JP2004155860A - 湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用できる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】ポリウレタン樹脂を主成分とする常温で固体の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤であって、前記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であり、前記縮合反応は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させ、N回目の前記縮合反応において使用する前記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、N−1回目の前記縮合反応により得られた前記ポリウレタン樹脂であり、かつ、Nは2以上の整数である湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリウレタン樹脂を主成分とする常温で固体の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤であって、前記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であり、前記縮合反応は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させ、N回目の前記縮合反応において使用する前記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、N−1回目の前記縮合反応により得られた前記ポリウレタン樹脂であり、かつ、Nは2以上の整数である湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分子内にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を主成分とする湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、多種多様な分野で使用されている。このタイプの接着剤は分子内のイソシアナト基が空気中又は被着体中の水分と反応(湿気硬化反応)して、最終的に架橋構造を有する高弾性、高強度の皮膜を形成する。
【0003】
このような湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中には、原料の1つであるイソシアナート化合物が残存している。このイソシアナート化合物は、比較的毒性が高いものであるが、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、塗工性を確保するために適当な温度にて加熱溶融して使用する必要があり、その際に残存しているイソシアナート化合物が若干量揮発することがあった。このため、接着剤使用者は、揮発したイソシアナート化合物の蒸気を吸入することにより、肺、気管等に悪影響を受け、その健康を害するおそれがあり、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の安全性を向上させる必要があった。
【0004】
これに対して、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中の残存イソシアナート化合物を低減するための様々な提案がなされている。特許文献1には、トルエンジイソシアナートと、3つのヒドロキシル基を有する長鎖ポリオールとを反応させることにより得られるプレポリマーから、残存イソシアナート化合物を膜払拭蒸発器にて取り除く技術が開示されている。しかし、この技術では、イソシアナート化合物としてトルエンジイソシアナートしか使用することができず、かつ、残存イソシアナート化合物を除去する工程における加熱温度制御が困難であったり、除去工程自体が煩雑であったりするという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、少なくとも1種のジイソシアナートをイソシアヌレートとして3量化したものと、ポリオールとを反応させて得られるプレポリマーを使用する技術が開示されている。しかし、この技術では、3官能のイソシアヌレートを使用するため、得られるプレポリマーが多官能となり、プレポリマーの粘度が高くなりやすいという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−88077号公報
【特許文献2】
特表2001−527117号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリウレタン樹脂を主成分とする常温で固体の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤であって、前記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であり、前記縮合反応は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させ、N回目の前記縮合反応において使用する前記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、N−1回目の前記縮合反応により得られた前記ポリウレタン樹脂であり、かつ、Nは2以上の整数である湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、分子末端にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を主成分とし、常温で固体である。これにより、分子末端のイソシアナト基が空気中又は被着体中の水分と反応(湿気硬化反応)して、最終的に架橋構造を有する高弾性、高強度の皮膜を形成することができる。
【0010】
上記ポリウレタン樹脂は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを反応させる縮合反応をN回行うことにより合成される。
【0011】
1回目の縮合反応において使用する上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物としては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート及びナフタレン−1,5−ジイソシアナートからなる群より選択される少なくとも1種が好適に使用される。
2回目以降の縮合反応については、N回目の上記縮合反応において使用する上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物として、N−1回目の上記縮合反応により得られた上記ポリウレタン樹脂が使用される。
【0012】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物としては特に限定されず、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられる公知のポリオール化合物を使用することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0013】
上記ポリエステルポリオールとしては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクタムを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0014】
上記ポリエーテルポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体;ビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体等が挙げられる。
なお、上記ビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体は、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて得られるランダム共重合体又はブロック共重合体である。また、上記ビスフェノールA骨格の両末端には、少なくとも1種のアルキレンオキシドが、各々モノマー単位にて1〜10mol修飾されていることが好ましい。
【0015】
上記ポリアルキレンポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
上述したポリオール化合物は単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0016】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物がその分子内に有するヒドロキシル基の数の好ましい上限は5であり、より好ましい上限は3である。
【0017】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物の数平均分子量の好ましい下限は100、好ましい上限は5000である。なかでも、1回目の縮合反応において使用する分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物では、より好ましい下限は100、より好ましい上限は2000である。この範囲であると、2回目の縮合反応に簡便に使用することができる比較的低粘度のポリウレタン樹脂を得ることができ、3回目以降の縮合反応も比較的低粘度のポリウレタン樹脂を用いて簡便に行うことができる。
【0018】
上記縮合反応は、上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させる。これにより、ヒドロキシル基に対してイソシアナト基が過剰に存在する状態で縮合反応を行い、分子末端にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を得る。1.2未満であると、粘度が高くなるために好ましくなく、3.0を超えると、残存イソシアナート化合物を充分に低減できない。
なお、本明細書において、[NCO]/[OH]とは、縮合反応系中のイソシアナト基の量を、縮合反応系中のヒドロキシル基の量で割ったものである。また、残存イソシアナート化合物とは、1回目の縮合反応の際に配合した分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物のうち、縮合反応に用いられずに本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中にそのまま含有されているものを意味する。上記残存イソシアナート化合物は、接着剤使用者への安全性を考慮すると少ないほど好ましく、1重量%以下であることが好ましい。
【0019】
上記ポリウレタン樹脂のウレタン結合の含有量は、1mol/kg以上である。1mol/kg未満であると、本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度が高くなるため好ましくない。熱劣化特性を考慮すると、好ましい上限は3mol/kgである。
【0020】
上記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成され、Nは2以上の整数である。1回であると、残存イソシアナート化合物を充分に低減できない。上記縮合反応の回数の好ましい上限は3回である。3回を超えると、本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度特性が充分でないことがある。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、主成分であるポリウレタン樹脂が縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであることから、上記1回目の縮合反応において使用された分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、縮合反応の機会を2回以上有することとなり、残存イソシアナート化合物が低減する。また、上記縮合反応を2回以上行うことにより、ポリウレタン樹脂について、従来のポリウレタン樹脂のハードセグメントよりも設計自由度が大きく向上するので、本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の諸物性を制御することが容易となる。
【0021】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、接着性を高めるために、更に粘着付与樹脂、オイル、熱可塑性樹脂等を含有していてもよい。これらは、N回行われる上記縮合反応のうち、いずれの縮合反応において配合されてもよい。
上記粘着付与樹脂は、主に初期接着性を高めるために用いられ、他の接着剤成分との相溶性、被着体の種類に応じて選択される。上記粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記粘着付与樹脂の環球法により測定される軟化点の好ましい下限は90℃、好ましい上限は150℃である。
【0022】
上記オイルとしては特に限定されず、例えば、一般にゴムの軟化剤として広く知られているプロセスオイル、エクステンダーオイル、ソフナー等のオイルの芳香族成分;ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の芳香族以外のオイル等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0023】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、三級アミン系触媒、スズ系触媒等の湿気反応性を高めるための触媒;老化防止剤;湿潤剤;増粘剤;安定剤;消泡剤;着色剤;軟化剤;充填剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、N回行われる上記縮合反応のうち、いずれの縮合反応において配合されてもよい。
【0024】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の用途としては特に限定されず、例えば、家具木工、カード成型等が挙げられる。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤が適用される被着体としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミ、塗装鋼板、亜鉛鋼板等の金属加工物;ポリエステル樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファルド樹脂等の熱可塑性樹脂の樹脂単体、樹脂混合体又は共重合体;これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、顔料、充填剤等を添加した強化樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3ヒドロキシブチレート−ヒドロキシヴァリレート)、ポリビニルアルコール樹脂等の生分解性樹脂の樹脂単体、樹脂混合体又は共重合体等の合成樹脂加工物;木材、合板、パーティクルボード、紙、皮等が挙げられる。
【0025】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させる縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であるポリウレタン樹脂を主成分とすることにより、接着剤使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用できるものである。また、主成分であるポリウレタン樹脂は、縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであることから、従来のポリウレタン樹脂のハードセグメントよりも設計自由度が大きく向上しており、本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、諸物性の制御が容易である。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
数平均分子量400のポリプロピレングリコール(三洋化成社製、PP400)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、80℃に温度調整して[NCO]/[OH]=1.8となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂1を得た。
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂1を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1を得た。
【0028】
(実施例2)
数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、80℃に温度調整して[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂2を得た。なお、各PPG5mol変性体とは、ビスフェノールAの活性水素部分(2個の水酸基)を起点として、ポリプロピレンオキサイドを各々5mol分ずつ重合させたものであることを示す。
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂2を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤2を得た。
【0029】
(実施例3)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂1を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤3を得た。
【0030】
(実施例4)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂2を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤4を得た。
【0031】
(比較例1)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加し、窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤樹脂5を得た。
【0032】
(比較例2)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃で加熱した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加し、窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤樹脂6を得た。
【0033】
(評価1:ウレタン結合含有量)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、以下の方法によりウレタン結合の含有量を算出した。
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜4について、ヒドロキシル基の含有量×3を求め、ウレタン結合の含有量とした。
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤5〜6について、ヒドロキシル基の含有量を求め、ウレタン結合の含有量とした。
【0034】
(評価2:残存イソシアナート化合物濃度)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、残存イソシアナート化合物(ジフェニルメタンジイソシアナート)の濃度を測定した。
上記濃度の測定は、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6中のイソシアナト基をメタノールにて末端封止し、液体クロマトグラフィーにてイソシアナート化合物を定量して行った。
【0035】
(評価3:溶融粘度)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、JIS K 6862(BM型粘度計)に準じて120℃における溶融粘度を測定した。
評価1〜3の結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分子内にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を主成分とする湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、多種多様な分野で使用されている。このタイプの接着剤は分子内のイソシアナト基が空気中又は被着体中の水分と反応(湿気硬化反応)して、最終的に架橋構造を有する高弾性、高強度の皮膜を形成する。
【0003】
このような湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中には、原料の1つであるイソシアナート化合物が残存している。このイソシアナート化合物は、比較的毒性が高いものであるが、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、塗工性を確保するために適当な温度にて加熱溶融して使用する必要があり、その際に残存しているイソシアナート化合物が若干量揮発することがあった。このため、接着剤使用者は、揮発したイソシアナート化合物の蒸気を吸入することにより、肺、気管等に悪影響を受け、その健康を害するおそれがあり、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の安全性を向上させる必要があった。
【0004】
これに対して、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中の残存イソシアナート化合物を低減するための様々な提案がなされている。特許文献1には、トルエンジイソシアナートと、3つのヒドロキシル基を有する長鎖ポリオールとを反応させることにより得られるプレポリマーから、残存イソシアナート化合物を膜払拭蒸発器にて取り除く技術が開示されている。しかし、この技術では、イソシアナート化合物としてトルエンジイソシアナートしか使用することができず、かつ、残存イソシアナート化合物を除去する工程における加熱温度制御が困難であったり、除去工程自体が煩雑であったりするという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、少なくとも1種のジイソシアナートをイソシアヌレートとして3量化したものと、ポリオールとを反応させて得られるプレポリマーを使用する技術が開示されている。しかし、この技術では、3官能のイソシアヌレートを使用するため、得られるプレポリマーが多官能となり、プレポリマーの粘度が高くなりやすいという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−88077号公報
【特許文献2】
特表2001−527117号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリウレタン樹脂を主成分とする常温で固体の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤であって、前記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であり、前記縮合反応は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させ、N回目の前記縮合反応において使用する前記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、N−1回目の前記縮合反応により得られた前記ポリウレタン樹脂であり、かつ、Nは2以上の整数である湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、分子末端にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を主成分とし、常温で固体である。これにより、分子末端のイソシアナト基が空気中又は被着体中の水分と反応(湿気硬化反応)して、最終的に架橋構造を有する高弾性、高強度の皮膜を形成することができる。
【0010】
上記ポリウレタン樹脂は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを反応させる縮合反応をN回行うことにより合成される。
【0011】
1回目の縮合反応において使用する上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物としては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート及びナフタレン−1,5−ジイソシアナートからなる群より選択される少なくとも1種が好適に使用される。
2回目以降の縮合反応については、N回目の上記縮合反応において使用する上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物として、N−1回目の上記縮合反応により得られた上記ポリウレタン樹脂が使用される。
【0012】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物としては特に限定されず、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられる公知のポリオール化合物を使用することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0013】
上記ポリエステルポリオールとしては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクタムを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0014】
上記ポリエーテルポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体;ビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体等が挙げられる。
なお、上記ビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体は、ビスフェノールA分子骨格の活性水素部分に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて得られるランダム共重合体又はブロック共重合体である。また、上記ビスフェノールA骨格の両末端には、少なくとも1種のアルキレンオキシドが、各々モノマー単位にて1〜10mol修飾されていることが好ましい。
【0015】
上記ポリアルキレンポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
上述したポリオール化合物は単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0016】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物がその分子内に有するヒドロキシル基の数の好ましい上限は5であり、より好ましい上限は3である。
【0017】
上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物の数平均分子量の好ましい下限は100、好ましい上限は5000である。なかでも、1回目の縮合反応において使用する分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物では、より好ましい下限は100、より好ましい上限は2000である。この範囲であると、2回目の縮合反応に簡便に使用することができる比較的低粘度のポリウレタン樹脂を得ることができ、3回目以降の縮合反応も比較的低粘度のポリウレタン樹脂を用いて簡便に行うことができる。
【0018】
上記縮合反応は、上記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、上記分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させる。これにより、ヒドロキシル基に対してイソシアナト基が過剰に存在する状態で縮合反応を行い、分子末端にイソシアナト基を有するポリウレタン樹脂を得る。1.2未満であると、粘度が高くなるために好ましくなく、3.0を超えると、残存イソシアナート化合物を充分に低減できない。
なお、本明細書において、[NCO]/[OH]とは、縮合反応系中のイソシアナト基の量を、縮合反応系中のヒドロキシル基の量で割ったものである。また、残存イソシアナート化合物とは、1回目の縮合反応の際に配合した分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物のうち、縮合反応に用いられずに本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤中にそのまま含有されているものを意味する。上記残存イソシアナート化合物は、接着剤使用者への安全性を考慮すると少ないほど好ましく、1重量%以下であることが好ましい。
【0019】
上記ポリウレタン樹脂のウレタン結合の含有量は、1mol/kg以上である。1mol/kg未満であると、本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度が高くなるため好ましくない。熱劣化特性を考慮すると、好ましい上限は3mol/kgである。
【0020】
上記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成され、Nは2以上の整数である。1回であると、残存イソシアナート化合物を充分に低減できない。上記縮合反応の回数の好ましい上限は3回である。3回を超えると、本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤の粘度特性が充分でないことがある。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、主成分であるポリウレタン樹脂が縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであることから、上記1回目の縮合反応において使用された分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、縮合反応の機会を2回以上有することとなり、残存イソシアナート化合物が低減する。また、上記縮合反応を2回以上行うことにより、ポリウレタン樹脂について、従来のポリウレタン樹脂のハードセグメントよりも設計自由度が大きく向上するので、本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の諸物性を制御することが容易となる。
【0021】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、接着性を高めるために、更に粘着付与樹脂、オイル、熱可塑性樹脂等を含有していてもよい。これらは、N回行われる上記縮合反応のうち、いずれの縮合反応において配合されてもよい。
上記粘着付与樹脂は、主に初期接着性を高めるために用いられ、他の接着剤成分との相溶性、被着体の種類に応じて選択される。上記粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記粘着付与樹脂の環球法により測定される軟化点の好ましい下限は90℃、好ましい上限は150℃である。
【0022】
上記オイルとしては特に限定されず、例えば、一般にゴムの軟化剤として広く知られているプロセスオイル、エクステンダーオイル、ソフナー等のオイルの芳香族成分;ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の芳香族以外のオイル等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0023】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、三級アミン系触媒、スズ系触媒等の湿気反応性を高めるための触媒;老化防止剤;湿潤剤;増粘剤;安定剤;消泡剤;着色剤;軟化剤;充填剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、N回行われる上記縮合反応のうち、いずれの縮合反応において配合されてもよい。
【0024】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤の用途としては特に限定されず、例えば、家具木工、カード成型等が挙げられる。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤が適用される被着体としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミ、塗装鋼板、亜鉛鋼板等の金属加工物;ポリエステル樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファルド樹脂等の熱可塑性樹脂の樹脂単体、樹脂混合体又は共重合体;これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、顔料、充填剤等を添加した強化樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3ヒドロキシブチレート−ヒドロキシヴァリレート)、ポリビニルアルコール樹脂等の生分解性樹脂の樹脂単体、樹脂混合体又は共重合体等の合成樹脂加工物;木材、合板、パーティクルボード、紙、皮等が挙げられる。
【0025】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させる縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であるポリウレタン樹脂を主成分とすることにより、接着剤使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用できるものである。また、主成分であるポリウレタン樹脂は、縮合反応を2回以上行うことにより合成されるものであることから、従来のポリウレタン樹脂のハードセグメントよりも設計自由度が大きく向上しており、本発明の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤は、諸物性の制御が容易である。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
数平均分子量400のポリプロピレングリコール(三洋化成社製、PP400)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、80℃に温度調整して[NCO]/[OH]=1.8となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂1を得た。
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂1を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1を得た。
【0028】
(実施例2)
数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、80℃に温度調整して[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂2を得た。なお、各PPG5mol変性体とは、ビスフェノールAの活性水素部分(2個の水酸基)を起点として、ポリプロピレンオキサイドを各々5mol分ずつ重合させたものであることを示す。
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂2を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤2を得た。
【0029】
(実施例3)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂1を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤3を得た。
【0030】
(実施例4)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃に加熱し、減圧下にて脱水した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにポリウレタン樹脂2を添加した。窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤4を得た。
【0031】
(比較例1)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート(豊国製油社製、HS−350S)を90℃に加熱した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加し、窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤樹脂5を得た。
【0032】
(比較例2)
数平均分子量3500のポリヘキサメチレンセバケート80重量部(豊国製油社製、HS−350S)と、数平均分子量790のビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体20重量部(旭電化社製、BPX−55、各PPG5mol変性体)とを90℃で加熱した後、[NCO]/[OH]=2.0となるようにジフェニルメタンジイソシアナートを添加し、窒素雰囲気下で3時間反応させて、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤樹脂6を得た。
【0033】
(評価1:ウレタン結合含有量)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、以下の方法によりウレタン結合の含有量を算出した。
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜4について、ヒドロキシル基の含有量×3を求め、ウレタン結合の含有量とした。
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤5〜6について、ヒドロキシル基の含有量を求め、ウレタン結合の含有量とした。
【0034】
(評価2:残存イソシアナート化合物濃度)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、残存イソシアナート化合物(ジフェニルメタンジイソシアナート)の濃度を測定した。
上記濃度の測定は、湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6中のイソシアナト基をメタノールにて末端封止し、液体クロマトグラフィーにてイソシアナート化合物を定量して行った。
【0035】
(評価3:溶融粘度)
湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤1〜6について、JIS K 6862(BM型粘度計)に準じて120℃における溶融粘度を測定した。
評価1〜3の結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、使用者の健康に悪影響を及ぼす残存イソシアナート化合物を低減し、安全に使用することができる湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤を提供することができる。
Claims (2)
- ポリウレタン樹脂を主成分とする常温で固体の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤であって、
前記ポリウレタン樹脂は、縮合反応をN回行うことにより合成されるものであり、分子末端にイソシアナト基を有し、かつ、ウレタン結合の含有量が1mol/kg以上であり、
前記縮合反応は、分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物と、分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物とを[NCO]/[OH]=1.2〜3.0の割合で反応させ、N回目の前記縮合反応において使用する前記分子内に2以上のイソシアナト基を有するイソシアナート化合物は、N−1回目の前記縮合反応により得られた前記ポリウレタン樹脂であり、かつ、Nは2以上の整数である
ことを特徴とする湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤。 - 1回目の縮合反応において使用する分子内に2以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物は、数平均分子量が100〜2000であることを特徴とする請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタン系ホットメルト接着剤。
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