JP2004155334A - 履体式車両の懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】取付強度を確保することができると共に、乗り心地性、作業性や走行安定性などを向上することができる建設・土木作業用や農作業用などの各種のブルドーザの懸架装置を提供する。
【解決手段】ピボットシャフト(13)とピボットシャフト(13)を挟んで車体前後両側に配された前後一対のイコライザバー(14)を介して左右のトラックフレーム(12)を揺動自在に支持している。車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などがピボットシャフト(13)と各イコライザバー(14)とに分担して支持される。履体式走行体(11)がピボットシャフト(13)を中心して各イコライザバー(14)の間で段差のある不整地上を乗り越える。ブルドーザの進行方向にかかわらず各トラックフレーム(12)を静かにゆつくりと地盤に着地させることができる。車体に作用する過大な衝撃や振動を小さくすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】ピボットシャフト(13)とピボットシャフト(13)を挟んで車体前後両側に配された前後一対のイコライザバー(14)を介して左右のトラックフレーム(12)を揺動自在に支持している。車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などがピボットシャフト(13)と各イコライザバー(14)とに分担して支持される。履体式走行体(11)がピボットシャフト(13)を中心して各イコライザバー(14)の間で段差のある不整地上を乗り越える。ブルドーザの進行方向にかかわらず各トラックフレーム(12)を静かにゆつくりと地盤に着地させることができる。車体に作用する過大な衝撃や振動を小さくすることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建設・土木作業用や農作業用などの各種の履体式車両の懸架装置に係わり、特に、乗り心地性、作業性や走行安定性などの向上を図った履体式車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設・土木作業用などの各種の作業車両は、土砂や砕石等の硬軟質地盤、急勾配、連続凹凸の不整地等の硬軟質地盤を走行するため、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して車体の左右両側部に履体式走行体を揺動自在に支持している。各履体式走行体は、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して車体に支持されているため、車体重量や連続凹凸の不整地等の乗り越え時の上下荷重などがピボットシャフト及びイコライザバーに分担して支持される。
【0003】
一般に、前記ピボットシャフトは車体の後部寄りに車体幅方向両側に突出して取着されており、各ピボットシャフトの軸部を回動中心として各履体式走行体のトラックフレームが上下に揺動自在に連結されている。前記イコライザバーの中央部は、車体の前部寄りに車体前方に突設されたピンを介してトラックフレームに直交して揺動自在に支承されており、その左右両端部に各トラックフレームが回動自在に連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
履体式車両が連続凹凸の不整地を走行するとき、前記トラックフレームは、前記ピボットシャフトを回動中心として地形に沿って上下に揺動する。その上下揺動に伴い、前記イコライザバーは、前記ピンの軸部を回動中心として前記トラックフレームとは直交する左右に揺動する。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5358064号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記履体式走行体のトラックフレームは、車体の前後中心部よりも前部寄りに前記イコライザバーを配すると共に、車体の前後中心部よりも後部寄りに前記ピボットシャフトを配することにより、同ピボットシャフトを回動中心として車体の左右両側部に揺動自在に支持されている。従って、車両の前進によって連続凹凸の不整地を走行する場合は、前記イコライザバーと前記ピボットシャフトとの間で凹凸部を乗り越えるため、前記イコライザバーが前記トラックフレームの上下揺動を抑制して前記トラックフレームが大きく揺動することなく、履体式走行体がゆっくりと地盤に着地する。
【0007】
しかしながら、車両の後進により連続凹凸の不整地を走行する場合は、前記ピボットシャフト単独で車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越えるときの上下荷重などを受けることとなる。従って、段差のある不整地を乗り越えるとき、前記ピボットシャフトを回動中心として急に不整地の凸部から落ちて、履体式走行体が地盤に強く衝突する。逆の場合も同様である。このため、車体の揺動や振動がかなり大きくなり、乗り心地性や走行安定性などが著しく悪化し、オペレータの疲労を増大させ、安全運転を阻害するという問題があった。
【0008】
また、車体の前後両側部は、その前後中央部よりも、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などが強く作用する。前記ピボットシャフトは、上述のように車体の前後中心部よりも後部寄りの位置にあり、しかも前記トラックフレームの回動中心としてトラックフレームを支持しているため、前記ピボットシャフトに過大な力が頻繁に作用する。このため、前記ピボットシャフトの軸部に変形、磨耗や破損等が生じやすくなり、車体と履体式走行体との取付強度が弱くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、取付強度を確保することができると共に、乗り心地性、作業性や走行安定性などを向上することができる建設・土木作業用や農作業用などの各種の履体式車両の懸架装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して左右のトラックフレームを揺動自在に支持する履体式車両の懸架装置であって、前記イコライザバーが前記ピボットシャフトを挟んで前後両側部に配されてなること特徴とする履体式車両の懸架装置にある。
【0011】
本発明の懸架装置は、ピボットシャフトと、同ピボットシャフトを挟んで車体の前後両側部に配された前後一対のイコライザバーとを介して左右のトラックフレームを揺動自在に支持している。このため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などが、前記ピボットシャフトと各イコライザバーとに分担して支持され、車体と履体式走行体との取付強度を高めることができる。
【0012】
左右の前記トラックフレームは、それぞれ前記ピボットシャフトと前記各イコライザバーとの前後3つの支持点で車体に支持される。このため、履体式車両の前進又は後進により履体式走行体が連続凹凸の不整地を走行するとき、前記ピボットシャフトを中心として各イコライザバーとの間で段差のある不整地上を乗り越えることとなる。従って、履体式車両の前進時だけではなく後進時においても、各トラックフレームの上下移動変化がゆっくりとなり、各履体式走行体を静かにゆっくりと地盤に着地させることができるようになる。その結果、履体式車両の進行方向にかかわらず車体に作用する過大な衝撃を小さくすることができると共に、車体の振動緩和、乗り心地、作業性、操縦安定性や走行安定性等を極めて向上することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記イコライザバーが前記ピボットシャフトを中心として前後対称位置に配されていることを特徴としている。
前記イコライザバーは、前記ピボットシャフトを中心として車体前後に同一間隔をおいて配されることが好適である。これにより、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などが前記ピボットシャフトと各イコライザバーとに均等に分担して支持される。好ましくは、段差のある不整地上を乗り越えるときの車体重量などの負荷荷重の影響を受けにくい車体の前後中心部に前記ピボットシャフトを配することが特に望ましく、さらに好ましくは、前記トラックフレームの前後中心部が車体の前後中心部と対応する位置にあり、同トラックフレームの回動中心とすることが好適である。
【0014】
上記構成により、履体式車両が段差のある不整地を乗り越えるとき、前記トラックフレームの左右のアンバランスが是正され、履体走行体の接地圧を十分に確保することができる。これにより、車体の安定性がよくなり、作業性に優れた掘削系やショベル系などの履体式車両が得られる。
【0015】
また、前記ピボットシャフトは、車体の前後中心位置にあるため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地を乗り越える時の上下荷重などの過大な力が前記ピボットシャフトに集中的に作用することを回避できるようになり、同ピボットシャフトの変形や破損等が防止できる。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記イコライザバーは、トーションばね機能を有するバー部材と、同バー部材の左右両端に逆向きに固定された左右一対の第1及び第2アーム部とを備えてなり、前記バー部材が車体に回動自在に支持され、前記各アーム部の自由端部が、前記トラックフレームに回動自在に支持されていることを特徴としている。
【0017】
本発明に適用されるイコライザバーは、左右のトラックフレームを支持するバー部材にねじり変形によるバネ作用を有している。履体式車両が段差のある不整地を走行するとき、前記トラックフレームは前記ピボットシャフトを回動中心として地形に沿って上下に揺動する。その上下揺動に伴い、前記バー部材が前記トラックフレームの上下揺動に対してねじり変形する。そのねじり変形によるバネ作用により前記トラックフレームが小さく且つゆっくりと揺動する。
【0018】
各アーム部が互いに逆向きに回動自在に支持されているため、前記トラックフレームは、前記バー部材のバネ作用によって上下に大きく且つ強く揺動することなく揺動量を規制され、走行時の車体の振動や揺動を十分に抑制することができる。なお、本発明に適用されるイコライザバーの他の一例として、イコライザバーの中央部を車体にピン結合することによりトラックフレームに直交する左右に揺動自在に支持し、その左右両端部に各トラックフレームを回動自在に連結するイコライザバーを使用することもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である懸架装置の一例を概略的に示す平面図、図2は同懸架装置の一部を構成するイコライザバーの要部を概略的に示す要部断面拡大図である。なお、本実施形態では、建設・土木作業機械であるブルドーザにおける懸架装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば農業機械や運搬機械などの各種の履体式車両の懸架装置にも効果的に使用できる。
【0020】
これらの図において、符号10は本発明に適用されるブルドーザの車体の主要部を構成するメインフレームを概略的に示している。同メインフレーム10は、例えば溶接構造用鋳鋼材及び圧延鋼材により構成されている。このメインフレーム10の左右両側部には履体式走行体11,11が平行に配されている。この履体式走行体11はトラックフレーム12を有している。同トラックフレーム12は、例えば高剛性の鋼鉄材により構成されており、下方に開放端を有する略逆コ字状をなすハウジング構造とされている。
【0021】
前記トラックフレーム12は、後部に配されたスプロケット、前部に配されたアイドラ、中間部の上面に配された前後一対のキャリアローラ、中間部の前後にわたり内部に配された複数のトラックローラからなる図示せぬ走行輪が設けられている。これらの走行輪には図示せぬ履帯が回動可能に掛け廻されている。同履帯は、地盤接地用の複数の履板を無端状のリンクチェーンにボルト止めすることにより構成されている。なお、本発明にあっては、以上のごとく構成された履体式走行体11に限定されるものではないことは勿論である。
【0022】
本発明は、ピボットシャフト13とイコライザバー14とを介して左右のトラックフレーム12,12を揺動自在に支持する懸架装置であって、第1及び第2イコライザバー14,14がピボットシャフト13を中心としてメインフレーム10の前後両側部に配されていることを最も主要な特徴としている。本実施形態では、各イコライザバー14は前記ピボットシャフト13を中心として前後対称位置に配されている。同ピボットシャフト13は、段差のある不整地を乗り越えるとき、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などの影響を最も受けにくいメインフレーム10の前後中心部又はその近傍に配されている。
【0023】
これらの取付位置は、図示例に限定されるものではないことは勿論であるが、上記構成を備えることにより、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などが前記ピボットシャフト13と各イコライザバー14とに均等に分担して支持される。ブルドーザが段差のある不整地を乗り越えるとき、履体走行体11の接地圧の圧力バランスを得ながら、ブルドーザを転倒しない姿勢で安定して走行させることができる。
【0024】
図示例にあっては、前記メインフレーム10の前後中間部の左右両側に前記ピボットシャフト13,13が互いに外方に向けて同一直線上に突設されている。左右のトラックフレーム12は、それぞれ前記ピボットシャフト13を回動中心として上下に揺動自在に支承されている。前記トラックフレーム12の前後中心部は、前記メインフレーム10の前後中心部と対応する位置にある。前記第1及び第2イコライザバー14,14は、前記ピボットシャフト13を挟んで車体前後に同一間隔をおいてメインフレーム10に回動自在に支持されている。各イコライザバー14の左右両端部に、それぞれトラックフレーム12が回動自在に連結されている。
【0025】
前記ピボットシャフト13はメインフレーム10の前後中心位置にあるため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地を乗り越える時の上下荷重などの過大な力がピボットシャフト13に局部的に作用することを防止することができ、ピボットシャフト13の耐久性を高めることができる。
【0026】
左右の前記トラックフレーム12は、それぞれピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との前後3つの支持点で前記メインフレーム10に支持される。ブルドーザの前進又は後進によって履体式走行体11が段差のある不整地を走行するとき、ピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との間で凸部上を乗り越えることとなる。このため、ブルドーザの前進時だけではなく後進時においても、各トラックフレーム12の上下移動の変化がゆっくりとなり、各履体式走行体11を静かに地盤に着地させることができる。その結果、ブルドーザの進行方向にかかわらず車体に過大な衝撃や振動が作用することなく、乗り心地、作業性、操縦安定性や走行安定性等を極めて高めることができる。
【0027】
図示例による第1及び第2イコライザバー14,14は、メインフレーム10の前後両側ともに同一構造からなり、長尺の略円柱状のバー部材であるイコライザバー本体15と、そのイコライザバー本体15の左右両端部に互いに反対方向に延在する第1及び第2アーム部16(16a,16b)とにより構成されている。このイコライザバー本体15はトーションばねとされ、各アーム部16a,16bはトーションばね作動部とされており、イコライザバー外郭形状が略Z字状をなしている。
【0028】
このイコライザバー14は、左右のトラックフレーム12を支持するバー部材にねじり変形によるばね作用を有しているため、剛性を大幅に低くさせることができるようになり、各トラックフレーム12の上下揺動を円滑に且つ確実に抑制することができる。このイコライザバー本体15は、軽量化のために中空パイプ材でもよく、断面円形に限らず、断面が矩形状などの多角形状の環状部材や中実部材をも含むものである。トーションばね機能を有する簡単な構造であり、製造コスト及び製品コストが大幅に低減されるとともに、外郭寸法を小さくして車体の軽量化を達成することができる。
【0029】
前記第1イコライザバー14は、メインフレーム10の前部寄りに溶接等の一般的な固着手段をもって固着一体化されたクロスメンバー10aの上部に隣接して設けられ、前記第2イコライザバー14は、メインフレーム10の後部寄りに立ち上がった車体転倒時のオペレータ保護用の柱状のオペレータ保護部材10bに隣接して設けられている。前記イコライザバー本体15の材質としては、特に限定されるものではなく、一般的なバネ鋼や高周波焼き入れした中炭素鋼などを使用することができる。本実施形態では、前記イコライザバー本体15の左右両端はセレーション加工を施しているが、スプライン加工を施したり、或いは楕円形その他の異径形状に形成することができる。前記アーム部16は高剛性の鋼鉄材からなる。
【0030】
ここで、各イコライザバー14は、メインフレーム10の前後両側ともに同一構造を有しているため、本実施形態では片側の第1イコライザバー14のみを説明する。なお、第2イコライザバー14に関しては、第1イコライザバー14と実質的に同一部材には同一の部材名と符号を付している。
【0031】
左右の前記トラックフレーム12の前部寄りの内側面には、それぞれ前記クロスメンバー10aの左右両端部に隣接してサイドピン17を有する左右一対の取付ブラケット18,18が取着されている。前記イコライザバー本体15はメインフレーム10に左右のベアリング19,19を介して車体幅方向の水平軸線回りを回動自在に取り付けられている。前記イコライザバー本体15の両端部に固定された各アーム部16は、同じく車体幅方向の水平軸線回りに互いが逆方向に回動自在とされており、各アーム部16の自由端部には左右の前記トラックフレーム12のサイドピン17が回動自在に取り付けられている。
【0032】
前記イコライザバー本体15は、前記トラックフレーム12の上下揺動に対してねじり変形によるバネ作用を十分に発揮することが肝要である。このため、イコライザバー本体15を挟んで前記ピボットシャフト13の取付位置とは反対側に向けて延びる第1アーム部16aは、イコライザバー本体15を挟んでピボットシャフト13の取付位置に向けて延びる第2アーム部16bの長さよりも長く設定されている。従って、車体右側(図1の上側)のトラックフレーム12のサイドピン17とメインフレーム10のピボットシャフト13との間隔L1 は、左側(図1の下側)のサイドピン17とピボットシャフト13との間隔L2 よりも長く設定されている。
【0033】
前記第1イコライザバー14のアーム部16と前記第2イコライザバー14のアーム部16とは、車体を対称の中心として互いに点対称に配されていることが好ましく、左右のトラックフレーム12の不均衡を正確に且つ容易に是正することができ、車体及び作業装置の自重等により車両が転倒することなどを回避することができる。
【0034】
図示例による第1及び第2アーム部16a,16bは同一構造からなる。従って、本実施形態では、第2アーム部16bの構造のみを説明する。なお、第1アーム部16aに関しては、第2アーム部16bと実質的に同一部材には同一の部材名と符号を付している。
【0035】
前記第2アーム部16bは、図2に示すように、前記イコライザバー本体15の端部を圧入固定するバー圧入用端部20とトラックフレーム12のサイドピン17の軸部を回動自在に支持するピン圧入用端部(自由端部)21とを有している。前記バー圧入用端部20には、前記イコライザバー本体15の端部外周面と合致する内周面形状をなすバー圧入凹孔20aが穿設されており、前記ピン圧入用端部21にはピン圧入孔21aが穿設されている。同ピン圧入孔21aの内周面には、前記サイドピン17の外周面に密嵌的に外嵌される弾性ゴム材からなる円筒状のブッシュ22が同心上に嵌着固定されている。前記ピン圧入孔21aの内周面は、トラックフレーム12の上下揺動に伴い前記ブッシュ22を介して前記サイドピン17の外周面に摺接して揺動する。
【0036】
ブルドーザが段差のある不整地を走行するとき、前記トラックフレーム12は前記メインフレーム10のピボットシャフト13を回動中心として地形に沿って上下に揺動する。ブルドーザが連続凹凸部を乗り越えるとき、トラックフレーム12の上下揺動に伴って前記イコライザバー本体15が前記アーム部16を介してねじり変形する。そのねじり変形によるバネ作用によりトラックフレーム12の揺動量が規制され、トラックフレーム12が上下に大きく且つ強く揺動することなく、ゆっくりと上下揺動する。
【0037】
また、ブルドーザが段差のある不整地を前進や後進するときにも、上述の操作と同様であり、前記第1及び第2イコライザバー14,14の双方が上述の操作と同様に作動する。こうして、前記各イコライザバー14は、トラックフレーム12に対して無駄な動きを発生することなく、合理的に連動することができると共に、ブルドーザの振動や揺動を確実に抑制することができる。
【0038】
なお、上記実施形態にあっては、トーションばね機能を有するイコライザバー本体15の左右両端に逆向きに固定された第1及び第2アーム部16,16を備えたイコライザバー14を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばイコライザバーの中央部を車体にピン結合することによりトラックフレームに直交する左右に揺動自在に支持し、その左右両端部に各トラックフレームを回動自在に連結するイコライザバーを使用することができる。その代表的な一例として、例えば本出願人が先に提案した特公昭60−6829号公報に、同特開平8−282553号公報に、同実開平2−132592号公報に、同実開平3−109987号公報に、それぞれ開示されたイコライザバーが挙げられる。勿論、上記米国特許第5358064号明細書に開示されたイコライザバーを使用することもできる。
【0039】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態に係る懸架装置は、ピボットシャフト13とそのピボットシャフト13を挟んで車体の前後両側部に配された第1及び第2イコライザバー14,14とを介して左右のトラックフレーム12,12を揺動自在に支持しているため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などがピボットシャフト13と各イコライザバー14,14とに分担して支持され、車体と履体式走行体との取付強度を高めることができる。
【0040】
また、前記ピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との間で段差のある不整地を乗り越えることができるため、ブルドーザの進行方向にかかわらず各トラックフレーム12の上下移動変化がゆっくりとなり、各トラックフレーム12を静かにゆっくりと揺動させ、各履体式走行体11を安定して地盤に着地させることができる。その結果、車体に作用する過大な衝撃を小さくすることができると共に、車体の安定度を十分に得ることが可能となり、土木建設作業が極めて効率良く且つ安全になされる。なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である懸架装置の構造例を概略的に示す平面図である。
【図2】同懸架装置の一部を構成するイコライザバーの要部を概略的に示す要部断面拡大図である。
【符号の説明】
10 メインフレーム
10a クロスメンバー
10b オペレータ保護部材
11 履体式走行体
12 トラックフレーム
13 ピボットシャフト
14 イコライザバー
15 イコライザバー本体
16 アーム部
17 サイドピン
18 取付ブラケット
19 ベアリング
20 バー圧入用端部
20a バー圧入凹孔
21 ピン圧入用端部
21a ピン圧入孔
22 ブッシュ
【発明の属する技術分野】
本発明は建設・土木作業用や農作業用などの各種の履体式車両の懸架装置に係わり、特に、乗り心地性、作業性や走行安定性などの向上を図った履体式車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設・土木作業用などの各種の作業車両は、土砂や砕石等の硬軟質地盤、急勾配、連続凹凸の不整地等の硬軟質地盤を走行するため、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して車体の左右両側部に履体式走行体を揺動自在に支持している。各履体式走行体は、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して車体に支持されているため、車体重量や連続凹凸の不整地等の乗り越え時の上下荷重などがピボットシャフト及びイコライザバーに分担して支持される。
【0003】
一般に、前記ピボットシャフトは車体の後部寄りに車体幅方向両側に突出して取着されており、各ピボットシャフトの軸部を回動中心として各履体式走行体のトラックフレームが上下に揺動自在に連結されている。前記イコライザバーの中央部は、車体の前部寄りに車体前方に突設されたピンを介してトラックフレームに直交して揺動自在に支承されており、その左右両端部に各トラックフレームが回動自在に連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
履体式車両が連続凹凸の不整地を走行するとき、前記トラックフレームは、前記ピボットシャフトを回動中心として地形に沿って上下に揺動する。その上下揺動に伴い、前記イコライザバーは、前記ピンの軸部を回動中心として前記トラックフレームとは直交する左右に揺動する。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5358064号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記履体式走行体のトラックフレームは、車体の前後中心部よりも前部寄りに前記イコライザバーを配すると共に、車体の前後中心部よりも後部寄りに前記ピボットシャフトを配することにより、同ピボットシャフトを回動中心として車体の左右両側部に揺動自在に支持されている。従って、車両の前進によって連続凹凸の不整地を走行する場合は、前記イコライザバーと前記ピボットシャフトとの間で凹凸部を乗り越えるため、前記イコライザバーが前記トラックフレームの上下揺動を抑制して前記トラックフレームが大きく揺動することなく、履体式走行体がゆっくりと地盤に着地する。
【0007】
しかしながら、車両の後進により連続凹凸の不整地を走行する場合は、前記ピボットシャフト単独で車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越えるときの上下荷重などを受けることとなる。従って、段差のある不整地を乗り越えるとき、前記ピボットシャフトを回動中心として急に不整地の凸部から落ちて、履体式走行体が地盤に強く衝突する。逆の場合も同様である。このため、車体の揺動や振動がかなり大きくなり、乗り心地性や走行安定性などが著しく悪化し、オペレータの疲労を増大させ、安全運転を阻害するという問題があった。
【0008】
また、車体の前後両側部は、その前後中央部よりも、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などが強く作用する。前記ピボットシャフトは、上述のように車体の前後中心部よりも後部寄りの位置にあり、しかも前記トラックフレームの回動中心としてトラックフレームを支持しているため、前記ピボットシャフトに過大な力が頻繁に作用する。このため、前記ピボットシャフトの軸部に変形、磨耗や破損等が生じやすくなり、車体と履体式走行体との取付強度が弱くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、取付強度を確保することができると共に、乗り心地性、作業性や走行安定性などを向上することができる建設・土木作業用や農作業用などの各種の履体式車両の懸架装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本件請求項1に係る発明は、ピボットシャフトとイコライザバーとを介して左右のトラックフレームを揺動自在に支持する履体式車両の懸架装置であって、前記イコライザバーが前記ピボットシャフトを挟んで前後両側部に配されてなること特徴とする履体式車両の懸架装置にある。
【0011】
本発明の懸架装置は、ピボットシャフトと、同ピボットシャフトを挟んで車体の前後両側部に配された前後一対のイコライザバーとを介して左右のトラックフレームを揺動自在に支持している。このため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などが、前記ピボットシャフトと各イコライザバーとに分担して支持され、車体と履体式走行体との取付強度を高めることができる。
【0012】
左右の前記トラックフレームは、それぞれ前記ピボットシャフトと前記各イコライザバーとの前後3つの支持点で車体に支持される。このため、履体式車両の前進又は後進により履体式走行体が連続凹凸の不整地を走行するとき、前記ピボットシャフトを中心として各イコライザバーとの間で段差のある不整地上を乗り越えることとなる。従って、履体式車両の前進時だけではなく後進時においても、各トラックフレームの上下移動変化がゆっくりとなり、各履体式走行体を静かにゆっくりと地盤に着地させることができるようになる。その結果、履体式車両の進行方向にかかわらず車体に作用する過大な衝撃を小さくすることができると共に、車体の振動緩和、乗り心地、作業性、操縦安定性や走行安定性等を極めて向上することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記イコライザバーが前記ピボットシャフトを中心として前後対称位置に配されていることを特徴としている。
前記イコライザバーは、前記ピボットシャフトを中心として車体前後に同一間隔をおいて配されることが好適である。これにより、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などが前記ピボットシャフトと各イコライザバーとに均等に分担して支持される。好ましくは、段差のある不整地上を乗り越えるときの車体重量などの負荷荷重の影響を受けにくい車体の前後中心部に前記ピボットシャフトを配することが特に望ましく、さらに好ましくは、前記トラックフレームの前後中心部が車体の前後中心部と対応する位置にあり、同トラックフレームの回動中心とすることが好適である。
【0014】
上記構成により、履体式車両が段差のある不整地を乗り越えるとき、前記トラックフレームの左右のアンバランスが是正され、履体走行体の接地圧を十分に確保することができる。これにより、車体の安定性がよくなり、作業性に優れた掘削系やショベル系などの履体式車両が得られる。
【0015】
また、前記ピボットシャフトは、車体の前後中心位置にあるため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地を乗り越える時の上下荷重などの過大な力が前記ピボットシャフトに集中的に作用することを回避できるようになり、同ピボットシャフトの変形や破損等が防止できる。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記イコライザバーは、トーションばね機能を有するバー部材と、同バー部材の左右両端に逆向きに固定された左右一対の第1及び第2アーム部とを備えてなり、前記バー部材が車体に回動自在に支持され、前記各アーム部の自由端部が、前記トラックフレームに回動自在に支持されていることを特徴としている。
【0017】
本発明に適用されるイコライザバーは、左右のトラックフレームを支持するバー部材にねじり変形によるバネ作用を有している。履体式車両が段差のある不整地を走行するとき、前記トラックフレームは前記ピボットシャフトを回動中心として地形に沿って上下に揺動する。その上下揺動に伴い、前記バー部材が前記トラックフレームの上下揺動に対してねじり変形する。そのねじり変形によるバネ作用により前記トラックフレームが小さく且つゆっくりと揺動する。
【0018】
各アーム部が互いに逆向きに回動自在に支持されているため、前記トラックフレームは、前記バー部材のバネ作用によって上下に大きく且つ強く揺動することなく揺動量を規制され、走行時の車体の振動や揺動を十分に抑制することができる。なお、本発明に適用されるイコライザバーの他の一例として、イコライザバーの中央部を車体にピン結合することによりトラックフレームに直交する左右に揺動自在に支持し、その左右両端部に各トラックフレームを回動自在に連結するイコライザバーを使用することもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の代表的な実施形態である懸架装置の一例を概略的に示す平面図、図2は同懸架装置の一部を構成するイコライザバーの要部を概略的に示す要部断面拡大図である。なお、本実施形態では、建設・土木作業機械であるブルドーザにおける懸架装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば農業機械や運搬機械などの各種の履体式車両の懸架装置にも効果的に使用できる。
【0020】
これらの図において、符号10は本発明に適用されるブルドーザの車体の主要部を構成するメインフレームを概略的に示している。同メインフレーム10は、例えば溶接構造用鋳鋼材及び圧延鋼材により構成されている。このメインフレーム10の左右両側部には履体式走行体11,11が平行に配されている。この履体式走行体11はトラックフレーム12を有している。同トラックフレーム12は、例えば高剛性の鋼鉄材により構成されており、下方に開放端を有する略逆コ字状をなすハウジング構造とされている。
【0021】
前記トラックフレーム12は、後部に配されたスプロケット、前部に配されたアイドラ、中間部の上面に配された前後一対のキャリアローラ、中間部の前後にわたり内部に配された複数のトラックローラからなる図示せぬ走行輪が設けられている。これらの走行輪には図示せぬ履帯が回動可能に掛け廻されている。同履帯は、地盤接地用の複数の履板を無端状のリンクチェーンにボルト止めすることにより構成されている。なお、本発明にあっては、以上のごとく構成された履体式走行体11に限定されるものではないことは勿論である。
【0022】
本発明は、ピボットシャフト13とイコライザバー14とを介して左右のトラックフレーム12,12を揺動自在に支持する懸架装置であって、第1及び第2イコライザバー14,14がピボットシャフト13を中心としてメインフレーム10の前後両側部に配されていることを最も主要な特徴としている。本実施形態では、各イコライザバー14は前記ピボットシャフト13を中心として前後対称位置に配されている。同ピボットシャフト13は、段差のある不整地を乗り越えるとき、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などの影響を最も受けにくいメインフレーム10の前後中心部又はその近傍に配されている。
【0023】
これらの取付位置は、図示例に限定されるものではないことは勿論であるが、上記構成を備えることにより、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地乗り越え時の上下荷重などが前記ピボットシャフト13と各イコライザバー14とに均等に分担して支持される。ブルドーザが段差のある不整地を乗り越えるとき、履体走行体11の接地圧の圧力バランスを得ながら、ブルドーザを転倒しない姿勢で安定して走行させることができる。
【0024】
図示例にあっては、前記メインフレーム10の前後中間部の左右両側に前記ピボットシャフト13,13が互いに外方に向けて同一直線上に突設されている。左右のトラックフレーム12は、それぞれ前記ピボットシャフト13を回動中心として上下に揺動自在に支承されている。前記トラックフレーム12の前後中心部は、前記メインフレーム10の前後中心部と対応する位置にある。前記第1及び第2イコライザバー14,14は、前記ピボットシャフト13を挟んで車体前後に同一間隔をおいてメインフレーム10に回動自在に支持されている。各イコライザバー14の左右両端部に、それぞれトラックフレーム12が回動自在に連結されている。
【0025】
前記ピボットシャフト13はメインフレーム10の前後中心位置にあるため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、段差のある不整地を乗り越える時の上下荷重などの過大な力がピボットシャフト13に局部的に作用することを防止することができ、ピボットシャフト13の耐久性を高めることができる。
【0026】
左右の前記トラックフレーム12は、それぞれピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との前後3つの支持点で前記メインフレーム10に支持される。ブルドーザの前進又は後進によって履体式走行体11が段差のある不整地を走行するとき、ピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との間で凸部上を乗り越えることとなる。このため、ブルドーザの前進時だけではなく後進時においても、各トラックフレーム12の上下移動の変化がゆっくりとなり、各履体式走行体11を静かに地盤に着地させることができる。その結果、ブルドーザの進行方向にかかわらず車体に過大な衝撃や振動が作用することなく、乗り心地、作業性、操縦安定性や走行安定性等を極めて高めることができる。
【0027】
図示例による第1及び第2イコライザバー14,14は、メインフレーム10の前後両側ともに同一構造からなり、長尺の略円柱状のバー部材であるイコライザバー本体15と、そのイコライザバー本体15の左右両端部に互いに反対方向に延在する第1及び第2アーム部16(16a,16b)とにより構成されている。このイコライザバー本体15はトーションばねとされ、各アーム部16a,16bはトーションばね作動部とされており、イコライザバー外郭形状が略Z字状をなしている。
【0028】
このイコライザバー14は、左右のトラックフレーム12を支持するバー部材にねじり変形によるばね作用を有しているため、剛性を大幅に低くさせることができるようになり、各トラックフレーム12の上下揺動を円滑に且つ確実に抑制することができる。このイコライザバー本体15は、軽量化のために中空パイプ材でもよく、断面円形に限らず、断面が矩形状などの多角形状の環状部材や中実部材をも含むものである。トーションばね機能を有する簡単な構造であり、製造コスト及び製品コストが大幅に低減されるとともに、外郭寸法を小さくして車体の軽量化を達成することができる。
【0029】
前記第1イコライザバー14は、メインフレーム10の前部寄りに溶接等の一般的な固着手段をもって固着一体化されたクロスメンバー10aの上部に隣接して設けられ、前記第2イコライザバー14は、メインフレーム10の後部寄りに立ち上がった車体転倒時のオペレータ保護用の柱状のオペレータ保護部材10bに隣接して設けられている。前記イコライザバー本体15の材質としては、特に限定されるものではなく、一般的なバネ鋼や高周波焼き入れした中炭素鋼などを使用することができる。本実施形態では、前記イコライザバー本体15の左右両端はセレーション加工を施しているが、スプライン加工を施したり、或いは楕円形その他の異径形状に形成することができる。前記アーム部16は高剛性の鋼鉄材からなる。
【0030】
ここで、各イコライザバー14は、メインフレーム10の前後両側ともに同一構造を有しているため、本実施形態では片側の第1イコライザバー14のみを説明する。なお、第2イコライザバー14に関しては、第1イコライザバー14と実質的に同一部材には同一の部材名と符号を付している。
【0031】
左右の前記トラックフレーム12の前部寄りの内側面には、それぞれ前記クロスメンバー10aの左右両端部に隣接してサイドピン17を有する左右一対の取付ブラケット18,18が取着されている。前記イコライザバー本体15はメインフレーム10に左右のベアリング19,19を介して車体幅方向の水平軸線回りを回動自在に取り付けられている。前記イコライザバー本体15の両端部に固定された各アーム部16は、同じく車体幅方向の水平軸線回りに互いが逆方向に回動自在とされており、各アーム部16の自由端部には左右の前記トラックフレーム12のサイドピン17が回動自在に取り付けられている。
【0032】
前記イコライザバー本体15は、前記トラックフレーム12の上下揺動に対してねじり変形によるバネ作用を十分に発揮することが肝要である。このため、イコライザバー本体15を挟んで前記ピボットシャフト13の取付位置とは反対側に向けて延びる第1アーム部16aは、イコライザバー本体15を挟んでピボットシャフト13の取付位置に向けて延びる第2アーム部16bの長さよりも長く設定されている。従って、車体右側(図1の上側)のトラックフレーム12のサイドピン17とメインフレーム10のピボットシャフト13との間隔L1 は、左側(図1の下側)のサイドピン17とピボットシャフト13との間隔L2 よりも長く設定されている。
【0033】
前記第1イコライザバー14のアーム部16と前記第2イコライザバー14のアーム部16とは、車体を対称の中心として互いに点対称に配されていることが好ましく、左右のトラックフレーム12の不均衡を正確に且つ容易に是正することができ、車体及び作業装置の自重等により車両が転倒することなどを回避することができる。
【0034】
図示例による第1及び第2アーム部16a,16bは同一構造からなる。従って、本実施形態では、第2アーム部16bの構造のみを説明する。なお、第1アーム部16aに関しては、第2アーム部16bと実質的に同一部材には同一の部材名と符号を付している。
【0035】
前記第2アーム部16bは、図2に示すように、前記イコライザバー本体15の端部を圧入固定するバー圧入用端部20とトラックフレーム12のサイドピン17の軸部を回動自在に支持するピン圧入用端部(自由端部)21とを有している。前記バー圧入用端部20には、前記イコライザバー本体15の端部外周面と合致する内周面形状をなすバー圧入凹孔20aが穿設されており、前記ピン圧入用端部21にはピン圧入孔21aが穿設されている。同ピン圧入孔21aの内周面には、前記サイドピン17の外周面に密嵌的に外嵌される弾性ゴム材からなる円筒状のブッシュ22が同心上に嵌着固定されている。前記ピン圧入孔21aの内周面は、トラックフレーム12の上下揺動に伴い前記ブッシュ22を介して前記サイドピン17の外周面に摺接して揺動する。
【0036】
ブルドーザが段差のある不整地を走行するとき、前記トラックフレーム12は前記メインフレーム10のピボットシャフト13を回動中心として地形に沿って上下に揺動する。ブルドーザが連続凹凸部を乗り越えるとき、トラックフレーム12の上下揺動に伴って前記イコライザバー本体15が前記アーム部16を介してねじり変形する。そのねじり変形によるバネ作用によりトラックフレーム12の揺動量が規制され、トラックフレーム12が上下に大きく且つ強く揺動することなく、ゆっくりと上下揺動する。
【0037】
また、ブルドーザが段差のある不整地を前進や後進するときにも、上述の操作と同様であり、前記第1及び第2イコライザバー14,14の双方が上述の操作と同様に作動する。こうして、前記各イコライザバー14は、トラックフレーム12に対して無駄な動きを発生することなく、合理的に連動することができると共に、ブルドーザの振動や揺動を確実に抑制することができる。
【0038】
なお、上記実施形態にあっては、トーションばね機能を有するイコライザバー本体15の左右両端に逆向きに固定された第1及び第2アーム部16,16を備えたイコライザバー14を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばイコライザバーの中央部を車体にピン結合することによりトラックフレームに直交する左右に揺動自在に支持し、その左右両端部に各トラックフレームを回動自在に連結するイコライザバーを使用することができる。その代表的な一例として、例えば本出願人が先に提案した特公昭60−6829号公報に、同特開平8−282553号公報に、同実開平2−132592号公報に、同実開平3−109987号公報に、それぞれ開示されたイコライザバーが挙げられる。勿論、上記米国特許第5358064号明細書に開示されたイコライザバーを使用することもできる。
【0039】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態に係る懸架装置は、ピボットシャフト13とそのピボットシャフト13を挟んで車体の前後両側部に配された第1及び第2イコライザバー14,14とを介して左右のトラックフレーム12,12を揺動自在に支持しているため、車体重量、車両旋回走行時の横荷重、連続凹凸の不整地を乗り越える時の上下荷重などがピボットシャフト13と各イコライザバー14,14とに分担して支持され、車体と履体式走行体との取付強度を高めることができる。
【0040】
また、前記ピボットシャフト13と各イコライザバー14,14との間で段差のある不整地を乗り越えることができるため、ブルドーザの進行方向にかかわらず各トラックフレーム12の上下移動変化がゆっくりとなり、各トラックフレーム12を静かにゆっくりと揺動させ、各履体式走行体11を安定して地盤に着地させることができる。その結果、車体に作用する過大な衝撃を小さくすることができると共に、車体の安定度を十分に得ることが可能となり、土木建設作業が極めて効率良く且つ安全になされる。なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である懸架装置の構造例を概略的に示す平面図である。
【図2】同懸架装置の一部を構成するイコライザバーの要部を概略的に示す要部断面拡大図である。
【符号の説明】
10 メインフレーム
10a クロスメンバー
10b オペレータ保護部材
11 履体式走行体
12 トラックフレーム
13 ピボットシャフト
14 イコライザバー
15 イコライザバー本体
16 アーム部
17 サイドピン
18 取付ブラケット
19 ベアリング
20 バー圧入用端部
20a バー圧入凹孔
21 ピン圧入用端部
21a ピン圧入孔
22 ブッシュ
Claims (3)
- ピボットシャフト(13)とイコライザバー(14)とを介して左右のトラックフレーム(12)を揺動自在に支持する履体式車両の懸架装置であって、
前記イコライザバー(14)が前記ピボットシャフト(13)を挟んで車体(10)の前後両側部に配されてなることを特徴とする履体式車両の懸架装置。 - 前記イコライザバー(14)が前記ピボットシャフト(13)を中心として前後対称位置に配されてなることを特徴とする請求項1記載の懸架装置。
- 前記イコライザバー(14)は、トーションばね機能を有するバー部材(15)と、同バー部材(15)の左右両端に逆向きに固定された左右一対の第1及び第2アーム部(16a,16b) とを備えてなり、
前記バー部材(15)が車体(10)に回動自在に支持され、前記各アーム部(16a,16b) の自由端部(21)が、前記トラックフレーム(12)に回動自在に支持されてなる、ことを特徴とする請求項1又は2記載の懸架装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002323513A JP2004155334A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 履体式車両の懸架装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002323513A JP2004155334A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 履体式車両の懸架装置 |
Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004155334A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110412998A (zh) * | 2019-09-05 | 2019-11-05 | 中国计量大学 | 户外不平整路面移动机器人底盘定位和姿态调整装置 |
-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323513A patent/JP2004155334A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110412998A (zh) * | 2019-09-05 | 2019-11-05 | 中国计量大学 | 户外不平整路面移动机器人底盘定位和姿态调整装置 |
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