減化を図ることが可能となることから、これまでにもこれらの工程を省略しようと多くの研究がなされてきた。例えば、水酸基変成されたポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献1)、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献2)、エチレン系エラストマー及び帯電剤を付加したポリプロピレンを含む樹脂組成物(特許文献3)等が提案されている。しかしながら、これらの組成物の成形品は、トリクロロエタン処理やプライマー塗布を省いて、塗料やインクを直接塗布した場合、塗料やインクの付着強度が必ずしも十分ではなかった。
【0005】
また、これらの組成物の成形品の塗料やインクを直接塗布した場合の塗料及びインクの付着強度は、塗料及びインクの種類によっては著しく低下し、近年、各種自動車部品用分野等にて求められている実用レベルの塗料付着強度を達成させることは困難なことであった。
【0006】
【特許文献1】
特公平5−64660号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平5−59231号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平6−9835号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性および密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有するポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて成形した成形品が優れた塗装性及びインク印刷性を有していることを見出して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含有するイソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリプロピレン系重合体であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、イソブチレン系ブロック共重合体(B)が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)95〜20重量%と、芳香族ビニル系化合物を主体する重合体ブロック(b)5〜80重量%からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0013】
さらに本発明は、表面を塗装することを特徴とする塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0014】
さらに本発明は、表面を印刷することを特徴とする印刷用ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0015】
さらに本発明は、フェンダー、バンパー、スポイラー、インストルメントパネル、テレビケース、VTRケース、及び洗濯機カバーに使用されることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂(A)は、エチレンまたは、α−オレフィンの単独重合体、またはこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物、またはエチレンやα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの重合体の変性物を1種又は2種以上組み合わせて使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体、塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンの(共)重合体、酸化、カルボン酸(誘導体)化、グリシジル化、オキサゾリル化、ハロゲン化、スルホン化、(メタ)アクリル化した各種ポリオレフィン等が例示できる。これらの中で、コスト、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の物性バランスの点からポリプロピレン及びプロピレン単位を主成分として含むポリプロピレン系重合体が好ましく使用できる。
【0017】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(B)のイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。イソブチレンを主体とする重合体ブロック中のイソブチレン以外の単量体は、カチオンリビング重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
【0018】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)とは、芳香族ビニル系化合物が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物以外の単量体としては、カチオン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。
【0019】
重合体ブロック(b)の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種類以上選んでもよい。
【0020】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)中のイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が95〜20重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が90〜60重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が10〜40重量%であることが特に望ましい。
【0021】
また、本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(B)の好ましい構造としては、得られる組成物の物性および加工性の点から、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも1つと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも2つとからなる構造が好ましい。
【0022】
上記構造としては、特に制限は無いが、例えば、(b)−(a)‐(b)から形成されるトリブロック共重合体、{(b)−(a)}単位の繰り返しを持つマルチブロック共重合体、及び、(b)−(a)からなるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーなどから選ばれる少なくとも1種類を使用することができる。さらに、イソブチレン系ブロック共重合体の少なくとも1種類が含まれても良い。しかし、物性および加工性の点から、イソブチレン系ブロック共重合体(B)中に含まれるイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも1つと、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも2つとからなる構造のものが50重量%以下になってはならない。
【0023】
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の数平均分子量にも特に制限は無いが、30000から500000が好ましく、40000から400000が特に好ましい。数平均分子量が30000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0024】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有する。さらに好ましくは、イソブチレン系ブロック共重合体(B)0.5〜10重量部を含有する。一般にポリオレフィン樹脂の成形体表面は、表面エネルギーが低いために塗料、インク等がのりにくいことが知られている。塗料、インク等の付着性を示す指標として、接触角が知られており、水性塗料及びインクに対しては水が、油性塗料及びインクに対してはジヨードメタン等の有機溶媒が使用でき、接触角が低いほど成形体表面の付着性が良い。
【0025】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の成形体表面は、水との接触角が90度以下であり、かつジヨードメタンとの接触角が55度以下であることが好ましい。水との接触角が90度を超えると、水性の塗料及びインクに対して付着性が悪くなり、はじき等の問題が生じる。またジヨードメタンとの接触角が55度を超えると、油性の塗料及びインクに対する付着性が悪くなり、はじき等の問題が生じる。
【0026】
従来のポリオレフィン樹脂の成形体は、一般に水との接触角は90度を超え、ジヨードメタンとの接触角も55度を超えることが多い。すなわち水性及び油性の両方の塗料やインクに対して、付着性が悪いことを意味する。本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂の優れた特性である柔軟性、成形加工性、機械的強度等をそこなうことなく、イソブチレン系ブロック共重合体の特性を付与、特に表面の塗料及びインクに対する付着性を改良できる。ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、イソブチレン系ブロック共重合体(B)が0.1重量部に満たないと、付着性の改良が不充分になり、また20重量部を超えると、ポリオレフィン樹脂の特性バランスを崩してしまう。
【0027】
さらに本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、物性改良あるいは経済上のメリットから充填剤を配合することができる。好適な充填材としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリュウム、炭酸カルシュウム、炭酸マグネシュウム、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシュウム、天然珪素、合成けい酸(ホワイトカーボン)、金属酸化物(酸化チタン、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛)等の無機充填材が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシュウム、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛)等の無機充填材が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシュウム、酸化マグネシュウム、酸化亜鉛、マイカが特に好ましい。また熱伝導性付与材として用いられる、鉄、酸化鉄といった各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミック粉、カーボンブラック、粒状ないし、粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等も充填剤として配合することができる。更に軽量化、衝撃吸収性等の各種物性の改善の為に、各種発泡剤を混入させることも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。熱膨張性マイクロカプセルを混合してもよい。
【0028】
この、ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲、即ち、ブリードアウトしない範囲で少量の軟化剤を用いてもよい。通常、室温で液体又は液状の材料が好適に用いられる。また親水性及び疎水性のいずれかの軟化剤も使用できる。このような軟化剤としては鉱物油系としては、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系、合成系等の各種ゴム用又は樹脂用軟化剤が挙げられる。鉱物油系としては、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、合成系としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これら軟化剤は、粘度、成形性及び物性、外観等の改良効果を得る為に1種あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0029】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して一般に採用される
成形方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、成形性、ガスバリヤー性、圧縮永久歪特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、などの密封用材として有効に使用することができる。これらの成形方法により得られる成形体の内、特に、塗装用、印刷用として適したものとして、フェンダー、バンパー、スポイラ−等の外装や、インストルメントパネル等の内装の自動車部品やテレビケース、VTRケース、洗濯機カバー等の家電製品、食品やその他各種包装用フィルム等を例として、広く一般的に用いられている製品群がある。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
(製造例1)
スチレン‐イソブチレン‐スチレンブロック共重合体(SIBS)の製造2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.1mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付き耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p‐ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N‐ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。
【0031】
次にさらに、四塩化チタン8.67mL(79.1mol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間同じ温度で攪拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン23.9mL及び塩化ブチル34.3mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。スチレン添加前のイソブチレン重合体Mnが50000、Mw/Mnは40であり、スチレン重合後のブロック共重合体のMnが67000、Mw/Mnが1.50であるブロック共重合体が得られた。
(実施例1〜3)
製造例1で製造したSIBSを表1に示した割合で其々ポリプロピレンとブレンドし、180℃に設定したラボプラストミル(東洋製機社製)を用いて其々15分間溶融混練した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を加圧プレス機を用いて、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得られたシートを用い、水、及びジヨードメタンの2種類の溶媒を用いて接触角の測定を行った。
(比較例1)
ポリプロピレンを、表1に示した配合で、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間溶融混練し、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得られたシートを用い、同様に接触角の測定を行った。(比較例2〜7)
ポリプロピレンと、スチレン系熱可塑性エラストマーを、表1に示した配合で、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間溶融混練りし、180℃ラ50kgf/cm2でシート状に成形した。得れらたシートを用い、同様に接触角の測定を行った。
【0032】
【表1】
比較例1に比べ、実施例1〜3においては、水との接触角が90度以下であり、かつジヨードメタンとの接触角が55度以下と、いずれも低くなっており、表面が改良されていることがわかる。さらに実施例1〜3のシートに水性ペン及び油性マジックにて塗布した場合には、はじきはみられなかったものの、比較例1〜7のシートでは、はじきが見られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、ガスバリヤー性、及び密封性に優れ、尚且つ、優れたインク印刷性、及び塗装性を有する塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものであり、従来の方法であるポリオレフィンの表面をトリクロロエタンで表面処理する方法や、プラズマ表面処理をする方法に比べて、安価で、しかも作業性が良い方法を示すものである。
Claims (6)
- ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含有するイソブチレン系ブロック共重合体(B)0.1〜20重量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
- ポリオレフィン樹脂(A)が、ポリプロピレン系重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- イソブチレン系ブロック共重合体(B)が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)95〜20重量%と、芳香族ビニル系化合物を主体する重合体ブロック(b)5〜80重量%からなることを特徴とする請求項1または2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 表面を塗装することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 表面を印刷することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- フェンダー、バンパー、スポイラー、インストルメントパネル、テレビケース、VTRケース、及び洗濯機カバーから選ばれるいずれか一つの用途に使用されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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JP2002323964A JP2004155944A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 塗装用ポリオレフィン系樹脂組成物 |
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JP2008537568A (ja) * | 2005-03-29 | 2008-09-18 | 本田技研工業株式会社 | 高彩度hals安定化高分子組成物 |
WO2022230294A1 (ja) * | 2021-04-27 | 2022-11-03 | デンカ株式会社 | 水性塗料で塗装される成形品用樹脂組成物及びその成形品 |
-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323964A patent/JP2004155944A/ja active Pending
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