JP4477738B2 - 湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを主成分とする湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は既に公知である。上記湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤として、例えば、特公平7−76332号公報では、「ポリオール成分として高分子量ポリエステル及びポリオールを用い、イソシアネート成分としてジイソシアネートを用いた熱可塑性ポリウレタンプレポリマーであって、該高分子量ポリエステルが末端に水酸基を有し分子量600〜6000の炭化水素鎖を分子内に有する分子量8000〜25000の高分子量熱可塑性飽和ポリエステルを含有し、ポリオールが分子量5000以下の低分子量ポリオールであり、ポリオール成分とジイソシアネートとの反応比がイソシアネート基/水酸基=1.4〜3である反応生成物からなる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤」が開示されている。
【0003】
このような湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と空気中や被着体中の水分(湿気)が反応して硬化し、最終的に架橋構造を形成するので、硬化後は優れた強度や弾性を発現する。
【0004】
しかし、従来の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤にあっては、加熱溶融したホットメルト接着剤を一方の被着体に塗布した後、他方の被着体を貼り合わせることの可能な時間(接着可能時間)を延長することと湿気硬化後に優れた強度を発現させることとを両立させることは困難であった。
【0005】
即ち、上記接着可能時間を延長させようとすると、例えば、ウレタンプレポリマーの合成に用いる結晶性ポリオール成分の結晶化度を減少させたり、結晶性ポリオール成分の使用比率を下げる必要が生じたり、また、同じくウレタンプレポリマーの合成に用いる非結晶性ポリオール成分のガラス転移温度(Tg)を低くしたり、非結晶性ポリオール成分の使用比率を下げる必要が生じるため、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の強度が十分に向上しないという問題点が発生する。
【0006】
また、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の強度を向上させるために、ウレタンプレポリマーの合成に分子量の低いポリオール成分を用いる方法もあるが、湿気硬化後の強度を十分に向上させるためには、極端に分子量の低いポリオール成分を用いる必要があり、実用的とは言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、加熱溶融させて塗布した後の接着可能時間が十分に長くて作業性に優れ、且つ、湿気硬化後は優れた強度や耐熱性、弾性等を発現する湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(以下、「本発明1」と記す)による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、分子両末端に水酸基を有する常温で結晶性のポリエステル樹脂30〜90重量%及び分子両末端に水酸基を有し、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコール10〜70重量%を含有する水酸基含有組成物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを主成分として成ることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明(以下、「本発明2」と記す)による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、上記本発明1による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤において、JIS K−2207に準拠して測定された湿気硬化前の軟化点(環球法)が60℃以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明1において、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマー(以下、単に「ウレタンプレポリマー」と略記する)の合成に用いられる分子両末端に水酸基を有する常温で結晶性のポリエステル樹脂(以下、単に「結晶性ポリエステル系樹脂」と略記する)は、ジカルボン酸とジオールを縮重合反応させて得られる。
【0011】
上記ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,20−エイコサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでもアジピン酸がより好適に用いられる。これらのジカルボン酸は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0012】
また、上記ジオールとしては、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等のメチレン基数が2〜10のジオールが挙げられ、好適に用いられるが、なかでも1,6−ヘキサンジオールがより好適に用いられる。これらのジオールは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0013】
これらのジカルボン酸とジオールを用いて、通常の縮重合反応を行うことにより、本発明1で用いられる分子両末端に水酸基を有する結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0014】
上記結晶性ポリエステル樹脂は、特に限定されるものではないが、その数平均分子量が1000〜20000であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000未満であると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の塗布後の接着可能時間が短くなったり、湿気硬化後の弾性が乏しくなることがあり、逆に結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量が20000を超えると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の強度や耐熱性が不十分となることがある。
【0015】
上記縮重合反応において、ジカルボン酸の仕込みモル数をnとすると、ジオールの仕込みモル数をn+1とすることにより、分子両末端に水酸基を有する結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。また、nやn+1の数を調節することにより、上記好ましい数平均分子量を有する結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0016】
本発明1においては、ウレタンプレポリマーの合成に、上記結晶性ポリエステル樹脂と共に、分子両末端に水酸基を有し、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコール(以下、単に「ポリアルキレングリコール」と略記する)が用いられる。
【0017】
上記ポリアルキレングリコールは、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有することが必要であり、好ましくは1〜4個である。また、上記ポリアルキレングリコールは、特に限定されるものではないが、炭素数が1〜5のメチレン鎖を有するものであることが好ましい。
【0018】
さらに、上記ポリアルキレングリコールは、特に限定されるものではないが、その数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量が1000未満であると、ウレタンプレポリマーが発泡を生じ易くなるので製造に適さなかったり、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の弾性が乏しくなることがあり、逆にポリアルキレングリコールの数平均分子量が3000を超えると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の強度が不十分となることがある。
【0019】
本発明1においては、ウレタンプレポリマーの合成に前記結晶性ポリエステル樹脂30〜90重量%及び上記ポリアルキレングリコール10〜70重量%を含有する水酸基含有組成物が用いられることが必要である。
【0020】
上記水酸基含有組成物中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量が30重量%未満であるか、または、ポリアルキレングリコールの含有量が70重量%を超えると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化後の強度や耐熱性が不十分となり、逆に上記水酸基含有組成物中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量が90重量%を超えるか、または、ポリアルキレングリコールの含有量が10重量%未満であると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の塗布後の接着可能時間が短くなったり、湿気硬化後の弾性が乏しくなる。
【0021】
本発明1において、上記水酸基含有組成物と縮重合反応させてウレタンプレポリマーを合成するために用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、MDIの液状変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられ、好適に用いられるが、蒸気圧や毒性、取扱い易さ等を考慮すると、なかでもMDIやMDIの液状変性物がより好適に用いられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
ウレタンプレポリマーの合成方法は、特別なものではなく、例えば、前記水酸基含有組成物と上記ポリイソシアネート化合物とを水酸基含有組成物の有する水酸基(OH)に対するポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基(NCO)の比率(NCO/OH)がモル比で1.2〜3.0となるような割合で混合し、窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下または減圧もしくは真空下で、80〜100℃程度の温度で3〜5時間程度縮重合反応させることにより、所望のウレタンプレポリマーを得ることができる。
【0023】
上記NCO/OH(モル比)が1.2未満であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎて、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤とすることが困難となる場合があり、逆にNCO/OH(モル比)が3.0を超えると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤が湿気硬化時に発泡を起こし易くなって、湿気硬化後の強度や耐熱性が低下することがある。
【0024】
本発明の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤には、主成分であるウレタンプレポリマー以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、溶融粘度や被着体に対する密着性等を調整するための粘着性付与樹脂や熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性ゴム、ワックス類、オイル、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、カップリング剤、無機充填剤もしくは有機充填剤、増粘剤、揺変性付与剤、3級アミン系や有機錫系化合物等の硬化促進触媒、脱水剤、着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0025】
添加されても良い粘着性付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油系樹脂、芳香族石油系樹脂等が挙げられる。これらの粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
上記粘着性付与樹脂の軟化点は、特に限定されるものではないが、環球式軟化点で90〜150℃であるものが好ましい。また、上記粘着性付与樹脂の添加量は、特に限定されるものではないが、前記ウレタンプレポリマー100重量部に対して、粘着性付与樹脂0〜200重量部であることが好ましい。ウレタンプレポリマー100重量部に対する粘着性付与樹脂の添加量が200重量部を超えると、得られる湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の硬化後の強度や耐熱性が低下したり、低温下で脆弱になることがある。
【0027】
添加されても良い熱可塑性樹脂としては、例えば、メルトインデックス(MI)が100以上のエチレン−ビニルモノマー共重合体やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。エチレン−ビニルモノマー共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸n−ブチルエステルのようなエチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
添加されても良い熱可塑性ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらの熱可塑性ゴムは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
上記熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ゴムの添加量は、特に限定されるものではないが、前記ウレタンプレポリマー100重量部に対して、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ゴム0〜100重量部であることが好ましい。ウレタンプレポリマー100重量部に対する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ゴムの添加量が100重量部を超えると、溶融粘度が著しく上昇して塗布作業が困難になることがある。
【0030】
添加されても良いワックス類としては、例えば、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらのワックス類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0031】
添加されても良いオイルとしては、例えば、一般的にプロセスオイル、エクステンダーオイル、ソフナー等と呼ばれる芳香族系(アロマ系)オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等が挙げられる。これらのオイルは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0032】
本発明1の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の製造方法は、特別なものではなく、必須成分である主成分としてのウレタンプレポリマーの所定量と必要に応じて添加する上記各種添加剤の1種もしくは2種以上の各所定量とを秤量し、例えばミキサーやニーダー等の加熱装置を備えた混合機を用いて常温下もしくは加熱下で予備混合を行った後、窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下や減圧もしくは真空脱水雰囲気下で常温もしくは加熱脱水を行い、次いで、必要に応じて、上記混合機を用いて均一に常温もしくは加熱混練することにより、所望の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を得ることができる。
【0033】
次に、本発明2による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、上述した本発明1の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤において、JIS K−2207に準拠して測定された湿気硬化前の軟化点(環球法)が60℃以下であることが必要である。
【0034】
本発明2において、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化前の上記軟化点(環球法)が60℃を超えると、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の塗布後の接着可能時間が短くなって、作業性が低下する。
【0035】
本発明(本発明1および本発明2)の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の使用方法は、特別なものではなく、例えば加熱装置を備えたロールコーター、スプレー塗布機、ホットメルトアプリケーター、ハンドガン等の通常のホットメルト塗布装置を用いて、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を加熱溶融した後、対象とする被着体の一方に塗布し、次いで対象とする被着体の他方を積層し、圧着すれば良い。
【0036】
塗布する時の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の溶融粘度は、特に限定されるものではないが、1〜50Pa・s程度であることが好ましい。即ち、溶融粘度が上記範囲となるような加熱溶融温度や塗布温度を設定すれば良いが、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤中のイソシアネート基の分解を防ぐためには140℃以下であることが好ましい。
【0037】
また、塗布する時の形態(パターン)も、特に限定されるものではなく、ビード状、スパイラル状、フォーム状、ドット状等の如何なる形態(パターン)であっても良い。
【0038】
本発明の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の用途は、特に限定されるものではなく、家具木工用やカード成型用等を始め、各種工業分野において好適に用いられる。また、適用対象となる被着体も特に限定されるものではなく、鉄、銅、アルミニウム、亜鉛鋼板、塗装鋼板等の金属類やアクリル、ABS、塩ビ、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、PET等の合成樹脂類、木材、合板、パーティクルボード、紙、皮等の広範囲な各種被着体用のホットメルト接着剤として好適に用いられる。
【0039】
【作用】
本発明による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、特定量の結晶性ポリエステル樹脂と特定量のポリアルキレングリコールを含有する水酸基含有組成物を用いて合成されるウレタンプレポリマーを主成分として成るので、加熱溶融して塗布した後の接着可能時間が十分に長くて作業性に優れると共に、湿気硬化後は優れた弾性を発現する。また、上記ポリアルキレングリコールは分子主鎖内に2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するので、湿気硬化後は優れた強度や耐熱性を発現する。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例をあげるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味し、「%」は、特に記載の無い限り、「重量%」を意味する。
【0041】
(実施例1)
結晶性ポリエステル樹脂としてポリヘキサメチレンアジペート(商品名「ニッポランN−136」、数平均分子量3500、日本ポリウレタン工業社製)40%及び分子主鎖内に2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコールとして商品名「BPX−55」(数平均分子量1000、旭電化工業社製)60%を含有する水酸基含有組成物100部を90℃で加熱溶融した後、NCO/OH(モル比)が1.6となるようにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を添加し、窒素ガス雰囲気下で3時間反応させて、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを合成し、これをそのまま湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤とした。
【0042】
(実施例2)
ウレタンプレポリマーの合成において、結晶性ポリエステル樹脂としてポリヘキサメチレンセバケート(商品名「HS−350S」、数平均分子量3500、豊国製油社製)40%及び分子主鎖内に2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコール「BPX−55」60%を含有する水酸基含有組成物100部を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを合成し、これをそのまま湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤とした。
【0043】
(比較例1)
ウレタンプレポリマーの合成において、分子主鎖内に2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコールを含有することなく、結晶性ポリエステル樹脂であるポリヘキサメチレンアジペート「ニッポランN−136」100%を含有する水酸基含有組成物100部を用い、NCO/OH(モル比)が2.0となるようにMDIを添加したこと以外は実施例1の場合と同様にして、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを合成し、これをそのまま湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤とした。
【0044】
(比較例2)
ウレタンプレポリマーの合成において、結晶性ポリエステル樹脂としてポリヘキサメチレンアジペート「ニッポランN−136」40%及びポリアルキレングリコールとして分子主鎖内に2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有しないポリプロピレングリコール(商品名「PP−2000」、数平均分子量2000、三洋化成工業社製)60%を含有する水酸基含有組成物100部を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを合成し、これをそのまま湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤とした。
【0045】
実施例1及び実施例2、及び、比較例1及び比較例2で得られた4種類の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の性能(▲1▼湿気硬化前の軟化点、▲2▼固化時間、▲3▼引張破壊強度)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0046】
▲1▼湿気硬化前の軟化点:JIS K−2207「石油アスファルト」の軟化点試験方法(環球法)に準拠して、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤の湿気硬化前の軟化点(℃)を測定した。
【0047】
▲2▼固化時間:湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を120℃で加熱溶融させ、鋼板(厚み2mm)上に塗布厚みが100μmとなるように塗布した。次いで、接着剤層の温度が100℃になった時点から20℃の雰囲気下に放置し、30秒毎に段ボール紙(厚み0.5mm)を指圧で貼り合わせ、接着剤層が冷却固化して、段ボール紙を貼り合わせることができなくなった最短時間を測定し、固化時間(分)とした。
【0048】
▲3▼引張破壊強度:湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤を100℃で加熱溶融させ、厚み約100μmのシート状に成型した後、20℃−65%RHの雰囲気下で1週間養生した。次いで、JIS K−7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠して、養生後の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤シートをダンベルで打ち抜き、20℃の雰囲気下で引張破壊強度(N/cm2 )を測定した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1から明らかなように、本発明による実施例1及び実施例2の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、加熱溶融させて塗布した後の固化時間が遅かったので即ち接着可能時間が長かったので、作業性に優れていた。また、湿気硬化後は優れた引張破壊強度を発現した。
【0051】
これに対し、分子両末端に水酸基を有し、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコールを含有しない水酸基含有組成物を用いてウレタンプレポリマーを合成した比較例1の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、湿気硬化後の引張破壊強度は優れていたものの、加熱溶融させて塗布した後の固化時間が極端に速かったので即ち接着可能時間が極端に短かったので、作業性が極めて悪かった。
【0052】
また、分子両末端に水酸基を有し、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコールの代わりに、ポリプロピレングリコールを含有する水酸基含有組成物を用いてウレタンプレポリマーを合成した比較例2の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、加熱溶融させて塗布した後の固化時間は遅かったので即ち接着可能時間は長かったので、作業性には優れていたものの、湿気硬化後の引張破壊強度が低かった。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤は、加熱溶融させて塗布した後の接着可能時間が十分に長くて作業性に優れ、且つ、湿気硬化後は優れた強度や耐熱性、弾性等を発現するので、家具木工用接着剤やカード成型用接着剤等を始め、各種工業用接着剤として好適に用いられる。
Claims (2)
- 分子両末端に水酸基を有する常温で結晶性のポリエステル樹脂30〜90重量%及び分子両末端に水酸基を有し、分子主鎖内に少なくとも1個の2,2’−ビスフェニルプロパン骨格を有するポリアルキレングリコール10〜70重量%を含有する水酸基含有組成物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、分子両末端にイソシアネート基を有する常温で固形のウレタンプレポリマーを主成分として成ることを特徴とする湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤。
- JIS K−2207に準拠して測定された湿気硬化前の軟化点(環球法)が60℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化型ウレタン系ホットメルト接着剤。
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