JP2004155715A - 水面浮遊性農薬固形製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】農薬活性成分を水田中に散布した際に水面を浮遊させて均一に拡散し、優れた防除効果を示す水面浮遊性農薬固形製剤を提供すること。
【解決手段】農薬活性成分を含む水面浮遊性農薬固形製剤において、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上を含有することを特徴とする、水面浮遊性農薬固形製剤。
【選択図】 なし
【解決手段】農薬活性成分を含む水面浮遊性農薬固形製剤において、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上を含有することを特徴とする、水面浮遊性農薬固形製剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、水面浮遊性農薬固形製剤の改良技術を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
水田に浮遊させる農薬製剤の剤型として、水田に入らずに畦畔から投げ込むだけで散布可能な農薬製剤が開発され使用されている。このような農薬製剤の例として、次のものがあげられる。
(1)軽石粒やパーライト粒などの水面に浮く担体に糊状物質で殺菌活性成分を付着したもの(特許文献1参照)、
(2)発泡させた真珠岩または黒曜石に硬化油、パラフィン、石油樹脂で殺虫活性成分を付着させたもの(特許文献2参照)、
(3)パーライトなどの水に浮く無機担体に殺草活性成分を担持させたもの(特許文献3参照)、
(4)農薬成分を含浸した合成樹脂発泡体の細粒体を水溶性高分子フィルムによって密封したもの(特許文献4参照)、
(5)農薬成分をロウ状物に溶解もしくは分散させ、水溶性もしくは水分散性物質と押出し造粒機で粒剤に成型したもの(特許文献5参照)、
(6)農薬活性成分と特定の界面活性剤、ベントナイト、水浮遊性中空粒子を含有する組成物(特許文献6参照)、
(7)農薬活性成分、250μm以下のガラス質中空体、特定の界面活性剤を含有する組成物(特許文献7参照)、
(8)農薬活性成分、焼成バーミキュライトあるいは発泡パーライト、発泡シラス、コルクおよびアセチレン系界面活性剤を含有する製剤を水溶紙に分包した組成物(特許文献8参照)、
(9)C4〜C10アルキルアルコールのC2〜C4アルキレンオキサイド付加物およびその誘導体からなる水面拡展剤および農薬活性成分を含有する水面浮遊性組成物(特許文献9参照)、
(10)農薬活性成分、浮遊性中空体および特定の陰イオン界面活性剤を含有する水面施用農薬製剤(特許文献10参照)、
(11)見かけ比重が1未満でありかつ約300〜1400μmの範囲内の粒子径を有する粒核に農薬活性成分、界面活性剤を油状物質にて担持被覆した組成物(特許文献11参照)、
(12)天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた平均粒子径が100μm以下のガラス質粉末を含有する粒状農薬水和剤(特許文献12参照)、
などがあげられる。
【0003】
【特許文献1】
特公昭48−1179号公報(第2頁左欄10行−第2頁右欄12行)
【特許文献2】
特公昭48−1181号公報(第1頁右欄24行−第2頁右欄7行)
【特許文献3】
特公昭48−1182号公報(第2頁左欄6行−第3頁左欄36行)
【特許文献4】
特開昭53−99327号公報(第1頁右欄15行−第2頁左下欄16行)
【特許文献5】
特開昭56−30901号公報(第2頁左上7行−第3頁右上12行)
【特許文献6】
特開平7−82102号公報(第2頁段落番号[0004]−第4頁段落番号[0024])
【特許文献7】
特開平6−345603号公報(第2頁段落番号[0007]−第4頁段落番号[0032])
【特許文献8】
特開平6−336403号公報(第4頁段落番号[0017]−第10頁段落番号[0076])
【特許文献9】
特開2000−351701号公報(第3頁段落番号[0011]−第10頁段落番号[0088])
【特許文献10】
特開2002−128605号公報(第3頁段落番号[0008]−第6頁段落番号[0039])
【特許文献11】
特開平9−183701号公報(第2頁段落番号[0008]−第5頁段落番号[0025])
【特許文献12】
特開平8−143403号公報(第2頁段落番号[0007]−第5頁段落番号[0019])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の浮遊性を付与する技術では、水田中での農薬活性成分の拡散性が不十分であるため散布ムラを生じ、本来農薬活性成分が持っている優れた効果が得られないといった問題点があった。
【0005】
したがって、本発明は、農薬活性成分を水田中に均一に拡散し、優れた農薬活性効果を示す水面浮遊性農薬固形製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意研究した。その結果、農薬活性成分、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする、水面浮遊性農薬固形製剤が前記した課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
また、水田中に散布したときの浮遊性と拡展性を良好とするうえで水面浮遊性中空体を加えること、パラフィン系炭化水素を加えること、さらにガラス質気泡体粉末として天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた平均粒子径が1〜50μmの不規則な形状の細片を加えることが重要であることを知見した。本発明はこうした知見よりなされたものである。
【0008】
<農薬活性成分について>
本発明の農薬活性成分としては、通常水田に使用されるものであれば殺虫活性成分、殺菌活性成分、除草活性成分の何れも使用できる。そのような殺虫活性成分としては、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネライストキシン系、ネオニコチノイド系などが、殺菌活性成分としては、銅化合物、有機硫黄、有機リン系、メラニン生合成阻害、ベンゾイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、酸アミド系、ステロール生合成阻害、メトキシアクリレート系、アニリノピリミジン系などが、また、除草活性成分としては、フェノキシ酸系、カーバメート系、酸アミド系、尿素系、スルホニル尿素系、ピリミジルオキシ安息香酸系、トリアジン系、ダイアジン系、ダイアゾール系、ビピリジリウム系、ジニトロアニリン系、芳香族カルボン酸系、脂肪酸系、有機リン系、アミノ酸系などが例としてあげられる。そして、これらの農薬活性成分は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0009】
農薬活性成分の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.1〜70重量%、好ましくは0.3〜60重量%である。
【0010】
また、本発明においては、農薬活性成分のほかに植物成長調整成分などを添加してもかまわない。
【0011】
なお、上記農薬活性成分の具体例は、それぞれ単剤、2種以上の混合剤ともに「農薬ハンドブック2001年版」(社団法人日本植物防疫協会発行)に記載(p.1−514,596−766参照)されている。
【0012】
<水面拡展剤について>
本発明では、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上を併用する。これらの水面拡展剤の使用により、農薬活性成分を水田中に十分に拡展させ、十分な防除効果を発揮させることができるようになる。
【0013】
本発明では、上記で示される水面拡展剤の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜20重量%である。
【0014】
<水面浮遊性中空体について>
本発明に使用される水面浮遊性中空体としてガラス質中空体、セラミック中空体、合成樹脂中空体などがあげられる。
【0015】
本発明に使用されるガラス質中空体の例としては、黒曜石、真珠岩、松脂岩などの天然ガラス質の岩石を加熱して発泡させた発泡パーライト、シラスを同様に加工したシラスバルーン(商品名:登録商標、以下同じ)およびタイセツバルーン(商品名:登録商標)など、セラミック中空体の例としては、イースフィアーズ(商品名)、マイクロセルズ(商品名)など、合成樹脂中空体の例としては、フェノール樹脂よりなるフェノールマイクロバルーン、エポキシ樹脂よりなるエコスフェアー、ポリウレタンよりなるポリウレタンフォーム、ポリアクリロニトリルよりなるマイクロスフェアーなどがあげられるが、これらに限定されるわけではない。
【0016】
上記の水面浮遊性中空体は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0017】
水面浮遊性中空体の製剤中への添加量は、通常0.5〜98重量%、好ましくは1〜95重量%である。
【0018】
<パラフィン系炭化水素について>
本発明では、パラフィン系炭化水素を添加することが製剤、農薬活性成分の水田中への拡展を助長するうえで重要である。このようなパラフィン系炭化水素の例としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィンなどがあげられるが、これらの中でもイソパラフィンが望ましい。
【0019】
パラフィン系炭化水素の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0020】
<ガラス質気泡体粉末について>
本発明では天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた不規則な形状の細片からなる平均粒子径1〜50μmのガラス質気泡体粉末を使用することにより、崩壊性および分散性が良好な水面浮遊性農薬固形製剤となる。
【0021】
このようなガラス質気泡体粉末の例としては、黒曜石、真珠岩、松脂岩などの天然ガラス質物質を通常の方法で加熱して発泡させた焼成パーライトおよびシラスバルーンを用いるか、市販品を用い、これを通常の粉砕機で平均粒子径を1〜50μmにしたものである。
【0022】
ガラス質粉末の平均粒子径が50μmを超える粒子径になると、造粒後の粒の硬度が弱くなり、粉化しやすくなるなどの問題が生じ、また、平均粒子径が1μm未満では造粒手段にもよるが造粒後の粒の硬度が強く、分散性が悪くなる。
【0023】
上記のガラス質気泡体粉末は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0024】
ガラス質気泡体粉末の製剤中への添加量は、通常1.0〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0025】
<剤型について>
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤の剤型は、水面に浮遊する固形物であれば特に限定されない。そのような例として、粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤などがあげられるが、これらの例示にのみに限定されるものではない。
【0026】
<水溶性高分子フィルムについて>
本発明における水溶性高分子フィルムは、水溶性高分子であれば特に限定されない。その例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、パルプなどがあげられるが、これらの例示に限定されるものではない。
【0027】
また、水溶性高分子フィルムの包装形状は、特に限定されるものではなく、球状、円柱状、角状、箱状、不定形のいずれでもよい。
【0028】
水溶性高分子フィルムにより包装された水面浮遊性農薬固形製剤は、散布時の投入のしやすさおよび省力性を考慮すると、1個当りの重量は5〜100gに包装するのが好ましく、水田中へは10a当りに1〜40個程度投入するのが好ましい。
【0029】
<その他の助剤について>
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤では、必要に応じて界面活性剤を併用してもかまわず、そのような界面活性剤としては、農薬活性成分化合物を水田中に拡散させる働きを有するものであれば特に限定されず、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤などがあげられ、これらの界面活性剤を1種または2種以上を併用してもかまわない。
【0030】
このような非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルカルボン酸など)、シリコーン系界面活性剤(ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンコポリマーなど)、アセチレングリコール系界面活性剤(2,4,7,9−テトラメチル−デシン−4,7−ジオールなど)などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0031】
また、陰イオン界面活性剤の例としては、ポリカルボン酸型界面活性剤(アルキルマレイン酸共重合体など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0032】
また、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイドなどがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0033】
本発明では担体として水面浮遊性中空体以外の水面浮遊性担体を併用してもかまわない。その例としては、木紛、オガクズ、ケナフ、籾殻、籾殻粉末、コルクなど植物質担体があげられるが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
また、水面浮遊性でない担体でも水面浮遊性中空体および/または水面浮遊性担体と混合するなどして、製剤全体が水面浮遊性を有するなら添加してもかまわない。このような固体担体の例として、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪石、ケイソウ土、ゼオライト、カオリン、ホワイトカーボン、塩化カルシウム、鋸鉄、パルプ、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、ラクトースなどの単糖類、二糖類、多糖類などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。上記の担体は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0035】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤では、粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤に製剤化するうえで必要に応じて、結合剤を製剤中に添加してもかまわない。結合剤の例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デキストリン、アクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロースなどがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0036】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤には、農薬活性成分の安定化剤として、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、効果増強剤などを添加してもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤の調製方法は特に限定されないが、例えば次の方法によって調製できる。
【0038】
農薬活性成分、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上、必要に応じて、水面浮遊性中空体、パラフィン系炭化水素、天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた不規則な形状の細片からなる平均粒子径1〜50μmのガラス質気泡体粉末、その他助剤を添加して混合することによって、混合物を得る。剤型によっては、上記混合物に対して押出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機にて粒状成型物と製造するか、または錠剤成型機などで成型して、錠剤成型物を製造してもよく、製造工程において、水や溶剤を使用したり、乾燥してもよい。本発明の農薬製剤では剤型による大きさ、重量、形状については特に制限はなく、目的を達成しうる範囲内で適宜変更して実施できる。
【0039】
上記の方法により製剤化した本発明の水面浮遊性農薬固形製剤は、水田に処理すると水面に浮上し、水面上を速やかに拡散する。その間に農薬活性成分を水田中に広く均一に拡散させることができる。
【0040】
【実施例】
次に、実施例で本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
また、部とあるのは、すべて重量部を示す。
【0042】
実施例1(粒剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 26.0部
4.イソパラフィン 10.0部、
5.真珠岩からなる平均粒子径5μmのガラス質気泡体粉末 20.0部、
6.デキストリン 3.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部に対し、水30部を添加し、双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練混合する。次に、1.5mm径のスクリーンを付けた押出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥し、1.7mmと1.18mmの篩を用いて篩別し、粒状の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.1)を得た。
【0043】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、またはシメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2の3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0044】
実施例2(粒剤の包装物)
実施例1の粒状物をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.2)を得た。
【0045】
実施例3(錠剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.2−エチルヘキシルアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 25.0部
4.イソパラフィン 5.0部、
5.シラスからなる平均粒子径10μmのガラス質気泡体粉末 20.0部、
6.結晶セルロース 5.0部
7.ラクトース 4.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部を錠剤成型機にかけ、20kg/cm2の圧力で打錠して、1個当り5gの錠剤型成型物を調製して、錠剤の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.5)を得た。
【0046】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、シメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2の2−エチルヘキシルアセテートを2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0047】
実施例4(錠剤の包装物)
実施例3の錠剤をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.6)を得た。
【0048】
実施例5(粉剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.プロピレングリコールジアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 29.0部
4.イソパラフィン 10.0部、
5.真珠岩からなる平均粒子径50μmのガラス質気泡体粉末 10.0部、
6.ラクトース 10.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合して、粉剤の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.9)を得た。
【0049】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、シメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2のプロピレングリコールジアセテートを2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、にかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0050】
実施例6(粉剤の包装物)
実施例5の粉剤をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.10)を得た。
【0051】
なお、比較例は実施例に準じて調製した。
【0052】
【発明の効果】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を実施すると次のような効果がもたらされる。すなわち、▲1▼水田に散布されると水面浮遊性固形製剤から溶出した農薬活性成分が水中へ均一に拡散し、優れた農薬活性効果を発揮する。▲2▼水田中での拡散性が優れるため、畦畔から水田へ散布するだけでよく、省力的である。
【0053】
次にこれらのこと立証するために、試験例を示す。
【0054】
試験例 拡散性試験
1区画の面積が100平方メートル(10m×10m)の試験区(湛水深3cm)を作り、その中央(1か所)に実施例、比較例に準じて調製した試料50gを処理した。処理24時間後に試験区の中央(A区)および四隅(B〜E区)より水面下1.5cmの5か所にて水を各50ml採水し、農薬活性成分の濃度をHPLC法(移動相:MeCN/H2O=80/20(V/V))によって分析し、下記の式にて計算し、拡散率を求めた。結果は表1〜表2に示す。
【0055】
【数1】
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【発明が属する技術分野】
本発明は、水面浮遊性農薬固形製剤の改良技術を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
水田に浮遊させる農薬製剤の剤型として、水田に入らずに畦畔から投げ込むだけで散布可能な農薬製剤が開発され使用されている。このような農薬製剤の例として、次のものがあげられる。
(1)軽石粒やパーライト粒などの水面に浮く担体に糊状物質で殺菌活性成分を付着したもの(特許文献1参照)、
(2)発泡させた真珠岩または黒曜石に硬化油、パラフィン、石油樹脂で殺虫活性成分を付着させたもの(特許文献2参照)、
(3)パーライトなどの水に浮く無機担体に殺草活性成分を担持させたもの(特許文献3参照)、
(4)農薬成分を含浸した合成樹脂発泡体の細粒体を水溶性高分子フィルムによって密封したもの(特許文献4参照)、
(5)農薬成分をロウ状物に溶解もしくは分散させ、水溶性もしくは水分散性物質と押出し造粒機で粒剤に成型したもの(特許文献5参照)、
(6)農薬活性成分と特定の界面活性剤、ベントナイト、水浮遊性中空粒子を含有する組成物(特許文献6参照)、
(7)農薬活性成分、250μm以下のガラス質中空体、特定の界面活性剤を含有する組成物(特許文献7参照)、
(8)農薬活性成分、焼成バーミキュライトあるいは発泡パーライト、発泡シラス、コルクおよびアセチレン系界面活性剤を含有する製剤を水溶紙に分包した組成物(特許文献8参照)、
(9)C4〜C10アルキルアルコールのC2〜C4アルキレンオキサイド付加物およびその誘導体からなる水面拡展剤および農薬活性成分を含有する水面浮遊性組成物(特許文献9参照)、
(10)農薬活性成分、浮遊性中空体および特定の陰イオン界面活性剤を含有する水面施用農薬製剤(特許文献10参照)、
(11)見かけ比重が1未満でありかつ約300〜1400μmの範囲内の粒子径を有する粒核に農薬活性成分、界面活性剤を油状物質にて担持被覆した組成物(特許文献11参照)、
(12)天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた平均粒子径が100μm以下のガラス質粉末を含有する粒状農薬水和剤(特許文献12参照)、
などがあげられる。
【0003】
【特許文献1】
特公昭48−1179号公報(第2頁左欄10行−第2頁右欄12行)
【特許文献2】
特公昭48−1181号公報(第1頁右欄24行−第2頁右欄7行)
【特許文献3】
特公昭48−1182号公報(第2頁左欄6行−第3頁左欄36行)
【特許文献4】
特開昭53−99327号公報(第1頁右欄15行−第2頁左下欄16行)
【特許文献5】
特開昭56−30901号公報(第2頁左上7行−第3頁右上12行)
【特許文献6】
特開平7−82102号公報(第2頁段落番号[0004]−第4頁段落番号[0024])
【特許文献7】
特開平6−345603号公報(第2頁段落番号[0007]−第4頁段落番号[0032])
【特許文献8】
特開平6−336403号公報(第4頁段落番号[0017]−第10頁段落番号[0076])
【特許文献9】
特開2000−351701号公報(第3頁段落番号[0011]−第10頁段落番号[0088])
【特許文献10】
特開2002−128605号公報(第3頁段落番号[0008]−第6頁段落番号[0039])
【特許文献11】
特開平9−183701号公報(第2頁段落番号[0008]−第5頁段落番号[0025])
【特許文献12】
特開平8−143403号公報(第2頁段落番号[0007]−第5頁段落番号[0019])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の浮遊性を付与する技術では、水田中での農薬活性成分の拡散性が不十分であるため散布ムラを生じ、本来農薬活性成分が持っている優れた効果が得られないといった問題点があった。
【0005】
したがって、本発明は、農薬活性成分を水田中に均一に拡散し、優れた農薬活性効果を示す水面浮遊性農薬固形製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意研究した。その結果、農薬活性成分、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする、水面浮遊性農薬固形製剤が前記した課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
また、水田中に散布したときの浮遊性と拡展性を良好とするうえで水面浮遊性中空体を加えること、パラフィン系炭化水素を加えること、さらにガラス質気泡体粉末として天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた平均粒子径が1〜50μmの不規則な形状の細片を加えることが重要であることを知見した。本発明はこうした知見よりなされたものである。
【0008】
<農薬活性成分について>
本発明の農薬活性成分としては、通常水田に使用されるものであれば殺虫活性成分、殺菌活性成分、除草活性成分の何れも使用できる。そのような殺虫活性成分としては、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネライストキシン系、ネオニコチノイド系などが、殺菌活性成分としては、銅化合物、有機硫黄、有機リン系、メラニン生合成阻害、ベンゾイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、酸アミド系、ステロール生合成阻害、メトキシアクリレート系、アニリノピリミジン系などが、また、除草活性成分としては、フェノキシ酸系、カーバメート系、酸アミド系、尿素系、スルホニル尿素系、ピリミジルオキシ安息香酸系、トリアジン系、ダイアジン系、ダイアゾール系、ビピリジリウム系、ジニトロアニリン系、芳香族カルボン酸系、脂肪酸系、有機リン系、アミノ酸系などが例としてあげられる。そして、これらの農薬活性成分は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0009】
農薬活性成分の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.1〜70重量%、好ましくは0.3〜60重量%である。
【0010】
また、本発明においては、農薬活性成分のほかに植物成長調整成分などを添加してもかまわない。
【0011】
なお、上記農薬活性成分の具体例は、それぞれ単剤、2種以上の混合剤ともに「農薬ハンドブック2001年版」(社団法人日本植物防疫協会発行)に記載(p.1−514,596−766参照)されている。
【0012】
<水面拡展剤について>
本発明では、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上を併用する。これらの水面拡展剤の使用により、農薬活性成分を水田中に十分に拡展させ、十分な防除効果を発揮させることができるようになる。
【0013】
本発明では、上記で示される水面拡展剤の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜20重量%である。
【0014】
<水面浮遊性中空体について>
本発明に使用される水面浮遊性中空体としてガラス質中空体、セラミック中空体、合成樹脂中空体などがあげられる。
【0015】
本発明に使用されるガラス質中空体の例としては、黒曜石、真珠岩、松脂岩などの天然ガラス質の岩石を加熱して発泡させた発泡パーライト、シラスを同様に加工したシラスバルーン(商品名:登録商標、以下同じ)およびタイセツバルーン(商品名:登録商標)など、セラミック中空体の例としては、イースフィアーズ(商品名)、マイクロセルズ(商品名)など、合成樹脂中空体の例としては、フェノール樹脂よりなるフェノールマイクロバルーン、エポキシ樹脂よりなるエコスフェアー、ポリウレタンよりなるポリウレタンフォーム、ポリアクリロニトリルよりなるマイクロスフェアーなどがあげられるが、これらに限定されるわけではない。
【0016】
上記の水面浮遊性中空体は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0017】
水面浮遊性中空体の製剤中への添加量は、通常0.5〜98重量%、好ましくは1〜95重量%である。
【0018】
<パラフィン系炭化水素について>
本発明では、パラフィン系炭化水素を添加することが製剤、農薬活性成分の水田中への拡展を助長するうえで重要である。このようなパラフィン系炭化水素の例としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィンなどがあげられるが、これらの中でもイソパラフィンが望ましい。
【0019】
パラフィン系炭化水素の製剤中への添加量は特に限定されないが、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0020】
<ガラス質気泡体粉末について>
本発明では天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた不規則な形状の細片からなる平均粒子径1〜50μmのガラス質気泡体粉末を使用することにより、崩壊性および分散性が良好な水面浮遊性農薬固形製剤となる。
【0021】
このようなガラス質気泡体粉末の例としては、黒曜石、真珠岩、松脂岩などの天然ガラス質物質を通常の方法で加熱して発泡させた焼成パーライトおよびシラスバルーンを用いるか、市販品を用い、これを通常の粉砕機で平均粒子径を1〜50μmにしたものである。
【0022】
ガラス質粉末の平均粒子径が50μmを超える粒子径になると、造粒後の粒の硬度が弱くなり、粉化しやすくなるなどの問題が生じ、また、平均粒子径が1μm未満では造粒手段にもよるが造粒後の粒の硬度が強く、分散性が悪くなる。
【0023】
上記のガラス質気泡体粉末は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0024】
ガラス質気泡体粉末の製剤中への添加量は、通常1.0〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0025】
<剤型について>
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤の剤型は、水面に浮遊する固形物であれば特に限定されない。そのような例として、粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤などがあげられるが、これらの例示にのみに限定されるものではない。
【0026】
<水溶性高分子フィルムについて>
本発明における水溶性高分子フィルムは、水溶性高分子であれば特に限定されない。その例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、パルプなどがあげられるが、これらの例示に限定されるものではない。
【0027】
また、水溶性高分子フィルムの包装形状は、特に限定されるものではなく、球状、円柱状、角状、箱状、不定形のいずれでもよい。
【0028】
水溶性高分子フィルムにより包装された水面浮遊性農薬固形製剤は、散布時の投入のしやすさおよび省力性を考慮すると、1個当りの重量は5〜100gに包装するのが好ましく、水田中へは10a当りに1〜40個程度投入するのが好ましい。
【0029】
<その他の助剤について>
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤では、必要に応じて界面活性剤を併用してもかまわず、そのような界面活性剤としては、農薬活性成分化合物を水田中に拡散させる働きを有するものであれば特に限定されず、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤などがあげられ、これらの界面活性剤を1種または2種以上を併用してもかまわない。
【0030】
このような非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルカルボン酸など)、シリコーン系界面活性剤(ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンコポリマーなど)、アセチレングリコール系界面活性剤(2,4,7,9−テトラメチル−デシン−4,7−ジオールなど)などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0031】
また、陰イオン界面活性剤の例としては、ポリカルボン酸型界面活性剤(アルキルマレイン酸共重合体など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0032】
また、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイドなどがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0033】
本発明では担体として水面浮遊性中空体以外の水面浮遊性担体を併用してもかまわない。その例としては、木紛、オガクズ、ケナフ、籾殻、籾殻粉末、コルクなど植物質担体があげられるが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
また、水面浮遊性でない担体でも水面浮遊性中空体および/または水面浮遊性担体と混合するなどして、製剤全体が水面浮遊性を有するなら添加してもかまわない。このような固体担体の例として、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪石、ケイソウ土、ゼオライト、カオリン、ホワイトカーボン、塩化カルシウム、鋸鉄、パルプ、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、ラクトースなどの単糖類、二糖類、多糖類などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。上記の担体は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0035】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤では、粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤に製剤化するうえで必要に応じて、結合剤を製剤中に添加してもかまわない。結合剤の例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デキストリン、アクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロースなどがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0036】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤には、農薬活性成分の安定化剤として、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、効果増強剤などを添加してもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤の調製方法は特に限定されないが、例えば次の方法によって調製できる。
【0038】
農薬活性成分、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより1種または2種以上、必要に応じて、水面浮遊性中空体、パラフィン系炭化水素、天然ガラス質気泡体を粉砕して得られた不規則な形状の細片からなる平均粒子径1〜50μmのガラス質気泡体粉末、その他助剤を添加して混合することによって、混合物を得る。剤型によっては、上記混合物に対して押出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機にて粒状成型物と製造するか、または錠剤成型機などで成型して、錠剤成型物を製造してもよく、製造工程において、水や溶剤を使用したり、乾燥してもよい。本発明の農薬製剤では剤型による大きさ、重量、形状については特に制限はなく、目的を達成しうる範囲内で適宜変更して実施できる。
【0039】
上記の方法により製剤化した本発明の水面浮遊性農薬固形製剤は、水田に処理すると水面に浮上し、水面上を速やかに拡散する。その間に農薬活性成分を水田中に広く均一に拡散させることができる。
【0040】
【実施例】
次に、実施例で本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
また、部とあるのは、すべて重量部を示す。
【0042】
実施例1(粒剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 26.0部
4.イソパラフィン 10.0部、
5.真珠岩からなる平均粒子径5μmのガラス質気泡体粉末 20.0部、
6.デキストリン 3.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部に対し、水30部を添加し、双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練混合する。次に、1.5mm径のスクリーンを付けた押出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥し、1.7mmと1.18mmの篩を用いて篩別し、粒状の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.1)を得た。
【0043】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、またはシメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2の3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0044】
実施例2(粒剤の包装物)
実施例1の粒状物をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.2)を得た。
【0045】
実施例3(錠剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.2−エチルヘキシルアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 25.0部
4.イソパラフィン 5.0部、
5.シラスからなる平均粒子径10μmのガラス質気泡体粉末 20.0部、
6.結晶セルロース 5.0部
7.ラクトース 4.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部を錠剤成型機にかけ、20kg/cm2の圧力で打錠して、1個当り5gの錠剤型成型物を調製して、錠剤の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.5)を得た。
【0046】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、シメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2の2−エチルヘキシルアセテートを2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0047】
実施例4(錠剤の包装物)
実施例3の錠剤をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.6)を得た。
【0048】
実施例5(粉剤)
(1)組成
1.イソプロチオラン 36.0部、
2.プロピレングリコールジアセテート 5.0部、
3.発泡パーライト 29.0部
4.イソパラフィン 10.0部、
5.真珠岩からなる平均粒子径50μmのガラス質気泡体粉末 10.0部、
6.ラクトース 10.0部
計100.0部
(2)製剤化の方法
上記(1)で得た混合物100部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合して、粉剤の水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.9)を得た。
【0049】
また、上記組成中のNo.1のイソプロチオランをダイアジノン、シメトリンにかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。また、No.2のプロピレングリコールジアセテートを2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、にかえて調製し、本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を得た。
【0050】
実施例6(粉剤の包装物)
実施例5の粉剤をポリビニルアルコールのフィルム(膜厚40μm)で1個当り50gに包装し、包装した水面浮遊性農薬固形製剤(表1・No.10)を得た。
【0051】
なお、比較例は実施例に準じて調製した。
【0052】
【発明の効果】
本発明の水面浮遊性農薬固形製剤を実施すると次のような効果がもたらされる。すなわち、▲1▼水田に散布されると水面浮遊性固形製剤から溶出した農薬活性成分が水中へ均一に拡散し、優れた農薬活性効果を発揮する。▲2▼水田中での拡散性が優れるため、畦畔から水田へ散布するだけでよく、省力的である。
【0053】
次にこれらのこと立証するために、試験例を示す。
【0054】
試験例 拡散性試験
1区画の面積が100平方メートル(10m×10m)の試験区(湛水深3cm)を作り、その中央(1か所)に実施例、比較例に準じて調製した試料50gを処理した。処理24時間後に試験区の中央(A区)および四隅(B〜E区)より水面下1.5cmの5か所にて水を各50ml採水し、農薬活性成分の濃度をHPLC法(移動相:MeCN/H2O=80/20(V/V))によって分析し、下記の式にて計算し、拡散率を求めた。結果は表1〜表2に示す。
【0055】
【数1】
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
Claims (8)
- 農薬活性成分を含む水面浮遊性農薬固形製剤において、水面拡展剤として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートより選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする、水面浮遊性農薬固形製剤。
- 水面浮遊性中空体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- 水面浮遊性中空体が、ガラス質中空体、セラミック中空体、合成樹脂中空体の一種であることを特徴とする、請求項1、請求項2に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- パラフィン系炭化水素を含有することを特徴とする、請求項1〜3に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- ガラス質気泡体粉末として、天然ガラス質気泡体を粉砕してえられた平均粒子径が1〜50μmの不規則な形状の細片を含有することを特徴とする、請求項1〜4に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- 剤型が粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤であることを特徴とする、請求項1〜5に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- 水溶性高分子フィルムで包装してなることを特徴とする、請求項1〜6に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
- 農薬活性成分が、水田に適用される殺虫活性成分、殺菌活性成分、除草活性成分のいずれかであるか、これらの混合活性成分であることを特徴とする、請求項1〜7に記載の水面浮遊性農薬固形製剤。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090330 |