JP2007063449A - カルボキシル基含有ポリエステルポリオール、水性ポリウレタン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、ジメチロールアルカン酸を用いたラクトン類の開環重合により得られ、且つ数平均分子量が250〜2000であり、さらに、カルボキシル基含有ポリエステルポリオール中に含まれているジメチロールアルカン酸の量が、ジメチロールアルカン酸、ラクトン類およびカルボキシル基含有ポリエステルポリオールの総量に対して1重量%以下であることを特徴とする。ラクトン類を開環重合させた後、ジメチロールアルカン酸を析出させ、析出したジメチロールアルカン酸を分離除去させることにより得られる。
【選択図】 なし
Description
本発明の他の目的は、塗布時の乾燥性や作業環境性が優れており、均一性が高く安定性が良好な水性ポリウレタン系樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、さらに、高沸点有機溶媒を用いなくても、プレポリマー化の反応を均一系で行って、容易に製造することができる水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明のカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、ジメチロールアルカン酸を用いたラクトン類の開環重合により得られ、且つ数平均分子量が250〜2000であり、さらに、カルボキシル基含有ポリエステルポリオール中に含まれているジメチロールアルカン酸の量が、ジメチロールアルカン酸、ラクトン類およびカルボキシル基含有ポリエステルポリオールの総量に対して1重量%以下である。このように、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、ジメチロールアルカン酸の含有量が極めて少ないので、無溶剤中や低沸点溶媒中で、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物とを反応させるプレポリマー化の反応を均一系で行って、ポリウレタン系樹脂を容易に製造することができる。そのため、得られた水性ポリウレタン系樹脂組成物は、均一性が優れているとともに、安定性が良好であり、さらに塗布して苫区を形成させる際の乾燥性や作業環境性が優れている。
カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを製造する際に用いられるジメチロールアルカン酸としては、メチロール基(ヒドロキシメチル基)を2つ有しているアルカン酸(脂肪族飽和カルボン酸)であれば特に制限されない。メチロール基は、アルカン酸の炭化水素基における炭素原子に結合しており、この際、異なる炭素原子に結合していてもよいが、同一の炭素原子に結合していることが好ましく、特に、2位の炭素原子(α位の炭素原子)に結合していることが好適である。具体的には、ジメチロールアルカン酸としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の2,2−ジメチロールアルカン酸などが挙げられる。ジメチロールアルカン酸は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを製造する際に用いられるラクトン類としては、特に制限されず、例えば、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトンなどが挙げられる。ラクトン類は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ラクトン類としては、温和な条件下で重合可能であることや、入手が容易で工業的に低コストであること等の観点から、ε−カプロラクトンを好適に用いることができる。
カルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、ジメチロールアルカン酸を用いたラクトン類の開環重合により得られる。このような開環重合については、公知であり、例えば、特開平6−313024号公報、特開平8−27243号公報、特開2004−91740号公報などの各種文献に記載されている。具体的には、ε−カプロラクトン等のラクトン類が開環した開環物が、ジメチロールアルカン酸におけるヒドロキシル基と反応して、ジメチロールアルカン酸にラクトン類が付加し、さらに、この付加体におけるラクトン類に由来するヒドロキシル基に、ラクトン類の開環物又はその重合体が付加し、さらに、末端のヒドロキシル基に、他のラクトン類の開環物又はその重合体が付加することを繰り返して、ラクトン類が開環重合することにより、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールが得られる。
このような開環重合では、得られる反応系内には、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールとともに、未反応のジメチロールアルカン酸や、ラクトン類(ε−カプロラクトンなど)が、残存している。ラクトン類は、重合温度や重合時間等の重合条件をコントロールすることにより、そのほとんどを開環重合により反応させて、反応系内に残存している量を低減させることができ、例えば、重合前の量に対して1重量%以下にまで低減させることができる。一方、ジメチロールアルカン酸は、重合温度や重合時間等の重合条件をコントロールしても、反応系内に残存している量を、反応系中のジメチロールアルカン酸、ラクトン類およびカルボキシル基含有ポリエステルポリオールの総量に対して1重量%以下にまで低減させることは困難である。
本発明の水性ポリウレタン系樹脂組成物は、前述のジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物との反応により得られ、且つ分子鎖中に塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有するポリウレタン系樹脂(ポリウレタン系ポリマー)を含んでいる水性ポリウレタン系樹脂組成物である。すなわち、ポリウレタン系樹脂を製造する際のカルボキシル基含有ポリエステルポリオールとして、公知のカルボキシル基含有ポリエステルポリオールではなく、前述のジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを用いていることがポイントである。このように、ジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを用いているので、ウレタンプレポリマーを調製する際の溶媒として、ジメチロールアルカン酸を溶解させるための高沸点有機溶媒を用いなくても、また、ジメチロールアルカン酸を溶解させるための再加熱を行わなくても、プレポリマー化の反応を均一系で行うことができ、ウレタンプレポリマーを容易に調製することができる。そのため、調製された水性ポリウレタン系樹脂組成物は、均一性が高く安定性が良好であり、しかも塗布時の乾燥性や作業環境性が優れている。
本発明におけるポリウレタン系樹脂では、ポリオール系化合物として、前述のジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも用いている。ポリオール系化合物としては、ジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールとともに、他のポリオール系化合物(前述のジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオール以外のポリオール系化合物)が用いられていてもよい。すなわち、ポリオール系化合物としては、ジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールのみが用いられていてもよく、ジメチロールアルカン酸の含有量が低減されたカルボキシル基含有ポリエステルポリオールとともに、他のポリオール系化合物が用いられていてもよい。他のポリオール系化合物としては、ポリウレタン系樹脂の原料として公知のポリオール系化合物の中から適宜選択することができるが、低沸点有機溶媒に対する溶解性が乏しい成分(ジメチロールアルカン酸など)をほとんど又は全く含んでいないポリオール系化合物を用いることが重要である。具体的には、ポリオール系化合物としては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)とジカルボン酸成分(アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)との縮合反応により得られるポリエステルポリオール(例えば、両末端にヒドロキシル基を有しているポリエチレンアジペート、両末端にヒドロキシル基を有しているポリエチレン・ブチレンアジペート、両末端にヒドロキシル基を有しているポリプロピレンアジペート、両末端にヒドロキシル基を有しているポリヘキサメチレンアジペート、両末端にヒドロキシル基を有しているポリネオペンチレンアジペート、両末端にヒドロキシル基を有しているポリ−3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート、テレフタル酸と、必要に応じてイソフタル酸及び/又はアジピン酸とをカルボン酸成分とするとともに、ヘキサメチレングリコール及び/又は3−メチル−1,5−ペンタンジオールをジオール成分とし、且つ両末端にヒドロキシル基を有しているポリエステルポリオール、両末端にヒドロキシル基を有しているポリカプロラクトン、両末端にヒドロキシル基を有しているポリメチルバレロラクトンなど)の他、ポリカーボネートポリオール、シリコーンポリオール、ポリオレフィンポリオール(ポリブタジエンポリオールなど)などの長鎖タイプのポリオール系化合物が挙げられる。これらの長鎖タイプのポリオール系化合物の数平均分子量は、特に制限されないが、例えば、400〜5000程度であってもよい。また、ポリオール系化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの短鎖タイプのポリオール系化合物も用いることができる。これらのポリオール系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイソシアネート系化合物としては、特に制限されず、ポリウレタン系樹脂の原料として公知のポリイソシアネート系化合物の中から適宜選択することができる。具体的には、ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート系化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物等の脂環式ジイソシアネート系化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート系化合物;キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート系化合物などが挙げられる。ポリイソシアネート系化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリウレタン系樹脂は、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物との反応により得られ、且つ分子鎖中に塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有している。ポリウレタン系樹脂におけるカルボキシル基を中和するために用いられている塩基性物質としては、特に制限されず、公知の塩基性物質の中から適宜選択して用いることができる。塩基性物質としては、有機系の塩基性物質であってもよく、無機系の塩基性物質であってもよい。具体的には、塩基性物質としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン等の第3級アミン;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;アンモニア;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。塩基性物質は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性物質としては、第3級アミン、アルカノールアミンを好適に用いることができる。
本発明におけるポリウレタン系樹脂は、鎖延長剤により鎖延長されていてもよい。鎖延長剤としては、特に制限されず、公知の鎖延長剤(アミン系鎖延長剤や、ジオール系鎖延長剤など)の中から適宜選択して用いることができるが、アミン系鎖延長剤を好適に用いることができる。アミン系鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,4−シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン;m−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンなどのジアミンの他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリエチレンポリアミン類や、ヒドラジン、ピペラジン、ジヒドラジド化合物(ヒドラジンと、アジピン酸やフタル酸とのジヒドラジド化合物など)などが挙げられる。なお、ジオール系鎖延長剤としては、例えば、前記のポリオール系化合物の項で例示の短鎖タイプのポリオール系化合物などが挙げられる。鎖延長剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリウレタン系樹脂は、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物との反応により得られ、且つ分子鎖中に塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有しており、必要に応じて、ウレタンプレポリマーが鎖延長剤により鎖延長された形態を有している。ポリウレタン系樹脂におけるカルボキシル基の割合としては、特に制限されないが、ポリウレタン系樹脂の固形分全量に対して0.4〜5重量%(好ましくは0.6〜4.5重量%、さらに好ましくは0.8〜4.2重量%)であってもよい。ポリウレタン系樹脂におけるカルボキシル基の割合が、ポリウレタン系樹脂の固形分全量に対して0.4重量%未満であると、樹脂の水性化が困難となり、一方、5重量%を超えると、樹脂の塗膜物性が低下する。
(GPCの測定条件)
・装置:装置名「HPLC LC−6A SYSTEM」(SHIMAZU社製)
・カラム:「KF−800P(10mm×4.6mmφ)」、「KF−804(300mm×8mmφ)」、「KF−802.5(300mm×8mmφ)」、「KF−801(300mm×8mmφ)」(以上、SHODEX社製)
・移動相:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・サンプル量:100μl(100倍希釈)
・カラム温度:50℃
・検量線作成標準物質:ポリスチレン(PSt)
本発明の水性ポリウレタン系樹脂組成物は、前記ポリウレタン系樹脂を含んでおり、通常、前記ポリウレタン系樹脂を水に分散又は溶解した状態で含んでいる。ポリウレタン系樹脂が水に分散した状態である場合、水に分散しているポリウレタン系樹脂の粒子の平均粒子径としては、特に制限されないが、例えば、5μm以下(例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは1〜5μm)であってもよい。水性ポリウレタン系樹脂組成物の外観は、分散粒子(すなわち、水に分散しているポリウレタン系樹脂の粒子)の大きさにより変化し、分散粒子の平均粒子径が小さい場合は、蛍光を発する溶液状を呈し、平均粒子径が大きい場合は、真っ白な乳濁状となる。なお、いずれの状態であっても、水性ポリウレタン系樹脂組成物は、経時において安定した性状を保持することができる。
(1)機械的物性:フィルムを打ち抜き刃で10×120mmに切断し、JIS K6301に準拠して、東洋ボールドウイン社の「テンシロン UTM−III−100」を用いて、引張り速度:500mm/分、温度:23℃、湿度:60%RHにおいて、引張り強度(MPa)、伸び(%)を測定した。
(2)粘度:東機産業株式会社製のEM型回転粘度計を用いて、25℃での粘度(mPa・s/25℃)を測定した。なお、粘度の測定条件は、ローター回転数:5rpmである。
(3)平均粒子径:堀場製作所製の粘度分布測定装置を使用して測定した。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:228部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で攪拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ε−カプロラクトンの含有量が1%以下であることを確認し、その後、反応系の温度を60℃にまで冷却させた。温度を60℃に保ちながら、反応系に酢酸エチル:200部を徐々に加え、ジメチロールプロピオン酸を析出させた。析出させたジメチロールプロピオン酸を遠心分離器により沈降させ、析出したジメチロールプロピオン酸を含む下層を除去して、均一な酢酸エチルの溶液を得た。その後、エバボレーターにより、酢酸エチルを除去することにより、ジメチロールプロピオン酸の含有量が0.5%であり、数平均分子量が500であり、常温で液状の形態を有しているカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:228部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で攪拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ε−カプロラクトンの含有量が1%以下であることを確認し、その後、反応系の温度を60℃にまで冷却させた。温度を60℃に保ちながら、攪拌を継続することで、未反応のジメチロールプロピオン酸を結晶化させ析出させた。その後、反応系を再度加熱し、系の温度を80℃に保ち、結晶化により析出したジメチロールプロピオン酸をろ過分別することにより、ジメチロールプロピオン酸の含有量が0.5%であり、数平均分子量が500であり、常温で液状の形態を有しているカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:342部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で攪拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ε−カプロラクトンの含有量が1%以下であることを確認し、その後、反応系の温度を60℃まで冷却させた。温度を60℃に保ちながら、反応系に酢酸エチル:300部を徐々に加え、ジメチロールプロピオン酸を析出させた。析出させたジメチロールプロピオン酸を遠心分離器により沈降させ、析出したジメチロールプロピオン酸を含む下層を除去して、均一な酢酸エチルの溶液を得た。その後、エバボレーターにより、酢酸エチルを除去することにより、ジメチロールプロピオン酸の含有量が0.6%であり、数平均分子量が600であり、常温で液状の形態を有しているカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:114部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で攪拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ε−カプロラクトンの含有量が1%以下であることを確認し、その後、反応系の温度を60℃にまで冷却させた。温度を60℃に保ちながら、反応系に酢酸エチル:100部を徐々に加え、ジメチロールプロピオン酸を析出させた。析出させたジメチロールプロピオン酸を遠心分離器により沈降させ、析出したジメチロールプロピオン酸を含む下層を除去して、均一な酢酸エチルの溶液を得た。その後、エバボレーターにより、酢酸エチルを除去することにより、ジメチロールプロピオン酸の含有量が0.4%であり、数平均分子量が350であり、常温で液状の形態を有しているカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:798部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で攪拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ε−カプロラクトンの含有量が1%以下であることを確認し、その後、反応系の温度を60℃にまで冷却させた。温度を60℃に保ちながら、反応系に酢酸エチル:500部を徐々に加え、ジメチロールプロピオン酸を析出させた。析出させたジメチロールプロピオン酸を遠心分離器により沈降させ、析出したジメチロールプロピオン酸を含む下層を除去して、均一な酢酸エチルの溶液を得た。その後、エバボレーターにより、酢酸エチルを除去することにより、ジメチロールプロピオン酸の含有量が0.4%であり、数平均分子量が1000であり、常温で液状の形態を有しているカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:366部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が20%であり、数平均分子量が500であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:866部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が10%であり、数平均分子量が1000であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:166部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が20%であり、数平均分子量が300であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:366部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が10%であり、数平均分子量が500であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:666部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が5.2%であり、数平均分子量が800であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、ジメチロールプロピオン酸:134部、ε−カプロラクトン:866部を仕込み、触媒としてオクチル酸第一錫(1ppm)を使用し、窒素気流下で撹拌しながら加熱し均一に溶解させた後、150℃で4時間反応させて、ジメチロールプロピオン酸の含有量が3.5%であり、数平均分子量が1000であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを得た。このカルボキシル基含有ポリエステルポリオールは、室温で放置すると、ジメチロールプロピオン酸の結晶が析出した。この一旦析出したジメチロールプロピオン酸の結晶は、系の温度を100℃まで上昇させても溶解することなく、系は白濁状を呈していた。
反応器に、イソホロンジイソシアネート:83.5部、数平均分子量が1000であるのポリテトラメチレンエーテルグリコール:111.6部、および実施例3で得られたカルボキシル基含有ポリエステルポリオール(常温で液状の形態を有しており且つ数平均分子量が600であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオール):54.9部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃で5時間反応させて、均一透明な形態を有しており、且つ末端にイソシアネート基を有しているウレタンプレポリマーを得た。次いで、系の温度を50℃にして、トリエチルアミン9.24部を加えて中和した。
(GPCの測定条件)
・装置:装置名「HPLC LC−6A SYSTEM」(SHIMAZU社製)
・カラム:「KF−800P(10mm×4.6mmφ)」、「KF−804(300mm×8mmφ)」、「KF−802.5(300mm×8mmφ)」、「KF−801(300mm×8mmφ)」(以上、SHODEX社製)
・移動相:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・サンプル量:100μl(100倍希釈)
・カラム温度:50℃
・検量線作成標準物質:ポリスチレン(PSt)
反応器に、イソホロンジイソシアネート:80.6部、数平均分子量が1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール:107.6部、および実施例2で得られたカルボキシル基含有ポリエステルポリオール(常温で液状の形態を有しており且つ数平均分子量が500であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオール):61.8部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃で5時間反応させて、均一透明な形態を有しており、且つ末端にイソシアネート基を有しているウレタンプレポリマーを得た。次いで、系の温度を50℃にして、トリエチルアミン:8.91部を加えて中和した。
反応器に、イソホロンジイソシアネート:86.7部、数平均分子量が1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール:115.8部、および予め80℃のオーブンで1昼夜加温しても液状が保たれない、比較例1で得られた数平均分子量が500であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオール:47.5部を仕込み、さらに、当該比較例1に係るカルボキシル基含有ポリエステルポリオール中に残存するジメチロールプロピオン酸を溶解させるために必要なN−メチルピロリドン:2.5部を加え、窒素気流下で撹拌しながら80℃で5時間反応させて、均一透明な形態を有しており、且つ末端にイソシアネート基を有しているウレタンプレポリマーを得た。次いで、系の温度を50℃にして、トリエチルアミン:9.59部を加えて中和した。
Claims (10)
- ジメチロールアルカン酸を用いたラクトン類の開環重合により得られ、且つ数平均分子量が250〜2000であるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールであって、カルボキシル基含有ポリエステルポリオール中に含まれているジメチロールアルカン酸の量が、ジメチロールアルカン酸、ラクトン類およびカルボキシル基含有ポリエステルポリオールの総量に対して1重量%以下であることを特徴とするカルボキシル基含有ポリエステルポリオール。
- ジメチロールアルカン酸が、2,2−ジメチロールプロピオン酸である請求項1記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオール。
- ジメチロールアルカン酸を用いてラクトン類を開環重合させた後、ジメチロールアルカン酸の貧溶媒を加えてジメチロールアルカン酸を析出させ、さらに、析出したジメチロールアルカン酸を分離除去し、その後、前記貧溶媒を分離除去させることにより得られる請求項1又は2記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオール。
- ジメチロールアルカン酸の貧溶媒が、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールに対して良溶媒としての機能を発揮する請求項3記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオール。
- ジメチロールアルカン酸を用いてラクトン類を開環重合させた後、攪拌を継続させてジメチロールアルカン酸を結晶化により析出させ、さらに、析出したジメチロールアルカン酸を分離除去させることにより得られる請求項1又は2記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオール。
- カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物との反応により得られ、且つ分子鎖中に塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有するポリウレタン系樹脂を含んでいる水性ポリウレタン系樹脂組成物であって、前記カルボキシル基含有ポリエステルポリオールが、請求項1〜5の何れかの項に記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオールであることを特徴とする水性ポリウレタン系樹脂組成物。
- ポリウレタン系樹脂におけるカルボキシル基の割合が、ポリウレタン系樹の固形分全量に対して0.4〜5重量%である請求項6記載の水性ポリウレタン系樹脂組成物。
- ポリウレタン系樹脂の数平均分子量が、6000〜500000である請求項6又は7記載の水性ポリウレタン系樹脂組成物。
- カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物との反応により得られ、且つ分子鎖中に塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有するポリウレタン系樹脂を含んでいる水性ポリウレタン系樹脂組成物を製造する方法であって、前記カルボキシル基含有ポリエステルポリオールとして、請求項1〜4の何れかの項に記載のカルボキシル基含有ポリエステルポリオールを用い、カルボキシル基含有ポリエステルポリオールを少なくとも含むポリオール系化合物と、ポリイソシアネート系化合物とを反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、該ウレタンプレポリマーを、分子中のカルボキシル基を塩基性物質により中和して水に分散又は溶解させることを特徴とする水性ウレタン系樹脂組成物の製造方法。
- 塩基性物質により中和されたカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマーを水に分散又は溶解させた後、さらに、鎖延長剤により鎖延長させる請求項9記載の水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
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